JP3778161B2 - 移送用媒体の移送制御方法及びその装置 - Google Patents

移送用媒体の移送制御方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移送用媒体、特にデータの読込み/書込みに用いられる記録媒体を移送する際に用いて最適な移送用媒体の移送制御方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータの高速化,ダウンサイジング化,低価格化などの要求に応えるために、データの読込み/書込みに用いられる記録媒体(例えば、ハードディスク,光ディスク等を含む。)をコンピュータ本体から切り離してライブラリ装置として構築し、このライブラリ装置の記録媒体を複数台のコンピュータに共用する方式が採用されている。
【0003】
このライブラリ装置には、記録媒体を必要に応じて交換するという要求に応えるために記録媒体を当該ライブラリ装置内で移送させる必要がある。この種の分野では、記録媒体を移送する機構として、高速で、かつ正確に移送制御を行うかが問題となる。
【0004】
従来、正確な移送制御を行うために、センサやロータリエンコーダを利用し位置検出を行う方法が採用されている(特許文献1,特許文献2)。
【特許文献1】
特開昭63−112858号公報
【特許文献2】
特開平6−20359号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のように、センサやロータリエンコーダを用いる場合には、それらの設置個数が多くなるため、記録媒体を移送させる移送機構の重量が重くなり、移動速度が遅くなるばかりでなく、重量が重くなることに伴って慣性力が大きくなってしまい、正確な位置に記録媒体を位置制御することが困難になるという問題がある。
【0006】
また、複数個のセンサやロータリエンコーダから入力される情報を高速に処理する必要があるため、その処理速度に見合った処理プログラムを開発する必要があり、ライブラリ装置の製造コストが高価になるという問題がある。
【0007】
また、ライブラリ装置における記録媒体の移送距離は、ライブラリ装置の構成部品の寸法や取付けのばらつき等に起因して、その装置毎に固有の値となる。このことは、設計に基く標準値のみで移送機構による記録媒体の位置決め制御を行って媒体の取出し・格納を行うと、装置固有のばらつきに起因して媒体の移送距離が短くなった場合は、移送機構にセットされた媒体が当該媒体をセットするセルの壁面に衝突して騒音が発生したり、移送機構の駆動用モータの回転がロックされて当該モータに過負荷を加えて破損させたりする等の問題が生じる。
【0008】
また、装置固有のばらつきに起因して媒体の移送距離が長くなった場合には、媒体が正規の位置にセットすることが不可能となり、その媒体が記録媒体である場合には、記録媒体に対するデータの書込み・読出しが正常に行われないという障害が生じることとなる。
【0009】
【発明の目的】
本発明の目的は、装置固有のばらつきに拘らず、記録媒体等の移送・セットを正確に行うことができる移送用媒体の移送制御方法及びその装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る移送用媒体の移送制御方法は、定電流駆動されるモータを用いた移送用媒体の移送を制御する移送用媒体の移送制御方法において、上記モータへ供給されるモータ電流が基準値に達する際までの当該モータ電流の立上り時間を計測し、当該立上り時間が、モータの異常を検出するために設定した設定時間と不一致のときに、上記モータを強制停止させて上記移送用媒体の移送を中止させるという構成を採っている。
【0011】
移送機構を駆動するモータの特性を検討する。定電流駆動されるモータにおいては、当該モータへ供給されるモータ電流が回転駆動するために必要な定電流値に達する際までに要するモータ電流の立上り時間は、モータが通常運転される場合には定常値を示すものである。しかしながら、モータの回転がロックされる等の障害が生じると、上記モータ電流の立上り時間に差異が生じる。この現象は、モータの特性によるものである。
【0012】
そこで、本発明は、定電流駆動されるモータへ供給されるモータ電流が基準値に達する際までの当該モータ電流の立上り時間を計測し、当該立上り時間が、モータの異常を検出するために設定した設定時間と不一致のときに、上記モータを強制停止させて上記移送用媒体の移送を中止させる。
【0013】
したがって、本発明によれば、移送用媒体がセル等に接触してモータの回転がロックされたときには、当該モータを強制的に停止させて当該移送用媒体の移送を中止することができ、ライブラリ装置固有毎に媒体の移送距離にばらつきがあったとしても、当該距離のばらつきを考慮して移送用媒体の移送制御を行うことができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、モータの特性に着目して移送用モータに供給されるモータ電流の立上り時間を計測するため、従来のようにセンサやロータリエンコーダを使用することがなく、センサやロータリエンコーダを用いた移送用媒体の移送制御による欠点を改善することができる。
【0015】
上記モータに供給されるモータ電流の立上り時間を計測するには、当該モータ電流を電圧値に変換して、当該電圧値が基準電圧値に達する際までの時間を上記モータ電流の立上り時間として計測することが望ましいものである。また、上記基準電圧値は、上記モータが駆動を回転開始するためのモータ電流値に対応して設定した電圧値であることが望ましいものである。
【0016】
このように、当該モータ電流を電圧値に変換して、当該電圧値が基準電圧値に達する際までの時間を上記モータ電流の立上り時間として計測すると、上記電圧値がモータ電流の増加に比例して増加することとなるため、確実にモータ電流の立上り時間を正確に計測することができる。
【0017】
さらに、本発明においては、移送用媒体の移送を開始するための基準位置から上記モータを強制停止する際までの算出された距離情報を記憶して置き、当該距離情報を、移送用媒体を移送する際の位置決め制御情報として利用するという構成を採っている。
【0018】
したがって、ライブラリ装置毎に移送距離のばらつきがあったとしても、当該ばらつきを考慮した移送用媒体の移送距離を正確に計測することができ、上記移送距離のばらつきに左右されることなく、媒体を常に移送に必要な距離だけ移送させることができ、移送用媒体の位置制御を正確に行うことができる。
【0019】
さらに、本発明に係る移送用媒体の移送制御方法を実施するための移送用媒体の移送制御装置は、定電流駆動されるモータへ供給されるモータ電流が基準値に達する際までの当該モータ電流の立上り時間を計測するデータを得るためのデータ取得手段と、データ取得手段が得た計測データに基いて上記モータ電流の立上り時間を計測するための計測手段と、計測手段が計測したモータ電流の立上り時間が、モータの異常を検出するために設定した設定時間と不一致のときに、上記モータを強制停止させて上記移送用媒体の移送を中止させるための駆動制御手段とを有して構成されることが望ましいものである。
【0020】
以上のように、移送用媒体の移送制御方法を実施するための移送用媒体の移送制御装置を構成することにより、従来のようにセンサやロータリエンコーダを使用することがなく、センサやロータリエンコーダを用いた移送用媒体の移送制御による欠点を改善することができる。
【0021】
また、上記データ取得手段は、モータ電流を電圧値に変換して、当該電圧値が基準電圧値に達する際までの時間を上記モータ電流の立上り時間として計測することが望ましく、また、上記基準電圧値は、上記モータが回転駆動を開始するためのモータ電流値に対応して設定した電圧値であることが望ましいものである。
【0022】
このように、当該モータ電流を電圧値に変換して、当該電圧値が基準電圧値に達する際までの時間を上記モータ電流の立上り時間として計測すると、従来のようにセンサやロータリエンコーダを使用することがなく、センサやロータリエンコーダを用いた移送用媒体の移送制御による欠点を改善することができる。
【0023】
さらに、移送用媒体の移送を開始するための基準位置から上記モータを強制停止する際までの算出された距離情報を、移送用媒体を移送する際の位置決め制御情報として記憶するための記憶手段を有するという構成を採ることが望ましいものである。
【0024】
この構成によれば、ライブラリ装置毎に上記距離情報を記憶して置き、その記憶してある距離情報を利用して移送制御を行うことが可能となるため、当該ライブラリ装置毎の移送距離のばらつきに拘らず、そのばらつきを考慮して移送用媒体を正確に移送制御することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1に示すライブラリ装置20は汎用のものを用いており、一般的な構成として、記録媒体21をセットする空間を有し上下3段に配置して備えられたセル22と、装置下部に配置され各セル22内の記録媒体21を駆動してデータの書込み・読出しを行うドライブ機構23と、図示しない搬送機構との間に記録媒体21の授受を行いかつ受取った記録媒体21を上下のセル22との間で移送する移送機構24とを備えている。なお、セル22内の最奥の位置に、記録媒体21をセットするセット位置が設定されており、記録媒体21は、上記セル22内のセット位置にセットされることにより、ドライブ機構23により正常にデータの読込み・書込みが行われるようになる。また、セル22の設置段数は3段に限られるものではなく、適宜変更することができる。
【0026】
移送機構24の構成について、図1及び図4〜図7を用いて具体的に説明する。図1に示す移送機構24は図4に示すように、機構枠24aと、当該機構枠24a上に支持された、最下段のドライブ機構23及び各段のセル22に対して記録媒体21を出し入れするための水平移動枠24bとを備えている。
【0027】
上記機構枠24aは、上下3段に備えられたセル22及びドライブ機構23に沿う上下方向に支持枠24cで昇降可能に支持されている。上記水平移動枠24bは、その後端に、記録媒体21の出し入れ方向(図1では左右方向、図4では上下方向)に伸びたリニアギア24dを備えており、このリニアギア24dが機構枠24aの支持枠24eに案内されて上記水平移動枠24bが、各段のセル22に対して記録媒体21を出し入れするための水平方向に往復移動可能に支持されている。また、上記水平移動枠24bは、その先端部に内外に開閉する2本のアーム24fを備えている。当該2本のアーム24fは、開閉機構24gで内外に開閉駆動され、互いに接近する内側方向に回動駆動されると、その鉤部24hを記録媒体21のノッチ21aに差し込んで記録媒体21を挟持するようになっている。また、2本のアーム24fは、互いに離反する外側方向に回動駆動されると、その鉤部24hを記録媒体21のノッチ21aから引出して記録媒体21の固定を解放するようになっている。また、各段のセル22は、記録媒体21を受容れる開口部22bの両側にスリット22aが形成されており、このスリット22aに水平移動枠24bのアーム24fをそれぞれ受容れることにより記録媒体21がセル22内の最奥位置に設定したセット位置まで差し込まれるようになっている。
【0028】
さらに、上記リニアギア24dは、駆動ギア24jを通して後述するモータ1に連動しており、このモータ1の正逆回転に伴ってドライブ機構23及び各段のセル22に対してそれぞれ往復移動されるようになっている。
【0029】
次に、上記移送機構24を使用して記録媒体21をセル22及びドライブ機構23に対して移送制御する移送用媒体の移送制御装置について説明する。
【0030】
上記移送用媒体の移送制御装置は図1に示すように、上記モータ1としてステッピングモータを用いており、このステッピングモータ1を定電流駆動法により回転駆動するドライバ2と、上記ステッピングモータ1の回転速度と回転角と回転方向を制御するコントローラ3とを有している。
【0031】
図1に示すドライバ2は、ステッピングモータ1を定電流駆動法により駆動する汎用のドライバを用いており、当該ドライバ2は、コントローラ3からの発振器出力信号(パルス信号)を分配してステッピングモータ1の励磁コイル1aを励磁する駆動回路4と、モータ電流の立上り時間のデータを取得するデータ取得手段5とを備えている。上記駆動回路4は、コントローラ3からの発振器出力信号を分配する論理回路(AND)と、この論理回路からの出力信号でON/OFF制御されてステッピングモータ1の励磁コイル1aを正逆方向で励磁するトランジスタ群とから構成されている。なお、図1では、ドライバ2の駆動回路4は、ステッピングモータ1の励磁コイル1aの1相分のみを示しているが、複数相に対応してそれぞれ設けられている。
【0032】
さらに、上記モータ電流の立上り時間を計測するデータを取得するためのデータ取得手段5は、ステッピングモータ1に供給されるモータ電流を電圧値に変換する抵抗器6と、設定周波数でパルスを出力する発振器7と、抵抗器6に発生する電圧値が基準電圧値に達する際にリセット信号を出力するコンパレータ8と、当該コンパレータ8からの出力信号がクリア端子に入力し、かつ発振器7からのパルス信号がクロック端子に入力し、リセット信号/発振器7からのパルス信号に対応するパルス信号を出力するフリップフロップ(以下、F/Fという)9と、コントローラ3のタイマ/カウンタ13等から構成されている。ここに、コンパレータ8の基準電圧(基準値)は、ステッピングモータ1が回転駆動を開始する状態を検出するために設定した電圧値であり、抵抗器6に発生する電圧値がコンパレータ8の基準電圧(基準値)に達する際に、ステッピングモータ1が回転駆動を開始することとなる。したがって、この基準値は、ステッピングモータ1が回転駆動を開始するためのモータ電流値に対応して設定されることとなる。
【0033】
さらに、コントローラ3は、メインメモリ10と、当該メインメモリ10に記憶されている制御プログラムに基いて演算処理を行う中央処理装置(以下、CPUという)11と、当該CPU11からの出力を受けて上記駆動回路4に制御信号を出力する出力回路12と、上記F/F9からの出力信号が入力するタイマ/カウンタ13と、サブメモリ(記憶手段)14とを有している。ここに、コントローラ3は、上記移送用媒体の移送制御装置の全体動作を制御する機能を有すると共に、データ取得手段5が取得した計測データに基いてモータ電流の立上り時間を計測するための計測手段としての機能と、上記計測手段が計測したモータ電流の立上り時間が、モータの異常を検出するために設定した設定時間(図2の立上り時間t1)と不一致のときにステッピングモータ1を強制させて記録媒体21の移送を中止させるための駆動制御手段としての機能とを有している。
【0034】
上記タイマ/カウンタ13は、コントローラ3の出力回路12からの制御信号でドライバ2が起動して駆動回路4のトランジスタがON/OFF動作する際に最初にOFFするまでの立上り時間(図2の立上り時間t1又は図3の立上り時間t2)を計測するタイマ機能と、当該トランジスタが最初にOFFするまで、すなわち図2の立上り時間t1内に発振器7から発生する出力パルス(F/F9から出力されるパルス)をカウントするカウンタ機能とを兼ね備えている。ここで、コントローラ3の出力回路12からの制御信号でドライバ2が起動して駆動回路4のトランジスタがON/OFF動作する際に最初にOFFするまでの立上り時間(図2の立上り時間t1又は図3の立上り時間t2)とは、ステッピングモータ1に供給されるモータ電流が基準値(コンパレータ8の基準電圧)に達する際までのモータ電流の立上り時間に相当する。
【0035】
上述したドライバ2及びコントローラ3の動作について説明する。まず、上記コントローラ3は、移送機構24による媒体移送方向に応じてステッピングモータ1の励磁コイル1aを励磁する励磁シーケンスを移送機構24の移動速度に応じた周期で切り替え、ステッピングモータ2による記録媒体21の移送距離に応じた数のパルス状の制御信号を生成する。また、ドライバ2は、コントローラ3から出力される制御信号により駆動回路4のトランジスタを駆動してステッピングモータ2にモータ電流を供給する。
【0036】
ステッピングモータ2にモータ電流が供給されると、図2に示すように、ステッピングモータ2の励磁コイル1aに供給されるモータ電流が漸次的に増加し、そのモータ電流値が回転駆動に必要な電流値に達する。この電流値に対応してコンパレータ8の基準電圧(基準値)が設定されている。当該基準電圧値は、ステッピングモータ2が回転駆動を開始するためのモータ電流値に対応して設定している。
【0037】
さらに、コントローラ3は、発振器7から出力されるパルス信号の設定周波数に対応する発振器出力信号(図2参照)と、この発振器出力信号に基づいて駆動回路4のトランジスタをON/OFF制御するための制御信号とを出力する。コントローラ3は、上記信号を、上記ステッピングモータ1の回転速度と回転角と回転方向に応じて出力する。
【0038】
ドライバ2がコントローラ3からの制御信号を受け、ステッピングモータ2にモータ電流が供給開始された時点で抵抗器6に発生する電圧は、コンパレータ8の基準電圧より低い。タイマ/カウンタ13は、発振器7からのパルス信号(F/F9の出力信号)の個数をカウントし始める。
【0039】
図2に示すように、ドライバ2がコントローラ3から制御信号を受けてステッピングモータ1に供給されるモータ電流が漸次的に増加し、抵抗器6に発生する電圧がコンパレータ8の基準電圧に達すると、駆動回路4のトランジスタがONする。そして、コントローラ3からドライバ2に供給される発振器出力信号(発振器の設定周波数でのパルスに対応する)の1パルス分だけ経過した時点で駆動回路4のトランジスタがOFFする。上述した駆動回路4のトランジスタのON/OFF制御が繰返して行われることにより、ステッピングモータ1は1ステップ(所定の回転角)ずつ回転駆動する。このステッピングモータ1の回転駆動により、移送機構24が記録媒体21を移送する。
【0040】
抵抗器6に発生する電圧がコンパレータ8の基準電圧に達すると、コンパレータ8からリセット信号がF/F9に出力され、このF/F9からのリセット信号がタイマ/カウンタ13に入力する。CPU11は、当該リセット信号の入力を検出する。そして、CPU11は、CPU11からドライバ2への制御信号の供給開始時点から上記リセット信号を検出するまでにタイマ/カウンタ13がカウントしたパルス数、すなわちデータ取得手段5が取得したモータ電流の立上り時間を計測するために取得したデータに基いて、ステッピングモータ2に供給されるモータ電流値がコンパレータ8の基準電圧値まで達して駆動回路4のトランジスタが最初にONしてOFFするまでの時間を、ステッピングモータ2のモータ電流の立上り時間t1(図2の時間t1)として計測し、この計測時間(t1)を、正常な状態でのステッピングモータ1に供給されるモータ電流の立上り時間t1としてサブメモリ14に記憶させる。
【0041】
図2は、ドライバのコンパレータ8に設定した基準電圧と、ステッピングモータ1に供給されるモータ電流と、コントローラ3から出力される発振器出力信号と、駆動回路4のトランジスタがON/OFFするタイミング信号と、コントローラ3から出力される制御信号との関係を示す図である。
【0042】
図2に示すステッピングモータ1のモータ電流の波形は、当該ステッピングモータ1が正常に回転している場合のものである。また、当該ステッピングモータ1の回転がロックされた場合には、図3(A)に示すように、当該ステッピングモータ1のモータ電流の立上り角度が、図2に示すモータ電流の立上り角度と比較して急峻になるため、ステッピングモータ1のモータ電流の立上り時間t2が短くなる。ステッピングモータ1のモータ電流の立上り時間が変動するのは、モータの特性によるものである。
【0043】
そこで、本発明では、図2及び図3(A)に示すように、ステッピングモータ1のモータ電流の立上り時間t1,t2に差異が生じることに注目して、このモータ電流の立上り時間t1,t2を監視することにより、ステッピングモータ1が正常に回転する状態と、ステッピングモータ1の異常状態とを判別する。ステッピングモータ1の異常状態とは、ライブラリ装置20との関係では図5に示すように水平移動枠24bが機構枠24aのストッパ24kに接触して、水平移動枠24aの移動が規制された状態、或いは水平移動枠24bにより記録媒体21がセル22内の最奥まで送込まれてセル22の内壁面に接触して、水平移動枠24bの移動が規制された状態のいずかである。
【0044】
本発明では上述したように、図2と図3(A)とに示すように、ステッピングモータ1のモータ電流の立上がり時間t1,t2の長短の違いを検出するために、コントローラ3は、コントローラ3の制御信号でドライバ2が起動し、かつ発振器出力信号で駆動回路4のトランジスタが最初にOFFするまでのモータ電流の立上り時間t1,t2をタイマ/カウンタ13がカウントしたパルス数に基いて計測する。
【0045】
そして、コントローラ3は、計測したモータ電流の立上がり時間t1,t2をサブメモリに記憶させて置き、ステッピングモータ1のモータ電流の立上がり時間(t2)が設定値(正常なモータ電流の立ち上がり時間t1)と不一致の場合に、ステッピングモータ1がロック(脱調)していることを判別する。
【0046】
さらに、コントローラ3は、タイマ/カウンタ13がカウントしたパルス数に基いて、ステッピングモータ1による記録媒体21の移送距離を算出する。この距離の算出には、ステッピングモータ1の回転速度に対応し、かつ発振器7から設定周波数でパルスが出力されることを利用して、パルス信号を用いた一般的な距離の算出方法が用いられる。
【0047】
次に、本発明の動作をライブラリ装置20と関連させて説明する。ライブラリ装置20は、装置毎に公差内であるが、セル22の組立等の誤差がある。この誤差は、微小な寸法であるとしても、セル22の設計値に基いて設定したセル22内での記録媒体21の移送距離にズレが生じる。記録媒体21に対してデータの読込み・書込みを行うためのライブラリ装置20では、上述した距離のズレに起因して、ドライブ機構23による記録媒体21からのデータの読込み・書込みが正常に行われなくなる。
【0048】
そこで、本発明では、定電流駆動されるモータ1を用いた移送用媒体の移送を制御する移送用媒体の移送制御方法において、上記モータ1へ供給されるモータ電流が設定値に達するまでの当該モータ電流の立上り時間t1,t2を計測し、当該立上り時間t2が設定値(t1)と不一致のときに、上記モータ1を強制停止させて上記移送用媒体の移送を中止させるものである。
【0049】
以下の例では、記録媒体21を各段のセル22に出し入れする動作について説明するが、最下段のドライブ機構23に記録媒体21を出し入れする場合にも同様に行われるものである。図8を用いて具体的に説明する。記録媒体21としてダミーの記録媒体を用い、このダミーの記録媒体21を、図5に示すようにセル22から完全に引出した機構枠24a上にセットする。この位置を基準位置とする。この基準位置は汎用の位置センサを用いて計測し、その計測結果をサブメモリ14に入力して置く。
【0050】
一方、メインメモリ10に記憶された制御プログラムでコントローラ3を制御する際に、タイマ/カウンタ13が、発振器7の出力するパルス信号が規定パルス数(例えば、パルス30個)までカウントした時点でステッピングモータ1を強制的に停止するように制御するように設定する。
【0051】
次に、コントローラ3から制御信号をドライバ2に出力し、ドライバ2よりステッピングモータ1にモータ電流を供給する。そして、コントローラ3は、上記図5に示す基準位置でのステッピングモータ1のモータ電流の立上り時間t1を、タイマ/カウンタ13がカウントしたパルス数に基いて計測し、その計測結果を設定値(t1)としてサブメモリ14に記憶させる。
【0052】
ステッピングモータ1にモータ電流が供給されて抵抗器6に発生する電圧がコンパレータ8の基準電圧まで達すると、図2に示すように発振器7の設定周波数毎に出力されるパルス信号に対応した発振器出力信号に基づいて駆動回路4のトランジスタがON/OFF制御されて、ステッピングモータ1が回転し、その回転力を受けて駆動ギア24jが回転し、リニアギア24dをセル22側に移動させる。これにより、記録媒体21は、水平移動枠24bに支えられてセル22内に送込まれる(図6)。
【0053】
コントローラ3は、タイマ/カウンタ13がカウントするパルス数が規定パルス数に達したか否かを監視し(ステップS1)、規定パルス数に達していない場合には、ステッピングモータ1の駆動させるための制御信号を継続して出力し続ける。そして、コントローラ3は、タイム/カウンタ13が規定パルス数を計測した時点でステッピングモータ1を停止させる(ステップS2)。
【0054】
次に、コントローラ3は再度ステッピングモータ1を起動させる(ステップS3)。その際、コントローラ3は、タイマ/カウンタ13のカウントするパルス数に基いてモータ電流の立上り時間を監視する(ステップS4)。コントローラ3は、タイマ/カウンタ13のカウントしたパルス数に基いて計測したステッピングモータ電流の立上り時間が設定値(モータ電流の立上り時間t1)である場合には、更に記録媒体21をセル22内に送込むために必要な追加パルス数(例えば、パルスX個)を設定し、ステッピングモータ1を駆動させるための制御信号をドライバ2に出力し、ステッピングモータ1による記録媒体21の送りを行う(ステップS5)。上述した追加パルス数は、ライブラリ装置に生じる組立等の誤差を予測してコントローラ3で予め設定する。したがって、この追加パルス数が、ライブラリ装置毎に生じる組立等の誤差に対応する。
【0055】
そして、コントローラ3は、タイマ/カウンタ13がカウントするパルスの個数を監視し、上述したようにステッピングモータ1の停止(ステップS6)、ステッピングモータ1の再起動(ステップS7)を制御する。
【0056】
ここで、ステップS4及びステップS8の段階において、コントローラ3は、ステッピングモータ1を再起動させたときにステッピングモータ1のモータ電流の立上り時間t2が設定値(モータ電流の立上り時間t1)よりも短い場合には、図7に示すように記録媒体21がセル22の最奥の内壁に接触してステッピングモータ1がロックされたと判断する。そして、コントローラ3は、ステッピングモータ1を強制的に停止させる制御信号をドライバ2に出力する。ドライバ2は、コントローラ3からの強制停止用の制御信号を受取ると、ステッピングモータ1へのモータ電流の供給を停止してステッピングモータ1を強制的に停止させる(ステップS9)。上記強制停止用の制御信号の出力は、コントローラ3から出力される制御信号をOFFすることで行われる。
【0057】
コントローラ3は、ステッピングモータ1を強制的に停止させる制御信号を出力した時点で、タイマ/カウンタ13のカウントした、規定パルス数(上記例では30個)と追加設定したパルス数(上記例ではX個)とを加算し(ステップS10)、そのパルスの個数に基いて、図5に示す記録媒体21の送り開始の基準位置から記録媒体21がセル22の最奥の内壁に接触して正規のセット位置にセットされるまでに記録媒体21が移送された距離を算出する(ステップS11)。そして、コントローラ3は、当該算出した距離情報をサブメモリ14に記憶させる(ステップS12)。
【0058】
逆に、図7に示すようにセル22内の定位置にセットされた記録媒体21を水平移動枠24bでセル22内から機構枠24aのストッパ24kに接触する位置まで引出す場合には、コントローラ3は、ステッピングモータ1を上記動作と逆になる回転方向に設定して制御信号及び発振器出力信号をドライバ2に出力し、ドライバ2によりステッピングモータ1を逆回転させ、セル22内から記録媒体21を機構枠24aのストッパ24kに向けて引出す動作を行わせる。その場合にもコントローラ3は、タイマ/カウンタ13が計測するステッピングモータ1のモータ電流の立上り時間が設定値と一致するか否かを監視してステッピンモータ1のロック状態を判別し、かつ、タイマ/カウンタ13が計測する発振器7のパルス信号の個数に基いて記録媒体21の移送された距離を算出し、その距離情報をサブメモリ14に記憶させる。
【0059】
以上のように、コントローラ3は、ダミーの記録媒体21を用いて図5に示す基準値からセル22内のセット位置(最奥内壁に接触する位置)までの記録媒体21の移送距離情報及び、セル22内のセット位置から機構枠24aのストッパ24kに接触する位置(記録媒体21の引出し位置)までの記録媒体21の移送距離情報を算出して、これらをサブメモリ14に記憶させた後、サブメモリ14に記憶させた記録媒体21の移送距離情報に基いて、正規の記録媒体21を移送機構24を用いて目的とするセル22に対して記録媒体21を出し入れする。
【0060】
本発明によれば、予めダミーの記録媒体を用いてライブラリ装置の組立等による距離の誤差を補正して記録媒体21の正確な移送距離情報を得、その距離情報に基いて記録媒体21を移送するために、従来のようにセル22に対する記録媒体21の出し入れを検出するセンサやロータリーエンコーダ等のセンサ類を使用することがなく、センサやロータリエンコーダを用いた移送用媒体の移送制御による欠点を改善することができる。
【0061】
さらに、ライブラリ装置毎に上記距離情報を記憶手段としてのサブメモリに記憶して置き、その記憶してある距離情報を利用して移送制御を行うことにより、当該ライブラリ装置毎の距離のばらつきに拘らず、その距離のばらつきを考慮して移送用媒体を正確に移送制御することができる。さらに、本発明は、ライブラリ装置毎に移送機構と各セル及びドライブ機構との間の距離を実測し媒体を移送機構内に引き込む動作と媒体を格納する動作の移送機構の位置決め制御を行うので、モータがロック(脱調)することがなく、媒体を完全に移送機能内に引き込み、セル及びドライブ機構内に格納することができる。
【0062】
また、移送機構と各セル及びドライブ機構と間の距離を計測する手段として、センサやロータリエンコーダというセンサ類を使用せず、モータの回転ロック(脱調)を検出するためのタイマ/カウンタを利用しているので、装置構成を簡素化でき、移送機構の重量を小さくできる。このことは、移送速度の高速化、装置の低消費電力化、小型化、低コスト化を図ることができる。
【0063】
図8に示す実施形態では、発振器7から出力されるパルス信号の個数に応じてモータ1の停止,再起動を繰返して行うことにより、定電流駆動されるモータ1を用いた移送用媒体の移送を制御する移送用媒体の移送制御方法において、上記モータ1へ供給されるモータ電流が設定値に達するまでの当該モータ電流の立上り時間t1,t2を計測し、当該立上り時間t2が設定値(t1)と不一致のときに、上記モータ1を強制停止させて上記移送用媒体の移送を中止させるという制御を行うようにしたが、本発明は、上述した方法に限られるものではない。
【0064】
すなわち、ステッピングモータ1の回転がロックされた場合には、図3(A)に示すように、ドライバ2の駆動回路4を構成するトランジスタが最初にOFFするまでのモータ電流の立上り時間が短くなるばかりでなく、正常回転するステッピングモータ1のモータ電流が基準設定値まで達した後にコントローラ3からの制御信号に基いて駆動回路4のトランジスタがON/OFFする際の時間t3(図2)は、図3(B)に示すように異常回転する際の時間t4のように短くなる。
【0065】
そこで、正常回転するステッピングモータ1のモータ電流が基準設定値まで達した後にコントローラ3からの発振器出力信号に基いて駆動回路4のトランジスタがON/OFFする際の時間t3(図2)が、図3(B)に示すように異常回転する際の時間t4のように短くなることに着目して、定電流駆動されるモータ1を用いた移送用媒体の移送を制御する移送用媒体の移送制御方法において、上記モータ1へ供給されるモータ電流が設定値に達するまでの当該モータ電流の立上り時間t1,t2を計測し、当該立上り時間t2が設定値(t1)と不一致のときに、上記モータ1を強制停止させて上記移送用媒体の移送を中止させるという制御を行うようにしてもよいものである。
【0066】
上記実施形態を図9に基いて具体的に説明する。媒体としてダミーの記録媒体21を用い、このダミー記録媒体21を、図5に示すようにセル22から完全に引出した機構枠24a上にセットする。この位置を基準位置とする。この基準位置は汎用の位置センサを用いて計測し、その計測結果をサブメモリ14に入力して置く。
【0067】
先ず、コントローラ3から制御信号及び発振器出力信号をドライバ2に出力し、ドライバ2よりステッピングモータ1にモータ電流を供給する。そして、コントローラ3は、上記図5に示す基準位置でのステッピングモータ1のモータ電流の立上り時間t3を、タイマ/カウンタ13のカウントしたパルス数に基いて計測し、その計測結果を設定値(t3)としてサブメモリ14に記憶させる(ステップS20)。
【0068】
ステッピングモータ1にモータ電流が供給されて抵抗器6に発生する電圧がコンパレータ8の基準電圧に達すると、図2に示すように発振器7の設定周波数毎に出力されるパルス信号(図2に示す発振器出力信号)に対応して駆動回路4のトランジスタがON/OFF制御され、ステッピングモータ1が回転し、その回転力を受けて駆動ギア24jが回転してリニアギア24dをセル22側に移動させる。これにより、記録媒体21は、水平移動枠24bに支えられてセル22内に送込まれる(図6)。
【0069】
図7に示すように、記録媒体21がセル内の最奥まで水平移動枠24bで送り込まれると、水平移動枠24bがセル22の内壁により移動を規制されるためにステッピングモータ1の回転がロックされる。これに伴って抵抗器6に発生する電圧が昇圧してコンパレータ8の基準電圧に達すると、コンパレータ8からリセット信号が出力される。コントローラ3は、当該リセット信号を検出すると、ドライバ2にステッピングモータ1の強制停止用の制御信号を出力する。この信号をドライバ2が受取ると、ステッピングモータ1を強制的に停止させる(ステップS21)。
【0070】
上記動作に関連させて、コントローラ3は、タイマ/カウンタ13がカウントしたパルス数を読出し、このパルス数に基いて上記基準位置からセル22の最奥までの距離を算出し、その距離情報をサブメモリ14に記憶させる。
【0071】
次に、コントローラ3は、ステッピングモータ1の回転方向を反転させる制御信号をドライバ2に出力する。ドライバ2は、コントローラ3から逆回転の制御信号を受取ると、ステッピングモータ1を逆回転させる(ステップS22)。逆回転したステッピングモータ1により記録媒体21が機構枠24aのストッパ24kに接触するまで行われる。
【0072】
その場合、コントローラ3は、タイマ/カウンタ13がカウントしたパルス数に基いてステッピングモータ1の立上り時間(t4)を監視する(ステップS23)。
【0073】
ステッピングモータ1に供給されるモータ電流の立上り時間t4が設定値(t3)と一致している場合には、コントローラ3は、ドライバ2によるステッピングモータ1の制御を継続させて、ステッピングモータ1による移送用媒体21の移送を継続させる(図4)。
【0074】
図5に示すように、記録媒体21が水平移動枠24bで機構枠24a上に引き出されて、水平移動枠24bが機構枠24aのストッパ24kに接触すると、水平移動枠24bの移動がストッパ24kで規制されるためにステッピングモータ1の回転がロックされる。これに伴って抵抗器6に発生する電圧が昇圧してコンパレータ8の基準電圧に達すると、コンパレータ8からリセット信号が出力される。コントローラ3は、当該リセット信号を検出すると、ドライバ2にステッピングモータ1の強制停止用の制御信号を出力する。この信号をドライバ2が受取ると、ステッピングモータ1を強制的に停止させる(ステップS24)。
【0075】
上記動作に関連させて、コントローラ3は、タイマ/カウンタ13がカウントしたパルス数を読出し、このパルス数に基いてセル22内のセット位置から機構枠24aのストッパ24kまでの距離を算出し(ステップS25)、その距離情報をサブメモリ14に記憶させる(ステップS26)。
【0076】
以上の動作により、図5に示す基準値からセル22の最奥に設定されたセット位置までの距離と、セル22のセット位置から機構枠24aのストッパ24kまでの距離情報とが得られる。コントーローラ3は、上記距離情報をサブメモリ14に記憶させた後、サブメモリ14に記憶させた記録媒体21の移送距離情報に基いて、正規の記録媒体21を移送機構24を用いて目的とするセル22に対して記録媒体21を出し入れする。この場合、記録媒体21をドライブ機構23に対して出し入れする場合にも同様である。
【0077】
なお、上述した図8及び図9に基く2つの実施形態では、図5に示す基準位置からの距離情報を得ることにしたが、これに限られるものではない。すなわち、機構枠24aのスtpッパ24kの位置を基準として、セル22の最奥のセット位置までの距離情報と、セル22のセット位置から再度機構枠24aのストッパ24kに接触するまでの距離情報とを得るようにしてもよいものである。
【0078】
この図9に示す実施形態は、図8に示す実施形態と比較して、モータ駆動用のパルス設定と追加パルスの設定との動作、モータの停止及び再起動の動作が不要となるために、モータ電流の立上り時間の監視動作を簡素化することができ、コントローラ3に掛ける負担を軽減することができるという利点を奏するものである。なお、この実施形態においても、上記効果に加えて図8に示す実施形態と同様な効果が得られるものである。
【0079】
なお、上述した2つの実施形態では、ステッピングモータ1による媒体の移送は往復される移送を対象としたが、一方向に移送する場合にも同様に適用することができるものである。また、移送用媒体として、データの読込・書込が可能な記録媒体を用いたが、この移送用媒体は、記録媒体に限られるものではない。また、移送用媒体を移送する対象がライブラリ装置としたが、これ以外の装置であっても同様に適用できるものである。
【0080】
【発明の効果】
上記目的を達成するため、本発明に係る移送用媒体の移送制御方法は、定電流駆動されるモータを用いた移送用媒体の移送を制御する移送用媒体の移送制御方法において、上記モータへ供給されるモータ電流が基準値に達する際までの当該モータ電流の立上り時間を計測し、当該立上り時間が、モータの異常を検出するために設定した設定時間と不一致のときに、上記モータを強制停止させて上記移送用媒体の移送を中止させるという構成を採っているため、移送用媒体がセル等に接触してモータの回転がロックされたときには、当該モータを強制的に停止させて当該移送用媒体の移送を中止することができ、ライブラリ装置固有のばらつきがあったとしても、当該ばらつきを考慮して移送用媒体の移送制御を行うことができる。
【0081】
さらに、本発明によれば、モータの特性に着目して移送用モータに供給されるモータ電流の立上り時間を計測するため、従来のようにセンサやロータリエンコーダを使用することがなく、センサやロータリエンコーダを用いた移送用媒体の移送制御による欠点を改善することができる。
【0082】
当該モータ電流を電圧値に変換して、当該電圧値が基準電圧値に達する際までの時間を上記モータ電流の立上り時間として計測すると、確実にモータ電流の立上り時間を正確に計測することができる。
【0083】
さらに、本発明においては、移送用媒体の移送を開始するための基準位置から上記モータを強制停止する際までの算出された距離情報を記憶して置き、当該距離情報を、移送用媒体を移送する際の位置決め制御情報として利用するという構成を採っているため、例えばライブラリ装置毎に固有のばらつきがあったとしても、当該ばらつきを考慮した移送用媒体の移送距離を正確に計測することができ、上記ばらつきに左右されることなく、媒体を常に移送に必要な距離だけ移送させることができ、移送用媒体の位置制御を正確に行うことができる。
【0084】
さらに、本発明によれば、モータの特性に着目して移送用モータに供給されるモータ電流の立上り時間を計測するため、従来のようにセンサやロータリエンコーダを使用することがなく、センサやロータリエンコーダを用いた移送用媒体の移送制御による欠点を改善することができる。
【0085】
さらに、本発明に係る移送用媒体の移送制御方法を実施するための移送用媒体の移送制御装置は、定電流駆動されるモータへ供給されるモータ電流が基準値に達する際までの当該モータ電流の立上り時間を計測するデータを得るためのデータ取得手段と、データ取得手段が得た計測データに基いて上記モータ電流の立上り時間を計測するための計測手段と、計測手段が計測したモータ電流の立上り時間が、モータの異常を検出するために設定した設定時間と不一致のときに、上記モータを強制停止させて上記移送用媒体の移送を中止させるための駆動制御手段とを有して構成されるため、従来のようにセンサやロータリエンコーダを使用することがなく、センサやロータリエンコーダを用いた移送用媒体の移送制御による欠点を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る移送用媒体の移送制御方法を実施するために用いる移送用媒体の移送制御装置の構成を示す図である。
【図2】ステッピングモータが正常回転されている状態でのモータ電流の特性を示す特性図である。
【図3】(A),(B)は、ステッピングモータがロックされた状態でのモータ電流の特性を示す特性図である。
【図4】移送機構により移送用媒体を移送させる途中過程を示す構成図である。
【図5】移送機構により記録媒体をセルから完全に引き出した状態或いは、移送機構にセットされた記録媒体をセル内に送り込む状態を示す構成図である。
【図6】移送機構により移送用媒体を移送させる途中過程を示す構成図である。
【図7】移送機構により移送用媒体をセル内のセット位置まで送り込んだ状態を示す構成図である。
【図8】本発明に係る第1の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明に係る第2の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 ステッピングモータ
2 ドライバ
3 コントローラ
4 駆動回路
5 データ取得手段
6 抵抗器
7 発振器
13 タイマ/カウンタ
14 サブメモリ
24 移送機構

Claims (3)

  1. 定電流駆動されるモータを用いた移送用媒体の移送を制御する移送用媒体の移送制御方法において、
    上記モータへ供給されるモータ電流が基準値に達する際までの当該モータ電流の立上り時間を計測するステップと、
    当該立上り時間が、モータの異常を検出するために設定した設定時間と不一致のときに、上記モータを強制停止させて上記移送用媒体の移送を中止させるステップとを含み、
    上記移送用媒体の移送を開始するための基準位置から上記モータを強制停止する際までの算出された距離情報を記憶して置き、当該距離情報を、移送用媒体を移送する際の位置決め制御情報として利用することを特徴とする移送用媒体の移送制御方法。
  2. 定電流駆動されるモータを用いた移送用媒体の移送を制御する移送用媒体の移送制御方法において、
    上記モータへ供給されるモータ電流が基準値に達する際までの当該モータ電流の立上り時間を計測するステップと、
    当該立上り時間が、モータの異常を検出するために設定した設定時間と不一致のときに、上記モータを強制停止させて上記移送用媒体の移送を中止させるステップとを含み、
    上記モータ電流を電圧値に変換して、当該電圧値が基準電圧値に達する際までの時間を上記モータ電流の立上り時間として計測し、
    上記移送用媒体の移送を開始するための基準位置から上記モータを強制停止する際までの算出された距離情報を記憶して置き、当該距離情報を、移送用媒体を移送する際の位置決め制御情報として利用することを特徴とする移送用媒体の移送制御方法。
  3. 上記基準電圧値は、上記モータが回転駆動を開始するためのモータ電流値に対応して設定した電圧値であることを特徴とする請求項2に記載の移送用媒体の移送制御方法。
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