JP3778094B2 - 放射線検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線検査装置に係り、特にポジトロン放出核種を利用した、陽電子放出型CT(ポジトロン・エミッション・コンピューテッド・トモグラフィ(Positron Emission Computed Tomography)、以下、PETという)装置に適用するのに好適な放射線検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線を利用した検査技術は、被検体内部を非破壊で検査することができる。特に、人体に対する放射線検査技術にはX線CT装置,PET装置,SPECT(単光子放出型CT)装置等がある。これらの技術はいずれも、検出対象の物理量を放射線飛翔方向の積分値として計測し、その積分値を逆投影することによって被検体内の各ボクセルの物理量を計算し断層像として画像化する技術である。これらの技術は、膨大なデータを処理する必要があり、近年のコンピュータ技術の急速な発達に伴い、高速・高精細画像を提供できるようになってきた。
【0003】
特に、PET装置は、X線CTではできない分子生物学レベルでの機能や代謝の検出が可能な手法であり、身体の機能画像を提供することが可能である。PETは、18F,15O,11Cといった陽電子(ポジトロン)放出核種で標識した放射性薬剤(PET用薬剤という)を体内に投与し、その分布を計測して画像化する手法である。PET用薬剤の一例として、フルオロデオキシグルコース(2−[F−18]fluoro−2−deoxy−D−glucose;18FDG)がある。18FDGは、糖代謝により腫瘍組織に高集積することを利用し、腫瘍部位の特定に使用される。体内に取りこまれた放射線核種が崩壊してポジトロン(β+)を放出する。放出された陽電子は電子と結合し消滅する際に511keVのエネルギーを持つ一対のγ線(γ線対)を放出する。このγ線対はほぼ反対方向(180±0.6°)に放射されるので、被検体の周りを取り囲むように配置した放射線検出器によってγ線対の両方のγ線を同時検出し、その放射方向データを蓄積して投影データを得ることができる。この投影データをアイ・イー・イー・イー トランザクションオン ニュークリア サイエンス(IEEE Transaction on Nuclear Science)NS−21巻 の21ページに記載されているフィルタード バック プロジェクション法(Filtered Back Projection Method)(以下FBP法)などを用いて逆投影することによりγ線対発生密度を求めることが出来る。γ線対発生密度分布は放射線核種の集積位置を示しており、画像化することにより腫瘍等の位置同定が可能となる。
【0004】
近年、PET装置の高性能化に伴い全身のPET検査が実施されるようになってきた。全身のPET検査を実施するためには、検査の高速化が必須であり、
PET装置は二次元PET(2D−PETという)装置から三次元PET(3D−PETという)装置へと進化してきた。複数の放射線検出器が一列で被検体の周りを取り囲むように環状に配置された構成を、1放射線検出器リングと称する。2D−PET装置は、1放射線検出器が作る2次元断面でPET検査を行う。3D−PET装置は、体軸方向に複数の放射線検出器リングを並べて円筒形状の放射線検出器群を形成し、この円筒形状の放射線検出器群により囲まれる被検体の体積分を一度に検査する。
【0005】
2D−PET装置は、1放射線検出器リングの両側で被検体側にコリメータ
(放射線遮へい材で構成)を備えている。このコリメータが散乱事象及び偶発事象におけるγ線の計測を防止しているため、2D−PET装置はノイズの少ない高画質の2次元画像を得ることができる。散乱事象及び偶発事象におけるγ線は、コリメータで遮られる。しかし、2D−PET装置は、被検体を見込む放射線検出器環状列の立体角が小さいため、得られるデータ量が少なく検査時間が長くなる。これに対して、3D−PET装置は、大きな体積を高速で測定できる反面、γ線の散乱事象及び偶発事象のγ線を検出するため、得られる断層像の画質が2D−PET装置よりも低下する。偶発事象は体内の異なる放射線発生源から放射されたγ線が偶発的に放射線検出器に計測される事象であり、散乱事象は体内で散乱されたγ線が計測される事象であって、どちらの事象の角度情報が不正確となる。
【0006】
3D−PETは、全身のPET検査を実施し腫瘍等の病巣の候補を発見することはできるが、得られる画像が少し低画質であるため特定部位の診断には熟練が必要である。
【0007】
特開平5−264736号公報の図2に示されたPET装置は、4つの放射線検出器リングを体軸方向に並べた円筒形状の放射線検出器群を有する。このPET装置は、リング状のスライスコリメータを各放射線検出器リングの間に配置し、両端部の放射線検出器リングのそれぞれの外側にもリング状のスライスコリメータを配置する。この構造では散乱事象におけるγ線をスライスコリメータで排除できる。しかしながら、体軸方向の分解能が低減するため、特開平5−264736号公報の図1において、2つの放射線検出器リング毎に1つのスライスコリメータを配置することを提案し、画像分解能を低下させずに感度向上を図っている。
【0008】
特表平11−508048号公報に示されたPET装置は、規則的な二十面対を被検体の周りに形成し、各面内に放射線検出器及びコリメータを設置している。各コリメータは被検体の一点に焦点を結ぶように形成されており、本焦点からの情報のみを選択的に検出することにより、画像分解能の向上を図っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5−264736号公報では、一見すると画像分解能を低下させずに感度向上(測定の高速化)を図っているが、リング状のスライスコリメータを使用する従来技術(2D−PET)に対して1.5倍の感度向上しか図れない。
【0010】
また、特表平11−508048号公報では、コリメータの焦点部分が画像の各ピクセルに対応する微小領域であり画像分解能及び画質を向上することができるので、小動物のような微小領域を長時間かけて測定する場合には有効である。しかし、本構成では、被検体の体積が制限されるために、人体の検査には適応できない。また、人体の検査時に要求される高速性も実現できない。
【0011】
本発明の目的は、検査範囲がより広い3D−PET検査、及び被検体の局所部位を対象とする局所−PET検査の両方を実施できる放射線検査装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の特徴は、撮像装置が、筒状のガントリーと、出し入れ可能に前記ガントリー内に設置されて複数のコリメータ部材で構成される環状のコリメータとを有し、前記ガントリーは、前記被検体からの放射線を検出する複数の放射線検出器が環状に配置された環状放射線検出器配列を、軸方向に複数列有し、前記コリメータは、共通の焦点領域を臨む複数の放射線通過通路を形成する前記複数のコリメータ部材を軸方向に配置して構成されることにある。
【0013】
複数のコリメータ部材によって共通の焦点領域を臨む複数の放射線通過通路が形成されたコリメータをガントリー内に出し入れできるように設けているので、1つの放射線検査装置で、被検体のより広い範囲を対象とする3D−PET検査、及び3D−PET検査の対象範囲よりも狭い被検体の局所部位を対象とする局所−PET検査の両方を実施することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
前述の偶発事象及び散乱事象について、図5を用いてもう少し説明する。γ線対の検出事象(C)は、γ線対の真の放射方向を示す真事象(T)、及び偽事象である偶発事象(R)及び散乱事象(S)が含まれる場合がある((1)式参照)。偶発事象(R)及び散乱事象(S)とも、偽事象つまりノイズ成分である。こ
C=T+R+S …(1)
れらの事象におけるγ線の計測値をいかに低く抑えるかが断層像の画質向上のポイントとなる。また、真事象の計測レートを高めることによって、計測時間の短縮(高速計測)が可能となる。つまり、PET装置の高性能化(高速,高精細検査)に重要なことは、偽事象を抑え真事象のみを高レートで計測することである。以上の事項も考慮した本発明の実施例を以下に説明する。
【0015】
(実施例1)
本発明の好適な一実施例である実施例1の放射線検査装置を、図1及び図2に基づいて説明する。本実施例の放射線検査装置は、PET装置である。
【0016】
本実施例の放射線検査装置1は、撮像装置2及び被検体保持装置10を備える。被検体保持装置10は、支持部材11,支持部材11の上端部に設けられたベッド12、及びベッド12をベッド12の長手方向に移動させる駆動装置(図示せず)を有する。被検体保持装置10は、ベッド12を高さ方向、及び上記長手方向と直交する水平方向にもベッド12を移動させる他の駆動装置(図示せず)を有する。
【0017】
撮像装置2は、ケーシング(図示せず)、環状の放射線検出器保持部4の内側に設置された複数の放射線検出器3、及びコリメータ集合体5を備える。放射線検出器保持部4は、床面に設置される支持部材8上に設置される。放射線検出器3,放射線検出器保持部4及び支持部材8は、ケーシング内に設けられる。支持部材8は支持部材11と連結している。複数の放射線検出器3及び放射線検出器保持部4は、ケーシングに設けられた孔部9を取り囲んでいる。これらの放射線検出器3は放射線検出器保持部4の内側に設置される。孔部9を取り囲む環状の放射線検出器配列の一列を放射線検出器リングという。放射線検出器3は、孔部9の軸方向にも複数設置される。すなわち、複数の放射線検出器リングが孔部9の軸方向に配置される。放射線検出器3は、5mm立方体の半導体放射線検出器を使用し、半導体素子部をガドミウムテルル(CdTe)で構成する。複数の放射線検出器3が円筒状に配置された部分をガントリーと称する。コリメータ集合体5は、筒状体である円筒部7、及び複数の環状コリメータ6を有する。円筒部7は、γ線に対して透明な(ほぼ無反応で通過する)プラスチック部材(アクリル,塩化ビニール等)で構成され、ガントリー13の内側に位置する。環状コリメータ6としては、図2に示すように6個の環状コリメータ6A〜6Fが用いられる。コリメータ部材である環状コリメータ6A〜6Fはネジ等によって円筒部7の内面に取り付けられる。環状コリメータ6A〜6Fはタングステン製でありγ線を遮へいする。コリメータ集合体5は、環状コリメータ6A〜6Fのうち隣接する2つの環状コリメータを用いて形成された5つの環状γ線通過通路37A〜37Eを有する。環状γ線通過通路37Cはコリメータ集合体5の中心軸と直交する方向を向いている。焦点領域30が環状γ線通過通路37Cの延長線とコリメータ集合体5の中心軸と交差する位置に形成される。他の環状γ線通過通路37A,37B,37D及び37Eは、焦点領域30を向くように傾斜して形成される。コリメータ集合体5がガントリー13内に挿入された状態において、環状コリメータ6A〜6Fはガントリー13を軸方向において5つの放射線検出領域14〜18に分割する。放射線検出領域14〜18は、それぞれ環状の独立した領域である。1つの放射線検出領域内には、ガントリー13の軸方向において複数の放射線検出器3(例えば4個)を含んでいる。
【0018】
環状コリメータ6A〜6Fは共通の焦点領域30を形成する。このため、環状コリメータ6A,6B,6E及び6Fは、ガントリー13の軸方向における両面を、ガントリー13の中心軸(孔部9の中心軸)に対して傾斜させている。環状コリメータ6C及び環状コリメータ6Dは、互いに対向する垂直面23,24を有し、ガントリー13の中心軸に対して傾斜する傾斜面22,25を有する。環状コリメータ6Aの傾斜面19及び環状コリメータ6Eの傾斜面27の傾斜角は等しく、傾斜面19は傾斜面27の延長線上に位置する。環状コリメータ6Bの傾斜面20及び環状コリメータ6Fの傾斜面28の傾斜角は等しく、傾斜面20は傾斜面28の延長線上に位置する。環状コリメータ6Bの傾斜面21及び環状コリメータ6Dの傾斜面25の傾斜角は等しく、傾斜面21は傾斜面25の延長線上に位置する。環状コリメータ6Cの傾斜面22及び環状コリメータ6Eの傾斜面26の傾斜角は等しく、傾斜面22は傾斜面26の延長線上に位置する。焦点領域30は、被検体の局所的な検査領域であり、例えば直径15cmの球状の領域である。
【0019】
コリメータ集合体5は、孔部9、すなわちガントリー13内に出し入れ可能な構造になっている。円筒部7の外面には、軸方向の全長にわたって、ラック(図示せず)が、コリメータ集合体5のガントリー13内への出し入れに支障をきたさないように設けられる。ラックは図1に示すピニオン29と噛合っている。ピニオン29は減速機構(図示せず)を介してモーター(図示せず)に連結される。減速機構及びモーターは放射線検出器保持部4に取り付けられている。ピニオン29,減速機構及びモーターはコリメータ集合体移動装置を構成する。コリメータ集合体5がガントリー13から引き抜かれたときに落下しないようにコリメータ集合体5を支えるために、放射線検出器保持部4のピニオン29側の端部が、コリメータ支持装置であるコリメータ支持部44となる。コリメータ支持部44はガントリー13の端面よりもピニオン29側に張り出しており、コリメータ支持部44の内径はガントリー13の内径に等しくなっている。
【0020】
各放射線検出器3は配線31によって対応するγ線信号弁別装置32に接続される。γ線弁別装置32は放射線検出器3毎に設けられる。全てのγ線弁別装置32は同時計数装置33に接続される。同時計数装置33はコンピュータ34に接続される。記憶装置35及び表示装置36がコンピュータ34に接続される。コンピュータ34は断層像作成装置である。
【0021】
本実施例に用いられるコリメータ集合体は、発明者らの以下に示す同時計数レートの検討結果から考案されたものである。この検討結果を以下に説明する。簡単のために、放射線源(体内でPET用薬剤が集まった部分)はガントリーの中心軸上に位置する点源であると仮定する。また、その放射線源の放射能をN(Bq)とする。放射線源から放射されたγ線は一部が体内で吸収されるために、実際に放射線検出器に到達するγ線の量が減少する。このγ線の体内通過率をAで表す。また、γ線は、4πラジアンの立体角で照射されるが、ガントリーの立体角(Ω)の範囲内で放射線検出器によって計測される。その範囲内で計測されるγ線の割合を、幾何学的入射率B(=Ω/(4π))で表す。また、放射線検出器に入射したγ線も、その放射線検出器の特性により決まる感度Sの割合だけ検出されるとする。以上のパラメータを使用すると、放射線検出器が計測するシングルのγ線の計数レートα(Count/sec以下CPS)は(2)で与えられる。
【0022】
α=2NABS …(2)
(2)式の係数の「2」はN個のポジトロンの放出に対して2N個のγ線(シングル)が放出されることを意味する。また、γ線対の同時係数レート(CPS)は(3)式で与えられる。
【0023】
C=NB(AS)2 …(3)
(3)式において、幾何学的入射率Bはγ線対により決まるので1乗で寄与し、体内通過率Aと放射線検出器感度Sはシングルγ線(2本分)の寄与があるので2乗で積算されている。
【0024】
同時計数時間窓長h(s)内にシングルγ線の計数される率Rはランダム事象がPoisson分布をすることより(4)式で与えられる。
【0025】
R=1−exp(−αh) …(4)
γ線対の検出と同時に(同時計数時間窓長h内)にシングルγ線が検出(1個以上)された場合、このγ線対は無効となる。従って、ランダム事象を考慮した同時計数レートC(Count/Sec(以下CPS))は、この無効成分を(3)式より差し引いたものであり、(5)式で与えられる。
【0026】
【数5】
Figure 0003778094
(5)式より、放射能レベルN(ポジトロンの発生レート)に対する同時計数レートCの関係を図3に示す。図3に記載されたNmax及びCmaxはそれぞれ(6)式及び(7)式で与えられる。
【0027】
【数6】
Figure 0003778094
【数7】
Figure 0003778094
ガントリーのサイズによって影響を受ける状態量は幾何学的入射率Bのみであり、変数A,S,hはその影響を受けない。例えば、2D−PETの幾何学的入射率B0に対して3D−PETの幾何学的入射率Bが5倍(B=5B0)になったとすると、(6)式より3D−PETのNmaxは5分の1となる。しかし(7)式よりCmaxの値は変化しない。つまり、ガントリーサイズを大きくしても、同時計数レートの最大値を与える放射能レベルは小さくなるがその最大値は変化しない。検査時間は同時計数レートに反比例するので、上記考察によって、ただ単にガントリーを大きくしても計測時間を短縮することが出来ないことが分かる。放射能レベルを増加していくと同時計数レートが飽和し最大値を持つ原因は、(5)式の考察よりシングルのγ線が増加し数え落としが発生するためである。
【0028】
そこで、図4の特性に基づいて、本実施例のコリメータ集合体5の効果を考察する。コリメータ集合体がガントリー13内に挿入されることによって、γ線の検出が可能な5つの放射線検出領域14〜18が形成される。各放射線検出領域はガントリー13全体の立体角の6分の1である。図4に記載された3D−PETの曲線は、コリメータ集合体5をガントリー13内に挿入していない状態でのガントリー13全体における同時計数レートを示している。2D−PETの曲線は、コリメータ集合体5をガントリー13内に挿入した状態での一つの放射線検出領域(放射線検出領域16)の同時計数レートを示している。上記考察より両曲線の同時計数レートの最大値及び最大値を与える放射能レベルは、それぞれ式
(8)式及び(9)式で与えられる。
【0029】
Cmax(3D)=Cmax(2D) …(8)
Nmax(2D)=6×Nmax(3D) …(9)
また、コリメータ集合体5挿入時の焦点領域30の検査は、コリメータ集合体5によって分割された各放射線検出領域による検査を足し合わせた効果がある。同時計数レートの最大レートCmax(colli)及びその時の放射能レベル
Nmax(colli)はそれぞれ(10)式及び(11)式で与えられる。
【0030】
Cmax(colli)=5×Cmax(3D) …(10)
Nmax(colli)=6×Nmax(3D) …(11)
つまり、コリメータ集合体5を用いる局所−PET検査では、コリメータ集合体5を用いない3D−PET検査時と比較して6倍の放射能レベルで5倍の同時計数レートを得ることができる。しかし、実際には被曝の観点から6倍の放射能を体内に投入することはできない場合がある。例えば、2倍(2×Nmax(3D))のPET用薬剤を投入可能とすれば、本実施例は、同時計数レートが約2.5 倍(2.5×Cmax(3D))となってγ線の計測時間を2.5 分の1に短縮することができる。つまり、本実施例は、シングルγ線をコリメータ集合体5で除去することにより、3D−PETにおいて飽和していた同時計数レートを増大させている。
【0031】
次に、本実施例の放射線検査装置1を用いたPET検査及び放射線検出器3で検出した計測値の処理について説明する。PET検査を実施する前に、まず、被検体である被検者19の体内に、予め注射などの方法により所定量のPET用薬剤を投与する。更に、被検者19は、投与されたPET用薬剤が撮像可能な状態に拡散するまで待機する。PET用薬剤が体内に十分拡散した後、被検者19は、ベッド12上に横たわった状態で孔部9内に挿入される。被検者19に対して3D−PET検査が必要な場合(例えば全身検査が必要な場合)には、上記のようにベッド12を孔部9に挿入する前に、コリメータ集合体5をガントリー13内から引き抜いておく。すなわち、モーターを駆動させてピニオン29を回転させてコリメータ集合体5を、ガントリー13の軸方向において、被検体保持装置10とは反対側に移動させ、ガントリー13から引き抜く。ガントリー13から引き抜かれたコリメータ集合体5の端部はコリメータ支持部44によって支えられる。必要に応じて、棒状の2本のサポート部材を、引き抜かれたコリメータ集合体5の下側を支持できるように、放射線検出器保持部4(または支持部材8)に取り付けてもよい。
【0032】
3D−PET検査においては、PET用薬剤に起因して体内から放出されるγ線対は、ほぼ180°反対方向に位置する2つの放射線検出器3で計測される。これらのγ線のエネルギーは、511keVである。被検者19の全身に対する3D−PET検査は、ベッド12をその長手方向に移動させて行われる。それぞれの放射線検出器3から出力された、γ線の計測信号は、該当するγ線信号弁別装置32にそれぞれ入力される。入力されるその計測信号は、最初に急激に立下って、その後、指数関数的に0に近づくような形になっている。信号弁別装置32は、上記の波形を有する計測信号を、まず、時間的なガウス分布の波形に整形する。そして、信号弁別装置32は、エネルギー設定値(例えば450keV)以上のエネルギーを有する計測信号を弁別し、弁別された計測信号に基づいてパルス信号を発生させる。
【0033】
同時計数装置33は、各信号弁別装置32から出力されたパルス信号を入力しこれらのパルス信号を用いて同時計数を行い、γ線の計測信号に対する計数値を求める。同時計数とは、時間的に同時という意味ではなく、PET用薬剤から放出される1つの陽子が消滅する際に体内の同じ位置で発生するγ線対のそれぞれのγ線の計測信号に基づいて得られたパルス信号を、計数することを意味する。PET用薬剤から放出される1つの陽子が消滅する際に体内の同じ位置で発生したγ線対のそれぞれのパルス信号の同時計数は、同時計数時間窓長を例えば10nsとして、その時間内に2つのγ線弁別装置32のそれぞれからパルス信号が同時計数装置33に入力されたとき、同時計数装置33がそれらのパルス信号を有効であると判断してそれらのパルス信号を計数することである。更に、同時計数装置26は、前述の一対のγ線に対する一対のパルス信号によりその一対のγ線を検出した2つの検出点(ほぼ180°(厳密には180°±0.6°)方向が異なっている一対の放射線検出器3の位置)をγ線検出の位置情報としてデータ化する。
【0034】
同時計数は、上記のように同時計数装置26内でリアルタイムで実施してもよいが、同時計数装置26ではなくコンピュータ34で行ってもよい。この場合は、全ての計測されたγ線に対してその計測した位置情報と時間情報をともに計測してコンピュータ34に転送し、データのリスト(位置情報及び時間情報を検出した順番で保存しておく)を作成しておき、γ線の計測後または計測中にコンピュータ34においてデータ処理により同時計数を実施する。この場合、同時計数とはデータリストの時間情報から同時計数時間窓長内のγ線対を有効とし、そのγ線対を計数する方法である。
【0035】
計数値、及びγ線検出の位置情報はコンピュータ34に入力されて、記憶装置35に記憶される。コンピュータ34は計数値及びγ線検出の位置情報を用いて被検者19に対する断層像を作成する。この断層像の作成は、具体的には以下のように行われる。すなわち、計数値及びγ線検出の位置情報を用いて、該当する2つの放射線検出器3(180°反対方向に位置する)間における体内でのγ線対発生数を求める。このγ線対発生数を用いて、FBP法(または逐次近似法)の手法により逆投影して各ボクセルのγ線対発生密度を求める。この各ボクセルのγ線対発生密度により断層像を作成する。断層像は、被検者19の全身に対して多数作成される。医者は表示装置36に表示されたそれらの断層像を見て癌の有無を診断する。
【0036】
癌、例えば肝臓癌が発見された場合には、肝臓付近に対して局所−PET検査による精密検査を実施する。局所−PET検査の対象範囲は3D−PET検査の検査対象範囲よりも狭い局所部位である。局所−PET検査を行う前に、モーターを駆動してピニオン29を回転させてコリメータ集合体5を、ガントリー13の軸方向に移動させて図1の状態になるまでガントリー13内に挿入する。被検者9が横たわっているベッド12が長手方向,高さ方向、及び長手方向と直交する水平方向に移動されて、患部、すなわち癌が存在する肝臓が焦点領域30に位置合せされる。被検者19にはPET用薬剤が投与されている。
【0037】
焦点領域30内に位置する肝臓癌においてPET用薬剤に起因して発生した多数のγ線は、肝臓癌を中心に四方八方に放出され、放射線検出領域14〜18内の各放射線検出器3によって計測される。例えば、γ線対の一方のγ線が放射線検出領域14内の1つの放射線検出器3で検出された場合には、他方のγ線は、その放射線検出器3とほぼ180°反対方向に位置する、放射線検出領域18内の他の1つの放射線検出器3で検出される。同様に、γ線対の一方のγ線が放射線検出領域15内の1つの放射線検出器3で検出された場合には、他方のγ線は、その放射線検出器3とほぼ180°反対方向に位置する、放射線検出領域17内の他の1つの放射線検出器3で検出される。γ線対の一方のγ線が放射線検出領域16内の1つの放射線検出器3で検出された場合には、他方のγ線は、その放射線検出器3とほぼ180°反対方向に位置する、同じ放射線検出領域16内の他の1つの放射線検出器3で検出される。
【0038】
放射線検出領域14〜18内の各放射線検出器3から出力された各計測信号は該当する各γ線弁別装置32に入力され、それぞれのγ線弁別装置32は前述のようにパルス信号を出力する。同時計数装置33は、それらのγ線弁別装置32から出力された全パルス信号を入力してパルス信号の計数値、及びγ線検出の位置情報を出力する。コンピュータ34は、局所−PET検査における計数値、及びγ線検出の位置情報に基づいて被検者19の肝臓付近での断層像を作成する。これらの断層像は表示装置36に表示される。
【0039】
本実施例は以下に示すそれぞれの効果を得ることができる。
(1)複数の環状コリメータ(コリメータ集合体5の軸方向に配置)によって焦点領域30を臨む複数の環状γ線通過通路が形成されたコリメータ集合体5をガントリー13内に出し入れできるように設けているので、1つの放射線検査装置で、被検者19の広い範囲(2D−PET検査の検査範囲よりも広い範囲)を対象とする3D−PET検査、及び被検者19の局所部位を対象とする局所−PET検査の両方を実施することができる。
(2)3D−PET検査及び局所−PET検査において、ガントリー13を兼用できるので、放射線検査装置がコンパクトになる。
(3)複数の環状コリメータによって焦点領域30を臨む複数の環状γ線通過通路が形成されたコリメータ集合体5を使用しているため、偽事象であるγ線を除去でき、被検者19の局所部位の高精細PET検査が可能となる。
(4)上記のコリメータ集合体5を使用しているため、偽事象うち、特に偶発事象を除去でき、同時計数レートの飽和を抑制できる。このため、同時計数レートを高めた計測が可能となり、PET検査時間の著しい短縮、すなわちPET検査の高速化が図れる。
(5)1つの環状γ線通過通路に複数の放射線検出器3が面しているため、ガントリー13の軸方向における空間分解能をほどんど劣化させることなく感度を向上させることができる。
(6)ベッド12を3方向に移動可能とする被検体保持装置10を備えているので、局所−PET検査で被検者19の特定局所部位(例えば患部)を簡単にコリメータ集合体5の焦点領域30に合せることができる。このため、その特定局所部位に対する高精細検査が可能になる。
(7)被検者19の特定局所部位が焦点領域30よりも大きい場合でも、ベッド12を3方向に移動可能とする被検体保持装置10を備えているため、その特定局所領域に対する局所−PET検査が実施できる。すなわち、特定局所部位を分轄し、その分轄した部位を時間的にずらして被検体保持装置10によって焦点領域30内に移動させることにより、特定局所部位全体に対する局所−PET検査を実施できる。
(8)コリメータ集合体5を上記のようにガントリー13内に出し入れできる構造とすることによって、コリメータ集合体5をガントリー13から取り出した状態での3D−PET検査により、詳細に検査したい特定局所部位の位置を確認することができる。このため、2D−PET検査の位置を簡単に設定できる。
(9)放射線検出器3として半導体放射線検出器を用いているため、ガントリー13を小型化できる。このため、撮像装置2もコンパクトになる。
【0040】
本実施例は、被検者19の移動を被検体保持装置10を用いて行っている。被検者19を移動させず、ガントリー13を軸方向,高さ方向、及び軸方向と直交する水平方向に移動できるように構成してもよい。放射線検出器としては、半導体放射線検出器以外に、例えばBGOなどのシンチレータ及び光電子増倍管を使用してもよい。
【0041】
(実施例2)
以下、本発明の他の実施例である実施例2の放射線検査装置、図6及び図7に基づいて説明する。本実施例の放射線検査装置も、PET検査に用いられる。
【0042】
本実施例の放射線検査装置1Aは、放射線検出器3を孔部9を取り囲むように六角形状に配置し、コリメータ集合体5Aを複数の可動コリメータにて構成している点で放射線検査装置1と異なっている。放射線検査装置1Aの他の構成は放射線検査装置1と同じである。
【0043】
本実施例における撮像装置2Aに設けられた放射線検出器リングは、孔部9を取り囲むように六角形をしている。このような複数の放射線検出器リングを孔部9の軸方向に配置して構成されるガントリー13Aは、縦断面が六角形の筒である。ガントリー13A内に出し入れ可能なコリメータ集合体5Aも、縦断面が六角形をしている。コリメータ集合体5Aは、筒状体である六角形筒部38、及びコリメータ部材である可動コリメータ部40を有する。複数の可動コリメータ部40が所定の間隔で配置される。1つの可動コリメータ部40は、6つのコリメータ板39A1 〜39A6 、これらに対向する6つのコリメータ板39B1 〜39B6(コリメータ板39B1 のみ図示)及び支持板41を有し、別の見方をすれば、6つの可動コリメータ部エレメント42を有する。コリメータ板39A1〜39A6 ,コリメータ板39B1〜39B6及び支持板41は、γ線遮へい材であるタングステンで作られている。
【0044】
可動コリメータ部エレメント42の一部の詳細構造を図7を用いて説明する。対向しているコリメータ板39A1 とコリメータ板39B1 とは、支持板41に回転可能に設置された回転軸42A及び42Bに取り付けられる。支持板41は、六角形筒部38の内面で1つの面に設置される。回転軸42Aに設けられた歯車(図示せず)が支持板41に設置されるモーター43Aに連結された他の歯車と噛合っている。回転軸42Bに設けられた歯車(図示せず)が支持板41に設置されるモーター43Bに連結された他の歯車と噛合っている。モーター43Aの駆動によって回転軸42Aが回転するため、コリメータ板39A1 の六角形筒部38に対する傾き角が変えられる。コリメータ板39B1 の六角形筒部38に対する傾き角も、モーター43Bの駆動による回転軸42Bの回転によって変更できる。コリメータ板39A2〜39A6をそれぞれ有する他の可動コリメータ部エレメント42も同じ構成を有する。1つの可動コリメータ部40は、それらの可動コリメータ部エレメント42が一列になって孔部9を取り囲むように六角形筒部38の内面に設置されて構成される。1つの可動コリメータ部40内で隣接する可動コリメータ部エレメント42のコリメータ板(例えば、コリメータ板39A1 とコリメータ板39A2 )は、カメラの絞りのように、互いに一部が重なり合っている。このような構造によって、コリメータ板39A1 及び39A2 の傾き角を変更する場合における、コリメータ板39A1とコリメータ板39A2との干渉を避けることができる。
【0045】
コリメータ集合体5Aは、ピニオン29の回転によって実施例1と同様にガントリー13A内に出し入れできる。コリメータ集合体5Aに設けられた6つの可動コリメータ部40によって、実施例1と同様に、ガントリー13Aに分轄された放射線検出領域14〜18が形成される。
【0046】
放射線検査装置1Aも、コリメータ集合体5Aをガントリー13Aから引き抜いた状態で3D−PET検査を実施し、そのPET検査で特定された局所部位(癌の患部)を対象にコリメータ集合体5Aをガントリー13A内に挿入された状態で局所−PET検査を実施する。局所−PET検査は、各可動コリメータ部40において各可動コリメータ部エレメント42のコリメータ板(例えば、コリメータ板39A1 及びコリメータ板39A2 )の傾き角をモーターの駆動によって調節し、各可動コリメータ部40の相互間に形成される各γ線通過通路が臨む焦点領域30を患部の位置に合せるように変更してから行われる。
【0047】
本実施例においても、実施例1で生じる(1)〜(6),(8)及び(9)の効果を得ることができる。更に、以下に示す(10)〜(12)の効果も得ることができる。
(10)可動コリメータ部40の設置によって焦点領域30の位置が変えられるので、被検者19を移動する必要がなくなる。従って、被検者19の移動による被検体保持装置10に対する相対的な被検者19の位置ずれが予防でき、局所検査部位の高速,高精細PET検査が可能となる。
(11)可動コリメータ部40により患部の大きさに合せて焦点領域30の大きさが変えられるので、実施例1の(6)で述べたような被検体保持装置10による被検者19の移動が不要になり、大きな患部でも一回の2D−PET検査で検査できる。このため、2D−PET検査に要する時間を更に低減できる。
(12)一つの可動コリメータ部40を対向して配置されたコリメータ板及び支持板41で中空状に構成しているため、コリメータ集合体5Aの重量を低減できる。このため、コリメータ集合体移動装置のモーターの容量を低減できる。
【0048】
(実施例3)
本発明の他の実施例である実施例3の放射線検査装置を説明する。本実施例の放射線検査装置は、ハード構成が放射線検査装置1と同じである。本実施例の放射線検査装置は、断層像作成装置であるコンピュータ34におけるデータ処理が、放射線検査装置1のコンピュータ34で行われるデータ処理と異なっている。本実施例のコンピュータ34で行われるデータ処理のうち、放射線検査装置1のコンピュータ34で行われるデータ処理と異なる部分について説明する。
【0049】
本実施例におけるコンピュータ34(実施例1におけるコンピュータ34と区別するために、以下、本コンピュータ34という)は、3D−PET検査における各放射線検出器3の計測値をもとにして得られたパルス信号の計数値、及びγ線検出の位置情報を用いて、被検者19の断層像を作成する。本コンピュータ34は、その断層像作成に際して求めらた各ボクセルのγ線対発生密度(第1γ線対発生密度という)を記憶装置35に記憶する。本コンピュータ34は、実施例1で説明した局所−PET検査で得られた各放射線検出器3の計測値をもとにして得られたパルス信号の計数値、及びγ線検出の位置情報を用いて、被検者19の特定の局所部位が含まれる部分の断層像(局所部位断層像という)を作成する。
【0050】
本実施例における局所部位断層像の作成について、具体的に説明する。本コンピュータ34は、局所部位断層像の作成過程において、番号iの放射線検出器3とこれと180°反対方向に位置する番号jの放射線検出器3で同時計数された計数値に基づいて算出されたγ線対発生数の補正係数Kijを、記憶装置35に記憶している第1γ線対発生密度を用いて、(12)式により算出する。αijは、図8に示すように、番号iの放射線検出器3と番号jの放射線検出器3を結んで
ij=αij/βij …(12)
形成される被検者19の体内の体積Vのうちで焦点領域30の体積内でのγ線発生数である。βijはその体積V内でのγ線対発生数である。それらのγ線対発生数は、第1γ線対発生密度の分布に基づいて算出される。本コンピュータ34は、局所−PET検査で得られた各放射線検出器3の計測値をもとにして得られたパルス信号の計数値、及びγ線検出の位置情報を用いて、γ線対を検出した一対の放射線検出器3間における体内のγ線対発生数を求める。本コンピュータ34は、求めたγ線対発生数を補正係数Kijで補正して補正γ線対発生数を算出する。本コンピュータ34は、補正γ線対発生数を用いて、FBP法(または逐次近似法)の手法により逆投影して各ボクセルのγ線対発生密度を求める。この各ボクセルのγ線対発生密度により局所部位断層像を作成する。局所部位断層像は表示装置36に表示される。
【0051】
本実施例は、実施例1で生じる(1)〜(9)の効果を得ることができる。更に、本実施例は、補正係数Kijを用いて算出された補正γ線対発生数を用いて局所部位断層像を作成するため、局所部位断層像の画質を向上できる。これは、補正係数Kijの利用によって焦点領域30以外の体内から放出されて放射線検出器3で検出されてしまうγ線(ノイズ)を除去されるからである。
【0052】
補正係数Kijを用いて補正された補正γ線対発生数を用いて、各ボクセルのγ線対発生密度を求め、局所部位断層像を作成することは、実施例2に対しても適用できる。
【0053】
(実施例4)
本発明の他の実施例である実施例4の放射線検査装置1Bを、図9を用いて説明する。放射線検査装置1Bは、撮像装置2B以外の構成が放射線検査装置1と同じである。撮像装置2Bは、コリメータ集合体移動装置を設けていない点で撮像装置2と異なっている。撮像装置2Bの他の構成は撮像装置2と同じである。放射線検査装置1Bは、放射線検査装置1と同様に、3D−PET検査及び局所−PET検査を実施できる。放射線検査装置1Bにおけるコリメータ集合体5のガントリー13内への出し入れは、コリメータ集合体移動装置ではなく、コリメータ着脱装置45を用いて行う。
【0054】
コリメータ着脱装置45は、床面上を移動できる本体46、本体46に設けられたガイド溝49内に挿入されたアーム47、及びコリメータ保持部48を備える。アーム47は、ガイド溝49内を上下動する。アーム47の上端部に設けられたコリメータ保持部48は、コリメータ集合体5の6つの環状コリメータ6A〜6Fを受ける6つの切り欠き部50を有する。
【0055】
3D−PET検査のために、コリメータ集合体5をガントリー13から引き出す作業について説明する。本体46を床面上で移動させてコリメータ保持部48を、孔部9内に挿入する。各切り欠き部50と環状コリメータ6A〜6Fとの位置合せをした後、本体46にもうけられたアーム駆動装置(図示せず)を駆動させてアーム47をガイド溝49に沿って上昇させ、各切り欠き部50の底面と環状コリメータ6A〜6Fに接触させる。接触した時点で、アーム47の上昇を停止し、本体46をガントリー13から離れる方向に移動させる。本体46の移動に伴って、コリメータ集合体5の環状コリメータ6A〜6Fがコリメータ保持部48に引っかかり、コリメータ集合体5がガントリー13より引き出される。引き出されたコリメータ集合体5は、コリメータ保持部48に保持される。3D−PET検査終了後で2D−PET検査前にコリメータ集合体5をガントリー13内に挿入するときは、コリメータ着脱装置45を用いて上記の操作と逆の操作を行えばよい。
【0056】
本実施例は実施例1で得られる効果を得ることができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、1つの放射線検査装置を用いて、被検体の広い範囲を対象とする3D−PET検査、及び被検体の局所部位を対象とする局所−PET検査の両方を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である放射線検査装置の構成図である。
【図2】図1のガントリー部の詳細縦断面図である。
【図3】放射能レベルと同時計数レートとの関係を示す特性図である。
【図4】2D−PET検査,3D−PET検査及び図1の実施例における放射能レベルと同時計数レートとの関係を示す特性図である。
【図5】PET検査において放射線検出器が検出するγ線の各事象を示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施例である放射線検査装置の構成図である。
【図7】図6のVII−VII断面図である。
【図8】本発明の他の実施例である放射線検査装置における補正方法の概念を示す説明図である。
【図9】本発明の他の実施例である放射線検査装置の構成図である。
【符号の説明】
1,1A,1B…放射線検査装置、2,2A,2B…撮像装置、3…放射線検出器、4…放射線検出器保持部、5,5A…コリメータ集合体、6,6A,6B,6C,6D,6E,6F…環状コリメータ、7…円筒部、10…被検体保持装置、12…ベッド、13…ガントリー、14,15,16,17,18…放射線検出領域、29…ピニオン、30…焦点領域、32…γ線弁別装置、33…同時計数装置、34…コンピュータ、37A,37B,37C,37D,37E…環状γ線通過通路、38…六角筒部、40…可動コリメータ部、42…可動コリメータ部エレメント、44…コリメータ支持部、45…コリメータ着脱装置。

Claims (17)

  1. 被検体を保持する被検体保持装置と、撮像装置とを備え、
    前記撮像装置は、筒状のガントリーと、出し入れ可能に前記ガントリー内に設置されて複数のコリメータ部材で構成される環状のコリメータとを有し、
    前記ガントリーは、前記被検体からの放射線を検出する複数の放射線検出器が環状に配置された環状放射線検出器配列を、軸方向に複数列有し、
    前記コリメータは、共通の焦点領域を臨む複数の放射線通過通路を形成する前記複数のコリメータ部材を軸方向に配置して構成され
    隣接するそれぞれの前記コリメータ部材間に形成される各々の前記放射線通過通路が、複数の前記環状放射線検出器配列に面していることを特徴とする放射線検査装置。
  2. 前記放射線検査装置は、PET装置であることを特徴とする請求項1に記載の放射線検査装置。
  3. 前記撮像装置は、前記ガントリー内への前記コリメータの出し入れを行うコリメータ移動装置を備えた請求項1または請求項2に記載の放射線検査装置。
  4. 前記撮像装置は、前記ガントリーから引き抜かれた前記コリメータを支持するコリメータ支持装置を、前記コリメータの引き抜き側に設けている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検査装置。
  5. 前記コリメータ部材は環状のコリメータ部材である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放射線検査装置。
  6. 前記放射線検出器は半導体放射線検出器である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の放射線検査装置。
  7. 前記放射線検出器の出力信号に基づいて前記被検体の断層像を作成する断層像作成装置を備えた請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の放射線検査装置。
  8. 断層像作成装置は、前記コリメータが前記ガントリーから引き抜かれているときに前記放射線検出器の前記出力信号に基づいて得られたγ線対発生情報を用いて、前記コリメータが前記ガントリー内に挿入されているときに前記放射線検出器の出力信号に基づいて得られたγ線対発生情報を補正し、補正された前記γ線対発生情報を用いて前記断層像を作成する請求項7記載の放射線検査装置。
  9. 被検体を保持する被検体保持装置と、撮像装置とを備え、
    前記撮像装置は、筒状のガントリーと、出し入れ可能に前記ガントリー内に設置されて複数のコリメータ部材で構成される環状のコリメータとを有し、
    前記ガントリーは、前記被検体からの放射線を検出する複数の放射線検出器が環状に配置された環状放射線検出器配列を、軸方向に複数列有し、
    前記コリメータは、共通の焦点領域を臨む複数の放射線通過通路を形成する前記複数のコリメータ部材を軸方向に配置して構成され、
    前記コリメータ部材は前記ガントリーに対する傾き角を変更できる可動コリメータであることを特徴とする放射線検査装置。
  10. 隣接するそれぞれの前記コリメータ部材間に形成される各々の前記放射線通過通路が、複数の前記環状放射線検出器配列に面している請求項9記載の放射線検査装置。
  11. 前記撮像装置は、前記ガントリー内への前記コリメータの出し入れを行うコリメータ移動装置を備えた請求項9または10に記載の放射線検査装置。
  12. 前記撮像装置は、前記ガントリーから引き抜かれた前記コリメータを支持するコリメータ支持装置を、前記コリメータの引き抜き側に設けている請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の放射線検査装置。
  13. 前記放射線検出器は半導体放射線検出器である請求項9ないし請求項12のいずれかに記載の放射線検査装置。
  14. 前記ガントリーは多角形であり、前記コリメータ部材は、前記多角形状に配置された複数のコリメータ要素を有し、
    前記コリメータ要素は、支持部材と、前記支持部材に回転可能に取り付けられて前記傾き角を変えられる一対のコリメータ板と、それぞれの前記コリメータ板を回転させる駆動装置とを備えている請求項9に記載の放射線検査装置。
  15. 前記放射線検出器の出力信号に基づいて前記被検体の断層像を作成する断層像作成装置を備えた請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の放射線検査装置。
  16. 前記コリメータは、筒状体、及びこの筒状体の内面に設置された前記複数のコリメータ部材を有する請求項1または請求項9に記載の放射線検査装置。
  17. 前記筒状体はプラスチックで構成される請求項16に記載の放射線検査装置。
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