JP3777565B2 - フォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォークリフトトラックにおいて、フォークを昇降動するリフトシリンダやマストを傾動するチルトシリンダ、その他のアタッチメント用のシリンダ等の荷役用シリンダを制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フォークリフトトラックは車体に作業機を装着しており、この作業機としては、車体の前部にチルトシリンダにより前後傾動自在となるマストを備え、このマストに沿ってリフトシリンダ及びチェーンにより昇降動自在となるリフトブラケットを備え、このリフトブラケットにフォークを備えた構成となる。
【0003】
このようになる作業機を備えたフォークリフトトラックにおいて、例えば、荷役用シリンダであるリフトシリンダの制御装置としては、図1に示すように、油圧タンク1の作動油を吐出する油圧ポンプ2と、この油圧ポンプ2を駆動するポンプモータ3を備え、油圧ポンプ2より吐出する作動油の流量を規制して所望の流量をリフトシリンダ4に供給する比例電磁弁5を備えている。
【0004】
この比例電磁弁5は、入力する指令出力値に基づいてソレノイドAとソレノイドBによりスプールを動かして、上昇位置U、停止位置N、下降位置Dにおいて移動するようになり、作動油の流れる方向とバルブ開度変更による作動油の流量を変更して、リフトシリンダ4における上昇、停止、下降の作動を行うようになる。
【0005】
そして、ソレノイドAとソレノイドBは車体に搭載したコントローラ6に接続しており、このコントローラ6より指令出力値を受けて制御されている。このコントローラ6においては車体の運転室に設置した操作レバーであるリフトレバー7に接続し、このリフトレバー7のレバー操作量を入力し、この入力したレバー操作量に基づいた指令出力値を算出し、算出した指令出力値をソレノイドAあるいはソレノイドBに出力して比例電磁弁5の作動を制御する。
【0006】
このコントローラ6におけるレバー操作量に基づいた指令出力値の算出は、まず、当該コントローラにおいて、図2に示すレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データである演算式を予め記憶しておく。そして、入力したリフトレバー7のレバー操作量に基づいて記憶した演算式により指令出力値を算出するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来のフォークリフトトラックの荷役用シリンダであるリフトシリンダの制御装置にあっては、リフトレバーを操作すると、まず、コントローラにおいて演算式により指令出力値が算出され、これが比例電磁弁に出力され、そして、パイロットの比例減圧弁が作動してからメインのスプールが作動し、所望のバルブ開度となり、作動油がリフトシリンダに流れるようになるといった過程となり、操作レバーであるリフトレバーを操作してから実際にリフトシリンダが作動してフォークが動くまでに時間がかかる、すなわち、応答性が悪いといった問題があった。
【0008】
このため、例えば、パレット内にフォークを挿入する時、瞬間的にリフトレバーを急操作して、フォークを短時間に短距離移動させる微動作業を行う場合、図3に示すように、リフトレバーを瞬間的に急操作しても、応答性の悪さにより所望のバルブ開度となる前にリフトレバーを戻してしまうため、リフトシリンダにおける作動量が小さい、あるいは作動しないといった問題が発生していた。
【0009】
そこで、図4に示すように、コントローラにおいて記憶されたレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データである演算式を高めに設定して、これにより算出される指令出力値を高くすることで、図5に示すように、前述の微動作業を行う場合のリフトシリンダにおける作動を確実に行えるようにすることもできるが、このようなコントローラにおける高めの演算式の設定であると、今度は通常の操作による作業を行う場合、リフトレバーを操作するとすぐに指令出力値が最大値となる、すなわちレバー操作量の変化領域が小さくなり、これにより速度コントロールできる操作範囲が非常に狭くなるおそれがあり、僅かな操作でリフトシリンダが急作動がおこるといった問題が発生し、操作性が非常に悪いといったことがあった。
本発明は、これらの問題を解消することを、その課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第一の発明は、作業油を吐出する油圧ポンプと、この油圧ポンプを駆動するポンプモータとを備え、油圧ポンプより吐出する作動油の流量を規制して所望の流量を作業機における荷役用シリンダに供給する比例電磁弁を備えると共に、操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出し、算出した指令出力値を比例電磁弁に出力して比例電磁弁の作動を制御するコントローラを備えたフォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置において、前記コントローラでは、レバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データを変化率を異ならせて複数記憶し、この記憶した変化率の異なった複数の関係データの中から、操作レバーのレバー操作速度に応じて所望の関係データを選択し、この選択した関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出すると共に、記憶した変化率の異なった複数の関係データの中から、基準関係データを1つ決めて、操作レバーを操作してその操作量の変化量が所定値以下となった場合は、所定時間経過後に、前記基準関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出する
ようにする。
【0011】
第二の発明は、作業油を吐出する油圧ポンプと、この油圧ポンプを駆動するポンプモータとを備え、油圧ポンプより吐出する作動油の流量を規制して所望の流量を作業機における荷役用シリンダに供給する比例電磁弁5を備えると共に、操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出し、算出した指令出力値を比例電磁弁に出力して比例電磁弁の作動を制御するコントローラを備えたフォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置において、前記コントローラでは、レバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データを変化率を異ならせて複数記憶し、この記憶した変化率の異なった複数の関係データの中から、操作レバーのレバー操作速度に応じて所望の関係データを選択し、この選択した関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出すると共に、操作レバーのレバー操作量が増加する加速時は、記憶した変化率の異なった複数の関係データの中から、操作レバーのレバー操作速度に応じて所望の関係データを選択し、この選択した関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出し、かつ、操作レバーのレバー操作量が減少する減速時は、加速時から減速時へ切り替わった時点でのデータと予め決定してある初期指令出力値とを結んで、減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データを設定し、この設定した減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出するようにする。
【0012】
第三の発明は、第一または第二の発明において、作業機における負荷を検出する負荷検出手段を備えると共に、前記コントローラでは、レバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データを、負荷検出手段で検出した負荷に応じて可変するようにする。
【0013】
【作 用】
第一の発明によれば、操作レバーのレバー操作速度に応じて比例電磁弁に出力する指令出力値を変更することで、操作レバーを急操作または普通操作またはゆっくり操作した際、それぞれの操作において適格な制御を行うことができると共に、操作レバーを操作してその操作量の変化量が所定値以下となった場合は、所定時間経過後に、基準関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出することで、操作レバーのレバー操作速度に関係なく、基準関係データを用いた指令出力値が比例電磁弁に出力されるので、操作レバーを保持状態とした時、常に同じフィーリングで荷役用シリンダを作動することができる。
【0014】
第二の発明によれば、操作レバーのレバー操作量が減少する減速時において、加速時から減速時へ切り替わった時点でのデータと予め決定してある初期指令出力値とを結んで、 減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データを設定し、この設定した減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データによって指令出力値を算出するようにしたことで、操作レバーの減速時にレバー操作量に応じてすぐに指令出力値を追従させることができ、操作レバーにおける減速時のフィーリングを良好にすることができる。
【0015】
第三の発明によれば、負荷検出手段で検出した負荷に応じて可変するようにしたことで、負荷に影響されるのをなくすことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
まず、本発明によるフォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置の基本的な実施形態について説明する。
車体の前部にチルトシリンダにより前後傾動自在となるマストを備え、このマストに沿ってリフトシリンダ及びチェーンにより昇降動自在となるリフトブラケットを備え、このリフトブラケットにフォークを備えた構成となる作業機を装着したフォークリフトトラックにおいて、荷役用シリンダの一種であるリフトシリンダの制御装置としては、従来と同様、図1に示すように、油圧タンク1の作動油を吐出する油圧ポンプ2と、この油圧ポンプ2を駆動するポンプモータ3を備え、油圧ポンプ2より吐出する作動油の流量を規制して所望の流量をリフトシリンダ4に供給する比例電磁弁5を備えている。
【0017】
この比例電磁弁5は、入力する電流出力値に基づいてソレノイドAとソレノイドBによりスプールを動かして、リフトシリンダ4のボトム4a側に作動油を供給するようになる上昇位置U、作動油の流れを遮断するようになる停止位置N、リフトシリンダ4のボトム4a側より作動油を油圧タンク1に流すようになる下降位置Dにおいて移動するようになり、作動油の流れる方向とバルブ開度変更による作動油の流量を変更して、リフトシリンダ4における上昇、停止、下降の作動を行うようになる。
【0018】
そして、ソレノイドAとソレノイドBは車体に搭載したコントローラ6に接続しており、このコントローラ6より電流出力値を受けて制御されている。このコントローラ6においては車体の運転室に設置した操作レバーであるリフトレバー7に装着しているレバー検出手段であるポテンショメータ8に接続し、このポテンショメータ8よりリフトレバー7の操作量を入力し、この入力したレバー操作量に基づいた指令出力値を算出し、算出した指令出力値をレノイドAあるいはソレノイドBに出力して比例電磁弁5の作動を制御する。
【0019】
このコントローラ6におけるレバー操作量に基づいた指令出力値の算出は、当該コントローラ6において、予め記憶するレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データである演算式を、変化率を異ならせた複数記憶しておく。この記憶した複数の演算式としては、例えば、図6(a)に示すレバー操作量の変化に対して指令出力値の変化を大きくした変化率が大きくなる急パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式と、図6(b)に示すレバー操作量の変化に対して指令出力値の変化を普通にした変化率が普通となる中パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式と、図6(c)に示すレバー操作量の変化に対して指令出力値の変化を小さくした変化率が小さくなる緩パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式の3つのパターンの演算式である。そして、操作レバーであるリフトレバー7が操作され、リフトレバー7の中立域(ニュートラ)から制御域に移行した時点で、ポテンショメータ8より入力したデータからリフトレバー7のレバー操作速度を検出し、このレバー操作速度を3つのレベル(急,中,緩)で判別する。そして、レバー操作速度が急と判別すると急パターンの演算式を、レバー操作速度が中と判別すると中パターンの演算式を、レバー操作速度が緩と判別すると緩パターンの演算式をそれぞれ選択するようにして、リフトレバー7のレバー操作速度に応じて、急・中・緩パターンの演算式の中から所望の演算式を選択する。そして、選択した演算式を用いて入力したリフトレバー7のレバー操作量に基づいた指令出力値を算出するようになる。
【0020】
このようになることで、例えば、パレット内にフォークを挿入する時、瞬間的にリフトレバー7を急操作して、フォークを短時間に短距離移動させる微動作業を行う場合、コントローラ6においては、リフトレバー7を瞬間的に急操作すると、レバー操作速度が急と判別し、急パターンの演算式を用いて高めの指令出力値を算出し、この指令出力値により比例電磁弁5が作動するようになり、高めの指令出力値により比例電磁弁5において短時間で所望のバルブ開度とすることができ、リフトシリンダ4を確実に作動して、微動作業を行うことができる。
【0021】
また、リフトレバー7をゆっくり操作して、フォークを徐々に移動させる作業を行う場合、コントローラ6においては、リフトレバー7をゆっくり操作すると、レバー操作速度が緩と判別し、緩パターンの演算式を用いて低めの指令出力値を算出し、この指令出力値により比例電磁弁5が作動するようになり、低めの指令出力値によりリフトレバー7を操作する際のレバー操作量の変化に対して指令出力値がすぐに最大値となるのをなくし、すなわちレバー操作量の変化領域を大きくして、速度コントロールできる操作範囲を広げることができる。
【0022】
このようにリフトレバーのレバー操作速度に応じて比例電磁弁5へ出力する指令出力値を変更することで、リフトレバー7を瞬間的に急操作するとフォークを短時間に短距離移動させる微動作業を行うことができ、また、リフトレバー7を普通操作すると通常の作業を行うことができ、さらに、リフトレバー7をゆっくり操作すると速度をコントロール6しながらの作業を行うことができ、各種の作業を極めて容易に行うことができるようになる。
【0023】
また、前述の基本的な実施形態における別の例として、コントローラ6におけるレバー操作量に基づいた指令出力値の算出を別の手段で行うようにする。これは、コントローラ6において、変化率を異ならせたレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式を複数記憶する代わりに、図7に示す基本となるレバー操作量と指令出力値との関係を示す基本演算式を記憶し、さらに、図8に示すように、レバー操作速度と単位時間当たりの指令出力値増加量との関係を示す演算式を記憶する。なお、図7に示すように、基本となるレバー操作量と指令出力値との関係を示す基本演算式は、レバー操作速度が緩い状態のときに、レバー操作量が最大(100%)で指令出力値が最大値となるように設定している。そして、リフトレバー7が操作され、リフトレバー7の中立域(ニュートラ)から制御域に移行した時点で、ポテンショメータ8より入力したデータからリフトレバー7のレバー操作速度を検出し、このレバー操作速度よりレバー操作速度と単位時間当たりの指令出力値増加量との関係を示す演算式を用いて指令出力値増加量を算出する。そして、この算出した指令出力値増加量を、レバー操作量と指令出力値との関係を示す基本演算式により算出した指令出力値に加算することで、最終の指令出力値を算出する。そして、これを制御周期毎に繰り返して行うようにする。
これによっても、リフトレバー7のレバー操作速度に応じて作業を行うことができ、各種の作業を極めて容易に行うことができる。
【0024】
なお、前述のコントローラ6において、レバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データとして、演算式を記憶しているが、これに限定されるもにではなく、マップ等を用いてもよい。
【0025】
次に、本発明によるフォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置の実施の形態として、コントローラ6において、前述した基本的な実施形態と同様、レバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データである演算式にあって、急パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式と、中パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式と、緩パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式の3つのパターンの演算式を記憶しておき、この中から、リフトレバー7のレバー操作速度に応じて所望の演算式を選択し、この選択した演算式を用いて入力したリフトレバー7のレバー操作量に基づいた指令出力値を算出するようになる。
【0026】
一方、コントローラ6において、前記の急パターンと中パターンと緩パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す3つのパターンの演算式の中から、変化率が一番小さくなる演算式である緩パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式を基準関係データである基準演算式とし、これを予め設定する。そして、リフトレバー7を操作してその操作量の変化量が所定値以下、すなわちリフトレバー7を保持状態(リフトレバー7をある位置で保持する状態)とした場合は、リフトレバー7を操作してから所定時間T経過後に、前記の急パターンと中パターンと緩パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す3つのパターンの演算式の中から、リフトレバー7のレバー操作速度に応じて所望の演算式を選択するのではなく、予め設定したレバー操作量と指令出力値との関係を示す基準演算式を用いて入力したリフトレバー7のレバー操作量に基づいた指令出力値を算出するようになる。
【0027】
なお、この基準演算式を用いるための所定時間Tとしては、リフトレバー7を操作した際、比例電磁弁5における作動油の流量がリフトレバー7のレバー操作量に応じた流量の例えば95%程度となる時間とし、これを実験等により予め求めておく。
また、前記基準演算式を用いて入力したリフトレバー7のレバー操作量に基づいた指令出力値に移行する際は、指令出力値をフィルタ処理あるいは一定量加減算を行なうことで、ショック等の発生のないスムーズな移行を行なうようにしている。
【0028】
このようにリフトレバー7を保持状態とした時は、リフトレバー7を操作してから所定時間T経過後に、基準演算式によってリフトレバー7のレバー操作量に基づいた指令出力値を算出することで、リフトレバー7のレバー操作速度に関係なく、基準演算式を用いた指令出力値が比例電磁弁5に出力されるので、常に同じフィーリングでリフトシリンダ4を作動することができる。
【0029】
次に、本発明によるフォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置の別の実施の形態について説明する。
リフトシリンダの制御装置としては、前述した基本的な実施形態及び実施の形態と同様となるが、コントローラ6におけるレバー操作量に基づいた指令出力値の算出において、以下の点で異なる。
【0030】
これは、コントローラ6において、リフトレバー7を作動してレバー操作量を増加する加速時は、前述した基本的な実施形態及び実施の形態と同様、レバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データである演算式にあって、急パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式と、中パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式と、緩パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式の3つのパターンの演算式を記憶しておき、この中から、リフトレバー7のレバー操作速度に応じて所望の演算式を選択し、この選択した演算式を用いて入力したリフトレバー7のレバー操作量に基づいた指令出力値を算出するようになる。
【0031】
一方、リフトレバー7を戻してレバー操作量を減少する減速時は、加速時における指令出力値の算出方法と異なり、図9に示すように、リフトレバー7が加速時から減速時へ切り替わった時点でのレバー操作量と指令出力値とをデータ(A点)として記憶し、この記憶したレバー操作量と指令出力値と、予め決定してある初期指令出力値(S点)とを結んで、減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データである演算式を設定し、この設定した減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式を用いて入力したリフトレバー7のレバー操作量に基づいた指令出力値を算出するようになる。
【0032】
このようになることで、前述の基本的な実施形態及び実施の形態と同様にリフトレバー7のレバー操作速度に応じて比例電磁弁5へ出力する指令出力値を変更することで、リフトレバー7を瞬間的に急操作するとフォークを短時間に短距離移動させる微動作業を行うことができ、また、リフトレバー7を普通操作すると通常の作業を行うことができ、さらに、リフトレバー7をゆっくり操作すると速度をコントロールしながらの作業を行うことができ、各種の作業を極めて容易に行うことができるようになる。
【0033】
しかも、リフトレバー7を戻す操作の減速時においては、指令出力値の算出方法をリフトレバー7を作動する操作の加速時と異ならして、リフトレバー7が加速時から減速時へ切り替わった時点でのデータと予め決定してある初期指令出力値とを結んで、減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データである演算式を設定し、この設定した減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式によって指令出力値を算出することで、例えば、リフトレバー7を急操作したままにして指令出力値が最大値となった状態で、リフトレバー7を戻した時(減速時)、戻し操作の開始当初に指令出力値が最大値のままになるのを防いで、リフトレバー7のレバー操作量に応じてすぐに指令出力値が追従する(下がる)ようになり、リフトレバー7における減速時のフィーリングを良好なものにすることができる。
【0034】
次に、本発明によるフォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置のさらに別の実施の形態について説明する。
リフトシリンダの制御装置としては、前述した基本的な実施形態及び及び各実施の形態と略同様となるが、以下の点で若干異なる。つまり、図10に示すように、前述した基本的な実施形態及び各実施の形態のおいて、さらに、リフトシリンダ4の負荷すなわち作業機における負荷を検出する負荷検出手段をリフトシリンダ4の近傍に備える。この負荷検出手段としては圧力センサー9であり、この圧力センサー9によりリフトシリンダ4にかかる圧力を検出することで負荷を検出する。そして、この圧力センサー9もコントローラ6に接続し、検出した負荷をコントローラ6に入力する。
【0035】
そして、コントローラ6においては、予め記憶する変化率を異ならせた複数のレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データである演算式を、図11(a)あるいは図11(b)あるいは図11(c)のように、検出した負荷に応じて変更するようにする。これにより、リフトレバー7を操作する際に負荷に影響されることなく常に最適なフィーリングでの操作を行うことができる。
【0036】
なお、前述した基本的な実施形態における別の例として説明した指令出力値増加量を基本演算式により算出した指令出力値に加算して最終の指令出力値を算出する方式のものにおいては、レバー操作速度と単位時間当たりの指令出力値増加量との関係を示す演算式を、図12のように、検出した負荷に応じて変更するようにすることで、やはり、負荷に影響されることなく常に最適なフィーリングでの操作を行うことができる。
【0037】
以上のように、前述した基本的な実施形態及び各実施の形態においては、リフトシリンダの制御装置として説明しているが、これに限定されるものではなく、マストを傾動するチルトシリンダやその他のアタッチメント用のシリンダ等の制御装置としても良い。
【0038】
【発明の効果】
操作レバーのレバー操作速度に応じて比例電磁弁に出力する指令出力値を変更することで、操作レバーを急操作または普通操作またはゆっくり操作した際、それぞれの操作において適格な制御を行うことができ、各種の作業を極めて容易に行うことができ、操作性の向上をはかる。
【0039】
しかも、操作レバーを操作してその操作量の変化量が所定値以下となった場合は、所定時間経過後に、基準関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出することで、操作レバーのレバー操作速度に関係なく、基準関係データを用いた指令出力値が比例電磁弁に出力されるので、操作レバーを保持状態とした時、常に同じフィーリングで荷役用シリンダを作動することができる。
【0040】
また、操作レバーのレバー操作量が減少する減速時において、加速時から減速時へ切り替わった時点でのデータと予め決定してある初期指令出力値とを結んで、減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データを設定し、この設定した減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データによって指令出力値を算出するようにしたことで、操作レバーの減速時にレバー操作量に応じてすぐに指令出力値を追従させることができ、操作レバーにおける減速時のフィーリングを良好にする。
【0041】
また、負荷検出手段で検出した負荷に応じて可変するようにしたことで、負荷に影響されるのをなくすことができ、これにより、常に同じフィーリングでの操作を行うことで、操作性の向上をはかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置における構成図である。
【図2】 従来のコントローラにおいて記憶したレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式の図表である。
【図3】 従来の作動状態を示す図表である。
【図4】 従来のコントローラにおいて記憶したレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データの図表である。
【図5】 従来の作動状態を示す図表である。
【図6】 (a)コントローラにおいて記憶した急パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式の図表である。
(b)コントローラにおいて記憶した中パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式の図表である。
(c)コントローラにおいて記憶した緩パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式の図表である。
【図7】 コントローラにおいて記憶したレバー操作量と指令出力値との関係を示す基本演算式の図表である。
【図8】 コントローラにおいて記憶したレバー操作速度と単位時間当たりの指令出力値増加量との関係を示す演算式の図表である。
【図9】 コントローラにおいて設定された減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式の図表である。
【図10】 フォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置における他の構成図である。
【図11】 (a)コントローラにおいて記憶した急パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式の図表である。
(b)コントローラにおいて記憶した中パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式の図表である。
(c)コントローラにおいて記憶した緩パターンのレバー操作量と指令出力値との関係を示す演算式の図表である。
【図12】 コントローラにおいて記憶したレバー操作速度と単位時間当たりの指令出力値増加量との関係を示す演算式の図表である。
【符号の説明】
1…油圧タンク、2…油圧ポンプ、3…ポンプモータ、4…リフトシリンダ、4a…ボトム、5…比例電磁弁、6…コントローラ、7…リフトレバー、8…ポテンショメータ、9…圧力センサー。
Claims (3)
- 作業油を吐出する油圧ポンプ2と、この油圧ポンプ2を駆動するポンプモータ3とを備え、油圧ポンプ2より吐出する作動油の流量を規制して所望の流量を作業機における荷役用シリンダに供給する比例電磁弁5を備えると共に、操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出し、算出した指令出力値を比例電磁弁5に出力して比例電磁弁5の作動を制御するコントローラ6を備えたフォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置において、
前記コントローラ6では、レバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データを変化率を異ならせて複数記憶し、この記憶した変化率の異なった複数の関係データの中から、操作レバーのレバー操作速度に応じて所望の関係データを選択し、この選択した関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出すると共に、記憶した変化率の異なった複数の関係データの中から、基準関係データを1つ決めて、操作レバーを操作してその操作量の変化量が所定値以下となった場合は、所定時間経過後に、前記基準関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出するようにしたことを特徴とするフォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置。 - 作業油を吐出する油圧ポンプ2と、この油圧ポンプ2を駆動するポンプモータ3とを備え、油圧ポンプ2より吐出する作動油の流量を規制して所望の流量を作業機における荷役用シリンダに供給する比例電磁弁5を備えると共に、操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出し、算出した指令出力値を比例電磁弁5に出力して比例電磁弁5の作動を制御するコントローラ6を備えたフォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置において、
前記コントローラ6では、レバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データを変化率を異ならせて複数記憶し、この記憶した変化率の異なった複数の関係データの中から、操作レバーのレバー操作速度に応じて所望の関係データを選択し、この選択した関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出すると共に、操作レバーのレバー操作量が増加する加速時は、記憶した変化率の異なった複数の関係データの中から、操作レバーのレバー操作速度に応じて所望の関係データを選択し、この選択した関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出し、かつ、操作レバーのレバー操作量が減少する減速時は、加速時から減速時へ切り替わった時点でのデータと予め決定してある初期指令出力値とを結んで、減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データを設定し、この設定した減速時のレバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データによって操作レバーのレバー操作量に基づいた指令出力値を算出するようにしたことを特徴とするフォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置。 - 作業機における負荷を検出する負荷検出手段を備えると共に、前記コントローラ6では、レバー操作量と指令出力値との関係を示す関係データを、負荷検出手段で検出した負荷に応じて可変するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のフォークリフトトラックの荷役用シリンダの制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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