JP3777103B2 - 可動物体用損傷検出器の支持治具 - Google Patents

可動物体用損傷検出器の支持治具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗客コンベアのハンドレールなどの可動物体の損傷検出に用いられる損傷検出器を支持するための支持治具に係り、特に、可動物体の上面に押し付けて使用される損傷検出器を、可動物体上に保持する支持治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアには、乗客を乗せて運搬する踏段やパレットなどの踏面部の左右両側に、可動物体であるハンドレールが設けられている。このハンドレールは踏面部と同期して同方向へ移動するので、踏面部上に立っている乗客はハンドレールを手でつかむなどして、移動中にも安定した姿勢を維持することができる。だが、ハンドレールの構成要素である化粧ゴム被膜などは、気温の上昇や経年劣化などの影響で伸長してしまうので、然るべき対策を講じないと、ハンドレールが踏面部と同期して移動しなくなってしまう。そのため、ハンドレールの内部には通常、複数本のスチールコードが埋設されていて、これらスチールコードによってハンドレールの伸長を抑制している。
【0003】
しかしながら、乗客コンベアを長期間運転すると、ハンドレール内のスチールコードも曲げ伸ばしが繰り返されるため金属疲労を生じて損傷し、次第に破断しやすくなる。そこで、乗客コンベアの保守員は定期的に、ハンドレール用の損傷検出器を使用して、スチールコードに破断等の損傷が生じていないかどうかを点検する必要がある。
【0004】
このような点検に使用される損傷検出器は、スチールコードをハンドレールの走行方向に沿って励磁し、スチールコードを通る磁束の変化や、スチールコードの損傷部からの漏洩磁束を、ホール素子や検出コイルなどを用いて検出するというものである。したがって、かかる損傷検出器を使用する際には、その本体ケースを走行中のハンドレールの上面に当接させておかねばならず、それゆえ、保守員がハンドレール上の該本体ケースを手で押さえ付けながら点検作業を行うという手法が従来一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、乗客コンベアの保守員がハンドレール用損傷検出器の本体ケースを手で押さえ付けながら点検作業を行うという手法は、時間の経過に伴って保守員の手が疲労するため、作業中にハンドレール上面への本体ケースの押し付け力が不足したり、押し付け方向に狂いを生じたりしやすかった。その場合、本体ケースがハンドレール上で位置ずれを起こして、スチールコードの損傷部の検出が正確に行えなくなる恐れがあり、ハンドレール上面の隆起部に乗り上げたときなどには本体ケースを誤って落下させてしまう危険性もあった。
【0006】
そこで本発明者らは先に、ハンドレール支持部材である乗客コンベアの欄干のパネルに、ベルトあるいは枠体を吸着させて、このベルトあるいは枠体によってハンドレール用損傷検出器の本体ケースを保持するという技術を開発したが、この技術は吸盤の吸着力を利用しているため、本体ケースを常に安定した姿勢に保持できるだけの信頼性が得にくかった。なお、吸着力を高めるために吸盤の数を増やしたり大きな吸盤を用いると、取扱い性が悪くなってしまうので好ましくない。
【0007】
本発明はこのような従来技術の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、構成が簡素で可動物体上の損傷検出器を常に安定した姿勢に保持することができる、可動物体用損傷検出器の支持治具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明は、可動物体の上面に押し付けて該可動物体内の損傷の検出に用いられる損傷検出器を支持するための治具であって、水平梁部と、この水平梁部の両端から下方へ垂設される一対の垂直脚部とから成り、前記可動物体から離れる方向への折り曲げを可能にする回動部が前記一対の垂直脚部の一方に設けられ、前記可動物体を幅方向に跨いだ状態で設置される門型支持枠と、この門形支持枠の前記一対の垂直脚部の両下端部を前記可動物体の支持部材に固定可能な締結手段と、前記門形支持枠の前記水平梁部に固定された上辺部に一対の斜辺部が回動自在に連結されているとともに、これら斜辺部に下辺部が回動自在に連結されている全体として平行四辺形状のリンク機構と、このリンク機構に取り付けられて前記下辺部を下向きに弾性付勢するためのばね部材とを備え、前記可動物体上に前記損傷検出器を搭載した状態で、この損傷検出器の本体ケース上に突設されている突出部を前記リンク機構の前記下辺部にて保持・固定するようにした。
【0009】
このように構成される支持治具は、締結手段を締結させることにより、可動物体を支持する支持部材に簡単かつ確実に固定することができる。また、可動物体上に搭載した損傷検出器の本体ケースを、リンク機構の下辺部を介してばね部材により上方から弾性付勢することができるので、この弾性付勢力と損傷検出器の自重とにより、本体ケースが可動物体の上面から離れにくくなる。また、可動物体上面の凹凸などによって本体ケースに上下動が生じた際にも、その変位をリンク機構が吸収できるため、上下動した本体ケースが可動物体の上面から離れる可能性も低い。したがって、この支持治具を使用することにより、保守員が手で押さえ付けていなくても、可動物体上の本体ケースの浮きや傾きを防止することが可能となり、本体ケースを常に安定した姿勢で、走行中の可動物体の上面に摺接させておくことができる。
また、一対の垂直脚部の一方を回動部で、可動物体から離れる方向へ折れ曲げたり可動物体に近づく方向へ伸展させたりすることによって、支持治具の取付け・取外し作業を簡単に行うことができる。
【0010】
なお、リンク機構の下辺部に、損傷検出器の突出部を嵌入させて締結可能な保持部材を付設しておけば、支持治具の取付時に、この保持部材を可動物体の長手方向に沿ってスライドさせながら損傷検出器の突出部に位置合わせして、簡単かつ確実に締結することができるので、支持治具と損傷検出器との連結作業が効率よく行える。
【0011】
また、締結結手段、垂直脚部の下端部に固定された水平部材と、この水平部材に螺着せしめたねじ部材と、このねじ部材の先端部に設けられて可動物体の支持部材に圧接される保護部材とを有する構成にしてあれば、支持治具を全体として簡素な構成にすることができ、取付強度も高めやすい。
【0012】
また、回動部に取付けられて一方の垂直脚部が伸展した状態を保持し、回動部から取外されて一方の垂直脚部を折り曲げ可能な状態する規制部材を有するようにすれば、非使用時には規制部材を回動部から取り外して垂直脚部を短くしておけるので、持ち運びに便利な支持部材となって好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の可動物体用損傷検出器の支持治具の第1実施形態と第2実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
1.第1実施形態について説明する。
【0015】
図1は第1実施形態でハンドレール上に損傷検出器を保持している状態を示す側面図、図2は図1に示す第1実施形態の斜視図、図3は図1に示す第1実施形態に備えられる締結手段を示す斜視図、図4は図1に示す第1実施形態に備えられる保持部材を示す斜視図、図5は図1に示す第1実施形態に備えられるリンク機構の動作動作説明図である。
【0016】
第1実施形態は、図1,2において、符号3で総括的に示す支持治具である。この支持治具3は、可動物体であるハンドレール1の上面に押し付けて該ハンドレール1内のスチールコードの損傷検出に用いられる損傷検出器2を支持するためのものである。この支持治具3は、ハンドレール1を幅方向に跨いだ状態で設置される門形支持枠4と、この門形支持枠4の下側両端部をハンドレール1の取付フレームなどからなる支持部材24に固定可能な一対の締結手段5,6と、上辺部18および下辺部19の各両端を斜辺部20,21に回動自在に連結してなる平行四辺形状の一対のリンク機構7,8と、各リンク機構7,8にそれぞれ取り付けられたばね部材22とによって概略構成されている。
【0017】
門形支持枠4はアルミニウム製で、水平梁部4Aと、この水平梁部4Aの両端から下方へ垂設された一対の垂直脚部4B,4Cとからなるコ字形状の剛体であるが、一方の垂直脚部4cは中央部で折り畳める構造にしてある。ただし、使用時には図2に示すように、この垂直脚部4Cの中央部に規制部材9が取り付けてあるので、垂直脚部4Cが使用中に変形する心配はない。
【0018】
締結手段5,6は、それぞれ、門形支持枠4の垂直脚部4B,4Cの下端部に固定されたアルミニウム製の水平部材10,11と、各水平部材10,11に螺着せしめた複数個のねじ部材12,13と、各ねじ部材12,13の先端部に設けられてハンドレール1の支持部材24に圧接されるゴム製の保護部材14,15(図3参照)とからなる。
【0019】
リンク機構7,8は、図2に示すようにディスタントピース16,17を挟んだ状態で配置され、所定の間隙Gを存して対向している。各リンク機構7,8の構成は同等であり、いずれも、門形支持枠4の水平梁部4Aの中央部に固定された上辺部18と、この上辺部18の両端に回動自在に連結された一対の斜辺部20,21と、各斜辺部20,21の下端に回動自在に連結された下辺部19とからなる。そして、図1に示すように、ばね部材22の両端が、上辺部18と、該上辺部18に対し鈍角をなす斜辺部20とに掛け止めされているので、上辺部18と斜辺部20とにより引っ張られたばね部材22の復元力によって、下辺部19には下向きの弾性付勢力が作用することとなる。また、下辺部19には、損傷検出器2の本体ケース2A上に突設されている突出部、すなわち把手部2Bを嵌入させて、この把手部を複数個のねじ部材25で締結可能なアルミニウム製の保持部材23を設けてあり、これにより、保持部材23を介して把手部2Bが下辺部19に保持・固定されるようになっている。なお、保持部材23は図4に示すような箱状に形成されていて、側壁の複数個所に把手部2Bを締結するためのねじ孔23A〜23Dが穿設されている。
【0020】
このように構成した第1実施形態すなわち支持治具3では、ハンドレール1上に損傷検出器2を保持する際に、まず、停止状態のハンドレール1を幅方向に跨ぐように門形支持枠4を配置して、垂直脚部4B,4Cの下端部に固定されている水平部材10,11をハンドレール1の支持部材24(取付フレームなど)の両側面に対向させ、ねじ部材12,13を螺進させることにより、保護部材14,15を支持部材24の両側面に圧着させる。なお、ねじ部材12,13をねじ込むだけなので、支持治具3の取付作業は簡単に行えるが、取付強度は十分である。
【0021】
こうして支持治具3をハンドレール1の支持部材24に取り付けたなら、損傷検出器2をハンドレール1上に搭載して、各リンク機構7,8の下辺部19に固定されている保持部材23を、ハンドレール1の長手方向に沿ってスライドさせながら損傷検出器2の把手部2Bに位置合わせし、ねじ25を用いて保持部材23に把手部2Bを固定する。こうすることで、支持治具3と損傷検出器2との連結作業が効率よく行える。そして、ハンドレール1を図1の矢印F方向へ走行させながら、支持治具3にて保持した損傷検出器2により、ハンドレール1内のスチールコードの損傷を検出することができる。
【0022】
このように第1実施形態すなわち支持治具3では、支持治具2自体をハンドレール1の支持部材24に簡単かつ確実に取り付けることのでき、また、ばね部材22の弾性付勢力と損傷検出器2の自重とにより、本体ケース2Aがハンドレール1の上面から離れにくくしてある。また、ハンドレール1の上面の凹凸などによって本体ケース2Aに上下動が生じた際にも、その変位をリンク機構7,8が吸収し、例えば図5(a)に示す状態から同図(b)に示す状態に移行したとしても、リンク機構7,8の高さ寸法が自動的にHからhに減少して、本体ケース2Aがハンドレール1の上面から離れにくくなっている。したがって、保守員が手で押さえ付けていなくても、ハンドレール1上に搭載した損傷検出器2を常に安定した姿勢で、走行中のハンドレール1の上面に摺接させておくことができ、それゆえハンドレール1内のスチールコードの損傷検出を効率よく正確に行うことができ、保守員の負担も大幅に軽減される。
【0023】
また、第1実施形態すなわち支持治具3では、門形支持枠4の垂直脚部4Cを、規制部材9を取り付けると所定の長さ寸法に保持され、かつ規制部材9を取り外すと長さ寸法が約半分に折り畳める構造にしてあり、非使用時には規制部材9を取り外して垂直脚部4Cを短くしておくことができるので、持ち運びに便利である。
【0024】
なお、垂直脚部4Bを垂直脚部4Cと同様の構造にしておけば、門形支持枠4の高さ寸法を非使用時には約半分に短寸化しておくことができる。また、例えば上下一対の筒状体を一方が他方に対し出没できるように連結して、伸縮可能な垂直脚部4Bあるいは4Cとなし、その連結部に適当な規制部材を取り付けて使用するようにしてもよい。
【0025】
2.第2実施形態について説明する。
【0026】
図6は第2実施形態を示す側面図、図7は図6に示す第2実施形態の正面図、図8は図6に示す第2実施形態に備えられる保持部材の拡大斜視図、図9は図6に示す垂直脚部を折り曲げた状態を示す第2実施形態の側面図である。なお、図6〜8では、上述の図1〜5に示すものと同等のものに同じ符号を付してある。
【0027】
第2実施形態は、図6,7において、符号30で総括的に示す支持治具30である。この支持治具30は、門形支持枠40と、1対の締結手段50,60と、1対のリンク機構7,8と、ばね部材22とを備えている。
【0028】
門形支持枠40は、アルミニウム製であり、水平梁部40Aと1対の垂直脚部40B,40Cとからなる逆U字状の剛体である。
【0029】
垂直脚部40Cは、約半分に折り畳める構造にしてある。この構造は、垂直脚部40Cのほぼ中央部を軸体71で連結してあり、これにより、図9に示すように、締結手段50を含む垂直脚部40Cのほぼ下半分が、軸体71を軸にハンドレール1の長手方向に対する直交面内で回動可能にしてある。
【0030】
また、垂直脚部40Cには、図6,7に示すように、規制部材9を設け、垂直脚部40Cが使用時に折畳まれないようにしてある。この規制部材9は、垂直脚部40Cと相対的にスライド可能に設けられ、支持治具30を使用する際に、折れ曲る部分の下方で突出するストッパー26によって、折れ曲る部分を覆った状態で保持されるようにしてある。
【0031】
締結手段50は、門形支持枠40の垂直脚部40Cの下端部に固定されたアルミニウム製の水平部材51と、この水平部材51に螺着せしめた複数個のねじ部材、例えば2個のねじ部材52と、これらねじ部材52の先端部に設けたゴム製の保護部材54とを備えている。保護部材54は滑り止めの機能も有している。
【0032】
締結手段60は、門形支持枠40の垂直脚部40Bの下端部に固定されたアルミニウム製の第1水平部材61と、この第1水平部材61を貫通する複数個の調整ねじ、例えば2個の調整ねじ62と、これら調整ねじ62の先端に螺着するアルミニウム製の第2水平部材64と、上述のねじ部材52先端部の保護部材54に対向する第2水平部材64上の面に設けたゴム製の保護板65と、調整ねじ62の頭部と第1水平部材61との間、または第1水平部材61と第2水平部材64との間で、調整ねじ62に嵌合する調整部材66とを備えている。
【0033】
また、保持手段230は、第1実施形態の保持手段23と同様に、損傷検出器2の本体ケース2A上に突設されている把手部2Bが嵌入される部材である。この保持部材230は、図8に示すように、厚さ約1.5mmのアルミニウム製の1枚の板を折り曲げて、下面が開口する箱状に形成したものである。また、この保持部材230には、ねじ25が螺着するねじ穴230A,230Bを設けてある。
【0034】
このように構成した第2実施形態すなわち支持治具30では、ハンドレール1上に損傷検出器2を取り付ける際に、まず、停止状態のハンドレール1を幅方向に跨ぐように門形支持枠40を配置する。
【0035】
このとき、締結手段60の保護板65を支持部材24の一方の側面に当接させた状態で、垂直脚部40Cの下半分を回動させ、締結手段50を締結手段60に支持部材24を挟んで対向させる。次に、垂直脚部40Cが折れ曲がらないように規制部材9で規制する。そして、締結手段50のねじ部材52をねじ込んで保護部材54で他方の側面を押圧し、締結手段50,60とで支持部材24を挟圧する。これにより、支持治具30が支持部材24に固定される。
【0036】
こうして支持治具30をハンドレール1の支持部材24に取り付けたなら、損傷検出器2をハンドレール1上に搭載して、各リンク機構7,8の下辺部19に固定されている保持部材23を、ハンドレール1の長手方向に沿ってスライドさせながら損傷検出器2の突出部、例えば把手部2Bに位置合わせし、ねじ25を用いて保持部材23を把手部2Bに固定する。こうすることで、支持治具30と損傷検出器2との連結作業が効率よく行える。そして、ハンドレール1を走行させながら、支持治具30にて保持した損傷検出器2により、ハンドレール1内のスチールコードの損傷を検出することができる。
【0037】
このように第2実施形態すなわち支持治具30では、第1実施形態と同様に、支持治具30自体をハンドレール1の支持部材24に簡単かつ確実に取り付けることのでき、また、ばね部材22の弾性付勢力と損傷検出器2の自重とにより、本体ケース2Aがハンドレール1の上面から離れにくくしてある。また、ハンドレール1の上面の凹凸などによって本体ケース2Aに上下動が生じた際にも、その変位をリンク機構7,8が吸収し、本体ケース2Aがハンドレール1の上面から離れにくくなっている。したがって、保守員が手で押さえ付けていなくても、ハンドレール1上に搭載した損傷検出器2を常に安定した姿勢で、走行中のハンドレール1の上面に摺接させておくことができ、それゆえハンドレール1内のスチールコードの損傷検出を効率よく正確に行うことができ、保守員の負担も大幅に軽減される。
【0038】
また、第2実施形態すなわち支持治具30では、第1実施形態と同様に、門形支持枠40の垂直脚部40Cを、規制部材9を取り付けると所定の長さ寸法に保持され、かつ規制部材9をスライドさせると長さ寸法が約半分に折り畳める構造にしてあり、非使用時には規制部材9を取り外して垂直脚部40Cを短くしておくことができるので、持ち運びに便利である。
【0039】
また、第2実施形態すなわち支持治具30では、第1実施形態とは異なり、調整部材66を調整ねじ62の頭部と第1水平部材61との間で調整ねじ62に嵌合させて、保護部材54と保護板65の間隔寸法L(図6参照)を大きくすることができ、また、調整部材66を第1水平部材61と第2水平部材64との間で調整ねじ62に嵌合させて、保護部材54と保護板65の間隔寸法L(図6参照)を小さくすることができる。これにより、支持部材24の厚さに応じた支持治具30の取付作業が簡単である。
【0040】
また、第2実施形態すなわち支持治具30では、垂直脚部40Cの約下半分を、特に、ハンドレール1の長手方向に対する直交面内で回動可能にしてある。これにより、締結手段60の保護板65を支持部材24の一方の側面に当接させた状態で、締結手段50を簡単に他方の面に配置することができ、したがって、支持治具30の取付作業が簡単である。また、規制部材9を折れ曲がる部分よりも上方へずらして垂直脚部40Cの約下半分を回動させれば、締結手段50,60による支持部材24の挟圧を簡単に解除でき、したがって、支持治具30の取外作業も簡単である。
【0041】
第2実施形態すなわち支持治具30では、保持部材230を、厚さ約1.5mmのアルミニウム製の1枚の板を折り曲げて、下面が開口する箱状に形成するので、製作が簡単である。
【0042】
なお、垂直脚部40Bを垂直脚部40Cと同様の構造にしておけば、門形支持枠40の高さ寸法を非使用時には約半分に折り畳むことができる。
【0043】
また、第1,第2実施形態では、ハンドレール1内のスチールコードの損傷検出器2を支持する例を挙げたが、本発明はこれに限るものでない。すなわち、上部に把手部2Bなどの突出部が設けられ、支持部材24のように固定された支持部材上を移動する可動物体の上面に押し付られる損傷検出器であれば、どのようなものでもよい。
【0044】
【発明の効果】
本発明は以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0045】
門形支持枠の一対の垂直脚部の両下端部を締結手段により可動物体を支持する支持部材に固定し、門形支持枠の水平梁部に上辺部が固定された平行四辺形状のリンク機構の下辺部に対して、ばね部材が下向きの弾性付勢力を付与する構成とし、可動物体上に搭載した損傷検出器の把手部を前記下辺部にて保持・固定するようにした支持治具なので、可動物体の支持部材に簡単かつ確実に固定できるのみならず、簡素な構成でありながら、損傷検出器の本体ケースを可動物体の上面から離れにくくして、保守員が手で押さえ付けていなくても本体ケースの浮きや傾きが防止できるようになっている。その結果、損傷検出器の本体ケースを常に安定した姿勢で、走行中の可動物体の上面に摺接させておくことができて、可動物体内の損傷検出を効率よく正確に行うことができ、保守員の負担も大幅に軽減される。
また、一対の垂直脚部の一方を回動部で、可動物体から離れる方向へ折れ曲げたり可動物体に近づく方向へ伸展させたりすることによって、支持治具の取付け・取外し作業を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可動物体用損傷検出器の支持治具の第1実施形態でハンドレール上に損傷検出器を保持している状態を示す側面図である。
【図2】図1に示す第1実施形態の斜視図である。
【図3】図1に示す第1実施形態に備えられる締結手段を示す斜視図である。
【図4】図1に示す第1実施形態に備えられる保持部材を示す斜視図である。
【図5】図1に示す第1実施形態に備えられるリンク機構の動作動作説明図である。
【図6】本発明の可動物体用損傷検出器の支持治具の第2実施形態を示す側面図である。
【図7】図6に示す第2実施形態の正面図である。
【図8】図6に示す第2実施形態に備えられる保持部材の拡大斜視図である。
【図9】図6に示す垂直脚部を折り曲げた状態を示す第2実施形態の側面図である。
【符号の説明】
1 ハンドレール(可動物体)
2 損傷検出器
2A 本体ケース
2B 把手部(突出部)
3 支持治具
4 門形支持枠
4A 水平梁部
4B,4C 垂直脚部
5,6 締結手段
7,8 リンク機構
9 規制部材
10,11 水平部材
12,13 ねじ部材
14,15 保護部材
18 上辺部
19 下辺部
20,21 斜辺部
22 ばね部材
23 保持部材
24 支持部材
30 支持治具
40 門形支持枠
40A 水平梁部
40B,40C 垂直脚部
50 締結手段
51 水平部材
52 ねじ部材
54 保護部材
60 締結手段
61 第1水平部材
62 調整ねじ
64 第2水平部材
65 保護板(保護部材)
66 ディスタントピース
230 保持部材

Claims (4)

  1. 可動物体の上面に押し付けて該可動物体内の損傷の検出に用いられる損傷検出器を支持するための治具であって、
    水平梁部と、この水平梁部の両端から下方へ垂設される一対の垂直脚部とから成り、前記可動物体から離れる方向への折り曲げを可能にする回動部が前記一対の垂直脚部の一方に設けられ、前記可動物体を幅方向に跨いだ状態で設置される門型支持枠と、
    この門形支持枠の前記一対の垂直脚部の両下端部を前記可動物体の支持部材に固定可能な締結手段と、
    前記門形支持枠の前記水平梁部に固定された上辺部に一対の斜辺部が回動自在に連結されているとともに、これら斜辺部に下辺部が回動自在に連結されている全体として平行四辺形状のリンク機構と、
    このリンク機構に取り付けられて前記下辺部を下向きに弾性付勢するためのばね部材とを備え、
    前記可動物体上に前記損傷検出器を搭載した状態で、この損傷検出器の本体ケース上に突設されている突出部を前記リンク機構の前記下辺部にて保持・固定するようにしたことを特徴とする可動物体用損傷検出器の支持治具。
  2. 請求項1の記載において、前記リンク機構の前記下辺部に、前記損傷検出器の前記突出部を嵌入させて締結可能な保持部材を付設したことを特徴とする可動物体用損傷検出器の支持治具。
  3. 請求項1記載において、前記締結手段が、前記垂直脚部の下端部に固定された水平部材と、この水平部材に螺着せしめたねじ部材と、このねじ部材の先端部に設けられて前記可動物体の支持部材に圧接される保護部材とを有することを特徴とする可動物体用損傷検出器の支持治具。
  4. 請求項記載において、前記回動部に取付けられて前記一方の垂直脚部が伸展した状態を保持し、前記回動部から取外されて前記一方の垂直脚部を折り曲げ可能な状態する規制部材を有することを特徴とする可動物体用損傷検出器の支持治具。
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