JP3776627B2 - 印字装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印字装置に関し、特に、預金通帳等の記録媒体に対して印字する印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、預金通帳等の記録媒体に印字する印字装置として、ワイヤドットとインクリボンとを用いる印字ヘッドを備えたものが知られている。このような印字装置では、印字中の記録媒体の浮き上がりにより、インクリボンと記録媒体とが擦れ合って記録媒体にインクが付着するという問題があった。
【0003】
上記問題を解消するための印字装置が特開平1−301347号公報に記載されている。この印字装置は、媒体搬送路の上下に夫々配置されたカードホルダとプラテンとで記録媒体を挟み込むことによって記録媒体の浮き上がりを押さえる構成を採用することで、記録媒体の印字面とインクリボンとの間に所定の印字ギャップを形成し、記録媒体とインクリボンとの接触を回避する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に記載の印字装置では、綴じ部の前半側と後半側とで厚さが異なる預金通帳を記録媒体とする場合には、厚さの変化に対処することができず、インクリボンと記録媒体との接触が回避できなかった。このような問題は、インクジェット式印字装置においても同様であり、印字ヘッドが記録媒体に接触してインク汚れを生じていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑み、厚さが綴じ部の前半側と後半側とで異なる預金通帳等の記録媒体に対しても、常に適正な印字ギャップを確保しつつ印字することができ、高品位な印字結果が得られる印字装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の印字装置は、印字位置に搬送される記録媒体に印字する印字装置において、所定の基準面に対して第1の所定距離を維持しつつ往復移動する印字ヘッドと、前記基準面に対して前記第1の所定距離よりも短い第2の所定距離を維持しつつ前記印字ヘッドの近傍で該印字ヘッドと一体的に往復移動する媒体押さえ部材と、前記基準面を挟んで前記媒体押さえ部材に対向し且つ記録媒体の搬送方向の前方及び後方に夫々位置する第1及び第2のプラテン部材と、前記第1及び第2のプラテン部材の前記媒体押さえ部材に対する各突出量を制御するプラテン制御手段とを備え、前記媒体押さえ部材は、前記印字ヘッドの移動方向両側に所定高さの複数の突起が全周にわたって形成された一対の円筒ローラを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の印字装置では、預金通帳のような記録媒体に印字する際に、印字ヘッドとの対向位置に綴じ部が到達したとき、第1及び第2のプラテン部材の突出量を個別に変化させて、前半頁と後半頁とを媒体押さえ部材に対して同等の状態で押しつけ、印字面を均一に保持することができる。これにより、記録媒体は、前半頁から後半頁にわたるどの箇所においても印字ギャップが適正に確保されるので、インク汚れが確実に回避され、高品位な印字結果が得られる。
【0008】
また、前記媒体押さえ部材は、所定高さの複数の突起が全周にわたって形成されたローラを有するので、これにより、印字密度が比較的低い預金通帳への印字を例えばインクジェット方式で行う際に、ローラが、預金通帳の印字面を所定高さの複数の突起で押さえつけるので、印字面にインク汚れが付着する不具合を回避し、高品位な印字結果を得ることができる。
【0009】
また、前記プラテン制御手段が、前記印字位置の手前で記録媒体の印字面の高さを規制する規制ローラと、該規制ローラに対向し記録媒体の厚さ変化に従って移動する厚さ検知ローラとを備えることが好ましい。この場合、記録媒体の印字位置への進入に先立って、記録媒体の厚さ変化を正確に検知することができるので、その検知結果に基づいて第1及び第2のプラテン部材の突出量を適切に変更することができる。
【0010】
更に、前記印字ヘッドに対するメンテナンスを行うメンテナンス部と、
前記印字ヘッドが前記メンテナンス部に移動するとき該メンテナンス部から離反し前記印字ヘッドが前記印字位置に移動するとき該印字位置に接近するホルダ部材とを更に備え、
前記媒体押さえ部材が前記ホルダ部材に支持されることが好ましい。この場合、媒体押さえ部材を印字時には適正な位置に保持し、メンテナンス時にはメンテナンスを妨げない位置に退避させることができるので、メンテナンス部の形状に大きな制限が発生するような不都合が解消できる。
【0011】
更に好ましくは、前記ホルダ部材が、移動方向における両端に、移動方向前方に向かって前記基準面から徐々に離れる形状の傾斜面を夫々有する。これにより、端部が折れた記録媒体に対して印字する場合でも、傾斜面によって、印字ヘッドを折れ部に接触させることなく印字位置に円滑に導くことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態例におけるインクジェット式印字装置の構成を示す正面図である。インクジェット式印字装置は、プリンタフレ−ム1と、プリンタフレ−ム1の長手方向に往復移動可能に支持されたキャリッジ3と、プリンタフレ−ム1の下部に配設された媒体保持機構35とを有する。
【0013】
プリンタフレ−ム1の長手方向には、相互に平行な2本のガイドシャフト2が延在し、ガイドシャフト2にキャリッジ3が移動自在に支持される。ガイドシャフト2の一方の端部(第1端部)及び他方の端部(第2端部)には夫々、テンションプ−リ4及び5が回転自在に支持され、テンションプ−リ4の裏面にはテンションプ−リ4を回転させるスペ−シングモ−タ6が配設される。
【0014】
プリンタフレ−ム1の第1端部下部には、インク吐出部の清掃やインクの吸引等を行って、印字ヘッド7による印字品位を確保するためのメンテナンス部17が配設されている。メンテナンス部17に対向して停止したキャリッジ3の背面には、所定形状のカムフォロア16がプリンタフレ−ム1に固定されている。カムフォロア16は、セクタブラケット10のローラ10aを案内するもので、ガイドシャフト2の延在方向に沿った平坦案内面16aと、図1中央の印字位置に向かって徐々に上方に傾斜する傾斜案内面16bとを有する。
【0015】
印字ヘッド7は、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックの計4色を用いたフルカラ−印字を行うもので、インク吐出面(図示せず)と媒体印字面との間隔が約1〜2mm程度の範囲で印字可能である。
【0016】
テンションプ−リ4、5間には、無端ベルト14が巻回されている。無端ベルト14にはキャリッジ3が固定されており、スペ−シングモ−タ6の作動で無端ベルト14が回動すると、キャリッジ3がガイドシャフト2に沿って移動する。プリンタフレ−ム1の他側には、テンションローラ5の位置を変更して無端ベルト14の張力を調整するテンション調整機構45が配設されている。
【0017】
キャリッジ3は、着脱可能な印字ヘッド7と、印字ヘッド7に対し所定の軌跡で回動するローラホルダ18と、キャリッジ3に対して回動するセクタギヤ8と、セクタギヤ8と同軸に支持されたセクタブラケット10とを有する。キャリッジ3は更に、セクタギヤ8の回転時にピニオン11を介して上下動するラック12と、ラック12を移動案内するガイドフレ−ム13とを有する。ガイドフレ−ム13は、上下方向に形成された前後一対のガイド溝13aと、下部の所定位置に固定されたガイドローラ46とを有する。
【0018】
セクタギヤ8は、セクタ軸9の一端に固定され、時計回り方向又は反時計回り方向に回転可能に支持されると共に、スプリング20によって反時計回り方向に常時付勢されている。セクタギヤ8の背面側には、セクタ軸9の他端に所定の角度で固定されたセクタブラケット10が配設される。
【0019】
ローラホルダ18は、図1中央の印字位置において印字ヘッド7の両側に位置する一対の媒体押さえローラ15a、15bを回転自在に有すると共に、トーションばね22によって時計回り方向に常時付勢されており、ラック12の上下動に従って軌跡Aに示すように回動する。
【0020】
媒体保持機構35は、上部にペーパガイド32が固定されたプラテンフレーム25を有し、ペーパガイド32には、預金通帳31の幅と同程度の長さを有する相互に平行な2本の溝部32aが形成される。プラテンフレーム25には、預金通帳31の幅と同程度の長さを有するプラテン26、27が、各縁部を2本の溝部32aから夫々進退できるように支持される。
【0021】
プラテン26、27の下方には、プラテン26、27の延在方向と平行なカムシャフト28、29が回転自在に支持される。カムシャフト28には、インボリュート形状のカム28aと、傘歯車33とが固定され、カムシャフト29には、インボリュート形状のカム29aと、傘歯車34とが固定される。
【0022】
カムシャフト28、29の下方にはモ−タ30、31が配設されており、モ−タ30の回転軸に固定された傘歯車30aが傘歯車33に噛み合い、モ−タ31の回転軸に固定された傘歯車31aが傘歯車34に噛み合っている。図中のCは、媒体押さえローラ15a、15bに接触して所定レベルになった預金通帳31の印字面、Sは、ペーパガイド32の上面が成す、印字位置における基準面である。
【0023】
図2は、ローラホルダ18を拡大して示す平面図である。ローラホルダ18には、壁部18a〜18dによって区画された空間38内に相互に平行に挿入された媒体押さえローラ15a、15bが、軸受け21を介して回転自在に支持されている。ローラホルダ18は、壁部18d側がラック12(図1)に受け軸19を介して回動自在に支持される。媒体押さえローラ15a、15bには夫々、全周にわたって、高さが約20〜40μm程度の複数の突起36がエッチング又はセラミックコ−ティングで形成されている。
【0024】
図3は、ローラホルダ18を拡大して示す側面図である。ローラホルダ18の移動方向に向いた壁部18b及び18dには夫々、約45゜の傾斜面18e及び約20〜40゜程度の傾斜面18fが形成される。傾斜面18e、18fの存在により、預金通帳31の端部が折れているような場合でも、キャリッジ3が円滑に往復移動できる。
【0025】
図4は、ローラホルダ18を拡大して示す図3の矢印D方向から見た正面図である。媒体押さえローラ15a、15bは、複数の突起36が、印字ヘッド7のインク吐出面よりも下方に、例えば約0.5〜1.5mm程度突出している。この構成により、印字ヘッド7は、印字位置における基準面Sに対する所定距離を維持しつつ往復移動し、また、媒体押さえローラ15a、15bは、上記所定距離よりも短い距離を維持しつつ印字ヘッド7の近傍で一体的に往復移動する。
【0026】
図5は、図1中央の印字位置に移動したキャリッジ3を矢印B方向から見た状態で示す正面図である。プリンタフレ−ム1には、背面にスペ−シングモ−タ6、前面の所定位置にカムフォロア16が夫々固定され、紙面の手前・奥方向に一対のガイドシャフト2が固定される。
【0027】
キャリッジ3は、L字状の移動ガイド部材3aを一体に有しており、移動ガイド部材3aの一部が、一対のガイドシャフト2に摺動自在に支持される。移動ガイド部材3aの上下方向における略中央部には、ガイドシャフト2の延在方向と直交するセクタ軸9が回動自在に貫通し、セクタ軸9の一端にセクタギヤ8が、他端にセクタブラケット10が夫々固定される。
【0028】
ガイドフレ−ム13の各ガイド溝13a(図1)には、前後一対のラック12の双方を連結するガイド軸44の一端及び他端が挿入されている。ガイド軸44がガイド溝13aに移動案内されることにより、一対のラック12が一体に上下動する。
【0029】
ガイドフレ−ム13には、ガイド軸44と平行な回転軸48が回転自在に支持される。回転軸48には、前後のラック12に夫々噛み合う2つのピニオン11が固定され、後方側のピニオン11にはセクタギヤ8が噛み合っている。このため、セクタギヤ8が時計回り方向又は反時計回り方向に回動するとき、一対のピニオン11を介して一対のラック12が上方又は下方に移動する。
【0030】
キャリッジ3の前後には夫々、位置が固定されたフィードローラ42及びフィードローラ42に対して弾性付勢されたピンチローラ43と、位置が固定されたフィードローラ40及びフィードローラ40に対して弾性付勢された厚さ検知ローラ41とが配設される。フィードローラ40及び42の各表面には、全周にわたって、エッチングやセラミックコ−ティングによって約20〜40μm程度の複数の突起が形成されている。
【0031】
突起を有するフィードローラ42は、ピンチローラ43とによって、未乾燥のインクの転写を防ぎつつ、預金通帳31を図5の右方向に搬送する。この際に、厚さ検知ローラ41は、フィードローラ40とによって預金通帳31を搬送しつつ、その厚さを検知する。厚さ検知ローラ41と一体に上下動する部分(図示せず)には、センサを構成する反射板が固定されており、この反射板に所定方向の光が照射され、その反射光の角度変化によってロ−ラ41の上下位置、つまり預金通帳31の厚さが検知される。
【0032】
媒体保持機構35は、ペーパガイド32に、預金通帳31の幅と同程度の長さの2本の溝部32aが相互に平行に形成される。プラテンフレーム25には、プラテン26、27が、支軸26a、27aによって上下方向に摺動自在に支持される。プラテン26、27の一端及び他端の各近傍に形成された切欠き部26b、27b(図1)には、支軸26a、27aに支持されたローラ26c、27cが夫々位置し、これらローラ26c、27cにカム28a、29aが夫々接触している。
【0033】
印字装置本体には、マイクロコンピュータ等の制御部50が配設されており、制御部50の指令によってスペーシングモータ6、印字ヘッド7、及びモータ30、31が夫々制御され、また、厚さ検知ローラ41による検知信号が制御部50に入力される。
【0034】
図6は、図5の状態の印字位置に預金通帳31が搬送された状態を示す正面図である。同図で、預金通帳31は、矢印A方向に搬送されるが、厚さ検知ローラ41によってその厚さを検知されつつ、前半頁がフィードローラ42及びピンチローラ43によって、後半頁がフィードローラ40及び厚さ検知ローラ41によって牽引される。
【0035】
本実施形態例のインクジェット印字装置は、以下のように作動する。先ず、キャリッジ3がメンテナンス部17に位置し、或いは、印字位置とメンテナンス部17との間に待機した状態で、綴じ部をフィードローラ40及び厚さ検知ローラ41の延在方向に沿わせつつ、預金通帳31の先端をローラ40、41の接触部に挿入する。次いで、フィードローラ40及び厚さ検知ローラ41が、先端を挟持しつつ回転して預金通帳31を取り込む。この際に、厚さ検知ロ−ラ41は、預金通帳31の搬送時の厚さ変化に従って上下動し、先端部のプラテン27への到達に先立って、預金通帳31の前半頁の厚さを検知し、その検知信号を制御部50に送る。
【0036】
このとき、キャリッジ3は例えばメンテナンス部17に対向する位置にあり、セクタブラケット10は、カムローラ10aがカムフォロア16の平坦案内面16bに当接して、図1におけるガイドシャフト2に沿った状態で保持されている。
【0037】
次いで、預金通帳31の先端がプラテン27に到達した時点で、上記検知信号に基づく制御部50からの指令に応答して、モータ31、32が夫々作動してプラテン26、27の各突出量を変える。この後、預金通帳31の印字面がCの位置になった時点で、モータ31、32が停止する。
【0038】
続いて、印字ヘッド7が、預金通帳31上に移動して印字を開始する。この場合、キャリッジ3の印字位置への移動により、カムローラ10aが平坦案内面10aから傾斜案内面16bに移動するので、上記角度に規制されていたセクタブラケット10が、軌跡Aに示すように、反時計回り方向に徐々に回動する。
【0039】
これに伴って、セクタギヤ8が同じ方向に同じ角度だけ回動するので、時計回り方向に回転するピニオン11を介してラック12が下降し、時計回り方向に付勢されたローラホルダ18が、上面をガイドローラ46に沿わせつつ、軌跡Aに示すように、時計回り方向に徐々に回動する。そして、セクタブラケット10がキャリッジ3の移動方向とほぼ直交方向になったとき、ローラホルダ14は、印字ヘッド7の両側に媒体押さえローラ15a、15bを夫々位置させた状態で停止する。この動作が完了する位置は、図1における預金通帳31の左端より僅かに手前である。
【0040】
ローラホルダ18が媒体保持機構35上に進入するとき、傾斜面18fが預金通帳31の左端部に対向するので、キャリッジ3は、預金通帳31の端部にローラホルダ18を接触させることなく印字位置を円滑に往復する。この際に、印字ヘッド7は、預金通帳31の幅分だけ往復移動しつつ行単位の印字を行う。そして、1行に対する印字が終了した時点で、フィ−ドロ−ラ40、42が所定角度回転することで改行が行われ、次の行に対する印字が続行される。
【0041】
前半頁における後半部分に対する印字では、綴じ部が印字ヘッド7の直下に移動する直前に、制御部50から指令が送られて、プラテン27の上下位置が後半頁の厚さに対応して調整される。次いで、綴じ部がプラテン27を通過しプラテン26の直前に位置した時点で、制御部50からの指令に応答して、プラテン26の高さも調整される。
【0042】
印字の終了後、印字ヘッド7は、図1における預金通帳31の左端よりも僅かに左側、或いは、メンテナンス部17上に移動し、この状態で、フィードローラ40、42が所定数回転することによって、預金通帳31が排出される。印字ヘッド7がメンテナンス部17に移動する際には、セクタブラケット10及びローラホルダ18が、印字開始時における印字ヘッド7の移動と逆の方向に回動し、ローラホルダ18が、メンテナンス部17への到達に先立って、ガイドフレ−ム13に沿った状態で停止する。
【0043】
本実施形態例では、印字位置手前で厚さ検知ローラ41によって預金通帳31の厚さを予め検知し、その検知信号に応答してプラテン26、27を個別に上下動させ、印字ギャップを預金通帳31の厚さに応じて調整する。これにより、預金通帳31の厚さが綴じ部で変化する場合でも、一定の印字ギャップを常時確保できるので、高品位な印字が実現する。
【0044】
また、媒体押さえローラ15a、15bが、全周にわたって複数の突起36を有するので、ローラ15a、15bを介して預金通帳31に未乾燥のインクが付着する不都合が回避でき、特に低い印字密度の場合に高品位な印字結果が得られる。更に、ローラホルダ18が、キャリッジ3の移動時に、媒体押さえローラ15a、15bを印字ヘッド7に接触させないように回動するので、メンテナンス部17の形状に対する大きな制限が解消される。インク吐出面と印字面Cとの距離は、印字ヘッド7の吐出能力によって適宜変更することができ、また、媒体押さえローラ15a、15bのインク吐出面からの距離も、印字ヘッド7の印字可能な範囲に応じて適宜設定できる。
【0045】
本実施形態例では、預金通帳31に対する印字装置に本発明を適用したが、これに限られず、冊子状の記録媒体に対して印字を行う印字装置に適用することも可能である。また、本実施形態例では、4色を用いてフルカラ−印字を行う構成であったが、これに限られず、マゼンダ及びブラックを用いた2色用の印字ヘッドに、或いは、ブラック単色の印字ヘッドに、更には、4色以上の種々の色を組み合わせて用いる印字ヘッドに本発明を適用することができる。
【0046】
ところで、写真画像のように、印字密度が高く預金通帳31のようには膨らみが無い記録媒体に印字する場合には、各色のインクが重なるためインクの乾燥速度が遅くなる。しかし、本実施形態例では、インク突出部が印字面Cから約0.5〜1.5mm程度の間隔を有するので、媒体押さえローラ15a、15bが写真画像の印字面に接触することはなく、高品位な印字が得られる。
【0047】
また、本実施形態例では、インク滴を吐出するインクジェット式印字装置について説明したが、これに限られず、インクリボンを用いてドットインパクトを行う印字装置に本発明を適用することができる。
【0048】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の印字装置は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施した印字装置も、本発明の範囲に含まれる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の印字装置によると、厚さが綴じ部の前半側と後半側とで異なる預金通帳等の記録媒体に対しても、常に適正な印字ギャップを確保しつつ印字することができ、高品位な印字結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例におけるインクジェット印字装置の構成を示す正面図である。
【図2】本実施形態例のローラホルダを拡大して示す平面図である。
【図3】本実施形態例のローラホルダを拡大して示す側面図である。
【図4】本実施形態例のローラホルダを図3の矢印D方向から見た正面図である。
【図5】印字位置におけるキャリッジを図1の矢印B方向から見た状態で示す正面図である。
【図6】図5のキャリッジに預金通帳が搬送された状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1:プリンタフレ−ム
2:ガイドシャフト
3:キャリッジ
6:スペ−シングモ−タ
7:印字ヘッド
8:セクタギヤ
9:セクタ軸
10:セクタブラケット
10a:カムローラ
11:ピニオン
12:ラック
13:ガイドフレ−ム
15a、15b:媒体押さえローラ
16:カムフォロア
16a:平坦案内面
16b:傾斜案内面
17:メンテナンス部
18:ローラホルダ
18e、18f:傾斜面
26、27:プラテン
28a、29a:カム
30、31:モ−タ
30a、31a、33、34:傘歯車
31:預金通帳
35:媒体保持機構
36:突起
40、42:フィードローラ
41:厚さ検知ローラ
43:ピンチローラ
A:軌跡
C:印字面
S:基準面
【発明の属する技術分野】
本発明は、印字装置に関し、特に、預金通帳等の記録媒体に対して印字する印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、預金通帳等の記録媒体に印字する印字装置として、ワイヤドットとインクリボンとを用いる印字ヘッドを備えたものが知られている。このような印字装置では、印字中の記録媒体の浮き上がりにより、インクリボンと記録媒体とが擦れ合って記録媒体にインクが付着するという問題があった。
【0003】
上記問題を解消するための印字装置が特開平1−301347号公報に記載されている。この印字装置は、媒体搬送路の上下に夫々配置されたカードホルダとプラテンとで記録媒体を挟み込むことによって記録媒体の浮き上がりを押さえる構成を採用することで、記録媒体の印字面とインクリボンとの間に所定の印字ギャップを形成し、記録媒体とインクリボンとの接触を回避する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に記載の印字装置では、綴じ部の前半側と後半側とで厚さが異なる預金通帳を記録媒体とする場合には、厚さの変化に対処することができず、インクリボンと記録媒体との接触が回避できなかった。このような問題は、インクジェット式印字装置においても同様であり、印字ヘッドが記録媒体に接触してインク汚れを生じていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑み、厚さが綴じ部の前半側と後半側とで異なる預金通帳等の記録媒体に対しても、常に適正な印字ギャップを確保しつつ印字することができ、高品位な印字結果が得られる印字装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の印字装置は、印字位置に搬送される記録媒体に印字する印字装置において、所定の基準面に対して第1の所定距離を維持しつつ往復移動する印字ヘッドと、前記基準面に対して前記第1の所定距離よりも短い第2の所定距離を維持しつつ前記印字ヘッドの近傍で該印字ヘッドと一体的に往復移動する媒体押さえ部材と、前記基準面を挟んで前記媒体押さえ部材に対向し且つ記録媒体の搬送方向の前方及び後方に夫々位置する第1及び第2のプラテン部材と、前記第1及び第2のプラテン部材の前記媒体押さえ部材に対する各突出量を制御するプラテン制御手段とを備え、前記媒体押さえ部材は、前記印字ヘッドの移動方向両側に所定高さの複数の突起が全周にわたって形成された一対の円筒ローラを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の印字装置では、預金通帳のような記録媒体に印字する際に、印字ヘッドとの対向位置に綴じ部が到達したとき、第1及び第2のプラテン部材の突出量を個別に変化させて、前半頁と後半頁とを媒体押さえ部材に対して同等の状態で押しつけ、印字面を均一に保持することができる。これにより、記録媒体は、前半頁から後半頁にわたるどの箇所においても印字ギャップが適正に確保されるので、インク汚れが確実に回避され、高品位な印字結果が得られる。
【0008】
また、前記媒体押さえ部材は、所定高さの複数の突起が全周にわたって形成されたローラを有するので、これにより、印字密度が比較的低い預金通帳への印字を例えばインクジェット方式で行う際に、ローラが、預金通帳の印字面を所定高さの複数の突起で押さえつけるので、印字面にインク汚れが付着する不具合を回避し、高品位な印字結果を得ることができる。
【0009】
また、前記プラテン制御手段が、前記印字位置の手前で記録媒体の印字面の高さを規制する規制ローラと、該規制ローラに対向し記録媒体の厚さ変化に従って移動する厚さ検知ローラとを備えることが好ましい。この場合、記録媒体の印字位置への進入に先立って、記録媒体の厚さ変化を正確に検知することができるので、その検知結果に基づいて第1及び第2のプラテン部材の突出量を適切に変更することができる。
【0010】
更に、前記印字ヘッドに対するメンテナンスを行うメンテナンス部と、
前記印字ヘッドが前記メンテナンス部に移動するとき該メンテナンス部から離反し前記印字ヘッドが前記印字位置に移動するとき該印字位置に接近するホルダ部材とを更に備え、
前記媒体押さえ部材が前記ホルダ部材に支持されることが好ましい。この場合、媒体押さえ部材を印字時には適正な位置に保持し、メンテナンス時にはメンテナンスを妨げない位置に退避させることができるので、メンテナンス部の形状に大きな制限が発生するような不都合が解消できる。
【0011】
更に好ましくは、前記ホルダ部材が、移動方向における両端に、移動方向前方に向かって前記基準面から徐々に離れる形状の傾斜面を夫々有する。これにより、端部が折れた記録媒体に対して印字する場合でも、傾斜面によって、印字ヘッドを折れ部に接触させることなく印字位置に円滑に導くことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態例におけるインクジェット式印字装置の構成を示す正面図である。インクジェット式印字装置は、プリンタフレ−ム1と、プリンタフレ−ム1の長手方向に往復移動可能に支持されたキャリッジ3と、プリンタフレ−ム1の下部に配設された媒体保持機構35とを有する。
【0013】
プリンタフレ−ム1の長手方向には、相互に平行な2本のガイドシャフト2が延在し、ガイドシャフト2にキャリッジ3が移動自在に支持される。ガイドシャフト2の一方の端部(第1端部)及び他方の端部(第2端部)には夫々、テンションプ−リ4及び5が回転自在に支持され、テンションプ−リ4の裏面にはテンションプ−リ4を回転させるスペ−シングモ−タ6が配設される。
【0014】
プリンタフレ−ム1の第1端部下部には、インク吐出部の清掃やインクの吸引等を行って、印字ヘッド7による印字品位を確保するためのメンテナンス部17が配設されている。メンテナンス部17に対向して停止したキャリッジ3の背面には、所定形状のカムフォロア16がプリンタフレ−ム1に固定されている。カムフォロア16は、セクタブラケット10のローラ10aを案内するもので、ガイドシャフト2の延在方向に沿った平坦案内面16aと、図1中央の印字位置に向かって徐々に上方に傾斜する傾斜案内面16bとを有する。
【0015】
印字ヘッド7は、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックの計4色を用いたフルカラ−印字を行うもので、インク吐出面(図示せず)と媒体印字面との間隔が約1〜2mm程度の範囲で印字可能である。
【0016】
テンションプ−リ4、5間には、無端ベルト14が巻回されている。無端ベルト14にはキャリッジ3が固定されており、スペ−シングモ−タ6の作動で無端ベルト14が回動すると、キャリッジ3がガイドシャフト2に沿って移動する。プリンタフレ−ム1の他側には、テンションローラ5の位置を変更して無端ベルト14の張力を調整するテンション調整機構45が配設されている。
【0017】
キャリッジ3は、着脱可能な印字ヘッド7と、印字ヘッド7に対し所定の軌跡で回動するローラホルダ18と、キャリッジ3に対して回動するセクタギヤ8と、セクタギヤ8と同軸に支持されたセクタブラケット10とを有する。キャリッジ3は更に、セクタギヤ8の回転時にピニオン11を介して上下動するラック12と、ラック12を移動案内するガイドフレ−ム13とを有する。ガイドフレ−ム13は、上下方向に形成された前後一対のガイド溝13aと、下部の所定位置に固定されたガイドローラ46とを有する。
【0018】
セクタギヤ8は、セクタ軸9の一端に固定され、時計回り方向又は反時計回り方向に回転可能に支持されると共に、スプリング20によって反時計回り方向に常時付勢されている。セクタギヤ8の背面側には、セクタ軸9の他端に所定の角度で固定されたセクタブラケット10が配設される。
【0019】
ローラホルダ18は、図1中央の印字位置において印字ヘッド7の両側に位置する一対の媒体押さえローラ15a、15bを回転自在に有すると共に、トーションばね22によって時計回り方向に常時付勢されており、ラック12の上下動に従って軌跡Aに示すように回動する。
【0020】
媒体保持機構35は、上部にペーパガイド32が固定されたプラテンフレーム25を有し、ペーパガイド32には、預金通帳31の幅と同程度の長さを有する相互に平行な2本の溝部32aが形成される。プラテンフレーム25には、預金通帳31の幅と同程度の長さを有するプラテン26、27が、各縁部を2本の溝部32aから夫々進退できるように支持される。
【0021】
プラテン26、27の下方には、プラテン26、27の延在方向と平行なカムシャフト28、29が回転自在に支持される。カムシャフト28には、インボリュート形状のカム28aと、傘歯車33とが固定され、カムシャフト29には、インボリュート形状のカム29aと、傘歯車34とが固定される。
【0022】
カムシャフト28、29の下方にはモ−タ30、31が配設されており、モ−タ30の回転軸に固定された傘歯車30aが傘歯車33に噛み合い、モ−タ31の回転軸に固定された傘歯車31aが傘歯車34に噛み合っている。図中のCは、媒体押さえローラ15a、15bに接触して所定レベルになった預金通帳31の印字面、Sは、ペーパガイド32の上面が成す、印字位置における基準面である。
【0023】
図2は、ローラホルダ18を拡大して示す平面図である。ローラホルダ18には、壁部18a〜18dによって区画された空間38内に相互に平行に挿入された媒体押さえローラ15a、15bが、軸受け21を介して回転自在に支持されている。ローラホルダ18は、壁部18d側がラック12(図1)に受け軸19を介して回動自在に支持される。媒体押さえローラ15a、15bには夫々、全周にわたって、高さが約20〜40μm程度の複数の突起36がエッチング又はセラミックコ−ティングで形成されている。
【0024】
図3は、ローラホルダ18を拡大して示す側面図である。ローラホルダ18の移動方向に向いた壁部18b及び18dには夫々、約45゜の傾斜面18e及び約20〜40゜程度の傾斜面18fが形成される。傾斜面18e、18fの存在により、預金通帳31の端部が折れているような場合でも、キャリッジ3が円滑に往復移動できる。
【0025】
図4は、ローラホルダ18を拡大して示す図3の矢印D方向から見た正面図である。媒体押さえローラ15a、15bは、複数の突起36が、印字ヘッド7のインク吐出面よりも下方に、例えば約0.5〜1.5mm程度突出している。この構成により、印字ヘッド7は、印字位置における基準面Sに対する所定距離を維持しつつ往復移動し、また、媒体押さえローラ15a、15bは、上記所定距離よりも短い距離を維持しつつ印字ヘッド7の近傍で一体的に往復移動する。
【0026】
図5は、図1中央の印字位置に移動したキャリッジ3を矢印B方向から見た状態で示す正面図である。プリンタフレ−ム1には、背面にスペ−シングモ−タ6、前面の所定位置にカムフォロア16が夫々固定され、紙面の手前・奥方向に一対のガイドシャフト2が固定される。
【0027】
キャリッジ3は、L字状の移動ガイド部材3aを一体に有しており、移動ガイド部材3aの一部が、一対のガイドシャフト2に摺動自在に支持される。移動ガイド部材3aの上下方向における略中央部には、ガイドシャフト2の延在方向と直交するセクタ軸9が回動自在に貫通し、セクタ軸9の一端にセクタギヤ8が、他端にセクタブラケット10が夫々固定される。
【0028】
ガイドフレ−ム13の各ガイド溝13a(図1)には、前後一対のラック12の双方を連結するガイド軸44の一端及び他端が挿入されている。ガイド軸44がガイド溝13aに移動案内されることにより、一対のラック12が一体に上下動する。
【0029】
ガイドフレ−ム13には、ガイド軸44と平行な回転軸48が回転自在に支持される。回転軸48には、前後のラック12に夫々噛み合う2つのピニオン11が固定され、後方側のピニオン11にはセクタギヤ8が噛み合っている。このため、セクタギヤ8が時計回り方向又は反時計回り方向に回動するとき、一対のピニオン11を介して一対のラック12が上方又は下方に移動する。
【0030】
キャリッジ3の前後には夫々、位置が固定されたフィードローラ42及びフィードローラ42に対して弾性付勢されたピンチローラ43と、位置が固定されたフィードローラ40及びフィードローラ40に対して弾性付勢された厚さ検知ローラ41とが配設される。フィードローラ40及び42の各表面には、全周にわたって、エッチングやセラミックコ−ティングによって約20〜40μm程度の複数の突起が形成されている。
【0031】
突起を有するフィードローラ42は、ピンチローラ43とによって、未乾燥のインクの転写を防ぎつつ、預金通帳31を図5の右方向に搬送する。この際に、厚さ検知ローラ41は、フィードローラ40とによって預金通帳31を搬送しつつ、その厚さを検知する。厚さ検知ローラ41と一体に上下動する部分(図示せず)には、センサを構成する反射板が固定されており、この反射板に所定方向の光が照射され、その反射光の角度変化によってロ−ラ41の上下位置、つまり預金通帳31の厚さが検知される。
【0032】
媒体保持機構35は、ペーパガイド32に、預金通帳31の幅と同程度の長さの2本の溝部32aが相互に平行に形成される。プラテンフレーム25には、プラテン26、27が、支軸26a、27aによって上下方向に摺動自在に支持される。プラテン26、27の一端及び他端の各近傍に形成された切欠き部26b、27b(図1)には、支軸26a、27aに支持されたローラ26c、27cが夫々位置し、これらローラ26c、27cにカム28a、29aが夫々接触している。
【0033】
印字装置本体には、マイクロコンピュータ等の制御部50が配設されており、制御部50の指令によってスペーシングモータ6、印字ヘッド7、及びモータ30、31が夫々制御され、また、厚さ検知ローラ41による検知信号が制御部50に入力される。
【0034】
図6は、図5の状態の印字位置に預金通帳31が搬送された状態を示す正面図である。同図で、預金通帳31は、矢印A方向に搬送されるが、厚さ検知ローラ41によってその厚さを検知されつつ、前半頁がフィードローラ42及びピンチローラ43によって、後半頁がフィードローラ40及び厚さ検知ローラ41によって牽引される。
【0035】
本実施形態例のインクジェット印字装置は、以下のように作動する。先ず、キャリッジ3がメンテナンス部17に位置し、或いは、印字位置とメンテナンス部17との間に待機した状態で、綴じ部をフィードローラ40及び厚さ検知ローラ41の延在方向に沿わせつつ、預金通帳31の先端をローラ40、41の接触部に挿入する。次いで、フィードローラ40及び厚さ検知ローラ41が、先端を挟持しつつ回転して預金通帳31を取り込む。この際に、厚さ検知ロ−ラ41は、預金通帳31の搬送時の厚さ変化に従って上下動し、先端部のプラテン27への到達に先立って、預金通帳31の前半頁の厚さを検知し、その検知信号を制御部50に送る。
【0036】
このとき、キャリッジ3は例えばメンテナンス部17に対向する位置にあり、セクタブラケット10は、カムローラ10aがカムフォロア16の平坦案内面16bに当接して、図1におけるガイドシャフト2に沿った状態で保持されている。
【0037】
次いで、預金通帳31の先端がプラテン27に到達した時点で、上記検知信号に基づく制御部50からの指令に応答して、モータ31、32が夫々作動してプラテン26、27の各突出量を変える。この後、預金通帳31の印字面がCの位置になった時点で、モータ31、32が停止する。
【0038】
続いて、印字ヘッド7が、預金通帳31上に移動して印字を開始する。この場合、キャリッジ3の印字位置への移動により、カムローラ10aが平坦案内面10aから傾斜案内面16bに移動するので、上記角度に規制されていたセクタブラケット10が、軌跡Aに示すように、反時計回り方向に徐々に回動する。
【0039】
これに伴って、セクタギヤ8が同じ方向に同じ角度だけ回動するので、時計回り方向に回転するピニオン11を介してラック12が下降し、時計回り方向に付勢されたローラホルダ18が、上面をガイドローラ46に沿わせつつ、軌跡Aに示すように、時計回り方向に徐々に回動する。そして、セクタブラケット10がキャリッジ3の移動方向とほぼ直交方向になったとき、ローラホルダ14は、印字ヘッド7の両側に媒体押さえローラ15a、15bを夫々位置させた状態で停止する。この動作が完了する位置は、図1における預金通帳31の左端より僅かに手前である。
【0040】
ローラホルダ18が媒体保持機構35上に進入するとき、傾斜面18fが預金通帳31の左端部に対向するので、キャリッジ3は、預金通帳31の端部にローラホルダ18を接触させることなく印字位置を円滑に往復する。この際に、印字ヘッド7は、預金通帳31の幅分だけ往復移動しつつ行単位の印字を行う。そして、1行に対する印字が終了した時点で、フィ−ドロ−ラ40、42が所定角度回転することで改行が行われ、次の行に対する印字が続行される。
【0041】
前半頁における後半部分に対する印字では、綴じ部が印字ヘッド7の直下に移動する直前に、制御部50から指令が送られて、プラテン27の上下位置が後半頁の厚さに対応して調整される。次いで、綴じ部がプラテン27を通過しプラテン26の直前に位置した時点で、制御部50からの指令に応答して、プラテン26の高さも調整される。
【0042】
印字の終了後、印字ヘッド7は、図1における預金通帳31の左端よりも僅かに左側、或いは、メンテナンス部17上に移動し、この状態で、フィードローラ40、42が所定数回転することによって、預金通帳31が排出される。印字ヘッド7がメンテナンス部17に移動する際には、セクタブラケット10及びローラホルダ18が、印字開始時における印字ヘッド7の移動と逆の方向に回動し、ローラホルダ18が、メンテナンス部17への到達に先立って、ガイドフレ−ム13に沿った状態で停止する。
【0043】
本実施形態例では、印字位置手前で厚さ検知ローラ41によって預金通帳31の厚さを予め検知し、その検知信号に応答してプラテン26、27を個別に上下動させ、印字ギャップを預金通帳31の厚さに応じて調整する。これにより、預金通帳31の厚さが綴じ部で変化する場合でも、一定の印字ギャップを常時確保できるので、高品位な印字が実現する。
【0044】
また、媒体押さえローラ15a、15bが、全周にわたって複数の突起36を有するので、ローラ15a、15bを介して預金通帳31に未乾燥のインクが付着する不都合が回避でき、特に低い印字密度の場合に高品位な印字結果が得られる。更に、ローラホルダ18が、キャリッジ3の移動時に、媒体押さえローラ15a、15bを印字ヘッド7に接触させないように回動するので、メンテナンス部17の形状に対する大きな制限が解消される。インク吐出面と印字面Cとの距離は、印字ヘッド7の吐出能力によって適宜変更することができ、また、媒体押さえローラ15a、15bのインク吐出面からの距離も、印字ヘッド7の印字可能な範囲に応じて適宜設定できる。
【0045】
本実施形態例では、預金通帳31に対する印字装置に本発明を適用したが、これに限られず、冊子状の記録媒体に対して印字を行う印字装置に適用することも可能である。また、本実施形態例では、4色を用いてフルカラ−印字を行う構成であったが、これに限られず、マゼンダ及びブラックを用いた2色用の印字ヘッドに、或いは、ブラック単色の印字ヘッドに、更には、4色以上の種々の色を組み合わせて用いる印字ヘッドに本発明を適用することができる。
【0046】
ところで、写真画像のように、印字密度が高く預金通帳31のようには膨らみが無い記録媒体に印字する場合には、各色のインクが重なるためインクの乾燥速度が遅くなる。しかし、本実施形態例では、インク突出部が印字面Cから約0.5〜1.5mm程度の間隔を有するので、媒体押さえローラ15a、15bが写真画像の印字面に接触することはなく、高品位な印字が得られる。
【0047】
また、本実施形態例では、インク滴を吐出するインクジェット式印字装置について説明したが、これに限られず、インクリボンを用いてドットインパクトを行う印字装置に本発明を適用することができる。
【0048】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の印字装置は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施した印字装置も、本発明の範囲に含まれる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の印字装置によると、厚さが綴じ部の前半側と後半側とで異なる預金通帳等の記録媒体に対しても、常に適正な印字ギャップを確保しつつ印字することができ、高品位な印字結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例におけるインクジェット印字装置の構成を示す正面図である。
【図2】本実施形態例のローラホルダを拡大して示す平面図である。
【図3】本実施形態例のローラホルダを拡大して示す側面図である。
【図4】本実施形態例のローラホルダを図3の矢印D方向から見た正面図である。
【図5】印字位置におけるキャリッジを図1の矢印B方向から見た状態で示す正面図である。
【図6】図5のキャリッジに預金通帳が搬送された状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1:プリンタフレ−ム
2:ガイドシャフト
3:キャリッジ
6:スペ−シングモ−タ
7:印字ヘッド
8:セクタギヤ
9:セクタ軸
10:セクタブラケット
10a:カムローラ
11:ピニオン
12:ラック
13:ガイドフレ−ム
15a、15b:媒体押さえローラ
16:カムフォロア
16a:平坦案内面
16b:傾斜案内面
17:メンテナンス部
18:ローラホルダ
18e、18f:傾斜面
26、27:プラテン
28a、29a:カム
30、31:モ−タ
30a、31a、33、34:傘歯車
31:預金通帳
35:媒体保持機構
36:突起
40、42:フィードローラ
41:厚さ検知ローラ
43:ピンチローラ
A:軌跡
C:印字面
S:基準面
Claims (3)
- 綴じ部を有する記録媒体を該綴じ部と直交方向に搬送しつつ印字する印字
装置であって、
所定の基準面に対して第1の所定距離を維持しつつ前記綴じ部と平行方向に往復移動する印字ヘッドと、
前記基準面に対して前記第1の所定距離よりも短い第2の所定距離を維持しつつ前記印字ヘッドの近傍で該印字ヘッドと一体的に往復移動する媒体押さえ部材と、
前記基準面を挟んで前記媒体押さえ部材に対向し且つ前記記録媒体の搬送方向の前方及び後方に夫々位置する第1及び第2のプラテン部材と、
前記第1及び第2のプラテン部材の前記媒体押さえ部材に対する各突出量を制御するプラテン制御手段とを備え、
前記媒体押さえ部材は、前記印字ヘッドの移動方向両側に所定高さの複数の突起が全周にわたって形成された一対の円筒ローラを有し、
前記印字ヘッドに対するメンテナンスを行うメンテナンス部と、
前記印字ヘッドが前記メンテナンス部に移動するとき該メンテナンス部から離反し前記印字ヘッドが前記印字位置に移動するとき該印字位置に接近するホルダ部材とを更に備え、
前記媒体押さえ部材が前記ホルダ部材に支持されることを特徴とする印字装置。 - 前記プラテン制御手段が、前記印字位置の手前で記録媒体の印字面の高さを規制する規制ローラと、該規制ローラに対向し記録媒体の厚さ変化に従って移動する厚さ検知ローラとを備える、請求項1に記載の印字装置。
- 前記ホルダ部材が、移動方向における両端に、移動方向前方に向かって前記基準面から徐々に離れる形状の傾斜面を夫々有する、請求項1又は2に記載の印字装置。
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