例えば、シリンダやカードのような他の光学式記録構造体と同様に、回転ディスクにディジタルデータを光学的に記録したり読み出したりする情報の記憶と検索が、この技術分野では周知になっている。スキャニングによってあるいは移動がそもそも自由な他の手段、及び超大容量の光学式データ記録のための複雑な構造体によって、データを選択的に抽出するウェハ上の多層データの光学式記録は、比較的近い将来、容易に予想され得るものである。しかしながら、簡略化のために、他の媒体には補足的に触れ、本発明が他の多くの媒体に等しく適用できることを理解しながら、本明細書の説明は、光学式データ記録に焦点を絞ることとする。
ディスクを基礎とする光学式データ記録方法は、根本的に異なった物理基板を元にしている。しかしながら、これらの方法は、共通した多くの特徴を有している。例えばそれぞれの方法は、面(あるいは複数の面、あるいは複数の層)が組み込まれた回転ディスク形状の記憶構造体を利用する。ディスク面上に1つの環状帯をそれぞれ有しながら、特定の面には1つの連続的な軌跡、又は複数の軌跡がある。もちろん、カードやデータウェハ等の本質的に長方形の光記録構造体では、その軌跡はデータマークに対してほぼ平行線となる。
各データトラックは非常に多数の連続した微小マークを含み、普通は「ランド」として指定される領域の未マーク又は異なったマークにより点在される。その軌跡ピッチ(言い換えれば、隣接するトラック部分間の距離)は微小であり、これが各マークの寸法となる。したがって、データトラックは、基本的に、多数の隣接した円形の道筋であり、各データトラックは非常に多数のデータマークと連続して現れるランドとを含む。特定のデータトラック又はトラック部分がディスク上の円弧を形成し、完全には円形になっていない場合もある。しかしながら、本説明では、円の弓状データトラック又はこのトラックの部分が、円形データのトラックと交換可能であることを意味するだろう。マークとランドの寸法を比較した場合、これら各円形道筋の円周はとても大きいので、連続した小さなマークと中間ランドとの関係は、微視的レベルでは線形(言い換えると、真っ直ぐな線)のようになる。したがって、ディスク上の半径方向の隣接データは、巨視的レベルにおいて本質的に同心円の円形パスといえるが、微視的レベルでは本質的にデータが平行線として描かれているようにみえる。
一般に、モータで動くスピンドル上でディスクを急速に回転させることによって、ディスクへの書き込み(すなわち、記録)、及び読み出しが行われる。トラッキング(データトラックの中心きっちりに、書き込みビーム及び/又は読み出しビームの半径方向位置を保持すること)は、サーボ装置によって行われ、トラック軸の両側をはさんだ少なくとも1組の連続読み出しビーム位置が比較される。サーボは、これら読み出しビーム位置に基づいてビームの半径方向位置を連続的に調整し、トラックをはさんだ両側の読み出しビーム位置が等しくなるようにする。この状態は、ビームがトラック軸にきっちり合焦(フォーカス)されたときに起こる。もちろん、センシング方法は、用いられた個々の光学式データ記録方法に左右される。
単一のビームによりトラッキングを行うこともできる。この場合、円形横断ビームの反射をトラック軸方向に平行な分割線で分割して2つの等しい半円にする。トラッキングセンサは、一方の強度を他方の強度から差し引き、かつ、サーボ機構は、正しいトラッキングをあらわす差分零になるまで、ビームの半径方向位置を調整する。CDの場合、この単一ビームトラッキングは、普通、「プッシュ−プル(push−pull)」あるいは「PP」トラッキングとして称されるが、両半円の強度を足し合わせるデータ取得は、「HF」出力と称される。
DVD−ROMの場合、異なるフェーズのトラッキングが用いられ、反射された光は4つの4分円に分割され、そして各フェーズを比較してトラッキング状態を判断する。
殆どのCD再生装置は(ソニー−フィリップスの「レッドブック」だけは、単一ビームのPPトラッキングを標準に定めているが)、データ検索及びトラッキングに3つのビームデータを用いる。この場合、読み出しビームが3つのビーム、すなわち、読み出しビームそのものと、前記読み出しビーム前方の一方側でトラックピッチ(マーク幅のおよそ3/4)の1/4量のオフセットを指示した第1トラッキングビームと、前記読み出しビーム後方の他方側でトラックピッチの1/4量のオフセットを指示した第2トラッキングビームとの3つに分割される。前述したように、トラッキング用である2つのトラッキングビーム反射のそれぞれを連続的に読み取って比較する。
ビームフォーカスは、フィードバックメカニズムにより行われるが、このビームフォーカスについては公知であるのでここでは説明する必要がないだろう。
光学式データの記録、検索、及びトラッキングの詳細は、検討する光学式データの記録の種類によって変わる。したがって、光学式データの記録や検索を理解するため、そしてさらにトラッキングや本発明を理解するために、通常用いられる様々な光学式データ記録を検討することがまず重要である。これらは、4つのカテゴリーに分類される。
磁気と光学式との(MO)のデータ記録は、消去可能なデータファイルをアーカイブ目的のために記録し、例えば大容量のコンピュータハードディスクに記録する。ここで、ディスクの記録面は、特定の磁気光特性を有した1以上の薄い誘電性の金属層と非磁性の金属層との間に挟まれた薄い金属合金層より成る。この記録面は、重合した基板(サブストレート)に適用されるのが普通である。
記録されるデータマークは、本質的に2次元である。なぜなら、それらがMOディスクの磁気的フィルム層の1つのみの中に作られるからであり、それは普通、たった0.05ミクロンあるかないかの厚さである。未記録のMOディスクには、あらかじめ溝が刻まれている(プリグルーブ)。すなわち、記録面に適用される重合基板は、およそ0.5ミクロンの幅を有する連続した3次元のらせん溝の加工に用いられ、ここに記録面におけるデータマークのトラックが形成される。トラックのピッチは、通常、およそ〜1.2ミクロンである。記録済みMOディスクの記録及び検索(再生)の間、きっちり合焦された記録ビーム及び読み出しビームのスポットは、PPトラッキングによってこのプリグルーブに「従う」。
MOディスクの薄い磁性の記憶層を形成する材料は、記憶層の面に関して「アップ(up)」あるいは「ダウン(down)」という関連した2つの方向を有するように選ばれる。アップに磁性化された微小領域(マーク)は、通常、記録されるバイナリーデータ信号の高電圧パルス(バイナリー「1」)に一致する。そこでは、ダウンに磁性化された領域が、低電圧(「0」)に一致する。もちろん、これら「1−0」の方向は、反転され得る。
MOディスクは、当初は単一の磁性状態の「アップ」あるいは「ダウン」として準備される。記録は、一定の幅の磁化を選択的に切り替えることで構成され、トラックに沿って配置された薄い磁気記録層の微小領域を延長させる。これら切り替えられた領域が記録マークである。切り替えられていない、つまり、初期の磁性状態のままで溝内に点在する領域がランドである。
記録されたマークとランドは、レーザビームで読み出される。アップに磁性化された微小領域から反射し直線的に偏向した再生光は、時計回りに回転するだろう。一方、ダウンに磁性化された記録面の領域から反射した光は、反時計回りに回転するだろう。読み出し機構は、反射光の偏光回転を検出することによって、各マークのデータ値(「0」または「1」)を定める。前述したように、MOトラッキングは普通のPPメカニズムを用いる。
MOディスクの各記録マークは、同一の磁性方向を有した非常に多数の磁性領域を含む。この磁性領域は合体して、記録マークを含む微小領域になる。MOディスクに用いられる磁性合金材料は、非線形な形で極端に温度依存する磁気の保磁力を有する。実際、特定磁性合金のキューリー温度以下の任意の温度では、微小領域の磁性方向を切り替えるにはとてつもなく大きな外部磁場を要求するだろう。しかしながら、記憶層の温度をそのキューリー温度より少し高温にする場合、非常に小さな外部磁場で小さな領域の磁性方向を再び方向づけることができるようになる。
それゆえ、きっちり合焦されたレーザビームスポットを用いて、薄い磁性合金の記憶層をそのキューリー温度をちょうど超えるように局所的に熱し、MOマークを記録する。同時に、アップまたはダウンのいずれかに瞬時に方向づける比較的小さな外部磁場を用いる。このように、合焦された光のスポットは、小さな外部磁場によって再び方向づけられた磁化をもつプリグルーブ領域を単に定めているだけである。したがって、MOディスクの記憶層のマークを実際に形成するのは、外部の磁場であって、合焦された光ビームではない。
記録媒体の温度を局所的に高くするために光ビームを使用するので、光学式データ記録のMO方法は、熱の光学式データ記録として分類されている。言い換えれば、所望の効果を生じさせているのは、本質的に光の量ではなく、小さな外部磁場によって磁性方向の切り替えを促す媒体面の中に局所的に生成された熱である。ディスクがすばやく回転しているので、生成されるマークは、光ビームが残っている(及び磁場方向が保持されている)間に延長されるようになる。このように、各マークの(トラックに沿った長さを意味する)幅が、レーザ出力パルスのビーム幅によって定められる。
光のスポットパワーレベルが十分に高いレベルに維持されている間、外部磁場の強さと方向が一定に維持されるので、データトラックの所望のセグメントをスキャンする合焦記録スポットを生じさせることによって、MOデータのディスク記録を消去することができる。ひとたび消去されると、前述した方法によってセグメントを再び書き込むことができる。この消去/再書き込み手順は通常は連続して用いられ、MOデータディスクの所望の部分を完全に「上書き」することができる。
MOディスクに用いられる磁性の記憶層は非常に薄いので、この層の平面内の熱拡散は垂直方向における熱拡散と非常に関連するだろう。さらに、キューリー温度に熱せられた後、そのフィルムを冷却するには時間がかかる。それゆえ、その層が少し緩く合焦した外部磁場の強制力に方向づけられたままなことから、合焦された記録スポットの下方に熱が通過した後で、(ディスクが回転していることから)その薄いMO記憶層の磁気的に切り替わった領域が延長し続けるだろう。そのような残留マーク延長(「ブルーム(bloom)領域」)を最小限にするため、MOディスクは、磁性の記憶層に隣接して位置付けられた金属熱蓄積層を含み、前記記憶層から熱を引き出して冷却割合を増加させている。生成されたマークの横方向の範囲は、溝の横壁によって制限されるので、ブルームは(トラックに沿った)長手方向の問題であるのが殆どである。それゆえ、主として、マークの長さ及び「デュティーサイクル」(マークのパルスランド長に対する比率)に影響を及ぼす。
MOの記録マークの先頭の終わりは、その末尾の終わりよりも狭く平坦にみえるのが普通である。マークの書き込みが生じている間ディスクが急速に回転しているという事実に注意すると、これはわずかな時間で先頭の終わりをそのキューリー温度になるようにしようとするためである。しかしながら、熱蓄積によって、末尾の終わりを冷却してキューリー温度以下にする時間が実質的にはないということは確かである。正確なデータ検索は、マーク−ランドの変化の発見にかかっているのが普通であるので、マークの先頭の終わりがその末尾の終わりと殆ど同じ形状を有しているべきである。そのため、各変化領域(すなわち、マーク先頭及びマーク終端の領域)において、「アップ」−「ダウン」の混合を定義するとともに構成することができる。
したがって、マークの先頭の終わりでビーム強度を大きくし、不明瞭な末尾の終わりのミラーイメージが構築されないようにすることによって、MOマークの先頭の終わりが末尾の終わりと同じ形状を有するように提案した方法が沢山記載されている。
光学式データ記録の相変化(Phase Change「PC」)方式は、CD−RW(write/re-write)で、消去可能なデータ記憶ディスクを作る際の別の手段である。ここで、そのディスクは、合焦されたレーザビームによって生成された熱によって、その構造的なフェーズ(結晶あるいは非結晶)が変化する層を含んでいる。ディスク面の小さな領域の結晶又は非結晶のいずれかのフェーズ状態は、光学的特性を決定づける。そして、記録された各情報を検索するためにそのフェーズ状態が光学的に読み出される。この相変化方式は、適切に断熱が行われ、MO方式のようにデータ記憶媒体を挟んでいる層によって過剰な熱が除去されるのが普通である。
MO方式と同様、PC方式は熱光学式データ記録手法である。しかし、PC方式は次の点においてMO方式ときわだって異なっている。(1)PC方式では、データマークを書き込み且つ消去するものは、光ビームそのものである。そして、(2)PC方式は2つの熱閾値を伴う。1つは消去モード用閾値であり、もう1つは消去モードの閾値よりも高い書き込みモード用閾値である。これらの閾値は直接計測することができない。むしろ、それらは、その面に照射される光ビームの強さ、ディスクの回転速度、記録面の科学的又は物理的パラメータ、周囲の状況、及び他の要因などの多くの要因を基礎として決定されなければならない。
PCデータマークを書き込むためには、小さな領域を十分に熱して書き込み用の閾値温度を超過させ、これにより当初の結晶状態が非結晶状態に変換されなければならない。これは、その領域を溶かし、かつすばやく凝固させることで達成される。マークの形状を制御するには、レーザの熱をすばやく除去して、(ランドを特徴付ける)結晶状態の再構成を防がなければならない。これは、連続した急な狭いパルスからなるレーザドライブパルスを生じさせることによって達成されるのが普通である。記録面を挟む層が残留する熱を取り除く。
マークを消去するためには、延長された微小領域をすばやく熱しゆっくり冷却させることによって、結晶状態に戻さなければならない。この結果、結晶構造が完成される。繰り返しになるが、通常、書き込みモードよりも低いパワーレベルをもつ連続したすばやくて狭いレーザパルスで構成される消去パルスでこのことを達成できる。その理由は、消去閾値が書き込み閾値よりも低いためである。文献には、期待する目的を望みどおりに達成する多くのパルス設計が記載されている。
レーザビームパルスの持続(つまり、単一パルスを含む狭いパルスの組の全持続)は、得られるマーク(非結晶状態)、もしくは中間ランド(結晶状態)の長さを規定する。CD−RWの場合、ディスクのまわりを延びるらせんのトラッキング溝をもった未記録ディスクを提供する。MO方式と同様、PC方式は通常のPPトラッキングを用いるのが普通である。しかしながら、MO方式とは異なり、PC方式によるデータ検索は、非結晶領域と結晶領域とが異なる反射率を表す場合に、ディスク面から反射された読み出しビームの振幅を単純に光学的に検出する。
MO方式のように、マーク/ランド切り替わりの正確な方向のために、つまり信頼のあるデータ検索のために、記録媒体に形成されたデータマークの先頭の終わりと末尾の終わりとの間に幾何学的な対称を生じさせる手法が多く発表されている。
このように、MO方式及びPC方式は、信頼できるデータ記録面の1トラック又は複数トラックに沿って、消去可能/再書き込み可能な2次元のマークと中間ランドの連続を生み出す熱光学データ記録手法である。
フォトレジスト(PR)のディジタル光データ記録は、光学式データ記録ディスクの面のトラックに沿って、マークとランドの連続を生成する。しかしながら、PR方式では、これらは3次元マーク(つまりピット又は生じた隆起)、及び/又はディスク面のトラッキング溝である。便宜上、我々は、PR方式によるピット又は隆起生成におけるわずかな相違が、フォトレジスト材料の正しい選択と、開発している化学薬品に存在しているということを認識した上で、データピットの生成を説明するつもりである。
PR方式を、MO方式及びPC方式と比較してみたとき、ディスクマスターの生成用として3次元データ記録手法であるPR光学式データ記録手法を用いることができる。そして、ディスクマスターから、商業的な娘ディスクである複製コンパクトディスク(CD)やディジタル多目的ディスク(DVD)がプレス加工される。同様に、PR方式は、トラッキング溝(あるいはトラッキングのうね)のディスクマスター、例えば、MO及びPCディスクの基板、並びにCD−R/DVD−Rのブランクを生成するために用いられる。
しかしながら、PRディスクを都合よく消去したり再書き込みすることができない。したがって、PR方式は、消去可能/再書き込み可能なデータ記憶というMO方式及びPC方式の主要な目的には適合しない。このことは、光学式データ記録の各手法の間に存在する根本的な相違点を単に示している。
PR記録手法は、写真用の印刷処理である。マスターディスクの記録面は、薄く(0.10〜0.12ミクロン)で、露光フィルムの感光乳剤に似たほぼ均一構造の感光性のポリマー樹脂から成っている。したがって、本質的に熱であるMO方式やPC方式とは異なり、PR方式は、純粋に光学式データ記録における光化学(光学)手法である。つまり、PR方式の場合、フォトレジストを露光するディスクの露光面の選択された小さな部分に注入した熱量が本質ではない。その熱量は、単に十分な露光が生じるかどうかを確定する入射光の量でしかない。中間層より下のフォトレジストが露光される範囲と深さは、照射光の強さと露光材料そのものの光学特性とに依存する。露光媒体内への吸収光及び錯乱光のために、媒体内での露光幅は露光深さが増すにしたがって減少するのが一般的である。
PR方式は、ディスクマスタリングに用いられるのが普通なので、そのアプリケーションに関心を向ける。従来のCDマスタリングの場合、EFM(8−14変調)によって入力データを変調する。ここで、シーケンシャルバイナリ入力データを、間隔をおいて発生する連続矩形パルスに置き換える。その持続時間はnTである。このTはEFMのクロック間隔で、おおよそ231ナノセカンド(1秒の10億分の1)であり、nは3〜11の整数である。DVDマスタリングの場合、「FEMプラス」変調を用いる。そこでは、(1)8−14変調を用いる、(2)整数nは、3〜11又は14である。どんなEFMあるいはEFMプラスのコードデータストリームも、パルスおよび可能な限りの全nT持続時間から成る時間間隔を常時含む。他の変調スキームが提案されているが、通常の技術変更を生じさせる場合に、この説明から一般化させることは難しくない。
(「on」タイムでの)パルスはディスク面の中にピットを最終的に生成し、一方、「off」タイムでのパルスは中間ランドを生み出す。データストリーム全体がコード化されているので、ピットとランドの双方が個々のデータを含む。よく知られているように、デュティーサイクル(つまり、ピット長のピット+次のランド長に対する割合により、多数のピット−ランド連続で平均化されている)の結果が、ほぼ50%になるようにすべきである。
商業的なCD及びDVDにおいて、例えば特有のシーケンスが、非常に長く連続したバイナリー「0」の後にバイナリー「1」を含む場合、困難な演奏トラッキングである。適当な変調によって、CD又はDVDの演奏ロジックは、連続して配置された数の特定の1つで次のピッチ(またはランド)を予想することができる。
PR記録の場合、コード化された波形は、回転ディスクの記録面に照射されたダイオード又はレーザ光の合焦スポットの強度変調を生じさせる。ディスクの回転速度をディスク中心から半径方向のビーム位置でうまく調和させることによって、光のスポットが「on」のときに作られ、細く(一般的には1.0ミクロンより小さな幅)延びた潜画像の連続が生成され、非露光のランドが点在する。全体のらせんトラック(又は同心トラックの集合)が露光されるとき、通常写真フィルムとしてマスターディスクを開発する。このとき、エッチング溶液が、露光抵抗領域(或いは、正または負のいずれかの抵抗が用いられたかによって左右される非露光抵抗領域)を溶解しかつ除去し、細く延びた3次元の微小ピット及び中間ランドの連続を作る。各ピット長及び各ランド長は個々のデータを表し、元々のコード化データの特定データパケットに一致する。MO方式及びPC方式の記録の場合、これら延長ピットは微小であり、らせんディスクトラック(又はディスクトラックが複数あれば、同心トラックの各らせんディスクトラック)において何百万個もあるのが普通である。このように、微視的にみたとき、ピットは、中間ランドとともに、細く延びたまっすぐのくぼみの直線的な連続のようにみえ、固定されたトラック幅によって半径方向(即ち、横断的に)にずらされた別のピット連続に沿って存在している。
CD及びDVDの場合、ピット長及びランド長は、空間的に(すなわち、長さにおいて)コードデータの対応部分の継続時間にそれぞれ一致し、その結果、ディスク又は典型的には複製された娘ディスクが演奏されるとき、その出力情報が元々の情報に合致するだろう。オリジナルデータのnTに対応するディスクの全ピッチが、各固有値nとして同じ長さであるために、記録処理の間、ディスクマスターの回転速度を連続的に変化する必要がある。そして、すべてのCD及びDVD記録装置やプレイヤーの場合、検索(再生)の間では、複製ディスクの回転速度を一致させながら変化させなければならない。つまり、線形速度が回転毎で一定になるように、回転速度を変化させる必要がある。
(非常に厚いガラス又はポリカーボン基板に置かれた)感光性のデータ層の厚さは、所望のピット深さと同じに選ばれる。このように、フォトレジストが(その厚さ全体を通って)十分に露光されるとき、底の平らなピットが形成される。そしてピットの深さはその層の厚さと同じで、少なくともその層の横壁と土台との連結部がとがっている。エッチングされたフォトレジスト層にある固有の未加工部分、及びレーザノイズを記録するための大きな磁化率のために、十分な露出に失敗して(結果として、ピットの底に余剰のフォトレジストを生じさせてしまって)、ノイズのあるデータ読み出しとなってしまう。これらは、正確な検出を妨げる。
したがって、PR記録分野でよく知られているように、通常は、光学的検出用のフォトレジスト層の厚さと露光レベル、及びピッチ深さを選択する。ピット幅は、記録ビームの大きさ及び有効幅によって定められる。有効幅は、書き込みレーザの波長及び合焦手段の開口数(「NA」)によって確定される。各中間ランド長と同様に、生じるピットそれぞれの長さは、コード化されたデータパルスに一致する継続時間によって主に確定されるだろう。
記録されると、従来の電流によるプロセスによってPR方式で生成されたディスクマスターを金属スタンパーに変換する。そして、娘ディスクはこれから押し出される。十分な技能と配慮により、そのスタンパーは、実際にはマスターの正確なミラーイメージとなる。そして、同様に、複製されたディスクがマスターの正確なコピーになるだろう。厳密な制御を行うことなく、マスターの良いミラーイメージであるスタンパーを生み出すことができるが、ピットを再生成した複製版のディスクは、マスターディスクの横断面形状を正確には再現していない。複製されたディスクは、典型的には不正確なモデリング手法の出来であって、PRマスターディスクのピッチの鮮明で鋭いかどを表わさず、半径方向の横断形状が丸まったかどとなる複製ディスクピッチを生み出す。
トラッキング溝のディスクマスター(例えば、MOやPCディスクの基板、及びCD−R/DVD−Rブランク)をPR方式によって生成するプロセスは、単純化すると、ディスクマスターの全て又は殆どで、所望のらせん溝が連続するのが普通であるという事実になる。このため、トラッキング溝マスターを生成することが可能となり、レーザに一定の振幅を入力し、ディスクの回転速度にあわせて書き込みビームの半径方向位置を同期させる。不連続なトラッキング溝マスターを望む場合は、単に、書き込みビームの消滅を選択的に行い、かつ半径方向の位置合わせを必要とする。基本原理を逸脱しない範囲での通常の設計変更によって、PR方式による実際のトラッキング溝マスターを生成する。同様に、感光性の材料や開発する化学薬品を従来のように選択することによって、必要な場合にトラッキングのうねマスターを生産することができる。
CR−R及びDVD−Rの仕様はディザーする溝を必要とし、これはトラッキング溝の半径方向が連続した正弦曲線上でゆれていることを示している。CD−Rの溝における正弦曲線のディザー振幅は、ディザーしないらせん溝の長て方向の軸に関し、±30ナノメータ(ほんのわずか)であり、その周波数はわずかな線形速度でありおよそ22kHzである。書き込みビームの半径方向の位置あわせ手段に対するそれぞれの入力が、このディザーを作り出す。
PR方式は本質的にエッチングプロセスであり、ピットの横壁面にある程度の未加工部分が必ず生じてしまう。PR方式でのディスクマスタリングの場合、これはCDのマスタリングではとりわけ意味のある問題でないが、商業的なDVD―ROMマスターを歩留まり良く迅速に生産するDVDマスターの生産にはまったく役立っていないと思われる。これは、基本的な回折干渉の結果と同様、DVDのデータ検索が、必然的にかなり複雑なプロセスでありフェーズの比較に頼っているためである。PR方式で生成されるデータピット特有の未加工部分は、DVDのデータを正確に検索することを妨げている。
さらに、PR方式で生成されたディスクマスターにおける未加工問題は、1層あたりおよそ4.2ギガバイトである現在のDVD−ROMのレベル以上にデータの集積度が増加したときや、データの検索手順が必然的にかなり複雑になるときに、さらに大きな問題となる。これが生じるとき、PR方式で生産されたディスクマスター特有の未加工問題は、超高集積度の利用をさらに制限するだろう。
前述した特有の未加工問題や、PR方式で生成されたピットがかなり急な側面をもって鋭いかどをしているのが普通であるという事実は、再生産されたスタンパーから娘ディスクを分離する際に困難な結果を生じさせている。台形形状のピットがPR方式によって可能であれば、ピットにおける特有の未加工問題やかどが鋭い輪郭の問題は、本発明の以下に記載された方法によって幾分緩和できる。なお、これらの問題を完全に除去することは不可能である。
MO方式及びPC方式と、PR方式とを比較すると、PR方式のピット生産には熱が直接的には関与しない。熱は、単に、マスターディスクを露出する合焦された記録光源スポットから得られる光の集積である。その熱吸収はとても低く、入射光の光子が100万分の1というごくわずかなオーダであることから、ほんの少しだけ熱を吸収するその薄いフォトレジスト層は面材料の感光成分で占められている。それゆえ、PR記録手法は断熱のプロセスである。したがって、PR方式の記録書き込み手順は、他の(熱)光データ記録手法に関する最適な記録書き込み手順よりも、かなり単純であるのが一般的である。
染料ポリマーの光学的データ記録は、本出願の譲り受け人に付与した米国特許5297129号(以下、129特許と称する)に記載されている。PR方式と同様、染料ポリマーの光学的データ記録は、光学式データの記憶構造において3次元的に延びる微小ピット及び中間ランドのトラックとしてEFM及びEFMプラスでコード化されたディジタル又はディジタル化されたデータストリームを再生成するために用いられている。そして、同様に、それは商業的なCD−ROM及びDVD―ROMが押し出されるディスクマスターを生産するために用いられている。それはまた、MO、PC、CD−R、及びDVD−ROMを生産するトラッキング溝マスターを生成するために用いられ、そして(記録データを含む環状のCD−ROM部分に加え、さらにデータを後で記録できる光学式記録媒体のトラッキング溝を含む環状のCD−R部分を組み込んだ)「ハイブリッドCD」用のマスターを生産するために用いられている。
しかしながら、染料ポリマーの光学的データ記録は、PR方式とは異なり熱プロセスである。このため、これは、基礎となるPR方式とはまったく異なる物理法則を基に処理する。同様に、染料ポリマーの光学的データ記録は熱プロセスでありながら、3つのプロセスの薬剤が、MO方式及びPC方式と根本的に異なっていることを容易に知ることができる。
主な例として、ディスク構造に用いられる染料ポリマープロセスが、ディスク(あるいはディスクマスター)の熱感光性の活性記録層を選択的に除去する場合がある。この面は、熱吸収を最大限に促進するため、ポリマー(ニトロセルロースが普通用いられる)の混合や、その色がレーザ源と補色関係にある染料から構成される。
理論上、十分に大きなエネルギー転換ビームが用いられる場合、染料の容量を、少なくできるか又は完全に排除できるだろう。しかしその結果は、標準の染料ポリマープロセスと同一であろう。そして、これら「低染料」及び「染料なし」手法は、単に、汎用の染料ポリマー手法の一種であり、本発明の範疇に含まれるであろう。
主な文献は、ディスクの場合を記載している。しかしながら、染料ポリマーの光学的データ記録を基礎にしたときの原理は、本発明で行っているようなシリンダ、カード、及びデータウェハのような他の記録構造でも等しく適用されることが理解されるだろう。
ディスクの場合、普通はガラスやポリカーボンプラスチックであるディスク基板を支える面上に、(熱感光性の)活性層を回転しながら被覆する。活性層上の「頂上から」、書き込みレーザビームを外部に方向付ける「最初の面の記録」の場合、基板は、適当な強さと熱膨張特性を持っていることのみが必要とされ、活性層を構成する材料に適合し、かつ次の電流プロセスで用いられる物質に適合する。しかしながら、典型的な「2番目の層の記録」(例えば、CD−R、DVD−R、及び所定のディスクマスタリング)の場合、「底から」、基板を通って活性層又は基板側でない面付近で合焦されるように書き込みレーザビームを方向付け、基板の材料は、特定の書き込みビーム波長に関して適切なレベルにある透明度と反射率を処理する必要がある。そこでは基板の「底」面からの反射を低減するために、適当な逆反射コーティングを用いる。
ピットを形成する間(及びデータ検索の間)、ディスクは急速に回転している。ピット形成の線形速度を一定にするため、ディスク中心から書き込みビームまでの距離に反比例して、回転速度が連続的に変化する。PR記録の場合、これは、各ピットが所与の持続時間nTであるデータパケットを空間的に表している。そして、同じnT時間をもつ他のすべてのピットと同じ長さであることを保証し、同じ長さのすべてのピットを録音再生すれば、同一の出力値を生じることを保証している。
染料ポリマーの光学的データ記録という状況では、材料の排除は、(より小さな分子を形成するためにポリマーの化学的接合を破壊するという)分解の組み合わせ、すなわち、爆発(化学反応による材料の強大な放出)、流動的な流れ(可塑と溶解)からなるといわれている。そしてそこでは、熱誘導された膨張が、上部や形成されたピットの外に流出を生じさせ、変化した表面張力からの材料を部分凝固させる。
これらの効果及び排除における組み合わせの存在は、固有の染料ポリマー記録形状に依存してある広がりをもつだろう。例えば、最初の面でのディスクマスタリングの場合、材料が放出及び/または上方へ流出されるときにオープンピットが生成される。2番目の面でのマスタリング操作の場合、反射層が活性層の上方(基板上の書き込みビームの初期衝突位置から正反対の側の上)にあるのが普通であるが、反射層により保たれる材料の再凝固は、形成されたピットの中に後の崩壊として現れる。結局、CD−R/DVD−R(2番目の面)の場合、「ピット」は、実際には泡のようなガス化した隙間であり、その中の活性層材料が放出されるとき、変形率及び屈折率が反射層と基板との間で変化する。この隙間は、CD−ROMの(底からみると隆起部のような)ピットが読み出されるときと同じ方法で、個々の光学特性を「底から」読み出すことができることを示している。このようにして、通常のCDやDVDの録音再生装置からCD−RやDVD−Rを読み出すことができる。
いずれにしても、活性層の小さな領域の材料が移動媒体の熱閾値を超える時、排除が生じ始める。この熱閾値は、熱吸収によって誘導された材料の小さな部分の温度レベルであり、その大きさはエネルギー変換ビームに関連して動く。それは、例えば、時間的かつ空間的な書き込みビームの強さ、活性層の厚さ、ディスクの瞬間回転速度、染料ポリマー材料とその割合を構成する天然材料、ディスクの天然基板、及び周囲の状況等に左右される。これらのすべての要因をバッチごとに日ごとに変えることができる。
ストーブの上のポットの水へと類推することができるだろう。個々の水分子に誘導されたエネルギーとして生じた沸騰は、分子レベルに到達する温度閾値で、液体から気体へ物理状態を変える。いつ、どのようにして水が沸騰するかを確定する要因は、用いられた熱量だけではない。水の量と純度、天然性、水の容器の厚さ、及び周囲の状況といった他の要因も含まれる。
したがって、染料ポリマー手法に対して適用可能な書き込み手順は、(例えば、非常に異なるMOプロセス及びPCプロセスとは対照的な)物理法則と染料ポリマーの記録プロセスの特性とに基づく必要がある。そして、ブランクディスク及び記録状況の各集合に関する最適化が容易に行われるような柔軟性を提供する必要がある。
染料ポリマーマスター記録の場合、本説明も本発明もレーザ書き込みビームを使用するように限定していないが、レーザは厳密に合焦された書き込みビームを生成するのが普通である。イオンビーム、電子ビーム、及び他の多くの強烈な光学的または偽光学のエネルギー変換ビームを使用することもできる。(例えば、ダイオードのように)固体レーザの場合、コード化されたディジタルデータストリームは、その出力を直接制御しながら、レーザに対してドライブ入力を形成できる。これは、固体レーザがその入力に瞬間的に反応するためである。しかしながら、ガスレーザを用いる場合、ガスレーザは固体レーザと同等の速い入力波動には反応できないので、普通は外部変調を用いる。したがって、ガスレーザの場合、普通は、放出されたビームの道筋に介入させた手段によってレーザ出力制御を実行し、同様に、データストリームの入力又はその入力の派生によって音響光学的変調(「AOM」)を制御する。しかし、これら2つの手法の間には、本質的な違いはまったく存在しない。なぜなら、いずれか一方において、それは、変調されたディジタルデータストリームの振幅波で、活性ディスク層に照射するビームの大きさを最終的に確定するからである。当業者で既知の方法で選択した特定レーザ(又は他のビーム)の種類によって、その選択を要求とする。
照射する書き込みレーザは、ほぼ、円全体をまさに測定したガウスの(鐘型の)強度分布をもつ、本質的には円形の横断面、つまりエアリーの円盤を表すのが普通である。このエアリーの円盤スポットで光パワー全部の50%を占める同心円の直径は、普通、1ミクロンよりもさらに小さい。合焦されたスポットが「on」になるとき、その光パワーの意味をもった部分が染料ポリマー層に吸収され、照らされた小さな領域に熱を生じさせるようになる。そしてすぐに、注入された僅かな領域から熱が拡散し始めるだろう。十分長い期間(ナノセカンドの数十倍かそれよりも小さいくらい)、かなりの熱を染料ポリマー材料の微量(普通は、1立方ミクロンより少ない)と結合させる場合、その微量の移動材料の熱閾値が拡大し、排除が生じるだろう。
特に、CD/DVDマスタリングの場合、溶解または可塑し、そして形成されたピットから流出し始める材料部分が、ピットの冷めた頂上で再凝固するだろう。これは、上昇した縁、又はできたピットを囲む「路肩」を形成するだろう。ディスクはこの処理の間回転しているので、路肩のピットが延び、そして形成するピットの末尾の終わりで熱閾値が拡がるあいだ、延び続けるだろう。
CD又はDVDの記録速度では、染料ポリマー層のピット書き込みは、正確な断熱プロセスでない。つまり、光学的な活性層に作られる熱の一部が、複雑な排除プロセスの結果として元々生成された位置からある距離だけ移動する(拡散する)。この「熱塗布」は記録するピットの大きさと形状に影響を与える。したがって、染料ポリマーによるCD/DVD記録の場合、ピット及びランドのストリームを正確にトラックしかつ読み出すことを保証するために、その生成及び活性層の中の熱流出を厳密に管理する書き込み手順が必要となる。明らかに、光学的な書き込み手順が、活性層及び基板の物理的、流動的、及び光学的なパラメータと、合焦された記録スポットの形状とパワーの範囲と、ディスクが回転する際の速度の範囲と、nTパルス及び記録データストリームでの空間的な継続時間の範囲と、所望の特性及びピットの最終ストリームが最後にトラックされかつ読み出された時に得られる録音再生信号の耐性とに依存するだろう。
PRマスタリングの場合、CD又はDVDプレイヤーによる正確なデータ検索(つまり、個々のピット長及び中間ランド長すべての正確な確定)のために、書き込み手順は、ピット/ランドの切り替え検出を最適化すべきである。正確なピット/ランド検出を改良する1つの方法は、マスターディスクの各トラックに3次元の幾何対称を(つまり、各ピットの両端形状を互いに反映させるようにして)表すピットを生じさせることである。ピット/ランド検出を改良するもう1つの方法は、適当な前補償を用いて、デュティーサイクル及び/又はディスクマスターに記録された3次元マークの深さをディスクの各半径方向位置に基づいて調整することである。後述するように、これについては、米国特許5608711号、5608712号(ここでは、これらを「711」特許、および「712」特許と称する)のそれぞれに記載されている。これらの手法を個々に又は一緒に用いることができる。
正確なデータ検索は、正確なトラッキングも要求する。そこで、書き込み手順は、非常に正確なピットの形状及びランドの形状を付加的に提供し、あまり高価でないCD及びDVDの録音再生装置でさえも、それらが正確なデータ検索を実行している間、そのデータトラックに正しく従うことができるということを保証する必要がある。これは運の悪いことに、正確なデータ検索(高周波数「HF」)及び正確なpush−pull(「PP」)トラッキングの場合、予め記録されたCDすべてに要求されることではあるが、固有の基準が互いに排他的であるという事実によって複雑になる。同様に、未記録のCD−R及びDVD−Rの仕様において、PPの根本的なトレードオフ及び溝の反射率が存在する。ハイブリッドCD仕様でも同様の妥協が必要とされる。光学式データ記録手法の殆どすべてにおいて、2以上の検出要求の間に妥協が確実に必要となる。
染料ポリマー手法による書き込みピットのとき、書き込みビームは、その直径(つまり、エアリーの円盤内における一方の1/2パワー位置から他方の1/2パワー位置までの直径)が、生成されるピットの幅(従来は、ディスク面とピット基礎との間の中間で計測される)にほぼなるように合焦される。
仕様によれば、CDトラックピッチ(「TP」)は、1.5と1.7ミクロンの間にあり、通常は1.6ミクロンの値である。EFMでコード化されたCDピッチの長さは、普通、Tあたり0.3ミクロンであり、そこでのピットは、nT継続時間の入力データパルスを空間的に表している。(繰り返しになるが、深さの半分で計測された)CDピットの幅、及びそれを生じさせる書き込みビームの直径は、それぞれおよそ0.5ミクロン、つまりおよそTP/3である。他方、読み出しビームは、その幅のおよそ2倍、もしくは約1ミクロンの幅である。様々なレーザ波長がCD記録に用いられるので、ビームを合焦する対物レンズの有効口径は、ビーム源に関係なく同じ直径のビームスポットを生じるように選択されなければならない。その結果、用いられた器具とは無関係にピットは同じ幅になり、生じたピットを均一に読み出すことを保証する。スポットの直径dを、
によって定義する。ここで、λは真空中のビーム波長である。NAは有効口径であり、dは生じたスポットの直径である。例えば、CD録音再生装置の場合、λ=0.780ミクロンであり、NA=0.45ミクロン、したがって、
DVDの記録及び読み出しに関係する寸法は、CDに関係する寸法のおよそ50%であるのだが、同様な比率がDVDに用いられ、DVDマークの短いチャンネルのビット波長に対応している。おそらく、将来の高密度製品は、より短くて効果的な波長の書き込みビーム及び読み出しビーム、より小さなピット、並びにより狭いトラックピッチを用いながら、関連した比率を同じように用いるだろう。
殆どの染料ポリマーディスクマスタリングシステムは、DRAW手段を用いる。そしてこのDRAW手段により、形成されたピッチの読み出し能力をピッチが作られるときの実時間で決定できる。これらは、例えば、米国特許4809022号及び4963901号に記載されているように、ディスクから反射された光を検出し解析するモニタリングビームを利用するのが普通である。DRAWマスタリングは、関連分野の当業者にとってよく知られているものである。
ここで述べているように、HF検出及びPP検出でビームを分割する場合に、同一の読み出しビームを使用できる。しかしながら、両方ともにディスクから反射された光の測定に基づくため、HF検出及びPP検出は、正反対の法則に従って処理される。
HF検出の場合、反射光の測定は、データトラックを観測するピット及びランド部分間での反射コントラストである。これについての目標は、非常に暗く見えるピット領域と、非常に明るく見えるランド領域とを生じさせることにある。これは、ビームがピット/ランドを通過するときに、切り替わりを構成する設定レベルの検出輝度に到達し、明確かつすばやく通過させるためである。ピット/ランドの切り替わりが非常に正確に検出される場合、これは対応するピット長及びランド長の確定が厳密になり、これによりもともとの情報を信頼性高く再生成することができる。
望まれるHFの最適化は、λ/4に等しい効果的なピッチ深さ(各ピットが通常は染料ポリマーの排除プロセスによって生じたカーブした底面を処理することに注意)で実行される。ここで、λは、(ディスクが2番目の層から読み出されるのが普通であるために)基板材料中のレーザ読み出しビームの波長である。これは、回折によってまだ錯乱されていない小さな割合の入射光を干渉によって効果的に相殺しながら、反射された光をπ(180°)シフトしたフェーズを生成するだろう。これに対し、本質的に平らなランド領域からは、入射光の100%近くが反射される。各ピット/ランド切り替わりで検出される反射光における変化がλ/4のピット深さで非常に急になり、正確なHF検出を容易にする。
これに対し、PP検出は、一般的に、ピットから回折される光の量を垂直方向に関する角度で計測する。これは、既知もしくは観察されたディスク面の反射率により正規化される。したがって、前述したように、CDの場合、PP検出はトラック軸の長手方向の片側での検出光に関する振幅を比較することになる。π/2フェーズシフトを生みだす効果的なλ/8の溝深さはむしろPP検出を最適化し、λ/4の溝深さ及び対応するπフェーズシフトがHF検出を最適化する。前述したように、PP検出と、CD−R及びDVD−Rにおける未記録な溝の反射率の決定との間には、基準において似たような矛盾が存在する。ハイブリッドCDのような他の光学式データ記録でも、似たような矛盾が表われる。
これらよく知られた問題のために、あらゆる光学式データ記録の書き込み手順の開発に関して、「価値ある形状(Figure of Merit)」の概念を広く用いるが、主な引用はデータディスクマスタリングに対して行われている。この価値ある形状(Figure of Merit)は、設定された標準に対するあらゆる適合度を計測する重み関数である。予め記録されたCD及びCDマスターの場合、そのおもな構成要素は、HF検出での振幅、PP検出での振幅、及び記録されたデータトラックの半径方向に関する隣接部分間の混信の最小値である。つまり、光学式データ記録における書き込み手順を開発する最終目的は、価値ある形状(Figure of Merit)を最大にすることである。
129特許、711特許、及び712特許は、複製ディスクの改良データピット構造によって、価値ある形状(Figure of Merit)の最大化に向かう重要なステップを提供するが、それらはもう一つ重要な構成要素であるトラッキング精度を重要視していない。
ヨーロッパ特許、EP0837454A2号(ここでは、「Schoofs」と称する)は、過度にHF検出を妥協することなくPP検出を改良した範囲について論じている。提案された解決手段は、書き込みパルス間の書き込みビームの強度を移動媒体の熱閾値以上のレベルに維持することである。これは、連続するピット間に点在するランド領域の中に細く浅い溝を形成する。そしてそれは、HF(つまり、ピット/ランド切り替わり)での検出精度において負の効果が願わくは殆どないピット間で、PPトラッキング信号の強さを大きくする。
Schoofsで示される手法は、およそλ/8の深さにランド溝を作ることができるので、PP最適化基準を満足する。しかしながら、これは熱閾値に近い書き込みビームの強度を小さくすることによって達成されるので、生じるランドの溝はどうしても非常に細く、実際には、HF検出を最適化する溝よりも幅広な溝で光学式PP検出を実行することから、PP検出を妥協している。更に、SchoofsによればHF検出を重要に位置付けていない。Schoofsが教える論理的な拡張は、より良いトラッキング溝を幅広くするために、ピット間でのビーム強度を更に大きくすることであり、溝を深くすることによってPP検出を妥協し、そしてまた検出がより困難なピット/ランド切り替わりを生じさせることによってHF検出を妥協している。したがって、価値ある形状(Figure of Merit)全体において、提案されたPP改良を否定的に釣り合わせている。
それゆえ、HF検出や他の仕様にあまり妥協することなく、データマークの全トラックに沿ったトラッキング検出を最適化することによって、光学式データ記録ディスク、ディスクマスター、及び3次元マークを表わす他の光学式記録構造における価値ある形状(Figure of Merit)を信頼性よく改良する方法、装置、並びに生じるピット及びランドの幾何学的形状が要求される。
さらに、横断面を改良したデータ形状の光学式データ記録構造が要求される。その結果、データトラックを読み出すとき、トラック及び隣接トラック上でデータ構成間の混信が少なくなる。これにより、価値ある形状(Figure of Merit)を改良することになる。
CD−R、DVD−R、MO、PC及びプリグルーブが刻まれた他の光学式データ記録構造を改良するトラッキングの方法、装置、及び溝の幾何学的形状の要求もある。
これに加えて、光学式データ記録構造のマスタリングのデータ形状を改良する要求がある。この結果、スタンパー面の望まない割れ目に密着した材料から生じてしまう複製エラーが少ない状態でスタンパーから複製ディスクを分離することができ、これにより、複製プロセスにおける繰り返し精度を改良する。
米国特許第5297129号明細書
米国特許第5608711号明細書
米国特許第5608712号明細書
米国特許第4809022号明細書
米国特許第4963901号明細書
便宜上、後述する議論は、主に、1以上のトラックのピット及び中間ランドとしてEFMのコード化データを表す染料ポリマーのCDマスタリングを中心にするだろう。前述したことにあわせ、本内容のすべての方向はディスクそのものに引用される。したがって、「半径方向」という語は、ディスク平面において、ディスク中心に向かって又は外に向かっていくことを意味する。また、「垂直」という語は、ディスク平面から上へ向かって又は下に向かってということを意味し、「接線」という語は、ディスク平面におけるディスク接線方向に沿って又はディスクの環形に沿ってということを意味する。データトラックのセグメントに関し、微視的レベルでみればデータトラックは直線に見えかつ半径方向に近接したデータトラックは平行に見えることから、「縦軸の」と「接線方向の」とは同義である。そして、「半径方向の」と「横断の」についても同様にして同義である。また、「連続」が複数のピット及びランドを意味することから、ピットのトラックは、連続する多数のピットと介在するランドとを意味する。ピット/隆起のトラック、又はトラッキングの溝/うねは、ディスクの環の回りの円、又はディスクの円弧を生成する。このような形状は、巨視的にみれば「円形」としてみなされるだろう。
本発明が本説明に限定されない手段によってなされることを説明するために、前述した説明中での広範囲な議論に従って、他の実施形態がもっと簡潔に議論されるだろう。
図1及び129特許に関し、スピンドルモータ3により、データが記録されるディスク1を回転し、速度コントローラ5により、スピンドルモータ3を制御する。ガスレーザ7は、特定の波長の書き込みビーム9を形成する。本実施形態の場合、ガスレーザを使用するので、書き込みビームは光学変調器11を通過し、光学変調器11は、波形生成回路31からのライン10のドライブ信号に従って、その書き込みビームの大きさを変える。前述したように、例えば、光学変調器11は、AOM又はより速く反応するEOM(電気―光変調器)である。光学変調器11を出たビームの変調振幅は、ドライブ信号の振幅を表わし、ドライブ信号のDCバイアスと未変調のビーム9の大きさとにより制御される平均強度を有する。
変調ビーム13は、ディスク1に向けて方向づけられ、かつ適当な光源によって活性面43上のスポット15に合焦される。これらの光源は、対物レンズ17及びビーム拡張レンズ(例えばコンデンサー)19を含んでいることが望ましい。ビーム拡張レンズ19は、対物レンズ17の有効口径を満たすために変調ビーム13を広げる。このスポットの直径が(CD記録の場合で)およそ0.5ミクロンであるように、対物レンズの有効口径値(NA)を選ぶ。それは、現在用いられている典型的なレーザビームの波長に適合する。スポット15がディスク1の中心の半径方向に移動可能なように、搬送体21上にそのレンズをマウントする。これは、当業者が通常よく用いる汎用変換ドライブシステム23によって達成される。
あるいはまた、図1及び図2は、変換システム23によって制御されたスポット15の半径方向の動きを示すが、ディスクの回転軸が静止している間ではその逆が正しい。つまり、搬送位置を固定し、ディスクの回転軸を半径方向に変換できるようにディスク装置を動かして、書き込みプロセスのタイミングパラメータと調和させる。他の場合としては、正確なトラッキングとみなし、ディスクの回転中心に関してビームを連続して動かし、所望の狭いらせんデータトラックを生成する。
好ましい実施形態では、129特許に記載されているように、波形生成回路31により、光学変調器11用のドライブ信号を生成する。その目的は、EFMによるコード化データパルス及び中間の「off」空間のシーケンスを、得られるドライブパルスのシーケンスに変換するためであり、そのトレーリング(trailing)領域は、振幅において変調下り勾配をそれぞれ表す。例えば、この変調くだり勾配は、直線性の傾斜、急激な減衰、次第に下降する振幅又はダブルステップ(中間ステップは、トレーリング領域開始時で1/2の「on」振幅である)の連続を含む。また、トレーリング領域で他の変調下り勾配の属性を用いることができる。変調トレーリング領域の下り勾配の目的は、活性の染料ポリマー層43の場合、形成されるピットのトレーリング領域で熱生成を起し、ドライブパルスが、振幅において「on」の書き込みレベルから「off」のベースレベルまでの急降下を表す場合に、他の場合よりも徐々に減衰させることであると理解されている。便宜上、所望の結果を生み出すあらゆる変調トレーリングエッジの下り勾配の属性を、ここでは「傾斜(ramp)」としても相互に呼ぶことにする。
このようなトレーリングエッジの傾斜(ramp)の効果が、形成されたデータピットのトレーリングエンドを先細にさせることとして129特許に記載されている。レーザパルスのリーディング(leading)エッジの後(つまり、活性層43でのスポット15の初期励起)、移動媒体に充分な熱蓄積の作用を受ける前は、短い時間が要求されるので、ピットリーディングエンドをすでに先細くするだろう。通常行われるように、パルスのリーディングエッジでレーザパワーを押し上げることによって、このリーディングエンドの先細りを幾分丸めることができるが、完全に排除することは本質的に不可能である。したがって、次第に広げられる先細りは、対応ドライブパルスの開始後、ピットのリーディングエッジで形成されるだろう。次に、レーザパルスのトレーリングエッジでの振幅における変調下り勾配が、ピットのトレーリングエッジでの徐々に狭い先細り内に生じ、リーディングエンドの先細りをミラーリングするだろう。これは、選択的に先細りされたピットのトレーリングエンドとリーディングエンド間で幾何学的な対称性を作り出し、129特許で示されているように、ピット−ランド切り替えでのHF検出を容易にさせる。
もちろん、本発明は129特許に含まれている内容に依存せず、129特許の原理を含まない場合でも、本発明が示す例による改良がもたらされる。しかしながら、本発明の内容が129特許の内容と組み合わさる場合、重要な効果が示されることがわかっている。
あるいはまた、トレーリングエッジの傾斜、又はドライブパルスの他のトレーリング領域の下り勾配の実行に合わせて、711特許及び/または712特許に示された修正版を用いている。これらの改良の1つ、いくつか、又は全部を用いた結果が、HF検出を改良し、その結果、価値ある形状(Figure of Merit)を大きくする。
波形生成回路31は、記録するためのデータを受信するために入力33を含み、かつ、変調ビーム13の平均強度を調整用としてドライブ信号のバイアス制御を受信するために、入力35を含む。ディスクに関するスポット15の直線速度を一定に保つためにディスクの回転速度が変化するので、信号生成システムは、瞬間相対速度の信号表示を受信するために3番目の入力37を含み、それは速度制御器5から生成される。
ディスク1は、基板41と、その上に覆われる活性(染料ポリマー)層43を含む。活性面上の沈殿物から塵や他の不純物を防ぐために、活性層と対物レンズとの間に透明な部材45を組み込む。また、透明な部材の内部に活性層を作ることもできたり、又は特定の環境及び優先に従い、ディスク1の他の都合の良い構造の要素を選択することができる。図1や第2番目の面の記録で示したように、それは最初の面の記録を特徴付けることができる。
固体化された(例えば、ダイオード)レーザ7’を用いる場合に適用される構成が示されていることを除き、図2は図1と同一である。実際、固体レーザはドライブ信号の入力に瞬時に反応することができるので、どんな外部光変調器もこの場合必要としない。むしろ、波形生成回路31’からの出力が、ライン10’を介して、レーザ7’用のダイレクトドライブ信号を構成する。ここで、レーザ7’から変調信号13を直接出す。
図1に示された実施形態の場合、1つの波形生成回路31を示している。もちろん、適当な中間集約回路を介して、光学変調器11を正確に駆動する複数の波形生成回路が存在することもある。同様に、図2に示した実施形態の場合、複数の波形生成回路31’又は波形生成回路内の複数のサブ回路を用いることもできる。後者の何れかの場合、入力33’から及び/または他の入力(不図示)から、所望の合成レーザパルスの各部分(例えば、所望の形状に関する、パルスのリーディングエッジ又はその近くで大きな振幅、リーディングエッジ遅延、又はトレーリング領域の振幅を下り勾配傾斜)を形成するそれぞれを実行することができる。中間要素(不図示)によりこれらの構成要素を集合させることができたり、又はライン10’を介してレーザ7’へそれらすべてを送ることができ、レーザ自身が集合要素として動作することも可能である。
(矢印がディスク回転の方向を示す)図3に示すように、2つの代替的なレーザの実施形態のいずれかによれば、延長されたデータピット50のトラック生成が結果となる。それぞれがリーディングエンド54と、トレーリングエンド52、及び主な部分53を示し、ピット軸64に沿って縦軸方向に広がっている。129特許の内容に従って作られる場合、図3から分かるように、先細りになったリーディングエンドのミラーイメージとして、データピットのトレーリングエンドを先細りにするだろう。図3で示された延長ピットエンドは、前に定義しかつ129特許及び本発明の引用で用いた汎用的な先細り概念に含まれる1つの典型的な形状を示している。これは、幾何学的に対称な所望の先細りのピット形状を提供し、ピット−ランド切り替えでの正確な検出を容易にし、これにより連続したピット及びランド長の信頼性のある検索を改良し、ディスクに記録されたオリジナルなデータを再構成及びデコードする。繰り返しになるが、129特許が教示する方法を、HF検出を改良する711特許及び/または712特許が教示する方法によって置き換えたり、又は合わせて使用することができる。
図3は、単一のビーム(PP)トラッキングを示す。ここで、単一のリードビーム60は、HF検出及びPP検出のための光源として用いられる。このビームの反射を汎用の検出器(不図示)に適切に通し、そこでは前記ビーム反射を2つの等価な半回路構成に分割するのであるが、ビームのトラッキング方向と平行な分割によって分離させる。すでに述べたように、HF検出は、2つの検出器の出力を集めることによって、ディスク面から垂直に反射した光の連続した振幅を観察することを含む。そして、検出された光の量が設定値に達するとき、ピット−ランド切り替えを記録する。膨大な量の光が意味することは、読み出しビームがランド領域上にあるということであり、過少の光が意味することは、読み出しビームがピット上にあるということである。PP検出は、1つの検出器の出力を別の検出器の出力から差し引くことによって、2つの検出器で受けるディスク面からの回折光を比較することを含み、2つの半円が等価な量の読み出しを行うまで、サーボフィードバックを行って読み出しビームを半径方向に容易に動かす。図3は、読み出しビーム60の直径が、普通、ピット50の幅のおよそ2倍であることを示している。
図4は、よくある3ビームトラッキングシステムを示している。ここでは、3つのビーム61、62、63を用いる。中心ビーム61は、図3に示した単一ビームトラッキングシステムにおける読み出しビーム60に一致する読み出しビームである。前方のビーム62は、トラッキング装置のトラッキング軸のある片側方向に、トラックピッチ(TP)のおよそ1/4をオフセットしたものである。一方、後方のビーム63は、他の側方向に、同じ量だけオフセットしたものである。前述したように、近隣のデータトラック又はトラック部分における半径方向の軸間距離であるTPは、図に示すようにピット幅の約3倍であるのが普通である。単一ビームトラッキングと同様、中心ビーム61からの反射は、分割されずHF検出のためだけに機能する。トラッキングセンサからのトラッキング検出は、(ビーム62及びビーム63からの)他の2つの反射と結合する。そして、トラッキング軸がピットのトラックの縦方向軸64と一直線に揃うまで、連続して半径方向の適切な調整を行う。単一ビーム及び3ビーム構成によるHF検出及びトラッキング検出は、当業者ではよく知られおり、それぞれの装置を説明したり又は議論したりするまでもないだろう。
図5は、すでに述べた染料ポリマー手法により作られるピット50の断面形状を示している。図5には、ディスク面68上のバーム70a、70bが示されている。前述したように、これは、ピットを生成することによって生ずる自然に連続した排除プロセスの可塑性要素(plasticization component)である。ともかく、これらの存在は、価値ある形状(Figure of Merit)を制限する。これらバームの存在が、ピットの有効フェーズの深さを変化させていることに留意されたい。合理的なトラッキング信号により効果的なHF検出が行われるようにするため、この基本形状におけるピット深さは、ディスク下面からピットの底近くの位置までを測定すれば、およそ3λ/16となる。これは、(λ/4の深さを要求する)HF検出を最適化することも、(λ/8の深さを要求する)トラッキング検出を最適化することもない。
図6は、本発明の好ましい実施形態によって実行されたピット及び中間ランドの改良形状を示したものである。図6は、比較的幅広で浅い谷75が、連続したピット及びランドの縦軸方向に沿って存在していることを示している。この谷の幅は、ピット50の幅よりも大きい。したがって、この改良による増大した谷の幅によって、PPのトラッキングが容易に行われる。それは、幅広のピットが検出されるときと同じように、単一のビーム検出器によって検出されるだろう。更に、このような単一ビーム環境の場合、最適な、比較的狭くて深い光学ピットを与えることによって、PPトラッキングとの矛盾した要求にかかわらずHF検出をPP検出とは独立して改良でき、比較的幅広で浅い谷を与えることによってそのHF検出を個々に最適化することができる。比較的幅広で浅い谷の中のこのような狭いピットは、半径方向で隣接するデータトラック間のHF混信を減少させる付加価値(価値ある形状(Figure of Merit)の一要素)を提供する。これは、HF検出及びPP検出の個々の最適化、混信の減少、及び本発明の実施形態を特徴づける価値ある形状(Figure of Merit)における論理的な改良である。
実際、この方法によってHF検出をさらに改良することができる。後述する手法によって谷75を作る場合、図7に示すように、完全に除去できないが、バーム170a、170bの高さを大きく減じることができる。これは、その有効フェーズの深さが最適値λ/4付近で一致するようにできるピット形状を提供し、本発明によってもたらされる改良なしに行うことができる。したがって、HF検出器は、ディスク面自身をみるとともに、谷75の底77をみている。そして、正確な幅のバーム(平らな部分)が少ないピット、及び所望のπフェーズシフトを提供する有効フェーズの深さを事実上みている。同時に、PP検出器は望ましい幅広のピットをみるだろう、そしてその有効フェーズの深さは、最適化のためにPP検出のπ/2フェーズシフトで必要とされるλ/8に近い。
図7は、ピット50の深さdに対するバーム170a,bの高さhの比率が、図5に示した断面の比率よりもかなり小さいことを示し、それは本発明のどんな改良も組み込んでいない。これらの垂直寸法は、右側のバーム170bが谷レベル177の上へ上昇しはじめる垂直インデックスレベルの位置177から測定される。価値ある形状(Figure of Merit)を改良するのと同様に、バーム高さを減少させることがこのように実現され、また、スタンパーにみられる浅い割れ目にぴったり張り付く傾向のある材料の量を減少させることによって、マスタリングの正確な複製を容易に行う。
また、図7から、さらに小さなバーム175a,bが谷75のそれぞれの端で、ディスク面68より隆起していることがわかる。しかし、これらはPP検出又はHF検出において殆ど効果がない。
図6に示すように、谷75そのものは、λ/8の有効深さで、ピット及びランドのトラックにおけるランド領域で続くことができ、図8に示すように、全幅で安定した深さの谷の幅広で平らな底77を供給することによってピット間のトラッキングを容易に行う。これは、Schoofsによってほんの一部示された問題を解決するだろう。Schoofsによって開示されるランド領域の溝は(移動媒体において、閾値ちょうどの状況を作り出すために、ピット間の書き込みビームの大きさを減少させることにより生成される)、PP検出を最適化するためには狭すぎる。そして、論理的な拡張をすれば、ピット間の溝を幅広く(かつ、深く)する場合、書き込みビームの大きさを極端に小さく減少させることによって、ピット/ランド切り替えのHF検出を妨げるものとなるだろう。さらに、各ピットは、その反射がディスク面の反射と一致しない狭い溝の中よりも比較的平らな谷底で終わるので、Schoofsの形状よりも、図6に示される形状の場合に、ピット/ランド切り替えをより正確に検出することができる。
実際、谷の中に作られるピットの幅のパラメータをわずかに大きくするとともに、谷幅のパラメータをわずかに大きくするように調整することによって、図9に示すようなバームの少ないピット50を作ることができる。これらのパラメータは、ビームの大きさ及び直径を含み、後述する結果を達成するため、それぞれ又は組み合わせて調整することができる。
谷幅の正確な選択は、新たな谷の2つのバームを1つに形成することを可能にし、すでに形成した半径方向に隣接する谷における隣接したバームの下方向の傾斜に重なる。つまり、2つの隣接したバームは、隣接する谷の間で平らな頂上領域を作るために結合される。このプロセスは、そこで繰り返すとともに、半径方向に隣接する谷をさらに作るときに繰り返す。この結果、半径方向に隣接する全トラック部分間で平らな領域が生じる。
谷の中のピット幅の正確な選択は、その中に作るピットにバームが生じると、同様な方法で新たな谷を除去する。作られた谷よりもわずかに狭いピットを生じさせるようにパラメータを調整する場合、新たなピットの片側に作られるバームは、その谷の下向きの傾斜により一致するだろう。これは、ピットのバームの双方を除去する。
この結果生じる状況は、谷及びその中に作られたピット状況の重なりとなる。それゆえ、事実上、これら2つの調整から生じる谷は、幾分幅広でかつ今よりもバームの少ないピットとなる。この結果は、繰り返し実験を通して生じることが示されており、パラメータの完璧な調整によって最適化されるだろう。
図9は、本発明の後の実施形態を示している。前述したように、この実施形態では、谷がまったく存在しておらず、生じるピット50は、本質的にバームがなく、一方の側に浅い傾斜が備わるようになる。これは、HF検出を妥協しないPPトラッキングができるようにしている。浅い側の傾斜により、垂直線からはなれた大きな割合の入射光を反射させ易いので、トラッキング検出を改良する。しかし、ピット深さを従来の3λ/16に維持するので、HF検出を妥協することはまったくない。最終結果は、本発明の目標である価値ある形状(Figure of Merit)の総合的な改良にある。
同様に、バーム高さの減少、特に、前述したように、パラメータの慎重な選択によるバームの効果的な排除が、隣接したデータトラック間での混信を少なくするだろう。これは、特に、比較的狭いトラックピッチを描く現在及び将来の用途に真実である。
したがって、PP検出を容易にする付加した谷がなくても、本発明によってCDマスタリングにおける価値ある形状(Figure of Merit)を改良することができる。さらに、図9に示すような、谷無し、バーム無しピットが、未記録のCD−R/DVD−Rマスタリングのようなプリグルーブ用途にとって殆ど理想に近いものであるのに対し、図7に示すような実施形態は、ある特定の用途にとって好ましくないものであろう。
本発明者は、本発明の様々な実施形態を実行するための多数の手法、及びこれに対応する装置を開発した。谷の形状を伴いながらこれらをまず説明する。
例えば、ディスク1が回転する間、書き込みビーム13、13’をディスク1の活性面43上に当たる2つのビームに分割するにより、ピット及びランドのトラック全体にそって谷75を実行することができる。あるいはまた、ランド期間(つまり、1つのピットの書き込みパルスのトレーリング領域エンドから、次のピットの書き込みパルスのリーディングエッジの開始まで)の間のみ、谷の書き込みビームを活性化することができる。希望するならば、状況及び優先が指示するとき、ピットの書き込み処理の間、任意の期間の任意の時点で、谷の書き込みパルスを選択的に活性化しかつ非活性化することができる。ピット(またはトラック部分)の書き込みトラックの処理全体の間に、谷の書き込みビームが「on」状況に維持されない場合、ピットの書き込みビームと連携した谷の書き込みビームを活性化させるために、いくつかの手段を提供する必要がある。後述するように、図13〜16に示すように、光学的変調信号10から又はレーザドライブ信号10’からの出力を供給することによってこれを容易に行うことができ、谷の書き込みビームの経路で光学的変調を制御し、適切な従来の回路によって2つのビームの活性を同期させる。
図10は、重要なピット又は溝(グルーブ)の書き込みビーム102及び谷の書き込みビーム103を重ね合わせ、その結果、それらを含む谷によりデータマークまたは溝を同時に生成する状況を示している。図10に示すような接線方向の断面からみると、ピット50a、b、c及び中間ランド65a、b、cの連続が、ディスク1の基板41によって支えられる光学的活性層112内に作られているのがわかる。ここで、ピットは、形成された谷75の中に完全に入っている。つまり、ピットの上側面は谷の内部にあって、上部面114(ディスクの非記録面)の下にある。図10に示す実施形態の場合、データトラックのランド部分65a、b、cが、同様に谷の内部に含まれている。
図10に示した実施形態の場合、谷の書き込みビームは、全記録を処理する間、「on」状態である。繰り返しになるが、データトラックに沿って谷状態にするランド領域65のみを作るために、連続するピット間で相当する期間のみ谷の書き込みビームを選択的に活性化する。これは、ピット間のトラッキングを除き、HF検出またはピットのトラッキングにおいて何の効果も有していない。つまりランド領域では、前述した理由のための改良を行う。後述するように、他の実施形態では、谷の書き込みビームを生成する手段に対応して制御された入力によって、谷の選択的な形成がなされることを含んでいる。
図11は、谷の書き込みビーム103が、重要な書き込みビーム102を導いているということだけが、図10と異なっている。他の全ての点については、この実施形態は、図10に示した実施形態と同じである。そして、図10に関する全ての説明が、図11の場合に等しく適用される。
図12は、重要な書き込みビームが、谷の書き込みビームを導いていることを示している。ここでは、最終的に存在する谷の形成の前に、ピットを形成することを示している。後で作られる谷の効果は、それらの構成を著しく変えることなく、形成されたピットからさらに材料を一様に除去することである。それは、それぞれの形状を維持しながら、すでに形成されたピットを新たに形成された谷へ押し込むようなものである。
図10及び図11に関する全ての説明が、図12に対して等しく適用される。そして、溝(グルーブ)マスタリングにおけるトラッキング溝の生成に、同じ手法を用いることができることがわかるだろう。図12に示した実施形態の場合、ビーム102によって初期に形成された溝が深くされるだろう。つまり、断面形状を著しく変更することのなく、谷の書き込みビーム103の連続効果によって、上面114より下の光学的活性層112内に位置を占めるようにできる。
これら2つのビームを作りかつ制御する手法を、以後説明する。
図13は、図1に示した装置に、ガスレーザ及び外部の光学変調器を利用することにおいて一致する本発明の重要な実施形態を示している。ここで、書き込みレーザ7からの出力ビームはビーム分離器100に入り、ビーム120とビーム121との2つにそれぞれ分けられる。ビーム120は、1次的な(ピット又は溝)書き込みビームである。ビーム121は2次的なビームであり、前者がデータ書き込みビーム102のソースであるのに対し、後者は谷の書き込みビーム103のソースである。ビーム分離器100への入力の1つは、2つのビームの強度比率を所望に確定する信号104である。このようなビーム分離器は、本技術分野でよく知られているものであり、例えば、(1)偏向ビーム分離器と組み合わさった半波長板、(2)音響光学装置、あるいは(3)偏向ビーム分離器と組み合わさったエレクトロ光遅延器に基づいている。
1次的なビーム120は光学変調器11に入力し、図1の中で前述した波形生成回路31によってその動作を制御される。その構成は、図13及び波形生成回路への付加的な入力に示されている。データマーク形成であろうと、連続又は非連続のグルーブ(溝)切断であろうと、その発明が当業者の通常の知識で用いられる他の用途であろうと、波形生成回路は、用いた装置の特有の操作によって入力を単に誘導する。
波形生成回路31からの出力の1つは、ビーム分離器100で方向付けられた信号131であり、広がりとビーム分離操作のタイミングとを制御する。特定のアプリケーションの場合、ビーム分離器は実質的には連続して生じる。他方、入力ビームを2つの出現ビームにすぐに分けることが望まれている。すでに示した波形生成回路31、又はビーム分離器への他の入力、又はビーム分離器100に対する入力である強度比率のソースへの入力によって、この動きを制御することができる。この入力の目的が明らかなので、当業者であればそれを達成する他の手段を容易に思いつくであろうと思われる。
ライン133を介し、他の光学変調器123によって2次的なビーム他の光学変調器123に導き、同様に、制御する。この光学変調器からの変調ビーム124を反望遠鏡130へ導く。その目的は、ライン132を介して入力されるビーム幅比率に従ってビーム直径を所望の量に減少させることにあり、出力ビーム125を生成する。1次的なビーム122及び出力ビーム125は、ビームコンバイン器135で結合される。このビームコンバイン器135の目的は、次のプロセスのために2つのビームを揃えるようにすることである。ビームコンバイン器は、既知のものであり、誘電性のビーム分離器を含む。あるいは、適当な角度(およそ45°)で設定された半銀めっきのミラーが用いられる。
2つの出現ビームはコンデンサーレンズ140を通過する。コンデンサーレンズ140は、(2次的なビーム125から派生した)谷の書き込みビーム103、及び(1次的なビーム122から派生した)データビーム102を広げ、そして両ビームを対物レンズ145に導く。コンデンサーレンズ140に導かれる出力ビーム125を生成するために、反望遠鏡130は、変調ビーム124を狭くするということが思い出されるだろう。この狭さのために、谷の書き込みビーム103は、対物レンズの入力中心を完全には満たさず、そのNAを事実上減少させ、後者がデータビーム102と同じ位小さなスポットに合焦されないという結果により、それは対物レンズ145を満たす。図6に示すように、ディスク面43での2つのビームに関連する直径が、ピット50の幅よりも大きな幅の谷75の形成を生じさせる。ディスク1は、スピンドルモータ3によって回転し、スピンドルモータ3は一定の直線速度を保証するために適当な速度制御器5で調整される。
もちろん、2つの最終ビームの実際の寸法は、反望遠鏡130の還元ファクター、及び2つのレンズ140,145のパラメータの正しい選択において、上流プロセスを調整するパラメータに明らかに依存するだろう。同様に、要求された光学性のすべてまたは選択的な部分が、図1及び図2で示した搬送体21の機能及び目的に類似する装置(不図示)によってサポートされるだろう。あるいは、前述したように、データトラックがディスク上に正しく位置付けられることを保証するため、ビーム及びディスク軸間の相対的な半径方向の動きを行うための他の手段が供給されるだろう。しかし、これらの手段は、ここでの且つ関連する分野での技術に基づく当業者の技量の範囲内である。
図14は、図13で示した発明と同一の形状を示している。しかし、図2で示した装置に関して、図14ではダイオードレーザを用いている。もちろん、図13で示した光学変調器に関する説明を除いて、図13で用いた全ての説明は、図14で示した実施形態に等しく適用される。図13及び図15のように、谷の書き込みビーム103は、ディスク1の活性面43に合焦される。しかしながら、谷の書き込みビームの小さなNAのせいで、データピットの幅を所望に広げた谷を作るために、そのスポットサイズは1次的なビーム102のスポットサイズよりも大きい。ほぼ0.5ミクロンのピット幅のCDの場合、ディスク面での谷の書き込みビームのスポットサイズは、ほぼ1ミクロンである。
図15も、本発明の他の実施形態を示している。CD―Rブランクのマスタリングにこの必要性があり、マスターディスクに作られるらせんトラッキング溝で必要とされるディザーを生成する。本実施形態は、その目的のために一組の光学偏向器を含んでいる。本実施形態の他の全ての要素は、(溝を一定の大きさのビームによって主に作ったので、波長生成回路が存在していないことを除き)図14に示した対応する要素に一致する。
図15に示すように、1次的なビーム122のパスの間に第1の光学偏向器150を組み込む。その目的は、ライン151を介して入力されるATIP(プリグルーブの絶対時間)の動きによってそのビームを選択的に振動させることにあり、トラック書き込みビーム102に生じるであろうディザーした1次的な出現ビーム162を作り出す。前述したように、このATIP入力は、CD−Rマスタリングでありふれた既知の方法で、らせん溝に導かれる正確なディザーのためのパラメータ全てを含むだろう。第2の光学偏向器155は、(ライン156を介した)同一のATIP入力信号によって同様に制御され、ビーム124に対して所望のディザーを同様に誘導する。光学偏向器155は出力ビーム161を生成し、出力ビーム161は反望遠鏡130を介して、2次的な出現ビーム163を作る。その結果、谷の書き込みビーム103を生じさせている。好ましくは、光学偏向器150、155はともに、音響光学偏向器であることが望ましい。もちろん、両方の偏向器を慎重に調整しかつ重みづけする必要がある。そして、光学偏向器150、155に対するATIPのディザー信号が、前述したように単一の発生源から生じる場合には、両方の偏向器は最良に機能を発揮する。
本内容に基づく本技術分野における通常の知識によって、谷の書き込みビームの大きさを変化させて、その変化量にあわせて谷の深さを変えられることが理解できるだろう。例えば、ビームの大きさのバリエーションは、反望遠鏡130へ導かれる出力ビーム161のレベルの大きさを選択的に制御することによって達成され、反望遠鏡130は2次的な出現ビーム163を生じさせる。これは、レーザパワー及びビーム分離器100へ入力する強度比率の選択によって行われる。いずれにしても、前述したように、活性層においてある効果をもたらすようにするため、谷の書き込みビームの最終的な大きさを容易に選択できるようにし、それは、最大限の深さの谷を生成することを、単にバームの除去手段に変える。後者(バーム除去手段)は、移動活性層43に、その熱閾値をわずかに上回る熱生成レベルを生じさせるのに十分なだけの大きさのビームを要求するが、前者(最大限の深さの谷を生成すること)は、相当の大きな強度を要求する。所望の結果を生み出すこれらの調整は、ここでの内容に基づいて、当業者の通常の能力の範囲内でうまく行われるものである。
染料ポリマーの光学式データ記録によるこれら明白な事実は、トラック軸の横断面からみたとき、谷の書き込みビームによって作られた谷と等しい他の全ては、カーブした底を持つ傾向があることで示されるだろう。これは、1次的なピットの書き込みビームのように、本質的に円形な断面形状のビーム強度は、中心に近くなると最大になるという直径に沿ったエアリーの円盤分布に近似しているためである。しかしながら、図8に示すように、特定の例の場合、特に、谷の底に沿ってλ/8フェーズの一様な深さを与えることによってトラッキングを改良することができるとき、底がより平らな谷が望ましい。
図16は、トラックに沿った谷及びピットの書き込みビームに関する相対的な動きが行われるあいだ、谷の書き込みビームにディザー(つまり、ピットのトラック軸の反対側に急速に振動させること)を生じさせることによって、比較的底の平らな谷を生成する装置を示している。外部の光学変調器を要するガスレーザを用いた図1に示した装置に関連し、図16が図13に示された構成に向いていることに留意されたい。当業者であれば、その内容を図2(つまり、図15で示した実施形態)に示す装置にあわせることは容易に行えるであろう。そこでは、本内容と当業者に良く知られた原理に基づいて、ダイオードレーザを用いる。
図16は、実際には2つのモードを有する装置である。CDマスタリングモードの場合、CDマスタリングがディザーの形成を全く必要としないので、ライン151、256を介したATIP信号が非活性化される。CD−Rマスタリングモードの場合、ATIP信号が活性化されるが、光学変調器11,123は、トラック形成プロセスのすべて又は任意の間中、選択された一定の大きさのビームを単に運んでいるだけである。そのどちらの場合でも、ライン260を介した光学偏向器155への入力は、通常の信号結合器220から出ており、信号結合器220への入力は、その際いずれかの信号を活性化することができる。
図16に示す要素全ては、すでに説明している。そして、(図16の外部の光学変調器11、123の挿入、ガスレーザ実施以外に、)図15及び図16に示した実施形態との間での重要な相違点というのは、ライン231を介して光学偏向器155へ付加的なディザー入力があるかないかである。CD−Rマスタリングモードの場合、このディザー入力は、光学偏向器により2次的なビーム124に複雑な振動を起こさせ、その複雑な振動とは、比較的ゆっくりしたATIPのウォッブルと、より速いディザーとの組み合わせである。従来の振動回路によりこのディザー入力を供給し、当業者がよく知っている方法を用いて波形生成回路31からの出力で調整する。
ビームコンバイン器135からの出力は、コンデンサーレンズ140を通って対物レンズ145上に向かう2つの重なったビームを構成する。対物レンズからの出現ビームは、2つのビーム191,192である。(実線で示した)ビーム191は、ディザーしないビームであり、ディスク1の活性面43上の位置193に合焦される。(破線で示した)もう一つのビーム192は、ディザーするビームであり、位置194に瞬時に合焦される。しかしながら、ビーム192がディザーするので、その合焦の位置は、(ディスクの半径方向に、つまり、図16の上下方向に)急速に動き、例えば、ディザーしないビーム191の合焦位置193を横切ったり再び横切ったりして、位置194に到達する。ビーム191の合焦位置の片側に対するディザービーム192の合焦位置の半径方向の極端な動きはミクロンオーダものであって、図16では、この範囲の動きを明瞭に表すためにより大げさに表現していることが、当業者の通常の知識によって理解されるだろう。
本発明の他の本実施形態の場合、ディザーは全く起こらず、比較的底の平らな谷が、図13〜図16に示した反望遠鏡のために、回折格子(又はフェーズの回折格子のような、普通に回折させる他の要素)の代わりをすることによって生成されている。その回折格子は、ビーム分離器100からの谷の書き込みビーム124を互いに少しだけ移動させた2つの像に変換し、それらは一緒になって光学活性層に入射する単一の拡がったレーザビームを構成する。
図17に示した実施形態は、図14(ダイオードレーザの実施形態)に基づくもので、わかりやすく表現するため、ビームの相対合焦位置を大きく離して示している。説明を簡略化するためのダイオードレーザの例を選んでいるが、本発明の内容ではビーム源の性質が重要ではないので、外部の光変調器を備えたガスレーザの実施形態が、図17の基礎を形成することが理解されよう。
今、図17を参照すると、谷の書き込みビーム124が、ビーム分離器100から出現し、光学装置200を通る。望ましい実施形態において、光学装置200は、注文設計された回折要素である。その目的は、入射ビームを、互いに少しだけオフセットがある一組の出現ビーム201a、201bに分割することである。当業者の通常の知識によれば、代替的な光学装置に置換しても本目的を達成できることは容易であろう。図17への挿入に示すように、これら出現ビームのそれぞれは、前述したようにほぼガウス(Gaussian)の強度断面を有しているので、互いの小さな変位は、(変位軸に沿った断面プロットにおける)その大きさの特性が殆ど直角な結合ビームで生じる。
わずかに変位した出現ビーム201a、201bは、ビームコンバイン器135の1次的なビーム122と組みあわさり、その出力はコンデンサーレンズ140を通って、そこから対物レンズ145へ行く。したがって、3つのビーム102、202、203は、回転ディスク1の活性面43上で合焦される。ビーム102は、1次的な書き込みビームであるが、ビーム202及びビーム203はともに谷の書き込みビームである。これら3つのビームは、活性面上の位置211、212、213でそれぞれ合焦される。図17では、これを詳細に示すために、スケールを無視して描いていることが容易に理解できるだろう。そこでは、実際に、ビーム202及びビーム203が、活性面で重なり合っている。この挿入図に示すように、ビーム102は重なりの中心に合焦する。この平面で微視的にみる場合、半径方向に拡がるという事実は、(谷が生成される)片側でよりも(ピットが描かれる)中心で、その強度が大きくなる長円形的な光のスポットであろう。
図17に示した実施形態は、ビーム分離器100の手段によって、ピットの書き込みビーム122、及び谷の書き込みビーム124をそれぞれ分離することに基づく。しかしながら、図18に示すように、単一のビームの使用によって同様の結果を達成することができる。
ここで、図13に示した実施形態の場合、レーザ7はビーム120を放ち、ビーム120が光学変調器11に向かう。図18において、波形生成回路31によって光学変調器11を制御し、波形生成回路31の入力は、回転速度、フォーマット及びデータ入力信号を含む。光学変調器からの出力ビーム122は、図15及び文中に示した光学偏向器150に完全に類似する光学偏向器221に向かう。その目的もまた類似していて、ビーム122を、ディスクの半径方向に(つまり、図18の上下方向に)選択的にディザーした出力ビーム222に変換する。この選択的なディザーは、波形生成回路31からのディザー出力信号231によって生じる。出力信号231の瞬間的な振幅は、光学変調器11から放たれたビーム122の瞬間的な振幅と正確に一致する。従来の電気集積装置220によって、そのディザー信号を(CD−Rマスタリングモードにその装置があるときに活性化される)ATIP入力とあわせ、その出力は、光学偏向器への入力260となる。偏向ビーム222は、コンデンサーレンズ140及び対物レンズ145を通り、ディスク1の活性層43の移動位置280に入射する合焦ビーム270としてあらわれる。ディスクが回転するとき、(動きを示すため、ビーム270、270’、及び270’’として示した)このビームは、ディスク面上に半径方向の複雑なディザーパターンをトレースし、その面に所望のピット、隆起、谷、溝、及び/またはうねを生じさせる。
光学変調を制御する同一の波形生成回路31によってディザー信号を生成するので、ディスク1が連続的に回転する場合、波形生成回路への入力は、結局、瞬間的な強度、及び書き込みビーム270からの合焦スポットの活性層43上の半径方向位置を同時に決定するだろう。したがって、波形生成回路へ正確な入力信号を作ることによって、それはここで引用した参照及び文献の内容に基づく通常の当業者の知識の範囲内であるのだが、回転ディスクの活性層に非常に複雑なトレースをらせん状に記録できる。それは、マスターディスクからスタンパーを生成し、これにより生成できる場合、多量の再製作に変換できる。
例えば、CD/DVDマスターのピット及び中間ランドのトラックにおいて、更に正確なピットを形成するためにこの技術を簡単に適用することができる。ここで、光学パラメータ及び書き込みビーム波長の正確な選択によって、ビームを比較的小さなスポットに狭く合焦する。ディスクが回転しているあいだ、(ディスクの半径方向の)ある範囲内で非常に速くその小さなスポットをディザーし、データトラックに書き込まれる各ピットの幅に一致させる。前述したように、その長さに沿って各ピットの所望の幅が変化するとき、ディザーの範囲は正確に変化する。トラック内のピット間で、光学変調器は、次のピットの開始までビームを消している。染料ポリマー媒体の場合、熱塗布は、平面及び断面からみて、生じたピットが正しく形成されることを保証する。比較的微小なビームの急速で正確に制御されたディザーなので、データトラックに従う単純な書き込みビームの場合よりも、より正確なピットを形成することができる。
2番目の例では、連続する谷の中にデータピットのトラックを生成することができる。ここで、2次派生的な信号がピットを生み出すディザー信号と重ね合わせられ(つまり、加えられ)、その2次派生的な信号は、連続したピット及びランドがディスク上に存在するような谷を作り出す。(移動媒体の熱閾値を僅かに超えて熱流入を起こす)谷の形状と整合するビーム強度の増分によって、谷の深さを決める。そして、2次派生的なディザーの範囲によってその幅を決める。前述したように、2次派生的なディザーの振幅を正確に制御することにより、実質的に谷を殆ど形成することなく、バームを取り除くことができる。
3番目の例では、トラッキング目的のための谷をピット間にだけ作ることによって、ピットのトラックを前述した方法で生成することができる。ここで、前記例で述べたように、ピットを生み出す信号と、谷を作る信号とが重ね合わせられる。しかしながら、この例の場合、トラッキングを促進するために僅かに重ねるが、ピット/ランド切り替え、つまり弱HF検出を不明瞭にしないようにするための時間を定めて形作ることにより、ピットを作るディザー信号が消滅するときのみ、谷を作るディザーを活性化する。
4番目の例では、一定のディザー範囲で、適当な大きさを有するディザー信号を供給することによって、CD−Rマスタリングのために連続した溝を作ることができる。なお、そのディザー信号の上に、ATIPのウォッブル信号を重ねる。
これら全ての例において、ピットまたは溝の所望の幾何形状(又は隆起又はうねの幾何形状)を実際に生成する従来の方法によって、ディザー範囲及び瞬間的なビーム振幅を制御する。さらに、本内容や関連する文献に基づく当業者の通常の知識によって、本発明のディザーの実施形態を拡張することができ、フォトレジスト露光の3次元的な大きさを正確に制御することによってPRマスタリング技術を改良する。また、PRプロセスの固有的な粗い特質を除くため、及び/または、生じたピットの断面形状における傾斜の非連続性を少なくしたり可能な限り除くようにしたりするために、後者の内容を用いることができる。
述べてきた本発明の幾つかの実施形態を効果的にするため、図13、16、及び18では、書き込みビームとしてガスレーザを用いている。一方、図14、15、及び17は、固体化されたレーザを用いている。前述したように、ガスレーザが外部変調を要求するのに対して、固体レーザを実行する場合、レーザ自身は、様々な入力信号のための集合要素として機能し、所望の大きさの書き込みビーム特性を作り出すために組み合わされる。もちろん、ガスレーザ及び固体化レーザの両方の場合に、追加した図の数に等しい実施例を示すことができる。しかしながら、効果的な実施例を提供することにより、当業者であればこれらすべての実施例を実現することができるであろう。そして、ガス又は固体レーザのいずれかの場合で適当な電気回路を提供することで、本発明の範囲内のその他多くのことが本記述の情報に基づいて行われるだろう。
ガスレーザかそれとも固体レーザの使用という実行する上での選択は、実施者の残された設計の選択であるのが、少なくとも1つの重要な違いがある。ガスレーザ手段は外部の変調器を要求するので、レーザビームからの各ビーム分裂は分離してそれぞれに変調される。それゆえ、例えば、図13に示した実施形態に基づくと、ミラーのような従来のビーム偏向手段を与えることによって、データ書き込みビーム102と谷の書き込みビーム103との間に、書き込みタイミングの差を実現することができ、2つのビームの1つを選択的に生じさせて、他方のビームよりもデータトラックに沿った異なる位置に合焦させることができる。図10に示すように、2つのビームを一致するように生じさせたり、あるいは図11及び図12に示すように、1つのビームを他のビームで誘導するように生じさせたりする。例えば図14に示すように、固体レーザを書き込みビーム源として用いる場合、少なくとも、一組に調整した分離変調レーザ、又各レーザ用の外部変調器を提供することなくこれを遂行することは、さらに困難である。
図19〜22が窪むのではなく隆起した形状を示していることを除いて、図19〜22は、図5、7、8及び9にそれぞれ一致する。対応要素を同一視するとき、図19〜22が表す内容は、図5、7、8及び9に示す記号の内容に一致するが、各符号の値は対応要素の値に300を増加させている。図20をみると、隆起部分rを増加の深さcと比較し、図7のh/dに一致するようにその比率を決定する。本発明によれば、比較的大きなr/c値が、比較的小さなh/d値と一致し、バーム減少を示すことが容易にわかるだろう。
繰り返しになるが、本発明の主な目標は、前述した様々な態様において、価値ある形状(Figure of Merit)を増大することにある。そして、HF検出を改良することによって、またはPP検出を改良することによって、またはその両方によって、他にどのような詳細事項も要求することなく、これを実現することができる。もう一つ別の目標は、深さと、スタンパーの割れ目の媒体に残る必然的な結果とを減少させることによって、より正確な複製を供給することにある。染料ポリマープロセスで普通に生成されたバームの除去(またはかなりの減少)により、HF検出及び複製の正確さを改良することができるので、後述する実現手法は、その目標を満足するだろう。
発表された文献が、染料ポリマープロセスのような熱に基づいた光学式データ記録によって、光学式データ記録媒体に3次元構成の形成プロセスを自然に生じさせようとするこれらのバームを、実質的に引用して含んでいることが明らかではない。「熱に基づく」ことによって、我々は、通常、光学的(例えば、レーザ)ビーム、または準光学的(例えば、イオンやエレクトロン)ビームが、ビームによって局所的に生成された熱の結果としてほぼ一様に構成された層の中や上に3次元構成の形成を生じさせるプロセスに注意を向ける。これは、PR方式のような純粋な光学手法とは対照的である。そこでは、マーク形成を最後にもたらすのが、ビームによって生成された熱ではなく光の量である。つまり、MO方式及びPC方式は、3次元構成の形成を生じさせない。そして、例えば前述したFeyrer特許に開示されたコンセプトを生じさせない。多重に構成された層の中にその構成を生成し、それゆえ、その構成は構造内で一様でない。
熱に基づく光学式データ記録プロセスにおけるバーム形成を引用した文献不足にもかかわらず、本技術分野の通常の知識によれば、ここでの教示内容の考察によって、バーム高さの削減がHF検出を改良することを理解されるだろう。そして、これらのバームを実際に除去することができる場合に、大きな改良が実現されたことを特に理解されたい。
ここに開示された本発明の技術を用いることによって、インデックスレベルから開始する垂直方向の探知が全く困難であるポイントに対して、これらのバームを減少させることができる。つまり、ここで教示された技術を用いることにより、当業者は、実際はバームを欠いた、熱に基づく光学式データ記録プロセスによる、データピット又は隆起及びトラッキング溝の3次元構成を生成可能なことを期待できる。それに比べて、一例としてピット形成についていえば、我々はこれら技術から離れた染料ポリマー手法のような従来の熱に基づく光学式データ記録技術が、バーム形成においてあらわれ、ピット深さに対するバーム高さの比率が少なくとも1/3、普通はもっと大きいことを知る。従来の技術手法を用いることによっては、我々はその比率を約1/4よりも小さくさせることはできていない。同様に、従来の技術手法により生産された光学式データ記録媒体の実験では、約1/4より小さな比率は、観察されていないし、対応する寸法を合理的な正確さで表示することを意味する従来のどんな図にも約1/4より小さな比率はあらわれていない。
(例えば、図7の符号177のような、バームが半径方向の端の1つで隆起し始める垂直位置として定義される)インデックスレベルからの垂直方向距離と逆の方向にあるバーム高さ(図7のh)、及びピット深さ(図7のd)を測定しながら、我々は、ピット深さに対するバーム高さの合理的な最大比率をみつけ、ここで教示した達成可能な技術を介して、先行技術を介して、達成された結果はおよそ25%であることを選別する。すなわち、ここで教示した技術は、ピット深さに対するビーム高さの比率がたった25%しかないピットの生成を促進するものだが、従来技術ではこの結果を達成できていない。とりわけ10%の比率又は20%の比率であれば、ここで教示した技法の適用なしでは達成できないことが明らかである。
すでに示唆しておいたが、隆起又はうね形成の場合、それは、陥没深さcに対する隆起の上昇rの比率、つまりr/cを考えなければならない。それぞれの測定が、バーム/ピット比率(h/d)の場合のように同じ垂直方向で行われる場合、所望のc/r値は対応するh/d値の逆数となる。したがって、隆起/陥没の場合、所望の構成がインデックスレベルの上方で生じ、それは、本発明によって達成できる結果を先行技術により得られる結果から分離させる最小値c/rである。それゆえ、隆起形成の場合、その分割比率は4であり、この比が大きい値というのは、本発明によってもたらされる更なる改良を示している。つまり、4以上のビーム/陥没比率(r/c)は、25%のバーム/ピット比(h/d)又はそれ以下に対応する。
したがって、3次元構成の種類を考慮しないが、窪みで分けられた隆起によって前記比率を安定して計算する場合、25%よりも小さな比率、及び先行技術に委ねた中間値をもつ4よりも大きな値によって、本発明は先行技術から区別される。
もちろん、PR方式による光学式データ記では、バーム又は陥没を全くあらわさないのが通常である。なぜなら、そのプロセスが熱に基づくプロセスでなく、かつPR手法による3次元のマークの形成にはどんな材料の除去もないからである。そのプロセスは先行技術に存在するので、本発明による光学式データ記録構造は、PR方式を用いたときの自然な結果とは区別される必要がある。例えば、その構造を作る熱ベースの光学式データ記録手法を引用するという制限を表すことによって、PR方式を除く様々な方法でこれを達成することができる。
さらに、仮に3次元構成の生成手法が明確でない場合も、熱に基づく手法が実際の傾斜に不連続性を全く表さない断面形状を有するような形状を作るという事実は、PR方式によって作られた形状と、熱に基づく手法によって作られた形状とを区別する傾向にある。エッチングプロセスから生じるという事実のために、PRのマスター及びスタンパーの3次元構成がとがった角を表すので、これは、それぞれの手法によって作られたマスターとスタンパーを確実に区別する。しかしながら、正確な手順よりも少ない手順によって複製されるとき、PR方式で生成されたディスクは、熱に基づく手法の特徴を更に有する滑らかな断面の輪郭を表す3次元構成を含むことができる。そして、まだ今のところ、そのような複製には、バームまたは陥没が全くあらわれていない。
したがって、生成の手法が特定されていない特別の場合、それは、h/d比率における実質的な零値、及びこれに対応するr/c比率の無限大値を排除し、本発明によって特徴付けられた光学式データ記録構造体を従来技術から区別することが必要となる。
染料ポリマープロセスは、本質的に、前述した本発明の実施形態によって軽減されるバームの形成を促進する傾向にあるのだが、このプロセスが滑らかになった連続傾斜のピットを生成する傾向にあるという事実は、うまく制御された場合に好都合になる。
活性染料ポリマー層を形成することに用いられたポリマーの接着構造体は、染料ポリマーの光学式データ記録プロセスの場合、排除によってバームを生成する範囲に大きな効果があることを我々はみてきている。特に、我々は、構成要素であるモノマー及び選択可能な交差結合(cross-linking)の正しい選択によって、重合プロセスそのものの慎重な管理が、染料ポリマーの混合を作ることを発見した。それは、活性層43に用いるとき、完全に排除されない場合に、所望の滑らかさと傾斜の連続性とを維持しながら、バームの生成問題を大きく低減するだろう。
特に、普通のニトロセルロースのような長連鎖ポリマーは明らかな傾向を表わし、光学面内で相互にスライドする、つまり、染料ポリマーの書き込みプロセスの間、移動媒体の熱閾値を超えると可塑化することを認識してきた。これは、溶融または柔らかくなった材料が、形成されたピットから上方へ流れようとし、かつピットの上縁にバームとして再凝固しようとすることを引き起こす。染料ポリマーの光学的ディスク書き込みの場合、従来普通に用いていた熱塑性ポリマーが、その目的に理想的に適しているとはおもえない。一方で、熱セッティングポリマー(つまり、柔らかくするというよりも硬くするもの)は、熱の選択的応用例として好都合である。
一般に、我々は、本質的に弱い接合状態のモノマーを選択し且つ正しく重合する場合、排除プロセスを含む更に望ましい他の要素を可塑化が起きる前に生じさせることができることを認識してきた。我々は、可塑化プロセスの場合、普通の熱塑性ポリマーを熱セッティングポリマーに変換することによって、ニトロセルロースのような便宜上用いられる一様なモノマーの選択的な交差結合(cross-linking)が、同様な有益の成果を達成することができることも発見している。あるケースでは、バームを実際に排除するために、重要な結果となる。
我々の経験的な考察を通して得られる特に有益な点を以下に示す。
(1)適切な紫外線(UV)の使用は、樹脂を生じさせる。本手法によれば、一般に、光学的活性層は、適したUVイニシエータにより、アクリル系またはポリエステル系の樹脂を含む。UVイニシエータは、混合重量が30%以下で構成され、(前述したように、)その色が書き込みレーザの色と補色関係にある染料である。そして、光学的活性層は、混合を生じさせる意味ある量をもった適当な溶剤、例えば、アセトン、MEK、トルエン、キシレン及び/またはブチル基のセロソルヴを含む。この溶剤は、ディスクマスターの基板上で回転被覆される。基板上で被覆され且つ乾燥すると、製造仕様で示された時間の2倍の量のUV光にその面をさらし、可塑化の熱閾値が分解の熱閾値を実質的に超える面を生じさせる。具体的には、例(1)の割合は、重量によると、Diacure SD−17アクリル性の低重合体が30%、染料が2%、ブチル基のセロソルヴが68%である。
(2)触媒反応の使用は、樹脂を生じさせる。一般に、ポリウレタン或いはポリエステル樹脂、またはそのモノマー両方の組み合わせは、その色が書き込みレーザの色に補色する染料で混合されている。例(1)のように、染料の重量は、混合重量全体の30%以下である。適当な触媒(例えば、混合総重量の1%以下の量のブチル基過酸化物)を加える。例(1)に示すように、数少ない候補の溶剤のために、適当な溶剤にその生じた組み合わせを溶かし、基板上で回転被覆を行う。その面が乾くとき、それは、閾値特性が例(1)に示されたものと一致する光学活性層に硬化する。例(2)の割合は、Desmophen R221ポリエステル樹脂(73グラム)、Desmodur N100(27グラム)、Zinc octoate(0.2グラム)、ブチル基のセロソルヴ(120グラム)、染料(10グラム)である。
(3)熱の使用は、樹脂を生じさせる。一般に、ウレタン、メラミン、及び/またはフェノールのプリポリマーは、適当な色及び量の染料で混合される(例(1)及び(2)参照)。例(1)で特定したグループから選択した適当な溶媒、及び/またはアルコール、及び/または適当なエステルは、生じさせた混合物を溶かし、基板上で混合物の回転被覆を生じさせる。回転被覆が行った後、およそ150〜200°Cの範囲の温度で、およそ1時間半、ディスクマスターを焼く。例(3)の割合は、Reichold Beckamine#21−505(10グラム)、染料(1グラム)、ブチル基のセロソルヴ(89グラム)である。
ほぼ一様な構成の適当な光学的活性層をディスクマスターに用いることができる3つの主な手法を説明するためにだけに、これらの例を与えた。その基準は、生じる面が、分解の閾値よりも十分に高い可塑性開始の熱閾値を表すということである。その結果、その面のピット書き込みが面の最小の可塑化で達成され、作られたピットからの流出によってバーム形成を生じさせる。好ましくは、十分な可塑化が滑らかな輪郭を作るように起きるだろう。
実際、我々は、分解の閾値が可塑化の閾値よりも幾分下である場合に、バームの高さ及び幅の減少が同時に起こるだろうということを発見している。このようなバーム幅の減少は、半径方向に隣接したトラック部分の間の混信を減少させるだろう。そしてまた、トラック部分の書き込みが、半径方向の隣接部分上になるという結果を減少させるだろう。図23を参照すると、前述した3つの例が、幅bwのバームの中に生じていることがわかる。半分の高さのh/2で測定された幅bwは、およそ100ナノメータかそれよりも小さく、従来の公式により達成可能な典型的な120+ナノメータバームの幅よりもかなり小さい。そして気づくように、このバーム幅の減少は、バーム高さの減少に対応して生じる。
また、我々は、製造業者の仕様を超えて、熱又は紫外線硬化のポリマーの場合、硬化時間及び硬化温度を増やすことにより、かつ触媒作用で硬化した混合物の場合、補助的量の触媒を用いることにより、十分な交差結合(cross-linking)を促進する場合に、特に、バームの高さ及び幅で、実質的な減少を達成することができることを発見した。このような増加は、前述した例に含まれている。特に、これらの例の場合、我々は、指定硬化時間を2倍にすること、及び硬化温度を増加して仕様グラフの上限を超えること、及び指定した触媒の割合を2倍にすることは、バーム寸法における実質的な減少をそれぞれに生じさせる。これらの十分な交差結合(cross-linking)技術及び2つの熱閾値基準が、個々に、バームの減少を改善する。一緒に用いれば、さらに強まるだろう。
本発明の態様が関連する分野における当業者の通常の技術によれば、実質的に完全な交差結合(cross-linking)を達成するための提案されたステップを付加するしたり又は付加することなく、2つの熱閾値基準の範囲内で、且つ、例中で提供した技術に基づいて、当業者が用いる特別の応用例に適した詳細な手法を容易に開発できることが信じられている。例えば、別の溶媒を単独に、又は所望のものと組み合わせて用いることができる。要望どおりに(または、前述したように、十分なパワーのビームを用いる場合は、排除されるものとして)特有の染料を選択することができる。様々な構成モノマー、または他のプリポリマーを選択し若しくは組み合わすことができ、又は他の種類を代用して所望の結果を達成することができる。他の触媒を選択することができる。乾燥及び、硬化する時間及び/または状況を要望どおりに変更することができる。あるいはまた、化学的な硬化樹脂を用いたり、他のエネルギー源(例えば、放射能)を硬化のために用いることができる。例の中で述べられた任意の方法へ更なる変化を導入することができるが、それは、所望の結果をもたらすため、経験的実験を通して示される手段を説明するためだけに意味がある。
モノマー又は他のプリポリマー、及び交差結合(cross-linking)プロセスのこのような慎重な選択が、改良結果をもたらし、かつ実際に、染料ポリマー光学式データ記録の間、残りのバームを「消去(burn off)」するための谷を付加することなく、バーム形成を排除することができる。連携してこれらを用いる場合に、改良された価値ある形状(Figure of Merit)の全結果を増大することができる。そして、前述したように、本質的に、バームの減少または除去にこれを用いるかにかかわらず、谷を形成する手段がPP検出における同様の改良をもたらす。したがって、同じ問題に対する一対の解決として、重合及び谷の書き込み手順を考えるべきである。
染料ポリマーの光学式データ記録に、非常に重要な強調を置いている。しかしながら、本発明を明らかに示すコンセプトは、この手法に制限されるものではない。実際、3次元マークの生成及び検出に基づいた光学式データ記録手法に様々に用いることができる。例えば、まったく熱プロセスでないPR方式にも用いることができる。
PP検出が価値ある形状(Figure of Merit)の主な構成要素であることを思い出すと、PP手法−HF手法における不都合な問題は、PRディスク記録にも存在する。PR領域の場合、HF検出またはPP検出のいずれかでなされる改良は、価値ある形状(Figure of Merit)を改良する。そして、本発明を明らかに示すコンセプトは、まさにそのような改良をあたえることができる。
PR方式は熱に基づいた手法ではないが、熱閾値の場合にはある閾値を含んでいることに留意されたい。熱染料ポリマープロセスのように、この閾値はピット形成に生じるプロセスを開始する。PR方式では、入射光の大きさがちょうど移動媒体の熱閾値上にあれば、フォトレジストの露光は、非常に浅いレベルで生じるだろう。光の大きさが増すほど露光も深くなり、その結果、ピット深さがその後に発達する。前述したように、谷の書き込みビームは、PRプロセスでは光学的に用いられ、染料ポリマー状況において熱で成し遂げられた結果と一致する結果を達成することができる。このように、PR光学式データ記録プロセスにおいて、書き込みビームがピットの露光ビームと谷の露光ビームとに分裂する場合、2つの構成要素であるラジアル構造が、まさに染料ポリマーでそうであるように、最終ディスクに生じるだろう。また、前述したように染料ポリマーでそうであるように、ピットの露光ビームよりも小さな大きさをもつ更に大きなサイズに谷の露光ビームを合焦することができる。あるいは、狭くかつ強烈に合焦し、そしてディザーしたり又は狭く配置され重なり合った多数のビームに分けることができる。あるいはまた、1つの複雑なディザービームを用いることができる。これらの結果を実行する装置は、染料ポリマー状況に関してここに示されかつ記載されたものと実際には同じであるので、個々に考察する必要はない。確かに相違点はあるが、これらは当業者の設計範囲内に過ぎない。
窪んだ構成(例えばピット及び溝)が、議論の主な主題になっていた。しかしながら、同様の考察が、隆起、土手、あるいはうねのような突き出たマークの形成に適用される。このような上昇した構成を生成する装置及び手法を個々に議論する必要はない。なぜなら、CD−ROM/DVD−ROMスタンパー、またはCD−R/DVD−Rマスターは、前述した装置及び手法によって紹介されているピット、谷、または溝それぞれへのマスターの補足的な(つまり、ミラー)イメージだからである。それゆえ、ピット、谷、及び溝の形成に関連して記載した手法及び装置は、隆起、土手、及びうねの形成においても同様なものとなる。
前述したように、正確な逆転、及び光学式データ記録構造体の活性層に当たるビームの大きさを制御する波形の処理を単に行うことによって、窪んだ構成と同じくらい容易に上昇した形状を生成することができる。一般的な手法によってその面の残りを除去するとき、上昇した形状が維持される。
確かに、そのような上昇した構成を光学的な記憶構造内に直接生成することができるというここでの内容に基づく又は密接に関連した他の手法が存在する。しかしながら、それはここでの内容に基づいた当業者の設計範囲内であると考えられ、本発明から離れることはないであろう。
PR状況の場合、露光時及び開発時に、すべてではないが除去される露光エリアに生じるであろうものとしてフォトレジスト材料を単に選択することによって、ディスクまたはディスクマスターに上昇した構成を生成することができる。このような選択的なプロセスは、普通に行われ本技術分野ではよく理解されている。このため、PR方式の光学式データ記録、及び上昇した構成をもつディスクマスタリングに対する本発明の技術例は、トラッキングうねの対応に関して特に単純であり、それは、前述した2次派生的で、光学的閾値に近い種類の露光を要求する。
もちろん、書き込みビーム及び読み出しビームは、レーザ源以外のもので同様に発生させることができる。例えば、エレクトロンビームまたはイオンビームを用いることができる。そして、それらは、確かに、本発明に適用可能な他のビーム源であり、それらのいくつかは、実現化を図る上で、将来の科学的開発が待望されている。しかしながら、これらレーザによる代替手段のいくつか及び全ては、本発明の範疇に収まるものである。そして、必要に応じて変更した装置及び/または方法による実行は、本発明の請求の範囲と同じに過ぎない構成である。
最後に、光学式データ記録構造体のマスターだけでなく、マスターから複製されたスタンパー、及び中間段階の構造体あるいはマスターから直接的に複製されるようにスタンパーから複製された構造体にも、本発明の改良をみることができることについて留意されたい。中間段階か最終段階かにかかわらず、このような複製のすべては、本発明での改良した構成を表し、すべては本発明の概念の範囲内に含まれるものである。
多くの代替及び修正は、本発明の精神と見地から離れることなく、本技術分野での設計範囲内にある。それゆえ、説明されかつ図示された実施形態は、例の成果のためにのみ定められるのであって、請求の範囲によって確定されるのと同じような制限としてとられるべきではないと理解されなければならない。
本発明に記載されている詳細な説明、及び様々な実施形態に用いられた用語は、通常定義された意味として用いられるのみならず、明細書、構造体、材料、あるいは作用での通常定義された意味を超えた特別な定義によるものも含んでいる。明細書の文中で1以上の意味を含むものとしてある要素を理解することができる場合、請求の範囲でのその用語の使用は、明細書及びその用語自身によって支えられる可能な限りの意味として包括的に理解されなければならない。
それゆえ、請求の範囲の用語または要素の定義は、文言どおりに定められる要素の組み合わせのみならず、同様の結果を得るための同様の方法において、同様の機能を成し遂げる、等価な構造体、材料、または作用を含んでいる。
現在知られまたは後に工夫されるような、本技術分野の当業者の知識によって示される請求の範囲の事項から離れた実質のない内容が、同一の成果を獲得するのに同じ方法でまったく同じ機能を形成するものではないが、請求の範囲と等価のものとして明白に意図される。それゆえ、本技術分野の通常の知識で既知の代替が、現在または後に、定義された要素の範囲内でなされるだろう。
このように、請求の範囲は、前記で詳細に説明し図示したこと、概念として等価なこと、明らかに代用されること、及び本発明の本質的な考えを含むことのために理解される。