JP3776157B2 - 可変焦点カメラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焦点調節動作と倍率切換動作とを同一の駆動機構によって行う可変焦点カメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、可変焦点カメラにおける撮影レンズの移動は、図7に示す如く行われている。すなわち、図7において矢印A,Bは、横軸をレンズの移動量、縦軸をレンズを移動させるズームリングの回転角とした時の各レンズ群の移動経過を示している。そして、撮影画像は、凸レンズユニット41、絞り兼用シャッター42、凹レンズユニット43を通過し、撮影画面44に合焦される。
【0003】
ここで、焦点距離を変化させる為に上記ズームリングを公知の駆動源により回動させると、その回動により、公知のヘリコイドあるいは円筒型カム等の手段により凸レンズユニット41および凹レンズユニット43が、それぞれ矢印AおよびBのような軌道を描いて動く。このように倍率調整をした後にレリーズ動作を行うと、公知のAF機構によって測距が行われ、その機構に基づいて、レンズのピント調節が行われるが、その時は凸レンズユニット41、絞り兼用シャッター42および凹レンズユニット43を一体的に動かさねばならない。この場合、別の駆動系を使って一体に動かすか、あるいは付勢されたバネ等に従って全体を繰出するような動作が必要となる。
【0004】
前者の別の駆動系を使用する場合は、別の駆動源や別の駆動系が必要となり、カメラ全体が大きくなってしまうばかりか、コスト高の原因となる。後者のバネを使用する場合でも、例えば巻き上げ動作に連動したレンズ鏡筒のチャージ機構が必要となり、前者と同様の結果となっている。
【0005】
このような問題を解消するために、同一の駆動機構によって変倍と焦点調節を行うものが、特開昭61ー259210や特開昭63ー287833等によって開示されている。ここで、特開昭63ー287873は、短焦点距離(以下、WIDEという。)と長焦点距離(以下、TELEという。)の両位置での焦点調節のみを行うものである。また、特開昭61ー259210は、2位置のみならず他の位置でも合焦を行うようにしている。すなわち、この特開昭61ー259210は、撮影レンズの移動を模式化した図8に示すように、凸レンズユニット51、絞り兼用のシャッター羽根52、凹レンズユニット53、撮影画面54からなる。そして、上側に描かれている図がWIDE状態でレンズピントが∞に合っている状態の図で、下側がTELE状態で、レンズピントが最至近に合っている状態を示す。また、その中間に示されている矢印C〜Hは、右側に描かれているズームリングの各回転角に対する各レンズユニット51,53の光軸上の位置を表している。すなわち、矢印C〜Hは横軸をレンズの移動量、縦軸をズームリングの回転角とした時の各レンズ群の移動経過(軌跡)を示すものである。
【0006】
まず、上図のWIDEでレンズピントが∞に合っている状態よりズームリングを30°回転させると凸レンズユニット51、シャッター52および凹レンズユニット53が図8のように一体的に移動する。このため、矢印Dの間は撮影レンズ系の倍率に変化はなく、ズームリングの回転により、WIDE状態のままピントの調整が行われ、30°の位置でレンズピントが最至近距離に合う状態となる。撮影者がもう少し倍率を上げたいということで、ノーマル(以下、NOMという。)モードに切換えるとズームリングは90°から135°の間で測距情報に基づいた位置に停止する。
【0007】
すなわち、ズームリングの回転が90°の所に来るとNOM状態(TELEとWIDEの中間倍率の状態)で∞にピントが合ったレンズ位置となる。この状態からさらにズームリングを回転させると、WIDEのときと同様に45°の間はレンズ系が全体繰出しとなってNOM状態のままピント調整が行われる。TELEの時も同様にズームリングを180°回転させると、TELEでレンズピントが∞に合う位置まで来て、さらにズームリングを回動させると、TELE状態のまま近距離にピントが合うようなレンズ位置となる。よって、このような構成にすると、単一のズームリングを回転させるのみで、倍率調整もピント調整も行える。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、焦点調節と倍率切換を同一駆動機構によって行う可変焦点カメラにおいては、焦点調節可能な変倍位置を多くとろうとすると、図8に示されるように、切換段数を多くしなければならない。しかしながら、図8に示す従来の機構では、切換段数を多くしようとすると、凹レンズユニット53(後群レンズ)を駆動するためのカム溝、すなわち矢印D〜Hの長さを長くする必要がある。カム溝を長くすると、カム溝が形成されるズームリング等のカム胴の強度が弱くなり、カム胴の変形等の不良が生じやすくなる。
【0009】
本発明は、カム胴のカム溝を長くすることなく、すなわち、カム胴の強度を弱めずに切換段数を多く取れる可変焦点カメラを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明では、第1のレンズユニットと、第2のレンズユニットと、該第2のレンズユニットが第1のレンズユニットに対して光路内で所定の軌跡を描くように案内し、倍率切換および焦点調節を交互に行うようにした可変焦点カメラにおいて、中心軸が光軸となる円筒形状のキー環と、中心軸が光軸となると共に光軸に沿う方向についてはキー環と一体化し、光軸の周りの方向についてはキー環と相対回動が可能な円筒形状のカム胴とを設け、第2のレンズユニットの案内手段を、キー環に設けられ、光軸に対し直角方向に伸びる垂直部と、光軸と平行に伸びる平行部とを有するキー溝と、カム胴に設けられ光軸に対し斜めに伸びる斜部を有し上記キー溝と組み合わさって上記倍率切換と上記焦点調節を行うカム溝と、このカム溝とキー溝に同時に係合し、かつ案内される第2のレンズユニットを保持する保持手段とで構成し、保持手段は、キー溝の垂直部とカム溝の斜部に同時に係合可能とされ、この係合時には、保持手段は、カム胴の回動により斜部に沿って光軸方向に移動することで倍率を変更しようとするが垂直部によってその光軸方向の移動が阻止され、斜部で停止し、倍率切換ではなく焦点調節可能とされ、また保持手段は、キー溝の平行部とカム溝の斜部に同時に係合可能とされ、この係合時には、保持手段は、斜部に沿って光軸方向に移動し、倍率が変更可能とされている。
【0011】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の可変焦点カメラにおいて、キー環をカメラ本体に対し回転不能かつ光軸方向に沿って摺動可能としている。さらに、請求項3記載の発明では、請求項1または2記載の可変焦点カメラにおいて、カム溝は、斜部から光軸に対し直角方向に伸びる垂直部を有し、保持手段は、キー溝の平行部とカム溝の垂直部に同時に係合可能とされている。
【0012】
本発明の可変焦点カメラでは、第1のレンズユニットと第2のレンズユニットとを同一の駆動機構によって動作させ焦点調節と倍率切換とを行っている。すなわち、第2のレンズユニットを第1のレンズユニットに対し光路内で所定の軌跡を描くように案内し、焦点調節と倍率切換とを行っている。そして、第2のレンズユニットの案内手段の一部を、カム胴に設けられるカム溝と、キー環に設けられるキー溝とで分担分けして形成している。このため、切換段数すなわち、焦点調節可能な変倍位置を多くしても、カム溝が長くなることはなく、カム胴の強度を十分保つことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を図1から図6に基づき説明する。
【0014】
この可変焦点カメラの鏡胴部分は、カメラ本体(図時省略)に固定される固定胴1と、この固定胴1の内周に配置され固定胴1に対し回転可能かつ光軸方向に摺動可能なカム胴と、このカム胴2に一体に取り付けられた第1移動枠3およびギア体4と、カム胴2の内周に配置され固定胴1に対し回転不能とされかつ光軸方向に摺動可能な第2移動枠5と、この移動枠5の内周に配置され固定胴に対し回転不能とされかつ光軸Mの方向に沿って摺動可能なキー環6と、移動枠5と共に光軸Mの方向に沿って移動する第1のレンズユニットとなる前群レンズ7およびシャッターユニット8と、第2のレンズユニットとなる後群レンズ9と、この後群レンズ9を保持し光軸Mに沿って回転移動する保持手段となるコマ10とから主に構成される。なお、撮影対象物の画像は、撮影画面Pに焦点合わせされる。
【0015】
そして、円筒形の固定胴1には、螺旋状のヘリコ(螺合ネジ)11がその内周に設けられ、ギア体4に設けられたヘリコ12と螺合している。なお、この固定胴1の撮影対象側と反対側には、開口部(図示省略)が設けられ、カメラ本体側の駆動機構(図示省略)が入り込みギア体4のギアと噛合している。
【0016】
カム胴2は円筒形状で、前述したように、第1移動枠3およびギア体4を一体に有している。また、カム胴2の内周には、螺旋状のヘリコ13が設けられ、第2移動枠5の外周に設けられたヘリコ14と螺合している。さらに、このカム胴2の内周面には、図5に示すような後群レンズ9の駆動用のカム溝15が3本設けられている。そして、このカム溝15にコマ10の先端10aが貫入している。なお、このカム溝15は、撮影画面側のWIDE部15aと、WIDE部15aから斜めに伸びる第1斜部15bと、この第1斜部15bから光軸Mと直角に伸びる垂直部15cと、この垂直部15cから斜めに伸びる第2斜部15dと、この第2斜部15dの撮影対象側に位置するTELE部15eとから構成されている。なお、この実施の形態におけるカム胴2の直径は約34mmとなっている。
【0017】
第一移動枠3も円筒形状とされ、カム胴2に一体に取り付けられ、カム胴2と共に回転しながら光軸Mに沿って摺動する。また、ギア体4も同様にカム胴2に一体に取り付けられ、そのギアがカメラ本体側の駆動機構(図示省略)と噛合し、その駆動機構の駆動力を受けて、カム胴2を回転させながら光軸Mに沿って移動させる。
【0018】
また、円筒形状の第2移動枠5には、上述したようにヘリコ14が外周の一部に設けられ、カム胴2の内周のヘリコ13と螺合している。また、この第2移動枠5には、前群レンズ7およびシャッターユニット8を保持する前方枠16と内方枠17とが設けられている。さらに、第2移動枠5には、キー環6の2本のガイド溝18,18に嵌合する突起19が内周部に2個設けられている。なお、このガイド溝18は、第2移動枠5を回転させないようにするためのものである。
【0019】
そして、キー環6も円筒形状とされ、その撮影対象側が第2移動枠5の内周に通されている。そして、そのキー環6のはかま部20の外周にギア体4が回動可能に係合している。また、このキー環6には、後群レンズ9を駆動するためのキー溝21が3本設けられ、それぞれにコマ10が貫通し、各キー溝21に沿って移動するようになっている。また、このキー環6の一部は、固定胴1に設けられたガイドレール(図示省略)に嵌合し、このキー環6が回転しないようにされている。なお、この実施の形態におけるキー環6の直径は約30mmとなっている。
【0020】
キー溝21は、図4に示すように、鏡胴がすべてカメラ本体内に納められる沈胴部21aと、この沈胴部21aから光軸Mに対し垂直方向に伸びる第1垂直部21bと、この第1垂直部21bの一端に位置するWIDE部21cと、第1垂直部21bから光軸Mと平行に伸びる第1平行部21dと、この第1平行部21dから光軸Mに対し垂直方向に伸びる第2垂直部21eと、この第2垂直部21eから光軸Mと平行に伸びる第2平行部21fと、この第2平行部21fから光軸Mに対し垂直方向に伸びる第3垂直部21gと、この第3垂直部21gから光軸Mと平行に伸びる第3平行部21hと、この第3平行部21hから光軸Mに対し垂直方向に伸びる第4垂直部21iと、この第4垂直部21iの第3平行部21h側端部に位置するTELE部21jとから構成される。ここで第1平行部21d,第2平行部21fおよび第3平行部21hが倍率変換動作の一部を構成し、第1垂直部21b,第2垂直部21e,第3垂直部21gおよび第4垂直部21iが焦点調節動作の一部を構成している。
【0021】
前群レンズ7は、3枚の凸レンズから構成されている。また、シャッターユニット8は、前群レンズ7の回りを囲むように配置され、シャッターユニット8内のシャッター8aが前群レンズ7と後群レンズ9との間に配置される。後群レンズ9は、2枚の凹レンズから構成され、その2枚の凹レンズを保持する枠にコマ10が嵌合し、このコマ10と一体的に移動する。コマ10は、キー環6のキー溝21を貫通すると共に円錐状の先端10aがカム溝15に貫入している。なお、シャッターユニット8にピント調節用ネジ8bを設け、前群レンズ7を保持する保持体22に設けたネジ22aに係合させている。
【0022】
以上のように構成される可変焦点カメラの鏡胴の動作は、次のとおりである。すなわち、まず外部の駆動機構(図示省略)からの駆動力が固定胴1の開口部を通してギア体4に伝達される。なお、この伝達方法は、特開平5ー93835等に開示される公知の伝達構造等が採用される。
【0023】
ギア体4が回転すると、ギア体4と一体のカム胴2が回転する。このギア体4とカム胴2が回転すると、ギア体4のヘリコ12が固定胴1の螺旋状のヘリコ11と螺合しているため、カム胴2は光軸Mに沿って摺動する。
【0024】
カム胴2の回転力は、カム胴のヘリコ13および第2移動枠5のヘリコ14を介して第2移動枠5を回転させようとする。しかし第2移動枠5は、キー環6のガイド溝18に突起19が嵌合することにより回転を阻止されているため、カム胴2の回転によってガイド溝18に沿って光軸Mと同一方向に移動する。なお、この第2移動枠5の移動量は、カム胴2の移動量がプラスされた移動量となる。
【0025】
一方、キー環6は、その一部が固定胴1のガイドレール(図示省略)に嵌合しているため、固定胴1に対して回転できない。しかし、カム胴2が回転することによりカム胴2と共に光軸Mに沿って摺動することになる。
【0026】
このように、第2移動枠5が光軸Mに沿って移動するため、第2移動枠5と一体の前群レンズ7も、カム胴2の回転に伴い光軸Mに沿って逐次移動する。一方、後群レンズ9も、カム胴2が回転する間、カム溝15とキー溝21によって案内されながら移動するが、図4に示されるように光軸Mと同一方向への移動が停止する領域を有するものとなる。但し、厳密には、キー環6自体がカム胴2と共に移動するため、カム胴2の移動量だけ移動する。なお、今後、このような状態すなわち、キー溝21やカム溝15によって、後群レンズ9の光軸Mに沿っての移動が停止される状態を「停止状態」と呼ぶこととする。
【0027】
このような停止状態と前進動作を繰り返す後群レンズ9の移動の様子を、図4,図5および図6に基づいて説明する。最初、コマ10がカム溝15のWIDE部15aおよびキー溝21の沈胴部21aに存在するとする。この後、カム胴2を回転させ、前群レンズ7を撮影対象側に前進させる。このとき、コマ10は、キー溝21の第1垂直部21bに案内されるため、カム溝15のWIDE部15aの位置を保持したまま、キー溝21のWIDE部21cにもたらされる。このため、この間の後群レンズ9は、キー環6に対し停止し停止状態となる。なお、厳密には、後群レンズ9は、カム胴2の移動分だけ撮影対象側に前進する。一方、前群レンズ7は、カム胴2の回転によりカム胴2に対し前進させられるため、前群レンズ7と後群レンズ9との間隔はわずかに拡大していく。
【0028】
この後、カム胴2の回転により前群レンズ7はさらに前進する。一方、後群レンズ9は、停止状態を維持し、WIDE位置での焦点調節が行われる。すなわち、カム溝15のWIDE部15aおよびキー溝21のWIDE部21cにもたらされたコマ10は、その後、WIDE位置での焦点調節(合焦動作)を行うこととなる。この焦点調節は、コマ10がWIDE部21cからキー溝21の第1平行部21dの部分までの間で行われる(図6のA部)。その後、コマ10は第1平行部21dにもたらされ、コマ10は、カム胴2の回転によりカム溝15の第1斜部15bに沿って急激に前進していく。この結果、前群レンズ7と後群レンズの間隔が急激にせばまり変倍動作が行われる(図6のB部)。
【0029】
その後、コマ10が第1斜部15bの中間当たりの第2位置31にくると、この位置はキー溝21では、第2垂直部21eの一端の第2位置32となり、コマ10の前進は再度停止状態となる。一方、カム胴2の回転は継続されており、前群レンズ7の前進は継続される。このカム胴2の回転の際、コマ10は、カム溝15では、第2位置31で保持されるが、キー溝21内では第2垂直部21e内を移動し他端側へもたらされる。この間では、前群レンズ7と後群レンズ9との間の距離が徐々に拡大し、焦点調節が行われる(図6のC部)。
【0030】
第2垂直部21eの他端にもたらされたコマ10は、その後、キー溝21の第2平行部21fに案内され、急激に前進する。このため、前群レンズ7と後群レンズ9との間隔が急激に変わっていき、変倍動作が行われる(図6のD部)。そして、コマ10がカム溝15の垂直部15cの第3位置33にくると、コマ10は、カム胴2の回転にもかかわらず前進できず、後群レンズ9は停止状態となる。このため、前群レンズ7と後群レンズ9との間の距離は徐々に拡大し焦点調節が行われる(図6のE部)。なお、このときコマ10のキー溝21内の位置は、図4に示すように第3位置34となっている。そして、コマ10が垂直部15cから第2斜部15dに移ると、コマ10も急速に前進可能となり、変倍動作が可能となる(図6のF部)。
【0031】
コマ10がカム溝15の第2斜部15dの中間当たりの第4位置35にくると、すなわち、キー溝21の第4位置36にくるとキー溝21の第3垂直部21gにより、その前進が停止させられ、停止状態となり焦点調節が行われる(図6のG部)。そして、コマ10が第3垂直部21gから第3平行部21hにもたらされると、コマ10は急速な前進が可能となり変倍動作が行われる(図6のH部)。
【0032】
そして、コマ10がキー溝21のTELE部21jにくると、変倍動作は終了する。そして、さらにカム胴2を回転させることにより、コマ10は、キー溝21の第4垂直部21iの最深部の方向に動いて焦点調節を行う(図6のI部)。
【0033】
以上のようにして、WIDEからTELEまでの変倍動作と各変倍位置での焦点調節が同一機構内で行われる。ここで、図6に示す後群レンズ9の光軸M上の位置を示す線において、B部,D部,F部およびH部が倍率切換部分となり、A部,C部,E部,G部およびI部が焦点調節部分となっている。なお、シャッターユニット8のピント調節用ネジ8bと保持体22のネジ22aとの係合を調節することによって、キー溝21の各垂直部21b,21e,21g,21iの長さが最小限となるようにしている。すなわち、∞の位置に対して、例えば第2位置32にコマ10が来る様に調節している。
【0034】
以上のような実施の形態では、焦点調節を行う第2の案内手段が合計5ヶ所形成されるにも拘わらず、カム胴2のカム溝15には、1つの切換段数のみが形成されることとなる。このため、カム胴2が、カム溝15の形成によって、強度が弱くなってしまうという問題が生じない。しかも、カム溝15に一つの切換段部を形成したので、そのような切換段部を全く形成しない場合に比べ、キー環6側のキー溝21を短くできるので、キー環6の強度もそれほど落ちることはない。
【0035】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施可能である。例えば、カム溝15に垂直部15cを設けず、全体を斜部のみとすることができる。その場合、上述の実施の形態と同じ切換段数を形成しようとすると、キー溝21には、光軸Mに対し垂直に伸びる垂直部をさらに1個加える必要が生ずる。一方、カム溝15に垂直部15cに相当する複数の垂直部を設けるようにしても良い。このようにするとキー環6のキー溝21が短くなりキー環6の強度にとっては好ましいものとなる。
【0036】
また、カム溝15,キー溝21およびコマ10をそれぞれ3個ではなく、1個や2個としたり、時には4個としたりしても良い。ただし、カム胴2やキー環6の強度やバランスを考慮すると、各3個ずつが好ましい。さらに、前群レンズ7の移動をカム胴2の回転を利用せず、別の駆動機構で動作させたり、ギア体4から直接駆動されるようにしたりしても良い。
【0037】
以上説明したように、請求項1および2記載の可変焦点カメラでは、光軸に沿う方向に関してカム胴と一体化されたキー環に設けたキー溝と、キー環に対し相対回動するカム胴に設けたカム溝とを組み合わせて、第2のレンズユニットを案内している。このため、カム溝を長くすることなく、切換段数を増加させることができる。この結果、カム胴の強度を落とすことなく、多数の変倍位置で焦点調節動作を行える可変焦点カメラを得ることができる。
【0038】
また、請求項3記載の発明では、カム溝の一部に、光軸に対し直角方向に伸びる垂直部を配置することで、カム溝側にも焦点調節動作用の案内溝設けられることになるので、キー溝が形成されるキー環の強度の減少も阻止することができる。この結果、カム胴もキー環も適度な強度を保持した可変焦点カメラとでき、信頼性の高いカメラとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変焦点カメラの鏡胴部分の要部断面図で、WIDE状態を示している図である。
【図2】本発明の可変焦点カメラの鏡胴部分の要部断面図で、TELE状態を示している図である。
【図3】図1および図2に示す可変焦点カメラに使用されるキー環部分の断面図である。
【図4】図1および図2に示す可変焦点カメラに使用されるキー環の展開図で、天面を0°として示した図である。
【図5】図1および図2に示す可変焦点カメラに使用されるカム胴の展開図で、天面を0°として示した図である。
【図6】図1および図2に示す可変焦点カメラ内の第1および第2のレンズユニットの光軸上の位置の変化を示す図である。
【図7】従来の撮影レンズの一般的な動きを示す模式図である。
【図8】従来の、変倍と焦点調節を同一駆動機構によって行う撮影レンズの動きを示す模式図である。
【符号の説明】
1 固定胴
2 カム胴
3 第1移動枠
4 ギア体
5 第2移動枠
6 キー環
7 前群レンズ(第1のレンズユニット)
8 シャッターユニット
9 後群レンズ(第2のレンズユニット)
10 コマ(保持手段)
15 カム溝
21 キー溝

Claims (3)

  1. 第1のレンズユニットと、第2のレンズユニットと、該第2のレンズユニットが上記第1のレンズユニットに対して光路内で所定の軌跡を描くように案内し、倍率切換および焦点調節を交互に行うようにした可変焦点カメラにおいて、中心軸が光軸となる円筒形状のキー環と、中心軸が光軸となると共に光軸に沿う方向については上記キー環と一体化し、光軸の周りの方向については上記キー環と相対回動が可能な円筒形状のカム胴とを設け、上記第2のレンズユニットの案内手段を、上記キー環に設けられ、光軸に対し直角方向に伸びる垂直部と、光軸と平行に伸びる平行部とを有するキー溝と、上記カム胴に設けられ光軸に対し斜めに伸びる斜部を有し上記キー溝と組み合わさって上記倍率切換と上記焦点調節を行うカム溝と、このカム溝と上記キー溝に同時に係合し、かつ案内される第2のレンズユニットを保持する保持手段とで構成し、上記保持手段は、上記キー溝の垂直部と上記カム溝の斜部に同時に係合可能とされ、この係合時には、上記保持手段は、上記カム胴の回動により上記斜部に沿って光軸方向に移動することで倍率を変更しようとするが上記垂直部によってその光軸方向の移動が阻止され、上記斜部で停止し、倍率切換ではなく焦点調節可能とされ、また上記保持手段は、上記キー溝の平行部と上記カム溝の斜部に同時に係合可能とされ、この係合時には、上記保持手段は、上記斜部に沿って光軸方向に移動し、倍率が変更可能とされることを特徴とする可変焦点カメラ。
  2. 前記キー環をカメラ本体に対し回転不能かつ光軸方向に沿って摺動可能としたことを特徴とする請求項1記載の可変焦点カメラ。
  3. 前記カム溝は、前記斜部から光軸に対し直角方向に伸びる垂直部を有し、前記保持手段は、前記キー溝の平行部と前記カム溝の上記垂直部に同時に係合可能とされることを特徴とする請求項1または2記載の可変焦点カメラ。
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