JP3775911B2 - ポリカーボネート重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリシラン構造及びフルオレン構造を有する、ハードコート材用のポリカーボネート共重合体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックは、電子写真感光体等に使用するハードコート材や光記録媒体用成形材料としての使用が検討され、また実際に実用化されているものもある。
【0003】
しかしながら、ビスフェノールAポリカーボネートでは、硬度が十分ではないため、他の物質を加えたり改質剤を添加したりする等の変性による硬度の向上が図られている。そして、変性ポリカーボネートとして機械的強度を向上させるためにフルオレン骨格を有するポリカーボネートが開発されている。(特開平6−220181号、特開平8−134199号)。
【0004】
一方、ポリシランは短波長紫外線に対する感光特性や電荷輸送特性を有することが知られており(特開平5−72778号、電子写真学会誌29(2)、P138(1990年)電子写真感光体等への使用が図られている。しかしながら、ポリシラン単体では、上記フルオレン骨格を有するポリカーボネートに匹敵しうる機械的強度は有していない。
【0005】
【従来の技術の課題】
このため、十分な硬度や機械的強度を有するとともに感光特性や電荷輸送特性等の光・電子機能を有する新しい物質の開発が望まれている。そして、もしかかる物質が開発されたならば、新しいタイプのハードコート材となり得る。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、以上の課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、主鎖にフルオレン骨格及びポリシラン骨格を有するポリカーボネートは、主鎖のフルオレン骨格により十分な機械的強度を有し、また主鎖のポリシラン骨格により優れた感光特性や電荷輸送特性を有することを見出した。
【0007】
また、両末端にフェノール基を有するポリシラン、両末端にフェノール基を有するフルオレン及びビスフェノールAをはじめとする汎用のポリカーボネートの合成原料である二価フェノールを炭酸エステル形成化合物と反応させることによって所望のポリカーボネートを製造する方法を見出した。
【0008】
具体的には、以下の構成としている。第1の態様の発明においては、ポリシラン構造及びフルオレン構造を有するポリカーボネート重合体であって、下記化27の(a)で示される構造単位と、下記化27の(b)で示される構造単位と、を備えることを特徴とする。
【0009】
【化27】
但し、l及びmはそれぞれ1以上の整数であり、Xは下記化28、Yは下記化29で示されるものである。
【0010】
【化28】
式中、R1は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基の何れかである。R1はそれぞれ同一であってもあるいは2つ以上が相異なってもよい。また、シリコン原子に結合するフェニル基の位置はp(パラ)−或いはm(メタ)−位である。p(重合度)は1〜10000である。
【0011】
【化29】
式中、R2は水素、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基のいずれかである。R2はそれぞれ同一であっても或いは2つ以上が相異なってもよい。
上記構成により、第1の態様の本発明に係る物質は主鎖のフルオレン骨格及びポリシラン骨格により充分な機械的強度を有し、また優れた感光特性や電荷輸送特性を有することとなる。
【0012】
また、第2の態様の本発明は、第1の態様のポリカーボネート重合体において、下記化30で示される構造単位をさらに備えることを特徴とする。
【化30】
但し、nは1以上の整数であり、Zは下記化31で示されるものである。
【0013】
【化31】
式中、R3は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかである。2つのR3が結合を介して、炭素環または複素環を形成しても良い。R3はそれぞれ同一であってもあるいは2つ以上が相異なってもよい。また、Wは下記化32〜化39で表される一種の置換基である。
【0014】
【化32】
【0015】
【化33】
【0016】
【化34】
【0017】
【化35】
式中、aは0〜20の整数である。
【0018】
【化36】
【0019】
【化37】
式中、b及びcは1〜100の整数である。
【0020】
【化38】
【0021】
【化39】
【0022】
第3の態様の発明は、第1の態様のポリカーボネート重合体において、ポリシランの重合度pが5〜7000であることを特徴としている。
【0023】
上記構成により、短波長紫外線に対する感光特性や電荷輸送特性が優れ、しかも可撓性、膜強度等の機械的性質も充分な物質となる。
【0024】
第4の態様の発明は、第1の態様のポリカーボネート重合体において、フルオレン骨格として化40、化41で示されるいずれかの構造であることを特徴としている。
【0025】
【化40】
【0026】
【化41】
【0027】
第5の態様の発明においては、第1の態様又は第2の態様のポリシラン構造及びフルオレン構造を有するポリカーボネート重合体の製造方法として、下記一般式化42、化43及び化44で表される二価フェノールに炭酸エステル形成化合物を反応させて製造することを特徴としている。
【0028】
【化42】
式中、R 1 は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基の何れかである。R 1 はそれぞれ同一であってもあるいは2つ以上が相異なってもよい。また、シリコン原子に結合するフェニル基の位置はp(パラ)−或いはm(メタ)−位である。p(重合度)は1〜10000である。
【0029】
【化43】
式中、R 2 は水素、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基のいずれかである。R 2 はそれぞれ同一であっても或いは2つ以上が相異なってもよい。
【0030】
【化44】
式中、R 3 は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかである。2つのR 3 が結合を介して、炭素環または複素環を形成しても良い。R 3 はそれぞれ同一であってもあるいは2つ以上が相異なってもよい。また、Wは下記化45〜化52で表される一種の置換基である。
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
式中、aは0〜20の整数である。
【化49】
【化50】
式中、b及びcは1〜100の整数である。
【化51】
【化52】
【0031】
上記構成により、上記二価フェノールに炭酸エステル形成化合物を反応させることにより第1の態様又は第2の態様のポリカーボネート重合体が製造される。なお、上記化27から化52までの物質は、各々特許請求の範囲に記載の化1から化26までの物質と同一である。次に、発明の実施の形態においては、煩雑となるため、化1、化2等と記して、いわば図形として示した化学分子式の再々度の呼び出しは省略する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態に基づいて説明する。
【0033】
(第1の発明の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、一般式化1〜化3あるいは化1〜5で示される新規化合物である。 一般式化1〜化5中、化2で示されるポリシラン骨格において、R1 は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基を表す。
【0034】
アルキル基としては、炭素数1〜10のものが挙げられ、これの中でも炭素数1〜6のものがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、アニシル基、炭素数1〜10のアルキル基を少なくとも1つ置換基として有するフェニル基、p−アルコキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1〜10のものが挙げられ、炭素数1〜6のものがより好ましい。
【0035】
シリル基としては、ケイ素数1〜10のものが挙げられ、その中でもケイ素数1〜6のものがより好ましい。R1 が上記のアミノ基、有機置換基及びシリル基である場合には、その水素原子の少なくとも1つが、他のアルキル基、アリール基、アルコキシ基等で置換されていても良い。このような官能基としては、上記と同様なものが挙げられる。
【0036】
次にR1 はそれぞれ同一であっても或いは2つ以上が相異なっても良い。また、両末端のベンゼン環の結合位置は、p−或いはm−位であり、p−位同士、m−位同士、或いはp−位とm−位の組合せであっても良い。また、このベンゼン環上の水素原子の少なくとも1つは、他のアルキル基、アリール基等で置換されても良い。アルキル基、アリール基としては上述のアルキル基、アリール基が適用できる。pは、1〜10000であり、より好ましくは5〜7000である。
【0037】
一般式中、化3で示されるフルオレン骨格において、上述のごとくR2 は水素、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を示す。アルキル基としては炭素数1〜10のものが挙げられ、その中でも炭素数1〜6のものがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、アニシル基、炭素数1〜10のアルキル基を少なくとも1つ置換基として有するフェニル基、p−アルコキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素が好ましい。R2 はそれぞれ同一であってもあるいは2つ以上が相異なってもよい。
【0038】
一般式中、化5において、R3 は上述のごとく水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子を表す。アルキル基およびアルコキシ基としては炭素数1〜10のものが挙げられ、その中でも炭素数1〜6のものがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、アニシル基、炭素数1〜10のアルキル基を少なくとも1つ置換基として有するフェニル基、p−アルコキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R3 はそれぞれ同一であってもあるいは2つ以上が相異なってもよい。また、2つのR3 が一緒に結合して、炭素環または複素環を形成してもよい。また、Wは上述のごとく化6〜化13で表される一種の置換基である。
【0039】
次に、上述のポリシラン構造及びフルオレン構造を有するポリカーボネート重合体の製造方法について説明する。まず、出発原料として使用する化16で表されるポリシラン骨格を有する二価フェノールの合成方法は、別途本願出願人が特願平9−2325号及び特願平9−93746号に詳細を記載している技術であるため、その説明は省略する。なお、これらを2種類以上併用して用いてもよい。
【0040】
また、化17で表されるフルオレン骨格を有する二価フェノールとしては、例えば次に示すような化合物、化53、化54、化55が好適に用いられる。これらの中でもビスフェノールフルオレン(BPF)およびビスクレゾールフルオレンが特に好ましい。また、これらを2種類以上併合して用いてもよい。
【0041】
【化53】
【0042】
【化54】
【0043】
【化55】
【0044】
また、一般式中化18で表わされる二価フェノールとしては、一般にポリカーボネートの合成原料として使用されているものであれば用いることができる。
【0045】
具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,ω−ビス〔2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル〕ポリジメチルシロキサン等が例示される。これらは2種類以上併用しても良い。
【0046】
(第2の発明の実施の形態)
本発明のポリカーボネートを得るには、これらの二価フェノールに対して、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)からポリカーボネートを製造する際に用いられている公知の方法、例えば二価フェノールとホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、或いは二価フェノールとビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)等の方法を用いることができる。
【0047】
ホスゲン法においては、通常酸結合剤及び溶媒の存在下において、一般式化16、化17及び化18で示される二価フェノールとホスゲンを反応させる。ただし、ホスゲン法そのものは、例えば前掲の特開平8−134199号等にも記されているごとく周知の技術である。このため、説明は大凡のものとする。
【0048】
酸結合剤として、例えばピリジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられ、溶媒としては、例えば塩化メチレン、ジオキサン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等が用いられる。更に、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第3級アミンまたはトリメチルベンジルアンモニウムクロリドのような第4級アンモニウム塩等の触媒が使用される。
【0049】
反応温度は通常0〜150℃、より好ましくは0〜50℃で行うことが望ましい。反応時間は使用する原料、反応温度等によって異なるが、通常10時間以内に完結する。また、反応中は反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
【0050】
一方、エステル交換法を用いる場合、一般式化16、化17及び化18で示される二価フェノールとビスアリールカーボネートとを混合し、減圧下、高温で副生するフェノール類を留去しつつ反応を行う。ただし、このエステル交換法も例えば前掲特開平8−134199号に記されているごとく周知の技術である。このため説明は大凡のものとする。
【0051】
反応温度は通常、150〜250℃の範囲であり、減圧度は50mmHg以下である。反応時間は反応温度や減圧度によって異なるが、通常10時間以内に完結する。反応は窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、必要に応じて酸化防止剤を添加して反応を行っても良い。
【0052】
ビスアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。これらの化合物は2種類以上併用して用いても良い。
【0053】
【実施例】
以下、本発明に係る物質例を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0054】
〔実施例1〕
両末端にフェノール基を有するメチルフェニルポリシラン(平均重合度10)10g、ビスクレゾールフルオレン10g及び2.2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン30gを10%水酸化ナトリウム水溶液500mL、塩化メチレン250mL及びピリジン5mLの混合溶媒中に溶解させた。反応温度を25℃に保ちつつ、ホスゲン250gを30分間吹き込んだ。次に末端停止剤としてt−ブチルフェノール10gを加えて1時間攪拌することによって、重合反応を完結した。
【0055】
反応終了後、反応液を水層と有機層に分離し、有機層をリン(燐)酸で中和し、洗浄液が中性になるまで純水で洗浄を繰り返した後、瀘過により固形物を除去した。次に有機層にメタノール2Lを加えて重合物を沈澱させた。沈澱物を瀘過により収集し、真空乾燥することによって最終生成物42gを得た。
【0056】
上記生成物を紫外線吸収スペクトルで測定したところ、320nm付近にポリシランのSi −Si 主鎖骨格に由来する吸収が見られた。また、赤外線吸収スペクトルによる分析の結果、1770cmー1(カルボニル基由来)及び1240cmー1(エーテル基由来)の吸収が見られたことにより、カーボネート構造を有することが確認された。
【0057】
また、2960cmー1にビスクレゾールフルオレンに由来するC−H伸縮吸収(主にH原子がC原子に対して動く振動運動に伴う)が見られたことより、フルオレン構造を有していることが確認された。なお、GPC(Gel Permeation Chromatography、ゲル浸透クロマトグラフィー)測定より、生成物の数平均分子量は40500であった。以上の結果より、最終生成物はポリシラン及びフルオレン構造を有するポリカーボネートであることが確認された。
【0058】
〔実施例2〕
ポリシラン骨格を有するモノマーとして平均重合度が40の両末端にフェノール基を有するメチルフェニルポリシラン10gを使用する以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、実施例1と同等のポリカーボネート重合体が得られた。なお、数平均分子量は45800であった。
【0059】
〔実施例3〕
ポリシラン骨格を有するモノマーとして平均重合度が7の両末端にフェノール基を有するメチルフェニルポリシラン10gを使用する以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、実施例1と同等のポリカーボネート重合体が得られた。なお、数平均分子量は39900であった。
【0060】
〔実施例4〕
ポリシラン骨格を有するモノマーとして両末端にフェノール基を有するn−ヘキシルメチルポリシラン(平均重合度20)10.5gを使用する以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、実施例1と同等のポリカーボネート重合体が得られた。なお、数平均分子量は52100であった。
【0061】
〔実施例5〕
ポリシラン骨格を有するモノマーとして両末端にフェノール基を有するジメチル−メチルフェニル共重合ポリシラン(共重合比ジメチル:メチルフェニル=1:9、重合度20)9.8gを使用する以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、実施例1と同等のポリカーボネート重合体が得られた。なお、数平均分子量は37900であった。
【0062】
〔実施例6〕
ポリシラン骨格を有するモノマーとして両末端にフェノール基を有するシクロ−ヘキシルメチルポリシラン(重合度20)10.5gを使用する以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、実施例1と同等のポリカーボネート重合体が得られた。なお、数平均分子量は47000であった。
【0063】
〔実施例7〕フルオレン骨格を有するモノマーとしてビスクレゾールフルオレンの代わりにビスフェノールフルオレン(BPF)9.5gを使用する以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、実施例1と同等のポリカーボネート重合体が得られた。なお、数平均分子量は38900であった。
【0064】
〔実施例8〕
モノマーとして2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの代わりにビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン32gを使用する以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、実施例1と同等のポリカーボネート重合体が得られた。なお、数平均分子量は36600であった。
【0065】
〔実施例9〕
反応器内に両末端にフェノール基を有するメチルフェニルポリシラン(平均重合度10)10g、ビスクレゾールフルオレン10g、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン30g及びジフェニルカーボネート150gを入れ、180℃に加熱しつつ、20mmHgに減圧した。エステル交換反応の進行に伴って生成するフェノールを留去しながら、約7時間反応を行った。反応終了後、反応液にメタノール2Lを加えて未反応物を溶解させた後、瀘過することによって重合物34gを回収した。構造解析の結果、実施例1と同等なポリシラン及びフルオレン構造を有するポリカーボネートであることが確認された。なお、GPC測定の結果、数平均分子量は37200であった。
【0066】
以上本発明を幾つかの実施の形態及び実施例の基づき説明してきたが、本発明は何も以上の実施の形態、実施例に限定されないのは勿論である。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、下記のような顕著な効果が達成される。
(1).感光特性や電荷輸送特性を有するポリシラン骨格と、耐熱性及び機械的強度に優れたフルオレン骨格を併せ持ったポリカーボネートが製造可能となり、光・電子機能を有する新しいタイプのハードコート材を実現できる。
(2).ポリシラン骨格及びフルオレン骨格の導入率を制御することにより、ハードコート材等として各種用途に最適な特性を有するポリカーボネートを実現することが可能となった。
(3).光記録媒体用形成材料、電子写真感光体やそれ用のハードコート材はその用途に応じて硬度、機械的強度、極限粘度、複屈折率、耐熱性、耐水性等につき様々の性質が要求される。この際、優れた感光特性や電荷特性を有し、しかも機械的強度の優れた新物質を提供することは、これらの様々の用途に応じて生じる要求を充たすのに寄与する。
Claims (5)
- ポリシラン構造及びフルオレン構造を有するポリカーボネート重合体であって、
下記化1の(a)で示される構造単位と、下記化1の(b)で示される構造単位と、を備えることを特徴とするポリカーボネート重合体。
- 前記化2のポリシランの重合度pが5〜7000であることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート重合体。
- 下記、一般式化16、化17及び化18で表される二価フェノールに炭酸エステル形成化合物を反応させて製造することを特徴とするポリシラン構造及びフルオレン構造を有するポリカーボネート重合体の製造方法。
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