JP3775656B2 - バルブ内蔵コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、内部流体の圧力に応じて流量可変可能なバルブを内蔵したバルブ内蔵コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のガソリン燃料タンク内で発生した燃料蒸発ガス(ベーパ)が大気中に排出されるのを防止するために、ベーパをキャニスタに吸着させるベーパ排出防止機構が採用されている。このようなベーパ排出防止機構で、キャニスタの小型化を図るためには、給油時に発生するベーパ量を低減することが得策であり、例えば特開平8−216707号公報に記載されたような、給油時のベーパ発生量の低減を目的とした構造が用いられる。このベーパ発生量低減構造は、燃料タンクのインレットパイプの口元近傍に、ブリーザの一端部を接続し、ブリーザの他端部を、燃料タンクに取り付けられ、かつキャニスタが連結された差圧弁に接続し、そしてブリーザの中間部に1WAYバルブを配置したものであり、1WAYバルブは、ブリーザ内の燃料蒸発ガス循環量を燃料タンクの内圧に応じて調整する。
【0003】
このようなブリーザ回路では、1WAYバルブ又はチェックバルブの両側にゴムホースを接続し、かつ、一端側のゴムホースの一端部をインレットパイプに、そして他端側のゴムホースの他端部を差圧弁に接続してブリーザを構成しているが、燃料系配管からのガソリンの蒸散が厳しく規制される傾向にあるので、ゴムホースに代えて樹脂チューブも用いられている。また、ゴムホースあるいは樹脂チューブと1WAYバルブ等との接続部分からの微少量のガソリン蒸散も、近年の低ガソリン蒸散への更なる要求のもとでは、無視することができず、構成部品同士の接続箇所数を削減することが、低ガソリン蒸散化に必要であるとされている。
【0004】
そこで、例えば接続パイプの挿入部を備えたクイックコネクタに1WAYバルブ又はチェックバルブを内蔵させることにより、ブリーザ回路の部品点数自体を削減するとともに、構成部品同士の接続箇所数を削減して、低ガソリン蒸散化を達成することが提案されている。
【0005】
しかしながら、従来のクイックコネクタでは、図8に示すように、コネクタハウジングAのパイプ挿入部Bで、貫通路Cは接続パイプDが挿入される挿入孔Eとして形成されるが、この挿入孔Eの軸方向一方側端部は、接続パイプDとコネクタハウジングAとの間の気密性を高め、接続パイプDの取付安定性(ガタをなくす)を確保するために、接続パイプDの外径とほぼ等しい径を有するように、挿入孔Eの軸方向他方側に比して小径に形成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなクイックコネクタを用いてバルブ内蔵コネクタを構成すると、図9に示すように、挿入孔Eの軸方向一方側に内蔵バルブFが配置されるが、挿入孔Eの軸方向一方側端部が小径であるため、配置される内臓バルブFを小さくせざるを得ず、したがって圧力損失が大きくなって、必要な流量を確保できないおそれがある。特に、接続パイプDが小径の場合には、内蔵バルブFが小さくなりすぎ、満足すべき流量を得ることは不可能である。
【0007】
接続パイプDとコネクタハウジングAとの間の気密性及び接続パイプDの取付安定性を低下させることなく、必要な流量を確保できるようにするためには、図10に示すように、内蔵バルブFの配置位置を基準とした、コネクタハウジングAの軸方向一方側と他方側を別々に形成するとともに、内蔵バルブFのバルブ本体Gが配置される側のバルブ本体配置部分Hを大径に構成しておき、バルブ構成要素を組み込んでから2つのハウジング構成体を、例えば溶接によって接続固定する、といったことが考えられるが、バルブ内蔵コネクタを製造する作業が煩雑となる。
【0008】
そこで本発明は、気密性及びパイプ取付安定性に優れ、必要な流量を確保でき、かつ製造工程が煩雑でないバルブ内蔵コネクタであり、しかも圧力に応じて流量切替えが可能であるバルブ内蔵コネクタの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明のバルブ内蔵コネクタは、軸方向一方側にホース接続部が形成され、軸方向他方側にパイプ挿入部が形成された、軸方向の貫通路を有するコネクタハウジングと、前記ホース接続部及び前記パイプ挿入部の間に位置して、前記コネクタハウジングの前記貫通路に取り付けられた内蔵バルブと、を備えたバルブ内蔵コネクタであって、前記内蔵バルブは、前記コネクタハウジングの前記貫通路に嵌め込まれたバルブシートと、このバルブシートのバルブ孔を開放可能に閉塞する閉塞部を有するバルブ本体と、このバルブ本体の前記閉塞部と前記コネクタハウジングの軸方向一方側の内面との間に配置され、前記バルブ本体を軸方向他方側に向かって付勢する圧縮スプリングと、を有し、前記バルブシートは、前記バルブ孔が形成されているシート本体と、このシート本体の径方向外周部に一体的に形成されて軸方向他方側に延びる筒状部と、から構成され、前記バルブシートの前記筒状部は、前記パイプ挿入部の所定位置まで延びるように形成され、前記パイプ挿入部に挿入されたパイプの挿入側端部及び前記コネクタハウジングの前記貫通路を形成する内周面の間に介在して、前記パイプの前記挿入側端部及び前記内周面の間を埋めるものであり、前記バルブ本体には、前記バルブシートの前記バルブ孔に連なる小孔が設けられているというものである。ホース接続部には、例えば樹脂チューブが接続される場合もある。圧縮スプリングの軸方向他方側端は、閉塞部又はその他のバルブ本体部分に当接する。
また、本発明では、バルブ本体の径方向外側に位置し、バルブ本体から軸方向一方側に延びてコネクタハウジングの内周面上をスライドするスライド脚を、周方向に間隔を設けて、バルブ本体に配置あるいは形成することができる。あるいは、バルブ本体から軸方向他方側に延びてバルブ孔の内周面上をスライドするスライド脚を、周方向に間隔を設けて、バルブ本体に配置あるいは形成することができる。スライド脚は、周方向等間隔で設けることが好ましい。
【0010】
パイプ挿入部の軸方向一方側端部の内径を小径に形成しなくても、パイプ挿入部に挿入されたパイプの挿入側端部とコネクタハウジングの内周面との間にはバルブシートの筒状部が介在し、この筒状部によりパイプ挿入側端部のガタが防止される。そして、バルブシートのシート本体を、外径がパイプ挿入部の軸方向一方側内径と等しいように、あるいはほぼ等しいように大きく形成できるので、必要な流量を確保することが可能となる。バルブシートのシート本体を傷めないために、パイプ挿入部に挿入されたパイプの挿入側端は通常、シート本体から多少離れて位置する。したがって、パイプから流出した流体は一旦、パイプ挿入側端とバルブシートの間の大径部分(パイプの流体通路よりも大径の部分)に流れ込み、その後、シート本体のバルブ孔に流れ込む。それゆえ、バルブ孔がパイプの流体通路(通路出口)よりも小径である場合はもちろん、同径であっても損失は大きい。そこで、バルブ孔をパイプの流体通路(通路出口)よりも大径とするのが効果的である。
【0011】
シート本体と筒状部は一体的に形成されているので、コネクタハウジングへのバルブシートの嵌め込みは簡単に行うことができる。通常、バルブシートは軸方向他方側端からコネクタハウジング内に挿入されて嵌め付けられる。
【0012】
バルブ本体は、圧縮スプリングにより軸方向他方側へ付勢され、押されてバルブシートのシート本体に押し付けられている。したがって、内蔵バルブの最小作動圧力は圧縮スプリングのバネ力によって定まっていて、この最小作動圧力未満の流体圧が作用してもバルブは開放しない。しかしながら、例えばブリーザ回路では、ガソリン燃料タンク内のガス圧が所定値又は最小作動圧力値までゆっくりと上昇する間でも、ガソリン蒸気をインレットパイプの口元に送り込むことができるように構成されているのが好ましい。したがって本発明では、バルブ本体に、バルブシートのバルブ孔に連なる小孔を設け、流体圧が低く、バルブ本体が作動しない場合にも、小孔を介して一定流量の流れが生じるように構成し、圧力に応じて流量切替えが可能なようにしている。
【0013】
流体圧が低い場合に、応答性の良い流れを確保するためには、バルブ本体及びバルブシートに形成された流路が短くかつ単純であることが必要である。したがって、バルブ孔を、コネクタハウジングの貫通路と同心的にシート本体に形成しておき、小孔を、バルブ本体の薄肉体である閉塞部にバルブ孔と同心的に形成するのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図7を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明に係るバルブ内蔵コネクタの断面図である。
【0016】
例えばガソリン燃料タンクのブリーザ回路に用いられるバルブ内蔵コネクタ1は、軸方向の貫通路3を有する、ガラス繊維強化ポリアミド(PA・GF)製のコネクタハウジング5と、このコネクタハウジング5内に嵌め込み組み込まれた内蔵チェックバルブ7と、から構成され、このコネクタハウジング5は、軸方向一方側の、外周が小径に形成されたホース接続部9と、軸方向他方側の、外周が大径に形成されたパイプ挿入部11と、ホース接続部9及びパイプ挿入部11間の、外周がパイプ挿入部11よりも若干小径に形成されたバルブ収容部13とから構成されていて、コネクタハウジング5の軸方向他方側端部、すなわちパイプ挿入部11の軸方向他方側端部には、内向きフランジ15及び抜け止め部材17を有する、PA・GF製のリテーナ19が嵌め付けられている。リテーナ19は、嵌め付け外周部(外筒部)21及び内周部(内筒部)23を有していて、この嵌め付け外周部21及び内周部23間に、パイプ挿入部11の軸方向他方側端部がきつく収容されることによりコネクタハウジング5に固定されている。
【0017】
コネクタハウジング5のパイプ挿入部11では、貫通路3は大径のパイプ挿入孔を構成し、このパイプ挿入孔を形成する内周面25は同径状に形成されている。パイプ挿入孔の内周面25の軸方向一方側端部には、凸条27及びこの凸条27と連続した凹条29が形成されていて、内周面25の軸方向一方側端部は凹凸状に形成されている。
【0018】
コネクタハウジング5のバルブ収容部13では、貫通路3はやや小径のバルブ収容室を構成し、このバルブ収容室を形成している内周面33は同径状に形成されているが、内周面33の軸方向一方側端部は、外周側の径方向面35、この径方向面35の径方向内端から軸方向一方側に向かって縮径して延びるテーパ状面37及びこのテーパ状面37の径方向内端から径方向内側に狭く広がる内周側の径方向面39から形成されている。
【0019】
コネクタハウジング5のホース接続部9では、貫通路3は小径のガソリン流路を構成し、ホース接続部9の外周面には、断面直角三角形状の凸条41,43,45及び断面4角形状の凸条47、そしてそれぞれの凸条41,43,45,47の軸方向他方側に、凹条49,51,53,55が形成されて、抜け止め用の凹凸形状が形成されている。ブリーザ回路のゴムホース又は樹脂チューブはこのホース接続部9の外周に嵌め付けられることとなる。
【0020】
コネクタハウジング5のパイプ挿入部11の内周面25には、リテーナ19の嵌め付け内周部23の軸方向一方側に、PA・GF製のカラー57を介して、2本のOリング59,61が配置されていて、軸方向他方側のOリング59はFVMQ(フルオロシリコーンゴム)製であり、軸方向一方側のOリング61はFKM(ふっ素ゴム)製である。
【0021】
貫通路3には内蔵チェックバルブ7のバルブシート63が嵌め込まれて組み付けられているが、このバルブシート63は、POM(ポリアセタール)製であり、パイプ挿入部11の内周面25軸方向一方側端部及びバルブ収容部13の内周面33軸方向他方側端部にまたがって配置されたシート本体65と、このシート本体65の外周部から軸方向他方側に延び、かつ、パイプ挿入部11の軸方向中間位置まで延びて、パイプ挿入部11の内周面25に組み付けられている筒状部67と、から一体的に構成されていて、バルブシート63の筒状部67の厚さ(肉厚)は、リテーナ19の嵌め付け内周部23の厚さと等しく、又はほぼ等しく形成されている。バルブシート63の外周面は、パイプ挿入部11の内周面25軸方向一方側端部に形成されている凹凸形状に沿って変形していて、バルブシート63は軸方向に容易に移動しないように位置決めされている。バルブシート63のシート本体65には、貫通路3と同心的にバルブ孔69が設けられ、シート本体65の軸方向一方側面のバルブ孔周縁は、テーパ状に形成されてシート面71を構成しているが、シート本体65は大きい径の内周面25,33に対応して大径に形成されているので、シート本体65に設けられたバルブ孔69を大径のものとしても、十分な幅のシート面71を確保することができる。
【0022】
例えば燃料タンクに設けられた差圧弁に取り付けられている金属製の接続パイプ73は外向きフランジ75を有し、接続パイプ73の少なくともこの外向きフランジ75よりも軸方向一方側は、リテーナ19の嵌め付け内周部23の内径及びバルブシート63の筒状部67の内径とほぼ等しい外径を有するように形成されていて、接続パイプ73はパイプ挿入部11内に、Oリング59,61を押しつぶして挿入される。挿入された接続パイプ73は、外向きフランジ75の軸方向一方側面がリテーナ19の内向きフランジ15に当接し、外向きフランジ75の軸方向他方側面に抜け止め部材17がスナップ係合することにより、軸方向に移動しないように位置決めされる。パイプ挿入部11に挿入された接続パイプ73の軸方向一方側端面と、バルブシート63のシート本体65の軸方向他方側面との間には隙間が設けられていて、接続パイプ73に貫通路3と同軸的に形成されている、ガソリン燃料タンクからのガソリン蒸気が流れる流体通路77は、バルブ孔69よりも小径に形成されている。
【0023】
コネクタハウジング5のバルブ収容部13内には、薄肉の円板状の閉塞部79と、この閉塞部79の外周部分に形成された短い筒部81とから構成されたPOM製バルブ本体83が配置され、このバルブ本体83の筒部81軸方向一方側端部分(開口端部分)には、周方向等間隔の3箇所から径方向外側に短く突出する接続部85が一体的に形成されていて、この接続部85の径方向外端部分からは、スライド脚87が軸方向一方側に延びている(図2も参照:図2はバルブ本体83の斜視図)。また、バルブ収容部13内には、バルブ収容部13とホース接続部9との境界付近に形成された内周側の径方向面39に軸方向一方側端が支持され、軸方向他方側端がバルブ本体83の筒部81内に収容されて閉塞部79に当接する圧縮コイルスプリング89が配置され、この圧縮コイルスプリング89により、バルブ本体83はシート本体65のシート面71に押し付けられ、バルブ孔69を閉塞する。バルブ本体83の閉塞部79軸方向他方側面の外周は、テーパ面として形成されていて、このテーパ面がシート面71に当接する。閉塞部79の中央には、バルブ孔69よりも小径(バルブ孔69の径のほぼ3分の1の径)の小孔91が形成されていて、例えばブリーザ回路に使用した場合には、給油時にガソリン燃料タンク内の圧力上昇が小さく、通常の最小作動圧力を有するバルブ本体83を作動させることができない場合にも、ガソリン蒸気はこの小孔91を通ってインレットパイプの口元に送られる。ガソリン燃料タンク内の圧力がさらに上昇すると、小孔91は十分小さいので、この圧力を受けてバルブ本体83は圧縮コイルスプリング89のバネ力に抗してバルブ孔69を開放するように、軸方向一方側に圧力に応じて開き作動し、開き作動量に対応した大量のガソリン蒸気がインレットパイプの口元に送られる。したがって、低圧時も含めて、圧力に応じた流量切替えが可能となっている。小孔91はバルブ孔69と同心的に形成され、バルブ本体83が閉状態のときは、バルブ孔69と直接連なっている。バルブ本体83は、周方向に120度の間隔で設けられている3本のスライド脚87が、バルブ収容部13の内周面33上をスライドすることにより、安定して軸方向に移動することができる。
【0024】
図3は別のバルブ本体の斜視図、図4は別のバルブ本体の断面図である。
【0025】
POM製バルブ本体93は、薄肉の中空半球状(椀状)の閉塞部95と、この閉塞部95の軸方向一方側端部分(開口端部分)に形成された、軸方向に薄い同径状部97とから構成され、この同径状部97の周方向等間隔の3箇所には、径方向外側に短く突出する接続部99が一体的に形成されていて、この接続部99の径方向外端部分からは、スライド脚101が軸方向一方側に延びている。閉塞部95の軸方向他方側端部分(中心部分又は頂上部分)には、バルブ孔69と同心的に、かつこのバルブ孔69よりも小径(バルブ孔69の径のほぼ3分の1の径)の小孔103が形成されている。小孔103は小孔91と同様に機能する。このバルブ本体93を付勢する圧縮コイルスプリング89の軸方向他方側端は、同径状部97内を通り、閉塞部95内面に形成された内向き当接部104に当接し、閉塞部95を押圧する。バルブ本体93を用いる場合には、シート本体65のシート面71の形状を、閉塞部95に対応して湾曲させるなどして変更する必要がある場合が多い。バルブ本体93は、周方向に120度の間隔で設けられている3本のスライド脚101が、バルブ収容部13の内周面33上をスライドすることにより、安定して軸方向に移動することができる。
【0026】
図5は本発明に係る別の構成のバルブ内蔵コネクタの断面図である。
【0027】
別の構成のバルブ内臓コネクタ105は、バルブ内臓コネクタ1の内蔵チェックバルブ及びバルブ収容部の構成を変更したものであり、その他の構成はバルブ内臓コネクタ1と同一である。
【0028】
バルブ内蔵コネクタ105の内蔵チェックバルブ106では、POM製バルブ本体107は、薄肉の円板状の閉塞部109と、この閉塞部109の外周部分に形成された短い筒部111とから構成されていて、この筒部111の軸方向一方側端部分(開口端部分)には、周方向等間隔の6箇所から径方向外側に突出するハウジングスライド部113が一体的に形成され、閉塞部109の軸方向他方側面外周部には、周方向等間隔の3箇所から軸方向他方側に延びるバルブスライド脚115が一体的に形成されている(図6も参照:図6はバルブ本体107の斜視図)。バルブ内蔵コネクタ105では、PA・GF製のコネクタハウジング117のバルブ収容部119で、バルブ収容室を形成している内周面121は同径状に形成されているが、内周面121の軸方向一方側端部は、外周側の径方向面123、この径方向面123の径方向内端から軸方向一方側に向かって筒状又は同径状に延びる筒状内周面125及びこの筒状内周面125の軸方向一方側端から径方向内側に狭く広がる内周側の径方向面127から形成されている。
【0029】
バルブ本体107は、軸方向一方側端がバルブ収容室の筒状内周面125内に収容されて内周側の径方向面127に当接し、軸方向他方側端が筒部111内に収容されて閉塞部109に当接する圧縮コイルスプリング129により軸方向他方側に付勢されて、POM製のバルブシート131のシート本体133軸方向一方側面に形成されている、バルブ孔周縁のテーパ状シート面135に押し付けられ、シート本体133に設けられたバルブ孔137を閉塞する。バルブ本体107の閉塞部109軸方向他方側面の外周は、テーパ面として形成されていて、このテーパ面がシート面135に当接する。バルブ本体107は、周方向に60度の間隔で設けられている6本のハウジングスライド部113が内周面121上をスライドし、周方向に120度の間隔で設けられているバルブスライド脚115がバルブ孔137の内周面上をスライド移動することにより、傾くことなく安定して作動する。バルブシート131のシート本体133は、シート本体65よりも軸方向に厚くあるいは長く形成され、貫通路3と同心的に形成されたバルブ孔137は軸方向の長さが大きく形成されているが、シート本体133の外周部に形成された筒状部67は、バルブシート63の筒状部67と同一構成である。
【0030】
閉塞部109の中央には、バルブ孔137よりも小径(バルブ孔137の径のほぼ3分の1の径)の小孔139が形成されていて、この小孔139は小孔91と同様に機能する。小孔139はバルブ孔137と同心的に形成され、バルブ本体107が閉状態のときは、バルブ孔137と直接連なっている。
【0031】
図7はバルブ内蔵コネクタ1,105をブリーザ回路に使用した場合を示す図である。
【0032】
バルブ内蔵コネクタ1,105のホース接続部9の外周には、一端部がコネクタJを介してインレットパイプKの口元に接続されたゴムホースあるいは樹脂チューブLの他端部が嵌め付けられ、パイプ挿入部11には、ガソリン燃料タンクMに取り付けられ、キャニスタNが連結された差圧弁Pに固定された接続パイプ73が挿入されて、ブリーザ回路が構成されている。したがって、チェックバルブの両側にゴムホースを取り付けて、それぞれの端部をコネクタを介して差圧弁P及びインレットパイプKに接続した、配管用部品点数が5つの場合のブリーザ回路に対して、配管用部品点数は3つですむこととなる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のバルブ内蔵コネクタは、組立てが簡単で、流量確保が容易であり、かつ気密性、取付安定性に優れ、圧力に応じて流量切替えが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバルブ内蔵コネクタの断面図である。
【図2】バルブ本体の斜視図である。
【図3】別のバルブ本体の斜視図である。
【図4】別のバルブ本体の断面図である。
【図5】本発明に係る別の構成のバルブ内蔵コネクタの断面図である。
【図6】別の構成のバルブ内蔵コネクタに用いられるバルブ本体の斜視図である。
【図7】バルブ内蔵コネクタをブリーザ回路に使用した場合を示す図である。
【図8】従来のコネクタの断面図である。
【図9】従来のバルブ内蔵コネクタの断面図である。
【図10】従来の別の構成のバルブ内蔵コネクタの断面図である。
【符号の説明】
1,105 バルブ内蔵コネクタ
3 貫通路
5,117 コネクタハウジング
7,106 内蔵チェックバルブ
9 ホース接続部
11 パイプ挿入部
63,131 バルブシート
65,133 シート本体
67 筒状部
69,137 バルブ孔
73 接続パイプ
83,93,107 バルブ本体
91,103,139 小孔
Claims (3)
- 軸方向一方側にホース接続部が形成され、軸方向他方側にパイプ挿入部が形成された、軸方向の貫通路を有するコネクタハウジングと、前記ホース接続部及び前記パイプ挿入部の間に位置して、前記コネクタハウジングの前記貫通路に取り付けられた内蔵バルブと、を備えたバルブ内蔵コネクタであって、
前記内蔵バルブは、前記コネクタハウジングの前記貫通路に嵌め込まれたバルブシートと、このバルブシートのバルブ孔を開放可能に閉塞する閉塞部を有するバルブ本体と、このバルブ本体の前記閉塞部と前記コネクタハウジングの軸方向一方側の内面との間に配置され、前記バルブ本体を軸方向他方側に向かって付勢する圧縮スプリングと、を有し、
前記バルブシートは、前記バルブ孔が形成されているシート本体と、このシート本体の径方向外周部に一体的に形成されて軸方向他方側に延びる筒状部と、から構成され、
前記バルブシートの前記筒状部は、前記パイプ挿入部の所定位置まで延びるように形成され、前記パイプ挿入部に挿入されたパイプの挿入側端部及び前記コネクタハウジングの前記貫通路を形成する内周面の間に介在して、前記パイプの前記挿入側端部及び前記内周面の間を埋めるものであり、
前記バルブ本体には、前記バルブシートの前記バルブ孔に連なる小孔が設けられていて、
さらに前記バルブ本体には、前記バルブ本体の径方向外側に位置し、前記バルブ本体から軸方向一方側に延びて前記コネクタハウジングの内周面上をスライドするスライド脚が、周方向に間隔を有して配置されている、ことを特徴とするバルブ内蔵コネクタ。 - 軸方向一方側にホース接続部が形成され、軸方向他方側にパイプ挿入部が形成された、軸方向の貫通路を有するコネクタハウジングと、前記ホース接続部及び前記パイプ挿入部の間に位置して、前記コネクタハウジングの前記貫通路に取り付けられた内蔵バルブと、を備えたバルブ内蔵コネクタであって、
前記内蔵バルブは、前記コネクタハウジングの前記貫通路に嵌め込まれたバルブシートと、このバルブシートのバルブ孔を開放可能に閉塞する閉塞部を有するバルブ本体と、このバルブ本体の前記閉塞部と前記コネクタハウジングの軸方向一方側の内面との間に配置され、前記バルブ本体を軸方向他方側に向かって付勢する圧縮スプリングと、を有し、
前記バルブシートは、前記バルブ孔が形成されているシート本体と、このシート本体の径方向外周部に一体的に形成されて軸方向他方側に延びる筒状部と、から構成され、
前記バルブシートの前記筒状部は、前記パイプ挿入部の所定位置まで延びるように形成され、前記パイプ挿入部に挿入されたパイプの挿入側端部及び前記コネクタハウジングの前記貫通路を形成する内周面の間に介在して、前記パイプの前記挿入側端部及び前記内周面の間を埋めるものであり、
前記バルブ本体には、前記バルブシートの前記バルブ孔に連なる小孔が設けられていて、
さらに前記バルブ本体には、前記バルブ本体から軸方向他方側に延びて前記バルブ孔の内周面上をスライドするスライド脚が、周方向に間隔を有して配置されている、ことを特徴とするバルブ内蔵コネクタ。 - 前記スライド脚は、周方向等間隔で形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載のバルブ内蔵コネクタ。
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