JP3775328B2 - 同期誘導電動機の回転子、圧縮機、同期誘導電動機の回転子の製造方法、同期誘導電動機の回転子用金型 - Google Patents
同期誘導電動機の回転子、圧縮機、同期誘導電動機の回転子の製造方法、同期誘導電動機の回転子用金型 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、誘導トルクを用いることによって起動し、リラクタンストルクを用いることによって同期運転する同期誘導電動機の回転子、その製造方法、同期誘導電動機の回転子用金型、及びこの同期誘導電動機を用いた圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図25は、例えば特開昭57−180359号公報に記載された従来の同期誘導電動機として例えば永久磁石同期モータの回転子を示す横断面図である。図において、21は回転子鉄心、22は永久磁石、24はダイカストによりアルミニウムが充填されたスロットであり、エンドリング(図示せず)とともにかご形の二次導体を形成している。また23は非金属材による回転子カバーである。
【0003】
この同期誘導電動機は、スロット24にアルミニウムを充填してかご形二次導体を構成しており、起動時にはスロット24の周囲に配置された固定子巻線により起動されるので、特別な起動装置を必要としない。また、起動後は永久磁石22によってトルク発生に寄与する磁界を形成でき、誘導電動機のように励磁するために電流を供給する必要がなく、効率の高い電動機を構成している。
【0004】
また、回転子鉄心21の外周面に4個の永久磁石22を配置し、さらに永久磁石22の外周面に非金属材の回転子カバー23で覆うことにより、回転子が回転した際に永久磁石22が遠心力によって外側に飛散するのを防止している。また回転子カバー23の材質を非金属材としているため、回転子カバー23の表面に渦電流が発生せず、渦電流損失のない永久磁石同期モータを得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の同期誘導電動機として永久磁石同期モータは以上のように構成されているので、次のような問題点があった。
永久磁石22を回転子鉄心21の外周面に配置しているため、回転子を高速で運転させた場合、永久磁石22の円周部分の加工バラツキにより、モータの振動や騒音が発生したり、遠心力に対する強度が弱く耐久寿命が短いなどの問題点があった。また加工バラツキを低減するためには永久磁石22の加工精度を高くする必要があり、加工コストのアップにつながっていた。また永久磁石22が回転子鉄心21の全外周面に配置されており遠心力がすべての永久磁石22に働くために、回転子鉄心21の外周全周にわたって回転子カバー23を設ける必要があり、高価な回転子カバー23が必要となる。コストダウンのために回転子カバー23の厚さを薄くすると、遠心力に対する強度が低下するという問題点があった。さらに永久磁石22を着磁する工程が必要となり、加工コストアップになるという問題点もあった。さらにこのモータを廃棄する際に、永久磁石22を用いているため、リサイクル性が悪いなどの問題点があった。
【0006】
この発明、上記のような問題点を解消するためになされたもので、永久磁石を用いず、リサイクル性に問題なく、安価で高効率、かつ信頼性の高い同期誘導電動機を提供することを目的とする。
さらに、信頼性の高い同期誘導電動機を得ることができる同期誘導電動機の回転子の製造方法及び同期誘導電動機の回転子用金型を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係わる同期誘導電動機の回転子は、回転子に設けられ、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部と、前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部と、前記スリット部及び前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に充填された導電性材と、非磁性体かつ導電性材より成り、前記回転子の少なくともq軸方向の外周部に配置され前記回転子を前記外周部から補強する補強部材と、前記補強部材に前記回転子の外周部におけるスロット部の位置とほぼ一致させるように設けた複数の孔と、を備えたものである。
【0008】
また、この発明の請求項2に係わる同期誘導電動機の回転子は、回転子に設けられ、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部と、前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部と、前記スリット部及び前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に充填された導電性材と、非磁性体より成り、前記回転子のq軸方向の外周部に配置され前記回転子を前記外周部から補強する補強部材と、を備え、前記回転子の回転中心に設けた出力軸に前記補強部材を固定するとともに、前記回転子のq軸方向の外周面に、固定子に対する前記回転子のq軸方向の空隙を広げるように設けられた平面部に前記補強部材を配置するものである。
【0009】
また、この発明の請求項3に係わる同期誘導電動機の回転子は、補強部材を、前記回転子鉄心の積層方向または前記回転子鉄心の周方向で、複数に分割して構成したものである。
【0010】
また、この発明の請求項4に係わる同期誘導電動機の回転子は、補強部材が、非磁性体でかつ非導電性材であることを特徴とするものである。
【0016】
また、この発明の請求項5に係わる同期誘導電動機の回転子は、回転子に設けられ、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部と、前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部と、前記回転子のエンドリングを形成するために前記回転子のq軸方向への延長部を有する金型により、前記回転子のq軸方向の前記スリット部間を前記回転子の積層方向の一方の端部から他方の端部側に押さえた状態で、前記スリット部及び前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に充填された導電性材と、を備えたものである。
【0017】
また、この発明の請求項6に係わる圧縮機は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の同期誘導電動機の回転子を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
また、この発明の請求項7に係わる同期誘導電動機の回転子の製造方法は、回転子鉄心に、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部、及び前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部を打ち抜くステップと、前記ステップで打ち抜いた回転子鉄心を積層するステップと、前記回転子のエンドリングを形成するために前記回転子のq軸方向への延長部を有する金型により、前記回転子のq軸方向の前記スリット部間を前記回転子の積層方向の一方の端部から他方の端部側に押えた状態で、前記スリット部と前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に導電性材を充填するステップと、を備えたものである。
【0019】
また、この発明の請求項8に係わる同期誘導電動機の回転子用金型は、回転子鉄心の外周側を押さえる第1の金型と、前記回転子鉄心の積層方向の両方の端部を、導電性材が積層方向の一端部から他端部へスリット部及びスロット部を通して充填されるように押さえる一対の第2の金型と、を備え、前記第2の金型は前記回転子鉄心の積層方向の端部の面の周を押さえると共に、前記回転子鉄心の積層方向の端部の面の中央部で磁束の流れにくい方向であるq軸方向に延長されて前記スリット部間を押さえるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、実施の形態1について図を用いて説明する。図1はこの発明の実施の形態1による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図である。図ではスリット部2とスロット部3をわかりやすいように斜線で示している。また、図2はこの実施の形態による同期誘導電動機の回転子を示す斜視図である。
【0021】
図において、1は磁性体である電磁鋼板により構成された回転子鉄心で、例えば1mm以下の厚さの電磁鋼板が複数枚積層されることにより回転子を構成する。2、2a、2b、2c、20a、20b、20cは内部に非磁性体で導電性材であるアルミニウムが充填されているスリット部、3、3a、3b、3c、30a、30b、30cはスリット部2と同様に内部にアルミニウムが充填されているスロット部、4は圧入や焼き嵌めなどにより回転子に固着されている出力軸で、例えばシャフト、5は開口部で、回転子鉄心1の積層方向に貫通して設けられた穴であり、この同期誘導電動機を冷凍サイクルを構成する圧縮機などに用いた場合、冷媒などの通路となる。また、6は補強部材で、例えば回転子カバー、7はエンドリングである。
【0022】
図1に示すように、複数のスロット部3a、3b、3c、30a、30b、30cなどは、回転子鉄心1の中心に対して放射状に略均等に配置されており、誘導トルクを発生させる。ここで、スリット部2a、20aは磁束の流れやすい方向であるd軸と磁束の流れにくい方向であるq軸が得られるように、放射状に配置されたスロット部3間をd軸に対して略平行になるように例えば直線状に連続的に接続され、さらに、d軸とq軸が回転子の略中心を通って直交するようにスリット部2が設けられて、2極の磁極突起が形成される構造を成している。即ち、スリット部2の長手方向(d軸の方向)の両端部にスロット部3が連結接続されている。
【0023】
また、スリット部2a、2b、2cとスリット部20a、20b、20cは回転子鉄心1の略中心を通るd軸を挟んで略同等距離に例えば直線状に配置されており、略平行になるように対を成して設けられている。ここでは例えば、スリット部2はd軸を挟んでスリット部2a、20a、スリット部2b、20b、スリット部2c、20cの例えば3対で構成されている。
【0024】
上記のような構成により、回転子は回転子鉄心1の幅の広い部分を通って磁束の流れやすい方向であるd軸と、平行に配置されている非磁性体であるスリット部2と交わる方向で、磁束の流れにくい方向であるq軸が存在する。回転子の周囲には所定の空隙を設けて固定子(図示せず)が配設され、固定子で生成された磁束は、回転子の位置によって2極の磁極突起を有する。
【0025】
図2に示すように、回転子鉄心1の積層方向、即ち軸方向の両端部には導電性材であるアルミニウムのエンドリング7がアルミダイカストにより設けられている。回転子に設けられた複数のスリット部2及び複数のスロット部3に充填されたアルミニウムとエンドリング7によってかご形の二次導体が形成される。図2ではシャフトを省略して示している。
【0026】
固定子巻線に50Hz及び60Hzの商用電源を接続して同期誘導電動機を運転させた場合、かご形の二次導体に二次電流が流れ、誘導トルクを発生して同期誘導電動機を起動する。このため、特別な起動装置を必要とせずに電動機を起動させることが可能であり、低コストな同期誘導電動機を得ることができる。また磁極突起を有しているので同期運転が可能となるため、二次銅損を低減させた高効率な電動機を得ることができる。
【0027】
補強部材である回転子カバー6は、非磁性体より成り、回転子の少なくともq軸方向の外周部に配置され、回転子を外周部から補強するものである。ここでは、例えばSUSなどの非磁性体の材質で構成され、回転子鉄心1の外周部の、例えば全周にわたって配置されている。回転子カバー6は、例えば回転子の軸方向長さを回転子よりも長く成形しておき、その差分を回転子の両端部の面に折り曲げて圧着などにより固定されている。
スロット部3は回転子鉄心1の中心から離れた外周部近傍に配置されており、回転子鉄心1はさらにその外側で連結されている。起動時にスロット部3の導電性材に電流を流して誘導トルクを発生させる際、安定して起動されるように周囲の固定子との空隙を小さくする必要がある。このため、スロット部3の外側に構成されている回転子鉄心1は、外周部近傍において例えば1mm以下の薄肉部で連結されている。
この状態で、回転子を高速で回転させると回転子に働く遠心力により、回転子が外側に膨張して、薄肉部に応力が集中する。このため、遠心力に対する強度が弱く耐久寿命が短くなったり、回転子鉄心1の破壊を招くおそれがある。そこで、回転子の周囲に補強部材として回転子カバー6を設けることにより、回転子鉄心1の遠心力に対する強度を強めることができ、耐久性及び信頼性の高い同期誘導電動機の回転子を得ることができる。
【0028】
ここで、回転子カバー6に金属などの導電性材のものを用いると、回転子カバー6の外周表面に渦電流が流れることによって渦電流損失が発生し、回転子が発熱することがある。そこで、例えばプラスチックなどの非導電性材で回転子カバー6を構成することにより、渦電流損失が発生せず、回転子の発熱を抑えた信頼性の高い同期誘導電動機を得ることができる。
【0029】
また、この同期誘導電動機を圧縮機に搭載した場合、同期誘導電動機が誘導電動機に比べてすべりがなく高効率であるため、高効率で、信頼性の高い圧縮機を得ることができる。さらにこの構成では永久磁石を用いていないため、電動機を廃棄する際、リサイクル性がよい。
【0030】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図について説明する。図3は実施の形態2による同期誘導電動機の回転子の側面図を示すものである。この実施の形態では、補強部材である回転子カバー6に複数個の孔8を設けている。実施の形態1と同一または相当部分は、同一の符号を付し、その説明を省略している。また、同期誘導電動機の回転子としての主な構成、動作、作用効果は実施の形態1と同様である。
回転子カバー6に金属などの導電性材を用いると回転子を回転させる際、図3の矢印で示すように回転子カバー6の表面に渦電流が流れることにより、渦電流損失が発生する。この実施の形態では、複数個の孔8を設けることにより、渦電流の流れる経路の長さが長くなり、実質的に電気抵抗が増大して、渦電流損失を小さくできる。このため、渦電流損失で同期誘導電動機の効率が低下するのを防ぐことができる。
【0031】
なお、この孔は図3では円形としたが、これに限るものではなく、楕円形や四角など、どのような形状でもよい。ただし、渦電流の流れる経路の長さがなるべく長くなるような形状にすると、渦電流損失をより小さくでき、効果的である。
【0032】
また、図4はこの実施の形態による同期誘導電動機の別の回転子の側面図であり、孔8を回転子の積層方向に細長く設けて、実施の形態1で示した回転子外周におけるスロット部3の位置と補強部材である回転子カバー6の位置をほぼ一致させたものである。
前述のように、回転子カバー6に金属などの導電性材を用いると、図4の矢印で示すように表面に渦電流を発生するが、同期誘導電動機の起動時は、スリット部2及びスロット部3に充填されたアルミニウムとエンドリング7で構成されるかご形の二次導体に電流が流れることにより誘導トルクを発生させて、電動機を起動させている。この二次電流を大きくすれば、負荷が生じた状態でも安定して起動することができ、さらに同期引込の性能が改善する。この実施の形態の同期誘導電動機の回転子は、回転子カバー6の表面に流れる渦電流と二次導体に流れる電流の方向をほぼ一致させるように孔8を設けることで、実質的に二次電流を大きくすることができ、電動機の起動性が向上して、起動時の負荷が高い状況でも安定して起動できる。さらに、同期引込性能を向上できる。このため、信頼性の高い同期誘導電動機を得ることができる。
【0033】
ここでは、回転子鉄心の積層方向と一致する方向に孔8を設けたが、孔8を斜め方向に設けても、ある程度二次電流を大きくすることができ、起動性の向上に効果がある。また、孔8を四角形状としたが、楕円形状など、どのような形状でもよい。
【0034】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3を図について説明する。図5はこの実施の形態による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図、図6は側面図、図7はエンドリング7も共に示す斜視図である。図5ではスリット部2とスロット部3をわかりやすいように斜線で示している。さらに、図において、9は補強部材で、回転子の少なくともq軸方向の外周部に配置され、q軸方向に働く力に対して回転子を外周部から補強する。ここでは、補強部材9は例えば回転子カバーであり、例えば1mm以下のSUSなどの非磁性体で形成されている。実施の形態1と同一または相当部分は、同一の符号を付し、その説明を省略している。また、同期誘導電動機の回転子としての主な構成、動作、作用効果は実施の形態1と同様である。
【0035】
回転子カバー9は2つのカバー9a、9bで構成されており、回転子鉄心1の積層方向で2つに分割されている。回転子カバー9a、9bは、回転子外周面の積層方向のほぼ中央で当接するように構成されている。さらに、回転子カバー9は回転子の端部に配置される部分と回転子のq軸方向の外周部に配置される部分を有し、回転子のq軸方向の外周部に配置される部分は回転子の外周に沿って円弧を成している。さらに、回転子の端部に配置する部分には出力軸であるシャフト4を挿入するための穴を有する。回転子の両端部の面においては、図5に示すように、シャフト4からq軸方向に伸びるように回転子カバー9が配置される。開口部5は、この同期誘導電動機を冷凍サイクルを構成する圧縮機などに用いた場合、冷媒などが流れる通路であり、回転子カバー9はこの開口部5を覆わないように避けた形状とする。
【0036】
回転子鉄心1は、スリット部2が細長い形状であるため、高速回転で遠心力が働くとq軸方向に引っ張られる。そこで、補強部材である回転子カバー9を、回転子の少なくとも機械的強度の弱い部分であるq軸方向の外周部に配置することで、遠心力によって回転子がq軸方向に引っ張られるのを防止している。
特に、回転子カバー9は回転子の端部で回転中心であるシャフト4に固定されているので、径方向の力に対して強固な構成になっており、q軸方向への引っ張り力に対して強力に回転子を保持できる。
【0037】
実施の形態1、2で述べたように、回転子カバー9が導電性材の場合には回転子外周部に配置された回転子カバー9に渦電流損失が発生するが、回転子外周部の回転子カバー9の面積を、実施の形態1、2に比較して小さくすることにより、実質的に電気抵抗が増大する。このため、渦電流損失を低減させることができ、高効率な同期誘導電動機を得ることができる。また、回転子カバー9を小さくすることで、回転子カバー9のコストを抑えることができ、低コストな同期誘導電動機を得ることができる。
【0038】
ここで、この実施の形態に係る同期誘導電動機の回転子の製造方法について説明する。回転子鉄心1の外周部の一部分に配置される回転子カバー9を保持するために、回転子カバー9の端部に配置される部分にシャフト4を挿入するための穴を開けておく。回転子鉄心1を所定枚数積層した後に、シャフト4が挿入できるような状態で回転子カバー9a及び9bを上下からかぶせる。その後、ダイカスト法などによりスリット部2及びスロット部3に例えばアルミニウムを充填させて、エンドリング6と共に二次導体を生成させる。
このように回転子を製造すれば、回転子カバー9とアルミニウムの二次導体との密着性が良好で、回転子カバー9をしっかりと固定することができ、回転子の遠心力に対する強度をさらに増すことができる。
また、補強部材を、回転子鉄心1の積層方向で複数、例えば2つに分割して構成したので、回転子を製造する時に容易に装着できる。このため、生産性の高い同期誘導電動機が得られる。
【0039】
なお、この回転子カバー9の厚さは、すべて同じとしなくてもよく、回転子の積層方向の端部に配置される部分を、回転子の外周部に配置される部分よりも厚くしてもよい。外周部に配置される部分を厚くしてしまうと、回転子の周囲に配設される固定子との空隙が大きくなり、同期誘導電動機としての効率の低下につながる。そこで、外周面の回転子カバー9の厚さを薄くすることで、効率の低下を防止できる。
【0040】
また、図8は同期誘導電動機の回転子の別の構成で、回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図、図9は図8に示すA−A方向から見た回転子の断面構成図である。図8ではスリット部2とスロット部3をわかりやすいように斜線で示している。
図において、11は、非磁性体より成り、出力軸であるシャフト4に固定されると共に、回転子のスリット部2または回転子の少なくともq軸方向に配置するスロット部3に挿入され、q軸方向の力に対して回転子を補強する補強部材である。ここでは、補強部材11は一部がスロット部3の内部に挿入され、例えばSUSやプラスチックなどの非磁性体より成る回転子カバーである。10、10a、10bはスリット部2及びスロット部3の内部に充填された、例えばアルミニウムなどの導電性材である充填物質である。回転子カバー11a、11bは、図6に示したものと同様、回転子の積層方向で2つに分割して回転子に装着しやすい構成とし、スロット部3の内部で、積層方向のほぼ中央で互いに当接する。また、この回転子カバー11が挿入されるスロット部3は、q軸方向に配置されている。
【0041】
この回転子カバー11は回転中心となるシャフト4に固定されると共に、回転子カバー11をスロット部3の内部に挿入した構成であり、スロット部3に充填される導電性材とによってスロット部3内に固着される。このため、回転子カバー11と二次導体との密着性が増し、回転子の遠心力に対する強度を増すことが可能である。特に回転子カバー11は、q軸方向に配置されているスロット部3に挿入した構成であり、q軸方向にかかる遠心力に対する強度を増すことができる。また図6に示した構成に比べ、回転子の端面に配置される部分及び回転子の側面に配置される部分の両方において面積を小さくできるので、回転子カバー11を小型にでき、回転子カバー11のコストを抑えることができ、低コストな同期誘導電動機を得ることができる。また、回転子カバー11が回転子外周面に配置されていないため、回転子カバー表面での渦電流損失の発生がなく、効率のよい同期誘導電動機を得ることができる。
【0042】
このような構成の回転子の製造方法は、回転子鉄心1を所定枚数積層した後に、シャフト4が挿入できるように回転子カバー11a及び11bを回転子軸方向の上下からスロット部3に挿入する。その後、ダイカスト法などにより例えばアルミニウムなどの充填物質10を鋳込んで二次導体を生成させ、回転子が構成される。
このように回転子カバー11をスロット部3の内部に挿入した後に二次導体を生成することで、容易に回転子カバー11を固着できると共に、回転子カバー11と二次導体の密着性が増し、回転子の遠心力に対する強度を増すことが可能である。
【0043】
また、図10は同期誘導電動機の回転子の別の構成で、回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図、図11は図10に示すB−B方向から見た回転子の断面構成図、図12は回転子カバー11を示す斜視図である。図10ではスリット部2とスロット部3をわかりやすいように斜線で示している。
回転子カバー11a、11bは、図8、9に示したものと同様、回転子積層方向で2つに分割して回転子に装着しやすい構成としている。さらに、この構成では、回転子カバー11a、11bをスリット部2に挿入し、q軸方向の力に対して回転子を補強する。上下の回転子カバー11a、11bは、スリット部2の内部で、積層方向のほぼ中央で互いに当接する。
【0044】
また、図12に示すように、回転子カバー11a、11bは、回転子の端部の面に配置される部分アと、スリット部2に挿入される部分イとを有し、部分アにはシャフト4が挿入される穴ウが設けられている。回転子カバー11は、この穴ウにシャフト4が挿入されて回転子に固定されている。さらに部分イがスリット部2に挿入され、このスリット部2に充填される導電性材によって固定される。
【0045】
回転子カバー11は、回転子の遠心力に対して強度を確保する補強部材であり、遠心力に対して強度が弱い部分に配置されるように回転子カバー11を構成すればよく、回転子カバーの形や配置位置にこだわるものではない。また、回転子が回転する時に一番強く遠心力を受ける部分は、回転子の構成や固定子の構成に応じて変化し、固定ではない。このため、回転子の構成や固定子の構成に応じて補強部材の位置や形状を決定するのが好ましい。一般にスロット部3とスリット部2を有する構成の回転子は、二次導体となる充填物質12によって薄い層を構成しているq軸方向に弱い。さらに例えば一番シャフト4に近いスリット部2に遠心力がかかりやすい場合には、回転子カバー11を2番目のスリット部2の内部に挿入することで、回転子、特に一番シャフト4に近いスリット部2がq軸方向に引っ張られる力に対して補強することができる。
【0046】
また、この構成でも、回転子カバー11を小さくでき、また図12のように形状が簡素になるため、回転子カバー11が安価になり、低コストな同期誘導電動機を得ることができる。
また、回転子カバーが回転子外周面に配置されていないため、回転子カバー表面での渦電流損失の発生がなく、高効率な同期誘導電動機を得ることができる。さらに、図8、9の構成に比べ、d軸方向の長さを長くできるので、薄い層形状である一番シャフト4に近いスリット部2のd軸方向に広い範囲で、q軸方向にかかる遠心力に対する構造を強化できる。
【0047】
図10〜図12に示した構成の回転子の製造方法の一例をフローチャートに基づいて工程順に説明する。図13は同期誘導電動機の回転子の製造方法を示すフローチャート図である。まずST1において、回転子鉄心1をパンチ型にて一枚ずつ打ち抜き、ST2にて一枚ずつ打ち抜いた回転子鉄心1を所定の枚数分積層する。次にST3において、積層した回転子鉄心1に補強部材として、回転子カバー11を少なくともq軸方向の外周部に配置されるようにセットする。この際、シャフト4を挿入できるように回転子鉄心1と回転子カバー11の穴の位置をしっかり合わせて、仮のシャフトを挿入しておく。続いてST4にてダイカスト法で回転子に導電性材である例えばアルミニウムを充填して、二次導体を生成する。最後に仮のシャフトを抜いて、シャフト4を挿入することで回転子が製造される。
このように、回転子カバー11をスリット部2の内部に挿入した後に二次導体を生成することで、容易に回転子カバー11を固定できると共に、回転子カバー11と二次導体の密着性が増し、回転子の遠心力に対する強度を増すことが可能である。なお、ここで示した製造工程は、ST3の工程が増えるだけで、これまでの工程をほとんど変える必要なく、遠心力に対する強度が高く、信頼性が高い同期誘導電動機の回転子の製造する方法である。
ここではアルミダイカストを行った後に、シャフト4を挿入しているが、製造工程の順番が逆にしてもよい。
【0048】
また、図14は同期誘導電動機の回転子の別の構成で、回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図、図15は側面図である。図14ではスリット部2とスロット部3をわかりやすいように斜線で示している。
12a、12bは補強部材である回転子カバーであり、この構成では回転子積層方向には当接部分がなく一体の構成であり、回転子鉄心の周方向で複数、例えば2つに分割されている。回転子カバー12a、12bの回転子の両端面に配置される部分には、シャフトを挿入する穴がそれぞれ設けられており、回転子カバー12a、12bはこの上下の穴で回転子に固定される。即ち、回転子カバー12a及び12bを積層された回転子鉄心1の外周部側から挿入し、シャフト4で回転子カバー12a及び12bを固定する。
【0049】
この回転子カバー12a、12bも、少なくともq軸方向の外周部に配置される。さらに回転子カバー12a及び12bはそれぞれシャフト4が挿入される穴を上下に有するため、シャフト4を挿入することでしっかりと固定させることができる。さらに回転子鉄心1の積層方向に当接する部分がなく、このため回転子の遠心力に対する強度がさらに増し、信頼性の高い同期誘導電動機を得ることができる。
なお、この構成では製造する際、回転子カバー12a、12bを回転子鉄心1にセットした後で二次導体を生成してもよく、また、二次導体を生成した後で回転子カバー12a、12bをセットしてもよい。
【0050】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4を図について説明する。図16はこの実施の形態による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図、図17は側面図である。図16ではスリット部2とスロット部3をわかりやすいように斜線で示している。
この実施の形態では、回転子鉄心1のq軸方向の外周面に平面部を設けて、回転子カバー13をその平面部に配置し、回転子カバー13は回転子を外周部の平面部から補強している。図18は回転子カバー13を示す斜視図である。実施の形態1と同一または相当部分は、同一の符号を付し、その説明を省略している。また、同期誘導電動機の回転子としての主な構成、動作、作用効果は実施の形態1と同様である。
【0051】
回転子鉄心1の外周面に回転子カバーなどの補強部材を設けると、以下のような問題点もでてくる。即ち、回転子の周囲に配設される固定子との空隙が広がって同期誘導電動機の損失が増大してしまう。このため、所定の空隙に設定しようとすると、回転子カバーの厚さを薄くしなければならず、遠心力に対する強度が低下する。さらに回転子カバーを精度良く組み立てを行わないと、回転子が回転する際に、固定子にぶつかってしまう可能性がある。
このような問題点に対し、この実施の形態では、回転子のq軸方向の外周面に平面部を設け、その平面部及びシャフト4で回転子カバー13を保持する構成とする。回転子のq軸方向の外周部には回転子カバー13が配置され、実施の形態1〜実施の形態3と同様、遠心力に対する回転子、特にq軸方向の強度を増すことができる。
また、q軸方向に平面部を設けることでq軸方向の空隙が広くなっても、同期誘導電動機の同期時に損失が増大するなどの特性を悪くすることはない。さらに平面部以外の円弧状の部分では、回転子と固定子との空隙を狭くすることが可能となり、効率のよい同期誘導電動機を得ることができる。
【0052】
次に、この実施の形態による回転子の製造方法について説明する。回転子鉄心1を所定枚数積層した後に、回転子カバー13をd軸方向からスライドさせながら挿入する。そして、回転子鉄心1と回転子カバー13のシャフト4用の穴を位置合わせし、シャフト4が挿入できるように配置する。そして、ダイカスト法などにより二次導体を生成した後、シャフト4を挿入することで、回転子鉄心1及び回転子カバー13が固定されて回転子が製造される。
【0053】
このように、回転子及び回転子カバー13の外周面に平面部があるために、回転子カバー13を積層した回転子鉄心1の横からスライドさせて装着することができ、回転子カバー13を一体で形成することができる。回転子カバー13が一体で構成され当接部がないので、回転子カバー13の遠心力に対する強度が増加し、信頼性の高い同期誘導電動機を得ることができる。
また、ダイカスト法により例えばアルミニウムで二次導体を成形した後に回転子カバー13を挿入することも可能となる。この方法では、簡単に回転子カバー13をセットでき、生産性の高い同期誘導電動機を得ることができる。
また、回転子カバー13も側面イを円弧状にする必要がなく、製造しやすい形状となっている。
【0054】
なお、実施の形態3における図5や図14で示したような、回転子鉄心の積層方向に分割した回転子カバーや、回転子の上下の面で分割した回転子カバーにおいて、この実施の形態のように回転子及び回転子カバー13の外周面の少なくともq軸方向を平面とした構成にしてもよい。この場合でも、回転子と固定子との空隙を広げずに回転子カバーを設けることができるので、効果がある。さらに回転子カバーを円弧状にするよりも容易に形成できる。
【0055】
実施の形態1〜実施の形態4において、スリット部2とスロット部3のどちらにも導電性材が充填されている構成の同期誘導電動機について述べたが、スロット部3に導電性材が充填され、スリット部2には充填しない構成あるいはスリット部2の一部に充填される構成の同期誘導電動機についても、同様であり、実施の形態1〜実施の形態4を適用できる。
スリット部2に導電性材を充填しない場合にはその部分に開口部ができ、スリット部2の全てに導電性材を充填するのに比べて回転子自体を軽くできる。回転子が軽くなることで、電動機として動作させた場合の遠心力が小さくなる。これに加えて補強部材によってq軸方向に働く遠心力に対して回転子を補強することで、耐久性及び信頼性の高い同期誘導電動機の回転子を得ることができる。
さらに、スリット部2の開口部を、例えば、圧縮機に搭載するためにd軸方向に設けられている開口部5として用いることができる。開口部5を設けない構成とすることで、d軸方向にさらに磁束が通りやすくなり、磁束の通りにくいq軸とでより確実に磁極突起を形成でき、効率のよい同期誘導電動機を得ることができる。
【0056】
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5を図について説明する。図19はこの実施の形態による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図、図20は実施の形態5に係るダイカストにおける金型及びエンドリング型を示す断面図で、図20(a)は二次導体を生成するための金型の断面図、図20(b)はエンドリング型を示す断面図、図21及び図22は回転子のスリット部2付近を示す部分拡大図である。図19、図21、図22ではスリット部2とスロット部3をわかりやすいように斜線で示している。さらに、実施の形態1と同一または相当部分は、同一符号を付し、その説明を省略している。また、同期誘導電動機の回転子としての主な構成、動作、作用効果は実施の形態1と同様である。
【0057】
図において、14a、14bはダイカスト法によりスリット部2及びスロット部3に導電性材であるアルミニウムを充填する際に、回転子鉄心1の軸方向両端部をエンドリング型によって押さえる部分を示している。また、15は回転子両端にエンドリングを生成するための金型(第2の金型)であるエンドリング型であり、15a、15bにより回転子鉄心1の積層方向の端部の面を押さえて、ダイカストを行う。エンドリング型15aで回転子の端部の面の中央部の押さえ部分14aが押さえられ、エンドリング型15bで回転子の端部の面の周の押さえ部分14bが押さえられる。16は回転子鉄心1の外周面を固定する外周型(第1の金型)であり、アルミニウムを充填する際に、回転子鉄心1が外周側に膨らむのを防止している。17は充填穴であり、導電性材を充填する際にこの充填穴17からアルミニウムを流し込む。
図20(a)の金型において、回転子鉄心の左側外周部に空間(隙間)があるが、この空間はエンドリング型で回転子鉄心1を押さえるために必要な部分であり、左側のエンドリング型15の左側から圧力を加えても、左側のエンドリング型15と外周型16が端部で接触することがないため、回転子鉄心1に金型15をしっかりと押さえることができる。また適当な空間を設けることにより、回転子鉄心1の積層枚数を少なくした場合にも、空間部分で許容することができるため、同一の金型を用いることができ、低コストな金型を得ることができる。
ここで、エンドリング型15の材質はダイカスト時に回転子鉄心1の積層方向にかける圧力に対して強度を有するものであれば、特に限定するものではない。同様に、外周型16の材質はダイカスト時に回転子鉄心1の周方向の外側にかかる圧力に対して強度を有するものであれば、特に限定するものではない。
【0058】
回転子鉄心1の素材である電磁鋼板はスリット部2の間を非常に細長い部分でつながっている。ダイカスト法などを用いてスリット部2に二次導体として例えばアルミニウムを充填させるときに、低い圧力条件でダイカストを行うと、アルミニウムが均一に充填されず、二次導体の内部に巣ができる。この巣によって、同期誘導電動機の起動特性は劣化し、さらに誘導トルクでの振動及び騒音が大きくなってしまう。
一方、高い圧力条件でダイカストを行うと、図22で示すようにスリット部2の間の細長い部分に応力が集中して、この部分が変形してしまい、同期誘導電動機の同期時の特性を劣化させてしまうことがある。またアルミニウムが均一に存在していないため、電動機の起動時から同期引込までの誘導トルクに変動が生じ、振動や騒音が大きくなったりする。
【0059】
この実施の形態では、ダイカスト時にスリット部2間を回転子鉄心1の両端面からエンドリング型15によって押さえる。エンドリング型15aによって中央部のq軸近傍、特に細長い層状に構成されているスリット部2を上下から押さえ、エンドリング型15bによって回転子鉄心1の円周部、特にスロット部3の外周部の肉薄部が変形しないように上下から押さえる。そして、高い圧力条件でダイカストを行なう。このようにスリット部2やスロット部3近傍の厚さの薄い部分をしっかりと押さえ、高圧でダイカストを行なうので、図21に示すように、充填材であるアルミニウムをスリット部2に、電磁鋼板の変形を生じることなく、均一に充填する。このため、同期運転時に効率低下を防ぐことができる同期誘導電動機が得られる。また、起動から同期引込までの低振動化及び低騒音化を実現することができる。
【0060】
また、図23は同期誘導電動機の回転子の別の構成で、回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図、図24はエンドリング型を示す断面図である。図23ではスリット部2とスロット部3をわかりやすいように斜線で示している。
この構成は、回転子鉄心1に開口部5を有するものであり、この同期誘導電動機を例えば、圧縮機に搭載した場合、圧縮機の性能を低下させないように、冷媒などの通路として開口部5を設ける必要が考えられる。この構成の場合には、ダイカスト時に回転子鉄心1の両端部のエンドリング型15aを十字形状にすることにより、開口部5にアルミニウムが充填するのを防ぎ、冷媒などの通路を設けることができ、圧縮機の性能を確保することができる。
【0061】
中央部のエンドリング型15aの形状はどのような形状のものでもよいが、q軸方向に延長された形状にすると、細長い層状であるスリット部2に均一に充填材を充填することができる。
【0062】
この実施の形態に係る製造方法について説明する。
まず、図13に示した工程と同様、まずST1において、回転子鉄心1に、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部2、及びスリット部2の外周側に配置されてスリット部2のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部3を、パンチ型にて一枚ずつ打ち抜く。次にST2にて一枚ずつ打ち抜いた回転子鉄心1を所定の枚数分積層する。ここで仮のシャフトを回転子鉄心1の中心部に挿入しておく。
【0063】
この実施の形態では補強部材を有しないので、ST3に示した工程はなくST4を行なう。積層した回転子鉄心1の外周側を外周型16で押さえ、両方の端部を一対のエンドリング型15で押さえる。この時、中央部のエンドリング型15aによって、回転子鉄心1の一方の端部の少なくともq軸近傍で、押さえ部分14aを他方の端部側に押さえる。これと共に、回転子鉄心1エンドリング型15bによって回転子鉄心1の端面の周の押さえ部分14bを他方の端部側に押さえる。これにより、回転子鉄心1は導電性材を充填する部分だけが空間となって金型15、16で密閉される。この状態で一方のエンドリング型15に設けた充填穴17から、スリット部2及びスロット部3に導電性材、例えばアルミニウムを流し込む。これにより二次導体が生成される。最後に仮のシャフトを抜いてST5でシャフト4を挿入することで回転子が製造される。
【0064】
エンドリング型15a、15bで回転子鉄心1の両端部を押さえて圧力をかけた状態でダイカストを行なうと、エンドリング型15a、15bで覆われていない部分にエンドリング7が形成される。エンドリング7の中央部にエンドリング型15aの空間が形成されるが、この空間はかご形の二次導体としての動作になんら影響を及ぼすものではない。圧縮機に搭載され、開口部5が必要な回転子の場合には、図24のように開口部5を覆うようなエンドリング型15aにすることで、ダイカストで、開口部5を設けることが可能である。
この製造工程では、これまでの製造工程をそれ程変えることなく、遠心力に対する強度が高く、信頼性が高い同期誘導電動機の回転子の製造方法を得ることができる。
【0065】
なお、上記ではスリット部2とスロット部3のどちらにも導電性材が充填されている構成の同期誘導電動機について述べたが、スロット部3に導電性材が充填され、スリット部2には充填しない構成あるいはスリット部2の一部に充填される構成の同期誘導電動機についても、この実施の形態5を適用できる。スリット部2には充填しない構成あるいはスリット部2の一部に充填される構成の場合には、スリット部2の導電性材を充填しない部分にあらかじめ別の部材を挿入しておいてダイカスト法を行い、後で挿入した別の部材を取り出す。このダイカスト法を行なう時に、エンドリング型15を用いて回転子鉄心1の端部の面の少なくともq軸近傍を他方の端部側に押えることで、スリット部2の変形をより確実に防ぐことができる。このため、信頼性の高い同期誘導電動機の回転子を得ることができる。
【0066】
実施の形態2〜実施の形態5のそれぞれの同期誘導電動機において、実施の形態1と同様、この同期誘導電動機を圧縮機に搭載した場合、同期誘導電動機が誘導電動機に比べてすべりがなく高効率であるため、高効率な圧縮機を得ることができる。さらに、回転した時に回転子の遠心力に対する強度を強めることができ、耐久性及び信頼性の高い同期誘導電動機の回転子を得ることができる。また、永久磁石を用いない構成であり、電動機を廃棄する際、リサイクル性がよい。
【0067】
実施の形態1〜実施の形態5ではd軸とq軸を有する2極の同期誘導電動機について述べたが、4極以上の電動機においても同様の効果が得られる。また、二次導体の材質を例えばアルミニウムとしたが、他の導電性材でもよい。また、補強部材である回転子カバーの材質を例えばSUSとしたが、他の非磁性体でもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の請求項1によれば、回転子に設けられ、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部と、前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部と、前記スリット部及び前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に充填された導電性材と、非磁性体かつ導電性材より成り、前記回転子の少なくともq軸方向の外周部に配置され前記回転子を前記外周部から補強する補強部材と、前記補強部材に前記回転子の外周部におけるスロット部の位置とほぼ一致させるように設けた複数の孔と、を備えたことにより、遠心力に対する強度が高く、またリサイクル性が高く、渦電流損失を低減でき、効率が低下するのを防ぐことができるとともに、二次電流を大きくして起動性及び同期引込性能を向上できる同期誘導電動機の回転子が得られる。
【0069】
また、この発明の請求項2によれば、回転子に設けられ、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部と、前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部と、前記スリット部及び前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に充填された導電性材と、非磁性体より成り、前記回転子のq軸方向の外周部に配置され前記回転子を前記外周部から補強する補強部材と、を備え、前記回転子の回転中心に設けた出力軸に前記補強部材を固定するとともに、前記回転子のq軸方向の外周面に、固定子に対する前記回転子のq軸方向の空隙を広げるように設けられた平面部に前記補強部材を配置することにより、遠心力に対する強度が高く、またリサイクル性が高く、さらに低コストにできる同期誘導電動機の回転子が得られる。
【0070】
また、この発明の請求項3によれば、補強部材を、前記回転子鉄心の積層方向または前記回転子鉄心の周方向で、複数に分割して構成したことにより、遠心力に対する強度が高く、さらに生産性の高い同期誘導電動機の回転子を得ることができる。
【0071】
また、この発明の請求項4によれば、補強部材を、非磁性体でかつ非導電性材としたので、遠心力に対する強度が高く、さらに渦電流損失が発生することなく回転子の発熱を抑えることができる信頼性の高い同期誘導電動機の回転子が得られる。
【0077】
また、この発明の請求項5によれば、回転子に設けられ、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部と、前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部と、前記回転子のエンドリングを形成するために前記回転子のq軸方向への延長部を有する金型により、前記回転子のq軸方向の前記スリット部間を前記回転子の積層方向の一方の端部から他方の端部側に押さえた状態で、前記スリット部及び前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に充填された導電性材と、を備えたことにより、導電性材を充填する際にスリット部が変形するのを防いで同期時の特性の劣化を防止でき、低振動及び低騒音で信頼性の高い同期誘導電動機の回転子を得ることができる。
【0078】
また、この発明の請求項6によれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の同期誘導電動機の回転子を備えたことにより、遠心力に対する強度が高く信頼性が高い同期誘導電動機の回転子を搭載して、効率のよい圧縮機を得ることができる。
【0079】
また、この発明の請求項7によれば、回転子鉄心に、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部、及び前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部を打ち抜くステップと、前記ステップで打ち抜いた回転子鉄心を積層するステップと、前記回転子のエンドリングを形成するために前記回転子のq軸方向への延長部を有する金型により、前記回転子のq軸方向の前記スリット部間を前記回転子の積層方向の一方の端部から他方の端部側に押えた状態で、前記スリット部と前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に導電性材を充填するステップと、を備えたことにより、これまでの製造工程をそれ程変えることなく、スリット部の変形が生じることなく導電性材を充填でき、同期時の特性の劣化を防止でき、低振動及び低騒音で信頼性の高い同期誘導電動機の回転子の製造方法を得ることができる。
【0080】
また、この発明の請求項8によれば、回転子鉄心の外周側を押さえる第1の金型と、前記回転子鉄心の積層方向の両方の端部を、導電性材が積層方向の一端部から他端部へスリット部及びスロット部を通して充填されるように押さえる一対の第2の金型と、を備え、前記第2の金型は前記回転子鉄心の積層方向の端部の面の周を押さえると共に、前記回転子鉄心の積層方向の端部の面の中央部で磁束の流れにくい方向であるq軸方向に延長されて前記スリット部間を押さえることにより、スリット部の変形が生じることなく導電性材を充填でき、同期時の特性の劣化を防止でき、低振動及び低騒音で信頼性の高い同期誘導電動機の回転子用金型を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図である。
【図2】 実施の形態1による同期誘導電動機の回転子を示す斜視図である。
【図3】 この発明の実施の形態2による同期誘導電動機の回転子を示す側面図である。
【図4】 実施の形態2による同期誘導電動機の回転子を示す側面図である。
【図5】 この発明の実施の形態3による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図である。
【図6】 実施の形態3による同期誘導電動機の回転子を示す側面図である。
【図7】 実施の形態3による同期誘導電動機の回転子を示す斜視図である。
【図8】 実施の形態3による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図である。
【図9】 実施の形態3による同期誘導電動機の回転子を示す側面図である。
【図10】 実施の形態3による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図である。
【図11】 実施の形態3による同期誘導電動機の回転子を示す断面図である。
【図12】 実施の形態3による同期誘導電動機の回転子カバーを示す斜視図である。
【図13】 実施の形態3による同期誘導電動機の回転子の製造方法を示すフローチャート図である。
【図14】 実施の形態3による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図である。
【図15】 実施の形態3による同期誘導電動機の回転子を示す側面図である。
【図16】 この発明の実施の形態4による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図である。
【図17】 実施の形態4による同期誘導電動機の回転子を示す側面図である。
【図18】 実施の形態4による同期誘導電動機の回転子カバーを示す斜視図である。
【図19】 この発明の実施の形態5による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図である。
【図20】 実施の形態5に係るダイカストにおける金型及びエンドリング型を示す断面図である。
【図21】 実施の形態5による同期誘導電動機の回転子のスリット部を示す部分拡大図である。
【図22】 実施の形態5による同期誘導電動機の回転子のスリット部を示す部分拡大図である。
【図23】 実施の形態5による同期誘導電動機の回転子の軸方向の端面をエンドリングを除いて示す上面図である。
【図24】 実施の形態5に係るダイカストにおけるエンドリング型を示す断面図である。
【図25】 従来の永久磁石同期モータの回転子を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 回転子鉄心、2、2a、2b、2c、20a、20b、20c スリット部、3、3a、3b、3c、30a、30b、30c スロット部、4 出力軸、5 開口部、6、9、9a、9b、11、11a、11b、12a、12b、13 補強部材、7 エンドリング、8 孔、10、10a、10b 充填物質、14a、14b 押さえ部分、15a、15b エンドリング型、16 外周型、17 充填穴。
Claims (8)
- 回転子に設けられ、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部と、前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部と、前記スリット部及び前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に充填された導電性材と、非磁性体かつ導電性材より成り、前記回転子の少なくともq軸方向の外周部に配置され前記回転子を前記外周部から補強する補強部材と、前記補強部材に前記回転子の外周部におけるスロット部の位置とほぼ一致させるように設けた複数の孔と、を備えたことを特徴とする同期誘導電動機の回転子。
- 回転子に設けられ、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部と、前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部と、前記スリット部及び前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に充填された導電性材と、非磁性体より成り、前記回転子のq軸方向の外周部に配置され前記回転子を前記外周部から補強する補強部材と、を備え、前記回転子の回転中心に設けた出力軸に前記補強部材を固定するとともに、前記回転子のq軸方向の外周面に、固定子に対する前記回転子のq軸方向の空隙を広げるように設けられた平面部に前記補強部材を配置することを特徴とする同期誘導電動機の回転子。
- 前記補強部材を、前記回転子鉄心の積層方向または前記回転子鉄心の周方向で、複数に分割して構成したことを特徴とする請求項2記載の同期誘導電動機の回転子。
- 前記補強部材は、非磁性体でかつ非導電性材であることを特徴とする請求項2記載の同期誘導電動機の回転子。
- 回転子に設けられ、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部と、前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部と、前記回転子のエンドリングを形成するために前記回転子のq軸方向への延長部を有する金型により、前記回転子のq軸方向の前記スリット部間を前記回転子の積層方向の一方の端部から他方の端部側に押さえた状態で、前記スリット部及び前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に充填された導電性材と、を備えたことを特徴とする同期誘導電動機の回転子。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の同期誘導電動機の回転子を備えたことを特徴とする圧縮機。
- 回転子鉄心に、磁束の流れやすい方向であるd軸及び磁束の流れにくい方向であるq軸で磁極突起を形成する少なくとも一対のスリット部、及び前記スリット部の外周側に配置されて前記スリット部のd軸方向の少なくとも一端に連結され、誘導トルクを発生させる複数のスロット部を打ち抜くステップと、前記ステップで打ち抜いた回転子鉄心を積層するステップと、前記回転子のエンドリングを形成するために前記回転子のq軸方向への延長部を有する金型により、前記回転子のq軸方向の前記スリット部間を前記回転子の積層方向の一方の端部から他方の端部側に押えた状態で、前記スリット部と前記スロット部のうちの少なくとも前記スロット部に導電性材を充填するステップと、を備えたことを特徴とする同期誘導電動機の回転子の製造方法。
- 回転子鉄心の外周側を押さえる第1の金型と、前記回転子鉄心の積層方向の両方の端部を、導電性材が積層方向の一端部から他端部へスリット部及びスロット部を通して充填されるように押さえる一対の第2の金型と、を備え、前記第2の金型は前記回転子鉄心の積層方向の端部の面の周を押さえると共に、前記回転子鉄心の積層方向の端部の面の中央部で磁束の流れにくい方向であるq軸方向に延長されて前記スリット部間を押さえることを特徴とする同期誘導電動機の回転子用金型。
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