JP3775233B2 - 車両緊急情報通報装置および異常診断方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両緊急情報通報装置において、特に通報装置自体の異常を診断する異常診断方法、および車両緊急情報通報装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両緊急情報通報システムは、車両の衝突などの事故発生時に、車両に搭載した車両緊急情報通報装置から無線回線を介して、自動でサービスセンターへ車両緊急情報を通報するシステムである。このシステムにより救急車やパトカーなどの緊急車両が現場へ到着するまでの時間を短縮し、けが人をより迅速に救出、救済することができる。また急病人発生などの緊急事態でも、車両緊急情報通報装置の緊急ボタンを押下することにより、無線回線を介して車両緊急情報がセンターに通報され、センターのサービス要員との会話を行うことができる。
【0003】
車両緊急情報には、事故発生時の自動通報と緊急時の手動通報と、ロードサイドサービスの手動通報がある。事故発生時の自動通報は、車両の衝突や事故発生時、自動でサービスセンターへ通報し、さらに引き続いて緊急サービスセンターへ通報するものである。緊急時の手動通報は、急病人発生などの緊急時、緊急通報ボタンを押すとサービスセンターへ通報し、さらに引き続いて緊急サービスセンターへ通報するものである。この他にも、近年、車両のセキュリティ面からの需要が高まり、一部、車両緊急情報通報システムの実用化が始められている。
【0004】
従来の緊急情報通報システムの上記自動通報機能として、事故発生時にエアバッグ展開信号等の感知をすることで、緊急サービスセンターへ電話を自動発呼するエマージェンシーコール機能が有る。事故時には、自動的に前記エマージェンシーコールが作動して、ドライバーは、車両に設けられたマイクロホンとスピーカーを用いて緊急センターのオペレーターと会話し、援助要請を行うのが一般的である(電話用ハンドセットを用いずに会話を行うハンズフリー通話)。
【0005】
ところが上記エマージェンシーコールの発生頻度は極めて低く、通常の使用状態では、機器が万が一に事故に遭遇したときに、確実に動作するかユーザ側からでは判断できない。
【0006】
そこで、特開平11−250382号に記載の車両緊急情報通報装置では、前記エアーバッグ170や衝突検出装置(加速度センサーなど)、電源装置(バッテリなど)、車両要素(速度計など)等を診断対象として故障診断している。
【0007】
しかしながら、上記公報装置では、車両側の故障要因から車両緊急情報通報装置が動作可能か診断しているだけである。
【0008】
このように上記従来装置では、車両緊急情報通報装置自身や車両緊急情報通報装置の一部であるハンズフリー通話のための音声送受話系の故障診断は行われておらず、車両緊急情報通報装置自体に異常が発生している場合には、車両緊急情報通報装置自体に異常診断機能がないためメンテナンスもできず、万一事故に遭遇した時、正常にエマージェンシーコールで通話できないといった問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記点に鑑みてなされたもので、車両緊急情報通知自体の異常を簡単な構成で検出できる車両緊急情報通知装置、および異常診断方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、車両緊急情報通報装置の起動時に、所定音信号を音声出力手段から出力し、この所定音信号のアコースティックループバック信号を音声入力手段で検出して、所定音信号と前記検出信号を比較解析することにより、異常検出を行なう。
【0011】
これにより、特殊な装置を用いることなく、前記車両緊急情報通報手段の前記音声入出力部である送受話系の異常診断を行なうことができ、車両緊急情報通報装置の早期異常認識と高い信頼性のサービス提供を可能にする。
【0012】
また請求項2では、前記送受話系の異常診断に対し、前記アコースティックループバック信号検出時に外来雑音等の混入による誤判定を防止するために異常診断を繰り返し行い、その異常判定累積数が、ある閾値を超えた時、前記送受話系の異常を確定し、センターに、その異常を通知するものである。
【0013】
また請求項3では、請求項2と同様に異常を確定後、その異常発生をユーザに報知するために、LED、ディスプレイ表示部、携帯無線端末等にその旨の表示通知をすることができる。
【0014】
請求項4では、前述の請求項2または請求項3で判定した異常診断結果を異常ダイアグとして前記車両緊急情報通報手段内部のメモリ140に記憶することができる。
【0015】
また、請求項5記載の車両緊急情報通報装置の異常診断方法においても、請求項1と同じ作用効果が得られる。
【0018】
前述のエマージェンシーコール機能動作では、事故発生時、エアバック制御装置170からのエアバック展開信号等により、車両緊急情報通報装置100の制御回路部145を介して、無線部155から緊急センターへ電話が自動発呼される。その後、緊急センターと車両間で呼が確立されると、車両内に設けられたマイクロホン105とスピーカ110を用いて、ハンドセットを使用しないハンズフリーの状態で会話し援助要請を行なうことができる。
【0019】
ここで、車両内でハンズフリー通話を行なう場合、携帯電話で会話をする場合に比べて、車両搭乗者とマイクロホン105およびスピーカ110までの距離が大きくなるため、前述の様にマイクロホン105とスピーカ110の音響結合によってアコースティックループバックが形成され、通話時にエコーやハウリングが発生してしまう。
【0020】
これを抑制するために、車両緊急情報通報装置100の音声信号処理部115内には、マイクロホン105から入力される車両搭乗者の音声、エコーやハウリングの発生原因であるアコースティックリターン信号165、外来雑音等の合成信号をA/D変換器120でアナログ−デジタル変換した後、エコーキャンセラーおよびノイズキャンセラー125で、不要成分であるアコースティックリターン信号165と外来雑音を前記合成信号から除去して純粋な音声を生成している。
【0021】
本発明では、キーシリンダ175に車両キーが挿入されてIGまたはACC信号が入力されると、車両緊急情報通報装置100にバッテリ180から電源が投入される。電源投入後(車両緊急情報通報装置100が起動後)、メモリ140から固定メッセージである音声ガイダンス信号(例えば、「緊急情報通報システム作動中です」などの音声ガイダンス)が読み込まれ、D/A変換器135でアナログ音声に変換して、スピーカ110から音声出力することができる。この音声出力信号は、前述のアコースティックループバックによるアコースティックリターン信号165としてマイクロホン105に混入する。
【0022】
マイクロホン105では、アコースティックリターン信号165を検出してメモリ140に記憶し、波形解析部130で前記音声ガイダンス信号と前記検出信号を比較して車両緊急情報通報装置100の異常診断を行なうことができる。
【0023】
波形解析部130は、前記音声ガイダンス信号と前記検出信号の波形振幅を比較するだけでなく、波形歪の比較も行なうことが可能で、通話不能状態を検出するだけでなく、音声系の調整不良等も解析ができる。
【0024】
この様に本発明では、電源投入時に、特殊な装置を用いることなく車両緊急情報通報装置100の早期異常認識と信頼性の高い緊急情報サービスを提供する特徴がある。
【0025】
さらに、車両緊急情報通報装置100は、起動時に音声送受話系以外の内部回路も自己診断しており、車両緊急情報通報装置100の異常が発生した場合には、請求項2または3に記載した様に、制御回路145を介して、無線部155から緊急センターに通報することもできるし、ユーザーに対して音声通知やLED、表示部等への表示も行なうことができる。
【0026】
また、請求項4に記載の様に、異常発生時の異常診断結果は、異常ダイアグとしてメモリ140に記憶されるため、車両緊急情報通報装置100の故障解析や修理、メンテナンスに役立てることができる。
【0027】
図2は、第2の実施の形態における車両緊急情報通報装置の構成を示すブロック図である。図2の車両緊急情報通報装置210は、図1に比べて車両緊急情報通報装置100から無線部155が取り除かれ、外部に携帯電話等の携帯無線端末220を接続可能とし、前述の異常診断機能、緊急センターへの通報機能、ユーザーへの通知は、図1と同様に実現できる。この他に外部から接続された携帯無線端末220の表示部に異常診断結果や自己診断結果を表示させたり、携帯無線端末220からの操作によって、車両緊急情報通報装置210単体ではできない自己診断制御もできるという特徴がある。
【0028】
図3は、本発明の車両緊急情報通報装置を異常診断するためのフローチャートである。
【0029】
本発明の車両緊急情報通報装置では、S110で車両キー等によりACCまたはIG信号が投入されると、S120で車両緊急情報通報装置の電源が投入され、車両緊急情報通報装置内部の初期化と、S130で車両緊急情報通報装置内部の自己診断が実施される。S140で車両緊急情報通報装置内部が正常か否かを判定し、異常と判定(S140:NO)した場合、S190で車両緊急情報通報装置内部の自己診断のリトライ回数をカウントし、リトライ回数がn1回以上になった時、S200に進んで異常を確定する。
【0030】
次に、S140で車両緊急情報通報装置内部を正常と判定(S140:YES)した場合、S150にて正常動作中であることを知らせるための音声固定メッセージ(例えば、「緊急情報通報システム作動中です」等の音声合成ガイダンスの発声)を車両緊急情報通報装置の音声合成機能を使って、車両スピーカ110から発声する。
【0031】
S160では、上記音声固定メッセージ発声中に車両緊急情報通報装置は、マイクロホン105からのアコースティックループバック入力信号をメモリ140に保存し、音声固定メッセージ発声終了後に、保存データの波形解析を開始し、S170でスピーカ110から発せられた音声固定メッセージが、アコースティックループバックによりマイクロホン105へ正常にループバックされたか否かを判断する。
【0032】
外来雑音等の混入による誤判定を避けるために、もし、S170でループバックテスト結果が異常と判断(S170:NO)された場合には、リトライを繰り返し、リトライ回数がn2回以上か否かの判定をS180で行なう。リトライ回数がn2回以上に達した時(S180:YES)は、S190の場合と同様に、S200で車両緊急情報通報装置の音声送受話系の異常を確定する。その後、S210でユーザあるいはセンターに対しメンテナンス要求(表示、音声等)を出力し、異常ダイアグを記憶する。
【0033】
なお、前述のアコースティックループバック信号165として用いる音声ガイダンス信号や音声固定メッセージは、ガイダンスやメッセージでない音声信号であっても良い。
【0034】
以上、本発明の実施形態を述べたが、本発明に係わる携帯無線端末220は、携帯電話などの携帯端末以外の他の無線通信機も用いることができる。
【0035】
また、本発明の車両緊急情報通報装置は、車両装置以外のどのようなものに適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における車両緊急情報通報装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における車両緊急情報通報装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の車両緊急情報通報装置を異常診断するためのフローチャートである。
【符号の説明】
100・・・車両緊急情報通報装置、
105・・・マイクロホン
110・・・スピーカ、
115・・・音声信号処理部
120・・・A/D変換器
125・・・エコーキャンセラ、ノイズキャンセラ回路部
130・・・波形解析部、
135・・・D/A変換器
140・・・メモリ、
145・・・制御回路部
150・・・データ変換部、
155・・・無線部
160・・・アンテナ、
165・・・アコースティックリターン信号
170・・・エアバッグ制御装置、
175・・・キーシリンダ
180・・・バッテリ
210・・・信号振幅値設定部、
220・・・携帯無線端末装置
Claims (5)
- 音声入力手段(105)と、音声出力手段(110)とを有し、車両の緊急事態を検出すると、前記音声入力手段(105)からの音声をセンターに送信させるとともに、前記音声出力手段(110)からセンターより送信される音声を出力させる無線回線を接続し、緊急通報を行なう車両緊急情報通報装置において、
前記車両緊急情報通報装置の起動時に、前記音声出力手段から所定音信号を発して車両緊急情報装置の起動をユーザに通知し、
前記音声入力手段(105)と前記音声出力手段(110)間の音響結合を利用して、この所定音信号のループバック信号を検出・解析する解析手段(130)により、前記車両緊急情報通報手段の異常自己診断を行なうことを特徴とする車両緊急情報通知装置。 - 前記異常自己診断を行なった結果が異常であれば、正の異常値を累積し、前記累積値が一定値(S180)に達すると、前記センターに異常通知を行なうことを特徴とする請求項1に記載の車両緊急情報通知装置。
- 前記異常診断を行なった結果が異常であれば、正の異常値を累積し、前記累積値が一定値(S180)に達すると、ユーザに対し異常通知を行なうことを特徴とする請求項1に記載の車両緊急通知装置。
- 前記異常診断を行なった結果が異常であれば、異常ダイアグを記憶(S200)することを特徴とする請求項2あるいは請求項3に記載の車両緊急情報通知装置。
- 音声入力手段(105)と、音声出力手段(110)とを有し、車両の緊急事態を検出すると、前記音声入力手段(105)からの音声をセンターに送信するとともに、前記音声出力手段(110)からセンターより送信される音声を出力させる無線回線を接続し、緊急通報を行なう車両緊急情報通報装置の異常診断方法であって、
前記車両緊急情報通知装置の起動時に、前記音声出力手段から所定音を発生して車両緊急情報装置の起動をユーザに通知する所定音発生ステップ(S150)と、
前記所定音発生ステップにて発生された所定音信号のループバック信号を前記音声入力手段にて検出し解析することで、前記車両緊急情報通報手段の異常自己診断を行なう診断ステップ(S150、S160)とを有することを特徴とする車両緊急情報通知装置の異常診断方法。
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