JP3775034B2 - 赤外線検出器およびこれを用いた放射体温計 - Google Patents

赤外線検出器およびこれを用いた放射体温計 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体から放射される赤外線を検出する赤外線検出器と、この赤外線検出器を用いた放射体温計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の赤外線検出器および赤外線検出器を用いた放射体温計は、特開平8−254466号公報に記載されているものが一般的であった。この赤外線検出器1が赤外線を検知する原理について図7を用いて以下に説明する。
【0003】
すべての物体はその絶対温度に応じた赤外線を放射しており、赤外線検出器1はこの赤外線を検知するものである。赤外線検出器1は、赤外線を受けて信号を出力する赤外線受光素子2と、被測定物3から放射される赤外線を赤外線受光素子2に導くための導波管4とを有している。また、導波管4は金属よりなり、その内面は赤外線の反射を高めるように鏡面加工を施されている。
【0004】
被測定物3から放射される赤外線は、破線Aのように赤外線受光素子2に直接入射するか、または、一点鎖線Bのように導波管4の内面で反射を繰り返しながら赤外線受光素子2に入射する。従って、受光領域は広く、広範囲の赤外線が赤外線受光素子2に入射することになる。
【0005】
赤外線受光素子2の出力信号電圧Vは、赤外線受光素子2として焦電素子やサーモパイル等の熱型素子を使用したものを用いた場合、被測定物3の絶対温度をTt,赤外線受光素子2の絶対温度をTsとしたとき、(式1)で表される(Kは比例定数)。
【0006】
【数3】
【0007】
これは、赤外線受光素子2が、被測定物3の絶対温度の4乗と赤外線受光素子2自身の絶対温度の4乗差に比例した出力信号を発生することを意味している。従って、赤外線受光素子2の出力信号より、被測定物3と赤外線受光素子2自身の温度差を検知することができる。
【0008】
この赤外線検出器1を放射体温計5に応用した場合の従来例について図8を用いて以下に説明する。図8に示す放射体温計5は、赤外線検出器1と、赤外線検出器1の温度を検知するサーミスタのような測温素子6と、赤外線を通す開口部7aを有するプローブ7と、赤外線検出器1の出力信号と測温素子6の出力信号から体温を計算するマイクロコンピュータを含む電気回路(信号処理手段)8と、計算された体温を表示する液晶表示装置9(表示手段)と、これらを収納する本体ケース10とを有している。プローブ7、及び本体ケース10は一般的には樹脂で形成される。このとき導波管4は、プローブ7を貫通するようにプローブ7の先端まで伸ばされている。
【0009】
体温を測定する際は、プローブ1を外耳道3bに挿入することで、赤外線検出器1が鼓膜3aおよびその近傍から放射される赤外線を受光し信号を出力する。信号処理手段8は、赤外線受光素子2から出力される鼓膜3aおよびその近傍と赤外線受光素子2の温度差に関係する信号と、測温素子6から出力される赤外線受光素子2の温度に関係する信号の双方から鼓膜およびその近傍の温度を計算し、表示手段9に体温として表示する。
【0010】
鼓膜3aにおいて体温を測定する理由は、鼓膜3aの近くには、体温を調節する中枢である視床下部に至る動脈血流があり、鼓膜3aの温度は人体の深部の体温をよく反映しているといわれている。そのため、放射体温計5は外耳道3bに挿入して鼓膜3a及びその近傍の温度を測定するタイプとして実用化されている。
【0011】
次に、プローブ7の先端まで導波管4を貫通させる構成としている理由を説明する。体温を測定する際は、プローブ7を外耳道3bに挿入するため、外耳道3bと接触するプローブ7は温度が上昇していく。図7で説明したように赤外線検出器1の受光領域は広いので、温度上昇したプローブ7から放射される赤外線が赤外線受光素子2に入射するとそれが測定誤差となり正確な測定ができなくなる。従って、温度上昇するプローブ7からの不要な赤外線を入射させないように、導波管4をプローブ7先端まで貫通させ、その導波管4の内面は赤外線放射を極力抑えるよう鏡面加工し放射率を低くする構成としている。これにより、外耳道3bの温度がプローブ7を介して導波管4に伝わり導波管4の温度が上昇しても赤外線放射は少なくなるはずである。
【0012】
しかし、導波管4内面を完全反射体(反射率=1)にすることは困難であり、しかも、導波管4はプローブ7と近接して設置されるので、その温度上昇は避けられず、それゆえ導波管4の内面からの赤外線の放射を完全に無くすことはできない。従って、体温の測定時には導波管4から放射する赤外線が赤外線受光素子2に入射することになり正確な体温測定ができなくなる。
【0013】
上記従来例においてはこの課題解決のために、導波管4を熱伝導率の高い金属より構成し、導波管4と赤外線受光素子2及びサーミスタ6を熱結合よく設置している。このようにすることで、外耳道3bからの熱の影響を受けにくくするとともに、受けた熱は素早く赤外線受光素子1に熱伝導させて影響をなくす工夫をしている。
【0014】
また、特開平8−191800号公報に示される放射体温計においては、導波管4の温度を検出する測温素子を配し、補正を加えることで熱の影響を除去するよう工夫している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の赤外線検出器およびそれを用いた放射体温計では、被測定物である外耳道からプローブを介して導波管に伝わる熱の影響を排除して、正確に鼓膜およびその近傍の温度を測定するには、上記いずれの方法も完全ではなく、プローブと導波管の温度上昇の影響を受け、測定誤差が発生し、体温測定の正確さを欠くという課題があった。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の赤外線検出器は、少なくとも、被測定物から放射される赤外線を集光する集光素子と、前記集光素子で集光された赤外線を受光する赤外線受光素子と、被測定物から前記集光素子に向かう赤外線が通過する筒状のプローブを有し、前記集光素子を通らない赤外線が前記赤外線受光素子に入射するのを遮る遮光体とを有し、前記遮光体の前記赤外線受光素子側に反射抑制手段を設け、前記赤外線受光素子を前記集光素子の焦点位置から後方に離して設置する構成とした。
【0017】
上記発明によれば、赤外線受光素子を、集光素子の焦点位置から離して設置することで、不要な領域から集光素子に入射する赤外線を赤外線受光素子以外の位置へ進行させることがでる。また、前記集光素子外からの赤外線が前記赤外線受光素子に入射するのを遮る遮光体とを有し、前記遮光体の前記赤外線受光素子側に反射抑制手段を設けたので赤外線受光素子以外の位置へ進行した赤外線が反射して赤外線受光素子に入射してしまうことがない。従って、受光領域を制限し、被測定物から伝わる熱により温度上昇するプローブの影響を受けず、導波管も不要となり、正確な温度検出が可能な構成とすることができる。
【0018】
さらに、上記赤外線検出器と、前記赤外線検出器の温度を検知する測温素子と、前記赤外線検出器の出力信号と前記測温素子の出力信号から体温を計算する信号処理手段と、計算された体温を表示する表示手段と前記赤外線検出器を収納する本体とを有した放射体温計とした。
【0019】
上記発明によれば、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光しない放射体温計とすることができる。従って、被測定物である鼓膜およびその近傍からの赤外線だけを赤外線受光素子に入射させることができ、外耳道から伝わる熱によりプローブの温度が上昇しても、正確な体温測定のできる放射体温計を実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1にかかる赤外線検出器は、少なくとも、被測定物から放射される赤外線を集光する集光素子と、前記集光素子で集光された赤外線を受光する赤外線受光素子と、被測定物から前記集光素子に向かう赤外線が通過する筒状のプローブを有し、前記集光素子を通らない赤外線が前記赤外線受光素子に入射するのを遮る遮光体とを有し、前記遮光体の前記赤外線受光素子側に反射抑制手段を設け、前記赤外線受光素子を前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点から、前記集光素子の縁を通過して前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による像点へ到達する光路と光軸との交点よりも前記集光素子から遠く、且つ前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による像点よりも前記集光素子に近い領域に設置する構成とした。
【0021】
そして、赤外線受光素子を、集光素子の焦点位置から離して設置することで、不要な領域から集光素子に入射する光を赤外線受光素子以外の位置へ進行させることがでる。また、前記集光素子外からの赤外線が前記赤外線受光素子に入射するのを遮る遮光体とを有し、前記遮光体の前記赤外線受光素子側に反射抑制手段を設けたので赤外線受光素子以外の位置へ進行した赤外線が反射して赤外線受光素子に入射してしまうことがない。しかも受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させる。従って、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させるので、プローブの温度上昇の影響を受けず正確な温度検出できる構成とすることができる。
【0022】
本発明の請求項にかかる赤外線検出器は、前記赤外線受光素子を、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点から前記集光素子の縁を通過して前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による2つの像点へ到達する光路が光軸と交叉する点と、前記プローブ先端の面と交叉する点の前記集光素子による2つの像点とで形成される三角形の内側に設置する構成とした。
【0023】
これにより、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させるので、プローブの温度上昇の影響を受けず正確な温度検出が可能な構成とすることができる。
【0024】
本発明の請求項にかかる赤外線検出器は、前記赤外線受光素子を、前記集光素子の焦点距離fと、前記赤外線受光素子の半径rs と、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブ先端の面と交叉する点と光軸との距離rαと、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点と前記集光素子との距離Lαと、前記集光素子の半径r3 を用いて、
【0025】
【数4】
【0026】
で与えられるL3 だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置することが望ましい。
【0027】
これにより、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させるので、プローブの温度上昇の影響を受けず正確な温度検出ができる構成とすることができる。
【0028】
本発明の請求項にかかる赤外線検出器は、少なくとも、被測定物から放射される赤外線を集光する集光素子と、前記集光素子で集光された赤外線を受光する赤外線受光素子と、被測定物から前記集光素子に向かう赤外線が通過する筒状のプローブを有し、前記集光素子を通らない赤外線が前記赤外線受光素子に入射するのを遮る遮光体とを有し、前記遮光体の前記赤外線受光素子側に反射抑制手段を設け、前記赤外線受光素子を、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による像点よりも前記集光素子から遠い位置に設置する構成とした。
【0029】
これにより、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させるので、プローブの温度上昇の影響を受けず正確な温度検出が可能な構成とすることができる。
【0030】
本発明の請求項5にかかる赤外線検出器は、遮光体の材質として合成樹脂を用いる構成とした。
【0031】
これにより、反射率の低い合成樹脂により赤外線の反射が抑制される。一般に合成樹脂の放射率は0.9前後と高い値になることが知られている。また、物体に入射する赤外線は、反射成分と吸収成分と透過成分に分けられるが、透過のない場合を考えると、反射率と吸収率の和は1になる。ここでキルヒホッフの法則より、放射率と吸収率は等しいので、結果として放射率の高い合成樹脂は反射率が低いということが言える。そのため、赤外線受光素子以外の位置へ進行した赤外線が、遮光体で反射して赤外線受光素子に入射してしまうことがない。従って、受光領域を制限しプローブから放射される赤外線を受光素子に入射させない作用を完全なものすることができる。
本発明の請求項にかかる赤外線検出器は、前記赤外線受光素子を、前記プローブの先端の面と交叉する2点から光軸を挟んで前記プローブの先端の面と交叉するそれぞれの点と反対側の前記集光素子の縁を通過して前記プローブの先端の面と交叉する2点の前記集光素子による像点へ到達する2つの光路で挟まれた領域に設置する構成とした。
【0032】
これにより、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させるので、プローブの温度上昇の影響を受けず正確な温度検出が可能な構成とすることができる。
【0033】
本発明の請求項にかかる赤外線検出器は、前記赤外線受光素子を、前記集光素子の焦点距離fと、前記赤外線受光素子の半径rs と、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点と光軸との距離rαと、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブ先端の面と交叉する点と前記集光素子との距離Lαと、前記集光素子の半径r3 を用いて、
【0034】
【数5】
【0035】
で表されるL3 だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置する構成とした。
【0036】
これにより、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させるので、プローブの温度上昇の影響を受けず正確な温度検出が可能な構成とすることができる。
【0037】
上記赤外線検出器の集光素子として、屈折レンズ、透過型回折レンズ、集光ミラー又は反射型回折レンズを用いることで正確な温度検出が可能な構成とすることができる。
【0038】
本発明の請求項12にかかる放射体温計は、上記赤外線検出器と、前記赤外線検出器の温度を検知する測温素子と、前記赤外線検出器の出力信号と前記測温素子の出力信号から体温を計算する信号処理手段と、計算された体温を表示する表示手段と前記赤外線検出器を収納する本体とを有した放射体温計とした。
【0039】
これにより、外耳道の熱により温度上昇したプローブの影響を赤外線受光素子が受けないため、正確な体温測定が可能な放射体温計を実現することができる。
【0040】
本発明の請求項13にかかる放射体温計は、上記赤外線検出器に入射する赤外線を断続するチョッパと、チョッパを駆動する駆動手段と有する放射体温計とした。
【0041】
本発明の請求項14にかかる放射体温計は、集光ミラーを有する赤外線検出器を備え、前記集光ミラーに入射する第1の光軸と、前記集光ミラーから射出し赤外線受光素子に入射する第二の光軸とを屈曲させる構成とした。
【0042】
これにより、外耳道に挿入して測定する放射体温計としての使い勝手を考慮しプローブと本体を屈曲させとき、この角度に併せて光学系も屈曲させることができる。従って、使い勝手がよく、かつ正確な体温測定ができる放射体温計を実現することができる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の各実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0044】
(実施例1)
図1は本発明の第1の実施例における赤外線検出器11を示すものである。図1において、12は赤外線受光素子、13は集光素子である屈折レンズ、14は遮光体、15は穴の内部など凹部にある受光したい領域に赤外線検出器11を固定して向けるためのプローブ、α、α’は屈折レンズ13の縁からこの縁と光軸に対して同じ側のプローブ15内面へ接する直線がプローブ15先端面と交わる点、Fは屈折レンズ13の焦点、Fα、Fα’はそれぞれ屈折レンズ13によるα、α’の像点、K1 αはαから光軸に対して同じ側の屈折レンズ13の縁を通過してFαへ進行する光(マージナル光線)の光路、K2 αはαから光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFαに到達する光の光路、K3 αはαから屈折レンズ13の中心を通過してFαに到達する光の光路、K4 αはαから光軸を挟んで反対側の屈折レンズ13の縁を通過してFαに到達する光(マージナル光線)の光路、K1 α' はα’から光軸に対して同じ側の屈折レンズ13の縁を通過してFα' へ進行する光(マージナル光線)の光路、K2 α' はα’から光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFα' に到達する光の光路、K3 α' はα’から屈折レンズ13の中心を通過してFα' に到達する光の光路、K4 α' はα’から光軸を挟んで反対側の屈折レンズ13の縁を通過してFα' に到達する光(マージナル光線)の光路、FX は光路K1 αと光軸との交点である。
【0045】
ここで、穴の内壁など凹部から放射される赤外線のみを受光するような光学系を設計する。
【0046】
赤外線受光素子12を遮光体14に取り付け、屈折レンズ13を通過する赤外線のみを赤外線受光素子12で受光するようにする。屈折レンズ13を通った赤外線のみ受光する構成にした上で以下の設計を行う。
【0047】
被測定物からの赤外線のみを受光するためには、プローブ15から放射される赤外線を受光しないようにすればよい。そのため、受光したい領域と受光したくない領域の境界に位置する点を仮想し、この点から、光軸に対してこの仮想した境界に位置する点と同じ側の屈折レンズ13の縁を通過する光(マージナル光線)の光路よりも、光軸から遠くに位置するようにプローブ15を設置すればよい。そこで、上記仮想の境界に位置する点を、屈折レンズ13の縁からこの縁と光軸に対して同じ側のプローブ15内面へ接する直線がプローブ15先端面と交わる点α、α’として、FαとFα’とFX で形成される三角形の内側に赤外線受光素子12を設置する。これにより、プローブ15をαと屈折レンズ13の間で光路K1 α、K1 α' よりも光軸から遠くに位置させることになるため、プローブ15からの光を受光しない光学系が得られる。
【0048】
上記について詳細を以下に述べる。αから放射される光は光路K1 α、K2 α、K3 α、K4 αなどを通ってαの像点Fαに到達する。幾何光学で周知の通り、αの像点Fαは光軸を挟んでαと反対側に形成される。図1中に示すように、光路K2 αを通る光は、屈折レンズ13を通過してFで光軸と交叉したのち光軸から離れながらFαに到達する。同じように、光路K1 αを通る光は、屈折レンズ13を通過して光軸と交叉したのち光軸から離れながらFαに到達する。光路K3 αを通る光は、屈折レンズ13で光軸と交叉したのち光軸から離れながらFαに到達する。光路K4 αを通る光は、光軸と交叉して屈折レンズ13を通過し、屈折レンズ13を通過してからは光軸と交叉せずにFαに到達する。このように、光路K1 αと光軸が交叉する点FX よりも屈折レンズ13から離れた位置かつFαよりも屈折レンズ13に近い位置で、αから放射される光が通過しない領域が存在する。同じように、α’についても、光路K1 α' と光軸が交叉する点よりも屈折レンズ13から離れた位置かつFα' よりも屈折レンズ13に近い位置で、α’から放射される光が通過しない領域が存在する。この、Fα、Fα' 、FX で形成される三角形の内側よりに赤外線受光素子12を設置することで、α、α' から放射される光を受光しない赤外線検出器11が得られる。αと屈折レンズ13の間の光路K1 αより光軸から遠い部分からの光は、αと同じ面内で光軸からの距離がαより大きい点からの光と置き換えられる。この点の屈折レンズ13による交点はFαよりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、αからの光を受光しないようにすれば、αよりも光軸から遠い点からの光を受光せず、従ってプローブ15からの光を受光しない。同様に、α’と屈折レンズ13の間の光路K1 α' より光軸から遠い部分からの光は、α' と同じ面内で光軸からの距離がα’より大きい点からの光と置き換えられる。この点の屈折レンズ13による交点はFα’よりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、α’からの光を受光しないようにすれば、α’よりも光軸から遠い点からの光を受光せず、従ってプローブ15からの光を受光しない。このように、FαとFα' とFX で形成される三角形の内側に赤外線受光素子12を設置することでα、α’から放射される赤外線を受光しないようにすれば、自動的にプローブ15から放射される赤外線も受光しない構成となる。
【0049】
以下、αからの光を受光しないような赤外線受光素子12の位置を求める。
【0050】
赤外線受光素子12はFA よりも屈折レンズ13に近い。この時、(式4)、(式5)が成り立つ。
【0051】
Lα≧f+L3 (4)
∴L3≦Lα−f (5)
図1に示すように、受光面は光路K1 αと光軸が交わる点とFαとの間であるので、αからFαまでの各光路のうち受光面で赤外線受光素子12に最も近づくものはK1 αである。したがって、αからの光を赤外線受光素子12で受光しないためには、(式6)を満たす必要がある。
【0052】
rαs1>rs (6)
rαSは、ここで、幾何光学で周知の通りr3 、rαF 、rαS1、L3 、fは幾何関係として(式7)、(式8)を満たす。
【0053】
【数6】
【0054】
【数7】
【0055】
(式3)を(式6)へ代入することで(数9)が得られる。
【0056】
【数8】
【0057】
(式5)、(式9)から、αから放射される光を赤外線受光素子12で受光しないための条件は(式10)となる。
【0058】
【数9】
【0059】
さらに、幾何光学で周知の通り、rα、Lα、L2 、rαF 、LαF は幾何関係として(式11)、(式12)を満たす。
【0060】
【数10】
【0061】
【数11】
【0062】
(式12)を(式10)へ代入することにより、αから放射される光を赤外線受光素子12で受しないための条件は(式13)となる。
【0063】
【数12】
【0064】
また、ガウスの公式から(式14)、(式15)式が成り立つ。
【0065】
【数13】
【0066】
【数14】
【0067】
(式15)を(式13)に代入することにより、αから放射される光を赤外線受光素子12で受光しないための条件は(式16)となる。
【0068】
【数15】
【0069】
以上のように、プローブ1先端のαから放射される光を赤外線受光素子12で受光しないためには、(式10)、或いは(式13)、或いは(式16)を満たすよう光学系を設計する必要がある。(式10)、(式13)、(式16)で与えられるL3 だけ、赤外線受光素子12を屈折レンズ13の焦点からずらして設置することで、プローブ15から放射される赤外線を赤外線受光素子12で受光せずに被測定物体3から放射光のみを赤外線受光素子12で受光させることができるため、プローブ15の温度変化に起因する測定誤差を防ぐことができる。
【0070】
なお、遮光体14とプローブ15は一体であっても構わない。
【0071】
ここで、屈折レンズ13を透過し、赤外線受光素子12に入射しないプローブ15の内面からの赤外線は、遮光体14の内面に入射することになる。しかし、この遮光体14の内面は反射抑制手段であるため、入射した赤外線が反射して赤外線受光素子12に入射するようなことはない。従って、測定誤差の要因となるプローブ15からの赤外線放射が赤外線受光素子12に入射するのを確実に阻止し、正確な温度検出ができる。
【0072】
本実施例において、遮光体14は、例えばPC、PPS、PBT、PP等のような合成樹脂を用いる。一般にこれら合成樹脂の放射率は0.9前後と高い値になることが知られている。また、物体に入射する赤外線は、反射成分と吸収成分と透過成分に分けられるが、透過のない場合を考えると、反射率と吸収率の和は1になる。ここでキルヒホッフの法則より、放射率と吸収率は等しいので、結果として放射率の高い合成樹脂は反射率が低いということが言える。従って、これらの合成樹脂を使用して遮光体14を構成することで、遮光体14自体が反射抑制手段となり、赤外線受光素子12以外の位置へ進行した不要な赤外線が、遮光体14で反射して赤外線受光素子12に入射してしまうことがない。従って、受光領域を制限しプローブ15からの不要な赤外線を赤外線受光素子12入射させない作用を完全なものすることができる。
【0073】
また、遮光体14は赤外線の透過の小さい合成樹脂を用い、また赤外線が透過しないだけの充分な厚さを持たせて設計することは言うまでもない。
【0074】
なお、本発明では遮光体14の材料として合成樹脂を用いたが、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックでも同様の効果が得られる。
【0075】
また、遮光体14を金属により構成し反射抑制手段として遮光体14内面に樹脂をコーティング、または着接しても良い。
【0076】
また尚、本実施例においてプローブ15先端が外側に向かって湾曲し、プローブ15先端が広がった形状となる例を用いて説明してきたが、図2に示すように、プローブ15の先端の内径が最も狭い場合も同様である。その場合、点α、α’は、プローブ15先端の内側の点に一致するが、動作、作用そして効果は、図1を用いて説明した場合と同じである。
【0077】
(実施例2)
図3は本発明の第2の実施例における赤外線検出器11を示すものである。実施例1と異なる点は、仮想の境界に位置する点を、屈折レンズ13の縁からこの縁と光軸に対して同じ側のプローブ15内面へ接する直線がプローブ15先端面と交わる点α、α’として、Fαよりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4 αと、Fα' よりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4 α' で挟まれた領域に赤外線受光素子12を設置するようにした点である。これにより、プローブ15をαと屈折レンズ13の間で光路K1 α、K1 α' よりも光軸から遠くに位置させることになるため、プローブ15からの光を受光しない光学系が得られる。
【0078】
上記について詳細を以下に述べる。αから放射される光は光路K1 α、K2 α、K3 α、K4 αなどを通ってαの像点Fαに到達する。幾何光学で周知の通り、αの像点Fαは光軸を挟んでαと反対側に形成される。図3中に示すように、光路K2 αを通る光は、屈折レンズ13を通過してFで光軸と交叉してFαに到達し光軸から離れていく。同じように、光路K1 αを通る光は、屈折レンズ13を通過して光軸と交叉してFαに到達し光軸から離れていく。光路K3 αを通る光は、屈折レンズ13で光軸と交叉してFαに到達し光軸から離れていく。光路K4 αを通る光は、光軸と交叉して屈折レンズ13を通過し、屈折レンズ13を通過してからは光軸と交叉せずにFαに到達し、その後光軸に近づくかあるいは遠ざかっていく。このように、αの像点Fαよりも屈折レンズ13から離れた位置でαから放射される光が通過しない領域が存在する。同じようにα’についても、αの像点Fαよりも屈折レンズ13から離れた位置でαから放射される光が通過しない領域が存在する。この、Fαよりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4 αと、Fα' よりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4 α' で挟まれた領域内に赤外線受光素子12を設置することによってα、α’から放射される赤外線を受光しない赤外線検出器11が得られる。αと屈折レンズ13の間の光路K1 αより光軸から遠い部分からの光は、αと同じ面内で光軸からの距離がαより大きい点からの光と置き換えられる。この点の屈折レンズ13による交点はFαよりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、αからの光を受光しないようにすれば、αよりも光軸から遠い点からの光を受光せず、従ってプローブ15からの光を受光しない。同様に、α’と屈折レンズ13の間の光路K1 α' より光軸から遠い部分からの光は、α' と同じ面内で光軸からの距離がα’より大きい点からの光と置き換えられる。この点の屈折レンズ13による交点はFα’よりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、α’からの光を受光しないようにすれば、α’よりも光軸から遠い点からの光を受光せず、従ってプローブ15からの光を受光しない。このように、Fαよりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4 αと、Fα' よりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4 α' で挟まれた領域に赤外線受光素子12を設置することでα、α’から放射される赤外線を受光しないようにすれば、自動的にプローブ15から放射される赤外線も受光しない構成となる。
【0079】
以下、αからの光を受光しないような赤外線受光素子12の位置を求める。
【0080】
赤外線受光素子12はFαよりも屈折レンズ13から遠い。この時、(式17)、(式18)が成り立つ。
【0081】
LαF≦f+L3 (17)
∴L3≧LαF−f (18)
図3に示すように、受光面はFαよりも屈折レンズ13から遠いので、αからFαまでの各光路のうち受光面で赤外線受光素子12に最も近づくものはK4 αである。したがって、αからの光を赤外線受光素子12で受光しないためには、(式19)を満たす必要がある。
【0082】
rαs4>rs (19)
ここで、幾何光学で周知の通りr3 、rαF 、LαF 、rαS4、L3 、fは幾何関係として(式20)、(式21)を満たす。
【0083】
【数16】
【0084】
【数17】
【0085】
(式21)を(式19)へ代入することで(式22)が得られる。
【0086】
【数18】
【0087】
(式18)(式22)から、αから放射される光を赤外線受光素子12で受光しないための条件は(式23)となる。
【0088】
【数19】
【0089】
さらに、幾何光学で周知の通り、rα、Lα、L2 、rαF 、LαF は幾何関係として(式24)、(式25)を満たす。
【0090】
【数20】
【0091】
【数21】
【0092】
(式25)を(式23)へ代入することにより、αから放射される光を赤外線受光素子12で受光しないための条件は(式26)となる。
【0093】
【数22】
【0094】
また、ガウスの公式から(式27)、(式28)が成り立つ。
【0095】
【数23】
【0096】
【数24】
【0097】
(式28)を(式26)に代入することにより、αから放射される光を赤外線受光素子12で受光しないための条件は(式29)となる。
【0098】
【数25】
【0099】
以上のように、αから放射される光を赤外線受光素子12で受光しないためには、(式23)、或いは(式26)、或いは(式29)の条件を満たすよう光学系を設計する必要がある。(式23)、(式26)、(式29)で与えられるL3 だけ、赤外線受光素子12を屈折レンズ13の焦点からずらして設置することで、プローブ15から放射される赤外線を赤外線受光素子12で受光せずに被測定物体3から放射光のみを赤外線受光素子12で受光させることができるため、実施例1と同様に、プローブ15の温度変化の影響を受けず、正確な温度検出ができる。
【0100】
なお、遮光体14とプローブ15は一体であっても構わない。
【0101】
(実施例3)
図4は本発明の第3の実施例における赤外線検出器11を示すものである。実施例1と異なる点は、集光素子として集光ミラー16を用いた点である。この構成により、プローブ15から放射される赤外線を赤外線受光素子12で受光せずに被測定物体3から放射光のみを赤外線受光素子12で受光させることができるため、プローブ15の温度変化の影響を受けず、正確な温度検出ができる。
【0102】
(実施例4)
図5は本発明の第4の実施例における赤外線検出器11を示すものである。実施例2と異なる点は、集光素子として集光ミラー16を用いている点である。この構成により、プローブ15から放射される赤外線を赤外線受光素子12で受光せずに被測定物体3から放射光のみを赤外線受光素子12で受光させることができるため、プローブ15の温度変化の影響を受けず、正確な温度検出ができる。
【0103】
(実施例5)
以下に本発明の実施例1から4に記載した赤外線検出器11を放射体温計17に応用した実施例を説明する。図6は、本発明の赤外線検出器11、特に集光素子として集光ミラー16を使用した赤外線検出器11を放射体温計17に応用した例を示すものである。
【0104】
この放射体温計17は、赤外線検出器11と、赤外線検出器11の近傍の温度を検知する測温素子18と、プローブ15と、信号処理手段19と、表示手段20を有しており、樹脂製の本体ケース21に収められている。赤外線受光素子12と測温素子18はサーマルグリスを介して熱結合良く設置されている。また、赤外線受光素子12に入射する赤外線を断続するためのチョッパー22を赤外線検出器11の、赤外線受光素子12と集光ミラー16の間に配置し、チョッパー22を駆動するモーター23を適当な位置に設置する。尚、実施例1ないし4または従来例と同一符号のものは同一構造を有し、同様の動作、作用の説明は省略する。
【0105】
また、この赤外線検出器11は、集光素子として集光ミラー16を使用しており、プローブ15を通って集光ミラー16に入射する第1の光軸と、集光ミラー16から射出し赤外線受光素子12に入射する第二の光軸が約115度屈曲する構成としている。
【0106】
本発明の赤外線検出器11を放射体温計17に応用することで、外耳道3bに接触することにより温度上昇したプローブ15からの赤外線を赤外線受光素子12が受光しない構成とすることができる。従って、測定誤差がなく正確な体温測定が可能な放射体温計17を実現することができる。
【0107】
また、光軸を屈曲させることで、外耳道3bに挿入して測定する放射体温計17としての使い勝手を考慮しプローブ15と本体21を屈曲させとき、この角度に併せて赤外線検出器11も屈曲させることができる。従って、使い勝手がよく、かつ正確な体温測定ができる放射体温計17を実現することができる。
【0108】
その理由を以下に詳細に説明する。放射体温計17の形状は使いやすさを考慮した場合、プローブ15と本体21を約115度屈曲させるのが好ましい。それは放射体温計17をプローブ15を外耳道3bに挿入して使用するからである。放射体温計17を本人が手で持って体温測定する場合、もしくは放射体温計17で他人の体温を測定する場合、放射体温計17が屈曲していた方が自然な手の位置で体温測定ができる。
【0109】
しかし、この屈曲した放射体温計17に、実施例1ないし4で説明してきたような、プローブ15と集光素子16と赤外線受光素子12が直線的に配置されている赤外線検出器11を用いる場合、放射体温計17の奥行が必要以上に大きくなってしまい、使い勝手の悪い物になってしまう。
【0110】
しかしながら、本実施例のように、光軸をプローブ15と本体ケース21とがなす角度と同じ角度の90〜115度に屈曲させれば、放射体温計17の奥行きを小さくすることができ、かつ、赤外線検出器の受光領域をプローブ15からの放射が赤外線受光素子12に入射しない構成とすることができる。従って、放射体温計17として使いやすい大きさ形状にすることと、プローブの温度上昇の影響を受けず正確な体温測定をすることを両立させることができる。
【0111】
尚、プローブ15と本体ケースの角度は90〜115度に限られるものではない。
【0112】
尚、本実施例において、赤外線受光素子12として焦電素子を用いたため、チョッパー22のような赤外線を断続する手段が必要となったが、赤外線受光素子12としてサーモパイルを用いる場合はチョッパー22及びチョッパー22を駆動するモーター23は必要とせずに同様の作用効果を持つ赤外線検出器11および放射体温計17を構成することができる。
【0113】
【発明の効果】
以上のように、本発明の請求項1にかかる赤外線検出器は、少なくとも、被測定物から放射される赤外線を集光する集光素子と、前記集光素子で集光された赤外線を受光する赤外線受光素子と、被測定物から前記集光素子に向かう赤外線が通過する筒状のプローブを有し、前記集光素子を通らない赤外線が前記赤外線受光素子に入射するのを遮る遮光体とを有し、前記遮光体の前記赤外線受光素子側に反射抑制手段を設け、前記赤外線受光素子を前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点から、前記集光素子の縁を通過して前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による像点へ到達する光路と光軸との交点よりも前記集光素子から遠く、且つ前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による像点よりも前記集光素子に近い領域に設置する構成としたので、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させ、赤外線受光素子以外の位置へ進行した赤外線が反射して赤外線受光素子に入射してしまうことがない。しかも受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させる。従って、被測定物から伝わる熱により温度上昇するプローブの影響を受けず、正確な温度検出が可能な赤外線検出器を実現することができる。
【0114】
本発明の請求項にかかる赤外線検出器は、前記赤外線受光素子を、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点から前記集光素子の縁を通過して前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による2つの像点へ到達する光路が光軸と交叉する点と、前記プローブ先端の面と交叉する点の前記集光素子による2つの像点とで形成される三角形の内側に設置する構成としたので、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させるので、プローブの温度上昇の影響を受けず正確な温度検出が可能な赤外線検出器を実現することができる。
【0115】
本発明の請求項にかかる赤外線検出器は、前記赤外線受光素子を、前記集光素子の焦点距離fと、前記赤外線受光素子の半径rs と、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブ先端の面と交叉する点と光軸との距離rαと、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点と前記集光素子との距離Lαと、前記集光素子の半径r3 を用いて、
【0116】
【数26】
【0117】
で与えられるL3 だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置する構成としたので、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させるので、プローブの温度上昇の影響を受けず、正確な温度検出が可能な赤外線検出器を実現することができる。
【0118】
本発明の請求項にかかる赤外線検出器は、少なくとも、被測定物から放射される赤外線を集光する集光素子と、前記集光素子で集光された赤外線を受光する赤外線受光素子と、被測定物から前記集光素子に向かう赤外線が通過する筒状のプローブを有し、前記集光素子を通らない赤外線が前記赤外線受光素子に入射するのを遮る遮光体とを有し、前記遮光体の前記赤外線受光素子側に反射抑制手段を設け、前記赤外線受光素子を、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による像点よりも前記集光素子から遠い位置に設置する構成としたので、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させるので、プローブの温度上昇の影響を受けず、正確な温度検出が可能な赤外線検出器を実現することができる。
【0119】
本発明の請求項5にかかる赤外線検出器は、遮光体の材質として合成樹脂を用いる構成としたので、赤外線受光素子以外の位置へ進行した赤外線が反射して赤外線受光素子に入射してしまうことがない。従って、被測定物から伝わる熱により温度上昇するプローブの影響を受けず、正確な温度検出が可能な赤外線検出器を実現することができる。
【0120】
本発明の請求項にかかる赤外線検出器は、前記赤外線受光素子を、前記プローブの先端の面と交叉する2点から光軸を挟んで前記プローブの先端の面と交叉するそれぞれの点と反対側の前記集光素子の縁を通過して前記プローブの先端の面と交叉する2点の前記集光素子による像点へ到達する2つの光路で挟まれた領域に設置する構成としたので、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させるので、プローブの温度上昇の影響を受けず、正確な温度検出が可能な赤外線検出器を実現することができる。
【0121】
本発明の請求項にかかる赤外線検出器は、前記赤外線受光素子を、前記集光素子の焦点距離fと、前記赤外線受光素子の半径rs と、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点と光軸との距離rαと、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブ先端の面と交叉する点と前記集光素子との距離Lαと、前記集光素子の半径r3 を用いて、
【0122】
【数27】
【0123】
で表されるL3 だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置する構成としたので、受光領域を制限し、プローブからの赤外線を受光素子以外の点へ集光させるので、プローブの温度上昇の影響を受けず測定誤差のない赤外線検出器を実現することができる。
【0124】
上記赤外線検出器の集光素子としては、屈折レンズ、透過型回折レンズ、集光ミラー又は反射型回折レンズを用いることで容易に実現できる。
【0125】
本発明の請求項12にかかる放射体温計は、上記赤外線検出器と、前記赤外線検出器の温度を検知する測温素子と、前記赤外線検出器の出力信号と前記測温素子の出力信号から体温を計算する信号処理手段と、計算された体温を表示する表示手段と前記赤外線検出器を収納する本体とを有した放射体温計としたので、外耳道からの熱によるプローブの温度上昇の影響を赤外線受光素子が受けないため、測定誤差が無く、正確な体温測定が可能な放射体温計を実現することができる。本発明の請求項14にかかる放射体温計は、上記赤外線検出器に入射する赤外線を断続するチョッパと、チョッパを駆動する駆動手段と有する放射体温計とした。
【0126】
本発明の請求項14にかかる放射体温計は、集光ミラーを有する赤外線検出器を備え、前記集光ミラーに入射する第1の光軸と、前記集光ミラーから射出し赤外線受光素子に入射する第二の光軸とを屈曲させる構成としたので、外耳道に挿入して測定する放射体温計としての使い勝手を考慮しプローブ15と本体を屈曲さたせとき、この角度に併せて赤外線検出器も屈曲させることができる。従って、使い勝手がよく、かつ正確な体温測定が可能な放射体温計を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における赤外線検出器の構成図および光路図
【図2】 同他の構成の赤外線検出器の構成図および光路図
【図3】 本発明の実施例2における赤外線検出器の構成図および光路図
【図4】 本発明の実施例3における赤外線検出器の構成図および光路図
【図5】 本発明の実施例4における赤外線検出器の構成図および光路図
【図6】 本発明の実施例5における放射体温計の構成図
【図7】 従来例における赤外線検出器の構成図
【図8】 従来例における放射体温計の構成図
【符号の説明】
3 被測定物
11 赤外線検出器
12 赤外線受光素子
13 屈折レンズ
14 遮光体(反射抑制手段)
15 プローブ
15a 開口部
16 集光ミラー
17 放射体温計
18 測温素子
19 信号処理手段
20 表示手段
21 本体ケース
22 チョッパー
23 モーター(チョッパー駆動手段)
A プローブ先端の点
A' プローブ先端の点
F レンズの焦点
FA レンズによるAの像点
FA' レンズによるA' の像点

Claims (14)

  1. 少なくとも、被測定物から放射される赤外線を集光する集光素子と、前記集光素子で集光された赤外線を受光する赤外線受光素子と、被測定物から前記集光素子に向かう赤外線が通過する筒状のプローブと、前記集光素子外からの赤外線が前記赤外線受光素子に入射するのを遮る遮光体とを有し、前記遮光体の前記赤外線受光素子側に反射抑制手段を設け、前記赤外線受光素子を前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点から、前記集光素子の縁を通過して前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による像点へ到達する光路と光軸との交点よりも前記集光素子から遠く、且つ前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による像点よりも前記集光素子に近い領域に設置することを特徴とする赤外線検出器。
  2. 赤外線受光素子を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点から前記集光素子の縁を通過して前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による2つの像点へ到達する光路が光軸と交叉する点と、前記プローブ先端の面と交叉する点の前記集光素子による2つの像点とで形成される、前記集光素子の子午面内の三角形の内側に設置することを特徴とする請求項1に記載の赤外線検出器。
  3. 赤外線受光素子を、集光素子の焦点距離fと、前記赤外線受光素子の半径rs と、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブ先端の面と交叉する点と光軸との距離rαと、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点と前記集光素子との距離Lαと、前記集光素子の半径r3 を用いて、
    で与えられるL3 だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置したことを特徴とする請求項2に記載の赤外線検出器。
  4. 少なくとも、被測定物から放射される赤外線を集光する集光素子と、前記集光素子で集光された赤外線を受光する赤外線受光素子と、被測定物から前記集光素子に向かう赤外線が通過する筒状のプローブと、前記集光素子外からの赤外線が前記赤外線受光素子に入射するのを遮る遮光体とを有し、前記遮光体の前記赤外線受光素子側に反射抑制手段を設け、前記赤外線受光素子を、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点の前記集光素子による像点よりも前記集光素子から遠い位置に設置することを特徴とする赤外線検出器。
  5. 遮光体の材質として合成樹脂を用いる請求項1〜4のいずれか 1 項に記載の赤外線検出器。
  6. 赤外線受光素子を、プローブの先端の面と交叉する2点から光軸を挟んで前記プローブの先端の面と交叉するそれぞれの点と反対側の集光素子の縁を通過して前記プローブの先端の面と交叉する2点の前記集光素子による像点へ到達する、前記集光素子の子午面内の2つの光路で挟まれた領域に設置することを特徴とする請求項4または5に記載の赤外線検出器。
  7. 赤外線受光素子を、集光素子の焦点距離fと、前記赤外線受光素子の半径rs と、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブの先端の面と交叉する点と光軸との距離rαと、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するようにひいた直線が前記プローブ先端の面と交叉する点と前記集光素子との距離Lαと、前記集光素子の半径r3 を用いて、
    で表されるL3 だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置したことを特徴とする請求項6に記載の赤外線検出器。
  8. 集光素子が屈折レンズであることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の赤外線検出器。
  9. 集光素子が透過型回折レンズであることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の赤外線検出器。
  10. 集光素子が集光ミラーであることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の赤外線検出器。
  11. 集光素子が反射型回折レンズであることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の赤外線検出器。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の赤外線検出器と、前記赤外線検出器の温度を検知する測温素子と、前記赤外線検出器の出力信号と前記測温素子の出力信号から体温を計算する信号処理手段と、計算された体温を表示する表示手段と前記赤外線検出器を収納する本体とを有した放射体温計。
  13. 赤外線検出器に入射する赤外線を断続するチョッパと、チョッパを駆動する駆動手段と有した請求項12に記載の放射体温計。
  14. 請求項11に記載の赤外線検出器と、前記赤外線検出器の温度を検知する測温素子と、前記赤外線検出器の出力信号と前記測温素子の出力信号から体温を計算する信号処理手段と、計算された体温を表示する表示手段と前記赤外線検出器を収納する本体とを有し、集光ミラーは、前記集光ミラーに入射する第1の光軸と、前記集光ミラーから射出し赤外線受光素子に入射する第二の光軸とを屈曲させる構成とした放射体温計。
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