JP3774554B2 - メソポーラス粉体及びそれを含む化粧料 - Google Patents

メソポーラス粉体及びそれを含む化粧料 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はメソポーラス粉体及びそれを含む化粧料、特に開口形成方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
気体ないし液体の吸着剤として、あるいは触媒の担体等として、開口径2〜50nmのメソ孔を有するいわゆるメソポーラス粉体が注目されている。
例えば特開平8−67578に開示されるメソポーラス粉体は、珪酸塩よりなる三次元構造体から構成され、1.5〜10nmの比較的均一な細孔を有している。
【0003】
メソポーラス粉体の製造方法としては、カネマイト等の層状珪酸塩の層間に界面活性剤を導入し、さらに該界面活性剤を焼成などにより除去することで三次元構造を形成する方法、あるいは液中でミセル状に集合した界面活性剤の周囲に珪酸塩を集合させた後、界面活性剤を除去する方法などが開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、層状珪酸塩を用いる前者にあっては、層状珪酸塩の粒径以下に粉体の大きさが限定され、しかも層間に界面活性剤を導入するという工程上、開口を均一に形成することは困難である。
すなわち、例えばカネマイトは珪酸塩が層状に積層して構成され、その層間には四級アンモニウム塩が進入し得る。そして、カネマイトの層間に四級アンモニウム塩が進入すると、その四級アンモニウム塩を囲む六角形状に層間が拡張し、この後四級アンモニウム塩を除去することによりメソポーラス粉体が形成される。
【0005】
ところが、このように層状珪酸塩を用いた場合には、メソポーラス粉体の均質性には限度があり、また開口深さも大きくなりすぎる傾向がある。そして、例えばメソ孔に特定の物質を内包させた場合、開口深さが大きすぎると吸着・脱着に大きな時間差を生じるようになり、好ましくない。
また、同様に後者にあっては、予め層状珪酸塩を用いるのではなく、単に液中に分散された珪酸塩を四級アンモニウム塩ミセルの上に再配置するものであるが、四級アンモニウム塩の存在下、珪酸塩が非溶解状態でメソポーラス粉体が形成されるため、粉体の均質性には問題が残る。
【0006】
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は均質性に優れ、しかも開口径、開口深さなどの調整を行いやすいメソポーラス粉体ないしそれを含む化粧料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明者等が鋭意検討を行ったところ、従前のように珪酸塩を分散(非溶解)状態で再配置するのではなく、該珪酸塩を溶解状態で三次元配置することにより極めて均質性の高いメソポーラス粉体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、例えば特開平8−67578号公報に開示された方法にあっては、その第5頁第8カラム37行〜48行に開示されているように水溶性成分が好ましくないものとして除去の対象となっている。
【0008】
しかしながら、ケイ素を含む物質を適切に選択し、その溶解状態、通常の場合珪酸イオンの状態で分子単位にミセル上に三次元構造に再配置することにより、極めて均質性の高いメソポーラス粉体を得ることが可能となったのである。
すなわち本発明にかかるメソポーラス粉体は、0<SiO /Y O<2の珪酸塩(Y:アルカリ金属原子)をカチオン性界面活性剤の存在下、pH11以上で完全溶解する溶解工程と、
pHを10.5以下とし、前記カチオン性界面活性剤で棒状ミセルを形成し、かつ珪酸を該棒状ミセル上に析出させ、ヘキサゴナル構造を形成する縮合工程と、
前記析出により形成された珪酸塩を外殻としたミセル状析出物よりカチオン性界面活性剤を除去する除去工程と、
を含む方法により、製造され、開口の外殻に酸化珪素を配し、開口深さが50〜300nmであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明において、珪酸塩はNa2SiO3を主成分とすることが好適である。
また、本発明において、カチオン性界面活性剤は四級アンモニウム塩であることが好適である。
また、本発明において、四級アンモニウム塩:珪酸塩はモル比で1:1〜1:50であることが好適である。
さらに本発明において、四級アンモニウム塩:珪酸塩はモル比で1:3〜1:20であることが好適である。
本発明の化粧料は、上記メソポーラス粉体を含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、まず、珪酸をアルカリにより溶解させた場合の、水溶性成分の挙動について検討を行った。
そして、0<SiO2/Na2O<2とすることで、珪酸塩が完全溶解状態となり、しかも溶解状態にある珪酸イオンを四級アンモニウム塩ミセル上に析出させることにより、極めて均質性の高いメソポーラス粉体が得られることが明らかとされた。また、開口深さに関しても調整が容易であり、50〜300nm程度の適度な開口深さとすることが可能となった。
【0012】
前記SiO2/Y2Oが2以上であると、最終的に得られた粉体の均質性が低下し、好ましくない。この点で、一般にSiO2/Y2Oが2を越える水ガラスなどを原料として用いた場合、これらが溶解状態にあっても均質なメソポーラス粉体を得ることができない。このようにSiO2/Y2Oが2以上の組成よりメソポーラス粉体を形成する技術として特表平5−503499に示すものがあるが、これは実質的にアルミニウム化合物共存のメソポーラス粉体を調製する技術であり、該アルミニウム化合物の存在により触媒活性が高くなりおそれがあり、好ましいものではない。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0013】
珪酸塩
本発明において用いられる珪酸塩は、0<SiO2/Y2O<2 (Y:アルカリ金属原子)のものであり、前記アルカリ金属原子としては特にNaあるいはKが入手しやすさなどの点で好適である。
前記珪酸塩は、各種の「ケイ素を含有する物質」を例えばNaOHなどのアルカリと反応させることにより形成することができる。
前記「ケイ素を含有する物質」としては、酸化ケイ素、珪酸塩、シリコンアルコキシド、水ガラスなどが挙げられる。
珪酸塩としては、Na2SiO3、Na4SiO4等が等が挙げられる。
【0014】
また、シリコンアルコキシドとしては、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケートなどが挙げられるが、これら単独での反応性は低いため、たとえば珪酸塩とともに用いられることが好適である。。
また、水ガラスとしては、例えばJIS1号、JIS2号、JIS3号などが挙げられる。
【0015】
なお、これらの「珪素を含有する物質」は、そのほとんどはSiO2/Na2Oが2.0を越えており、そのまま用いたのでは均質性に優れたメソポーラス粉体を調製することが困難である。そこで、たとえば水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤を加え、溶解することにより0<SiO2/Y2O<2と表示され得る珪酸塩を得ることができる。
【0016】
なお、本発明において用いられる珪酸塩は、SiO2/Na2O<0.5の場合には、メソポーラス粉体の形成自体には支障無いが、アルカリ剤が過剰で無駄を生じる。また、2<SiO2/Na2Oの場合には、その水溶液は白濁状態で完全な溶解状態にはなりにくく、メソポーラス粉体の形成自体が困難となる。このため、本発明においては0<SiO2/Y2O<2、特に好ましくは0.5≦SiO2/Y2O≦1.9が好ましい。
また、本発明において前記珪酸塩の水溶液中での濃度は0.1〜5mol/l(重量%として5〜50wt%)が好適である。0.1mol/l未満の場合には後述する析出が適切に進まない可能性があり、また5mol/lを越える場合には、粘度が上昇しすぎ作業性が著しく悪くなると共に、また適切な析出が行われなくなる場合がある。
【0017】
カチオン性界面活性剤
一方、カチオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム塩が好ましい。
この四級アンモニウム塩としては、
アルキル系四級アンモニウム塩[R4N]X、及び
環式四級アンモニウム塩
【0018】
【化1】
Figure 0003774554
なお、上記各アンモニウム塩において、
R:H,アルキル基、アリル基、ベンジル基、フェニル基、水酸基、ヒドロキシアルコキシル基
X:Cl-,Br-,I-,NO3 -
等の構造を有するものが例示される。
これらの四級アンモニウム塩は、水溶液中でpHを10.5以下とすることにより棒状ミセルを形成することが必要である。
【0019】
また、本発明において特徴的なメソポーラス粉体の製造方法は、以下のようにように構成される。
【0020】
溶解工程
前記珪酸塩と、カチオン性界面活性剤を混合し、室温ないし両者が溶解する温度まで上昇させる。混合時のpHが11以下の場合、ないしSiO2/Na2O>2の場合には、アルカリ剤を添加し、pH11以上、かつSiO2/Na2O<2とする。
この反応に要する保持時間は、両者が溶解すれば昇温に要する程度の比較的短時間でよい。
なお、珪酸塩に対するカチオン性界面活性剤の割合はモル比で好ましくは0.02〜1.0、特に好ましくは0.03〜0.2である。
【0021】
珪酸塩に対しカチオン性界面活性剤がモル比で0.02未満の場合には、前記カチオン性界面活性剤の棒状ミセルの生成量が少なくなり、またモル比が1.0を越える場合には未反応カチオン性界面活性剤が大量に残存し、いずれにしても無駄を生じる。
【0022】
縮合工程
上記溶解工程で得られた溶液に対して、酸を添加してpHを10.5以下にする。
この結果、カチオン性界面活性剤ないしその球状ミセルが集合して棒状ミセルを形成する。また、pH11以上では溶解状態にあった珪酸イオンがpH10.5以下とすることで縮合し、前記カチオン性界面活性剤の棒状ミセルの外周に珪酸が配置される。この操作によりヘキサゴナル構造の配列を持つ粉体が形成される。pH10.5を越えていると上記効果が十分に発揮できない。
【0023】
除去工程
上記粉体が析出した分散液を濾過し、その後カチオン性界面活性剤を除去する。この除去操作としては、水洗および焼成が挙げられる。この除去操作によりカチオン性界面活性剤が除去されメソポーラス粉体を得ることができる。
【0024】
SiO 2 /Y 2 Oの検討
まず、本発明において特徴的なSiO2/Y2Oについて検討を行った。
すなわち、試薬特級の水酸化ナトリウム(ナカライテスク社製)適量をイオン交換水1Lに溶解し、市販品の二酸化ケイ素(Aerosil社製#200)300gを加え、撹拌する。この分散液を700℃にて5時間焼成して、珪酸ナトリウムを得た。
そして、前記水酸化ナトリウム量を順次変更することにより各種SiO2/Na2Oの珪酸ナトリウムを調製した。
そこで本発明者らは表1示すような各種SiO2/Na2Oの珪酸ナトリウムを調製し、それを原料としてメソポーラス粉体の製造を試みた。
【0025】
【表1】
Figure 0003774554
【0026】
なお、同時にX線回折の測定も行った。この測定は、日本電子製JDX−350を用い、CuKα線をX線源として2度(2θ)/分で行った。スリット幅は、1度−0.2mm−1度である。
そして、珪酸ナトリウムが溶解状態にあると、X線回折の結果からヘキサゴナル構造が形成されていることが確認された。しかしながら、珪酸ナトリウムが完全に溶解しない状態ではヘキサゴナル構造が形成されない場合もあり、本発明にかかる均質なメソポーラス粉体が得られない。
【0027】
また、上記表より明らかなように、SiO2/Na2Oが2.0では、界面活性剤の存在下では完全な溶解が困難であり、この点で例えば水ガラスなど2.0を越えるものをそのまま用いたのでは均質なメソポーラス粉体を製造することができないことが理解される。
そして、安定にヘキサゴナル構造を形成するには、SiO2/Na2Oが1.9程度までが特に好適であった。
【0028】
【実施例】
以下、本発明のより具体的な実施例について説明する。
【0029】
実施例1
試薬特級の水酸化ナトリウム(ナカライテスク社製)400gをイオン交換水1Lに溶解し、市販品の二酸化ケイ素(Aerosil社製#200)300gを加えて攪拌する。この分散液を700℃にて5時間焼成して珪酸ナトリウム(Na SiO )を得た。前記珪酸ナトリウム0.5molとステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.1molをイオン交換水1Lに添加し、50℃にて溶解した。このときのpHは11.8であった。さらに、2N−HClを徐添し、pHを8.5に調整した。その後、濾過、水洗を5回繰り返し、アセトン洗浄して乾燥した。この乾燥粉末を700℃にて5時間焼成して塊状メソポーラス粉体を得た。
【0030】
実施例2
試薬特級の水酸化ナトリウム(ナカライテスク社製)30gをイオン交換水1Lに溶解し、市販品の二酸化ケイ素(Aerosil社製#200)30gを加え、撹拌する。この溶解液にステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.1molを添加し、70℃で溶解した。このときのpHは11.5であった。さらに、2N−HClを徐添し、pHを8.5に調整した。その後、濾過・水洗を5回繰り返し、アセトン洗浄して乾燥した。この乾燥粉末を700℃にて5時間焼成して塊状メソポーラス粉体を得た。
【0031】
ここで得られた塊状メソポーラス粉体のX線回折図を図1に、窒素吸着等温線を図2に、開口径分布を図3に、それぞれ示す。
なお、窒素吸着等温線はB.E.T法に基づきユアサアイオニクス社販売のオートソーブ全自動ガス吸着量測定装置を用いて測定した。
【0032】
図1より、回折強度はヘキサゴナル構造を示す4本の回折ピークを示している。また、図2に示す窒素吸着等温線の、相対蒸気圧(P/p0)=0.35付近の急峻な立ち上がりは開口径の均一性を示しており、より具体的には図3に示す開口径分布の通りである。
【0033】
次に、前記水酸化ナトリウムを等モルで水酸化カリウムに置き換えた以外、同様に製造したメソポーラス粉体のX線回折図を図4に示す。
同図より、水酸化ナトリウム以外のアルカリであっても本発明の塊状メソポーラス粉体の製造に用い得ることが理解される。
【0034】
実施例3
市販の無水メタ珪酸ナトリウム(ナカライテスク)0.5molとステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.1molをイオン交換水1Lに添加し、70℃にて溶解した。このときのpHは11.75であった。さらに、2NのHClを徐添し、pHを8.5に調整した。その後、濾過・水洗を5回繰り返し、アセトン洗浄して乾燥させた。この乾燥粉末を700℃にて5時間焼成して塊状メソポーラス粉体を得た。
図5には、以上のようにして得た塊状メソポーラス粉体のTEM写真が示されている。同図には粉体中に平行に延びる開口が示されており、同様にして観察したところ、本発明においては開口深さが50〜300nmであった。
【0035】
実施例4
市販の無水メタ珪酸ナトリウム(ナカライテスク)0.5molと、セチルトリメチルアンモニウムクロライド0.1molをイオン交換水1Lに添加し、70℃にて溶解した。このときのpHは11.84であった。さらに、2NのHClを徐添し、pHを8.5に調整した。その後、濾過、水洗を5回繰り返し、アセトン洗浄して乾燥した。この乾燥粉末を700℃にて5時間焼成して塊状メソポーラス粉体を得た。
【0036】
実施例5
市販の無水メタ珪酸ナトリウム(ナカライテスク)0.5molとラウリルトリメチルアンモニウムクロライド0.2molをイオン交換水1Lに添加し、70℃にて溶解した。このときのpHは11.92であった。さらに、2NのHClを徐添し、pHを8.5に調整した。その後、濾過・水洗を5回繰り返し、アセトン洗浄して乾燥した。この乾燥粉末を700℃にて5時間焼成して塊状メソポーラス粉体を得た。
【0037】
実施例6
市販のオルト珪酸ナトリウム(ナカライテスク)0.5molとステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.1mol及びフェニルトリメチルアンモニウムクロライド0.1molをイオン交換水1Lに添加し、70℃にて溶解した。このときのpHは12.05であった。さらに、2NのHClを徐添し、pHを8.5に調整した。その後、濾過・水洗を5回繰り返し、アセトン洗浄して乾燥した。この乾燥粉末を700℃にて5時間焼成して塊状メソポーラス粉体を得た。
【0039】
以上の各実施例により製造された塊状メソポーラス粉体の物性を以下の表2に示す。
【0040】
(表2)
d100( ) a0( ) S.S.A(m /g) TotalPoreVolume(cc)
実施例1 36.78 42.47 1125 2.06
実施例2 35.31 40.77 1210 1.84
実施例3 38.38 44.32 1074 1.73
実施例4 34.62 39.98 1165 1.01
実施例5 33.31 38.46 637 0.51
実施例6 36.78 42.47 1077 2.32
【0041】
また、本発明に従って製造されたメソポーラス粉体は、例えば化粧品などの皮膚外用剤に配合すると、皮脂を適宜吸着し、皮膚上での保持力を向上させることができる。
【0042】
このように皮膚外用剤中へメソポーラス粉体を配合する場合の配合量は、化粧料の形態に応じて任意であり、一般的には0.1〜80重量%である。乳化、分散系の製品の場合には0.1〜50重量%が一般的であり、粉末状あるいは粉末プレスド系の製品の場合には0.1〜70重量%が一般的である。
【0043】
また、上記の塊状メソポーラス粉体に加え、外用剤に一般的に配合されるその他の成分を本発明の効果を損なわない質的、量的範囲で配合することができる。例えば保湿剤、ワックス、顔料、油分、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、アルカリ、水溶性高分子、油溶性高分子、粘土鉱物などを挙げることができる。
【0044】
下記表3のようなパウダリーファンデーションを調製し、前記メソポーラス粉体の効果を検証した。
【表3】
Figure 0003774554
【0045】
粉末をそれぞれヘンシェルミキサーに仕込み、均一に撹拌した後に残りの成分を添加し均一に混合した。混合物をアトマイザーで粉砕し、中皿に形成しパウダリーファンデーションを得た。
上記表3を参酌すると、シリカゲルあるいはゼオライトなどの多孔性粉体を配合した場合(比較例1,2)、多孔性粉体の配合されていない場合(比較例3)と比較して、化粧持ちの点などで改善が認められる。しかしながら、肌に塗布する際のすべりなどに問題があり、未だ十分な改善とはいえない。
しかしながら、メソポーラス粉体を配合した場合には、使用性、化粧持ちともに改善が認められ、メソポーラス粉体の優れた特性を示唆するものであった。
化粧持ち(耐汗性)の評価
【0046】
上記皮膚外用剤を20〜29歳の女性パネル各20名に顔面に塗布させたのち、2時間室内で読書させる。その時点の化粧持ちを自己判定させたのち屋外で2Kmランニングさせる。ランニング終了後発汗による化粧のくずれを下記の評価基準に従い自己判定させた。
<判定基準>
◎:化粧くずれをしたと回答したパネルの人数が 0名
○:化粧くずれをしたと回答したパネルの人数が 1〜5名
△:化粧くずれをしたと回答したパネルの人数が 6〜11名
×:化粧くずれをしたと回答したパネルの人数が 12名以上
【0047】
次に、本発明者等は前記表3の組成物に対し、サリチル酸メチルを添加し、その刺激性および効果の持続性について検討を行った。
【表4】
Figure 0003774554
【0048】
油相に配合されたサリチル酸メチルは紫外線吸収剤として有用であるが、大量に配合した場合には皮膚刺激性を呈する場合があった。これに対して多孔性粉体を配合することにより、該多孔性粉体がサリチル酸メチルを吸着し、外相との平衡関係により徐々にサリチル酸メチルが放出されるため、塗布当初の皮膚刺激性は低減され、また効果の持続性も図られる。
前記表4を参酌すると、サリチル酸メチルの皮膚刺激性はシリカゲルあるいはゼオライトなどの多孔性粉体によっても軽減されるが、特にメソポーラス粉体により極めて良好に抑制される。また、紫外線吸収効果の持続性も大幅に向上する。
なお、上記効果の評価は以下のように行った。
【0049】
すなわち、後述する組成の試料を男女各25名のパネルの上腕に塗布し、塗布後30分間にヒリヒリ感などの刺激性について、また3時間後での効果の持続性について評価した。各判定の基準は以下の通りとした。
皮膚刺激性
◎:50人中0〜5名が肌にヒリヒリ感を認めた。
○:50人中6〜20名が肌にヒリヒリ感を認めた。
△:50人中21〜35名が肌にヒリヒリ感を認めた。
×:50人中36〜50名が肌にヒリヒリ感を認めた。
効果持続性
◎:50人中36〜50名が効果の持続感を認めた。
○:50人中21〜35名が効果の持続感を認めた。
△:50人中6〜20名が効果の持続感を認めた。
×:50人中0〜5名が効果の持続感を認めた。
【0050】
次に本発明者等はメソポーラス粉体とその効果の関係について検討した。
【表5】
Figure 0003774554
【0051】
上記表5より明らかなように、メソポーラス粉体の添加効果は0.1%程度から認められ、さらに1.0%程度の配合からその効果が明瞭となる。一方、本発明において特徴的な効果は、その添加量を相当量まで増やしても問題なく発揮される。ただし、メソポーラス粉体の粒径などにもよるが、80重量%となると、ややざらつきがでる傾向にある。
従って、本発明に係る皮膚外用剤において、メソポーラス粉体の配合量は0.1%以上、好ましくは1.0%〜80重量%である。
【0052】
以下、本発明の組成物の具体的配合例を説明する。
配合例12 口紅
ポリエチレンワックス 3%
セレシンワックス 10
カルナバロウ 2
キャンデリラロウ 5
流動パラフィン 30
ヒマシ油 15
ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン 20
オリーブ油 11
赤色酸化鉄 0.2
赤色202号 1.8
メソポーラス粉体 2
【0053】
<製法>
油分およびワックスを85〜90℃にて加熱溶解し、このものに顔料を加えて分散する。直ちに減圧脱気し、所定の容器に移し、冷却固化して口紅を得た。
この口紅は塗布後に落ちにくいものであった。
【0054】
配合例13 プレス状アイシャドー
タルク 26
マイカ 35
チタンコーティッドマイカ 20
流動パラフィン 2.8
ジメチルポリシロキサン(6cs) 2
メソポーラス粉体 5
ソルビタンモノオレート 1
群青 8
赤色201号 0.2
【0055】
<製法>
チタンコーティッドマイカを除く粉末をヘンシェルミキサーで混合した後、油分、界面活性剤を加え、パルベライザーにて粉砕した。さらにチタンコーティッドマイカを加え、ヘンシェルミキサーにて均一に混合した。このものを所定の中皿に圧縮成型してアイシャドーを得た。
【0056】
配合例14 ベビーパウダー
メソポーラス粉体 40
タルク 58.7
クエン酸 0.2
ベンガラ 0.01
流動パラフィン 1
香料 0.09
【0057】
<製法>
クエン酸を99%アルコールに溶解し、タルクに添加しヘンシェルミキサーで混合後、80℃にてアルコールを除去する。さらに残部を加え、アトマイザーにて粉砕する。所定の容器にそのまま移しベビーパウダーを得る。
【0058】
配合例15 乳化ファンデーション
ステアリン酸 0.7
イソプロピルミリステート 4
スクワラン 22
ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテル 2
セチルアルコール 0.3
タルク 7
メソポーラス粉体 3
酸化鉄顔料 2.5
赤色202号 0.5
防腐剤 0.09
トリエタノールアミン 0.42
プロピレングリコール 5
精製水 52.19
香料 0.3
【0059】
<製法>
油分、界面活性剤を加熱混合溶解した後、顔料部を添加し、均一に分散する。これにトリエタノールアミン、プロピレングリコールを精製水中に溶解して加熱したものを添加して乳化する。これを撹拌冷却して、香料を加えて均一にし、容器に充填して乳化ファンデーションを得た。
【0060】
配合例16 頬紅
タルク 30
マイカ 35
酸化チタン 3
チタンコーティッドマイカ 5.5
赤色202号 0.5
メソポーラス粉体 3
ソルビタンジイソステアレート 1
スクワラン 7
メチルフェニルポリシロキサン 15
【0061】
<製法>
顔料部を混合し、これに他の成分を加熱溶解して加え、混合、粉砕する。これを中皿に成型し、プレス状の頬紅を得た。
【0062】
配合例17 液状アイライナー
イソパラフィン 58.97
炭化水素系樹脂 5
カルナバロウ 1
キャンデリラロウ 5
コレステロール 2
エチルアルコール 5
精製水 8
有機変性モンモリロナイト 3
酸化鉄黒 10
メソポーラス粉体 1
ソルビタンモノステアレート 1
香料 0.03
【0063】
<製法>
イソパラフィンの一部に活性剤、水、有機変性モンモリロナイトおよび顔料を加え、均一に分散混合し、85℃にしておく。釜にイソパラフィンの残部、樹脂、ワックスを加え、90℃にて均一に溶解させる。ここに予め調製しておいた分散液を添加し、85℃〜90℃にて分散混合し、香料を加え、徐冷し30℃とする。所定の容器に充填し、耐水性のアイライナーを得る。
【0064】
配合例18 両用ファンデーション
シリコーン処理酸化チタン 20
シリコーン処理マイカ 22
シリコーン処理酸化鉄 3
メソポーラス粉体 5
流動パラフィン 4.5
メチルポリシロキサン(100cs) 25
メチルハイドロジェンポリシロキサン(20cs) 20
ソルビタンセスキオレート 0.5
【0065】
<製法>
顔料部を均一に混合後、油分、活性剤を加え、混合する。アトマイザーで粉砕後、所定の中皿にプレス成型する。
以上説明したように、メソポーラス粉体を配合した皮膚外用剤は、皮膚上での保持性がよく、しかも使用感を良好とすることができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかるメソポーラス粉体によれば、均一な開口径と適度な開口深さを有するので、他の物質の吸着剤あるいは徐放体などとして有用である。
また、珪素含有物質の溶解状態からミセル外殻に析出させることとしたので、均質でしかも粒径の調整が極めて容易に行い得る。
また、本発明の化粧料は、上記メソポーラス粉体を配合することにより、皮脂を適宜吸着し、皮膚上での保持力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で得られたメソポーラス粉体のX線回折図である。
【図2】図1に示したメソポーラス粉体の窒素吸着等温線図である。
【図3】図1に示したメソポーラス粉体の開口径分布の説明図である。
【図4】本発明においてKOHを用いてメソポーラス粉体を調製したときのX線回折図である。
【図5】本発明の一実施例にかかる塊状メソポーラス粉体の構造を示すTEM写真である。

Claims (6)

  1. 0<SiO /Y O<2の珪酸塩(Y:アルカリ金属原子)をカチオン性界面活性剤の存在下、pH11以上で完全溶解する溶解工程と、
    pHを10.5以下とし、前記カチオン性界面活性剤で棒状ミセルを形成し、かつ珪酸を該棒状ミセル上に析出させ、ヘキサゴナル構造を形成する縮合工程と、
    前記析出により形成された珪酸塩を外殻としたミセル状析出物よりカチオン性界面活性剤を除去する除去工程と、
    を含む方法により、製造され、
    開口の外殻に酸化珪素を配し、開口深さが50〜300nmであるメソポーラス粉体。
  2. 請求項記載の粉体において、珪酸塩はNaSiOを主成分とすることを特徴とするメソポーラス粉体
  3. 請求項1又は2記載の粉体において、カチオン性界面活性剤は四級アンモニウム塩であることを特徴とするメソポーラス粉体
  4. 請求項記載の粉体において、四級アンモニウム塩:珪酸塩はモル比で1:1〜1:50であることを特徴とするメソポーラス粉体
  5. 請求項記載の粉体において、四級アンモニウム塩:珪酸塩はモル比で1:3〜1:20であることを特徴とするメソポーラス粉体
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のメソポーラス粉体を含む化粧料。
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