JP3774407B2 - 現像剤補給容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複写機、プリンタ、又はファクシミリ等の画像形成装置に使用する現像剤補給容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、補給すべき現像剤を収容する現像剤補給容器は、一般的にポリプロピレン等の合成樹脂、アルミニウム等の金属、紙等の各種素材の単体或いはこれらの複合材料からなる素材のものが多く知られている。
【0003】
このような素材を用いた現像剤補給容器の補給口を覆う蓋体の周辺には、通常、粒子の細かい現像剤の漏出を防止するためにシール部材等のパッキングを介在させて、厳密に封止されている。
【0004】
ところが、このような現像剤補給容器内の圧力は、現像剤補給容器内に現像剤を充填して密閉する際における周囲の環境によって決定されるため、この密閉時の環境と、現像剤を補給するために開封する使用時の環境とが異なっていると使用時に不都合が生じることがある。
【0005】
つまり、現像剤補給容器を使用する現像剤補給時、特に標高の高い場所では、現像剤補給容器の外側の気圧が補給容器内部の圧力と比較して低くなり、逆にいうと、補給容器の内部の圧力が外側の気圧に比較して高いことから、補給用開口部のシール部材を開封すると同時に内部の圧力が外部へと放出され、これに伴って現像剤が爆発的に噴出してしまうことがある。
【0006】
これにより、標高の高い場所において現像剤の補給作業を行なう際には、噴出した現像剤が作業者の身体や衣服を汚したり、作業場所を汚したりすることがあった。
【0007】
実際上、現像剤補給容器が出荷される仕向地の中には標高1800m以上の高地が含まれる場合も発生し、いわゆる生産者により現像剤が充填された場所と仕向地の標高差により生じる上述の不都合をいかに解消するかが重要な課題となっている。
【0008】
そこで、従来の現像剤収容器のなかには、実用新案登録第2582138号公報に記載のような、空路輸送を考慮して、容器の一部に通気性のある多孔質層を備えたシール部材を設け、現像剤の漏出を防止しつつ、この多孔質層の孔を介して空気の流通が確保されている現像剤補給容器があり、これによれば、多孔質層の孔を介して空気が容器の内から外、または外から内に自由に移動することにより、仕向地のいかんにかかわらず容器の内外において圧力差が生じるのを防止して、上述の不都合等の発生を防止できる、とされていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実用新案登録第2582138号公報に記載の現像剤補給容器では、容器内部が密封されておらず、湿気が通気性シールにおける通気孔を通過して容器内部に侵入するため、現像剤の物性が変化してしまい、良好な現像剤の保存状態が維持できないといった問題が生じている。
【0010】
つまり、実用新案登録第2582138号公報に記載の現像剤補給容器を含む従来の現像剤補給容器では、容器内部を密封したまま上述の不都合を解消できなかった。
【0011】
この発明の目的は、容器内の密封状態を保持しつつ、簡易な構成で容易に現像剤補給容器の内部の容積を増大することが可能な現像剤補給容器を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は以下の構成を備えている。
【0013】
(1)補給すべき現像剤を密封した状態で収容する現像剤補給容器の一部に設けられ、外力を受けることにより容器の内側または外側に凸となる状態に変形する変形部分と、該変形部分に外力を作用させる作用部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成においては、現像剤補給容器に設けられた変形部分が、例えば、出荷時において予め該変形部分が容器内側に凸となる状態になっており、それぞれの仕向地で現像剤補給容器を使用する時に、前記作用部に該容器外側方向への力が作用することにより、該変形部分が容器外側に凸となる状態に変化する。
【0015】
これにより、該作用部を用いて、該容器を密封した状態に保持しつつその内部の容積が増大して容器の内圧が低下するため、現像剤補給容器の生産環境の気圧と略等しくなる容器の内圧が、現像剤補給容器を使用環境での気圧、すなわち容器の外部の圧力よりも高いことによって生じる容器開封時の現像剤の噴出等が防止される。
【0016】
また、容器内部の容積が増大することにより、容器内部の現像剤を攪拌するための空間が拡大するため、現像剤の攪拌の効率が向上する。
【0017】
(2)前記作用部は、前記変形部分が容器の内側に凸となる状態において、前記現像剤補給容器における該変形部分が設けられた面から突出しないことを特徴とする。
【0018】
この構成においては、前記変形部分が容器の内側に凸となる状態であることによって該変形部分により凸状部が形成される内側に対して反対側である容器の外側に形成される凹状部に、前記作用部が配置されることから、該変形部分の変形を容易に行うために設けられる作用部によって現像剤補給容器に不要な突出部分が生じることがないため、現像剤補給容器の梱包、運搬等の便宜が図られる。
【0019】
(3)前記変形部分および前記作用部を複数備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成においては、現像剤補給容器の内部の容積を増大させる変形部分および作用部がそれぞれ複数設けられていることから、それぞれの作用部に容器外側への力を作用させることにより、現像剤補給容器の内部の容積が、前記変形部分および前記作用部が1つ設けられる場合に比較していっそう増加するため、さらに容器の内圧が低下して、現像剤の噴出が防止されるとともに、容器内部の現像剤の攪拌に用いられる空間がさらに拡大して、現像剤の攪拌作業における効率が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、一般的な現像剤補給容器の使用態様を示している。同図に示すように現像剤補給容器としてのトナー補給容器100は、現像装置2に現像剤を供給すべく現像装置2の所定の位置に装着される。このとき、トナー補給容器100は、現像装置2に対して着脱自在であり、トナー補給容器100内部に収容されるトナーがなくなった場合には、現像装置2に装着されている空のトナー補給容器100を、トナーが満杯の状態である新たなトナー補給容器100に交換することにより、容易にトナーの補給をすることができる。
【0022】
このため、トナー補給容器100は、通常、それ自体で流通市場における取引の対象となっており、それぞれ製造された各トナー補給容器100は、使用されるべき仕向地毎に出荷等されるとともに、各仕向地において現像装置2に装着されて使用されることになる。
【0023】
図2は、一般的なトナー補給容器100の形状を示している。トナー補給容器100は、通常、その肉厚が2mm程度のポリプロピレン等の合成樹脂、アルミニウム等の金属、紙等の各種素材の単体或いはこれらの複合材料からなる素材によって構成される。また、図2(a)に示すように、トナー補給容器100は、現像装置2に補給すべきトナーが収容される略円筒状ボトル部分10と、容器内部のトナーを密封する開封シート12が溶着された蓋11より構成されており、ボトル部分10と蓋11とが組み立てられた後には、使用される直前に開封シート12が剥がされるまで、容器内部が密封状態になる。
【0024】
そして、トナー補給容器100は容器内部の密封性が維持されたまま、運搬等が行われ、現像装置2にトナーを補給するために使用する際に開封シート12が開封されることになる。本発明は、この使用する直前において容器内部の容積を増大させて容器の内圧を低下させ、開封時における容器内外の圧力差を減じるとともに、容器内部の空間を拡大することにより、容器内部の現像剤の攪拌の効率を向上させる点に特徴を有するものである。
【0025】
通常のトナー補給作業においては、トナー補給容器100を現像装置2にセットする前に、よく振って内部のトナーを十分に攪拌した後、現像装置2に装着し、補給開口に設けられる開封シート12を剥がして、トナーの補給が行われる。
【0026】
図3は、本発明の実施形態に係るトナー補給容器1aの構成を示している。本発明のトナー補給容器1aに用いられる素材等は上述の一般的なトナー補給容器100と同様であるが、同図に示すように、本発明のトナー補給容器1aは、一般的なトナー補給容器100と比較して、ボトル部分10における蓋11とは反対側の面(以下、底面という。)に、容器の内側に凸状の変形部分13aが形成されている点に特徴がある。
【0027】
トナー補給容器1aの底面に形成された変形部分13aが容器の内側に略円錐状に凹んでおり、この凹んだ変形部分13aの略中心に、変形部分13aおよび図中の破線P1 で示す底面とによって生じる略円錐状の空間に収容される状態で、すなわち底面から突出することがない状態で作用部としての把手14が形成されている。
【0028】
そして、把手14を矢印方向に引っ張ることにより、図3(b)に示すように変形部分13aが容器の外側に凸となる状態、すなわち、底面の外側が略円錐状に隆起した状態へと変化する。
【0029】
よって、通常、トナー補給の際にトナー補給容器1a内のトナーを十分に攪拌するために容器を振ってからトナーの補給を行うが、このときに予め、把手14を図3(a)の矢印方向に引っ張り、ボトルの底面を図3(b)で示す外側に略円錐状に隆起した形状に変形させることにより、トナー補給容器1内部の容積が増大し、トナーの攪拌の作業に使用できる容器内部の空間が拡大するため、トナーの攪拌の効率が向上する。
【0030】
また、トナー補給容器1内部の容積が増大に伴い、トナー補給容器1a内部の気圧が下がることから、例えば、海抜100メートル以下の低地で製造されたトナー補給容器1を気圧の低い高地において使用を開始する際にトナー補給容器1内から勢いよくトナーが噴出して周囲を汚すことを防止できる。
【0031】
図4は、本発明の他の実施形態に係るトナー補給容器1aのバリエーションであるトナー補給容器1bの形状を示している。なお、このトナー補給容器1bの素材等については、上述の一般的なトナー補給容器100や、トナー補給容器1aと同様である。
【0032】
また、図4(a)に示すようにトナー補給容器1bのボトル部分10の側面の一部に変形部分13bが形成されており、最初、変形部分13bが内側に凸となる状態、すなわち、変形部分13bが略四角錐状に容器の内側に凹んだ状態になっている。また、変形部分13bの略中央には把手14が、変形部分13bおよび破線P2 で示されるトナー補給容器1bの側面によって形成される略四角錐状の空間に納まる状態で設けられている。
【0033】
このため、トナー補給容器1bの使用前に、把手14を矢印方向に引っ張り、変形部分13bに、容器外側方向の外力を作用させることにより、図4(b)に示す変形部分13bが外側に凸となる状態、すなわち変形部分13bが容器の外側に略四角錐状に隆起した状態に変形することができる。このため、トナー補給容器1bの把手14に容器外側方向の力を作用させることにより、容器内部の容積を増大させて攪拌の効率を向上させたり、内圧を低下することが可能となる。
【0034】
図4(c)は、トナー補給容器1bの側面図を示している。上述の変形部分13(13a、13b)を、容器内部に凸となる状態から容器外部に凸となる状態へと容易に変化させるために、特段、変形部分13(13a、13b)に特別の素材を使用する必要はなく、トナー補給容器1における他の部分と同一の素材を用いることができる。ただし、同図には現れていないが、例えば、変形部分13(13a、13b)の輪郭に沿って、該輪郭上の容器断面の内側と外側の両方に切欠き部を設けることによって、さらに容易に変形部分を変形することができるようになる。
【0035】
なお、コスト的に許容される場合には、変形部分13(13a、13b)のみ、変形を容易にするための柔らかい素材を用いるようにしてもよいのはいうまでもない。
【0036】
最後に、上述のトナー補給容器1aおよびトナー補給容器1bはそれぞれ容器底面または容器側面に単一の変形部分13を形成している構成であるが、例えば、変形部分13をトナー補給容器1に複数形成する構成にすることもできる。すなわち、図3および図4に示す変形部分13aおよび変形部分13bの双方を単一のトナー補給容器1に形成することになるが、この構成によれば、トナー補給容器1の使用前に、それぞれの把手14に容器外側への力を作用させることにより、トナー補給容器1の内部の容積をよりいっそう増大させるすることが可能になるため、トナーの攪拌に使用される容器内部の空間が、さらに拡大してトナー攪拌の効率を向上させることができるとともに、トナー補給容器1内部の内圧をより大きく低下させることが可能となるため、トナー補給容器1からのトナーの噴出をより効果的に防止することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0038】
(1)現像剤補給容器に設けられた変形部分が、例えば、出荷時において予め該変形部分を容器内側に凸となる状態にして、それぞれの仕向地で現像剤補給容器を使用する時に、前記作用部に該容器外側方向への力を作用させることにより、該変形部分を容器外側に凸となる状態に変化させることができることから、該作用部を用いて、該容器を密封した状態に保持しつつその内部の容積を増大させ容器の内圧を低下できるため、現像剤補給容器の生産環境の気圧と略等しくなる容器の内圧が、現像剤補給容器を使用環境での気圧、すなわち容器の外部の圧力よりも高いことによって生じる容器開封時の現像剤の噴出等を防止することができる。
【0039】
また、容器内部の容積を増大させることにより、容器内部の現像剤を攪拌するための空間を拡大できるため、現像剤の攪拌の効率を向上させることができる。
【0040】
(2)前記変形部分が容器の内側に凸となる状態であることによって該変形部分により凸状部が形成される内側とは反対側である容器の外側に形成される凹状部に、前記作用部を配置することから、該変形部分の変形を容易に行うために設けられる作用部によって現像剤補給容器に不要な突出部分が生じることをなくし、現像剤補給容器の梱包、運搬等の便宜を図ることができる。
【0041】
(3)現像剤補給容器の内部の容積を増大させる変形部分および作用部をそれぞれ複数設けていることから、それぞれの作用部に容器外側への力を作用させることにより、現像剤補給容器の内部の容積を、前記変形部分および前記作用部を1つ設ける場合に比較していっそう増加させることができるため、さらに容器の内圧を低下させ、現像剤の噴出を防止することができるとともに、容器内部の現像剤の攪拌に用いられる空間をさらに拡大でき、現像剤の攪拌作業における効率を向上させることができる。
【0042】
よって、容器内の密封状態を保持しつつ、簡易な構成で容易に現像剤補給容器の内部の容積を増大することが可能な現像剤補給容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な現像剤補給容器の使用態様を示す図である。
【図2】一般的なトナー補給容器の形状を示す図である。
【図3】本発明のトナー補給容器の形状を示す図である。
【図4】本発明のトナー補給容器のバリエーションの形状を示す図である。
【符号の説明】
1(1a、1b)−トナー補給容器
2−現像装置
10−ボトル部分
11−蓋
12−開封シート
13(13a、13b)−変形部分
14−把手
100−トナー補給容器

Claims (4)

  1. 一方に開口を有する有底筒状のボトル部と、
    前記開口を覆うように前記ボトル部に取り付けられるとともに、前記ボトル部内のトナーを密封する密封部材と、
    を備えた現像剤補給容器であって、
    前記ボトル部は、その周面または底面に形成された、錐体状を呈する変形部と、
    前記ボトル部の外面における前記変形部の頂点の近傍に形成された把手部と、
    を備えており、
    前記変形部は、外力の作用に応じて、前記頂点が前記ボトル部の内側に突出する第1の状態、または、前記頂点が前記ボトル部の外側に突出する第2の状態に選択的に変形するように構成されることを特徴とする現像剤補給容器。
  2. 前記把手部は、前記変形部が前記第1の状態時に、前記ボトル部の底面または周面のいずれからも突出しないように構成されることを特徴とする請求項1に記載の現像剤補給容器。
  3. 前記ボトル部の内周面および外周面における前記変形部の輪郭部に、前記変形部の変形を容易にするための切欠き部が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤補給容器。
  4. 前記変形部および前記把手部をそれぞれ複数備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像剤補給容器。
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