JP3804114B2 - トナー補給容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体状の現像用トナーを充填収容するトナー補給容器の改良に関し、例えば電子写真複写機やレーザプリンタ等の静電画像形成装置の現像装置に、トナーを補給するために着脱可能に装着して使用される交換可能なトナー補給容器の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、飛散しやすい粉体を粉体受入装置内に補給する手段として、粉体を容器内に収容し、該容器の粉体取り出し開口部をフィルム状シール材により密封した粉体容器が使用されている。粉体補給に際しては、上記粉体容器を倒立させて開口部を下にして粉体受入装置の装着部に取り付けた後、上記シール材を剥がすことにより開口部から粉体を流出させて受入装置のホッパ内に補給する。上述のような粉体容器は、蓋によって開口部を密栓する容器に比べて、開口部の構造を簡単にできて、しかも密閉がより完全に行われることから広く用いられている。
【0003】
静電画像形成装置にあっては、回動する電荷担持体上の静電潜像を現像装置によって現像し、静電潜像部にトナー中の粉体トナーを付着させてトナー像としたのち、これを記録紙上に転写定着することがなされている。上記粉体トナーは現像と共に消費されるので、消費に応じて該トナーを現像装置に補給することが必要で、補給するトナーの貯蔵部としてトナーホッパが設けられている。
【0004】
トナーホッパには大量のトナーを内蔵させておいて、これが消費しつくされる前に、トナー補給容器(トナー補給カートリッジ)から前記トナーホッパにトナーの補給がなされる。
【0005】
以上は乾式の二成分トナーを用いる静電画像形成装置のトナー補給であるが、一成分トナーを用いる静電画像形成装置についても同様のトナー補給が必要である。
【0006】
上記何れのトナーにおいても、トナー補給は一般に、トナーを収容するトナー補給容器からトナーホッパー内に投入することによってなされている。
【0007】
上記粉体トナーは飛散しやすく、トナー補給時にトナー補給カートリッジ開口部やトナーホッパ開口部から外部に飛散、浮遊したり、外部に流出、散乱したりして、装置、外気、衣服等を汚染するので、これを防止するための多くの提案がなされている。
【0008】
これらの提案の中には、実開昭59−114572号、特開平3−279983号各公報に開示されたトナー補給カートリッジがある。このトナー補給容器は、容器本体、容器本体上部を密栓する固定キャップ、容器本体下部に接続する口金部材、容器本体下部の開口を剥離可能にするフィルム状シール部材、前記口金部材に摺動するとともに該シール部材を巻回して係合するスライド蓋とから構成されている。トナー補給容器を複写機等の静電画像形成装置のトナー受入装置にセットし、スライド蓋を一方向に移動させることにより、シール部材は引っ張られて補給口を引き剥がして開口され、容器本体内のトナーが補給口から落下してトナーホッパ内に補給される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のトナー補給容器は、容器本体の補給口(トナー排出口)及び容器本体にトナーを充填するための開口部が、閉止部材により密封されている。また、トナー補給容器は、必要最低限の強度を維持した形状及び材質が設定され作られている。しかし、トナー補給容器の環境気圧が変化すると、トナー補給容器内外の気圧差により、トナー補給容器が破損して収容されたトナーが漏出、飛散することがある。この環境気圧の変化は、例えば、2000m以上の高地での保管使用時、高地の鉄道輸送時、航空機による輸送時に発生する。特に航空機による輸送時には、密封状態のトナー補給容器の外気圧が急激に下降または上昇するため、トナー補給容器内外の気圧差によるトナー補給容器の破損が発生することがある。
【0010】
このトナー補給容器の破損防止対策として、前記容器本体の補給口(トナー排出口)を封止する閉止部材を通気性のフィルムとしたり、容器本体にトナーを充填するための開口部を封止する閉止部材の一部に貫通口を穿設し、該貫通口を通気性の不織布で閉止する等の手段が講じられた。しかし、これらの通気性部材を設けることにより、トナー補給容器内外の常時通気性のため、トナー補給容器内のトナーが外気の湿度により固化する問題が発生する。
【0011】
本発明は、トナー補給容器における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の諸問題点を解決する本発明のトナー補給容器は、トナーを収容する容器本体と、該容器本体の補給口を開閉する開閉蓋と、前記容器本体にトナーを充填するための開口部を閉鎖するキャップ部材とから成るトナー補給容器において、該キャップ部材は、弾性変形可能に構成された底面部および内側円筒部と、内周面にリング状の突起条部を有する外側円筒部と、該内側円筒部と該外側円筒部とを連結する上面部とを有し、該容器本体の開口部は、前記キャップ部材と嵌着可能な円筒形状をなす口金部を有し、該口金部の円筒面内周上に該キャップ部材の内側円筒部に圧接するリング状の突起条部と、該口金部の円筒面内周上に該キャップ部材の外側円筒部に設けられた突起条部と圧接し嵌着するリング状の2箇所の突起条部とを有し、前記口金部と前記キャップ部材との嵌着状態においては、該キャップ部材の該外側円筒部の内周面に設けれたリング状の突起条部が、該口金部の円筒面外周上に設けられた2箇所のリング状の突起条部に圧接するとともに、該キャップ部材の該内側円筒部の外周面部が、該口金部の円筒面内周上に設けられたリング状の突起条部に圧接して気密状態に密封し、前記容器本体内の気圧と外気圧とに差異を生じたとき、前記キャップ部材の前記内側円筒部と前記底面部が弾性変形し、該内側円筒部の外周面部が、前記口金部の円筒面内周上に設けられたリング状の突起条部から離間し間隙を形成するとともに、該キャップ部材のリング状突起条部が、該口金部の円筒面外周上に設けられた2条のリング状の突起条部から離間し間隙を形成することを特徴とするものである(請求項1)。
【0013】
また、本発明のトナー補給容器は、前記トナー補給容器内外の気圧差が最大0.4気圧のとき、通気度が50%以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー補給容器である(請求項2)。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明によるトナー補給容器の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は本発明に係るトナー補給容器の実施の形態を示す斜視図、図2は該トナー補給容器の縦断面図である。図1(a)は、トナー補給容器の全体斜視図、図1(b)は、前記トナー補給容器の分解斜視図である。
【0016】
容器本体(ボトル)1は中空成形方法により形成し(ブロー成形加工)、口金部材2は射出成形方法により形成し、この個別に形成された容器本体1の底部に、口金部材2を挿入し接着固定したものである。なお、前記容器本体1と口金部材2とを一体成型してもよい。容器本体1及び口金部材2の材料として、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)等を用いた。
【0017】
前記容器本体1の天部開口1Aは、キャップ部材3により閉蓋される。前記天部開口1Aは、トナーの製造充填工程で、該天部開口1Aから容器本体1内に注入された後、キャップ部材3により閉蓋、密封される。該キャップ部材3も高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)等を用いた。
【0018】
前記容器本体1の底部開口1Bに接続する前記口金部材2の開口部2Aの周縁の外表面は封止面2Bになっていて、可撓性シール部材4により密封されている。トナー補給時には、前記口金部材2が図示しないトナー補給装置に装着され、可撓性シール部材4を前記封止面2Bから剥離して、前記開口部2Aを開放して、容器本体1内に収容されたトナーをトナー補給装置のホッパ内に放出する。前記可撓性シール部材4は、ポリエチレン(PE)とポリエチレンテレフタレート(PET)とから成るラミネートフィルムで、ポリエチレン側の面が前記封止面2Bにヒートシールされる。
【0019】
図3、図4、及び図5は、前記トナー補給容器の底部開口1Bを開閉可能にする開閉部材の実施の形態を示し、図3は該トナー補給容器の底部開口1Bを閉じた状態の縦断面図、図4は該トナー補給容器の他の縦断面図及び正面図、図5は該トナー補給容器の底部開口1Bを開いた状態の斜視図である。
【0020】
前記口金部材2の底部は、内側がトナー補給用の開口部2Aであり、外側が図示しないトナー補給装置との連結部2Cを形成している。前記口金部材2の底部には、封止面2B、レール部2Dが形成されている。
【0021】
前記可撓性シール部材4の長手方向の一方の端部は口金部材2の封止面2Bの端部に固着され、該可撓性シール部材4の他方の端部は前記口金部材2の他の面に固着されている。前記可撓性シール部材4の両端部は上述のように口金部材2に固着され、前記レール部2Dに摺動可能なスライド蓋5の周囲を摺動方向に巻回するように設けられている。前記スライド蓋5は、トナー補給前には、開口部2Aを封止する可撓性シール部材4を保護して遮蔽する。封止面2Bに剥離可能に接着された可撓性シール部材4は、封止面2Bの内側のトナー補給用の開口部2Aを封止している。トナー補給時には、前記トナー補給容器のレール部2Dに摺動するスライド蓋5の移動により、可撓性シール部材4が封止面2Bの一方の端部から次第に剥離され、開口部2Aを開放してゆく。
【0022】
図6は、前記容器本体1の天部開口1A近傍と、キャップ部材3とを示す拡大断面図である。
【0023】
前記容器本体1の天部開口1Aは、突出した口金部(マウス部)1Cに形成されている。該口金部1Cには、円筒面外周上のリング状突起条部1D,1Eと、円筒面内周上のリング状突起条部1Fとが形成されている。
【0024】
前記容器本体1の突出した口金部1Cに係合して天部開口1Aを閉鎖する前記キャップ部材3は、外側円筒部3A、上面部3B、内側円筒部3C、底面部3Dとから成る。前記外側円筒部3Aの内周面には、リング状突起条部3Eが形成されている。また、キャップ部材3は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)等により成型加工され、かつ、内側円筒部3Cと底面部3Dとは薄肉に形成されているから、弾性変形可能である。
【0025】
図7は、前記容器本体1の口金部1Cにキャップ部材3を嵌着した状態を示す拡大断面図である。
【0026】
前記キャップ部材3を容器本体1の口金部1Cにはめ込み強く押し込むと、キャップ部材3は弾性変形して口金部1Cに圧接、嵌着して、気密状態に密封する。この気密状態においては、トナー補給容器内外の空気を遮断し、湿気の進入とトナーの漏出を防止する。
【0027】
上記の口金部1Cとキャップ部材3との嵌着状態においては、キャップ部材3の外側円筒部3Aの内周面に形成されたリング状突起条部3Eが、前記口金部1Cの2箇所のリング状突起条部1D,1Eに圧接するとともに、キャップ部材3の内側円筒部3Cの外周面部3Fが、前記口金部1Cの円筒面内周上のリング状突起条部1Fに圧接する。
【0028】
図8(a)は、外気圧がトナー補給容器内の気圧より低下したときの容器本体1の口金部1Cとキャップ部材3の嵌着状態を示す拡大断面図である。
【0029】
外気圧が1気圧以下に低下することにより、先ず、キャップ部材3のフラットで薄肉の前記底面部3Dが弾性変形して外側に湾曲し、トナー補給容器内の容積を増し、内外気圧の均衡を保つように働き、ダイアフラムの役割をなす。トナー補給容器外の気圧がさらに低下すると、前記底面部3Dがさらに弾性変形するとともに、薄肉の内側円筒部3Cの外周面部3Fが、前記口金部1Cの円筒面内周上のリング状突起条部1Fから僅か離間し微小間隙を形成するとともに、キャップ部材3のリング状突起条部3Eが、前記口金部1Cのリング状突起条部1D,1Eから僅か離間し微小間隙を形成する。この気圧低下による口金部1Cとキャップ部材3との嵌着部の微小離間により、トナー補給容器内外の空気の流通がこの微小間隙を通じて行われ、トナー補給容器内の気圧も外気圧と等しく低気圧になり、前記キャップ部材3の底面部3D及び内側円筒部3Cは破線に示す初期位置に復元され、図7に示す密封状態に保持される。
【0030】
図8(b)は、外気圧がトナー補給容器内の気圧より増加したときの容器本体1の口金部1Cとキャップ部材3の嵌着状態を示す拡大断面図である。
【0031】
図8(a)で説明した外気圧の低下によるトナー補給容器内外の低気圧均衡後に、外気圧が通常の1気圧に復帰されると、先ず、キャップ部材3のフラットで薄肉の前記底面部3Dが弾性変形して内側に湾曲し、トナー補給容器内の容積を縮小し、内外気圧の均衡を保つように働く。トナー補給容器外の気圧がさらに増加すると、前記底面部3Dがさらに弾性変形するとともに、薄肉の内側円筒部3Cの外周面部3Fが、前記口金部1Cの円筒面内周上のリング状突起条部1Fから僅か離間し微小間隙を形成するとともに、キャップ部材3のリング状突起条部3Eが、前記口金部1Cのリング状突起条部1D,1Eから僅か離間し微小間隙を形成する。この気圧低下による口金部1Cとキャップ部材3との嵌着部の微小離間により、トナー補給容器内外の空気の流通がこの微小間隙を通じて行われ、トナー補給容器内の気圧も外気圧と等しい1気圧になり、前記キャップ部材3の底面部3D及び内側円筒部3Cは一点鎖線に示す初期位置に復元され、図7に示す密封状態に保持される。
【0032】
【表1】
【0033】
表1は、減圧環境下において、トナー補給容器の通気度が何%であるかを示すものである。
【0034】
前記トナー補給容器にトナーを入れずに密封状態にして、気密室内に入れ、減圧すると、トナー補給容器の容器本体1の口金部1Cとキャップ部材3の嵌着部に微小間隙を生じて、この間隙からトナー補給容器内の空気が流通して、低気圧になる。気圧を最大0.6気圧に低下させたのち、外気圧と同じ1気圧中に設置すると、トナー補給容器内は0.6気圧になっているから、容器本体1及び可撓性シール部材4は内側に凹んで、内容積が低減する。このときの内容積は通常より10〜50%低減している。トナー補給容器をこの状態で暫く放置しておくと、前記微小間隙から外気が流通して復元する。即ち、最大気圧差0.4気圧のときの、トナー補給容器の通気度は10〜50%になる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係るトナー補給容器は、輸送時、特に高地での鉄道輸送時や、航空機による輸送時に、激しい振動や急激な減圧下でも破損することがなく、トナーの漏出、飛散の発生が防止される。
【0036】
本発明に係るトナー補給容器は、容器本体の開口部とキャップ部材との係合部を嵌着により密閉し、容器本体内の気圧と外気圧とに差異を生じたとき、前記キャップ部材の変形により、前記係合部に空気のみ流通可能にする微小間隙を形成することを特徴とするもので、常圧下で密閉状態に保持され、急激な減圧、昇圧下でも特定な空気流入性を有することで、容器本体やキャップ部材を破損することがなく、トナーの漏出、飛散の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトナー補給容器の斜視図。
【図2】上記トナー補給容器の縦断面図。
【図3】上記トナー補給容器の底部開口を閉じた状態の縦断面図。
【図4】上記トナー補給容器の他の縦断面図及び正面図。
【図5】上記トナー補給容器の底部開口を開いた状態の斜視図。
【図6】容器本体の天部開口近傍とキャップ部材との拡大断面図。
【図7】容器本体の口金部にキャップ部材を嵌着した状態を示す拡大断面図。
【図8】外気圧がトナー補給容器内の気圧より低下又は増加したときの容器本体の口金部とキャップ部材の嵌着状態を示す拡大断面図。
【符号の説明】
1 容器本体
1A 天部開口(開口部)
1B 底部開口(補給口)
1C 口金部
1D,1E,1F,3E リング状突起条部
2 口金部材
3 キャップ部材
3A 外側円筒部
3C 内側円筒部
3D 底面部
4 可撓性シール部材
5 スライド蓋(開閉蓋)
Claims (2)
- トナーを収容する容器本体と、該容器本体の補給口を開閉する開閉蓋と、前記容器本体にトナーを充填するための開口部を閉鎖するキャップ部材とから成るトナー補給容器において、
該キャップ部材は、弾性変形可能に構成された底面部および内側円筒部と、
内周面にリング状の突起条部を有する外側円筒部と、
該内側円筒部と該外側円筒部とを連結する上面部とを有し、
該容器本体の開口部は、前記キャップ部材と嵌着可能な円筒形状をなす口金部を有し、
該口金部の円筒面内周上に該キャップ部材の内側円筒部に圧接するリング状の突起条部と、該口金部の円筒面外周上に該キャップ部材の外側円筒部に設けられた突起条部と圧接し嵌着するリング状の2箇所の突起条部とを有し、
前記口金部と前記キャップ部材との嵌着状態においては、該キャップ部材の該外側円筒部の内周面に設けられたリング状の突起条部が、該口金部の円筒面外周上に設けられた2箇所のリング状の突起条部に圧接するとともに、該キャップ部材の該内側円筒部の外周面部が、該口金部の円筒面内周上に設けられたリング状の突起条部に圧接して気密状態に密封し、前記容器本体内の気圧と外気圧とに差異を生じたとき、前記キャップ部材の前記内側円筒部と前記底面部が弾性変形し、該内側円筒部の外周面部が、前記口金部の円筒面内周上に設けられたリング状の突起条部から離間し間隙を形成するとともに、該キャップ部材のリング状突起条部が、該口金部の円筒面外周上に設けられた2箇所のリング状の突起条部から離間し間隙を形成する
ことを特徴とするトナー補給容器。 - 前記トナー補給容器内外の気圧差が最大0.4気圧のとき、通気度が50%以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー補給容器。
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