JP3772698B2 - 溶接形鋼の溶接欠陥検出方法および装置 - Google Patents

溶接形鋼の溶接欠陥検出方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波抵抗溶接等により製造されるH形鋼やT形鋼等の溶接形鋼におけるウェブとフランジの溶接部の欠陥を検出し、溶接強度を検査する溶接欠陥検出方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば溶接H形鋼は、アンコイラーからそれぞれ供給される平鋼からなる2枚のフランジ材と平鋼からなるウェブ材とを高周波抵抗溶接機により接合して連続的に製造される。製造された溶接H形鋼のウェブとフランジの溶接部が不完全であると、H形鋼として十分な強度が得られないため、検査工程でウェブとフランジの溶接部の溶接強度検査を行うことが要求される。
【0003】
この溶接強度検査は、JISG3353に規定されている溶接部引張試験に準拠して行われるのが一般的である。しかし、この規定は、2500mに1本の抜き取り検査であるため、溶接部全長にわたる溶接強度保証の信頼性が低い。
【0004】
溶接部全長にわたる保証として、特許第2509094号に記載されている超音波探傷方法によるものがある。しかし、超音波探傷では、強度保証ができない。例えば、溶接部の冷接欠陥のように金属結合が弱い場合でも、超音波探傷では合格となる。
【0005】
溶接部全長にわたり溶接強度を連続的に検査する方法として、特開平9−264825号公報に開示されている溶接H形鋼の溶接強度検査方法および装置がある。この発明は、I形姿勢またはH形姿勢で通材中の溶接H形鋼のフランジ内面にそれぞれ水平ロール(I形姿勢の場合)を設け、上下一対の水平ロールを油圧シリンダ等のアクチュエータで拡開させ、上下の平行フランジを押し広げ、溶接不良部を破断させ、この破断部を目視検査や超音波探傷で検出するものである。H形姿勢の場合は、縦ロールが用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の特開平9−264825号の溶接強度検査方法および装置の場合、溶接不良部を溶接H形鋼の全長にわたり連続的にオンラインで検出することができるものの、次に示すような課題がある。
【0007】
(1) 溶接H形鋼の上下の平行フランジ間に、上下一対の水平ロール(ロール回転軸が水平)のほぼ全体を挿入する構造であるため(I形姿勢の場合)、ウェブ高さの小さいH形鋼(例えば150mm以下)に対しては、通常の径のロールを挿入することができない、あるいは、挿入できるようにロール径を小さくすると、ロールの剛性不足が発生するため、全製品への対応が困難となる。H形姿勢の場合も同じである。
【0008】
(2) ロールをフランジ内面に押し付けるため、フランジ厚の薄い製品(例えば2.3mm以下)については、フランジの変形が発生し、ウェブとフランジの溶接部に十分な荷重を加えることができない。
【0009】
(3) 上下一対の水平ロールを1台の油圧シリンダ等で拡開させる構造であるため、上下の溶接部の相対強度検査となり(I形姿勢の場合)、上下の溶接部の個々の強度検査ができず、破壊しない側の強度保証が不明となる。H形姿勢の場合も同じである。
【0010】
(4) ロールでフランジに曲げが加わる構造のため、破壊が連続した場合、フランジの平坦度が変化し、製品の形状に与える影響が大きくなり、また、破壊後に超音波探傷する際、探触子との距離が変化し、誤検出する恐れがある。
【0011】
本発明は、前述のような課題を解決すべくなされたもので、溶接形鋼の溶接部の強度を全長にわたって連続して確実に検査することができると共に、ウェブ高さやフランジ厚に関係なく、全サイズにわたって適用することができ、また、一対の溶接部の強度を別々に確実に検査することができ、さらに、フランジを変形させることなく溶接部の強度を検査することのできる溶接形鋼の溶接欠陥検出方法および装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、フランジ材とウェブ材を溶接(高周波抵抗溶接など)で接合して製造される溶接形鋼(溶接H形鋼など)の溶接欠陥を検出する方法であり、通材中の溶接形鋼のウェブにウェブ側面に対して垂直な方向のせん断力を加えることにより、ウェブとフランジの溶接部の欠陥を連続して検出することを特徴とする溶接形鋼の溶接欠陥検出方法である。
【0013】
この請求項1は、溶接形鋼製造ラインの溶接機の後段におけるオンライン、あるいは溶接形鋼製造ラインのオフライン等において、ロールやその他の押圧手段を用いて、溶接形鋼のウェブにせん断力を付与し、局部的な溶接欠陥部を破壊し、せん断により溶接部に僅かな隙間を作ることにより、溶接不良部を検出するものである。また、ウェブに付与するせん断力は、外観品質を必要とする場合などには製品ウェブの降伏応力値を超えない値とするのが好ましく、また、ウェブの板厚(溶着幅)や材質(強度)等に応じて変化させる。
【0014】
本発明の請求項2は、請求項1に記載の溶接欠陥検出方法において、ウェブ側面に外周面が当接し、かつ、通材方向に沿って自転するロールにより、フランジに近接した位置でウェブにせん断力を加えることを特徴とする溶接形鋼の溶接欠陥検出方法である。
【0015】
即ち、溶接姿勢がI形姿勢の場合は、回転軸が鉛直の縦ロールで、かつ、水平方向に偏平な形状のロールを使用する。溶接姿勢がH形姿勢の場合は、回転軸が水平な水平ロールで、鉛直方向に偏平な形状のロールを使用する。いずれの場合も、偏平ロールの半径は、製造すべき溶接形鋼の最大フランジ幅の1/2よりも十分大きくする。また、ロールをフランジ近接位置に配置することにより、フランジ内面とロールとの間の隙間を小さくし、ウェブに変形が発生しないようにする。
【0016】
本発明の請求項3は、請求項1または請求項2に記載の溶接欠陥検出方法において、せん断力により生じた溶接部の隙間の有無を超音波探傷器で検出することにより、溶接健全部と溶接不良部の識別を行うことを特徴とする溶接形鋼の溶接欠陥検出方法である。
【0017】
即ち、溶接部の破壊による隙間を目視検査で検出することも可能であるが、せん断力付与ロール等の後段に超音波探傷装置を設置し、溶接形鋼の全長にわたりオンラインで連続的に自動検出するのが望ましい。
【0018】
本発明の請求項4は、フランジ材とウェブ材を溶接(高周波抵抗溶接など)で接合して製造される溶接形鋼(溶接H形鋼など)の溶接欠陥を検出する装置であり、ウェブ側面に外周面が当接し、かつ、通材方向に沿って自転する受けロールと押込みロールを備え、前記受けロールは、通材中の溶接形鋼のウェブを挟んで一方の側方に通材方向に間隔をおいて一対で配設され、フランジに近接した位置でウェブの通材直角方向の移動を拘束するように構成され、前記押込みロールは、他方の側方に前記一対の受けロールの中間位置に配置され、フランジに近接した位置でウェブ側面に対して押圧移動するように構成されていることを特徴とする溶接形鋼の溶接欠陥検出装置である。
【0019】
即ち、例えば、2個の受けロールと1個の押込みロールを平面視でウェブを挟んで千鳥配置し、定置の受けロールに対して可動の押込みロールを油圧シリンダ等の押圧駆動装置により押し込む。油圧シリンダ等の荷重を制御することで、ウェブの板厚(溶着幅)や材質(強度)等に応じてせん断力を変化させる。このような受けロールと押込みロールを、勝手違いとなるように(せん断力付与方向が互いに逆方向となるように)連続配置することもできる。また、溶接H形鋼の場合には、受けロールと押込みロールを平行フランジに近接させて一対で配置し、一対の押込みロールは別々の油圧シリンダ等で押圧移動させ、一対の溶接部に対して別々に溶接強度検査ができるようにする。
【0020】
本発明の請求項5は、請求項4に記載の溶接欠陥検出装置において、受けロールと押込みロールの入側と出側にそれぞれ、通材中の溶接形鋼を上下および左右から挟み通材直角方向の移動を拘束する一対の上下押えローラと一対の左右押えローラが設けられていることを特徴とする溶接形鋼の溶接欠陥検出装置である。
【0021】
即ち、受けロールと押込みロールの入側と出側において、溶接形鋼をガイドし、溶接形鋼の上下と左右の変動を防止し、ウェブ側面におけるフランジ近傍の適正な位置において適正なせん断力が付与されるようにする。
【0022】
また、溶接部の破壊による隙間を溶接形鋼の全長にわたりオンラインで連続的に自動検出する場合には、以上のようなロールとローラによる溶接全長強度検査装置の後段に超音波探傷装置を設置する。
【0023】
以上のような構成において、通材中の溶接形鋼のウェブにロール等による所定のせん断力がフランジ近傍において加えられ、溶接欠陥のある溶接部の場合には、局部的な溶接欠陥部が破壊し、せん断により溶接部に僅かな隙間が形成され、これを超音波探傷器などで検出することにより、溶接不良部と識別される。溶接欠陥の無い溶接部の場合、溶接部に隙間が形成されることがなく、溶接健全部と識別される。せん断力がウェブの降伏応力より小さい場合にはウェブが弾性変形するだけで、品質に影響はない。
【0024】
従来のJISに準拠した溶接部引張試験では、抜き取り検査のため、溶接部全長の保証がなく、超音波探傷方法によるものでは、冷接等の溶接欠陥を検出できず、強度保証ができないのに対し、本発明では、▲1▼溶接形鋼の製造ラインやオフラインにロール等を組み込んでウェブにせん断力を加え、局部的な溶接欠陥部の破壊による隙間を検出することにより、溶接欠陥を連続的に検出するため、溶接形鋼の溶接強度を全長にわたって連続して確実に検査することができる。
【0025】
従来のロールで平行フランジを押し広げる方法では、溶接形鋼の平行フランジ間にロール全体を挿入する構造であるため、ウェブ高さの小さい形鋼では、通常の径のロールを挿入することができない、あるいは、挿入できるようにロール径を小さくすると、ロールの剛性不足が発生するため、全製品への対応が困難となるのに対し、本発明では、▲2▼ウェブの溶接部近傍にフランジと平行にせん断力を加えるため、ウェブ高さの小さい形鋼でも、ロール等のせん断力付与手段を配置することができ、ウェブ高さに関係なく、全サイズに適用が可能となる。
【0026】
また、従来のロールで平行フランジを押し広げる方法では、ロールをフランジ内面に押し付けるため、フランジ厚の薄い製品については、フランジの変形が発生し、ウェブとフランジの溶接部に十分な荷重を加えることができないのに対し、本発明では、▲3▼ウェブにせん断力を加えるため、フランジ厚が薄い場合でも十分な荷重により溶接強度を確実に検査することができ、フランジ厚に関係なく、全サイズに適用が可能となる。
【0027】
また、従来のロールで平行フランジを押し広げる方法では(以下、I形姿勢の場合)、上下の水平ロールを1台の油圧シリンダ等で拡開させる構造であるため、上下の溶接部の相対強度検査となり、上下の溶接部の個々の強度検査ができず、破壊しない側の強度保証が不明となるのに対し、本発明では、▲4▼ロール等をフランジと平行に押込み移動させればよいため、上下でロール等を別々の油圧シリンダ等で押圧移動させることができ、上下の溶接部を別々に検査することが可能となり、上下の溶接部の強度を確実に検査することができる。
【0028】
さらに、従来のロールで平行フランジを押し広げる方法では、ロールでフランジに曲げが加わる構造のため、破壊が連続した場合、フランジの平坦度が変化し、製品の形状に与える影響が大きくなり、また、破壊後に超音波探傷する際、探触子との距離が変化し、誤検出する恐れがあるのに対し、本発明では、▲5▼ウェブにせん断力を加えるため、溶接欠陥部が破壊してもフランジが変形することがなく、製品への形状影響(フランジ変形やウェブ高さ変化)が少なく、また、破壊後の超音波探傷で誤検出する恐れがなく、溶接不良部を確実に検出することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。この実施形態は、溶接H形鋼の高周波抵抗溶接による製造ラインにおいて溶接欠陥を連続的にオンライン検出する例である。また、溶接H形鋼がI形姿勢で製造される場合を示している。
【0030】
図1は、溶接H形鋼の製造ラインの概略側面図であり、図示しないアンコイラーからの上下2枚のフランジ材Fとウェブ材Wが高周波抵抗溶接機2によりI形に接合され、製造されたI形姿勢の溶接H形鋼1が、図示しない矯正機で矯正された後、図示しない切断機により所定長さに切断される。このような製造ラインにおいて、溶接機2の後段に本発明に係る溶接全長強度検査装置3と超音波探傷装置4を設置する。
【0031】
図2は、溶接全長強度検査装置3の1例を示す平面図と側面図であり、溶接H形鋼1のウェブ1Wに上下一対のフランジ1F,1Fの近傍においてウェブ側面に対して垂直な方向のせん断力Pを加える上下一対の押込みロール10および上下一対で2組の受けロール11と、これらロールの入側と出側にそれぞれ配設された左右一対の上下押えローラ12および上下一対の左右押えローラ13から構成されている。
【0032】
押込みロール10および受けロール11は、鉛直の回転軸を中心として回転自在な縦ロールであり、また無駆動で水平方向に偏平な形状のロールであり、ウェブ1Wを挟んで片側(ワークサイド)に上下一対の押込みロール10が配設され、他側(ドライブサイド)に2組の受けロール11が通材方向に所定の間隔をおいて配設されている。図2(a) の平面視で、2組の受けロール11,11の中央位置に押込みロール10が位置するようにされ、3個のロール10,11,11がウェブ1Wを挟んで千鳥配置となる。
【0033】
また、受けロール11は水平位置調整装置(後述)により水平移動して水平位置調整可能な定置のロールであり、押込みロール10は押圧駆動装置(後述)により水平移動してウェブ1Wに荷重を与えることのできるロールであり、平面視で、固定した2個の受けロール11,11に対して中央の押込みロール10を押し込むことで、ウェブ1Wに所定のせん断力Pを付与することができる。押込みロール10の押圧駆動装置は、上下で別々に設けられており、上下で個々にせん断力を加え、別々に溶接強度検査ができるようにされている。
【0034】
平面視で千鳥配置の3個のロール10,11,11のロール間隔は、ウェブ1Wに曲げ変形を与えることなく溶接部Aにせん断力が加わるように、極力狭い方が良い。また、ロール10,11の径は、ウェブ1Wの側面にロール疵が発生しないように、極力大きい方が良い。例えば、ロール径を320mm、ロール間隔を250mmとする。
【0035】
また、図2(b) に示すように、上下の押込みロール10および受けロール11はそれぞれ、同じ高さ位置でフランジ1Fに近接するように配置する。例えば、フランジ内面とロールとの間の隙間を2〜3mmとし、ウェブ1Wに変形が発生しないようにする。さらに、押込みロール10および受けロール11にそれぞれ上下位置調整装置(後述)を設け、製造する溶接H形鋼のウェブ高さが変わった場合にも対応できるようにし、また、ロールとフランジ1Fの隙間を任意に設定できるようにしている。
【0036】
上下一対の上下押えローラ12は、その外周面がフランジ1Fの外面に当接するように、図示しない装置により上下位置調整可能に設置され、溶接H形鋼1の高さ変動を防止して、ロール10,11によるせん断力がフランジ1Fに近接した一定の高さ位置に加わるようにするためのものである。
【0037】
左右一対の左右押えローラ13は、その外周面が上下フランジ1Fの端面に当接するように、図示しない装置により水平位置調整可能に設置され、溶接H形鋼1の横方向の変動(曲がり)や倒れを防止して、ロール10,11によるせん断力が適正に、かつ、垂直に加わるようにするためのものである。
【0038】
図3は、溶接全長強度検査装置3の具体例を示す押込みロール位置の断面図であり、押込みロール10および受けロール11は、偏平な形状の縦ロールとされ、ウェブ高さが小さい場合にも、上下フランジ間に上下一対のロールを挿入できるようにされ、また、製造すべき溶接H形鋼1の最大フランジ幅の1/2よりも大きい半径とされ、鉛直の回転軸10a,11aの取付部分が、通過する溶接H形鋼1に当たらないようにされている。
【0039】
上下一対の押込みロール10,10は、それぞれ片持ち梁20の先端に取り付けられ、この片持ち梁20の基端が上下位置調整装置21に取付けられ、この上下一対の上下位置調整装置21,21により上下別々に上下移動し、ウェブ高さが変わっても対応することができ、また、ロールとフランジ1Fの隙間を任意に設定することができる。さらに、正面視でコ字状の支持架台23に配置した上下一対の両ロッド形の油圧シリンダ(押圧駆動装置)22,22により、上下の押込みロール10,10が上下別々にウェブ1Wに対して垂直に押し込まれる。
【0040】
上下位置調整装置21は、例えばモータ・スクリューロッド方式であり、装置本体21aと、昇降用モータ21bと、このモータにより回転駆動されるスクリューロッド21cと、スクリューロッドが螺入するナット部材としてのスライダー21dからなり、モータ21bを正逆回転させることによりスライダー21dが装置本体21aのガイドを案内として上下移動する。このスライダー21dに片持ち梁20の基端が固定される。
【0041】
両ロッド形の油圧シリンダ22は、シリンダ本体が支持架台23の鉛直部分に固定され、一方のピストンロッド22aの先端に設けた押圧部材24を上下位置調整装置21の装置本体21aに接続し、装置本体21aを進退移動できるようにする。この装置本体21aは、支持架台23の水平部分に設けたガイド25により水平移動自在に案内支持し、上下に分離した装置本体21a,21aがそれぞれ個別の油圧シリンダ22で別々に押圧移動される。
【0042】
他方のピストンロッド22bの先端には、ストッパー26と、押込み量を検出する検出センサー27を設けて、溶接欠陥部の破壊に対応する最大押込み量(せん断によりウェブが押された距離)を規定し、過剰な押込みを防止する。これにより、ウェブ1Wが大きく湾曲変形するのが防止され、後段の矯正機や切断機への突っ掛けを防止することができる。また、最大押込み量を検出センサー27で検出し、溶接部破壊の警報を出力することもできる。ウェブ1Wの板厚が変わった場合には、調整板28により最大押込み量を補正することができる。
【0043】
上下一対の受けロール11,11も、それぞれ片持ち梁20の先端に取り付けられ、この片持ち梁20の基端が上下位置調整装置21に取付けられ、この上下一対の上下位置調整装置21,21により上下別々に上下移動し、ウェブ高さが変わっても対応することができ、また、ロールとフランジ1Fの隙間を任意に設定することができる。上下位置調整装置21は、押込みロール10と同様の構成であるが、装置本体21aは、上下に分離させる必要は無く、一体のものを使用する。
【0044】
この受けロール11の上下位置調整装置21は、水平位置調整装置30により水平移動可能に設置し、退避位置からセット位置に水平移動でき、また、ウェブ1Wの板厚が変わった場合にも、一対の受けロール11,11の水平位置を調整できるようにする。この水平位置調整装置30も、装置本体30aと、モータ30bと、スクリューロッド30cと、スライダー30dから構成することができる。装置本体30aを基礎40上に設置し、スライダー30dに上下位置調整装置21の装置本体21aの下部を固定する。
【0045】
以上のような溶接全長強度検査装置3において、
(1) 予め、製造すべき溶接H形鋼1のウェブ高さに応じて、また、フランジ1Fとの隙間が所定の値となるように、押込みロール10および受けロール11の高さ位置を調整し、また、受けロール11を水平移動させ、ウェブ厚に応じた水平位置にセットしておく。
【0046】
(2) 固定の受けロール11に対して押込みロール10を油圧シリンダ22で押込み、特別の場合を除き製品のウェブ強度の降伏応力値を超えないせん断力Pを加えながら、ロール10,11間を溶接H形鋼1を通過させる。押込みに油圧シリンダを用いた場合、油圧シリンダの荷重を制御することで、ウェブの板厚(溶着幅)や材質(強度)等に応じてせん断力を容易に変化させることができる。
【0047】
(3) ウェブとフランジの溶接部Aに溶接欠陥がある場合、せん断力Pにより局部的な溶接欠陥部が破壊し、せん断により溶接部Aに僅かな隙間が形成される。これを出側に配置した超音波探傷器により検出し、溶接不良部と識別する。
【0048】
(4) 溶接欠陥のない溶接部Aの場合には、溶接部Aに隙間が形成されることがなく、溶接健全部と識別される。せん断力Pがウェブの降伏応力より小さい場合にはウェブ1Wが弾性変形するだけで、品質に影響はない。
【0049】
H200×100×3.2×4.5(ウェブ高さ×フランジ幅×ウェブ厚×フランジ厚)のサイズにおいて、溶接部の強度の低い製品を作成し、JISのI形引張試験の荷重と、本発明のウェブに対し垂直に押し破壊する荷重を比較した結果、破壊に至る荷重は、ほぼ同等の荷重であった。また、ウェブの降伏応力までの荷重の場合、製品形状への変化はなかったが、降伏応力を超えると、ロール疵がウェブに発生した。従って、外観品質を必要とする製品については、降伏応力以下の荷重での検査が必要である。
【0050】
また、以上は、押込みロール10と受けロール11を平面視で3個千鳥配置した例であるが、これに限らず、押込みロール10が勝手違いとなるようにしたものを連続配置してもよい。この場合、溶接部のせん断しやすい方向から破断するため、更に検出精度は向上する。
【0051】
なお、以上の実施形態は、溶接姿勢がI形姿勢の場合について説明したが、H型姿勢の場合にも本発明を適用することができることは言うまでもない。この場合、押込みロール10、受けロール11を回転軸が水平で鉛直方向に偏平な水平ロールとすればよい。また、溶接形鋼製造ラインのオンラインに限らず、オフラインでもよい。さらに、溶接H形鋼に限らず、その他の溶接形鋼にも適用することができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果を奏する。
(1) 溶接形鋼の製造ラインやオフラインにロール等を組み込んでウェブにせん断力を加え、局部的な溶接欠陥部の破壊による隙間を検出することにより、溶接欠陥を連続的に検出するため、溶接形鋼の溶接強度を全長にわたって確実に検査することができる。これにより、局部的な溶接欠陥のある溶接形鋼が流出するのが防止されると共に、溶接欠陥発生時の早期調整により大量不良発生の防止が図られ、歩留ロスが低減される。
【0053】
(2) ウェブの溶接部近傍にフランジと平行にせん断力を加えるため、ウェブ高さの小さい形鋼でも、ロール等のせん断力付与手段を配置することができ、ウェブ高さに関係なく、全サイズに適用が可能となる。
【0054】
(3) ウェブにせん断力を加えるため、フランジ厚が薄い場合でも溶接強度を確実に検査することができ、フランジ厚に関係なく、全サイズに適用が可能となる。
【0055】
(4) ロール等をフランジと平行に押込み移動させればよいため、上下でロール等を別々の油圧シリンダ等で押圧移動させることができ、上下の溶接部を別々に検査することが可能となり、上下の溶接部の強度を確実に検査することができる。
【0056】
(5) ウェブにせん断力を加えるため、溶接欠陥部が破壊してもフランジが変形することがなく、製品への形状影響(フランジ変形やウェブ高さ変化)が少なく、また、破壊後の超音波探傷で誤検出する恐れがなく、溶接不良部を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接欠陥検出方法が適用される溶接H形鋼の製造ラインの例を示す概略側面図である。
【図2】本発明の溶接全長強度検査装置の1例を示したものであり、(a) は平面図、(b) は側面図である。
【図3】本発明の溶接全長強度検査装置の具体例を示す断面図である。
【符号の説明】
A……溶接部
1……溶接H形鋼
1W…ウェブ
1F…フランジ
2……高周波抵抗溶接機
3……溶接全長強度検査装置
4……超音波探傷装置
10……押込みロール
10a…鉛直の回転軸
11……受けロール
11a…鉛直の回転軸
12……上下押えローラ
13……左右押えローラ
20……片持ち梁
21……上下位置調整装置
21a…装置本体
21b…昇降用モータ
21c…スクリューロッド
21d…スライダー
22……両ロッド形の油圧シリンダ(押圧駆動装置)
22a…ピストンロッド
22b…ピストンロッド
23……支持架台
24……押圧部材
25……ガイド
26……ストッパー
27……検出センサー
28……調整板
30……水平位置調整装置
30a…装置本体
30b…モータ
30c…スクリューロッド
30d…スライダー
40……基礎

Claims (5)

  1. フランジ材とウェブ材を溶接で接合して製造される溶接形鋼の溶接欠陥を検出する方法であり、通材中の溶接形鋼のウェブにウェブ側面に対して垂直な方向のせん断力を加えることにより、ウェブとフランジの溶接部の欠陥を連続して検出することを特徴とする溶接形鋼の溶接欠陥検出方法。
  2. 請求項1に記載の溶接欠陥検出方法において、ウェブ側面に外周面が当接し、かつ、通材方向に沿って自転するロールにより、フランジに近接した位置でウェブにせん断力を加えることを特徴とする溶接形鋼の溶接欠陥検出方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の溶接欠陥検出方法において、せん断力により生じた溶接部の隙間の有無を超音波探傷器で検出することにより、溶接健全部と溶接不良部の識別を行うことを特徴とする溶接形鋼の溶接欠陥検出方法。
  4. フランジ材とウェブ材を溶接で接合して製造される溶接形鋼の溶接欠陥を検出する装置であり、ウェブ側面に外周面が当接し、かつ、通材方向に沿って自転する受けロールと押込みロールを備え、前記受けロールは、通材中の溶接形鋼のウェブを挟んで一方の側方に通材方向に間隔をおいて一対で配設され、フランジに近接した位置でウェブの通材直角方向の移動を拘束するように構成され、前記押込みロールは、他方の側方に前記一対の受けロールの中間位置に配置され、フランジに近接した位置でウェブ側面に対して押圧移動するように構成されていることを特徴とする溶接形鋼の溶接欠陥検出装置。
  5. 請求項4に記載の溶接欠陥検出装置において、受けロールと押込みロールの入側と出側にそれぞれ、通材中の溶接形鋼を上下および左右から挟み通材直角方向の移動を拘束する一対の上下押えローラと一対の左右押えローラが設けられていることを特徴とする溶接形鋼の溶接欠陥検出装置。
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