JP3772001B2 - エスカレータの踏み段 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エスカレータの踏み段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のエスカレータの踏み段としては、例えば特開平3−284594号公報に開示された図14に示すものがある。図はエスカレータの全体構成を示す側面図、図10は踏み段部分の側面図、図12は踏み段部分の正面図である。図12、図13は連結された踏み段の間の噛み合わせ状態を示す部分拡大図である。図において、1はエスカレータ、2は乗客が乗る踏み段、3は複数の踏み段2を無端状に連結し、傾斜部では階段状に整列させる連結機構、4は連結された踏み段2を循環移動させる駆動機構、5aは下部乗降部、5bは上部乗降部、6は複数の踏み段2の移動を案内する案内レール、7は連結された踏み段2を階段状に整列させる追従レールである。
【0003】
踏み段2の部分は図10の側面図、図11の正面図に示す通りであり、図10、図11において、12は踏み板であり、上面に進行方向に平行な多数の凹凸が設けられ、凸部は踏み板クリート12a、凹部は踏み板グルーブ12bと呼称する。13は踏み段2の後部に取り付けられたライザーであり、踏み板12と同様に、多数のライザークリート13a、ライザーグルーブ13bが設けられている。踏み板クリート12aの前端部12cは、長さLの切り込みが入れてあり、無端状に連結された踏み段2の合わせ目は、図12、図13に示すように、踏み板クリート12aの前端部12cが、上段側踏み段のライザーグルーブ13bに水平方向の水平噛み合わせ代αで噛み合わされており、階段状に整列して走行する図のA部の走行時には、図12のように水平噛み合わせ代αは多く、踏み段2の段差がなくなる下部乗降部5a、上部乗降部5b付近では図13に示すように水平噛み合わせ代αは少なくなるように構成されている。14は踏み板12、ライザー13を一体に組み付け踏み段2を形成するブラケット、15は踏み段の移動位置を案内するステップ軸、16はステップ軸15の両側に取り付けられて踏み段2を案内する駆動ローラ、17はライザー13の下方のブラケット14の外側に取り付けられ、移動中の踏み板12を水平状態に維持する追従ローラである。
【0004】
エスカレータは、踏み段2がチェーンまたはリンク等の連結機構3により無端状に連結され、駆動ローラ16が上記駆動レール6に、追従ローラ17が追従レール7にそれぞれ係合し、踏み段2はステップ軸15を中心に回動自在であり、図に示す通り、傾斜部Aでは踏み段が階段状に、下部乗降部5aおよび上部乗降部5bのC、Cの部分では踏み板12が水平方向に並び、下部の曲部のB部および上部の曲部のB部では踏み段の段差が変化しながら走行し、複数の踏み段2の踏み板12は下部乗降部、傾斜部、上部乗降部のどの部分においても水平状態を維持して移動するように構成されている。
【0005】
14は図の従来のエスカレータ1の踏み段2に乗客が搭乗し、踏み段2が曲部を走行するときの状況を示すものである。踏み段2のライザーグルーブ13bの底部の形状は、図14に示すように、踏み板クリート12aの前端部12cの上面のコーナー部O点を中心とし、隣接する踏み段の駆動ローラの回転中心間の距離から下段側踏み段の踏み板クリート12aの前端部12cと上段側踏み段のライザーグルーブ13bの底部との間の間隙gを差し引いた値の曲率半径の円弧状に形成されており、ライザークリート13aの頂面は、踏み板12aの前端部12cの上面のコーナー部O点とステップ軸15の中心A点を結ぶ線の中間のC点を中心とする円弧状に形成され、ライザークリート13aの高さは踏み板12側に近くなるほど低くなるように形成されている。
【0006】
このように形成されたエスカレータの踏み段は、例えば上昇方向に走行しているときの状態で説明すると、図の案内レール6のA部走行時には、図12に示すように、踏み段の踏み板クリート12aの前端部12cのライザークリート13aへの水平噛み合わせ代αが大きく、傾斜部を上昇して曲線部(B部)から上部乗降部(C部)になり、踏み段の段差が小さくなると、図13に示すように水平噛み合わせ代αが少なくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように構成された従来のエスカレータの踏み段は、案内レールの傾斜部を走行して曲部走行になったときに、踏み板クリートの前端部の先行踏み段のライザークリートへの水平噛み合わせ代αは、踏み段の段差が縮小するにしたがって少なくなる構成であり、例えば図14に示すように、乗客が踏み段に搭乗し、靴先が先行踏み段のライザー部分に押し付けられた状態になっているとき、踏み段が走行して、案内レールの上方の曲部にさしかかり、乗客が搭乗した搭乗踏み段と上段側踏み段の段差が縮小する際、靴先のライザー部分への押し付け力が大きいと、靴先とライザーとの摩擦力によって上段側踏み段のライザー側が持ち上げられ、踏み段間隔が拡大して噛み合わせ代が減少していくが、この際踏み段の間隔が拡大しやすく、生じた踏み段間の隙間に靴先が噛み込まれる危険性がある問題があった。
【0008】
この発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、踏み段に搭乗した乗客により、ライザー部分に靴先等の物体が押し付けられていても、踏み段の曲部走行時に物体が踏み段間の隙間に噛み込まれにくいエスカレータの踏み段を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係るエスカレータの踏み段は、ブラケットの上部に取り付けられ、上面に多数のクリートとグルーブが設けられた踏み板と、ブラケットの正面に取り付けられた多数のクリートとグルーブが設けられたライザーとを備え、複数の踏み段は、下段側踏み段の踏み板クリートの前端部が上段側踏み段のライザークリートに噛み合わされて無端状に連結され、各踏み段の段差が小さくなるときに、段差の縮小にしたがって水平噛み合わせ代が少なくなることなく増加するように、ライザークリートの頂面の形状を形成したものである。
【0010】
この発明の請求項2に係るエスカレータの踏み段は、請求項1の構成のライザークリート頂面の全体あるいは一部の形状は、踏み板クリートの前端部の上面コーナー部よりも上部に中心を持つ円弧であり、その曲率半径は、各踏み段の案内ローラの中心間距離に等しい半径としたものである。
【0011】
この発明の請求項3に係るエスカレータの踏み段は、請求項1の構成のライザークリート頂面の全体あるいは一部の形状は、踏み板クリートの前端部の上面コーナー部と同じ高さ、あるいはそれよりも上部に中心を持つ円弧であり、その曲率半径は、各踏み段の駆動ローラの中心間距離よりも小さい半径としたものである。
【0012】
この発明の請求項4に係るエスカレータの踏み段は、請求項1の構成のライザークリート頂面の全体あるいは一部の形状は、踏み板クリートの前端部の上面コーナー部と同じ高さ、あるいはそれよりも上部に中心を持つ円弧であり、その曲率半径は、各踏み段の駆動ローラの中心間距離よりも大きい半径としたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
実施の形態1は、エスカレータの踏み段の踏み板クリートの前端部のライザークリートへの水平噛み合わせ代が、踏み段の段差が縮小するにしたがって少なくなることなく増加するように構成したものである。エスカレータの全体構成は図に示したものと同一であり、踏み段の構成は図10、図11に示した構成とライザーグルーブ13aの高さ以外は同一である。図1は実施の形態1の踏み段の踏み板およびライザーの部分をモデル化して示したものであり、その他の構成は図10、図11と同一である。図1において、20aは下段側踏み段、20bは上段側踏み段とする。23はライザーであり、湾曲した凸面にライザークリート23aおよびライザーグルーブ23b(図示せず)を設けた構成であり、従来のものとはライザークリート23aの頂面の高さが踏み板に近づくほど高くなるよう形成したものである。隣接する踏み段20a、20bはライザーグルーブ23bの部分に上段側踏み段20aの踏み板クリート12aの前端部12cを噛み合わせた状態に連結されており、ライザークリート23aの頂面の形状は、案内レール(図の6)の上部曲部(図のB部)および下部の曲部(図のB部)の移動中は各踏み段20a、20bの段差が縮小するにしたがって水平噛み合わせ代αが少なくなることなく増加するように形成されている。
【0014】
このように構成されたエスカレータでは、踏み段が上部曲部(図のB部)上昇時に、例えば図14と同様に、搭乗した乗客の靴先がライザークリート23aに押し付けられた状態を想定した場合、乗客の靴先がライザークリート23aに押し付けられていることにより上段側踏み段20bが浮き上がる現象が生じることがあるが、図2はその状況を示すものである。踏み段20a、20bが上部曲部または下部曲部走行時には、踏み板12は水平状態を維持して段差を縮小しながら移動するが、上段側踏み段20bのライザークリート23aに下段側踏み段20aに搭乗した乗客の靴先などで押し付けられていると、踏み段20a、20bの間の段差縮小動作がロックされ、上段側踏み段20bは駆動ローラの軸心Aを中心として回転し、浮き上がる現象が生じる。
【0015】
下段側踏み段20aの踏み板クリート12aの前端部12cの上部コーナー部O′点(図示せず)と、O′点と同一高さの上段側踏み段20bのライザークリート23aの頂面上の点Bとの間隔を踏み段間隔p(Pが負のとき踏み板クリート前端部12cとライザークリート23aが噛み合っている)としO′点の位置と踏み段間隔pとの関係を簡略化したモデルを図3に示す。上段側踏み段20bの踏み板クリート12aの前端部12cの上面コーナー部を座標の原点Oとし、下段側踏み段20aの踏み板クリート12aの前端部12cの上面コーナー部O′点の移動軌跡上に任意の点Dをとり、その座標を(xd,y)とし、図の案内レールの上部曲部Bで上昇し、下段側踏み段20aと上段側踏み段20bの段差が小さくなり、下段側踏み段20bの前端部12cの上面コーナ部O点が上記点Dの位置にきたときに、靴先などの押し付けにより下段側踏み段20aと上段側踏み段20bの段差の縮小がロックされたとすると、点Dとy方向の座標値yが等しい上段側踏み段20bのライザークリート23a表面上の点B(座標値 xb,y)は駆動ローラ16の回転の中心A(座標値 a,b)を中心に点Dとy座標が一致するように回転移動し上昇する。このときの関係を式で表現すると(式1)(式2)(式3)のようになる。
【0016】
【数1】
Figure 0003772001
【0017】
(式1)(式2)の関係と、図3に示した関係から、xd<0、xb<aであることからxd、xbは(式4)(式5)のようになる。
【0018】
【数2】
Figure 0003772001
【0019】
よって(式3)(式4)(式5)の関係から踏み段間隙pは(式6)のようになる。
【0020】
【数3】
Figure 0003772001
【0021】
段差の縮小がロックされた後、上段側踏み段の上昇に伴う踏み段間隙pの変化を評価するためには、yの変化に対するpの変化、即ちpのyによる偏微分値に着目すればよい。pのyによる偏微分値をqとおいて(式6)をyで偏微分すると(式7)のようになる。
【0022】
【数4】
Figure 0003772001
【0023】
(式7)に(式5)の条件を代入すると(式8)のようになる。
【0024】
【数5】
Figure 0003772001
【0025】
実際のエスカレータでは、制止手段により踏み段の浮き上がり量が最大10mm程度に抑えられているため、踏み段が浮き上がり始めるときのyの変化に対する間隙pの変化の割合q(初期踏み段間隔拡張感度=初期噛み合わせ代減少感度)が重要となる。(式8)において、駆動ローラ16の回転の中心Aの座標値と点Dの回転半径Rdが定数であるとすれば、qの値を決めることによりyとxbの関係(点Bの軌跡)を求めることができる。(ただし、この場合点Bの軌跡は必ずしも円弧とはならない)したがって、(式8)の左辺をq(一定値)とおくことにより点Bの軌跡として初期水平噛み合わせ代αの減少感度qが一定となるライザークリート23aの表面の形状を求めることができる(式8)からyとxbの関係は(式9)となる。
【0026】
【数6】
Figure 0003772001
【0027】
図4は(式9)のa、b、Rdに現実的な定数を代入し、qが任意の値q0n(添え字nの数値が小さいものほど小さな値である)をとる場合の点B(xb,y)の軌跡、即ちライザークリート23bの表面形状を示したものである。図中、qの値が同一値となる曲線が各2本ずつ存在しており、極限値的にq=q06の曲線が十文字(一方は図示せず)に交わっている。そしてqの値はライザー23の上部(y座標がbより大きい領域)では、x座標が小さいほど小さく、ライザー23の下部(y座標bより小さい領域)では、x座標が大きいほど小さくなっている。したがって単純に踏み板クリート12aの前端部12cのライザークリート23aの上部への噛み合わせを深くするという観点からだけではなく、上段踏み段が浮き上がった場合の踏み段間隙pの広がりにくさの観点からもライザークリート23aの上端部での踏み板クリート12aの前端部12cとライザークリート23aの水平噛み合わせ代αを大きくとった方がよいことがわかる。さらに踏み段の段差が小さくなるほど噛み合わせが深くなるように構成すれば上段踏み段20bのライザークリート23aを押し付けた靴先を押し返すように作用するので搭乗者に注意を促すこともできる。
【0028】
図1では、水平噛み合わせ代αがライザーの下端から上端にわたり単調に増加する場合を示したが、部分的に噛み合わせ代αが変化しない領域がっても差し支えないことはいうまでもない。
【0029】
以上のように上段側踏み段20bのライザークリート23aへの下段側踏み段20aの踏み板クリート12aの前端部12cの水平噛み合わせ代αをライザーの上部へいくにしたがい少なくなることなく増加するようにすることにより、踏み段が傾斜部を上昇して曲部走行になったとき、例えば靴先がライザーに押し付けられていても、段差が縮小するにしたがってライザーが靴先を押し戻し、靴先が踏み段の隙間に噛み込まれにくくなる。また靴先の押し付け力が大きく上段側踏み段が浮き上がった場合でも踏み段間隔が従来に比べ広がりにくく、エスカレータの安全性が高くなる。
【0030】
実施の形態2.
実施の形態1では、上段側踏み段のライザークリートと搭乗踏み段の踏み板クリート前端部との噛み合わせ代αがライザーの上部へいくにしたがい少なくならないように構成したが、この実施の形態2では噛み合わせ代αがライザーの上部へいくにしたがい少なくならないようにする方法の一つとして、ライザークリートの頂面の形状を円弧とし、その曲率半径を、隣接する踏み段の駆動ローラの回転中心間の距離と等しくする場合の中心位置を決める方法を示すものである。図5にその構成を示す。
【0031】
図5において、踏み板12は図1と同一である。下段側踏み段を30a、上段側踏み段を30bとする。33はライザーであり、上記実施の形態1と同様に、凸部表面にライザークリート33aが設けられている。水平噛み合わせ代α、ライザークリート33aと噛み合わされた下段側踏み段30aの踏み板クリート12aの前端部12cの上面コーナー部O′点が移動する軌跡半径をRdとし、ライザークリート33aの頂面の曲率半径をRfとし、Rf=Rdの場合のRfの中心点Eの条件を求める。
【0032】
図6は図5の踏み板12、ライザー33の位置関係を示す図である。下段側踏み段30aの踏み板クリート12aの前端部12cの上面コーナー部O′点の移動軌跡半径Rdの中心位置は原点Oであり、ライザークリート33aの頂部形状は点E(c,d)を中心とする曲率半径Rfの円弧であり、ライザークリート33aと噛み合わされた踏み板クリート12aの前端部12cの上面コーナー部O′点が任意の位置にある場合の点を点D(xd,y)、点Dと高さ位置が等しいライザークリート33aの頂面上の点を点Fとし、その座標位置を(xf,y)とすると、それぞれの点は(式10)、(式11)を満足する。この(式10)、(式11)から、踏み板クリート12aの前端部12cの高さ(y)におけるライザークリート33aの頂面と踏み板クリート12aの前端部12cの上面コーナー部の高さyにおける間の水平噛み合わせ代αは(式12)のようになる。
【0033】
【数7】
Figure 0003772001
【0034】
隣接する踏み段30a、30bの段差が小さくなる場合の水平噛み合わせ代αの大きさの評価をするためには踏み板クリート12aの前端部12cの上面コーナー部の高さyの変化に対するαの変化に着目すればよい。αのyに対する変化は(式12)をyで偏微分することにより求められる。(式12)をyで偏微分した結果を(式13)に示す。
【0035】
【数8】
Figure 0003772001
【0036】
(式13)の結果をsと置くと、ライザークリート33aの表面と踏み板クリート12aの前端部12cの間の水平噛み合わせ代αが隣接する踏み段30a、30bの段差が小さくなるにしたがって大きくなる(部分的に変化しない場合も含む)条件は、s≧0の条件を満たすことであり、(式12)よりs≧0となる条件を求めると(式14)の通りとなる。
【0037】
【数9】
Figure 0003772001
【0038】
Rf=kRdと置くと(式14)の解は、y≦0であることから、現実的な解として(式15)が得られる。
【0039】
【数10】
Figure 0003772001
【0040】
(式15)の条件を満足するようにライザークリート33aの表面形状を表す円弧の中心点を配置すると、すべてのyの範囲(踏み段の段差が変化する範囲)で(式15)を満足するライザークリート33aの表面形状が得られる。即ち、Rd=Rfとする場合は、ライザークリート33aの頂面の形状を決める曲率半径Rfの中心位置を、踏み板クリート12aの前端部12cの上面コーナ部の位置よりも上部に配置することにより、踏み板クリート12aの前端部12cとライザークリート33aとの水平噛み合わせ代αが下段側踏み段30aと上段側踏み段30bの段差が縮小するにしたがって少なくならないように形成することができる。
【0041】
なお、図5に示す実施の形態では、ライザークリートの頂面形状をライザーの高さ方向の全範囲にわたり円弧で形成する場合を示したが、これは部分的なものであっても差し支えない。
【0042】
このように構成すれば、実施の形態1で示したように、踏み段が傾斜部を上昇して曲部走行になったとき、例えば靴先がライザーに押し付けられていても、段差が縮小するにしたがってライザーが靴先を押し戻し、靴先が踏み段間の隙間に噛み込まれにくくなる。また、靴先の押し付け力が大きく上段側踏み段が浮き上がった場合でも踏み段間隔が従来に比べて広がりにくく、エスカレータの安全性が高くなる。
【0043】
実施の形態3.
実施の形態2では、隣接する踏み段の駆動ローラの回転中心間の距離に等しい場合のライザークリート表面の曲率半径の中心位置の決め方を示したものであったが、実施の形態3では、ライザークリート頂面の曲率半径が、隣接する踏み板クリートの駆動ローラの回転中心間の距離よりも小さい場合のライザークリート表面の曲率半径の中心位置の決め方を示すものである。図7に実施の形態3の踏み段の踏み板およびライザー部分をモデル化して示した側面図を示す。図において、踏み板12、踏み板クリート12a、踏み板グルーブ12b(図示せず)は実施の形態2と同一である。40aは下段側踏み段、40bは上段側踏み段、43はライザーであり、実施の形態2とはライザークリート43aの頂面の曲率半径、曲率半径の中心位置が異なるのみであり、その他の構成は実施の形態2と同様である。ただし、実施の形態3は、ライザークリート頂面形状の曲率半径の中心が踏み板クリート前端部の上面コーナー部と同じ高さに位置する場合も含む。
【0044】
上記に示した(式15)で求めると、Rf<Rdの場合、即ち0<k<1である場合に、y=0のときにdの取り得る範囲が最も小さくなり、d≧0の範囲となる。したがって、ライザークリート43aの頂面形状の曲率半径の中心点Eの位置は踏み板クリート12aの前端部12cの上面コーナー部と同じ高さ、あるいはそれよりも上方に配置すればよい。
【0045】
なお、図7に示す実施の形態ではライザーの頂面形状を高さ方向の全範囲にわたり円弧で形成した場合を示したが、部分的に円弧とし、ライザークリートの高さが上方になるにしたがって大きくなるように構成してあれば同様の効果は得られる。
【0046】
この構成においては実施の形態2の場合よりも踏み板クリート前端部の水平噛み合わせ代αは上部に行くほど大きくなる度合いを大きく設定できるものであり、実施の形態1と同様に、踏み段が傾斜部を上昇して曲部走行になったとき、例えば靴先がライザーを押し付けられていても、段差が縮小するにしたがってライザーが靴先を押し戻し、靴先が踏み段間の隙間に噛み込まれにくくなる。また靴先の押し付け力が大きく、上段側踏み段が浮き上がった場合でも踏み段間隔が従来に比べて広がりにくく、エスカレータの安全性が高くなる。
【0047】
実施の形態4.
実施の形態4は、ライザーのクリートの頂面の曲率半径が、隣接する踏み板の駆動ローラの回転の中心間の距離よりも大きい場合の中心位置の決め方を示すものである。実施の形態4の踏み段の踏み板、ライザー部分のみを示した側面図を図8に示す。図において、踏み板12、踏み板クリート12a、踏み板グルーブ12bは実施の形態2、実施の形態3と同一である。50aは下段側踏み段、50bは上段側踏み段、53はライザーであり、実施の形態2とはライザークリート53aの頂面の曲率半径が異なるのみである。上記実施の形態2で示した(式15)では、Rf>Rdの場合、即ちk>1である場合には、yがライザーの下端位置となるyminのときにdの取り得る範囲が最も小さくなり、d≧(1−k)ymin>0となる。したがって、ライザークリート53aの頂面形状の曲率半径の中心Eを厳密にはd>(1−k)yminを満足するように設定すべきであるが、実際のエスカレータの踏み段ではkが1に近い値であることから、実施の形態4では上記ライザークリート53aの頂面形状が踏み板クリート前端部12cの上面コーナー部よりも上方(d>0)に中心を持つ円弧であり、かつ、その円弧の半径が隣接する踏み板の駆動ローラの回転中心間の距離よりも大きくなるように構成したものとしている。
【0048】
なお、図8に示す実施の形態では、ライザーの頂面形状を高さ方向の全範囲にわたり円弧で形成した場合を示したが、部分的に円弧とし、ライザークリートの高さが上方になるにしたがって大きくなるように構成してあれば同様の効果は得られる。
【0049】
上記実施の形態1〜3と同様に、踏み段が傾斜部を上昇して曲部走行になったとき、例えば靴先がライザーに押し付けられていても、段差が縮小するにしたがってライザーが靴先を押し戻し靴先が踏み段の隙間に噛み込まれにくくなる。また靴先の押し付け力が大きく上段側踏み段が浮き上がった場合でも踏み段間隔が従来に比べてひろがりにくく、エスカレータの安全性が高くなる。
【0050】
【発明の効果】
この発明の請求項1に係るエスカレータの踏み段は、隣接する踏み段の踏み板クリート前端部とライザークリートとの水平噛み合せ代が踏み段間の段差が小さくなるにしたがい少なくなることなく増加するように構成したので、踏み段が曲部を走行しているとき靴先がライザーに押し付けられていても、段差が縮小するにしたがってライザーが靴先を押し戻し、靴先が踏み段間の隙間に噛み込まれにくくなる。また靴先の押し付け力が大きく上段側踏み段が浮き上がった場合でも踏み段間隔が従来に比べ広がりにくく、エスカレータの安全性が高くなる。
【0051】
この発明の請求項2に係るエスカレータの踏み段は、ライザークリートの頂面の一部または全体の形状を、踏み板クリート前端部の上面コーナー部よりも上方に中心を持つ円弧であり、かつその円弧の半径が隣接する踏み段の駆動ローラの軸心間の距離と等しくなるように構成したので、踏み段が曲部を走行しているとき靴先がライザーに押し付けられていても、段差が縮小するにしたがってライザーが靴先を押し戻し、靴先が踏み段間の隙間に噛み込まれにくくなる。また靴先の押し付け力が大きく、上段側踏み段が浮き上がった場合でも踏み段間隔が従来に比べ広がりにくく、エスカレータの安全性が高くなる。
【0052】
この発明の請求項3に係るエスカレータの踏み段は、ライザークリートの頂面の一部あるいは全体の形状を、踏み板クリート前端部の上面コーナー部と同じ高さ、あるいはそれよりも上方に中心を持つ円弧であり、かつその円弧半径が隣接する駆動ローラの軸心間の距離よりも小さくなるように構成したので、踏み段が曲部を走行しているとき靴先がライザーに押し付けられていても、段差が縮小するにしたがってライザーが靴先を押し戻し、靴先が踏み段間の隙間に噛み込まれにくくなる。また靴先の押し付け力が大きく上段側踏み段が浮き上がった場合でも踏み段間隔が従来に比べ広がりにくく、エスカレータの安全性が高くなる。
【0053】
この発明の請求項4に係るエスカレータの踏み段は、ライザークリートの頂面の一部または全体の形状を、踏み板クリート前端部の上面コーナー部よりも上方に中心を持つ円弧であり、その円弧の半径が隣接する踏み段の駆動ローラの軸心間の距離よりも大きくなるように構成したので、踏み段が曲部を走行しているとき靴先がライザーに押し付けられていても、段差が縮小するにしたがってライザーが靴先を押し戻し、靴先が踏み段間の隙間に噛み込まれにくくなる。また靴先の押し付け力が大きく上段側踏み段が浮き上がった場合でも踏み段間隔が従来に比べ広がりにくく、エスカレータの安全性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の踏み段をモデル化して示した構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の踏み段が持ち上げられたときの状態を説明する説明図である。
【図3】 図2の踏み段が持ち上げられたときの踏み段の間に生じる間隙を表現するモデル化した図である。
【図4】 初期噛み合わせ代の減少感度qが任意の値をとる場合の点Bの軌跡を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態2の踏み段をモデル化して示した構成図である。
【図6】 図5の踏み板クリート前端部の上面コーナー部の移動軌跡とライザークリートの頂部形状の位置関係を示すモデル図である。
【図7】 この発明の実施の形態3の踏み段をモデル化して示した構成図である。
【図8】 この発明の実施の形態4の踏み段をモデル化して示した構成図である。
【図9】 従来のエスカレータの全体構成を示す構成図である。
【図10】 従来のエスカレータの踏み段部分の構成を示す側面図である。
【図11】 従来のエスカレータの踏み段の正面図である。
【図12】 従来のエスカレータのライザー下方のライザークリートと踏み板クリート前端部の噛み合わせ状態を示す上面図である。
【図13】 従来のエスカレータのライザー上方のライザークリートと踏み板クリート前端部の噛み合わせ状態を示す上面図である。
【図14】 エスカレータの踏み段の動作、および靴先等の踏み段の間への靴先等の噛み込みメカニズムを説明する側面図である。
【符号の説明】
12 踏み板、12a 踏み板クリート、12b 踏み板グルーブ、
12c 踏み板クリート前端部、20a 下段側踏み段、20b 上段側踏み段、
23 ライザー、23a ライザークリート、23b ライザーグルーブ、
30a 下段側踏み段、30b 上段側踏み段、33 ライザー、
33a ライザークリート、33b ライザーグルーブ、40a 下段側踏み段、
40b 上段側踏み段、43 ライザー、43a ライザークリート、
43b ライザーグルーブ、50a 下段側踏み段、50b 上段側踏み段、
53 ライザー、53a ライザークリート、53b ライザーグルーブ。

Claims (4)

  1. ブラケットの上部に取り付けられた上面に多数のクリートとグルーブが設けられた踏み板と、ブラケットの正面に取り付けられた湾曲した凸面に多数のクリートとグルーブが設けられたライザーとを備えた複数の踏み段が、下段側踏み段の踏み板クリートの前端部が上段側踏み段のライザークリートに噛み合わされて無端状に連結され、各踏み段の段差が小さくなるときに、段差の縮小にしたがって噛み合わせ代が少なくなることなく増加するように、ライザークリートの頂面の形状が形成されていることを特徴とするエスカレータの踏み段。
  2. ライザークリート頂面の全体あるいは一部の形状は、踏み板のクリート前端部の上面コーナー部よりも上部に中心を持つ円弧であり、その曲率半径は、各踏み段の駆動ローラの中心間距離に等しい寸法としたことを特徴とする請求項1記載のエスカレータの踏み段。
  3. ライザークリート頂面の全体あるいは一部の形状は、踏み板のクリート前端部の上面コーナー部と同じ高さ、あるいはそれよりも上部に中心を持つ円弧であり、その曲率半径は、各踏み段の駆動ローラの中心間距離よりも小さい半径であることを特徴とする請求項1記載のエスカレータの踏み段。
  4. ライザークリート頂面の全体あるいは一部の形状は、踏み板クリートの前端部の上面コーナー部よりも上部に中心を持つ円弧であり、その曲率半径は、各踏み段の駆動ローラの中心間距離よりも大きい半径としたことを特徴とする請求項1記載のエスカレータの踏み段。
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