JP3771450B2 - 圧縮空気乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、空気圧縮機と圧縮空気を動力源とする作動機器の間に配置してあり、空気圧縮機の吐出圧縮空気を乾燥する圧縮空気乾燥装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気圧縮機は、大気の空気を吸引して所定の圧力に圧縮して吐出する。この圧縮された圧力空気は、大気の湿気も同時に圧縮するためその湿度が100%を超える状態である。このため、空気圧縮機から吐出した圧縮空気を直接使用すると、作動機器に湿気が供給されるので、作動機器が作動不良を起こす等の障害を起こす問題がある。このため、空気圧縮機の吐出側に、圧縮空気乾燥装置を設置して乾燥した圧縮空気を作動機器に供給するようにした圧縮空気供給システムを採用している。
【0003】
この種の圧縮空気供給システムとしては、特開平10−296038号に記載されている圧縮空気供給システムがある。
【0004】
これらに示される圧縮空気供給システムは、図6に示されるように、空気圧縮装置1の吐出側に圧縮空気乾燥装置2を接続し、この圧縮空気乾燥装置2で乾燥された圧縮空気を作動機器の空気溜であるメインタンク3に供給する構成であり、このメインタンク3に作動機器を接続している(図示せず)。この圧縮空気供給システムは、空気圧縮装置1から吐出された圧縮空気内の湿気およびオイルミスト等を圧縮空気乾燥装置2で十分に取り除いた後メインタンク3に畜圧し、その圧縮空気を作動機器に供給するので、作動機器に湿気、オイルミストの流入を防止するものである。
【0005】
この圧縮空気供給システムに用いる圧縮空気乾燥装置2は、空気圧縮装置1の吐出側が接続するインレットポート51とメインタンク3に接続するアウトレットポート52と、ガバナー8と、ドレンバルブ9とを備えた基部材5と、この基部材5の上部に、乾燥剤61を充填した乾燥器6と、この乾燥器6と前記アウトレットポート52との間に配置したパージタンク7とを設けた構成である。この圧縮空気乾燥装置2は、空気圧縮装置1から吐出する圧縮空気がインレットポート51から流入すると、乾燥器6を介してパージタンク7からアウトレットポート52へ流れるとき、乾燥器6の乾燥剤61が圧縮空気内の湿気を吸収する。
【0006】
また、圧縮空気乾燥装置2のガバナー8は、アウトレットポート52の空気圧(メインタンク3内の空気圧)が受圧室81に作用しピストン82がばね83に逆らって押されて弁84が開きドレンバルブ9を開弁させる。ドレンバルブ9が、開弁すると、空気圧縮装置1の吐出側を大気に接続するアンロード運転にすると共に、乾燥器6内の圧力空気を急速に排出し、その後パージタンク7の乾燥空気により乾燥剤61を再乾燥する。尚、ガバナー8のピストン82は、弁84が開弁すると空気圧を受圧する面積が増加する構造であるから、ピストン82の復帰する空気圧力が作動時の空気圧力より低い値である。したがって、メインタンク3の空気圧力が一定の幅内に制御される。このように、ガバナー8の作動から復帰までの間に、圧縮空気乾燥装置2の乾燥動作とアンロード動作を継続する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記した圧縮空気乾燥装置2は、ガバナー8のばね室85がドレンバルブ9の排気通路91に接続しているので、ドレンバルブ9が作動して乾燥剤61内の圧力空気が急速に排気されると排気通路91内の空気圧が一時的に上昇してその空気圧がばね室85に作用してピストン82が復帰する。このため、ガバナー8の作動サイクルが短くなり、ドレンバルブ9が閉弁する時間が短く空気圧縮装置1のアンロード時間が短くかつ、圧縮空気乾燥装置2の乾燥剤61が充分乾燥されない状態で再生が停止するのでメインタンク3内の空気の除湿が充分行われなくなる問題点を有する。
【0008】
本発明は、圧縮空気乾燥装置2の再生作用において、ガバナー8にドレンバルブ9の排出側の空気圧が作用しないようにして、空気圧縮装置1のアンロードと圧縮空気乾燥装置2の再生動作を十分に機能させることができる圧縮空気乾燥装置2を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の本発明は、空気圧縮機の吐出側が接続するインレットポートと、メインタンクに接続するアウトレットポートと、ガバナーと、ドレンバルブとを備えた基部材と、乾燥剤を充填した乾燥器と、この乾燥器と前記アウトレットポートとの間に配置したパージタンクと、を備え、前記ガバナーは、空気圧縮機の圧力設定を行うばねが設けられると共に、前記ドレンバルブの出口側の排気通路に排出通路を介して接続するばね室と、前記アウトレットポートに接続する受圧室と、前記ドレンバルブの圧力室に接続する信号室と、前記ばねに連接するとともに、前記ばね室、前記受圧室及び前記信号室を形成するピストンと、このピストンに備えられ、前記信号室と前記受圧室との間を開閉する弁と、を有する構成とし、前記排出通路に、前記ばね室から前記排気通路へ向かう空気の流れを自由とし、その逆の空気の流れを遮断する逆止弁を設けたことを特徴とする圧縮空気乾燥装置である。
【0010】
請求項2の本発明は、請求項1に記載の圧縮空気乾燥装置において、当該圧縮空気乾燥装置は、前記逆止弁が、前記排気通路から前記ばね室へ向かう上向きの空気の流れを遮断するように設置されることを特徴とする圧縮空気乾燥装置である。
【0011】
請求項3の本発明は、請求項1に記載の圧縮空気乾燥装置において、前記逆止弁は、前記排気通路からの空気の流れが絞られた結果としての空気圧力によって押し上げられて閉鎖するように構成したことを特徴とする圧縮空気乾燥装置である。
【0012】
請求項1の発明によると、前記ガバナーのばね室と前記ドレンバルブの出口側の排気通路とを接続する排出通路に、ばね室から排気通路ヘの空気の流れを自由とする逆止弁を設けたので、排気通路に空気圧力が発生しても、ガバナーのばね室に作用しない。従って、ガバナーが安定して作動することにより、乾燥剤の再生および空気圧縮装置のアンロードを確実に保つことができる。
【0013】
請求項2の発明によると、逆止弁が遮断する空気の流れが、前記排気通路から前記ばね室へ向かう上向きの流れであるので、ガバナーのばね室からドレンバルブの排気通路への空気の通過抵抗を小さくしてばね室の残存圧力を極力小さくし、ガバナー作動をより正確なものとする。従って、乾燥剤の再生および空気圧縮装置のアンロードを確実に保つことができる。
【0014】
請求項3の発明によると、前記逆止弁は、前記排気通路からの空気の流れが絞られた結果としての空気圧力によって押し上げられて閉鎖するように構成したので、ドレンバルブの排気通路側からの空気が絞られ、逆止弁の下流側の圧力をたかめて、逆止弁を早く閉鎖する。従って、ガバナーのばね室の空気圧を低圧で維持することにより、ガバナー作動をより正確なものとし、乾燥剤の再生および空気圧縮装置のアンロードを確実に保つことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1及び図2において、圧縮空気乾燥装置2は、基部材5とこの基部材5の上部に乾燥剤61を充填した乾燥器6とその周囲に形成したパージタンク7を固定してあり、インレットポート51とアウトレットポート52およびドレンバルブ9とガバナー8を備えている。また、圧縮空気乾燥装置2は、取り付けフランジ53で基部材5が下方に位置させて車両に取り付けられる。このインレットポート51から供給される空気圧縮装置(図6の符号1)の吐出圧縮空気は、圧力室54に流入し孔63からフィルター62を経て孔64から乾燥器6に流入し、乾燥剤61で除湿され、乾燥器6の逆止弁65及び乾燥剤61再生用の絞り66を介してパージタンク7へ流入する。パージタンク7に流入した圧縮空気は、逆止弁55からアウトレットポート52を経てメインタンク(図6の符号3)に流入する。
【0016】
ドレンバルブ9は、圧力室54と排気管97を有する排気通路91との間に設けてあり、ガバナー8のコントロール通路86(図3参照)が接続する圧力室95を形成するピストン93とこのピストン93と一体に構成した排気弁92を有しこの排気弁92を閉鎖する方向に押し付けるばね94を備えた構成である。このドレンバルブ9は、圧力室95に空気圧力が作用するとこの空気圧力がピストン93に作用しばね94に逆らって下方に移動し排気弁92を開く。排気弁92の開弁により、インレットポート51に供給される圧力空気は、圧力室54から排気弁92を介して、サイレンサー96から排気通路91を経て大気に放出され、空気圧縮装置1をアンロード運転にすると共に、圧縮空気乾燥装置2の乾燥剤61を乾燥する。
【0017】
ガバナー8は、基部材5に形成した内孔80(図3参照)に、ばね組立体830とこのばね組立体830に連接して配置したピストン82とを有し、このピストン82は、アウトレットポート52に信号通路87で接続する受圧室810と、コントロール通路86でドレンバルブ9の圧力室95に接続する信号室811とを形成している。ピストン82は、受圧室810に作用する空気圧力でばね組立体830に当接し、この受圧室810の空気圧力による押力がばね83の設定値を超えるとばね83を圧縮しながらばね組立体830の方向に移動する。前記ばね組立体830は、フランジ834と835をナット832で圧縮して設定圧力に対抗する与圧を与えたばね83を備え、ばね室85に挿入し内孔80の後端で固定してある。このばね組立体830のロッド831に一体的に設けた弁棒841は、ピストン82に挿入してありその内部に通路842を備えている。この通路842は、ピストン82がばね組立体830に当接された状態で、信号室811をばね室85に連通し、このピストン82がばね組立体830の弾性力に逆らって移動すると、弁棒841の先端が弁に当接したとき閉鎖される。その後、ピストン82のさらなる移動で、弁84を開く。弁84が開弁すると、受圧室810と信号室811とが接続される構成である。
【0018】
断面を図3に示し、取り付け状態を図4に示したガバナー8は、その受圧室810に空気圧力が作用するとピストン82の後端がばね組立体830に当接した状態となる。この状態では、弁84が閉じており信号室811が弁棒841を介して排出通路89から排気通路91に接続しドレンバルブ9の圧力室95を大気に開放する。また、受圧室810の空気圧力によりピストン82がばね組立体830に逆らって移動すると、弁棒841の先端が弁84を開弁するので、受圧室810の圧力空気が信号室811に流入し、ドレンバルブ9の圧力室95に開放空気圧力を作用させる。なお、ピストン82は、受圧室810側よりばね組立体830側が段部830’により大径となっており、受圧室810に作用する空気圧力により当該ピストン82が作動した後はその作動空気圧力より低い空気圧力に達しないと復帰しない構成である。
【0019】
前記ガバナー8の排出通路89は、ばね室85に接続する通路891(図5参照)とサイレンサー96の保持部材の外側961を介して排気通路91に接続する通路892とで構成してあり、双方が基部材5の逆止弁10に接続する構成である。この逆止弁10は、前記通路891と通路892の双方が開口する内孔11に球弁12を揺動可能でかつ、通路891の弁座15に当接する位置に挿入し、保持部材13で下方向から支えている構成である。また、この保持部材13には、球弁12を保持する部分にスリット14が設けてあり、スリット14に連接する通路131と、通路131を通路892に連通する通路132とを有する。
【0020】
図5に示す逆止弁10は、圧縮空気乾燥装置2が設置されたとき球弁12を上部方向にした縦方向に取り付けてあり、この時球弁12は保持部材13に当接し弁座15と球弁12との間に隙間を形成している。したがって通路891から通路892方向への流れが自由である。しかし、通路892から通路891方向への流れが発生すると、保持部材13のスリット14により通路131側に圧力が発生し球弁12が押し上げられ、球弁12が弁座15に当接して通路891と通路892との間を遮断する機能を有する。
【0021】
この実施の形態の動作について述べる。図6において、空気圧縮装置1の運転により圧縮された圧縮空気は、圧縮空気乾燥装置2に流入しそのフィルター62でオイルミスト、挨などがろ過され、さらに乾燥器6の乾燥剤61によって湿気が除かれ、逆止弁65を介して、パージタンク7から逆止弁55を経てメインタンク3に蓄圧される。この時、ガバナー8の受圧室810に信号通路87を介して空気圧力が作用するので、ピストン82がばね組立体830を押圧する。メインタンク3の圧力が所定値に達していないので、ピストン82はばね組立体830に当接したままである。ガバナー8がこの状態であると、圧縮空気乾燥装置2のドレンバルブ9は閉鎖位置を保ち、空気圧縮装置1からの圧縮空気が除湿されながら、メインタンク3に畜圧される。
【0022】
メインタンク3の空気圧力が上昇して、ガバナー8のピストン82の押圧力がばね83の弾性力を超えるとピストン82が移動される。この時ばね室85内の空気が排出通路89を介して排気通路91に流出するが、逆止弁10が開放しているので、ばね室85は大気圧に保たれる。ピストン82の移動で弁84が弁棒841で開弁されると、受圧室810の圧力空気が受圧室810からコントロール通路86を介して圧力室95に作用するので、ドレンバルブ9が下方に押圧され圧力室54を大気に開放する。ドレンバルブ9の開放により乾燥剤61の再生と空気圧縮装置1のアンロードが同時に開始する。また、ピストン82がばね組立体830に逆らって作動しコントロール通路86に圧力空気が流入すると、ピストン82の受圧面積が増加するので、ガバナー8の作動圧より低圧にならないと復帰しない。ガバナー8は、作動圧と復帰圧に圧力差を有し、この圧力差の間空気圧縮装置1がアンロード運転となり圧縮空気乾燥装置2が再生動作を行う。
【0023】
ドレンバルブ9が開弁すると、圧力室54が大気に接続されるので乾燥剤61に畜圧していた圧縮空気が急速に排気通路91に放出される。この急激な圧縮空気の排出により乾燥剤61内の水分とフィルター62のオイルミスト、ごみなどを急速に排出する。この排出が終了してもドレンバルブ9が開放を保つので、パージタンク7の乾燥空気が乾燥器6の絞り通路を介して徐々に乾燥剤61に供給され、乾燥剤61を乾燥させる。
【0024】
ドレンバルブ9の開放時に急激に放出される圧縮空気により、サイレンサー96の下流側、排気通路91の上流側に圧力空気が発生する。この圧力空気は急激に上昇する。圧力空気は通路892から通路131に作用しスリット14を介して通路891に流入しようとするが、スリット14で絞られるので、球弁12の下面に空気圧力が発生して、球弁12を急激に押し上げるので、通路891と通路892が閉鎖される。このため、ガバナー8のばね室85は低圧を保ち、ガバナー8を安定状態で保持することができる。
【0025】
【発明の効果】
排気通路91とガバナー8との間に逆止弁10を設けたので、ドレンバルブ9の排気管97に排気ホースを接続して圧縮空気乾燥装置2の排気を他の場所に設定しても、ガバナー8の作動は安定しているので、圧縮空気乾燥装置2の除湿再生の作動を確実に行う事ができる。このため、圧縮空気乾燥装置2が取り付けられる各種の環境の変化に対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の圧縮空気乾燥装置の実施例断面図である。
【図2】 本発明の圧縮空気乾燥装置の実施例断面図である。
【図3】 ガバナー8の断面拡大図である。
【図4】 本発明の圧縮空気乾燥装置のガバナー部分の断面を示したガバナーの取り付け状態図である。
【図5】 図2に示した逆止弁10の部分拡大図である。
【図6】 圧縮空気乾燥装置を用いる圧縮空気供給システムの説明図である。
【符号の説明】
1 空気圧縮装置
2 圧縮空気乾燥装置
3 メインタンク
5 基部材
6 乾燥器
7 パージタンク
8 ガバナー
9 ドレンバルブ
10 逆止弁
12 球弁
13 保持部材
14 スリット(絞り)
51 インレットポート
52 アウトレットポート
61 乾燥剤
83 ばね
Claims (3)
- 空気圧縮機の吐出側が接続するインレットポートと、メインタンクに接続するアウトレットポートと、ガバナーと、ドレンバルブとを備えた基部材と、
乾燥剤を充填した乾燥器と、
この乾燥器と前記アウトレットポートとの間に配置したパージタンクと、
を備え、
前記ガバナーは、
空気圧縮機の圧力設定を行うばねが設けられると共に、前記ドレンバルブの出口側の排気通路に排出通路を介して接続するばね室と、
前記アウトレットポートに接続する受圧室と、
前記ドレンバルブの圧力室に接続する信号室と、
前記ばねに連接するとともに、前記ばね室、前記受圧室及び前記信号室を形成するピストンと、
このピストンに備えられ、前記信号室と前記受圧室との間を開閉する弁と、
を有する構成とし、
前記排出通路に、前記ばね室から前記排気通路へ向かう空気の流れを自由とし、その逆の空気の流れを遮断する逆止弁を設けたことを特徴とする圧縮空気乾燥装置。 - 請求項1に記載の圧縮空気乾燥装置において、当該圧縮空気乾燥装置は、前記逆止弁が、前記排気通路から前記ばね室へ向かう上向きの空気の流れを遮断するように設置されることを特徴とする圧縮空気乾燥装置。
- 請求項1に記載の圧縮空気乾燥装置において、前記逆止弁は、前記排気通路からの空気の流れが絞られた結果としての空気圧力によって押し上げられて閉鎖するように構成したことを特徴とする圧縮空気乾燥装置。
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