JP3771439B2 - 荷重センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷重点に加わる荷重を歪検出素子を搭載した起歪部の撓み具合によって検出する荷重センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、この種の荷重センサの従来技術を示す平面図である。同図において、符号1は荷重センサのベース体を総括的に示している。このベース体1は1枚の金属板を加工したもので、固定端側の取付部2と、この取付部2から開口3の両側縁に沿って延びる一対の起歪部4と、これら両起歪部4の自由端側を連結している連結部5と、この連結部5から開口3内へ舌状に突出している受圧部6とからなる。各起歪部4は取付部2に近い部位4aと連結部5に近い部位4bにおいて板厚が薄く形成されており、この肉薄な部位4a,4b上にそれぞれ、厚膜抵抗体からなる歪検出素子7,8が搭載されている。なお、図示はしていないが、計4か所に配設されている歪検出素子7,8は結線されてホイートストンブリッジ回路を構成している。取付部2には一対の軸孔2aが穿設されており、各軸孔2aにはボルト9が挿通されており、このボルト9の頭部で各軸孔2aの周縁部を加圧することによって、取付部2は外部の支持部材10上に固定されている。舌状の受圧部6の先端部には荷重点6aが設けられており、この荷重点6aに荷重が加わると、各起歪部4の肉薄な部位4a,4bに逆向きの曲げモーメントが発生して、各起歪部4は緩やかなS字形状に撓む。つまり、荷重点6aに上(紙面表側)から荷重が加わると、起歪部4のうち取付部2に近い肉薄な部位4aは上に凸な形状に撓むが、連結部5に近い肉薄な部位4bは下に凸な形状に撓むので、部位4a上の歪検出素子7は引っ張り応力を検出し、部位4b上の歪検出素子8は圧縮応力を検出する。このように起歪部4に発生する歪を歪検出素子7,8によって検出すれば、その歪の大きさから荷重点6aに作用している荷重を求めることができる。
【0003】
なお、歪検出素子を搭載した片持ち梁状の板状部材の先端部に荷重を加えるように構成した荷重センサも知られているが、このものは逆向きの曲げモーメントを発生する複数の場所で応力を検出することができないので、上述した構成のものに比べて精度の向上が図りにくいという難点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示すような従来の荷重センサは、取付部2を固定するために印加される締め付け力の影響についての配慮がなされていないため、性能のばらつきを生じやすいという問題があった。すなわち、ボルト9等の固定軸体を用いて支持部材10に取り付けられるベース体1は、その固定端部である取付部2の軸孔2aの周縁部が支持部材10上で強く加圧されるが、1枚の金属板からなるベース体1を強く加圧すると、直接加圧されている部分の外側にも放射状に応力が作用してゆがみを生じるため、このゆがみが近傍の歪検出素子7の特性に悪影響を及ぼしやすい。しかも、かかる締め付け力に起因するゆがみは製品ごとに微妙に異なるので、荷重点6aに同等の荷重が加わっても歪検出素子7の出力値が製品ごとにばらついてしまい、所望の高信頼性が得にくかった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、固定端部を取り付けるための締め付け力が歪検出素子の特性に悪影響を及ぼさず、製品ごとに性能のばらつきが少ない高信頼性の荷重センサを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する解決手段として、本発明は、固定軸体が挿通される軸孔を有し該軸孔の周縁部が加圧されて前記固定軸体に固定される一端側の取付部と、この取付部から開口の側縁に沿って他端側へ延びる起歪部と、前記他端側で前記起歪部に連結されて前記開口内へ舌状に突出し先端部に荷重点を有する受圧部と、前記起歪部に搭載されて前記荷重点に加わる荷重に応じて生じる前記起歪部の歪を検出する歪検出素子とを備え、前記起歪部に前記複数の歪検出素子が搭載され、前記軸孔の中心と前記複数の歪検出素子とを結んだ線のいずれの前記線上にも前記開口の一部が介在するように構成した。
【0007】
このように、起歪部に複数の歪検出素子が搭載され、軸孔の中心と複数の歪検出素子とを結んだ線のいずれの前記線上にも開口の一部が介在させてあると、軸孔の周縁部を加圧する強い締め付け力に起因するゆがみが、開口に遮られて歪検出素子には直接影響しなくなるので、歪検出素子の特性が製品ごとにばらつかなくなる。したがって、例えば歪検出素子として、起歪部のうち取付部に近い領域に搭載された第1の歪検出素子と、起歪部のうち受圧部との連結部位に近い領域に搭載された第2の歪検出素子とを備え、受圧部の荷重点に荷重を加えたとき、緩やかなS字形状に撓む起歪部上の引っ張り応力と圧縮応力とが検出できるようにしておけば、検出精度に優れて製品ごとの性能のばらつきも少ない高信頼性の荷重センサが得られる。その際、荷重点から第1の歪検出素子までの距離と第2の歪検出素子までの距離とが略同等に設定してあれば、第1の歪検出素子の検出する引っ張り応力の値と、第2の歪検出素子の検出する圧縮応力の値とが略同等になるため、歪検出素子を含むブリッジ回路の構成が簡素化できて好ましい。
【0008】
上記の構成において、1枚の板状部材の各部に取付部と起歪部および受圧部とが設けてあれば、簡単な加工で荷重センサのベース体が形成できると共に、このベース体上に印刷等の手法で、歪検出素子を含むブリッジ回路を簡単に形成することができるので、荷重センサを安価に製造することができる。その際、起歪部の板厚を取付部および受圧部の板厚よりも薄く形成しておけば、起歪部が撓みやすくなるため精度の向上が図りやすい。
【0009】
また、上記の構成において、受圧部の先端部に板厚方向へ突出する突起を設け、この突起の頂部を荷重点となせば、測定対象物と荷重センサとの相対位置が該荷重センサの板面方向に多少ずれても、測定対象物の荷重を確実に荷重点に加えることができるので、取付位置に若干の誤差があっても動作不良が回避できる。その際、受圧部の先端部の表裏両面に前記突起を設けておけば、表裏いずれの側にある測定対象物にも対応させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は第1の実施形態例に係る荷重センサの平面図、図2は図1に示す荷重センサに荷重が加わったときの側面図、図3は図1,2に示す荷重センサの動作説明図、図4は第2の実施形態例に係る荷重センサの平面図、図5は図4に示す荷重センサの斜視図、図6は図4,5に示す荷重センサの側面図である。なお、これらの図において、従来技術の説明に用いた図7と対応する部分には同一符号を付してある。
【0011】
まず、図1〜図3を参照しつつ第1の実施形態例について説明すると、図中の符号1は荷重センサのベース体、7,8はベース体1上に配設された厚膜抵抗体からなる歪検出素子を示しており、この荷重センサは、固定軸体であるボルト9を用いてベース体1の一端部が外部の支持部材10上に圧着固定されている。ベース体1はSUS等の1枚の金属板を加工したもので、固定端側の取付部2と、この取付部2から開口3の両側縁に沿って延びる一対の起歪部4と、これら両起歪部4の自由端側を連結している連結部5と、この連結部5から開口3内へ舌状に突出している受圧部6とからなる。このベース体1のうち、各起歪部4は他の部分よりも板厚が薄く形成されていて撓みやすく、各起歪部4上には取付部2に近い領域と連結部5に近い領域にそれぞれ歪検出素子7,8が搭載されている。なお、図示はしていないが、計4か所に配設されている歪検出素子7,8は結線されてホイートストンブリッジ回路を構成している。取付部2の略中央には軸孔2a(図3参照)が穿設されていて、この軸孔2aに挿通したボルト9が支持部材10の図示せぬねじ孔に強い締結力で螺着させてある。つまり、ボルト9の頭部で軸孔2aの周縁部を加圧することによって、取付部2が外部の支持部材10上に固定されている。ただし、軸孔2aの中心Aと開口3内とを通過する直線群が図1中の角度θの範囲内に限定されることを考慮して、この範囲内に歪検出素子7,8を配設し、ボルト9を強く締め付けても歪検出素子7,8の特性に悪影響が及ばないようにしてある。
【0012】
舌状の受圧部6の先端部は測定対象物の荷重が加えられる荷重点6aとなっており、この荷重点6aに荷重が加わると、肉薄な各起歪部4が図2,3に示すように撓む。このとき、各起歪部4は緩やかなS字形状に撓んで、取付部2の近傍と連結部5の近傍とが逆向きの曲げモーメントを発生するので、取付部2の近傍の歪検出素子7は引っ張り応力を検出し、連結部5の近傍の歪検出素子8は圧縮応力を検出する。したがって、これら歪検出素子7,8により検出した歪の大きさから、荷重点6aに作用している荷重を高精度に求めることができる。しかも、この荷重センサの場合、荷重点6aから歪検出素子7までの距離と歪検出素子8までの距離とが略同等に設定してあるので、歪検出素子7の検出する引っ張り応力の値と、歪検出素子8の検出する圧縮応力の値とが略同等になる。それゆえ、歪検出素子7,8を含むホイートストンブリッジ回路は簡素な構成となっている。
【0013】
上述したように本実施形態例においては、各起歪部4に搭載された歪検出素子7,8と、取付部2の軸孔2aの中心Aとの間に、開口3の一部が介在するように設計してある。すなわち、軸孔2aの周縁部を加圧するボルト9の強い締め付け力に起因するゆがみが、開口3に遮られて歪検出素子7,8には直接影響しないように配慮されているので、歪検出素子7,8の特性が製品ごとにばらつかず、しかも検出精度が良好なため、信頼性の極めて高い荷重センサとなっている。なお、軸孔2aの周縁と歪検出素子7,8との間に必ず開口3の一部が介在するように設計しておけば、ボルト9の締め付け力に起因するゆがみが歪検出素子7,8に影響を及ぼす可能性は極めて少なくなる。また、この荷重センサは、1枚の金属板を加工して簡単にベース体1が形成できると共に、このベース体1上に印刷等の手法で歪検出素子7,8を含むブリッジ回路を簡単に形成することができるので、製造コストが抑制できるという利点がある。
【0014】
次に、第2の実施形態例について説明すると、図4〜図6に示す荷重センサの場合も、各起歪部4に搭載された歪検出素子7,8と、取付部2の軸孔2aの中心Aとの間に、開口3の一部が介在するように設計してあるので、軸孔2aの周縁部(図中のハッチングB部分)を加圧する固定軸体の強い締め付け力に起因するゆがみが、歪検出素子7,8に悪影響を及ぼす可能性は少ない。
【0015】
なお、この第2の実施形態例では、ベース体1の形状が第1の実施形態例と異なっている。すなわち、図4〜図6に示すベース体1では、各起歪部4が長手方向中間部でくびれた形状にしてあると共に、受圧部6の先端部の表裏両面に板厚方向へ突出する突起6b,6cを設けて該突起6b,6cの頂部を荷重点6aとなしている。このように各起歪部4がくびれた形状にしてあると、荷重を加えたときに各起歪部4が大きく撓んで歪検出素子7,8が大きな歪を検出することになるので、検出精度を一層向上させることができる。また、受圧部6の先端部の表面に設けた突起6bの頂部が荷重点6aであれば、測定対象物と荷重センサとの相対位置がベース体1の板面方向に多少ずれても、測定対象物の荷重を確実に荷重点6aに加えることができるので、荷重センサの取付位置に若干の誤差があっても動作不良が回避できる。それゆえ、荷重センサの取付作業が容易になって信頼性も向上する。さらにまた、受圧部6の先端部の裏面にも突起6bと同様の突起6cを設けておけば、表裏いずれの側にある測定対象物にも対応させることができるので、荷重センサの使い勝手が向上する。
【0016】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0017】
起歪部に複数の歪検出素子が搭載され、軸孔の中心と複数の歪検出素子とを結んだ線のいずれの前記線上にも開口の一部が介在させて、軸孔の周縁部を加圧する強い締め付け力に起因するゆがみが歪検出素子に直接影響を及ぼさないように設計した荷重センサなので、歪検出素子の特性が製品ごとにばらつかなくなって信頼性が向上する。
【0018】
また、受圧部の先端部に板厚方向へ突出する突起を設け、この突起の頂部を荷重点となせば、測定対象物と荷重センサとの相対位置が多少ずれても、測定対象物の荷重を確実に荷重点に加えることができる。したがって、荷重センサの取付位置に若干の誤差があっても動作不良が回避でき、取付作業性や信頼性の向上が図れる。また、受圧部の先端部の表裏両面に前記突起を設けておけば、表裏いずれの側にある測定対象物にも対応させることができるので、荷重センサの使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態例に係る荷重センサの平面図である。
【図2】図1に示す荷重センサに荷重が加わったときの側面図である。
【図3】図1,2に示す荷重センサの動作説明図である。
【図4】第2の実施形態例に係る荷重センサの平面図である。
【図5】図4に示す荷重センサの斜視図である。
【図6】図4,5に示す荷重センサの側面図である。
【図7】従来技術に係る荷重センサの平面図である。
【符号の説明】
1 ベース体
2 取付部
2a 軸孔
3 開口
4 起歪部
5 連結部
6 受圧部
6a 荷重点
6b,6c 突起
7,8 歪検出素子
9 ボルト(固定軸体)
10 支持部材
A 軸孔の中心

Claims (7)

  1. 固定軸体が挿通される軸孔を1ヶ所有し該軸孔の周縁部が加圧されて前記固定軸体に固定される一端側の取付部と、この取付部から開口の側縁に沿って他端側へ延びる起歪部と、前記他端側で前記起歪部に連結されて前記開口内へ舌状に突出し先端部に荷重点を有する受圧部と、前記起歪部に搭載されて前記荷重点に加わる荷重に応じて生じる前記起歪部の歪を検出する歪検出素子とを備え、
    前記起歪部に前記複数の歪検出素子が搭載され、
    記軸孔の中心と前記複数の歪検出素子とを結んだ線のいずれの前記線上にも前記開口の一部が介在するように構成したことを特徴とする荷重センサ。
  2. 請求項1の記載において、1枚の板状部材の各部に前記取付部と前記起歪部および前記受圧部とが設けてあることを特徴とする荷重センサ。
  3. 請求項2の記載において、前記起歪部の板厚を前記取付部および前記受圧部の板厚よりも薄く形成したことを特徴とする荷重センサ。
  4. 請求項1〜3のいずれかの記載において、前記受圧部の先端部に板厚方向へ突出する突起を設け、この突起の頂部を前記荷重点となしたことを特徴とする荷重センサ。
  5. 請求項4の記載において、前記受圧部の先端部の表裏両面に前記突起を設けたことを特徴とする荷重センサ。
  6. 請求項1〜5のいずれかの記載において、前記歪検出素子として、前記起歪部のうち前記取付部に近い領域に搭載された第1の歪検出素子と、前記起歪部のうち前記受圧部との連結部位に近い領域に搭載された第2の歪検出素子とを備えたことを特徴とする荷重センサ。
  7. 請求項6の記載において、前記荷重点から前記第1の歪検出素子までの距離と前記第2の歪検出素子までの距離とが略同等に設定してあることを特徴とする荷重センサ。
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