JP3771392B2 - 液晶表示フィルムの製造方法、およびその液晶表示フィルム - Google Patents

液晶表示フィルムの製造方法、およびその液晶表示フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、外形全体を薄片状とした液晶表示フィルムの製造方法、およびその液晶表示フィルムそのものに関し、特に生産性を向上するために製造工程における作業順序を改変したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多種多様にわたる電子機器においては、ディスプレイを構成する部品として液晶表示パネルが組み込まれており、この種の液晶表示パネルでは、2枚のガラス基板間に液晶空隙層を形成した折り曲げにくい剛性の強いタイプのものが普及している。
【0003】
一方、最近においては、軽薄・短小という時代の要請に応えて、ガラス基板よりも薄手で極めて軽く曲げやすい透明フィルムを用いた液晶表示フィルムが登場している。この種の液晶表示フィルムは、その液晶動作原理および液晶構造をガラス基板タイプとほぼ同様とし、製造方法においてもガラス基板タイプと同様の手順にて工程が進められている。
【0004】
たとえば、2枚の透明フィルム間に液晶空隙層を有する液晶表示フィルムを製造するにあたっては、母材となる2枚のフィルム基板を所定間隔空けて重ね合わせることで両フィルム基板の一体原形品を得る。そうして得られた両フィルム基板の一体原形品は、薄膜個片状としたフレーム単位の中間品に切り分けられ、さらにその中間品が1枚の液晶表示フィルムに相当する単品として切り分けられる。そして最終工程においては、単品の状態で液晶空隙層に液晶が注入、封止された後、液晶表示に際して光学的に必要とされる偏光板などが外面に貼り着けられ、完成形態としての液晶表示フィルムが得られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の液晶表示フィルムの製造方法では、最終工程の際、偏光板を貼り着ける前の単品の状態で液晶の注入、封止などが行われ、2枚のフィルムのみで全体の厚みが構成される単品では、そのフィルムそのものの厚みが極めて薄いことから曲げ変形を起こしやすく、さらには液晶注入などにおける単品の取り扱い作業が困難となって生産性を損ねるといった問題があった。
【0006】
たとえば、液晶の注入、封止に際しては、液晶空隙層の厚み方向側部に沿って開口形成された液晶封止口を介して液晶が注入された後、その液晶封止口に封止材が塗着されるが、液晶封止口付近の端面が極薄とされたフィルム2枚分の厚みに相当するだけでは封止材の付着面として過小であり、付着しきれない余分な封止材がフィルムの外面まで垂れ流れて付着することとなる。そうした場合、余分に付着した封止材をフィルムの外面からきれいに取り除いた後、その外面に対して偏光板を貼り着けなければならず、そのような封止材を取り除くといった無駄な工程作業が必要とされていた。
【0007】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、中間品あるいは単品とした液晶表示フィルムの取り扱い作業を容易として生産性を向上することができる液晶表示フィルムの製造方法、およびその液晶表示フィルムそのものを提供することをその課題とする。
【0008】
【発明の開示】
上記課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
すなわち、本願発明の第1の側面により提供される液晶表示フィルムの製造方法は、2枚の透明フィルム間に液晶空隙層を有する液晶表示フィルムを製造するにあたり、母材となる2枚のフィルム基板を重ね合わせ、そうして得られた両フィルム基板の一体原形品を薄膜個片状とした複数の中間品に切り分けた後、上記液晶空隙層に液晶を注入、封止して単品とした完成形態を得る液晶表示フィルムの製造方法であって、上記両フィルム基板の一体原形品から上記中間品に切り分ける前の段階において、上記一体原形品の外面上から上記中間品に相当する所定箇所で上記液晶空隙層の厚み方向側部に沿って開口形成された液晶封止口と重なるように偏光板を貼着する一方、上記液晶空隙層に隣接した端子部と重ならないように上記偏光板を貼着する工程と、上記偏光板が貼着された上記一体原形品を上記液晶封止口に沿う所定のカッティングラインでカットすることにより上記中間品を得る工程と、上記中間品において、上記液晶封止口から上記液晶空隙層に対して液晶を注入する工程と、上記液晶封止口付近の端面まで封止材を塗着し、この液晶封止口を封止する工程と、上記中間品を所定のカッティングラインでカットすることにより上記単品を得る工程と、を順に行うことを特徴としている。
【0010】
上記技術的手段が講じられた第1の側面により提供される液晶表示フィルムの製造方法によれば、一体原形品から切り分けて得られた中間品では、2枚のフィルムに加えて偏光板が既に貼り着けられた状態であり、その偏光板の厚み分だけ中間品全体の厚みが増している。そうした中間品は、さらに単品とした液晶表示フィルムそのものにカットされ、各種の処理工程を経て完成形態とされる。したがって、中間品または単品のいずれの形態にしても、偏光板の分だけ厚みが増すことによって曲げ変形を起こしにくくコシのある状態とされるので、中間品あるいは単品とした液晶表示フィルムの取り扱い作業が容易となり、各種の処理工程をスムーズなものとして生産性を向上することができる。
【0011】
また、このような構成によれば、偏光板を貼り着けた後、中間品あるいは単品とした状態で液晶封止口を介して液晶が注入され、さらに液晶封止口に封止材が塗着される。その際、液晶封止口付近の端面は、封止材の付着面とされるが、フィルム2枚分に偏光板の厚みを加えた十分な大きさの付着面が形成されるので、余分な封止材を端面のみに確実に付着させることができ、端面以外に対する封止材の垂れ流れを防止して生産性を向上することができる。さらに、このような構成によれば、最終的な完成形態にて表面が露出する端子部には、あらかじめ偏光板が重ねられることなく作業が進められるので、必要な分だけ無駄なく偏光板を用いることで材料コストを抑えることができる。
【0012】
他の好ましい実施の形態としては、上記一体原形品から上記中間品に切り分ける際のカッティングラインを横断するように上記偏光板を貼着させている構成とすることができる。このような構成によれば、カッティングラインに沿って切り分けた後の中間品の厚み方向側部は、フィルム2枚分に偏光板の厚みを加えた十分な厚みをもって形成されるので、中間品の厚み方向側部が適度な剛性に保たれ、そうした中間品の取り扱いを容易とすることができる。
【0014】
さらに、他の好ましい実施の形態としては、上記一体原形品における上記中間品の相当所定箇所として不要な側辺付近にも上記偏光板を貼着させている構成とすることができる。このような構成によれば、一体原形品をカットして複数の中間品に切り分ける際、その一体原形品の側辺付近がフィルム2枚分に偏光板の厚みを加えた十分な厚みをもって形成されるので、一体原形品の周囲を含む全体にわたって適度な剛性に保たれ、そうした一体原形品のカッティング作業を容易に行うことができる。
【0015】
一方、本願発明の第2の側面により提供される液晶表示フィルムは、2枚の透明フィルム間に液晶空隙層を有するために、母材となる2枚のフィルム基板を重ね合わせ、そうして得られた両フィルム基板の一体原形品を薄膜個片状とした複数の中間品に切り分けた後、上記液晶空隙層に液晶を注入、封止して単品とした完成形態とされる液晶表示フィルムであって、上記両フィルム基板の一体原形品から上記中間品に切り分ける前の段階において、上記一体原形品の外面上から上記中間品に相当する所定箇所で上記液晶空隙層の厚み方向側部に沿って開口形成された液晶封止口と重なるように偏光板が貼着させられている一方、上記液晶空隙層に隣接した端子部と重ならないように上記偏光板が貼着させられており、この偏光板が貼着された上記一体原形品を上記液晶封止口に沿う所定のカッティングラインでカットすることにより上記中間品とされ、その中間品から上記単品にカットされた完成形態にて、その単品の厚み方向側部と上記偏光板の切れ端とが一致した恰好とされているとともに、上記液晶封止口付近の端面まで封止材が塗着されてこの液晶封止口が封止されていることを特徴としている。
【0016】
上記技術的手段が講じられた第2の側面により提供される液晶表示フィルムは、上記第1の側面にかかる製造方法を経て必然的形態として得られるものである。つまり、厚み方向側部と偏光板の切れ端とが一致した恰好とされることから、その恰好を一見するだけで、中間品や単品とする以前に偏光板が一体原形品に貼り着けられて取り扱われていたものと容易に推察することができ、上記第1の側面にかかる製造方法と同様の効果を発揮することできる。
【0017】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1は、本願発明にかかる液晶表示フィルムの一実施形態であって、その単品としての完成形態を示した斜視図、図2は、製造途中における液晶表示フィルムの中間品を示した斜視図、図3は、製造初期段階における液晶表示フィルムの一体原形品を示した斜視図、図4は、図3に示す一体原形品を正面から見た状態を示した平面図である。
【0020】
本願発明にかかる液晶表示フィルムは、図4から図1の順に各製造工程を経て形態を変えられるものであり、図1に示す単品A、単品Aに切り分ける前の図2に示す中間品B、および中間品Bに切り分ける前の図3および図4に示す一体原形品Cとして液晶表示フィルムの形態が変遷する。この単品Aが最終的に完成された形態として用いられる。
【0021】
図1に示す液晶表示フィルムの単品Aは、2枚のフィルム10,11、液晶空隙層Pを形成するためのシール材12、液晶空隙層Pに液晶駆動電圧を印加するための端子部T、および2枚の偏光板20,21を有して概略構成されている。この単品Aは、各種電子機器のディスプレイやインジケータ窓として用いられるものである。なお、液晶表示フィルムの細部については、一般的に知られている液晶構造と変わりないことから、各図において図示することなく適宜説明を省略する。
【0022】
各フィルム10,11は、たとえばポリカーボネート製などで極めて薄く形成された透明樹脂フィルムであって、両フィルム10,11の互いに対向する内面上には、液晶駆動用のITO(Indium Tin Oxide)膜による透明電極パターン(図示省略)が形成されている。透明電極パターンを取り囲む周囲一帯には、シール材12が定着されており、このシール材12により極めて狭い間隔を保ちながら両フィルム10,11が重ね合わされている。シール材12によって取り囲まれた領域は、液晶を封入して表示を行うための液晶空隙層Pとされ、この液晶空隙層Pには、液晶を注入して封止した状態とするための液晶封止口P1が単品Aの厚み方向側部A1に沿って開口形成されている。なお、液晶封止口P1の詳細については後述するが、この液晶封止口P1には、液晶を注入した後で封止するための封止材が塗着される。液晶空隙層Pに注入される液晶としては、たとえばネマティック液晶が挙げられるが、その他にコレステリック液晶、あるいはスメクティック液晶などを用いてもよい。
【0023】
また、一方のフィルム10は、その平面的大きさが他方のフィルム11より大きく、側方にはみ出した恰好で重ねられており、そのはみ出した部分に各透明電極パターンを通電させるための端子部Tが形成されている。この端子部Tに図示しないフレキシブル配線板などが接続され、外部から液晶空隙層Pにおける液晶が駆動制御される構造とされている。こうして重ね合わにより一体化された両フィルム10,11の2枚分の厚みt1は、たかだか0.2mm程度とされている。
【0024】
さらに、偏光板20,21は、たとえば偏光子としてPVA(ポリ・ビニール・アルコール)などの高分子膜を2枚のTAC(トリ・アセチル・セルロース)などの間に挟み込んだ薄膜構造を有し、その1枚分の厚みt2がたとえば0.2〜0.25mmといった程度とされている。これら偏光板20,21は、各フィルム10,11の外面上に貼り着けられ、互いにクロスニコルの恰好で向かい合う状態とされている。つまり、一方の偏光板20が一例として水平振動成分の光のみを透過させる場合、他方の偏光板21は、液晶空隙層Pから導かれてくる垂直振動成分の光のみを透過させている。
【0025】
このような構成を有する単品Aは、後述する製造方法を経て得られるものであり、その特徴としては、単品Aの厚み方向側部A1,A2において、フィルム10,11の切れ端と偏光板20,21の切れ端とが一致した恰好に形成されている点にある。こうした特徴的構成を得るためには、以下に説明する液晶表示フィルムの製造方法を必然的に実施する必要があり、そのような製造方法を実施することではじめて単品Aが完成される。
【0026】
図1ないし図4を参照して要点について簡単に説明すると、図1に示す単品Aを得るためには、まず最初に図3および図4に示すような一体原形品Cが用いられる。この一体原形品Cは、上記各フィルム10,11の母材として用意された一対のフィルム基板30,31に、上記偏光板20,21の原形となる2枚1組の原偏光板40,41を複数枚にわたって貼り着けたものである。フィルム基板30,31には、あらかじめシール材12や露出した端子部Tが各行各列にわたって造り込まれており、その個々の箇所が単品Aに相当している。原偏光板40,41としては、単品Aの相当箇所と1列分にわたって重なるような短片状のものが用いられている。
【0027】
なお、図3および図4においては、裏面側に位置する原偏光板40の全体が図示されないが、この裏面側の原偏光板40は、表面側に位置する原偏光板41と同位置で互いに対向し合うものとされている。また、両原偏光板40,41は、後述する中間品Bと交差する恰好で、液晶空隙層Pや液晶封止口P1と完全に重なった状態とされる一方、液晶空隙層Pに隣接する端子部Tとは重ならないように貼り着けられている。さらに、一体原形品Cにおいては、いまだ液晶空隙層Pに液晶が注入されておらず、この液晶空隙層Pには、中間品Bとした状態で液晶封止口P1を介して液晶が注入、封止される。さらにまた、原偏光板40,41は、単品Aの相当箇所のみならず、単品Aが形成されない一体原形品Cの不要な側辺付近C1にも貼り着けられている。
【0028】
このような構成を有する一体原形品Cは、図3および図4中に一点鎖線で示すカッティングラインCL1に沿ってカットされることにより、単品Aを得る前の図2に示す薄片状としたフレーム単位の中間品Bに切り分けられる。この際、カッティングラインCLを横断するように貼り着けられた原偏光板40,41は、フィルム基板30,31と一体となって切断されるので、フィルム基板30,31の切れ端と原偏光板40,41の切れ端とが一致した恰好、つまりフィルム基板30,31と原偏光板40,41とがエッジ側面B1,B2において面一に揃えられた状態とされる。また、中間品Bにおけるエッジ側面B1,B2のそれぞれは、図1に示す単品Aの厚み方向側部A1,A2に対応しており、これらのうち一方のエッジ側面B1には、液晶空隙層Pにおける液晶封止口P1が位置することから、この液晶封止口P1も、エッジ側面B1に沿って面一に開口された状態となる。このような中間品Bの状態において、各液晶空隙層Pには、液晶封止口P1を介して液晶が注入され、その後、液晶封止口P1が封止材によって封止される。こうした中間品Bは、さらにカットされることで図1に示す単品Aとして完成される。
【0029】
なお、単品Aとした完成形態で用いられる液晶表示フィルムの動作原理については、従来のものと変わりないことからその説明を省略する。
【0030】
以下、本願発明の一実施形態として液晶表示フィルムの製造方法について適宜図面を参照して説明する。
【0031】
図5ないし図8は、本願発明にかかる液晶表示フィルムの製造方法の一実施形態として、各製造工程を説明するために示した説明図である。まず最初の工程としては、図3および図4に示すように一体原形品Cが用意され、この一体原形品CをカッティングラインCL1に沿ってカットすることで図2および図5に示す中間品Bを得る。この一体原形品Cをカットして切り分ける工程作業において、フィルム基板30,31には、あらかじめ原偏光板40,41が貼り着けられているので、その分厚みが増すことで一体原形品C全体としてコシのある状態となる。したがって、一体原形品Cは、その全体が適度な剛性を有して一定の姿勢に保たれながらカットされることにより、そうした一体原形品のカッティング作業を容易に行うことができる。また、工程間で一体原形品Cを搬送させる場合などに際しても、一体原形品Cを固形物と同様にして容易に取り扱うことができる。たとえば、一体原形品Cは、側辺付近C1の部分を扶持しながら搬送させることができ、その側辺付近C1は、液晶表示に不要な部分としつつも原偏光板40,41が貼り着けられていることでコシがあるため、確実に挟み持った状態での搬送が可能とされる。
【0032】
次に、図6に示すように、中間品Bの液晶空隙層Pに対して液晶LCを注入する工程が行われる。この際、液晶空隙層Pは、真空吸引によって負圧状態とされることにより、下方に向けられた液晶封止口P1を介してボートBTの液晶LCを自発的に吸い込む状態となる。このような液晶注入作業に伴う真空吸引によれば、負圧作用によって変形を受けやすいために当て板などが用意されることがあるが、この中間品Bでは、コシのある適度な剛性を有することから当て板などを用いる必要なくスピーディに作業を進めることが可能とされる。また、液晶注入に際しては、真空吸引力に応じて液晶空隙層Pに液晶LCが注入される結果、その液晶空隙層Pが若干膨らんだ状態となるが、原偏光板40,41の厚み分によってコシのある状態とされた中間品Bでは、できる限りそのような膨らみが小さなものとされる。
【0033】
さらに続いて、図7に示すように、中間品Bが逆さまに反転した姿勢とされ、液晶封止口P1に封止材50が塗着されることで、液晶空隙層Pには、液晶LCが封入された状態とされる。図8は、液晶封止口P1付近の断面を示した図であって、この図にも示すように、液晶封止口P1付近の端面(エッジ側面B1)には、封止材50が塗着した状態とされている。このような封止材50は、塗着工程の際、流動性を有する少量が塗布された後に固着された状態のものである。
【0034】
ここで、液晶封止口P1付近の端面に相当するエッジ側面B1について見ると、このエッジ側面B1の厚み全体としては、両フィルム基板30,31の2枚分の厚みt1に原偏光板40,41の2枚分の厚みt2,t2を加えた寸法とされる。たとえば、t1、t2のそれぞれを0.2mm、0.25mmとした場合、エッジ側面B1の厚み全体が0.7mmにもなり、余分な封止材50を塗着しておくのに十分な大きさのエッジ側面B1が形成される。従来の製造方法においては、そのようなエッジ側面B1が2枚のフィルムのみの状態において封止材50による塗着作業を行っていたので、封止材50を塗着するには液晶封止口P1付近があまりに幅狭くなった状態とされ、そのエッジ側面B1以外の液晶表示面側にも封止材50が垂れ流れてしまっていた。一方、本実施形態にかかる中間品Bでは、上述したように、十分な大きさのエッジ側面B1に封止材50が塗着されることで液晶表示面側に垂れ流れるといった問題はなく、液晶封止口P1付近のエッジ側面B1における厚み方向全体にわたって封止材50を確実に塗着した状態とすることができる。
【0035】
以上のようにして液晶空隙層Pに液晶LCが封入された状態の中間品Bは、再び図7に示すように、一点鎖線で示すカッティングラインCL2に沿ってカットされることにより、最終的に図1に示すような単品Aに切り分けられた状態とされ、一体原形品Cから中間品Bを経て多数個の単品Aが完成されることとなる。
【0036】
したがって、以上説明した液晶表示フィルムの製造方法によれば、一体原形品Cから始めて単品Aを得るまで終始一貫して取り扱い対象となるものは、フィルム基板30,31に原偏光板40,41が貼り着けられた一体原形品Cや中間品Bであり、原偏光板40,41が貼り着けられた状態では、その分厚みが増すことで曲げ変形を起こしにくくコシのある状態とされるので、中間品B、単品Aとした形態での液晶表示フィルムの取り扱い作業が容易となり、各種の処理工程をスムーズなものとして生産性を向上することができる。
【0037】
特に、中間品Bの状態で液晶封止口P1に封止材50を塗着する際、その液晶封止口P1付近のエッジ側面B1のみに封止材50を確実に塗着させることができ、エッジ側面B1以外に対する封止材50の垂れ流れを防止して生産性を向上することができる。
【0038】
なお、上記実施形態においては、一体原形品Cにおける両フィルム基板30,31の表裏面側にわたって2枚の原偏光板40,41を貼り着ける構成としたが、光学的特性などによっては、両フィルム基板30,31の片面のみに1枚の適当な厚みを有する原偏光板を貼り着けた一体原形品を用いるものとしても良い。
【0039】
また、上記実施形態においては、単品A、中間品B、および一体原形品Cの3つの形態があるとして説明したが、そのうちの中間品Bを製作することなく、一体原形品Cから直接単品Aを製作するといった構成としても良い。この場合においても、中間品Bに対して行われた処理と同様にして単品Aに各種の処理が行われ、上記実施形態にて得られた効果と同様の効果が発揮されることが明らかに推認されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明にかかる液晶表示フィルムの一実施形態であって、その単品としての完成形態を示した斜視図である。
【図2】製造途中における液晶表示フィルムの中間品を示した斜視図である。
【図3】製造初期段階における液晶表示フィルムの一体原形品を示した斜視図である。
【図4】図3に示す一体原形品を正面から見た状態を示した平面図である。
【図5】本願発明にかかる液晶表示フィルムの製造方法の一実施形態として、各製造工程を説明するために示した説明図である。
【図6】本願発明にかかる液晶表示フィルムの製造方法の一実施形態として、各製造工程を説明するために示した説明図である。
【図7】本願発明にかかる液晶表示フィルムの製造方法の一実施形態として、各製造工程を説明するために示した説明図である。
【図8】本願発明にかかる液晶表示フィルムの製造方法の一実施形態として、各製造工程を説明するために示した説明図である。
【符号の説明】
10,11 フィルム
20,21 偏光板
30,31 フィルム基板
40,41 原偏光板
A 単品
A1,A2 厚み方向側部
B 中間品
B1,B2 エッジ側面
C 一体原形品
P 液晶空隙層
P1 液晶封止口
LC 液晶
T 端子部
CL1 カッティングライン
t1 フィルム2枚分の厚み
t2 偏光板1枚分の厚み

Claims (4)

  1. 2枚の透明フィルム間に液晶空隙層を有する液晶表示フィルムを製造するにあたり、母材となる2枚のフィルム基板を重ね合わせ、そうして得られた両フィルム基板の一体原形品を薄膜個片状とした複数の中間品に切り分けた後、上記液晶空隙層に液晶を注入、封止して単品とした完成形態を得る液晶表示フィルムの製造方法であって、
    上記両フィルム基板の一体原形品から上記中間品に切り分ける前の段階において、上記一体原形品の外面上から上記中間品に相当する所定箇所で上記液晶空隙層の厚み方向側部に沿って開口形成された液晶封止口と重なるように偏光板を貼着する一方、上記液晶空隙層に隣接した端子部と重ならないように上記偏光板を貼着する工程と、
    上記偏光板が貼着された上記一体原形品を上記液晶封止口に沿う所定のカッティングラインでカットすることにより上記中間品を得る工程と、
    上記中間品において、上記液晶封止口から上記液晶空隙層に対して液晶を注入する工程と、
    上記液晶封止口付近の端面まで封止材を塗着し、この液晶封止口を封止する工程と、
    上記中間品を所定のカッティングラインでカットすることにより上記単品を得る工程と、
    を順に行うことを特徴とする、液晶表示フィルムの製造方法。
  2. 上記一体原形品から上記中間品に切り分ける際のカッティングラインを横断するように上記偏光板を貼着させている、請求項に記載の液晶表示フィルムの製造方法。
  3. 上記一体原形品における上記中間品の相当所定箇所として不要な側辺付近にも上記偏光板を貼着させている、請求項1または2に記載の液晶表示フィルムの製造方法。
  4. 2枚の透明フィルム間に液晶空隙層を有するために、母材となる2枚のフィルム基板を重ね合わせ、そうして得られた両フィルム基板の一体原形品を薄膜個片状とした複数の中間品に切り分けた後、上記液晶空隙層に液晶を注入、封止して単品とした完成形態とされる液晶表示フィルムであって、
    上記両フィルム基板の一体原形品から上記中間品に切り分ける前の段階において、上記一体原形品の外面上から上記中間品に相当する所定箇所で上記液晶空隙層の厚み方向側部に沿って開口形成された液晶封止口と重なるように偏光板が貼着させられている一方、上記液晶空隙層に隣接した端子部と重ならないように上記偏光板が貼着させられており、この偏光板が貼着された上記一体原形品を上記液晶封止口に沿う所定のカッティングラインでカットすることにより上記中間品とされ、その中間品から上記単品にカットされた完成形態にて、その単品の厚み方向側部と上記偏光板の切れ端とが一致した恰好とされているとともに、上記液晶封止口付近の端面まで封止材が塗着されてこの液晶封止口が封止されていることを特徴とする、液晶表示フィルム。
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