JP3771197B2 - 画像送信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同報ファクシミリ送信を行う場合に、生成した画像の幅が、ある宛先のファクシミリ装置の受信可能な最大画像幅に対応するが、他の宛先のファクシミリ装置の最大画像幅に対応しないときであっても、各宛先ファクシミリ装置にそれぞれの最大画像幅に対応した画像を送信することができる画像送信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と言う)のワードプロセッサアプリケーションソフトウェア等で作成した文書(グラフィクス等を含む)をファクシミリ送信する場合、従来、一旦プリンタで印刷用紙に出力した後、出力紙を原稿としてファクシミリ装置にセットし、これをファクシミリ装置に設けられたスキャナで読み取らせて送信するのが一般的であった。
【0003】
ところが、この方法だと、一旦印刷用紙に出力した後、出力紙を原稿読み取り部にセットしなければならない等の手間がかかる。また、原稿を印刷用紙に出力することが必須であるため、紙資源を無駄に消費してしまうことになる。また、出力紙した画像を再度スキャナで読み取らせるため、ファクシミリ送信する画像の画質が劣化してしまう。
そこで近年では、PCとファクシミリ装置とをネットワーク等で接続し、PCで作成した文書(ファクシミリ送信可能なフォーマットで作成した画像:以下「ファクシミリ送信用画像」)を直接ファクシミリに転送してファクシミリ送信することが行われている(以下、このような送信を「PC-FAX送信」という)。
【0004】
PC-FAX送信を行うことによって、PCから一回の操作で宛先のファクシミリ装置に直接ファクシミリ送信することができ、また余計な紙を消費することがなくなり、画質の劣化もなくなる。
【0005】
このようなPC-FAX送信では、ネットワーク等によるPCからファクシミリ装置へのファクシミリ送信用画像転送と、電話回線によるファクシミリ通信との同期をとることは難しい。このため、PCで作成したファクシミリ送信用画像を、一旦ファクシミリ装置の記憶装置(たとえばメモリ)に蓄積しておき、その後、ファクシミリ装置から宛先のファクシミリ装置に回線接続し、前記記憶装置に蓄積されたファクシミリ送信用画像を送信するという手順がとられる。
【0006】
ところが、上記の手順では、PC側で、文書等をファクシミリ送信用画像に変換(ファクシミリ送信用画像を作成)している時点では、宛先ファクシミリ装置の受信能力が不明であるため以下のような問題がある。すなわち、ファクシミリ装置の受信能力の一つには記録幅能力があるが、たとえば、JIS規格A3幅(以下、JIS規格サイズには単に「A3」,「A4」等として表現する)の送信画像を作成した後、ファクシミリ装置を行う場合、宛先ファクシミリ装置の記録幅能力がA4幅であった場合、A3幅の画像はそのままA3幅で送信することはできず、A4幅の画像にして送信しなければならない。このため、送信に際してA3幅の画像をA4幅に縮小して送信するか、A3幅の画像に対してA4幅分切り出して送信する必要がある。
【0007】
送信に際してA3幅の画像をA4幅に縮小して送信するような場合、A3幅として作成された画像に対してさらに間引き等の縮小処理を施す必要が生じ、その縮小の際に画質が甚だしく劣化してしまい、結果として画質の劣化なく送信できるというPC-FAX送信の利点が薄れてしまう。また、A3幅の画像に対してA4幅分切り出して送信するような場合、画像の一部が送信されなくなり送信画像が宛先ファクシミリ装置で再現できなくなる。
【0008】
上記のように、ファクシミリ送信に際して、ファクシミリ送信用画像が、縮小されたり、画像の一部(切り出し画像)しか送信されない場合は、ユーザ(PCユーザ)に対してPC-FAX送信の操作中に知らせることが好ましい。しかし、実際には、PC側でのファクシミリ送信用画像の作成後、実際にPC-FAX送信が行われた後でないと、縮小されて送信されたこと、画像の一部が切り出されて送信されたことをユーザは知ることができない。
【0009】
この種の不都合を解消するために、ファクシミリ送信を行った場合に、宛先ファクシミリ装置とその宛先ファクシミリ装置が受信できる記録幅を記憶しておく方法が知られている。この方法では、次回その宛先ファクシミリ装置にPC-FAX送信を行うためにファクシミリ送信用画像を作成する際に、作成しようとしている画像の幅が相手機の記録幅を上回っている場合には、PC-FAX送信前にアラートを出してユーザに知らせ、ファクシミリ送信用画像を縮小してPC-FAX送信するか、ファクシミリ送信用画像の一部を切り出して送信するかをユーザが選択できるようにしている。また、ファクシミリ送信用画像を縮小してPC-FAX送信する場合には、宛先ファクシミリ装置に応じて、ファクシミリ送信用画像を縮小して作成するか否かを判断できるため、ファクシミリ送信用画像を間引いて作成したり、一部切り出したりしてPC-FAX送信する場合に比べて画質の劣化や、画像の欠落を生じることなくファクシミリ送信を行うことができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記技術では文書中のあるページに対して送信画像を作成する際、通常に作成するか、縮小して(あるいは切り出して)作成するかのどちらかしかできないため、同報送信時、つまり同じ文書に対して宛先を複数指定して、複数の相手先に同じ文書の画像を送信する場合に、次のような問題がある。
【0011】
たとえば、同報送信で宛先ファクシミリ装置を指定した場合において、記録してある記録幅が異なる宛先ファクシミリ装置が複数存在しており、かつ生成した画像の幅が一部の宛先の記録幅のみ上回っているときがある。具体的には、第1宛先のファクシミリ装置の記録幅がA3幅で、第2宛先のファクシミリ装置の記録幅がA4幅である場合において、ファクシミリ送信用画像のあるページの画像幅がA3幅であるときは、第1宛先のファクシミリ装置に対してはA3幅の画像を送信できるが、第2宛先のファクシミリ装置に対してはA4の画像を送信する必要がある。しかし、たとえばファクシミリ送信用画像を切り出ない場合には、前記ページをA3幅の画像として生成するか、A4幅の画像に縮小して生成するかの何れによらねばならない。このため、(1)第2宛先のファクシミリ装置への送信を優先して、第1宛先のファクシミリ装置に対してもA4幅の画像として送信する、(2)第1宛先のファクシミリ装置への送信を優先して、画像生成時にはA3幅の画像として生成し、第2宛先のファクシミリ装置に送信する際にA3幅の画像をA4幅に縮小して(送信時に作成完了した画像に対して間引いて縮小するため画質は劣化する)送信するしかない。
【0012】
本発明は、ファクシミリ送信用画像を一旦ファクシミリ装置に送信し、当該ファクシミリ装置を介してファクシミリ送信用画像を他のファクシミリ送信する画像送信装置において、同報ファクシミリ送信を行う場合に、送信画像幅が、ある宛先の受信可能な最大画像幅に対応するが、他の宛先の最大画像幅に対応しないときであっても、各宛先にそれぞれの最大画像幅に対応した画像を送信することができる画像送信装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像送信装置は、画像を中継ファクシミリ装置に一旦転送した後、当該中継ファクシミリ装置に他のファクシミリ装置への送信を指示することで画像送信を行うもので、宛先となるファクシミリ装置の受信画像幅が宛先ごとに登録されるテーブルと、送信するべき元文書にかかる画像の宛先を複数指定することができる宛先指定手段と、前記宛先指定手段により、宛先が複数指定された場合において、前記テーブルに当該指定された宛先が登録されているときは受信画像幅フィールドを参照して、各宛先の受信画像幅が前記元文書の画像幅に対応しているか否かを判断する画像幅判断手段と、画像幅判断手段が、全部の宛先の受信画像幅が前記元文書の画像幅に対応していると判断したときは、元文書にかかる画像の画像幅で送信用画像を生成し、全部または一部の宛先の受信画像幅が前記元文書の画像幅に対応していないと判断したときは、前記元文書にかかる画像の画像幅で送信用画像を生成するとともに、前記画像幅が対応していない宛先の受信画像幅に対応する幅で送信用画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段により生成した前記画像を、宛先情報とともに前記中継ファクシミリ装置に転送して前記他のファクシミリ装置への送信を行わせる画像転送手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の画像送信装置は、PC-FAX送信で同報送信を行う際、文書のあるページに対して相手先によって異なる幅(生成した画像の幅でそのまま画像生成するか、縮小して画像を生成する必要があるか)で画像を生成する必要が生じた場合、そのページのみ異なる幅で画像を生成して蓄積し、送信時に、そのページに対しては相手先によって異なる幅の画像を選択して送信することができる。
【0015】
本発明の画像送信装置では、複数の宛先のそれぞれの受信画像幅の中の最小の画像幅が、前記元文書の画像幅よりも同じか大きいときは、前記画像幅判断手段は、宛先の受信画像幅が前記元文書の画像幅に対応していると判断する。また、複数の宛先のそれぞれの受信画像幅の中の最小の画像幅が、前記元文書の画像幅よりも小さいときは、宛先の受信画像幅が前記元文書の画像幅に対応していないと判断する。
【0016】
さらに、本発明では、前記元文書が複数のページからなるときは、前記画像幅判断手段は各ページごとに画像幅の判断を行い、前記画像生成手段は、前記画像幅判断手段による判断に応じて当該各ページごとに送信用画像を生成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
まず、G3ファクシミリの標準プロトコル手順を簡単に示す。
G3ファクシミリの交信手順は、フェーズA:発呼,フェーズB:前手順,フェーズC:画送信,フェーズD:後手順,フェーズE:回線切断、の5つのフェーズに分けられ、フェーズA,Bでは発呼側と着呼側の能力の識別を行い送信条件を決定し、フェーズC,Dでは画像送信後の指示および受信確認を行い、フェーズEでは画像送信後の指示および受信確認を行う。
【0018】
図2に標準的なG3プロトコル交信の例を示す。まず発呼側から着呼側に1100Hzの呼出信号CNGを送信する。着呼側端末はCNGを受信すると発呼側に2100Hzの被呼端末識別信号CEDを送信する。ここまでがフェーズAである。
【0019】
次にフェーズBに移る。そこではまず着呼側からCEDに続いて被呼端末識別信号CSI、デジタル識別信号DISを送信する。CSIでは発呼側に着呼側端末のCSIコード(国際識別番号)を伝え、DISでは受信側の有する機能(受信側でサポートしている記録幅能力、解像度能力、圧縮方式等)を伝える。これに対し発呼側ではDISを受信後、まず送信端末識別信号TSIを送信し、次いでデジタル命令信号DCSを送信する。TSIでは着呼側に発呼側のCSIコードを伝え、DCSでは発呼側の機能とDISでわかった着呼側の端末機能から決定した交信条件(どの画像幅、解像度、圧縮方式で送信するか等)を伝える。次に通信速度を決定するため、発呼側から着呼側にトレーニング信号TCFを送信する。通常このTCFは最初は発呼側と着呼側の持つ最高速度で送信する。この信号に対し着呼側で正常に受信できたら発呼側に受信準備確認信号CFRを送信する。受信できなかったらトレーニング失敗信号FTTを送信する。発呼側ではFTTを受け取ったら速度を落として再びTCFを送信する。たとえば28800bpsのTCFに対しFTTが返ってきた場合、26400bpsのTCFを送信する。CFRを受け取ったらその時のTCFの速度を記憶しておき、フェーズBは終了する。
【0020】
次にフェーズCに移る。ここではフェーズBでTCFによって決定した速度で、発呼側から着呼側に画像をメッセージとして送信する。
1ページの画像送信が完了するとフェーズDに移る。ここではまず次ページがない場合発呼側から着呼側に手順終了信号EOPを送信する。同じ送信モードで次のページのメッセージ(画像)を送信する場合はマルチページ信号MPSを送信する。異なる送信モードで次のページのメッセージ(画像)を送信する場合はメッセージ終了信号EOMを送信する。着呼側ではEOP、MPS、EOMのいずれかを受け取ると発呼側にメッセージ確認信号MCFを送信する。発呼側でMCFを受け取るとフェーズDは終了する。
【0021】
この後どのフェーズに進むかは、フェーズDでEOP、MPS、EOMのどれを送信したかによって決まる。EOPを送信した場合、すなわち次ページがない場合はフェーズEに進む。フェーズEでは発呼側から着呼側に切断命令信号DCNを送信し、回線を切断して交信が終了する。MPSを送信した場合、すなわち次ページを同じ送信モードで送信する場合はフェーズCに戻り、次ページのメッセージ(画像)の送信に移る。EOMを送信した場合、すなわち次ページを異なる送信モードで送信する場合、DCSで一旦決定した送信条件を決め直す必要があるため、フェーズBに戻る。
【0022】
G3標準プロトコルでは、フェーズの途中から通信を行うことはできず、また、フェーズの途中の交信をスキップすることはできない。したがって、送信モードがどのように変わる場合でも、EOMを送信して、フェーズBの先頭からやり直す必要がある。
【0023】
ここで、G3ファクシミリでは送信するときの画像幅として幅の大きい順にA3幅、B4幅、A4幅の3種類がある。DISで受信側から送信側に通知される記録幅能力もA3幅、B4幅、A4幅の3種類があり、記録幅能力A3幅の場合はA3幅、B4幅、A4幅すべての画像幅で受信できるが、記録幅能力がB4幅の場合はB4幅、A4幅のみ受信可能でA3幅では受信できず、記録幅能力がA4幅の場合はA4幅のみ受信可能でA3幅、B4幅では受信できない。従って例えばDISで記録幅能力B4幅と通知された場合は、DCSでは送信幅B4またはA4を受信側に通知し、その幅で画像を送信しなければならない。
【0024】
次に、ファクシミリ装置で原稿を読み取ってメモリに蓄積する一般的な手順を図1を使って示す。図1において、ファクシミリ装置11は、ネットワークI/F装置(Net−I/F)101と、スキャナ102と、画像処理装置103と、ページメモリ104と、圧縮器105と、伸長器106と、蓄積メモリ107と、モデム用圧縮器108と、モデム109と、ファクシミリコントローラ110とからなる。ファクシミリ装置11は、ネットワーク200を介してクライアントPC21,22,23に接続されている。
【0025】
ファクシミリ装置11では、スキャナ102が原稿画像を読み取る。画像処理装置103はこの原稿画像に所定の画像処理を行い、ファクシミリ送信用画像を生成し、生成した画像をページメモリ104に蓄積する。圧縮器105は、ページメモリ104に蓄積された画像を圧縮し、圧縮画像を蓄積メモリ107に蓄積する。圧縮して蓄積メモリ107に蓄積することで、なるべく多くのページを蓄積メモリ107に蓄積できる。
【0026】
次に、蓄積メモリ107に蓄積された画像を相手機に送信する一般的な手順を図1を用いて説明する。まず蓄積メモリ107に圧縮して蓄積された画像を伸長器106によってページメモリ104に伸長する。次いでモデム用圧縮器108によって、フェーズBのDCSで決定した圧縮方式で画像を再圧縮し、モデム109に転送する(ここで蓄積メモリ107に蓄積するときの圧縮方式とモデム109に転送するときの圧縮方式が同じであれば、伸長・再圧縮せずに蓄積メモリ107からモデム109に転送することもできる)。モデム109では、転送されてきた画像信号を変調し、フェーズCにおけるメッセージ信号として受信機に送信する。
【0027】
次に、PC-FAX送信においてPCで作成したファクシミリ送信画像をファクシミリのメモリに蓄積する手順を図1を使って示す。図1ではネットワーク200にクライアントPC21とファクシミリ装置11とが接続されており、ネットワーク200を通してクライアントPC21とファクシミリ装置11との間で画像やその他のデータが転送できる。ファクシミリ装置11はNet-I/F11によってネットワーク200に接続されており、クライアントPC21で作成したファクシミリ送信画像はまずNet-I/F11に転送される。ファクシミリ装置11内で画像をNet-I/F11からページメモリ104に一旦蓄積され、原稿読み取りの場合と同様に圧縮器105によって圧縮されて蓄積メモリ107に蓄積される。蓄積メモリ107に蓄積された画像を送信する手順は前述の通りである。
【0028】
図1においては、Net-I/F11やモデム109はファクシミリコントローラ110によって制御される。このファクシミリコントローラ110を介して、クライアントPC21からネットワーク200を伝わってNet-I/F11に伝えられた宛先情報をモデム109に伝えたり、通信時にモデム109が得た相手機の受信能力をNet-I/F11からクライアントPC21に伝えることができるようになっている。
〔表1〕に相手機の記録幅を記憶するテーブルの例を示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003771197
【0030】
Sadr[i]は宛先を記憶する配列変数、Swidth[i]は記録幅を記憶する配列変数である。Sadr[i]、Swidth[i]はともに図1の構成においてはクライアントPC21の中でファイル等によって記憶する。iはインデックス用の変数であり、i=0,1,2,・・・とする。ここでは、iが十分大きい値をとれるものとし、テーブルは溢れない(一杯とはならない)ものとする。〔表1〕ではi=0に関して、Sadr[0]=“03XXXXXXXX”、Swidth[0]=B4幅となっているが、これは“03XXXXXXXX”という宛先の相手先の記録幅がB4幅であることを示す。同様に宛先“YYYYYYYY”の相手先の記録幅はA3幅、宛先“06ZZZZZZZZ”の相手先の記録幅はA4幅であることを示す。Sadr[i]=NULLであるところは宛先が未定義であり、宛先−記録幅のテーブルが記憶されていないことを示す。また、このテーブルでは、あるiでSadr[i]=NULLだとすると、それより大きいj(>i)についてSadr[j]=NULLであるとする。
【0031】
すなわち宛先の設定されているテーブルと、宛先未定義のテーブルはそれぞれ連続しているとする(〔表1〕ではi=0〜2に宛先が設定され、i=3〜では宛先未定義)。これはテーブル検索時にi=0,1,2,・・・と検索していって、あるところでSadr[i]=NULLであったら、そこがテーブルの終わり(それ以降はすべてNULL)と見なせるようにするためである。
【0032】
図3に記録幅テーブルに設定を追加する手順のフローを示す。図3では、追加したい宛先をadr、その記録幅をwidthにセットして処理が開始される。まず、iを「0」にセットし(i←0)(S101)、i=0から順にファイル等に記憶されているテーブルの宛先Sadr[i]を調べる(S102)。それがNULL(宛先未定義)であったら(S102の「Yes」)、adrに一致する宛先が見つかる前にテーブルが終了したということなので、インデックスiのところに宛先(Sadr[i]←adr)と記録幅(Swidth[i]←width)を設定し(S103)、終了する。
【0033】
S102において、宛先Sadr[i]がNULL(宛先未定義)でないなら(S102の「No」)、Sadr[i]がadrに一致したら(S104の「Yes」)、それに対応する記録幅を更新して(Swidth[i]←width)(S105)、終了する。NULLにもadrにも一致しなかったら(S104の「No」)、インデックスiを増やして(i←i+1:S106)、S102に戻り、同様の比較を繰り返す。
【0034】
本実施形態では、〔表1〕の記録幅テーブルを常に最新の状態に保つために、ファクシミリ側で相手機に送信を行うたびに、送信後、ファクシミリ側からクライアントPCへその宛先の記録幅を通知し、クライアントPC側で記録幅の通知を受けるたびに図3の手順に従って記録幅テーブルを更新するものとする。
【0035】
図4に記録幅テーブルから、ある宛先adrに対する記録幅を検索する手順のフロー(本発明の画像幅判断手段の処理フロー)を示す。図4では検索したい宛先をadrにセットして実行され、戻り値としてその宛先の記録幅が返る(宛先がテーブルにない場合は「未定義」が返る)。まず、iを「0」にセットし(i←0)(S201)、i=0から順にファイル等に記憶されているテーブルの宛先Sadr[i]を調べる(S202)。それがNULL(宛先未定義)であったら(S202の「Yes」)、adrに一致する宛先が見つかる前にテーブルが終了したということなので、「未定義」を戻り値として返して終了する(S203)。S202で、Sadr[i]がNULL(宛先未定義)でないなら、Sadr[i]がadrに一致したら(S204の「Yes」)、それに対応する記録幅(Swidth[i])を戻り値として返して終了する(S205)。NULLにもadrにも一致しなかったら(S204の「No」)、インデックスiを増やして(i←i+1:S206)、ステップS202に戻り、同様の比較を繰り返す。
【0036】
図5に複数の宛先を設定し、設定した宛先を記憶するとともに、記録幅テーブルを元にそれらの宛先に対する最小の記録幅を検索する手順のフローを示す。このフローはPC側で文書の画像生成時の最初に行われ、ここで検索した最小記録幅を元に、各ページの画像を生成する際に縮小するかどうかを決定する。まず変数NADR(宛先数)を0にクリアし(S301)、変数MIN_WIDTH(最小記録幅)を「A3幅」に初期化しておく(S302)。
【0037】
次にユーザが設定した(複数の)宛先(S303)から一つを配列変数ADR[NADR]に記憶する(最初はNADR=0なので記憶する配列変数の箇所はADR[0]である)。次に図4のフローに従って、ADR[NADR]に対する記録幅を検索し、検索結果を変数widthに格納する(S304)。ここで、widthが「未定義」でなく(S305の「No」)、かつwidthがMIN_WIDTHより小さければ(S306の「Yes」:この判断での大小比較はA3幅>B4幅>A4幅として行う)、MIN_WIDTHをwidthで置き換える(S307)。その後、NADRを「1」インクリメントし(S308)、次の宛先があれば(S309の「Yes」)宛先設定から繰り返し、次の宛先がなければ終了する(S309の「No」)。図5のフロー終了時点で、NADRには宛先数が、ADR[0]〜ADR[NADR−1]には入力した宛先が、MIN_WIDTHにはそれらの宛先から検索した最小の記録幅がそれぞれセットされる。
【0038】
まず、本発明の実施形態のため、同じページに対し複数の方法(A3幅のページに対し、A3幅で蓄積するのとA4幅に縮小して蓄積する、等)で蓄積するための画像ファイルの管理方法について〔表2〕(A),(B)に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0003771197
【0040】
画像はIMG[p][i](p:ページ番号(p=1,2,3・・・)、i:ページ内インデックス(i=0,1,2,3))という二次元配列で管理することにし、IMG[p][i].PICが一ページの画像を蓄積するページファイル、IMG[p][i].WIDTHがIMG[p][i].PICの画像幅(A3幅/B4幅/A4幅/未定義)を示しているとする。
【0041】
IMG[p][i].PIC,IMG[p][i].WIDTHとも図1における蓄積メモリ107上に確保する。IMG[p][i].WIDTH=未定義の場合は、それに対応するページファイルIMG[p][i].PICには画像は蓄積されていないことを示す。通常はi=0のみ用い、画像はIMG[p][0].PICにのみ蓄積し、IMG[p][0].WIDTHにIMG[p][0].PICの画像の幅(A3幅/B4幅/A4幅)をセットし、IMG[p][1].WIDTH,IMG[p][2].WIDTH,IMG[p][3].WIDTHには「未定義」をセットする。一つのページに対してA3幅用、B4幅用、A4幅用といったように複数の方法による画像を蓄積する場合は、IMG[p][0].PICにA3幅用の画像、IMG[p][1].PICにB4幅用の画像、IMG[p][2].PICにA4幅用の画像を蓄積し、IMG[p][0].WIDTHにA3幅、IMG[p][1].WIDTHにB4幅、IMG[p][2].WIDTHにA4幅をセットし、IMG[p][3].WIDTHには未定義をセットする。このようにして、同じページに対し、異なる送信幅用の画像をそれぞれ蓄積できるようにする。
【0042】
図6に、本発明の画像転送手段の処理フロー、すなわちあるページの元文書(生成した画像の幅)の幅が送信先の最小記録幅より大きい場合(送信先の最大記録幅より小さい場合)に、そのページに対して縮小せずに作成した画像と縮小して作成した画像をそれぞれファクシミリ装置11に転送するフローを示す。
【0043】
図6では、まず図5のフローに従って宛先を設定する(S401)。その際には、入力された(複数の)宛先に対する最小の記録幅が変数MIN_WIDTHにセットされる。ついで、ファクシミリ装置11にその設定した宛先を通知し(S402)、ページ番号を表す変数pを「0」にセットして初期化する(S403)。
次にpをインクリメント(p←1)して「1」増やす(S404:この時点でpはこれから生成しようとしている文書のページ番号を示している)。続いて文書からpページ目を読み込み(S405)、その文書を縮小せずに画像を作成した場合の幅(元文書の幅)を変数widthにセットする。ついで元文書の幅widthと最小記録幅MIN_WIDTHに応じて、pページ目の画像として一つないしは複数生成してファクシミリに転送する(406)。この部分については〔表3〕を用いて後述する。このようにして1ページ分の画像生成・ファクシミリへの転送が終了すると、次ページがあればpを1増やすところから繰り返し(S407の「Yes」)、次ページがなければ終了する(S407の「No」)。
【0044】
〔表3〕および図7により、画像生成手段の処理フロー、すなわち元文書の幅widthと最小記録幅MIN_WIDTHに応じて画像を生成する処理手順について示す。〔表3〕の画像生成処理手順では、「画像生成方法」のカラムのページ内インデックス([x]:x=0,1,2)は、それぞれの方法で生成した画像が蓄積されることを表している。ここでは、等倍の画像と縮小した画像の両方を生成する場合でも、インデックス=0のところには等倍の画像が蓄積されるようにしている。
【0045】
【表3】
Figure 0003771197
【0046】
たとえば、図7に示すように元文書の幅width=A3幅で最小記録幅MIN_WIDTH=A4幅の場合、まず元文書に対して等倍で(縮小せずに)A3幅の画像を生成し(S501)、その画像をpページ目のページ内インデックス=0の画像としてファクシミリに転送する(S502)。この際、併せてその画像がA3幅であることをファクシミリに通知する。ファクシミリ側では、この画像の転送に対しIMG[p][0].PICに画像を格納し、IMG[p][0].WIDTHにA3幅をセットする。ついで元文書A3幅の画像をB4幅に縮小して画像を生成する(S503)。縮小の方法としては、たとえば文字の大きさをポイント指定された文書をA3幅からB4幅に縮小した画像を作成したい場合、B4幅/A3幅の割合だけ小さくしたポイント値の文字を生成すればよい。この生成したB4幅の画像を今度はpページ目のページ内インデックス=1の画像としてファクシミリに転送し、併せてその画像がB4幅であることをファクシミリに通知する。同様に元文書A3幅の画像をA4幅に縮小して画像を生成し(S504)、その画像をpページ目のページ内インデックス=2の画像としてファクシミリに転送し(S505)、併せてその画像がA4幅であることをファクシミリに通知する(S506)。
【0047】
このようにすることによって、たとえば最小記録幅がA4幅、元文書の幅がA3幅の場合、送信時に記録幅能力がA4幅の相手先に対しては、画像生成時にA4幅に縮小された画像がメモリ上に蓄積されて用意され、記録幅能力がA3幅の相手先に対しては、縮小せずに生成された画像がまたメモリ上に蓄積されて用意されている。
【0048】
図8に、まず送信時にページ番号pと送信時のネゴシエーション結果から得られた相手機の記録幅能力r_width(DISで通知される幅)を元に、〔表3〕のように複数の方法で生成し蓄積した画像から送信に用いる画像を選択する処理を示す。
図8ではフロー終了時に、変数indexにページpのうち送信に用いる画像のインデックスがセットされる。すなわち送信時にはIMG[p][index].PICの画像を用いればよいことになる。また変数widthには送信画像の幅(DCSで通知する幅)がセットされる。
【0049】
まず、IMG[p][0].PICには縮小せずに読み取った画像が蓄積されているので、その画像幅IMG[p][0].WIDTHとr_widthを比較し(S601)、r_widthの方が大きいか等しければ(S601の「Yes」)、IMG[p][0].PICの画像をそのまま送信できるため、indexに0をセットし(S602:index←0)、widthにIMG[p][0].WIDTHをセットして終了する。S601においてIMG[p][0].WIDTHよりもr_widthの方が小さければ(S601の「No」)、続いてr_widthと、IMG[p][1].WIDTH, IMG[p][2].WIDTHを比較し、どちらかがr_widthと一致すれば(S603,S605で「Yes」)、その記録幅用に縮小して蓄積された画像が用意されているということなので、indexに1または2をセットし、widthにその(縮小後の)画像の幅IMG[p][1].WIDTHまたはIMG[p][2].WIDTHをセットして(S604,S606)、処理を終了する。
【0050】
S603,S605の判断がともに「No」となる場合は、画像を縮小する必要があるが、あらかじめ縮小して蓄積された画像がないということである。この場合、縮小せずに読み取った画像を元にして送信時に間引いて縮小するしかない。このため、indexには0をセット(縮小していない画像IMG[p][0].PICを用いる)し、widthにはr_widthをセットする(S607)。この場合、width=IMG[p][index].WIDTHとはならないため、幅IMG[p][0].WIDTHで生成された画像を送信時に縮小して幅widthにして送信しなければならない。そのためにはいったん完成した画像に対し、ラインを間引くといった方法になるため、画像生成時に縮小した場合に比べて画質が劣化する。ただし、このように途中の条件に当てはまらず最終的に送信時に間引いて縮小せざるを得ないのは、記録幅テーブル上にその相手先の記録幅が記憶されていない場合か、実際にネゴシエーションを行った結果の記録幅が、記録幅テーブルに記憶されている幅と異なっていた場合(相手側で機種を入れ替えた場合など)であり、使用頻度の高い宛先に対してはそのようなケースは少ないと考えられる。
【0051】
次に、図6のフローに従ってメモリに蓄積した画像を実際に送信する時のフローを図9に示す。図9のフローは複数入力された宛先のうち一つの宛先への送信について示しており、実際には図9のフローを宛先数分繰り返すことになる。図9では、まず宛先にダイヤルし(S701)、ページ番号を表す変数pを1に初期化しておき(S702)、続いてCNGを送信・CEDを受信する(フェーズA)(S703)。続いてCSI・DISを受信し(S704)、DISから相手機の実際の(その時点での)記録幅能力を得、変数r_widthにセットする。続いてその宛先の記録幅が記録幅テーブルにない場合か、テーブルと変わっている場合に備え、図3のフローに従って記録幅テーブルを更新しておく(S705)。続いてまずTSIを送信し(S706)、図8のフローに従って、ページ番号pと記録幅能力r_widthを元にして、送信に用いる画像のインデックスindexと、送信幅widthを決定する(S707)。次にDCSを送信するが(S708)、その際に画像幅はwidthで通知する。続いてトレーニングを行いフェーズBは完了する(S709)。
【0052】
続くフェーズCでの画像(メッセージ)送信にあたって、まず送信幅widthが送信に用いる画像の幅IMG[p][index].WIDTHより小さいかどうか判断する(S710)。小さければ〔表3〕で説明したように、送信時に間引いて縮小しなければならないケース(ただし使用頻度の高い宛先については少ないケース)なので、IMG[p][index].PICの画像をwidth幅に間引いて送信する(S712)。さもなければindexで決まる画像IMG[p][index].PICの画像をそのまま送信する(S711)。
【0053】
続いて、まず次ページがあるかどうか調べ(S713)、次ページがない場合はEOPを送信しMCF(S714)を受信し(フェーズD)(S715)、DCNを送信して回線を切断し(フェーズE)終了する(S716)。次ページがあれば、pをインクリメントし(p←p+1)(S717)、変数width0に前のページの画像幅としてwidthを保存しておいた後(S718)、再度図8のフローに従ってp、r_widthよりindex、widthを決定する(S719)。そこでwidth(次ページの画像の送信幅)がwidth0(全ページの画像の送信幅)と等しければ(S720)、同じ送信モードで次ページの画像を送信するため、MPSを送信・MCFを受信した後(S723,S724)、フェーズCの前のwidthとIMG[p][index].WIDTHとの比較に戻る(S710:ここでは画像幅以外の送信モードは変更されないものとする)。等しくない場合、異なるモードで次ページの画像を送信するため、EOMを送信・MCFを受信した後(S721,S722)、フェーズBの先頭であるCSI・DIS受信(S704)に戻る。
【0054】
【発明の効果】
複数の宛先を指定してPC-FAX送信を行う際に、各宛先に対して、記憶してあるその宛先に対する記録幅より最小の記録幅を検索し、作成しようとする文書のページの画像の幅が、その最小の記録幅を上回った場合に、そのページに対して、通常に作成した画像と、縮小して作成した画像をファクシミリのメモリにそれぞれ蓄積するようにした。これにより、送信時に、各相手先に応じた最適な画像を用意することができるようになり、特に縮小する場合、送信時に間引く場合に比べて画質の劣化を押さえた画像とすることができる。
【0055】
同じ文書のページに対して複数の宛先にPC-FAX送信を行う際に、相手機の記録幅に応じて、あらかじめ複数の方法で蓄積された画像の中から選択して画像を送信することにより、送信時に、各相手先に応じた最適な画像を用意することができるようになり、特に縮小する場合、送信時に間引く場合に比べて画質の劣化を押さえた画像を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像送信装置を説明するためのシステム構成図である。
【図2】標準的なG3プロトコル交信の例を示す図である。
【図3】記録幅テーブルに設定を追加する手順のフローを示す図である。
【図4】記録幅テーブルから、ある宛先に対する記録幅を検索する手順のフローを示す図である。
【図5】複数の宛先を設定し、設定した宛先を記憶するとともに記録幅テーブルを元にそれらの宛先に対する最小の記録幅を検索する手順のフローを示す図である。
【図6】あるページの元文書(生成した画像の幅)の幅が送信先の最小記録幅より大きい場合に、そのページに対して縮小せずに作成した画像と縮小して作成した画像をそれぞれファクシミリ装置に転送するフローを示す図である。
【図7】元文書の幅と最小記録幅に応じて画像を生成する方法を示す図である。
【図8】送信時にページ番号と送信時のネゴシエーション結果から得られた相手機の記録幅能力を元に、複数の方法で生成し蓄積した画像から送信に用いる画像を選択する処理を示す図である。
【図9】メモリに蓄積した画像を実際に送信する時のフローを示す図である。
【符号の説明】
11 ファクシミリ装置
101 ネットワークI/F装置(Net−I/F)
102 スキャナ
103 画像処理装置
104 ページメモリ
105 圧縮器
106 伸長器
107 蓄積メモリ
108 モデム用圧縮器
109 モデム
110 ファクシミリコントローラ
21,22,23 クライアントPC
200 ネットワーク

Claims (3)

  1. 画像を生成し当該画像を中継ファクシミリ装置に一旦転送した後、当該中継ファクシミリ装置に他のファクシミリ装置への送信を指示することで画像送信を行う画像送信装置において、
    宛先となるファクシミリ装置の受信画像幅が宛先ごとに登録されるテーブルと、
    送信するべき元文書にかかる画像の宛先を複数指定することができる宛先指定手段と、
    前記宛先指定手段により、宛先が複数指定された場合において、前記テーブルに当該指定された宛先が登録されているときは受信画像幅フィールドを参照して、各宛先の受信画像幅が前記元文書の画像幅に対応しているか否かを判断する画像幅判断手段と、
    画像幅判断手段が、全部の宛先の受信画像幅が前記元文書の画像幅に対応していると判断したときは、元文書にかかる画像の画像幅で送信用画像を生成し、全部または一部の宛先の受信画像幅が前記元文書の画像幅に対応していないと判断したときは、前記元文書にかかる画像の画像幅で送信用画像を生成するとともに、前記画像幅が対応していない宛先の受信画像幅に対応する幅で送信用画像を生成する画像生成手段と、
    前記画像生成手段により生成した前記画像を、宛先情報とともに前記中継ファクシミリ装置に転送して前記他のファクシミリ装置に送信を行わせる画像転送手段と、
    を備えたことを特徴とする画像送信装置。
  2. 前記画像幅判断手段は、複数の宛先のそれぞれの受信画像幅の中の最小の画像幅が、前記元文書の画像幅よりも同じか大きいときは、宛先の受信画像幅が前記元文書の画像幅に対応していると判断し、前記元文書の画像幅よりも小さいときは、宛先の受信画像幅が前記元文書の画像幅に対応していないと判断することを特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。
  3. 前記元文書が複数のページからなるときは、前記画像幅判断手段は各ページごとに画像幅の判断を行い、前記画像生成手段は、前記画像幅判断手段による判断に応じて当該各ページごとに送信用画像を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像送信装置。
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