JP3770967B2 - 発振回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゲートアレイ等に好適な発振回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、相補型絶縁電界トランジスタ(CMOS)からなる半導体集積回路のリードピンに、コンデンサと、そのコンデンサに対し直列もしくは並列に抵抗を接続することにより構成された発振回路が知られている。このような発振回路の一例として、半導体集積回路のリードピンのうちの1つのリードピンのみに抵抗とコンデンサを接続し、かつ電源電圧の変動に対して安定した自励発振を行なう発振回路が、特公昭61−12411号公報に提案されている。
【0003】
図3は、特公昭61−12411号公報に提案された発振回路を示す図である。
半導体集積回路の外部には、電源電圧VDDとグラウンドとの間に互いに直列接続された抵抗32とコンデンサ33が配置されている。抵抗32とコンデンサ33との接続点は半導体集積回路のリードピン31に接続されている。
【0004】
一方半導体集積回路の内部には、リードピン31とグラウンドとの間に配置されたNMOSトランジスタ34と、リードピン31とNMOSトランジスタ34のゲートとの間に配置され順次直列に接続された4個のインバータ35,36,37,38とが配置されている。
ここで、4個のインバータ35,36,37,38のうちの、図の左から2番目のインバータ36は、入力側からの論理信号の、’H’レベルから’L’レベルへの変化を出力側に比較的速く伝達し、入力側からの論理信号の、’L’レベルから’H’レベルへの変化を出力側に比較的遅く伝達するように構成されている。一方、インバータ36の出力側に接続されたインバータ37は、そのインバータ36とは逆に、入力側からの論理信号の、’H’レベルから’L’レベルの変化を出力側に比較的に遅く伝達し、入力側からの論理信号の、’L’レベルから’H’レベルへの変化を出力側に比較的速く伝達するように構成されている。
【0005】
このように構成された発振回路では、上述したインバータ36,37により、ノードDの’L’レベルがインバータ36,37により遅延されるため、そのノードDの’L’レベルがノードFに伝達されるまで時間が比較的長くかかる。従って、NMOSトランジスタ34が比較的長い時間オン状態になり、コンデンサ33に蓄えられた電荷が充分に放電されノードDがグラウンド電位に向かう。主にインバータ36,37による遅延時間経過後ノードFが’L’レベルになり、これによりNMOSトランジスタ33がオフ状態になり、抵抗32を経由してコンデンサ33が充電され、ノードDの電位が’H’レベルに向かう。抵抗32の値とコンデンサ33の値との時定数により定まる時間経過後、初段のインバータ35がオン状態になる。すると、インバータ36,37,38を経由してNMOSトランジスタ34が即座にオン状態になり、ノードDが’L’レベルになる。このような動作が繰り返され発振が行われる。この発振回路では、インバータ36,37により、入力側からの論理信号の’L’レベルが遅延され、これによりNMOSトランジスタ34が比較的長い時間オン状態になるためコンデンサ33に蓄えられた電荷が充分に放電される。従って、コンデンサ33の充電にあたり、抵抗32の値とコンデンサ33の値との時定数により定まる充電カーブのうちの、常に安定した立ち上がりの急峻な部分を使用することができ、電源電圧の変動に対して安定した発振を行なうことができる。
【0006】
ここで、発振周波数f0 は、
f0 =1.44/RC
となり、電源電圧VDDに依存しない安定した発振周波数が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この発振回路をゲートアレイ設計手法で設計する場合、ゲートアレイには、インバータ36,37のように、入力信号の、’L’レベルから’H’レベルへの変化,’H’レベルから’L’レベルへの変化を出力側に比較的遅く伝達するようなインバータは、通常存在しない。そこで、ゲートアレイの素子であるバッファ、インバータ、ナンドゲート、あるいはノアゲート等を用いた発振回路が考えられる。
【0008】
図4は、ゲートアレイの素子を用いて構成した発振回路を示す図、図5は、図4に示す発振回路の各ノードの波形を示す図である。
ゲートアレイの外部には、そのゲートアレイのリードピン40とグラウンドとの間に互いに並列接続された抵抗32とコンデンサ33が備えられている。またゲートアレイの内部には、リードピン40に接続された、シュミットバッファ41aとスイッチゲート41bからなる双方バッファ41と、その双方向バッファ41に接続された多数のバッファ42aからなるディレイ用のバッファチェーン42と、双方向バッファ41とバッファチェーン42との間に配置されたラッチ43とが備えられている。双方向バッファ41を構成するスイッチゲート41bの入力側には電源電圧VDDが入力される。またスイッチゲート41bには制御端子41cが設けられており、この制御端子41cに’H’レベルが入力されるとスイッチゲート41bを経由して電源電圧VDDが供給され、’L’レベルが入力されるとそのスイッチゲート41bで電源電圧VDDが遮断される。
【0009】
このように構成された発振回路の動作を、図5を参照して説明する。
ノードAの電位が抵抗32を経由して’H’レベルから’L’レベルに向かい、シュミットバッファ41aの、’L’レベル側のしきい値電圧VT-より下がると、そのシュミットバッファ41の出力(ノードB)は’H’レベルから’L’レベルに変化する。するとラッチ43がセットされ、ノードDは’H’レベルになる。この’H’レベルがスイッチゲート41cの制御端子41cに入力され、これによりスイッチゲート41bを経由して電源電圧VDDが供給される。するとコンデンサ33が充電され、ノードAが’H’レベルに向かう。ノードAが’H’レベルに向かい、シュミットバッファ41aの、’H’レベル側のしきい値電圧VT+より高くなると、シュミットバッファ41aの出力は’L’レベルから’H’レベルに変化する。即ち、ノードBには、図5に示すような’L’レベルのパルスが発生する。この’L’レベルのパルスはバッファチェーン42で遅延され、ノードCには、ノードBのパルスが遅延された、図5に示すような’L’レベルのパルスが発生する。この’L’レベルのパルスがラッチ43に入力され、これによりラッチ43がリセットされる。すると、ノードDが’L’レベルとなり、スイッチゲート41bを経由して供給されている電源電圧VDDが遮断される。すると、コンデンサ33の電荷が抵抗32を経由して放電され、これによりノードAの電位が’L’レベルに向かう。このような状態が繰り返されて発振が行なわれる。
【0010】
しかし、図4に示す発振回路におけるディレイ用のチェーンバッファ42は、多数のバッファ42aを互いに直列接続して遅延時間を稼ぐものであるため、回路規模が大きくなり問題がある。そこで、チェーンバッファ42に代わる回路として、前述したインバータ36の構成にみられるような、入力側からの信号の、’H’レベルから’L’レベルの変化を出力側に比較的速く伝達するとともに出力側を’L’レベルから’H’レベルにし、また入力側からの信号の、’L’レベルから’H’レベルへの変化を出力側に比較的遅く伝達するとともに出力側を’H’レベルから’L’レベルにするような回路を考える。入力側からの信号としては、’L’レベルの時間が数nS〜数10nSのパルス幅を有するとともにそのパルス幅よりも充分長い時間’H’レベルを維持する信号を仮定する。尚、このパルス幅はゲートアレイに使用されるバッファ2段分のディレイ時間よりも長いものとする。
【0011】
図6は、入力側からの信号の、’H’レベルから’L’レベルの変化を出力側に比較的速く伝達するとともに出力側を’L’レベルから’H’レベルにし、また入力側からの信号の、’L’レベルから’H’レベルへの変化を出力側に比較的遅く伝達するとともに出力側を’H’レベルから’L’レベルにする第1の回路を示す図(a)、および第2の回路を示す図(b)である。
【0012】
図6(a)に示す第1の回路は、多数のバッファ61aからなるバッファチェーン61により遅延を行なっており、端子Aに入力された信号が充分長い間’H’レベルになった状態では、負論理オアゲート62の全ての入力は’H’レベルとなり、従って端子Bからの信号は’L’レベルになる。この状態で端子Aに入力された信号が’H’レベルから’L’レベルに変化すると、端子Bからの信号は即座に’H’レベルになる。また、端子Aに入力され’L’レベルに変化した信号はバッファチェーン61の各バッファ61aそれぞれに伝達される。次に端子Aに入力された信号が再び’H’レベルに戻ると、端子Bから出力されている信号は’L’レベルに戻ろうとする。しかし、バッファチェーン61の各バッファ61aそれぞれに伝達されている’H’レベルが、負論理オアゲート62の全ての入力に到達するま所定の時間が必要であるため、端子Bからの信号はしばらく’H’レベルの状態にとどまり、その後’L’レベルになる。
【0013】
図6(b)に示す第2の回路では、端子Aに入力される信号の、’L’レベルのパルス時間がバッファ61aの2段分の遅延時間と比較して長いことを利用して、負論理オアゲート64の入力数を減らしている。
しかし、図6(a),(b)に示す第1,第2の回路では、以下の問題が考えられる。
(1)端子Bから出力される、’H’レベルのパルス幅を大きくするためには、バッファ段数を増やす必要がある。すると、これに伴い負論理オアゲートの入力数が増加し、回路規模が増大する。
(2)入力信号の、’L’レベルから’H’レベルへ変化する場合の方が’H’レベルから’L’レベルへ変化する場合よりも速く信号を出力側に伝達するという特性を有するバッファでバッファチェーンを構成した場合、バッファ数が多くなり、またL’レベルの時間が短い幅を有するパルスが端子Aに入力されると、バッファチェーンを伝達している間にそのパルスが途中で消滅してしまう場合がある。そこで、パルスの消滅を防止するための回路を考える。
【0014】
図7は、バッファチェーンを伝達するパルスの消滅を防止するための第1の回路を示す図(a)、および第2の回路を示す図(b)である。
図7(a)に示す第1の回路は、2段のバッファ71aからなるディレイ回路71と負論理ノアゲート72とから構成されたパルス引き延ばし回路73で、バッファ71a2段分の時間づつパルス幅を増加して、端子Aに入力されたパルスの幅を引き延ばすことによりパルスが途中で消滅するという問題を解決している。
【0015】
図7(b)に示す第2の回路は、図7(a)に示す第1の回路を応用したものであり、この第2の回路では、後段に接続されたパルス引き延ばし回路73ほどバッファ71aが増設されている。このため、後段のパルス引き延ばし回路73になるにつれパルス幅が大きく引き延ばされることになり、少ない負論理ノアゲート72で効率よく回路が構成されている。
【0016】
図8は、複数のバッファと複数の負論理ノアゲートをカスケード接続して構成した回路を示す図、図9は、図8に示す回路の波形を示す図である。
図8に示す回路は、前段の、順次直列接続された5個のバッファ81それぞれと、後段の、互いに直列接続された5個の負論理オアゲート82それぞれとがカスケード接続されている。
【0017】
図9には、端子Aに入力されたパルスと、各バッファ81の出力波形と、各負論理ノアゲート82の出力波形と、端子Bに伝達された波形とが示されている。(ここでは便宜上、入力に対する、バッファ81,負論理ノアゲート82それぞれのディレイは同一とする)。図9に示すように、端子Aに入力されたパルスは、およそ9段分のバッファ81による引き延ばしが行なわれており、この引き延ばされたパルスが端子Bに出力されている。
【0018】
図10は、図4に示す発振回路を構成するバッファチェーン42と、そのバッファチェーン42の前段に備えられた引き延ばし回路91を示す図である。
図4に示す発振回路のバッファチェーン42を構成するにあたり、バッファの段数を多くすると、ノードBの’L’レベルのパルスが途中で消滅する場合がある。そこで、多段に構成されたバッファチェーン42の前段にパルス引き延ばし回路91を接続し、このパルス引き延ばし回路91でパルス幅を引き延ばしてからバッファチェーン42にパルスを伝搬させることにより、そのバッファチェーン42でパルスが消滅することを防止している。
【0019】
しかし、バッファチェーン42によるディレイが100nS必要な場合は、例えばバッファ42a1個あたりの遅延を0.5nSとすると、そのバッファチェーン52には、100ns÷0.5mS=200個のバッファ42aが必要であり、回路規模が大きくなるという問題がある。また、このバッファチェーン42に代わる、前述した図6に示すバッファチェーンと負論理オアゲートからなる回路構成においても、やはり多数のバッファが必要である。
【0020】
またバッファチェーンにより大きなディレイを得ようとすると、バッファ数が多くなるため、入力されたパルスがバッファチェーンを伝達している間に途中で消滅する場合があり、その場合パルス引き延ばし回路が必要になり、回路規模が一層大きくなるという問題が発生する。
本発明は、上記事情に鑑み、小さな回路規模で電源電圧の変動に対して安定した発振を行なう発振回路を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の発振回路は、
(2−1)コンデンサ
(2−2)そのコンデンサに対し直列もしくは並列に配設され、そのコンデンサを充電もしくは放電する抵抗
(2−3)上記コンデンサに対し充電と放電とのうち上記抵抗とは逆の作用をなす、上記コンデンサとグラウンドもしくは電源との間に配置された、制御信号により接断自在なスイッチ回路
(2−4)自励発振を行なって周期的な発振パルスを出力するリングオシレータ
(2−5)入力された二値論理信号のうちの一方の論理の信号でリセットされ、その二値論理信号が他方の論理状態にある時に上記リングオシレータの発振パルスをカウントするカウンタ
(2−6)上記カウンタが所定のカウント値に達した時に論理が反転する、上記スイッチ回路を接断するための制御信号を出力するゲート回路
を備えたことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態の発振回路を示す図である。
図1に示す発振回路には、ゲートアレイの外部に、一端がそのゲートアレイのリードピン11に接続され他端がグラウンドに接続されたコンデンサ12と、そのコンデンサ12に対し並列に配設され、そのコンデンサ12を充電もしくは放電する抵抗13とが備えられている。またゲートアレイの内部に、リードピン11と接続された、シュミットバッファ14aとスイッチゲート14b(本発明にいうスイッチ回路)からなる双方向バッファ14が備えられている。スイッチゲート14bの入力側には電源電圧VDDが入力されている。またスイッチゲート14bは、制御端子14cを備えており、この制御端子14cに’L’レベルの信号が入力されると、スイッチゲート14bを経由して電源電圧VDDが出力され、その電源電圧VDDでコンデンサ12が充電される。一方、制御端子14cに’H’レベルの信号が入力されると、そのスイッチゲート14bで電源電圧VDDが遮断され、コンデンサ12に充電された電荷が抵抗13を経由してグラウンドに放電される。
【0024】
またこの発振回路には、2個のナンドゲート15a,15bと、17個のインバータ15cからなるリングオシレータ15が備えられている。このリングオシレータ15は、自励発振を行なって周期的な発振パルスCをナンドゲート15aから出力する。
さらにこの発振回路には、3個のフリップフロップ16a,16b,16cからなるカウンタ16が備えられている。このカウンタ16は、負論理ノアゲート21からの信号Bのうちの’L’レベルの信号でリセットされる。一方、負論理ノアゲート21からの信号Bのうちの’H’レベルの信号が入力された状態にある時にリングオシレータ15の発振パルスCをカウントし、カウント値が7に達した時に負論理オアゲート17から信号Dとして’L’レベルの信号を出力する。
【0025】
また、スイッチゲート14bの制御端子14cに入力するための制御信号を出力するナンドゲート18も備えられている。さらに、カウンタ16からのパルスを、負論理オアゲート17,インバータ19を経由して入力し、入力されたパルスを2分周してディーティ比50%の発振信号Eを出力するフリップフロップ20も備えられている。
【0026】
ナンドゲート18,フリップフロップ20、および負論理ノアゲート21には、発振をイネーブルもしくはディスエーブルにするための信号ENBが入力される。
このように構成された発振回路の動作について、図2を参照して説明する。
図2は、図1に示す発振回路の信号波形を示す図である。
【0027】
発振回路に、先ず、’L’レベルの信号ENBが入力される。するとナンドゲート18の入力は’L’レベルになり、ナンドゲート18から’H’レベルの信号が出力される。この’H’レベルの信号が双方向バッファ14を構成するスイッチゲート14bの制御端子14cに入力され、これによりスイッチゲート14bで電源電圧VDDが遮断される。すると、コンデンサ12に充電された電圧が抵抗13を経由して放電される。
【0028】
またフリップフロップ20のリセット端子には、’L’レベルの信号ENBが入力されるため、フリップフロップ20はリセットされ、そのフリップフロップ20からの発振信号Eは’L’レベルの状態になる。また、負論理ノアゲート21にも’L’レベルの信号ENBが入力されるため、負論理ノアゲート21から’L’レベルの信号Bが出力され、これによりカウンタ16を構成する各フリップフロップ16a,16b,16cもリセットされる。従って、カウンタ16の各ビット(各フリップフロップ16a,16b,16cの出力)は全て0になり、負論理オアゲート17から’H’レベルの信号Dが出力される。一方、リングオシレータ15の状態は、ナンドゲート15bの一方の入力に負論理ノアゲート21からの’L’レベルの信号Bが入力されているため、ナンドゲート15bから’H’レベルの信号が出力され、そのナンドゲート15bの出力側に接続された次段のインバータ15cの出力には’L’レベルの信号が出力され、その次のインバータ15cの出力には’H’レベルの信号が出力される。このようにして16個のインバータ15cを経由し、ナンドゲート15aの一方の入力に’H’レベルの信号が入力される。またナンドゲート15aの他方の入力には、負論理オアゲート17からの’H’レベルの信号が入力されているため、ナンドゲート15aから’L’レベルの信号Cが出力される。
【0029】
次に信号ENBが’L’レベルから’H’レベルに変化する。すると、この’H’レベルの信号ENBがナンドゲート18の一方に入力され、またナンドゲート18の他方には負論理オアゲート17からの’H’レベルの信号Dが入力されているため、ナンドゲート18から’L’レベルの信号が出力される。すると、スイッチゲート14bの制御端子14cに’L’レベルの信号が入力され、これによりスイッチゲート14bを経由して電源電圧VDDが供給されコンデンサ12が充電される。このようにして、ノードAが、図2に示すように’H’レベルに向かう。ここでシミュットバッファ14aの、’H’レベル側のしきい値電圧VT+まで上昇すると、そのシュミットバッファ14aから’H’レベルの信号が出力される。この’H’レベルの信号は負論理ノアゲート21の一方に入力される。ここで、負論理ノアゲート21の他方には、’H’レベルの信号ENBが入力されているため、負論理ノアゲート21から’H’レベルの信号Bが出力される。この’H’レベルの信号Bがリングオシレータ15を構成するナンドゲート15bと、カウンタ16を構成するフリップフロップ16a,16b,16cのリセット端子とに入力され、これによりリングオシレータ15とカウンタ16とが動作可能になり、リングオシレータ15が自励発振し、カウンタ16を構成するフリップフロップ16aのクロック端子にリングオシレータ15からの発振パルスCが入力され、入力された発振パルスCがカウンタ16で0→1→2→3…とカウントアップされる。カウントアップはリングオシレータ15の信号が伝搬する2周分の時間毎に行なわれる。カウンタ16でカウントアップされカウント値が7(フリップフロップ16a,16b,16cの出力が全て1(’H’レベル))に達すると、負論理オアゲート17から’L’レベルの信号Dが出力され、これによりリングオシレータ15を構成するナンドゲート15aの一方が’L’レベルになるのでリングカウンタ15はストップする。また、ナンドゲート18から’H’レベルの信号が出力され、スイッチゲート14bからの電源電圧VDDの供給がストップし、コンデンサ12に充電された電荷が抵抗13を経由して放電され、徐々に’L’レベルへ向かう。
【0030】
シュミットバッファ14aの、’L’レベル側のしきい値電圧VT-まで放電されると、シュミットバッファ14aから’L’レベルの信号が出力される。すると、負論理ノアゲート21の出力信号Bが’H’レベルから’L’レベルに変化し、カウント16はリセットされフリップフロップ16a,16b,16cの出力が全て0(’L’レベル)になる。このため、負論理オアゲート17の出力信号Dは’L’レベルから’H’レベルに変化し、この’H’レベルの信号Dがナンドゲート18の一方に入力される。ナンドゲート18の他方には’H’レベルの信号ENBが入力されているため、ナンドゲート18から’L’レベルの信号が出力される。すると、スイッチゲート14bを経由して再度電源電圧VDDが供給され、コンデンサ12が充電されノードAが’H’レベルに向かう。やがてシュミットバッファ14aの、’H’レベル側のしきい値電圧VT+を超えるとシュミットバッファ14aから’H’レベルの信号が出力され、再度カウンタ16とリングオシレータ15が動作し、前述したと同様にしてカウンタ16のカウント値が7になるまでカウントアップする。カウント値が7に達すると負論理オアゲート17,ナンドゲート18を経由してスイッチゲート14bの制御端子14cに’H’レベルの信号が入力され、スイッチゲート14bからの電源電圧VDDの供給がストップする。このような動作を繰り返すことにより自励発振が行なわれる。
【0031】
このように本実施形態の発振回路では、リングオシレータ15と、そのリングオシレータ15の発振パルスCをカウントするカウンタ16と、そのカウンタ16のカウント値が7に達したときに論理が反転する負論理オアゲート17等からなる遅延回路により所望の遅延時間を得るものであり、リングオシレータ15は、2個のナンドゲート15a、15bと17個のインバータ15cからなる19段の素子で構成されており、またカウンタ16で0〜7までの8つの値をカウントさせているため、19×2×7.5(カウンタ16がカウント値7になった時点で止まるので8−0.5になる)=285段分のゲートを直列接続して構成したバッファチェーンの回路と同等な遅延時間が得られる。またコンデンサ12の放電電圧は、シュミットバッファ14aの、’L’レベル側のしきい値電圧VT-により制御されているため、そのコンデンサ12に蓄えられた電荷は充分、かつ正確に放電される。従って、コンデンサ12の充電にあたり、抵抗13の値とコンデンサ12の値との時定数により定まる充電カーブのうちの、常に安定した立ち上がりの急峻な部分を使用することができ、電源電圧の変動に対して安定した発振を行なうことができる。
【0032】
尚、本実施形態の発振回路を構成する遅延回路のみを用いて、所望のパルス幅を確保し、このパルス幅を種々の回路に適用してもよい。
【0033】
以上説明したように、本発明の発振回路では、小さな回路規模で電源電圧の変動に対して安定した発振を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の発振回路を示す図である。
【図2】図1に示す発振回路の信号波形を示す図である。
【図3】特公昭61−12411号公報に提案された発振回路を示す図である。
【図4】ゲートアレイの素子を用いて構成した発振回路を示す図である。
【図5】図4に示す発振回路の各ノードの波形を示す図である。
【図6】入力側からの信号の、’H’レベルから’L’レベルの変化を出力側に比較的速く伝達するとともに出力側を’L’レベルから’H’レベルにし、また入力側からの信号の、’L’レベルから’H’レベルへの変化を出力側に比較的遅く伝達するとともに出力側を’H’レベルから’L’レベルにする第1の回路を示す図(a)、および第2の回路を示す図(b)である。
【図7】バッファチェーンを伝達するパルスの消滅を防止するための第1の回路を示す図(a)、および第2の回路を示す図(b)である。
【図8】複数のバッファと複数の負論理ノアゲートをカスケード接続して構成した回路を示す図である。
【図9】図8に示す回路の波形を示す図である。
【図10】図4に示す発振回路を構成するバッファチェーン42と、そのバッファチェーン42の前段に備えられた引き延ばし回路91を示す図である。
【符号の説明】
11 リードピン
12 コンデンサ
13 抵抗
14 双方向バッファ
14a シュミットバッファ
14b スイッチゲート
14c 制御端子
15 リングオシレータ
15a,15b,18 ナンドゲート
15c,19 インバータ
16 カウンタ
16a,16b,16c,20 フリップフロップ
17 負論理オアゲート
21 負論理ノアゲート
Claims (1)
- コンデンサと、
該コンデンサに対し直列もしくは並列に配設され、該コンデンサを充電もしくは放電する抵抗と、
前記コンデンサに対し充電と放電とのうち前記抵抗とは逆の作用をなす、前記コンデンサとグラウンドもしくは電源との間に配置された、制御信号により接断自在なスイッチ回路と、
自励発振を行なって周期的な発振パルスを出力するリングオシレータと、
入力された二値論理信号のうちの一方の論理の信号でリセットされ、該二値論理信号が他方の論理状態にある時に前記リングオシレータの発振パルスをカウントするカウンタと、
前記カウンタが所定のカウント値に達した時に論理が反転する、前記スイッチ回路を接断するための制御信号を出力するゲート回路とを備えたことを特徴とする発振回路。
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