JP3770587B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は遊技機に関し、さらに詳しくは、パチンコ遊技機やスロットルマシン等の遊技機の遊技盤裏面等に遊技に関する制御を行う制御基板を収容した状態で取り付けられる基板収納ボックスを備えたものにおいて、その基板収納ボックスの不正開封を防止する不正行為防止対策が施されたその不正防止機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パチンコ遊技機やスロットルマシン等の遊技機は、遊技盤に設けられる各種入賞装置や図柄変動表示装置等を制御して、遊技の興趣を盛り上げるようにしたものが主流となっており、これらの入賞装置や図柄変動装置等の制御は、ICやLSI等の多数の電子部品を配設したロジック制御の回路基板、あるいはマイクロコンピュータを備えた制御基板等により行われる。このような遊技機の遊技内容を制御する制御基板は、一般的に遊技盤の裏面側に取り付けられた基板収納ボックス内に収納される。
【0003】
基板収納ボックスは樹脂製又は金属製で形成されており、ICや抵抗等の各種電子部品が多数実装された制御基板等をボックス内に収容して、基板上のプリント回路の短絡を防ぐために、埃等のゴミが侵入しないように保護しており、主に遊技機裏面の機構板等に取り付けられる。例えば、役物制御装置においては、制御回路内にCPU、ROM、RAM等が設けられており、ROMに記憶された制御プログラムに従って遊技機の制御が行われ、大当たり等もここで制御されている。
【0004】
このような制御基板を収容する基板収納ボックスは、カバー体とケース体とを重ね合わせたボックス構造を有しており、他の各種電気装置と電気接続される制御基板のコネクタ部分がボックスから露出されるように設けられており、各種配線をコネクタ部に差し込むことにより、それぞれ電気装置に関わる制御が可能になっている。
【0005】
この制御基板を収容する基板収納ボックスに対する不正行為は、上蓋となるカバー体をはずして、開放された制御基板に備えられたROM等の電子部品を交換、あるいはデータ内容の書き換えを行うことにより、通常の遊技制御と比較して、例えば大当たりを頻繁に発生させる等の不正な遊技制御を行わせるようなものである。
【0006】
従来用いられてきた基板収納ボックスにおける制御基板を封止する構造は、一旦封止が開封されると、開封された痕跡が残るように、カバー体とケース体とをビス止め組付けした後、それらの合わせ目に封印シールを貼ったり、基板収納ボックスをアクリルなどの透明な合成樹脂材料により形成して、内部に収容されている制御基板の状態が外部から視認できるようにして不正行為が確認せきるようにしていたが、本物そっくりの偽封印シールや特殊な剥離剤などを使用する不正行為者に対しては効果がないのが実状である。
【0007】
これらの不正行為を防止するために、基板収納ボックスを開放不可能あるいは開放が極めて困難な構造にして、ボックスそのものを破壊するしか開封する方法がないようにすることも考えられるが、公的機関によるROM検査や修理等のメンテナンス性を考えると現実的でない。そこで、これらの対策として、図9及び図10に示されるような基板収納ボックスの封止構造のものが提案されている。図9は基板収納ボックス200の上面図、図10はその基板収納ボックス200の側面に設けられた封止部201のA−A断面である横断面図を示している。
【0008】
図示されるように、この基板収納ボックス200は左右側面に封止部201を4つずつ備えており(片側の3つのみ図示)、制御基板202を収容固定した樹脂製のケース体204の上方から同じく樹脂製のカバー体203を被着した後、封止部201のカバー側封止部203aに予め挿入して係止されている押圧ピン205の先端部205aを、封止部201のケース側封止部204aの内部に固定された固定板206の嵌合孔206aに押し込むことで抜脱不能に固定される。このようにカバー側封止部203aとケース側封止部204aが押圧ピン205によって締結されることで制御基板202は基板収納ボックス200内に封止される。
【0009】
この場合、カバー体203をケース体204から脱着して基板ボックス200を開封するには、カバー体203の側壁とカバー側封止部203aとを連結している切断可能に形成された連結部203bをニッパ等で切断することにより、簡便に開封することができるようになっている。つまりこの連結部203bを切断するか、押圧ピン205が押し込められた封止部201やボックスそのものを破壊する以外には開封することができない構造となっているので、連結部203bを切断したりその他の部分を破壊すれば確実にその痕跡が残る。これにより不正に開封する行為が発見することができるので、不正行為者による不正行為を抑制して未然に防止するというものである。
【0010】
また、このような封止手段である押圧ピン205と開封手段である連結部203bを備えた封止部201を複数箇所、例えば基板収納ボックス200の左右側面に4箇所ずつ設けて、カバー203側から見て対角する位置の封止部201を左右それぞれ1箇所ずつ合計2箇所封止部の押圧ピンを押し込んで封止するようにすれば、4回の封止・開封を行うことができる。したがって制御基板に備えられたROM検査や修理等の正当な理由による開封時には、封止されている箇所の連結部203bを切断するだけで開封することができるので、ボックス本体そのものを破壊しなければ開封できないような開封不可能な構造を採用した場合のように、開封する度に新しいボックスに交換しなければならないというようなことがなく、開封・封止の作業を複数回行うことができて制御基板のROM検査などのメンテナンス性も良いというものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9及び図10に示した基板収納ボックス200の構造のように、押圧ピン205の先端部205aを、封止部201のケース側封止部204aの内部に固定された固定板206の嵌合孔206aに押し込むことで抜脱不能に固定されていても、抜き取ることは不可能ではない。例えば特殊な工具を用いたり、ボックスの封止部分に目立たない程度の加工を加えることで、封止部やボックスその他の部分を破壊することなく押圧ピン205を強引に抜き取られるおそれがあり、そのように押圧ピン205を抜き取って制御基板82に備えられたROMをいわゆる裏ROMと呼ばれるものに交換したりする不正改造等を行った後、押圧ピン205を封止状態であるかのように再度収められた場合には、不正に開封した行為がほとんど発覚しない等の問題があった。
【0012】
本発明の解決しようとする課題は、遊技機本体の裏面や遊技盤裏面に設けられる制御基板が収容される基板収納ボックスを痕跡を残さないで開封することを困難にして、遊技機に対する不正行為を未然に防止することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明に係る遊技機は請求項1に記載のように、遊技に関する制御を行う制御基板が収容されるケース体と、該ケース体に被着されるカバー体とからなる基板収容ボックスを備えた遊技機において、前記ケース体とカバー体には夫々封止部が設けられると共に、該カバー側封止部とケース側封止部のいずれか一方の封止部には封止方向に移動可能な押圧ピンが所定の位置からの封止方向への移動が規制されるように設けられ、他方の封止部には前記押圧ピンの封止方向への押圧動作により流出して該押圧ピンと前記他方側の封止部とを固着させる接着剤が設けられていることを要旨とするものである。
【0014】
上記構成を有する基板収納ボックスによれば、ケース体にカバー体を被着して、いずれか一方の封止部に設けられた封止方向に所定位置まで移動可能な押圧ピンを押圧動作させたときには、他方の封止部に設けられた押圧ピンの押圧動作により、押圧ピンとその他方側の封止部とを固着させる接着剤が流出する。これにより、ケース体のカバー体のいずれか一方の封止部の押圧ピンと他方の封止部は接着剤によって固着され、しかも押圧ピンが設けられた封止部にその押圧ピンは封止方向への移動が所定位置から規制されているので、ケース体とカバー体は開封方向へそれぞれ移動、つまり脱着できなくなる。
【0015】
このように、脱着できなくされたケース体とカバー体のそれぞれの封止部が、押圧ピンによって、一方は開封方向への移動が規制されると共に、他方は接着剤によって固着されているので、脱着するには押圧ピンの開封方向への移動を規制している部分を破壊して移動可能にするか、接着剤によって固着されている部分を破壊するか、押圧ピンそのものを破壊する以外に方法はなく、いずれの方法によってもその行為の痕跡は明らかに残すことができる上に、その痕跡を消す為の復元も極めて困難である。従って、収納されている制御基板への不正行為のために開封が行われた場合には早期に発見されるとともに、不正行為の痕跡を消すこともできないので、このような不正行為者による不正開封の行為を抑制することができる。
【0016】
この場合、請求項2に記載のように、前記他方側の封止部には前記押圧ピンの封止方向への押圧動作により破壊可能な容器が設けられると共に、該容器内には前記接着剤が破壊により流出して前記押圧ピンと前記他方側の封止部とを固着させる接着剤が封入されている構成にすれば、外気に触れないように接着剤を封止部に設けることが容易になる。
【0017】
また、請求項3に記載のように、前記他方側の封止部には前記押圧ピンの封止方向への押圧動作により破壊可能な空洞部が一体的に形成されると共に、該空洞部内には前記接着剤が破壊により流出して前記押圧ピンと前記他方側の封止部とを固着させる接着剤が封入されている構成にしても、外気に触れないように接着剤を封止部に設けることが容易である。
【0018】
さらに、請求項4に記載のように、前記他方側の封止部には、封止方向への押圧動作された押圧ピンと係合するピン受部が設けられている構成にすれば、押圧ピンの他方側の封止部への固定がより強力なものになる上に、ボックスへの外部から応力や衝撃によって、接着剤の固着部分の亀裂の発生による破断等が防止される。
【0019】
さらに、請求項5に記載のように、前記ケース体とカバー体に設けられる前記ケース側封止部とカバー側封止部の少なくとも一方の封止部は切断可能な連結部を介して設けられている構成にすれば、その連結部を切断することにより、簡便に開封することができるようになり、切断による痕跡も残すことができる。
【0020】
さらに、請求項6に記載のように、上記連結部を備えると共に、前記ケース側封止部とカバー側封止部が対になって複数設けられている構成にすれば、基板収納ボックスの開封・封止を複数回行うことができるようになり、制御基板の公的機関によるROM検査や修理などの正当な理由によって開封した場合でも再度収納して封止するとが可能になり、メンテナンス性も良くなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。 図1は、遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の概略構成の正面図を示したものである。図示されるようにパチンコ遊技機10は、遊技機本体の側部を構成する外枠11と前面部のベースとなる内枠12とを備える。この内枠12の開口部周縁には額縁状の金枠13が嵌められており、その内側には遊技盤14の前面を覆うガラス扉15が設けられる。
【0022】
ガラス扉15の下方位置には、遊技球を貯留するための上受け皿16とその上受け皿16から溢れた遊技球を貯留するための下受け皿17が縦列して設けられる。この上受け皿16には球抜きボタン18が設けられ、これを操作すると上受け皿16内の遊技球が下受け皿17に向けて抜き落とされる。又、下受け皿17の図中右側位置には、遊技球を発射するための発射レバー20が設けられ、その回動操作量に応じて打球の強さが調整されると共に図示しない発射モータの電源が投入される。更に発射レバー20には遊技球を単発発射させるための単発スイッチ21も備えられており、遊技状況に応じて使い分けることが可能に構成されている。
【0023】
また、このパチンコ遊技機10の左側部にはプリペイドカードによる球の貸し出しを行うプリペイドカードユニット22が並設されており、その操作は上受け皿16の前面部に設けられた球貸し操作部23によって行われる。球貸し操作部23には、プリペイドカードによる遊技球の貸出しを操作する球貸しボタン24、その貸出しの可否状態を示す球貸しランプ25、カード挿入口26からプリペイドカードを排出させるカード返却ボタン27、プリペイドカードの残高表示及びエラー表示を行う度数表示部28等が備えられる。
【0024】
遊技盤14面のほぼ中央には特別図柄表示装置50が設けられており、その画面には数字やキャラクタ等の図柄が動画表示される。この特別図柄表示装置50の真下位置には常時入賞可能な第一始動入賞口52aと、可変翼が開放された時にのみ入賞可能となる第二始動入賞口52bを備える始動入賞口52が設けられており、始動入賞口52に遊技球が入賞すると特別図柄表示装置50に表示される図柄が変動を開始する。
【0025】
また、始動入賞口52の真下位置には通常は閉鎖されている大入賞口53が設けられており、その内部には大入賞口53が開放された時にのみ入賞可能となる特定入賞口54が設けられている。又、大入賞口53の左右位置には普通入賞口である左落し入賞口60、右落し入賞口61が、それらの上方位置には左袖入賞口62、右袖入賞口63が各々設けられ、これらの入賞口へ遊技球が入賞すると所定個数の賞品球が払出される。
【0026】
特別図柄表示装置50の周囲には装飾枠体64が設けられる。この装飾枠体64の上部に形成された半円弧形状の装飾枠部には、普通図柄表示装置65が設けられ、「0」から「9」までの数字が7セグメントでもってデジタル表示される。更に、本遊技盤14面には遊技球の落下方向を無作為に変更させたり、その流下速度を変化させる風車やランプ風車、左ゲート66、右ゲート67が設けられ、このゲート66、67を遊技球が通過すると普通図柄表示装置65が変動を開始し、所定図柄が表示確定されると前述の始動入賞口52の第二始動入賞口52bが一定時間開放される。
【0027】
始動入賞口52に遊技球が入賞すると、特別図柄表示装置50に表示されるの判定用図柄が変動を開始し、所定時間(例えば5秒間)が経過すると停止して図柄が表示確定される。ここで確定された図柄の組み合わせが予め設定された所定の組み合わせと一致すると、それまで閉鎖されていた大入賞口53が開放され、いわゆる「大当たり」と称される特別な遊技状況が開始されることになる。
【0028】
このように、遊技盤14面に設けられる各入賞口に遊技球が入賞(又は通過)すると諸処の遊技状況が発生する契機となると共に、所定個数の賞品球が上受け皿16の左側上部に設けられる球出口29から払い出される。但し、何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技盤14面の最下部に設けられる排出口68から遊技盤14の裏面へと排出されることになる。
【0029】
図2は、前記パチンコ遊技機10の裏面図である。パチンコ遊技機10の裏面には、各種装置等を取り付けるための裏セット板71が設けられ、その裏セット板71の上方には、図示しない遊技場内に設置された球供給装置から供給される遊技球を一時貯留する球タンク72が設けられる。この球タンク72には球誘導樋73が連接して設けられる。球誘導樋73にはその球誘導樋73上における遊技球の貯留状態を検知する補給スイッチ74が設けられる。このスイッチ74は、球誘導樋73上での球切れ状態が発生した時に作動し、図示しない遊技場内の球供給装置から球タンク72に遊技球を供給させるように構成されている。
【0030】
この球誘導樋73は図示しない屈曲樋に接続され、この屈曲樋はその下流域でおいて枝分かれして賞球払出装置75と球貸払出装置76に連接される。又、この図示しない屈曲樋にはその屈曲樋内における遊技球の流下状態を検知して賞球払出装置75及び球貸払出装置76の空動作を未然に防止する空切り防止スイッチ77が設けられる。
【0031】
また、遊技機10の裏面には、遊技に関わる制御を行うための多様な制御基板が設けられており、これらにより遊技盤14面に設けられる各装置等の動作が設定制御される。遊技機10と外部の各種装置とを接続する外部出力端子78aを含む外部出力端子基板78、空切り防止スイッチ77の作動を設定制御する空切り防止スイッチ基板79、更に、前述の賞球払出装置75及び貸球払出装置76の作動を設定制御するCR賞球払出制御基板80、本遊技機10の側部に設けられるプリペイドカードユニット22と遊技機10間における情報の授受を行うカードインターフェイス接続部81が設けられる。
【0032】
更に、これらの制御基板等の動作を設定制御する主制御基板82が裏面左下方部に設けられる。主制御基板82は、基板収納ボックス90に収納されており、この基板収納ボックス90を開封しなければ主制御基板82に触れることができないようになっている。基板収納ボックス90は、下側のケース体91とそのケース体91に被着されるカバー体92とからなり、そのケース体91内に主制御基板82を載置して固定し、その上面をカバー体92で覆うことで外部から触れることができないように主制御基板82を収容している。
【0033】
そのほかに本遊技機10には上記以外にも多様な制御基板が設けられており、これらにより遊技盤14面に設けられる各装置等の動作が設定制御される。例えば、打球発射に関する設定制御を行う発射装置制御基板93や、遊技盤14面上に設けられるランプの点灯及び消灯に関わる設定制御を行うランプ制御基板94、遊技状況に応じて発する音声や音楽等を制御する音声制御基板95といった各種制御基板も同様に設けられる。図3のブロック図に示されるように、これら制御基板等は直接又は間接的に主制御基板82と接続され、その動作は主制御基板82に制御されるようになっている。これらについての概要は周知であるので、ここでは詳細説明を省略する。
【0034】
次に、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機に備えられた不正行為防止のための基板収納ボックスついて図4〜図8を参照して詳細に説明する。図4は遊技機本体の裏面に設けられる前述の基板収納ボックス90の外観斜視図、図5は基板収納ボックス90の分解斜視図、図6は封止部110の縦断面図、図7は封止部110の横断面図を示した図である。
【0035】
図4及び図5に示されるように、この基板収納ボックス90は、前述の主制御基板82が収容されるケース体91、そのケース体91に被着されるカバー体92、これら両部材に設けられる封止部110a,110b同士を締結する押圧ピン111とから構成される。
【0036】
ケース体91はアクリル等の透明な合成樹脂材料により略箱形状に形成されており、その底面に載置された主制御基板82の4隅角部をネジ101止めにより収容固定されている。ケース体91に被着されるカバー体92も同様にアクリル等の透明な合成樹脂材料により略箱形状に形成されており、その両側面には、主制御基板82を固定しているネジ101止め部を覆い隠すネジカバー片102a,102bが設けられている。また、ケース体91の一側には、一方のネジカバー片102bに弾発的に係合する係合爪片103が設けられると共に、ケース体91の他側には、他方のネジカバー片102aの外側面に形成された引っかけ部104を、やはり弾発的に係合する掛止片105が設けられている。これらによりカバー体92はケース体91に被着の際に容易に外れないように仮固定される。
【0037】
主制御基板82を収容するケース体91の左右両外側面(図面では片側のみ図示)には、ケース側封止部110aとして上面が開口された長手ボックス形状の固定台112がケース体91と一体的に連結して設けられ、その内部には図6及び図7で示すような金属製板材により折り曲げ形成された押圧ピン固定板113がタッピンネジ106によって固定台112の内部にネジ止めされて収容固定されている。この押圧ピン固定板113には、押圧ピン111の先端部111aを抜脱不能に嵌合する嵌合孔113aが設けられており、その嵌合孔113aの内周縁には、押圧ピン111の先端部111aに周設された凹状の溝部111bに嵌合する嵌合片113bがやや下向きに突設して形成されている。
【0038】
また、ケース体91に被着されるカバー体92の左右両外側面(図面では片側のみ図示)には、カバー側封止部110bとして複数個(この実施例では4個)の押圧ピン装着台115が連結部118を介して設けられると共に、その両サイドには前述の押圧ピン固定板113をネジ止め固定するタッピンネジ106を上方から覆うネジ隠し片117も設けられている。
【0039】
押圧ピン装着台115,115,・・には、図6及び図7(a)に示すように押圧ピン111が予め装着されている。この押圧ピン111はアルミ等の金属製棒材により切削形成又は合成樹脂材料から成形されたもので、フランジ状の頭部111eと円柱状の本体部111dを備えている。本体部111dの途中位置には、その本体部111dよりもやや大径にローレット状のリング部111cが形成されており、さらにそのリング部111cより下方の先端部111aには凹状の溝部111bが周設されている。
【0040】
この押圧ピン111が挿入される押圧ピン装着台115,115,・・は、上下に開口した略筒状に形成されており、上方のピン頭部収容室115aの内径は、押圧ピン111の頭部111eの外径よりもやや大きく形成されている。また下方のピン本体部挿入孔115bの内径は、押圧ピン111の本体部111dの外径よりも大きく、ローレット状のリング部111cの外径よりやや小さくなっており、挿入されるリング部111cを軽い押し込み力で通すことができる大きさに形成されている。これにより押圧ピン111をピン本体部挿入孔115bに挿入してリング部111cがピン本体部挿入孔115bの下側端面より下方に露出するまで押し込むことで、押圧ピン111を遊挿させた状態で押圧ピン装着台115からに抜け落ちないようにすることができる。このように一度装着された押圧ピン111は押圧ピン装着台115からは容易に脱落しないようにしておけば、予め装着させておくことができるので、押圧ピン111を封止する毎に別途用意したりする必要もなく、また押圧ピン111を紛失するおそれもなくなる。
【0041】
また、押圧ピン装着台115,115,・・とカバー体92の側壁とを連結している連結部118,118,・・はニッパ等の工具によって簡便に切断可能な形状に形成されており、この連結部118,118,・・のうち封止箇所の連結部118を切断することで、封止箇所の押圧ピン装着台115はカバー体92から離れることになる。
【0042】
固定台112に備えられる押圧ピン固定板113の下方には、上述の押圧ピン装着台115,115,・・に対応して設けられた固着室131,131,・・が上方を開口して略筒状に形成されている。この固着室131,131,・・には、接着剤135がカプセル状の容器に封入された接着剤入りカプセル133がその固着室113の底面に固定されている。この底面への固定方法については接着剤等で固定しても良いし、図示しない係止部によって固定しても良い。
【0043】
この接着剤入りカプセル133の容器は、樹脂材料によって形成されており、容易に破断することが可能となっている。封入されている接着剤135の例としては、いわゆる瞬間接着剤と呼ばれる化学反応型接着剤などの外気に触れると比較的短時間で硬化するもので、常温で液状又は粘性を有するゲル状の形態のものが適している。さらに2剤を混合することで硬化する接着剤もあり、この場合は先のカプセルを2層構造にしてその2剤の接着剤を封入して、破断された場合に混ざり合って硬化するという構成を採用することで適用することも可能である。
【0044】
次に、このような構成のケース体91とカバー体92のそれぞれに備えられたケース側封止部110aとカバー側封止部110bとを対向させながら、主制御基板82を収容したケース体91にカバー体92を被着させた後、押圧ピン111が予め装着された押圧ピン装着台115,115,・・のいずれかの押圧ピン111を操作して、主制御基板82を基板収納ボックス90内に封止する手順について図7を用いて説明する。
【0045】
図7(a)は封止前の基板収納ボックス90の封止部110の横断面の状態を示しており、カバー体92の押圧ピン装着台115に予め装着された押圧ピン111の先端部111aは、ケース体91の固定台112に収容固定された押圧ピン固定板113に形成された嵌合孔113aより上方に位置している。
【0046】
この状態で、ネジ回しドライバー等の工具を用いて、押圧ピン111の頭部111eの上面を上方から叩き込む等の押し圧動作により、押圧ピン111の先端部111aが押圧ピン固定板113の嵌合孔113aからさらに下方に貫通し、溝部111bに嵌合孔113aの内周縁に下向き傾斜状に形成された嵌合片113bの先端部が嵌合すると共に、押圧ピン111の先端部111aは嵌合孔113aよりさらに下方の固着室131に固定された接着剤入りカプセル131に上方から当接してそのカプセルを破壊する。
【0047】
破壊された接着剤入りカプセル133の内部に封入されていた接着剤135がカプセルから流出して、固着室131内で押圧ピン111の先端部111aを浸した状態で硬化する(図7(b))。従ってこの硬化した接着剤135により押圧ピン111の先端部111aは固着室131内で固定台112と一体的に固着されることになる。
【0048】
さらに押圧ピン111の溝部111bも押圧ピン固定板113の嵌合孔113aに嵌合して固定されるので、押圧ピン111は二重に固定台112に固定されていることになる。また、封止のために操作された押圧ピン111は、そのフランジ状の頭部111eが押圧ピン装着台115のピン頭部収容室115aの底面より下方への移動が規制されているので、カバー体92の押圧ピン装着台115とケース体91の固定台112とが押圧ピン111によって一体的に連結されたことになって、主制御基板82は基板収納ボックス90内に封止される。この場合、押圧ピン固定板113が固定台112に設けられていなくても、主制御基板82は基板収納ボックス90内に封止することが可能なのは言うまでもない。
【0049】
次に他の実施形態として、図8に示す基板収納ボックスについて説明する。これは、前述の図7に示したの基板収納ボックスとは接着剤135を備える部分の構成が異なるだけで、他の部分の構成については同一のものである。従ってすでに説明したものと同一の名称・符号を用いた部分についての説明は省略する。図示されるように固定台112に備えられる押圧ピン固定板113の下方には、上述の押圧ピン装着台115,115,・・に対応した空洞状の固着室141,141,・・が設けられ、その固着室141の上壁141aは容易に破断可能に形成されている。この固着室141,141,・・には、接着剤135が気密状態で封入されている。
【0050】
封入方法については、種々なる方法が用いられるが、例えば合成樹脂材料によってケース体91と一体成形する場合には、その成形時に図示しない窒素ガス注入ノズルから窒素ガス等を注入することで空洞状の固着室141を形成する。ケース体91成形後は窒素ガス注入時(ガス注入ノズル等により)に形成された図示しない注入孔から接着剤135を固着室141内に注入する。そしてその注入孔の内径と同等の外径を有する同じく樹脂製のピンをほぼ注入と同時に塞いだ後、熱又は超音波等によって溶着して一体化させることで、接着剤135は固着室141内に気密状態を保って封入される。
【0051】
このような構成のケース体91とカバー体92のそれぞれに備えられたケース側封止部110aとカバー側封止部110bとを対向させながら、主制御基板82を収容したケース体91にカバー体92を被着させた後、押圧ピン111が予め装着された押圧ピン装着台115,115,・・のいずれかの押圧ピン111を操作して、主制御基板82を基板収容ボックス90内に封止する手順について図8を用いて同様に説明する。
【0052】
図8(a)は封止前の基板収納ボックス90の封止部110の横断面の状態を示しており、カバー体92の押圧ピン装着台115に予め装着された押圧ピン111の先端部111aは、ケース体91の固定台112に収容固定された押圧ピン固定板113に形成された嵌合孔113aより上方に位置している。
【0053】
そしてこの状態で、ネジ回しドライバー等の工具を用いて、押圧ピン111の頭部111eの上面を上方から叩き込む等の押し圧動作により、押圧ピン111の先端部111aが押圧ピン固定板113の嵌合孔113aからさらに下方に貫通し、溝部111bに嵌合孔113aの内周縁に下向き傾斜状に形成された嵌合片113bの先端部が嵌合すると共に、押圧ピン111の先端部111aは嵌合孔113aよりさらに下方の固着室141の上壁141aに当接してその上壁141aを破壊して、接着剤135内に浸される。
【0054】
上壁141aが破壊されることで接着剤135は外気に曝されるので、固着室141内で押圧ピン111の先端部111aを浸した状態で硬化する(図8(b))。従ってこの硬化した接着剤135により押圧ピン111の先端部111aは固着室141内で固定台112と一体的に固着されることになる。
【0055】
さらに押圧ピン111の溝部111bも押圧ピン固定板113の嵌合孔113aに嵌合して固定されるので、押圧ピン111は二重に固定台112に固定されていることになる。また、封止のために操作された押圧ピン111は、そのフランジ状の頭部111eが押圧ピン装着台115のピン頭部収容室115aの底面より下方への移動が規制されているので、カバー体92の押圧ピン装着台115とケース体91の固定台112とが押圧ピン111によって一体的に連結されたことになって、主制御基板82は基板収納ボックス90内に封止される。この場合も、押圧ピン固定板113が固定台112に設けられていなくても、主制御基板82は基板収納ボックス90内に封止することが可能なのは言うまでもない。
【0056】
以上説明した2つの実施形態の基板収納ボックス90を開封するには、共に封止に使用された箇所の押圧ピン装着台115とカバー体92とを連結している連結部118を、ニッパ等の工具を用いて切断することで簡単に開封することができる。それ以外の方法、例えば押圧ピン固定板113に嵌合した押圧ピン111を強引に抜き取る又は破壊することで開封することも可能であるが、その場合押圧ピン装着台115を破壊することなく押圧ピン111を抜き取ったりするのはは非常に困難であり、たとえ押圧ピン111を他の部材を破壊することなく抜き取っても、抜き取った痕跡が固着室内で硬化した接着剤135により明らかに残る。つまり押圧ピン111をその先端部111aと一体的に硬化した接着剤135から抜き取れば不自然な部分が確実に形成される上に、その痕跡を消すことは極めて困難なものとなる。
【0057】
また押圧ピン固定板113を固定台112から取り外すことでも開封することは可能であるが、押圧ピン固定板113を固定台112に固定しているタッピンネジ106,106を取り外すには、カバー体92に設けらたネジ隠し片117,117が邪魔になるので、これを破壊することなく押圧ピン固定板113を取り外すことも非常に困難であり、たとえ巧妙に押圧ピン固定板を取り外したとしても、押圧ピン111の先端部111aは接着剤135によって、固定台112の固着室内で一体的に固着しているので、やはりこの場合も抜き取れば、その痕跡が固着室内で硬化した接着剤135により明らかに残る。
【0058】
つまり、このような構成で封止に使用された押圧ピン111を巧妙に他の部材や部分を破壊することなく抜き取ったとしても、抜き取った痕跡が接着剤によって確実に残ってしまい、しかも一見しただけではその痕跡が確認できないほどに修復することはほぼ不可能に近い。
【0059】
さらに、少なくとも固定台112部分を透明樹脂材料等によって形成すれば固着室内の接着剤135の状態が外部から視認可能なので、不正に押圧ピン111を抜き取れば、その痕跡が明らかとなる。つまり固着室内のこの硬化後の接着剤135の状態(不自然な形状など)さえ確認すれば、基板収納ボックス90が開封されたか否かの判断が容易に行うことができるので、不正開封された場合の発見がし易い。
【0060】
このように遊技機内容を制御する主制御基板82に対する不正行為を行うために不正開封された場合には早期に発見することができるとともに、不正に開封した行為の痕跡を消すことも極めて困難であるので、このような不正行為者による不正行為を抑制することになる。
【0061】
尚、上述の基板収納ボックス90の封止・開封は4回行うことができるようになっている。図4に示されるようにカバー体92の上面左右には、対角になるように番号表示(この場合1〜4)がされており、例えば、初めて封止するときは左右の番号「1」が附された部分の押圧ピン111を叩き込んで封止する。主制御基板82のROM等を検査するときは、左右の番号「1」が附された部分の連結部118を切断することで開封することができる。そして再度封止するには、左右の番号「2」が附された部分の押圧ピン111を叩き込むことで封止することができる。このように収納されている主制御基板82のROM検査や修理などの正規の理由による開封・封止が複数回行うことができるので、メンテナンス性が良い。もちろんこの場合、開封・封止の回数等の履歴を別途記録管理しておくことが必要であることは言うまでもない。履歴と合致しない不正開封を発見することができる。
【0062】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、押圧ピン装着台において押圧ピンの封止方向への移動を規制する構造として上述のものでは、押圧ピンのフランジ状の頭部と、押圧ピン装着台のピン頭部収納室によって下方への移動を規制した構造を示したが、上記実施例のように限定されるものではなく、要は封止に用いられた押圧ピンによってカバー体が確実に開封方向への移動が規制される(つまり開封できない)構造のものであれば良い。
【0063】
また、上記実施例では、この遊技機の遊技内容を制御するメインの制御基板である主制御基板の基板収納ボックスに適用した例を示したが、遊技機に備えられるそれ以外の制御基板等を収納するボックスについても適用可能なのは言うまでもない。
【0064】
【発明の効果】
本発明に係る遊技機によれば、基板収納ボックスを部分的に壊すなどしない限り、制御基板を取り出すことが不可能で、痕跡を残すことなく不正行為をすることはできない上に、その痕跡修復などして消すことが非常に困難である。これにより、遊技機に対する不正行為を未然に防止することができ、健全な遊技産業の発展に一層寄与し得るものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】図1に示されたパチンコ遊技機の裏面を示した図である。
【図3】制御基板の接続を示したブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る基板収納ボックスの外観斜視図を示した図である。
【図5】図4に示された基板収納ボックスの分解斜視図である。
【図6】図4に示された封止部の縦断面図を示した図である。
【図7】図4に示された封止部の横断面図を示した図である。
【図8】他の実施形態に係る基板収納ボックスの封止部の横断面図を示した図である。
【図9】従来一般に知られる基板収納ボックスの上面図を示した図である。
【図10】図9の封止部の横断面図を示した図である。
【符号の説明】
10 パチンコ遊技機
82 制御基板
90 基板収納ボックス
91 ケース体
92 カバー体
110 封止部
111 押圧ピン
112 固定台
113 押圧ピン固定板
115 押圧ピン装着台
118 連結部
131 固着室
133 接着剤入りカプセル
Claims (6)
- 遊技に関する制御を行う制御基板が収容されるケース体と、該ケース体に被着されるカバー体とからなる基板収容ボックスを備えた遊技機において、前記ケース体とカバー体には夫々封止部が設けられると共に、該カバー側封止部とケース側封止部のいずれか一方の封止部には封止方向に移動可能な押圧ピンが所定の位置からの封止方向への移動が規制されるように設けられ、他方の封止部には前記押圧ピンの封止方向への押圧動作により流出して該押圧ピンと前記他方側の封止部とを固着させる接着剤が設けられていることを特徴とする遊技機。
- 前記他方側の封止部には前記押圧ピンの封止方向への押圧動作により破壊可能な容器が設けられると共に、該容器内には前記接着剤が破壊により流出して前記押圧ピンと前記他方側の封止部とを固着させる接着剤が封入されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
- 前記他方側の封止部には前記押圧ピンの封止方向への押圧動作により破壊可能な空洞部が一体的に形成されると共に、該空洞部内には前記接着剤が破壊により流出して前記押圧ピンと前記他方側の封止部とを固着させる接着剤が封入されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
- 前記他方側の封止部には、封止方向への押圧動作された押圧ピンと係合するピン受部が設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の遊技機。
- 前記ケース体とカバー体に設けられる前記ケース側封止部とカバー側封止部の少なくとも一方の封止部は切断可能な連結部を介して設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遊技機。
- 前記ケース側封止部とカバー側封止部が対になって複数設けられていることを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
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