JP3770009B2 - フランジ加工性に優れた2ピース缶用鋼板 - Google Patents

フランジ加工性に優れた2ピース缶用鋼板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絞り加工を経て成形される各種2ピース缶に用いられる鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板表面に錫めっきを施した錫めっき鋼板、あるいは電解クロム酸処理を施したティンフリースチール(TFS)のような缶用鋼板は、食缶や飲料缶に多用されている。これらの食缶や飲料缶は、その製缶方法の違いから3ピース缶と2ピース缶に分類される。
【0003】
近年、飲料缶等を中心として、缶体の製造コスト低減の観点から、缶体の軽量化、製缶速度の高速化が求められ、3ピース缶から2ピース缶への移行が進行しており、同時に使用する鋼板の薄ゲージ化、缶体の薄肉化が進められている。
食缶、飲料缶用の2ピース缶には、絞りー再絞り加工により製缶されるDRD缶、缶胴部の薄肉化を伴う多段の絞り加工により製缶されるDTR缶、絞り加工後にしごき(アイアニング)加工が施されるDI缶、また、後方張力を付加しつつ小径のダイ肩部での曲げ戻し加工により薄肉化を行うストレッチードロー缶、およびストレッチードローとアイアニングとを組み合わせたストレッチーアイアニング缶などがある。
いずれの場合もカップ状の缶体を成形した後カップの縁をトリミングで切り揃えて開口端とし、必要に応じて開口端の径を縮めるネッキング加工を施し、次いで蓋を取り付けるためにフランジ加工を行って缶体としての成形が完了する。
【0004】
このフランジ加工の際、フランジ部に割れが発生する場合がある。さらには近年の鋼板の薄ゲージ化、缶体の薄肉化が進む中で、フランジ加工はより厳しい条件になってきている。
フランジ割れの発生した缶体は、製缶ライン内に設置されたフランジ割れ検査機器によって全量が検出され、不良缶体として排除されるので、それが内容物の充填された最終製品となって市場に流通することは決してない。しかし、フランジ割れ発生による製缶歩留の低下は、薄ゲージ化、高速製缶などによるコスト低減効果を相殺してしまう場合がある。
このようなことから、2ピース缶用鋼板に対しては、フランジ加工性に優れた鋼板が求められている。特に、DI缶、DTR缶、ストレッチードロー缶、ストレッチーアイアニング缶用鋼板など近年主流の缶用鋼板に対しては、缶体軽量化、製造コスト低減の観点からより薄ゲージの鋼板が用いられるようになった背景から、フランジ加工性が一段と優れた鋼板が強く望まれるようになってきている。
フランジ成形性に優れた2ピース缶用鋼板として、従来いくつかの提案がなされている。
【0005】
特公平4-78714号公報では、鋼成分、抗張力、結晶粒度を規定し、また、MnとPの含有量に特定の関係を規定するとともに、MnSとAlNの平均粒径を規定することで、DI缶でのフランジ加工性に優れた鋼板を開示している。
【0006】
特開平5-345925号公報では、熱間圧延条件を規定した極低炭素鋼を二次冷間圧延し、板厚0.25mm以下の鋼板を得ることで、フランジ加工性を改善する鋼板の製造方法を開示している。
【0007】
特開平6-41681号公報では、固溶Cおよび固溶N量、硬度、降伏強さ、結晶粒径と展伸度を規定することで、板厚0.24mmまで薄ゲージ化したフランジ加工性に優れた鋼板を開示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術には以下のような問題点がある。
【0009】
特公平4-78714号公報に開示された技術では、実施例で示されているように板厚が比較的厚い(0.32mm程度)鋼板を対象としている。そのため、近年の鋼板の薄ゲージ化と缶体の高加工度化によるフランジ部の薄肉化に対応しようとした場合、十分なフランジ加工性を確保するのは困難であり,この技術による鋼板をDI缶用、DTR缶用、ストレッチードロー缶用、ストレッチーアイアニング缶用などの缶用素材として用いるには限界がある。
【0010】
特開平5-345925号公報では、板厚0.25mm以下に薄ゲージ化した鋼板の利用を可能としているが、素材の極低炭素鋼を得るためにはC低減のための溶鋼処理が煩雑になり、それに伴って非金属介在物が鋼板中へ混入する機会が増すことで介在物を起点とするピンホールや破断の発生などの弊害が発生する。このような非金属介在物に起因する欠陥が発生した缶体は、製缶ライン内に設置された検査機器によって全量が検出され、不良缶体として排除されるので、それが内容物の充填された最終製品となって市場に流通することはないものの、欠陥の発生による製缶歩留の低下は、薄ゲージ化、高速製缶などによるコスト低減効果を相殺してしまう場合がある。
【0011】
また、特開平6-41681号公報では、実施例で示されているように熱延鋼板板厚3.0mmから最終製品板厚0.24mmまで冷間圧延するため、冷間圧延率が92%と高くなり、塑性ひずみ比の面内異方性が高まることでイヤリング性が劣る。
【0012】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、フランジ加工性に優れた鋼板を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、薄ゲージ化された鋼板を2ピース缶に製缶し、フランジ加工した際に発生するフランジ割れについて詳細な調査を行った。その結果、薄ゲージ化された鋼板のフランジ加工が、鋼板の成分、鋼板の表面に存在する酸化物系介在物のサイズと分布密度、さらにまたは鋼板の塑性ひずみ比の面内異方性によって支配されることを新たに知見した。
【0014】
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、上記課題は以下の発明により解決される。
【0015】
第一の発明は、量%で、0.01%≦C≦0.07%、0.1%≦Mn≦0.6%、0.008%≦S≦0.025%、0.03% ≦Sol.Al≦0.1%、N≦0.0035%、Total-O≦0.004 %、残部がFeおよび不可避不純物からなり、かつ鋼板表面の粒径2〜15μmの酸化物系介在物が5×107個/m2以下であることを特徴とするフランジ加工性に優れた2ピース缶用鋼板である。
【0016】
第二の発明は、上記第一の発明において、塑性ひずみ比の面内異方性:Δrの絶対値|Δr|が0.2以下であることを特徴とするフランジ加工性に優れた2ピース缶用鋼板である。
【0017】
なお、本明細書において、鋼の成分を示す%はすべて量%である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明者らは、フランジ加工の際に発生したフランジ割れについて詳細な調査を行った。最初に、鋼板をフランジ加工する際に、フランジ加工率の極く低い段階で加工を一度止め、その状態で、走査型電子顕微鏡を用いて、開口部端を詳細に観察した。次いで、フランジ割れの起点となる可能性が考えられる微小な割れ等を確認し、位置を記録した。その後、実際の缶体に対して行われている正規の加工率まで再度フランジ加工を行って割れの発生と先に観察した微小な割れとの関連を調査した。
その結果、▲1▼先に観察した微小な割れはフランジ割れの起点となっていたこと、▲2▼フランジ割れの起点となった微小な割れは鋼板表面に存在した酸化物系介在物と関係していること、▲3▼さらに、このような微小な割れをもたらす酸化物系介在物のサイズは2〜15μmであったことを見出した。
【0019】
そこで、次に、走査型電子顕微鏡を用いて、鋼板表面に存在する2〜15μmの酸化物系介在物の分布密度を観察し、調査した。ここで,粒径は介在物が概ね球形である場合にはその直径とした。それ以外の形状である場合は,形状によらず長径と短径の平均値とした。次いで、そのあらかじめ調査した鋼板を用いてDI缶に成形し、フランジ加工性を評価した。フランジ加工性は、実際の缶体で行われているフランジ加工の加工度を分母とし、フランジ加工で割れが発生した限界の加工度を分子とした限界フランジ加工度指数により評価した。
【0020】
2〜15μmの酸化物系介在物の分布密度と限界フランジ加工度指数との関係を図1に示す。図1より、 2〜15μmの酸化物系介在物の分布密度を5×107個/m2以下とすることで、限界フランジ加工率を高めることができ、フランジ加工を行う上で問題がないことがわかった。
【0021】
上記結果が得られた理由は以下のように考えられる。つまり、酸化物系介在物は非常に固く、フランジ加工の際に母材に追随して変形しないため、酸化物系介在物が起点となって鋼板表面に微小な割れが発生する。この微小な割れは自由表面である鋼板表面に発生するため、割れの進展が拘束されにくく、結果として、介在物の分布密度がある一定以上に多くなった場合、介在物を開口端とする確率が高まって、介在物が起点となってフランジ割れに至ったと考えられる。介在物の粒径が2μm以下の場合は、それを起点とする割れが発生しても十分に小さく、フランジ割れには至らないと考えられる。また、介在物の粒径が15μm超えの場合、それを起点として発生する微小な割れがフランジ割れにまで至る可能性は高い。しかし、そのような大きな介在物は溶鋼処理中に浮上して鋼から除去され、鋼板表面での分布密度は低くなることから、結果として15μm超えの介在物の影響は見かけ上現れなかったものと考えられる。
【0022】
介在物が鋼板の内部に存在した場合、もちろん介在物を起点とした微小な割れが鋼板内部に発生すると考えられる。しかし、この割れは周囲を3次元的に鋼に囲まれているため割れの進展が拘束され、介在物のサイズが数十μmと大きな場合を除いて、結果的にフランジ割れには至らないと考えられる。
【0023】
以上より、鋼板表面の粒径2〜15μmの酸化物系介在物の分布密度は5×107個/m2以下とする。さらに望ましくは2×107個/m2以下である。ここで、本発明における鋼板表面とは、介在物が3次元的に鋼に囲まれていない場合フランジ割れが発生することから,鋼板表面から概ね15μm程度までを対象とする。また、酸化物系介在物については特に限定はせず、例えば、Al,Ca,Mg, Si,Mn,などの各酸化物,あるいはこれらの複合した酸化物が挙げられる。酸化物系介在物の形状についても特に限定はせず,また形態についても、単独あるいはクラスター状のものであってもよい。
【0024】
一方、上記調査の結果、フランジ割れの発生する位置に、加工前の鋼板の圧延方向に対して特有な分布を持つことも見出した。具体的には圧延方向に対して0°、45°、90°といったように、45°毎にフランジ割れが発生する現象を見出した。これに関して鋼板特性と関連付けてさらに調査を行った結果、鋼板の塑性ひずみ比の面内異方性を表すΔrの値が正の鋼板では0°および90°の位置に割れが発生し易く、一方Δrの値が負の鋼板では45°方向に割れが発生し易いことがわかった。
【0025】
そこで、鋼板表面の2〜15μmの酸化物系介在物が5×107個/m2以下である鋼板について、Δrと限界フランジ加工率の関係について調査した。結果を図2に示す。図2に示すように、Δrの絶対値を 0.2以下とすることで、限界フランジ加工率をより高めることができる。
【0026】
この理由は以下のように考えられる。Δrの値は圧延方向に対して0°、45°、90°の各方向のr値で決まり、絞り加工の際に発生する耳の位置と大きさに影響する。つまり、Δrが正の場合は0°と90°の位置に耳が発生し、その値が大きいほど大きな耳となる。一方、Δrが負の場合は45°の位置に耳が発生し、その値が小さいほど(絶対値としては大きいほど)大きな耳となる。耳の発生した位置では周囲に比べて相対的に板厚が薄くなり、耳が大きいほど耳の位置の板厚と周囲の板厚の差が大きくなる。酸化物系介在物に起因する微小な割れがあった場合、板厚の厚い位置ではフランジ割れに至りにくいのに対し、薄い位置ではフランジ加工の際の歪みが集中することと重なって、介在物を起点とした微小な割れがフランジ割れに至り易くなると考えられる。これによって、フランジ割れの発生は、鋼板の圧延方向に対して特有の分布で生じ、かつフランジ割れ発生率は、Δrの値の絶対値によってに相違がもたらされるものと考えられる。
以上より、Δrの絶対値は 0.2以下とするのが好ましい。
【0027】
次に、本発明における成分限定理由について説明する。
Cは、その含有量が0.01%未満の場合には鋼板が著しく軟化し、製缶後の缶体が具備すべき強度を確保できないばかりではなく、このように低いC量を達成するには溶鋼処理が煩雑になり、それにともなって酸化物系介在物が混入する機会が増える。そのため、下限を0.01%とする。また、C含有量が0.07%を超えると、フェライト粒内の固溶C量、粒界に偏析するCの量および炭化物の量が増加するため、深絞り性が劣化する。したがって、上限は0.07%、さらに好ましくは0.06%とする。
【0028】
Siは、意図的に添加しない場合でも不純物として鋼中に残留し、鋼板を脆化させ、耐食性を劣化させる元素である。また本発明による鋼板に電気めっき等による表面処理を施す際、めっき層の電析に対して悪影響を与えるため、その含有量は少ないほど望ましい。本発明ではこのような悪影響を回避する観点から、Si含有量は0.1%以下とするのが好ましい。
【0029】
Mnは、鋼中SをMnSとして析出させることによってスラブの熱間割れを防止するとともに、固溶強化元素としてCによる強化を補う役割を果たす。このような効果を発揮させるには0.1%以上の添加が必要である。しかし、0.6%を超えると集合組織形成に悪影響を与え塑性ひずみ比の面内異方性の増大をもたらす。したがって、Mn含有量は0.1〜0.6%の範囲とする。さらに好ましくは、0.1〜0.4%である。
【0030】
PもMnと同様に置換型固溶元素であり、Mn以上に大きな強化能を有し鋼板の高強度化を図るためには有効な元素である。しかし、同時にフェライト粒界に偏析して粒界を脆化させる元素でもある。以上より、P含有量は0.02%以下とするのが好ましい。
【0031】
Sはスラブの熱間割れを防止する観点から少ないほうが望ましいが、0.008%を下回ると、環境によっては鋼の孔食に対する耐性が劣化することが知られている。そのため、下限は0.008%とする。一方、0.025%を上回ると前記のMn量との関係からスラブの熱間割れを誘発する場合があるので、上限は0.025%とする。
【0032】
Sol.Alは含有量が0.03%未満の場合には、鋼中NをAlNとして十分に析出させることができず、固溶Nの増加をもたらして材質の不均一をまねきやすくなるので、下限を0.03%とする。一方、多量のAlを添加した場合、アルミナを主体とした鋼板表面に存在する酸化物系介在物を増加させるので、その上限を0.1%とする。より好ましい範囲は0.06〜0.1%である。
【0033】
Nは、多量に添加した場合、Alを添加したとしても固溶Nが残留しやすくなり、集合組織が変化し、塑性ひずみ比の面内異方性の増大をもたらすことになる。そのため、Nは極力少なくすることが望ましい。そのような観点からNは0.0035%以下とする。
【0034】
Total-Oは鋼板表面に存在する酸化物系介在物に影響するため、極力少ない方が望ましい。しかし、Total-Oを極度に低下させるためには溶鋼処理が煩雑になり、かえって鋼板表面の酸化物系介在物を増やすことになる。以上より、Total-O量は0.004%を上限とする。
【0035】
次に本発明のフランジ加工性に優れた2ピース缶用鋼板の製造方法について説明する。
【0036】
本発明の鋼を溶製する方法は、成分組成および酸化物系介在物のサイズと分布密度が本発明範囲であれば特に限定はしない。しかし、Total-O量を本発明の範囲内に制御する観点から真空脱ガス処理を施すことが望ましい。また、酸化物系介在物を低減する観点から、スラグの成分調整等の手段を用い、さらに介在物の凝集合体による浮上を促進する処理を行うことが望ましい。
【0037】
熱間圧延は、通常の方法に加え、各種の中間加熱を行う方法を採り得る。特に、本発明で必要な塑性ひずみ比の面内異方性を得るため、仕上げ温度はAr3点以上とするのが望ましい。巻き取り温度はAlNの析出促進の観点から600℃以上であることが望ましい。
【0038】
酸洗は塩酸酸洗、硫酸酸洗等通常の方法のいずれでも良いが、スケール除去性に優れた塩酸酸洗がより望ましい。
冷間圧延は塑性ひずみ比の面内異方性に影響するので、二次圧延を行う場合を含めて冷間総圧延率が92%未満になるように行うことが望ましい。
【0039】
焼鈍は箱焼鈍、連続焼鈍のいずれも採り得るが、連続焼鈍の場合には再結晶温度以上800℃以下の温度で均熱することが望ましい。また、二次圧延を行わない場合は、均熱後に15〜150℃/secで冷却し、350〜450℃過時効処理を行うことが望ましい。
【0040】
焼鈍後に、調質圧延あるいは二次圧延を行ってもよい。
表面処理は2ピース缶用鋼板として用いる用途によって種類が分かれるが、錫めっき鋼板、TFS、さらににそれらの上層に有機樹脂フィルムラミネート等を行うことができる。
【0041】
本発明による鋼板は、 DI缶、DTR缶、ストレッチードロー缶、ストレッチーアイアニング缶などの各種2ピース缶に対して用いることができる。また、ネッキング加工、フランジ加工の方法は問わない。ダイ方式、スピン方式などの方法によらず、いずれも良好な加工性を発揮することができる。
【0042】
【実施例】
表1の成分組成の鋼を溶製し、連続鋳造でスラブとした。その際,溶鋼処理条件を変更することにより,鋼板表面の酸化物系介在物のサイズおよび存在密度を変化させた。スラブを加熱炉で再加熱し、仕上げ温度をAr3点以上で熱間圧延し、巻き取り温度640℃で巻き取った。その後、塩酸酸洗を行いスケールを除去した後、冷間圧延を行った。その際、二次圧延を合わせた冷間総圧延率が92%未満になるように行った。焼鈍は連続焼鈍法で行い、再結晶温度以上800℃以下の温度で均熱した。一部については二次圧延を行わず、その場合は、均熱後に、400℃での過時効処理を行った。さらに一部については、調質圧延あるいは二次圧延を行い、冷間総圧延率が92%未満になるように最終板厚を0.17〜0.26mmとした。その際,冷間総圧延率を変化させることにより,塑性異方性の面内異方性をしめすΔrを変化させた。
【0043】
【表1】
Figure 0003770009
【0044】
ここで、JIS Z 2254にしたがってΔrを測定するとともに、走査型電子顕微鏡を用いて鋼板表面に存在する酸化物系介在物の観察を行い、粒径2〜15μmの酸化物系介在物分布密度を測定した。
【0045】
その後、全ての鋼板に対して表面処理を行い、DI缶用電気錫めっき鋼板およびTFS(ティンフリースチール)上に有機樹脂フィルムをラミネートしたストレッチードロー缶用ラミネート鋼板を製造した。
【0046】
表面処理後の鋼板に、DI加工またはストレッチードロー加工を行い、缶体を成形し、ネッキング加工およびフランジ加工を行った。
【0047】
フランジ加工性は、実際の缶体で行われているフランジ加工の加工度を分母とし、フランジ加工で割れが発生した限界の加工度を分子とした限界フランジ加工度指数により評価した。評価は、限界フランジ加工度指数が1.2以上を◎、1以上を○、1未満を×とした。
評価結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003770009
【0049】
表2より、成分、介在物密度が本発明範囲内である場合は良好なフランジ加工性が得られていることがわかる。さらにΔrの絶対値が0.2以下の場合には、より優れたフランジ加工性が得られていることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、フランジ加工性に優れた鋼板を得ることができる。さらに、缶体の軽量化のために薄ゲージ化した鋼板を用いた場合でも優れたフランジ加工性を示すので、フランジ割れによる製缶歩留の低下を防止でき、薄ゲージ化によるコスト低減効果を最大限に発揮させることができる。
【0051】
また、本発明により得られた鋼板は、各種2ピース缶用素材として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】粒径2〜15μmの酸化物系介在物分布密度と限界フランジ加工度指数との関係を示した図である。
【図2】|Δr|と限界フランジ加工度指数との関係を示した図である。

Claims (2)

  1. 量%で、0.01%≦C≦0.07%、0.1%≦Mn≦0.6%、0.008%≦S≦0.025%、0.03%≦Sol.Al≦0.1%、 N≦0.0035%、Total-O≦0.004%、残部がFeおよび不可避不純物からなり、かつ鋼板表面の粒径2〜15μmの酸化物系介在物が5×107個/m2以下であることを特徴とするフランジ加工性に優れた2ピース缶用鋼板。
  2. 塑性ひずみ比の面内異方性:Δrの絶対値|Δr|が0.2以下であることを特徴とする請求項1記載のフランジ加工性に優れた2ピース缶用鋼板。
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