JP3769709B2 - 自動車用撥水剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、洗車後の濡れた自動車ボディーにスプレーし、水ですすぐだけで、水に可溶または分散可能なグリコシド変性ジメチルポリシロキサンの作用により、スプレームラを残さずに、アミノ変性ジメチルポリシロキサンの撥水効果を自動車ボディーに付与できる撥水剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来の自動車ボディーへの撥水効果の付与は、天然ワックス、合成ワックスを主成分とし、これにジメチルポリシロキサン、弗化樹脂等を配合した製品が使用されてきた。このような撥水剤は、自動車ボディーに長期的な撥水効果を与えると共に、艶やかな光沢を付与する特性を有していた。また、洗剤中に配合したアミノ変性ジメチルポリシロキサンを、洗車作業と並行して、スポンジで自動車ボディーにこすり付けるかたちで、その撥水性を自動車ボディーに付与する製品も多数市販されてきた。
【0003】
しかしながらこのような従来の撥水剤は、前者では自動車ボディー洗車後の、水分の十分な拭き取り、ワックスの塗布、溶剤の乾燥、ワックスの拭き上げ等、一連の作業にかなりの時間を費やしていた。後者では炎天下等での洗車作業で、成分が乾燥し、水ですすいでも余分なアミノ変性ジメチルポリシロキサンが流されずに、ムラとなって自動車ボディーに残ったままで拭き上げられなかった。
【0004】
本発明は、これら自動車ボディーへの一連の撥水性付与作業における、時間的効率の悪さや、余分なアミノ変性ジメチルポリシロキサンの付着といった短所を克服した撥水剤組成物、つまわ、洗車後の自動車ボディーにスプレーし、水ですすぎ流すだけという簡便な作業で、自動車ボディーに撥水性を付与し、炎天下等の作業で成分が乾燥した場合でも、余分なアミノ変性ジメチルポリシロキサンが、水ですすぐだけで流され、ムラとして残らない、あるいは、ムラとして残っても容易に拭き取り、拭き伸ばしが可能な撥水剤組成物である。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は上記課題を解決したもので、アミノ変性ジメチルポリシロキサン(粘度が、25℃において10〜25,000cstであって、アミン当量が300〜15,000の範囲)、水に可溶または分散可能なグリコシド変性ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンと相溶性が良く塗膜に害の少ない揮発性溶剤、アルコール類、酸、水からなり、前記揮発性溶剤の構造が、脂肪族系、芳香族系、脂環族系であることを特徴とする安定な撥水剤組成物である。
【0006】
本発明で用いられるアミノ変性ジメチルポリシロキサンの構造は、ジメチルポリシロキサン中の側鎖、末端のいずれか、または、両方にアミノ基を結合させた形で存在する。アミノ変性ジメチルポリシロキサンは、アミノ基と自動車ボディーとの密着性が良好で、適当量の使用において、ジメチルポリシロキサン部分のもつ撥水効果の自動車ボディーへの提供に作用する。組成物中におけるアミノ変性ジメチルポリシロキサンの配合量は、0.01〜5.0wt%であることが好ましく、特に0.05〜2.0wt%であることが好ましい。配合量が0.01wt%未満だと、ジメチルポリシロキサンのもつ十分な撥水効果を自動車ボディーに付与できなくなる。配合量が5.0wt%を越えると、組成物が安定化せず、常温、または高温で水層と油層に分離してしまう。本発明で用いられるアミノ変性ジメチルポリシロキサンは、以下に示すようなものが例として挙げられ、一種、または二種以上のアミノ変性ジメチルポリシロキサンを併用しても差し支えない。
【0007】
Figure 0003769709
【0008】
本発明で用いられる水に可溶または分散可能なグリコシド変性ジメチルポリシロキサンの構造は、ジメチルポリシロキサン中の側鎖、末端のいずれか、または、両方にグリコシド基を結合させた形で存在する。水に可溶または分散可能なグリコシド変性ジメチルポリシロキサンは、本発明のアミノ変性ジメチルポリシロキサンと水との間の良好な界面活性力の提供に作用する。組成物中におけるグリコシド変性ジメチルポリシロキサンの対アミノ変性ジメチルポリシロキサン比率は、1:10〜10:1であることが好ましく、特に1:2〜1:1であることが好ましい。配合量が1:10未満だと、水ですすいでも余分なアミノ変性ジメチルポリシロキサンが流されず、ムラとして自動車ボディーに残ってしまう。配合量が10:1を越えると、水ですすいだときに、必要最小限のアミノ変性ジメチルポリシロキサンまで流されてしまい、十分な撥水効果が得られない。また、他のノニオン、アニオン、カチオン系界面活性剤は、塗膜への悪影響、アミノ変性ジメチルポリシロキサンと水との間の界面活性力が不充分で、アミノ変性ジメチルポリシロキサンを水ですすぐ際の効率が悪く、本発明の目的に合致した材料とはいい難い。
【0009】
本発明にいうグリコシド変性ジメチルポリシロキサンのグリコシドとして、グルコシド、ガラクトシド、マンノシド等種々のものが含まれるがグルコシドが最も一般的である。本発明の実施例においてはグルコシド変性ジメチルポリシロキサンを代表例として使用する。尚グルコシド変性ジメチルポリシロキサンにおいても、そのグルコシド当量及びそれによってHLBも変化するが、グルコシド当量が1.0〜10.0程度あれば充分本発明の効果を発揮できる。
【0010】
次に本発明で使用したグルコシド変性ジメチルポリシロキサンの詳細を記載する。
商品記号 SPG−121−VP
形態 側鎖型
HLB 13.8
グルコシド当量 1.5〜2.0
メーカー ワッカーケミカルズ イーストアジア(株)
【0011】
本発明で用いられるジメチルポリシロキサンと相溶性が良く塗膜に害の少ない揮発性溶剤の構造は、脂肪族系、芳香族系、脂環族系等の形で存在する。ジメチルポリシロキサンと相溶性が良く塗膜に害の少ない揮発性溶剤は、ジメチルポリシロキサンとの相溶性の良さ、水との相溶性の悪さを利用したもので、濡れた自動車ボディーにスプレーすることで、自動車ボディー上の水分を凝集させ、アミノ変性ジメチルポリシロキサンが自動車ボディーに付着しやすい環境を提供する作用、アミノ変性ジメチルポリシロキサンを自動車ボディーに広げる作用、および、水ですすぐ際の初期撥水の向上に作用する。
【0012】
ジメチルポリシロキサンと相溶性が良く塗膜に害の少ない揮発性溶剤は若干の官能基を有していても良い。組成物中における配合量は、0.1〜10.0wt%であることが好ましく、特に0.3〜5.0wt%であることが好ましい。配合量が0.1wt%未満だと、アミノ変性ジメチルボリシロキサンの自動車ボディーへの付着が悪く、十分な撥水効果を自動車ボディーに付与できなくなる。配合量が10.0wt%を越えると、組成物が安定化せず、常温、または高温で水層と油層に分離してしまう。本発明で用いられるジメチルポリシロキサンと相溶性が良く塗膜に害の少ない揮発性溶剤は、以下に示すようなものが例として挙げられ、一種、または二種以上の揮発性溶剤を併用しても差し支えない。
【0013】
Figure 0003769709
Figure 0003769709
【0014】
本発明で用いられるアルコール類の構造は、R−OH(Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示される低級アルコールの形で存在する。アルコール類は、アミノ変性ジメチルポリシロキサンの水への溶解性を向上させる良好な溶剤として、また多量に用いた場合、揮発性溶剤と相まって、濡れた自動車ボディーにスプレーすることで、自動車ボディー上の水分を凝集させ、アミノ変性ジメチルポリシロキサンが自動車ボディーに付着しやすい環境を提供する作用をする。組成物中における配合量は、10.0〜40.0wt%であることが好ましく、特に15.0〜25.0wt%が好ましい。配合量が10.0wt%未満だと、組成物が安定化せず、常温、または高温で水層と油層に分離してしまう。配合量が40.0wt%を越えると、塗膜に浸透し塗膜を侵してしまう。本発明で用いられるアルコール類は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられ、一種、または二種以上のアルコール類を併用しても差し支えない。
【0015】
本発明で用いられる酸は、アミノ変性ジメチルポリシロキサンの親水性の向上に作用する。本発明で用いられる酸は、例えば、塩酸、アルキルスルホン酸、ギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸等が挙げられ、一種、または二種以上の酸を併用しても差し支えない。
【0016】
この他、本発明の撥水剤組成物は、自動車ボディーだけでなく、自動車ガラスにも利用可能である。また、必要に応じて、香料、顔料、防錆剤、防腐剤等の適当量の添加も可能である。次に実施例、比較例によって本発明を詳細に説明する。
【0017】
【実施例及び比較例】
Figure 0003769709
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【0025】
撥水持続性試験
十分に洗浄して、撥水性のない、水に濡れる自動車ボディーを用意した。水をかけて自動車ボディーが完全に濡れた状態で、実施例、比較例の各組成物を数回スプレーした後、十分な水ですすいで、自動車ボディーの撥水性を目視で観察した。
Figure 0003769709
【0026】
初期撥水性試験
十分に洗浄して、撥水性のない、水に濡れる自動車ボディーを用意した。水をかけて自動車ボディーが完全に濡れた状態で、実施例、比較例の各組成物を数回スプレーした後、直ちに水ですすいで、自動車ボディーの初期撥水性を目視で観察した。
Figure 0003769709
【0027】
組成物の安定性試験
実施例、比較例を各々別の試薬瓶に入れ、50℃の恒温槽に2カ月間静置し、組成物の状態を目視で観察した。
Figure 0003769709
【0028】
ムラ残り試験
十分に洗浄して、撥水性のない、水に濡れる自動車ボディーを用意した。水をかけずに自動車ボディーが完全に乾いた状態で、実施例、比較例の各組成物を数回スプレーした後、乾燥させてから水ですすいで、自動車ボディー上のムラを目視で観察した。
Figure 0003769709
【0029】
Figure 0003769709
Figure 0003769709
【0030】
【発明の効果】
本発明の自動車用撥水剤組成物は、洗車後の濡れた自動車ボディーに対して、簡便に撥水効果を付与し、成分が乾燥した場合でも、不要の余った成分が水で容易に流され、自動車ボディーにムラが残らず、均一に仕上がるという特性を有している。

Claims (8)

  1. アミノ変性ジメチルポリシロキサン(粘度が、25℃において10〜25,000cstであって、アミン当量が300〜15,000の範囲)、水に可溶または分散可能なグリコシド変性ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンと相溶性が良く塗膜に害の少ない揮発性溶剤、アルコール類、酸、水からなり、前記揮発性溶剤の構造が、脂肪族系、芳香族系、脂環族系であることを特徴とする撥水剤組成物。
  2. アミノ変性ジメチルポリシロキサンの構造が、ジメチルポリシロキサン中の側鎖、末端のいずれか、または、両方にアミノ基を結合させた形で存在する請求項1に記載の撥水剤組成物。
  3. アミノ変性ジメチルポリシロキサンの組成物中における配合量が、0.01〜5.0wt%の範囲であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の撥水剤組成物。
  4. グリコシド変性ジメチルポリシロキサンの構造が、ジメチルポリシロキサン中の側鎖、末端のいずれか、または、両方にグリコシド基を結合させた形で存在する請求項1〜3のいずれかに記載の撥水剤組成物。
  5. グリコシド変性ジメチルポリシロキサンの組成物中における対アミノ変性ジメチルポリシロキサン比率が、1:10〜10:1であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の撥水剤組成物。
  6. 揮発性溶剤の組成物中における配合量が、0.1〜10.0wt%の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の撥水剤組成物。
  7. アルコール類が、R−OH(Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示される低級アルコールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の撥水剤組成物。
  8. アルコール類の組成物中における配合量が、10.0〜40.0wt%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の撥水剤組成物。
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