JP3769691B2 - マクロファージ刺激蛋白質を使用する方法およびキット - Google Patents
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Description
本発明は一般的に巨核球の形成および血小板の形成を刺激する方法に関する。さらに特定的には、本発明はマクロファージ刺激プロテインを使用して巨核球の成熟および血小板の生産を刺激する方法に関する。本発明はまた、たとえば血小板減少症のようなある種の造血器疾患の処置法、およびマクロファージ刺激プロテインを含むキットに関する。
発明の背景
1.肝実質細胞増殖因子
肝実質細胞増殖因子(「HGF])は、特定の組織および細胞型に対する増殖因子として機能する。HGFは最初は肝実質細胞に対する有糸分裂促進剤として確認された(Michalopoulosなど、Cancer・Res.、44巻:4414〜4419頁(1984年);Russelなど、J.Cell.Physiol.、119巻:183〜192頁(1984年);Nakamuraなど、Biochem.Biophys.Res.Comm.、122巻:1450〜1459頁(1984年)]。前記のNakamuraなどは肝臓を部分的に切除したラットの血清から得たHGFの精製を報告している。それに続いてHGFはラット血小板から精製され、そのサブユニットの構造が決定された[Nakamuraなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、83巻:6489〜6493頁(1986年);Nakamuraなど、FEBS・Letters、224巻:311〜316頁(1987年)]。ヒトの血漿から得られたヒトHGF(「huHGF」)の精製はGohdaなど、J.Clin.Invest.、81巻:414〜419頁(1988年)によって最初に記載された。
ラットHGFおよびhuHGFはともに分子としてクローニングされており、「デルタ5−HGF」と命名された天然起源アミノ酸5個欠失変異体を含めてクローニングおよび配列決定がされている[Miyazawaなど、Biochem.Biophys.Res.Comm.、163巻:967〜973頁(1989年);Nakamuraなど、Nature、342巻:440〜443頁(1989年);Sekiなど、Biochem.Biophys.Res.Comm.、172巻:321〜327頁(1990年);Tashiroなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87巻:3200〜3204頁(1990年);Okajimaなど、Eur.J.Biochem.、193巻:375〜381頁(1990年)]。
huHGFの成熟型はヒトの血清から精製したものの主たる型に対応するが、これはヒトのプロホルモンのアミノ酸R494とV495番との間で蛋白分解的切断によって誘導されたジスルフィドで結合したヘテロ二量体である。この切断過程は440アミノ酸のα−サブユニット(Mr69kDa)および234アミノ酸のβ−サブユニット(Mr34kDa)から構成される分子を発生する。huHGFのcDNAのヌクレオチド配列はα−鎖およびβ−鎖の両方がプレプロ前駆体蛋白質をコードする単一の読取り枠中に含まれていることを示す。予想される成熟huHGFの一次構造において、鎖間S−S橋はα−鎖のCys487およびβ−鎖のCys604の間で形成されている[Nakamuraなど、Nature、前出、参照]。α−鎖のN−末端にはメチオニン基に始まる54アミノ酸が先行する。このセグメントは31残基の特徴的疎水性リーダー(シグナル)配列およびプロ配列を含む。α−鎖はアミノ酸(aa)55から始まり、クリングルドメイン4個を含む。α−鎖のクリングル1ドメインは約aa128から約aa206までに伸長し、クリングル2ドメインは約aa211と約aa288との間にあり、クリングル3ドメインは約aa303から約aa383までに伸長するものと定義され、およびクリングル4ドメインは約aa391から約aa464までに伸長している。
種々のクリングルドメインの定義は他の蛋白質(プロトロンビン、プラスミノーゲン)にあるクリングル様ドメインとの相同性に基づくので、それ故に前記の限定は近似的なものに過ぎない。未だにこれらクリングルの機能は結論付けられていない。huHGFのβ−鎖はセリンプロテアーゼの触媒ドメインと高度な相同性を示す(プラスミノーゲンのセリンプロテアーゼドメインに対して38%の相同性)。しかしながら、セリンプロテアーゼの触媒三回対称軸を形成する残基3個の中で2個はhuHGF中には保存されていない。それ故に、そのセリンプロテアーゼ様ドメインにもかかわらず、huHGFはプロテイン分解的活性を持たないと思われ、β−鎖の正確な役割は未だ知られていない。HGFはα−鎖の294位および402位およびβ−鎖の566位および653位に位置する推測上のグリコシル化部位4個を含有する。
ヒト白血球から分離したcDNAの一部には15塩基対のフレーム内欠失が観察された。COS−1細胞でのそのcDNA配列の一過性発現で、コードされているクリングル1ドメイン内にアミノ酸5個を欠失したHGF分子(デルタ5HGF)が完全な機能を果たすことが示された[Sekiなど、前出]。
天然起源huHGF変異体が確認されており、それはN−末端フィンガーに対するコード配列および成熟huHGFのクリングルドメインの最初の2個を含むhuHGF転写の別種スプライシング型に対応する[Chanなど、Science、254巻:1382〜1385頁(1991年);Miyazawaなど、Eur.J.Biochem.、197巻:15〜22頁(1991年)]。この変異体はHGF/NK2と命名され、成熟huHGFの競合的拮抗剤であると提唱されている。ラットHGFとhuHGFとのアミノ酸配列の比較ではこの配列2個は高度に保存されて同一の構造的特性を持つことが示されている。ラットHGFにあるクリングルドメイン4個の長さはhuHGFにあるものと正確に同一である。さらにその上、全システイン残基は正確に同一の位置に配置されており、類似の第三次元構造を示唆する[Okajimaなど、前出;Tashiroなど、前出]。
HGF受容体はcMet−プロトオンコジーンの産物と同定されている[Bottaroなど、Science、251巻:802〜804頁(1991年);Naldiniなど、Oncogene、6巻:501〜504頁(1991年)]。この受容体はp190METと命名され、190kDaのヘテロ二量体(ジスルフィド結合した50kDaのα−鎖および145kDaのβ−鎖)である膜スパンニングしたチロシンキナーゼ蛋白質からなる[Parkなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84巻:6379〜6383頁(1987年)]。HGFのその受容体への結合活性はその分子の最初のクリングル2個を含むN−末端部分の機能ドメインによって伝達される[Matsumotoなど、Biochem.Biophys.Res.Comm.、181巻:691〜699頁(1991年);Hartmannなど、Proc.Natl.Acad.Sci.、89巻:11574〜11578頁(1992年);Lokkerなど、EMBO・J.、11巻:2503〜2510頁(1992年);LokkerおよびGodowski、J.Biol.Chem.、268巻:17145〜117150頁(1991年)]。c−Met蛋白質はHGFが結合すると145kDaβ−サブユニットのチロジン残基が燐酸化される。HGF遺伝子とHGF受容体遺伝子は共に染色体7の長アームのq11.2〜q21.1領域内に配置されている[Deanなど、Nature、318巻:385〜388頁(1985年);Weidnerなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88巻:7001〜7005頁(1991年);Sacconeなど、Genomics、13巻:912〜914頁(1992年)]。
肝不全患者の血漿[Gohdaなど、前出]および実験的に肝損傷を導入した動物の血漿[Lindroosなど、Hepatol.、13巻:734〜750頁(1991年)]または血清[Asamiなど、、J.Biochem.、109巻:8〜13頁(1991年)]ではHGFの濃度が増大することが観察されている。この応答の機序は迅速であって肝臓再生の間のDNA合成の第一段階に先行する。HGFはまた黒色素胞、尿細管細胞、ケラチノサイト、ある種の内皮細胞および上皮起源の細胞を含むある種の細胞型に対する有糸分裂促進剤であることが証明されている[Matsumotoなど、Biochem.Biophys.Res.Commun.、176巻:45〜51頁(1991年);Igawaなど、Biochem.Biophys.Res.Commun.、174巻:831〜838頁(1991年);Hanなど、Biochem.、30巻:9768〜9780頁(1991年);Rubinなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88巻:415〜419頁(1991年)]。HGFはまた試験管内で上皮細胞および血管上皮細胞の剥離を促進する活性である「散乱因子」としても作用できる[Stokerなど、Nature、327巻:239〜242頁(1987年);Weidnerなど、J.Cell・Biol.、111巻:2097〜2108頁(1990年);Naldiniなど、EMBO・J.、10巻:2867〜2878頁(1991年);Giordanoなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90巻:649〜653頁(1993年)]。これに加えて最近、HGFは上皮形態形成剤として記載された[Montesanoなど、Cell、67巻:901〜908頁(1991年)]。それ故、HGFは腫瘍の侵襲においておよび胚の発達において重要であることが仮定されている。慢性c−Met/HGF受容体活性化はある種の悪性腫瘍で観察された[Cooperなど、EMBO・J.、5巻:2623頁(1986年);Giordanoなど、Nature、339巻:155頁(1989年)]。
HGFおよびHGF変異体はさらに米国特許第5227158号、第5316921号、および第5328837号にも記載されている。
2.マクロファージ刺激蛋白質
HGFに関係する蛋白質が最近確認された。この蛋白質は、HGF様[Hanなど、前出;Degenなど、Biochemistry、30巻:9781頁(1991年);Shimamotoなど、FEBS、333巻:61〜66頁(1993年)]またはマクロファージ刺激蛋白質(「MSP」)[Leonardなど、米国特許第5219991号;Skeelなど、J.Exp.Med.、173巻:1227〜1234頁(1991年);Leonardなど、Exp.Cell・Res.、114巻:117〜126頁(1978年);Yoshimuraなど、J.Biol.Chem.、268巻:15461〜15468頁(1993年)]と命名され、HGFとはクリングル構造全部で4個を共有する。
MSPをコードするcDNAも確認されている。この蛋白質はクリングルドメイン4個とそれに続いてセリンプロテアーゼドメインを有しHGFと類似のドメイン構造を含むと思われる。MSPは53kDaのα−鎖および25kDaのβ−鎖を含むヘテロ二量体である。しかしながら、MSPは単鎖の前駆体として分泌される[Yoshimuraなど、前出]。HGF前駆体[Naldiniなど、EMBO・J.、11巻:4825〜4833頁(1992年)]と同様に現在ではMSPの生物学的に活性なα−β−ヘテロ二量体への成熟は血清依存性の蛋白質分解的切断によって達成されると信じられている[Wangなど、J.Biol.Chem.、269巻:3436〜3440頁(1994年);Wangなど、J.Biol.Chem.、269巻:14027〜14031頁(1994年)]。Wangなど、J.Biol.Chem.、269巻:13806〜13810頁(1994年)は、たとえば血清カリクレイン、第XIIa因子、γ−神経栄養因子および表皮性増殖因子結合蛋白質のようなある種のプロテアーゼはプロ−MSPをα−β−ヘテロ二量体にまで切断し、活性化することを報告している。
MSPは「p185RON」または「RON」と命名されたヘテロ二量体膜貫通グリコプロテインからなる受容体に結合して、活性化することが見出されている[Gaudinoなど、EMBO・J.、13巻:3524〜3532頁(1994年);Wangなど、Science、266巻:117頁(1994年10月7日)]。このグリコプロテインはジスルフィド結合によって結合された鎖2本:β(150kDa)およびα(35kDa)を持つ。p185RONは単鎖前駆体(pr170RON)として合成され、これが続いて蛋白質分解的切断により成熟したヘテロ二量体型に変換される。プロセッシングされていない単鎖前駆蛋白質と異なり、この蛋白質のヘテロ二量体型は細胞表面まで送達される。
RONをコードする蛋白質配列はRonsinなど、Oncogene、8巻:1195〜1202頁(1993年)が記載したヒトのケラチノサイトcDNAライブラリーからクローニングされたcDNAから誘導された。このRONのcDNAは1400アミノ酸の蛋白質をコードするが、これは構造的にHGFの受容体と全体的な類似性を共有し、触媒ドメインでは約63%の配列同一性を持つ。MSPの遺伝子およびRON受容体の遺伝子は共に染色体3p2.1[Hanなど、前出;Ronsinなど、前出]地図に配置されている。
RON受容体は主として上皮起源の細胞上および単球中に発現される。p185RONはまた固有のチロジンキナーゼ活性を有しており、これはMSPおよびMSP融合プロテインであるMSP−NK2によって刺激される[Gaudinoなど、前出]。しかしながら、このチロジンキナーゼ活性はHGF[同]によっては刺激を受けない。この交差反応性の不在はさらにMSPは、HGF受容体であるp190MET[同]に結合して活性化することができないことによって証明された。
MSPをコードするmRNAは主に肝臓中で発現される。それは肺臓、副腎および胎盤中にも低濃度で発現される。現在までに体内でのMSPの生理学的役割は完全には判明していない。血清MSPは24時間以内には静脈内リポポリサッカライドに反応して増加することはなく、MSPは急性相蛋白質であるとは思えないことを示す[Wangなど、J.Leuk.Biol.、54巻:289〜295頁(1993年)]。Yoshimuraなど、前出、はマクロファージ中でMSPがC5aに対する化学走性的応答を刺激すると報告している。Leonardなどは、米国特許第5219991号に高度に精製したMSPの病原性感染症の処置のための使用を開示している。
3.巨核球および血小板の生産
哺乳類の骨髄に一次的に見出される多能幹細胞は末梢血内で循環している様々な型の血球を生産する潜在能力を有する[Dexterなど、Ann.Rev.Cell・Biol.、3巻:423〜441頁(1987年)]。多能幹細胞は成熟段階を経て種々の血球系統に分化した明確な血球型を生産する。骨髄中で分化した血球系統の一つは巨核球系統である。
巨核球の形成および血小板生産の制御はMazur、Exp.Hemat.、15巻:248頁(1987年)およびHoffman、Blood、74巻:1196〜1212頁(1989年)に綜説がされている。巨核球の始原細胞の少なくとも3種が確認されている:(1)バースト形成ユニット巨核球(BFU−MK);(2)コロニー形成ユニット巨核球(CFU−MK);および低密度巨核球始原細胞(LD−CFU−MK)。巨核球の成熟も標準的な形態学的判断基準に基づいて数段階に分類されている。最先の認識できる細胞は巨核芽球である。細胞の中間型はプロ巨核球または好塩基性巨核球と命名されている。細胞の最後の型は成熟(好酸性、顆粒性または血小板形成)巨核球として呼称される。成熟巨核球は原形質のフィラメントをシヌソイド空隙に伸長して、そこで、個別の血小板または「プレートレット」に解離し、断片化する。[Williamsなど、「血液学(Hematology)」、第1版、McGraw−Hill社、ニューヨーク、ニューヨーク(1972年)]。
巨核球の形成は数種の制御因子が関与すると信じられている[Williamsなど、Br.J.Haematol.、52巻:173頁(1982年);Williamsなど、J.Cell・Phys.、110巻:101頁(1982年)]。巨核球形成の初期は有糸分裂であって、一次的に細胞増殖およびCFU−MKからのコロニー始動を含むが、しかし血小板のカウントには影響されないと信じられる[Bursteinなど、J.Cell・Phys.、109巻:333頁(1981年);Kimuraなど、Exp.Hematol.、13巻:1048頁(1985年)]。成熟の後期は一次的に非有糸分裂であり、核の倍数体化と原形質の成熟とを含む[Odellなど、Blood、48巻:765頁(1976年);Ebbeなど、Blood、32巻:787頁(1968年)]。
血小板は一般に血液中で循環し、血液凝固および傷害に対する体の反応に重要な役割を演じている。血小板の循環血中濃度の減少は様々な病理学的状況および治療に由来できる。血小板減少症は、例えば、骨髄による血小板生産の減損、脾臓における血小板隔離、および放射線または化学療法による血小板の破壊増進に由来できる。大量な血液製剤の急速な投与を受けている患者は血液の希釈に基づく血小板減少症が進行することもある。血小板減少性疾患はさらにSchafner、「血小板減少症および血小板機能の疾患(Thrombocytopenia・and・Disorders・of・Platelet・Function)」、Internal・Medicine社、第3版、Huttonなど編(1990年)に記載されている。
ある種のサイトカインと増殖因子とは血小板の生産および巨核球の増殖を誘導することが確認されている。巨核球刺激活性(MK−CSA)を持つと報告されているサイトカインにはインターロイキン−3(IL−3)[Williamsなど、Leukemia・Res.、9巻:1487〜1491頁(1985年)]、インターロイキン−6(IL−6)[Brunoなど、Exp.Hemat.、17巻:1038〜1043頁(1989年)]、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)[Ishibashiなど、Blood、75巻:1433〜1438頁(1990年)]、インターロイキン−11(IL−11)[Xuなど、Blood、83巻:2023〜2030頁(1994年)]、エリトロポイエチン(Epo)[Sakaguchiなど、Exp.Hemat.、15巻:1023〜1034頁(1987年)]、およびインターロイキン−12(IL−12)[Waldburgerなど、Exp.Hemat.、22巻:497a頁(1994年)(補)]を包含する。その他のサイトカインをMK−CSAを有することが確認された増殖因子と混合した時には血小板の発達を調整すると報告されている。これらのサイトカインには、IL−1α[Gordonなど、Blood、80巻:302〜307頁(1992年)]および白血病阻止因子(LIF)[Metcalfなど、「巨核球および血小板の形成に及ぼす白血病阻止因子の作用]、CIBA基金シンポジウム集]を包含する。cMplリガンドも巨核球の形成および血小板の形成の刺激剤であると報告されている[de・Sauvageなど、Nature、369巻:533〜538頁(1994年);Lokなど、Nature、369巻:565〜568頁(1994年);Kaushanskyなど、Nature、369巻:568〜571頁(1994年)]。さらに、血小板の形成を刺激すると報告されている合成蛋白質の一つはPIXY321である[van・de・Venなど、Exp.Hematol.、20巻:743〜751頁(1992年);Williamsなど、Blood、82巻:366a頁(1993年)(補);Collinsなど、Blood、82巻:366a頁(1993年)(補)]。PIXY321は合成ペプチド鎖によって結合されたGM−CSFとIL−3とから構成される融合蛋白質である[Williamsなど、Cancer、67巻:2705〜2707頁(1991年)]。
IL−3は原理的に血小板形成の過程の分化(最先)相に影響を与えると信じられる[Mooreなど、Blood、78巻:1頁(1991年);Sonodaなど、、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85巻:4360頁(1988年)]。IL−6はマウスおよび霊長類モデルで巨核球始原細胞の増殖ならびに成熟を誘導することが証明されているが、一部の研究者はIL−6は細胞の成熟にのみ影響を与えるとの観察をしている。IL−3とIL−6との間の相互作用は現在不明確であるが、いくつかの報告ではマウスのIL−6に対する抗体がマウスIL−3のMK−CSAを排除することが発見されたので、IL−3のMK−CSAはIL−6が仲介していると指摘している[Lotemなど、Blood、74巻:1545〜1551頁(1989年)]。その他の研究者はIL−6単独の中和抗体は形成不能性患者から調製した血清のMK−CSAを減少させないことを報告し、巨核球の形成におけるIL−6の重大な役割を低く評価している。それにもかかわらず、多数の研究は致死量の放射能を受けた動物に投与した時のIL−6の刺激効果を証明している[Bursteinなど、Blood、80巻:420〜428頁(1992年);Herodinなど、Blood、80巻:68〜74頁(1992年)]。
転移肉腫および肺癌のための化学療法剤を高用量投与されている患者では、IL−6は血小板数の減少を削減し、ベースライン水準への回復を促進した[Demetriなど、Blood、82巻:367a頁(1993年)(補);Crawfordなど、Blood、82巻:367a頁(1993年)(補)]。IL−6で処置した自家骨髄移植のレシピエントはマッチした対照よりも循環血小板の比較的迅速な回復と短期な血小板注入依存性を経験することが報告されている。
生体内および試験管内で血小板の生産を刺激することのできる分子を確認することが本発明の目的である。
生体内および試験管内で巨核球の成熟を刺激することのできる分子を確認することが本発明の他の目的である。
現存するか、または予想される循環血小板の低下によって特徴付けられる生理学的な条件の処置における使用のために医薬的に許容される担体中でその分子を提供することが本発明の他の目的である。
血小板の生産および巨核球の成熟を刺激する目的のために採用できる製造物またはキットにおけるその分子を提供することが本発明のさらに別の目的である。
本発明のこれらおよびその他の目的は本明細書全体を考慮すれば当技術分野における通常の熟練者には明確になるものである。
発明の要約
従って、本発明の態様の一つではマクロファージ刺激蛋白質を使用して血小板の生産を刺激する方法を提供する。
本発明のその他の態様では巨核球の成熟のための方法を提供する。
本発明のさらに別の態様ではマクロファージ刺激プロテインを含有する製造物およびキットを提供する。このマクロファージ刺激蛋白質は巨核球の成熟および血小板の生産のための活性成分としてのマクロファージ刺激蛋白質を確認するラベルを持つ容器に入れて提供される。
血液中の血小板濃度低下は個体の健康を危険にさらすことがある。発明の背景の欄で検討したように、危険な程に低下した血液中の血小板濃度は種々の病原的状況ならびに化学療法および放射線照射の結果かもしれない。本出願人は驚くべきことにマクロファージ刺激蛋白質が巨核球の成熟および血小板の生産を刺激するために有用であることを発見した。本発明のマクロファージ刺激蛋白質は試験管内および生体内で採用できる。生体内での使用にはマクロファージ刺激蛋白質は血小板減少症のような造血器官の疾患に悩む個体のための治療的療法剤として投与できる。このマクロファージ刺激蛋白質は放射線および/または化学療法を受けているか、またはこれから受けようとしている個体のための予防的な療法剤としても投与できる。
好適な態様の詳細な記載
1.定義
ここに使用する用語「マクロファージ刺激プロテイン」および「MSP」は増殖因子の一つを示し、この増殖因子は典型的にはクリングルドメイン4個を含む構造を持つ。この用語「マクロファージ刺激蛋白質」および「MSP」は天然起源から精製されたか、化学的に合成されたか、または組換え的に製造されたか、のいずれかのこのプロテインの成熟、プレ、プレプロ、およびプロ型を示す。マクロファージ刺激蛋白質は単鎖型またはヘテロ二量体型をとりうる。本定義は特にYoshimuraなど、J.Biol.Chem.、268巻:15461〜15468頁(1993年)(EMBL/GenBank/DDBJから受理番号L11924の下に入手でき、このヌクレオチドおよびアミノ酸配列は本明細書中の配列リストにもおのおの配列番号1および配列番号2として提示する)が記載した配列がコードするマクロファージ刺激蛋白質を包含する。本明細書で「MSP−NK2」と記載するヒトIgG−γ1重鎖のC末端領域と融合したマクロファージ刺激プロテインのN−末端領域(最初のクリングルドメイン2個)を含む融合蛋白質も特に本定義内に包含する。マクロファージ刺激蛋白質の断片には本明細書中に記載するマクロファージ刺激蛋白質と同じ活性を持つものがあり、そのような活性を有する断片の使用は本発明の範囲内にあると考える。
用語「アミノ酸」および「複数のアミノ酸」は全ての天然起源L−α−アミノ酸を示す。この定義はノルロイシン、オルニチン、およびホモシステインを包含するものである。これらのアミノ酸は1字表記か3字表記かのいずれかによって記載される:
Asp D アスパラギン酸 Ile I イソロイシン
Thr T トレオニン Leu L ロイシン
Ser S セリン Tyr Y チロジン
Glu E グルタミン酸 Phe F フェニルアラニン
Pro P プロリン His H ヒスチジン
Gly G グリシン Lys K リジン
Ala A アラニン Arg R アルギニン
Cys C システイン Trp W トリプトファン
Val V バリン Gln Q グルタミン
Met M メチオニン Asp N アスパラギン
用語「巨核球の成熟」は巨核芽細胞およびプロ巨核球または好塩基性巨核球の成熟した血小板産生細胞への分化を含む過程を示す。巨核球の成熟は典型的には、たとえば膜の倍数性および分画のような細胞の変化を伴い、例えば倍数性分析および顕微鏡的分析によって観察し、定量化できる。
用語「血小板減少症」は典型的には約150×109個/リットル血液以下の血小板レベルによって特徴付けられる生理学的状況を示す。
用語「処置すること」、「処置」、および「治療」は治療的処置、予防的処置および防止的処置を示す。
用語「哺乳類」はヒト、ウシ、ウマ、イヌ、およびネコを含む哺乳類に分類される哺乳類のいずれをも示す。本発明の好適な態様では、この哺乳類はヒトである。
2.本発明の方法および組成物
本発明は以後「MSP」として示すマクロファージ刺激プロテインを使用して巨核球の成熟および血小板の生産を刺激する方法を提供する。本発明の実施に有用なMSPは多数の方法によって製造できる。例えば、このMSPはMSPの単離型または精製型を使用して製造できる。天然起源からMSPを単離および精製する方法は当技術分野では知られており、例えばSkeelなど、J.Exp.Med.、173巻:1227〜1234頁(1991年)およびLeonardなど、米国特許第5219991号に記載されている。このような単離法および精製法は血清または血漿からMSPを得るために採用できる。これとは別に、MSPは化学的に合成でき、および当技術分野で知られており、下記実施例1、2および3にさらに詳記する組換えDNA技術を使用しても製造できる。
このMSPはヒトからまたはいずれかの非ヒト種からのものであってもよい。例えば、哺乳類に別の哺乳類種からのMSPを投与することもありうる(たとえばマウスをヒトMSPで処置できる)。マウスMSPおよびヒトMSPの間にはかなりの相同性(アミノ酸同一性約81%)が存在するので、別種の哺乳類からのMSPを採用できることが期待される。しかしながら、MSPに対する潜在的免疫反応を回避するため哺乳類を相同的MSPで処置するのが好ましい(たとえばヒトをヒトMSPで処置する)。
本発明は生体内および試験管内における巨核球の成熟および血小板の生産方法を包含する。試験管内で巨核球の成熟を刺激するための本発明の方法に従えば、巨核芽細胞、プロ巨核球および/または塩基性巨核球を含有すると推定される骨髄細胞または細胞試料を取り、細胞培養培地に入れる。次にこれらの細胞を有効量のMSPの存在下に培養する。
適当な組織培養培地は当技術分野における熟練者にはよく知られており、これに限定するものではないが、最小必須培地(「MEM」)、RPMI−1640およびダルベッコの修正イーグル培地(「DMEM」)を包含する。これら組織培養培地はSigma・Chemical社(セントルイス、MO)およびGIBCO社(グランドアイランド、NY)から商業的に入手できる。次に細胞が生存し、増殖するために十分な条件下にこれら細胞を細胞培養培地中で培養する。細胞は、クロット、寒天または液体培地中での培養を包含する種々の方法によって培養できる。
これらの細胞は有効量のMSPの存在下に培養される。MSPの量は変動しうるが、しかし、約10ng/mLから約100ng/mLの範囲内が好ましい。このMSPには勿論当業者が過重な実験なしに実験的に決定する用量を培地に添加できる。培地中のMSP濃度は、たとえば細胞およびMSPを培養する条件のような種々の因子に依存するものである。特定の温度およびインキュベーション時間、ならびにその他の培養条件は、たとえばMSP濃度および細胞および培地の型のような因子に依存して変化できる。当技術分野の熟練者は操作および最適培養条件を過大な実験なしに決定できるものである。培地中の巨核球の成熟は、たとえばWilliamsなど、Leukemia・Res.、9巻:1487〜1491頁(1985年);Brunoなど、Exp.Hematol.、17巻:1038〜1043頁(1989年);Ishibashiなど、Blood、75巻:1433〜1438頁(1990年);Xuなど、Blood、83巻:2023〜2030頁(1994年);Sakaguchiなど、Exp.Hematol.、15巻:1023〜1034頁(1987年)]のような当技術分野で知られる種々の検定によって測定できる。
試験管内で巨核球の成熟を刺激するためにMSPを使用することは種々の目的において有用であることが企図されている。例えば、試験管内でMSPの存在下に培養された巨核球を血小板形成細胞レベルが低下した哺乳類に注入できる。
本発明の方法に従えば、哺乳類における巨核球の成熟および血小板の生産を刺激するためにはその哺乳類に有効量のMSPを投与する。哺乳類に血小板の血中レベルに悪影響を与えることのある、たとえば高用量の放射線または化学的療法のような治療を施した時またはその後にMSPを投与することを企図している。MSPはまた血中血小板濃度の減少を回避するために予防的にも投与しうる。
このMSPは医薬的に許容される担体の中で哺乳類に投与するのが好ましい。適当な担体およびその製剤は「レミントンの医薬品科学(Remington’s・Pharmaceutical・Sciences)」、第16版、1980年、Mack・Publishing社、Osloなど編、に記載がある。この発明を実行するため使用するMSPの臨床的投与のために殊によく適合している組成物は無菌水溶液または、たとえば凍結乾燥した蛋白質のような無菌の水和性粉剤を包含する。典型的には、製剤を等張性にするために適切な量の医薬的に許容される塩も使用する。医薬的に許容される担体の例には食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液を包含する。たとえば投与経路および投与するMSPの濃度などに依存して、ある種の担体がより好適になりうることは当分野の熟練者には明白なこととなろう。このMSPは哺乳類に注射(たとえば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内など)または、たとえば活性な型の血流中への送達を確実にする点滴のようなその他の方法によって投与するのが好ましい。
MSPの有効量および投与計画は実験的に決定しうるが、そのような決定をすることは当分野の熟練の範囲内にある。用量の異種間スケール交換は当技術分野で知られている方法、たとえばMordentiなど、Pharmaceut.Res.、8巻:1351頁(1991年)に開示されているようにして、実行できる。投与すべきMSPの用量は、例えばMSPを投与される哺乳類、血小板水準低下の原因であると信じられる医学的状況または治療の性質、血球生産組織の損傷の程度、投与経路、およびその哺乳類に投与されている他種薬剤の同一性などに依存して変化するものであることは当技術分野での熟練者の理解する所である。またMSPの用量を1回以上投与する必要がありうることも理解される。一般にMSPの多回用量が投与のためには必要となろう。MSPの投与はその哺乳類における血小板が許容水準に達するまで継続すべきである。
本発明はまた哺乳類において、血小板減少症を処置する方法も提供する。この方法ではその哺乳類がまず血小板減少症であることを診断する。この診断の実行は当技術分野の熟練の範囲内にある。当技術分野の熟練者はまた様々な血小板水準が異なる哺乳類種について血小板減少症の診断を保証しうることも認識するであろう。この診断はヒトでは通常血小板レベルが約150×109個/L血液以下に落ちた時に行われる。血小板減少症は血小板または血小板生産細胞の生産、分布または破壊にある異常の結果であることがある。血小板減少症を処置するためには、前記した投与の様式と計画に従ってMSPをその哺乳類に投与する。
前記方法において、MSPは生物学的または化学的に活性な薬剤1種またはそれ以上と結合して投与できる。好ましくは、そのような薬剤は巨核球の形成または血小板の形成作用を持つ。現在では、例えばMSPはcMplリガンドまたはトロンボポイエチン[de・Sauvageなど、前出;Lokなど、前出;Kaushanskyなど、前出]、IL−3、GM−CSF、またはLIFと組合せて投与できると信じられている。熟練した医師は本発明のためにMSPをこれら薬剤のいずれかと混用する時は、有用な各薬剤の通常の用量を削減した適切な用量を決定できる。このMSPは他の薬剤と同一の製剤中で投与できるし、またはMSPとその他の薬剤とは別に投与することもできる。その他の薬剤もその特定の薬剤に適当な様式、経路および計画に従って投与される。
巨核球の成熟および血小板の生産は種々の方法で測定し、監視できる。例えば成熟と血小板の生産は試験管内検定法を使用して測定できる。巨核球始原細胞検定法は当技術分野では知られており、例えばTanakaなど、Br.J.Haematol.、73巻:18頁(1989年)に記載のように細胞をメチルセルロース中で培養することによって実行できる。単細胞増殖検定法はWilliamsなど、Cell・Tissue・Kinetics、15巻:483頁(1982年);Banuなど、Br.J.Haematol.、75巻:313頁(1990年);Oonなど、Leukemia・Res.、10巻:403頁(1986年);Sparrowなど、Leukemia・Res.、11巻:31頁(1987年)に記載のようにして実行できる。
成熟および血小板の生産は末梢血または骨髄の分析によっても監視できる。循環血中の血小板水準は細胞計数分析により決定できる。セルカウント分析は生存細胞をトリパンブルー排除によって計数することによって実行することもある。細胞は形態学的に検査することもできる。例えば、骨髄試料を哺乳類から採取し、当技術分野で知られている標準的な組織学的技術を使用して顕微鏡検査のために準備する。細胞を染色することによって、その骨髄試料中にある巨核球のサイズ、細胞の特徴、および数を観察できる。
本発明はさらに巨核球の成熟および血小板の生産を刺激するために有用な物質を含有する製造物およびキットを提供する。製造物にはラベルを有する容器を含む。適当な容器には、例えばビン、バイアルおよび試験管を包含する。これら容器は、たとえばガラスまたはプラスチックのような各種の材料から成形しうる。この容器には巨核球の成熟および血小板の生産を刺激するために有効な組成物を入れてある。この組成物中の活性薬剤はMSPである。その容器のラベルには、その組成物が巨核球の成熟および血小板の生産を刺激するために使用されることを指摘し、また前記のような生体内または試験管内のいずれかでの使用に対する指示を記載してあってもよい。
本発明のキットは前記容器および緩衝液を入れた第二の容器を含む。これにはさらに、別の緩衝液、希釈剤、フィルター、注射針、注射筒、および使用のための指示を記載した包装挿入物を含む、商業的視点および使用者の視点から望ましいその他の材料も包含しうる。本発明は次の実施例を参照することによって、さらに完全に理解することとなろう。それら実施例がしかしながら本発明の範囲を限定すると解釈すべきでない。本明細書に記載の引用文献は参考のために記載したものである。
実施例
実施例1:MSPの組換え生産
全長MSPをコードするcDNAはMSPのアミノ酸1〜340をコードするcDNA(クローン5’−MSP)と341〜711(クローン3’MSP)をコードするcDNAとを結合して構築できる(Yoshimuraなど、前出、が報告した番号付けを使用)。これらのcDNAはヒトの肝臓からのcDNAのPCR増幅によって単離できる(1987年7月28日発行の米国特許第4683195号および「分子生物学における最新プロトコール(Current・Protocols・in・Molecular・Biology)」、Ausbelなど編、Greene・Publishing社およびWiley−Interscience社、1991年、2巻:第15章に記載のようにして)。ランダムヘキサマーおよびオリゴdTの混合物を使用する、M−MLV−RT(英国のBRL社から商業的に購入できる)を用いる逆転写(RT)のための鋳型としてヒト全肝臓RNA(10μg)を使用する。5’−MSPクローンを得るために10μLのRT反応混合物を含有する100μL容中で1UのVentDNAポリメラーゼ(New・England・Biolabs社から商業的に入手できる)および各50ピコモルの正方向プライマー:CAGTGCAGCCTCCAGCCAGAA(配列番号3)および逆方向プライマー:CTGTACAACGCCGGATCTGGTAG(配列番号4)を使用するPCR反応を実行する。変性(95℃、1分間)、アニーリング(55℃、45秒)および伸長(72℃、2分間)を30サイクルの後、PCR反応物の2μLをネステド(入れ子状にした)正方向プライマー:AGGACGAATCCACCATGGGGTGGCTCCCACTCCTGCTGCTTCTGACT(配列番号5)およびネステド逆方向プライマー:CCGGAATTCGAACTTCTGCCGGAACCCCGAC(配列番号6)で再増幅する。クローン3’MSPを得るためには正方向プライマー:CCGGAATTCGAACTTCTGCCGGAACCCCGAC(配列番号7)および逆方向プライマー:ACGGAATTCCCAAGGCATATGGCATCAAGGCT(配列番号8)を使用する。PCR生成物をEcoRI制限酵素(New・England・Biolabs社から商業的に入手できる)で消化し、精製したのち、ベクターpRK7(8/17/88付与の欧州特許第278776号)にクローニングする。別々のPCR反応で増幅した挿入物の配列を次にジデオキシヌクレオチド配列決定法によって決定する。このcDNAはYoshimuraなど、前出、に記載の技術を使用して発現し、精製できる。
実施例2:MSP/NK2融合蛋白質の組換え製造
MSPのN−末端268アミノ酸を含む部分的cDNA[Yoshimuraなど、前出、が報告した番号付けを使用]をヒトのIgGガンマ1重鎖の配列に融合する[Bennettなど、J.Biol.Chem.、266巻:23060〜23067頁(1991年)]。これはMSP中の独特なBamHI部位を介してMSP配列をヒトのIgG−ガンマ重鎖cDNA[前記]中のBstEII部位に結合するために合成した相補性オリゴヌクレオチド:GATCCGCAGATCGAGCGAGAATTCTGTACCTGCCGCGGTGCGAGACG(配列番号9)および:GTGACCGTCTCGCACCGCGGCAGGTCACAGAATTCTCGCTCGATCTGCG(配列番号10)を使用して達成できる。得られた構築物はMSPのアミノ酸1〜268のコード配列、アミノ酸Glu、Thr、Val、およびThrをコードするするリンカー配列およびこれに続いてヒトのIgG−ガンマ1重鎖のアミノ酸216〜443のコード配列を含有する。
このMSP/NK2をコードするcDNAはEBV−由来の発現プラスミドであるpCIS.EBON[米国特許第5328837号]に挿入し、293細胞[ヒト胎児腎細胞系統、Crahamなど、J.Gen.Virol.、36巻:59頁(1977年)]中にCachianesなど、Biotechniques、15巻:255〜259頁(1993年)に記載された操作を使用して挿入できる。MSP/NK2の精製のために、MSP/NK2を発現する293細胞からの血清不含調整培地を無菌濾過し、クエン酸緩衝液(pH6)を添加して最終濃度100mM−クエン酸とする。精製操作は全て4℃で実行する。濾過した培地を次に100mM−クエン酸、pH6と平衡しておいたHiTrapTMプロテインAカラム(Pharmacia・LKB社、ピスカタウエー、NJ)上に負荷する。結合した蛋白質を100mM−クエン酸、pH6、3.5M−MgCl2、2%(v/v)グリセリンで溶離する。各画分をあらかじめ燐酸塩緩衝食塩水と平衡しておいたPD−10カラム(Sephadex・G−25)に直ちに通して緩衝液交換をする。次にこの画分を集めて濃縮する。蛋白質濃度は抗ヒトFc・ELISAによって(例えば、米国特許第5316921号および第5328837号参照)およびアミノ酸の全加水分解によって決定できる。精製したMSP/NKのNH2−末端配列は蛋白質配列決定法によって確認できる。蛋白質の純度および均一性はSDS−PAGEゲルの銀染色により、ならびにヒトIgG1のFc領域に対して指向する抗体を使用するウエスタンブロティングによって、評価できる。
実施例3:ヒトの巨核球細胞系統の成熟に及ぼすMSPの効果
ヒトの巨核球細胞系統を試験管内でおのおの下記のA節およびB節に記載するようにして製造したMSPおよび組換えhuHGFを含有する種々の濃度の調整培地に対する反応について分析した。
A.MSPを含有する調整培地の製造
MSPをコードするcDNAを実施例1記載の通りに製造した。このMSPの配列はYoshimuraなど、前出、に報告されているヒトのMSPの配列と同一であった。このcDNAを発現プラスミドpCIS.EBON(実施例2に記載)中に挿入し、これらのプラスミドを含有する293細胞の安定な集団(実施例2に記載)をCachianesなど、Biotechniques、前出に記載のようにして樹立した。293対照細胞およびMSP遺伝子移入体細胞から得た培地を使用の前に5%FCSと37℃で1時間処理[Wangなど、J.Biol.Chem.、269巻:3436〜3440頁(1994年)]してプロMSPを成熟2鎖型までプロセッシングした。ベクターのみか、MSPを含むベクターかのいずれかを遺伝子移入した細胞からの調整培地を48時間にわたって集め、下記検定法では1:10希釈で使用した。
B.組換えhuHGFの製造
組換えhuHGFを本質的に米国特許第5227158号に記載の通りに製造した。Sekiなど、前出、に記載のヒト白血球ライブラリーから分離したhuHGFcDNAクローン(HCL3)を発現ベクターpSVI6B5(ATCC寄託番号68151)中にクローニングした。ヒト白血球HGFの完全アミノ酸配列は米国特許第5227158号、配列番号2に記載されている。CHO−dhfr細胞[Urlaubなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻:4216〜4220頁(1980年)]に前記pSVI6B5由来のhuHGF発現ベクターとdhfr選択ベクターpFD11[Simonsenなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80巻:2495〜2499頁(1983年)]とをGrahamなど、Virology、52巻:456〜467頁(1973年)の一般法を使用して、共遺伝子移入した。後者のプラスミドはDHFRをコードしており、それによって遺伝子移入された細胞にメトトレキセート耐性を与えてhuHGF発現形質転換体を選択させる。形質転換したdhfr細胞をグリシン−、ヒポキサンチン−およびチミジン−欠失培地中で増殖させて選択した。この選択培地に発生したコロニーを綿棒を使用して分離し、同一培地中で数代にわたって増殖させた。細胞の増殖後、標準技術を使用してメトトレキセート量を増加させつつ細胞を増幅し、選択した。選択培地中で増殖でき、それ故、遺伝子移入したDHFRを含有するプラスミドが導入されたクローンを分泌されたHGFの存在について検索した。これらのクローンの培地中のHGF活性はNakamuraなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80巻:7229〜7233頁(1983年)に記載の有糸分裂検定法で検定した。培養培地中のHGF活性はNakamuraなど、Nature、342巻:440〜443頁(1989年)に記載のラット肝細胞一次培養物への125I−標識デオキシウリジンの取込によっても測定しうる。次にhuHGFを本質的にNakamuraなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、前出、に記載のようにして精製した。
C.細胞培養検定法
ヒトの巨核球細胞系統「DAMI」(S.Greenberg、Brigham・and・Women’s・Hospital、ボストン、MAから入手)および「CMK」(T.Sato、千葉大学、日本から入手)をこの検定法で使用した。両細胞系統はGreenbergなど、Blood、72巻:1968〜174頁(1988年)およびKomatsuなど、Blood、74巻:42頁(1989年)に記載の培養物中に維持した。
5%血小板欠乏血漿(「PPP」)(Avrahamなど、Blood、79巻:365〜371頁(1992年)に記載のようにして製造)を含むRPMI−1640培地中、2×105細胞/mLの細胞を24ウェル培養プレート(Corning社、コーニング、NY)に入れて5日間5%CO2湿潤大気中に維持した。細胞をMSP調整培地(前記Aに記載)中、3濃度の組換えhuHGF(前記Bに記載)または293細胞条件付き対照培地およびホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(「PMA」)含有または不含条件で培養した。PMAはポジティブコントロールとして使用した。PMAはPMA(Sigma社、セントルイス、MO)をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して調製し、−80℃で貯蔵した。使用直前に、PMAをRPMI−1640培地で希釈した。希釈したPMAを次に10ng/mL濃度で細胞とインキュベーションした。インキュベーションの後、細胞をHank平衡塩溶液(「HBSS」)で2回洗浄し、核分離培地(「NIM」;0.2%BSA、0.4%Nonidet・p40、および10mM−HEPES、pH7.4、HBSS中)プラス54Worthington単位/mLのRNase・A(Biolab社、ニューイングランド、MA)中に2×106細胞/mLで再懸濁した。
培養した細胞のDNA含有量または倍数性をヨウ化プロピジウム(Sigma社、セントルイス、MO)25μg/mLを含む等容のNIM(前記)で細胞を染色することによって検査した。試料を4℃の暗所に置き、同じ日にフルオレッセイン活性化細胞分別スキャンニング(Becton・Dickinson社、マウンテンビュー、CA)およびCellFitTMソフトウエアを使用して分析した。結果を次の表1に示す。結果は二重に測定した実験3回のデータの平均値±SEMとして表示する。
実験の結果を倍数性について検定すると、MSP処理は一定の濃度範囲にわたってCMK細胞の成熟を強化したことを示した。これとは対照的に、huHGFはこの濃度範囲にわたってCMKの倍数性には効果を示さなかった。
D.DAMIおよびCMK細胞のノーザンブロット分析
全細胞RNAをグアニジンイソチオシアネート法によってCMKおよびDAMI細胞から抽出し、このRNA20μgを2.2モル/Lのホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲル中で電気泳動した。ナイロンフィルター(Hybond−N)に移した後、フィルターを放射能標識相補性DNA挿入物とハイブリッド形成させた。このハイブリッド形成は37℃で50%ホルムアミド、3×塩化ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、10%硫酸デキストラン、および100μg/mLの変性鮭精子DNAの存在下に行った。フィルターを0.2×SSCおよび0.5%SDS中で60℃で2時間洗浄した。膜を次にKodak・Xomatフィルム(Eastman・Kodak社、ロチェスター、NY)に48時間感光させた。特定のメッセンジャーRNA(mRNA)転写物を、キナーゼドメインから構成されるRONに対するヒトの部分的cDNAプロープで検出した。ブロット分析の結果からRON遺伝子の5.0kbおよび2.0kbの特異的な転写物が構成的にCMKおよびDAMI細胞中に発現されていることが示された(データ不掲載)。
実施例4:ヒトの骨髄巨核球によるサイトカイン分泌に及ぼすMSPの効果
A.試験管内検定法
特異的サイトカイン検定法を使用して、MSP調整培地または組換えhuHGFで処理して培養したヒトの巨核球およびDAMI細胞からの上清液をIL−6、IL−1βおよびGM−CSFの合成および分泌について検定した。
骨髄を健康な提供者から標準的技術を使用して無菌条件下に保存剤不含のヘパリン中に吸引、採取した。一次骨髄巨核球をTanakaなど、Brit.J.Haematol.、73巻:18〜24頁(1989年)に記載のように表面GpIIb/IIIaに対するモノクローナル抗体のカクテルで被覆した免疫磁気ビーズ(M753、Dako社、カーペンテリア、CA)によって分離した。次に分離した骨髄巨核球の純度をフローサイトメトリー(Tanakaなど、前出、の方法を使用)によって測定し、95〜98%の値を得た。
分離した一次骨髄巨核球(105細胞/mL)およびDAMI細胞(106細胞/mL)(S.Greenberg、Brigham・&・Women’s・Hospital、ボストン、MAから入手)をMSP調整培地(実施例3のAに記載のようにして製造)、組換えhuHGF(実施例3のBに記載のようにして製造)または293細胞対照調整培地の存在または不在下に1%PPP含有RPMI−1640培地(実施例3のCに記載)中でAvrahamなど、前出、に記載の条件下に24時間培養した。各被験培養について二重に培養を行った。この検定には血小板欠乏血漿を採用して血清中に比較的高濃度で存在することがあるTGF−βおよびその他の血小板由来媒介物質の存在を回避した。
これら細胞培養物からの上清液を得て免疫反応性サイトカインについて検定した。ヒトのインターロイキン−1β、ヒトのGM−CSF、およびヒトのインターロイキン−6の免疫検定はR・&・D・Systems社、ミネアポリス、MNから購入して製造社の指示に従って使用した。各検定ではサイトカインのポジティブコントロールによる標準曲線を作成した。検出の最低限界はIL−6について0.35pg/mL、GM−CSFについて1.5pg/mL、IL−1βについて0.3pg/mLであると測定された。
次の表2に報告する検定結果は二重に行った検定3回から得たデータの平均値±SEMとして表示する。統計的有意性はスチューデントのT−検定を使用して決定した。
表2に示す通り、MSPの添加は検査した培地の全てにおいて他の全処置を超えるIL−6の分泌増加を示した。同様な増加はDAMI細胞でも観察されて、MSP処理培養物に約90pg/mLのIL−6が検出されたのに比較して非処理培地の培養物中では約34pg/mLのIL−6が検出された。それ程でもないが、MSP処理は一次骨髄巨核球に対するその他の処理のすべてを超え、またDAMI細胞についての対照を超えて、GM−CSFおよびIL−1βの分泌を増加させた。
ヒトの巨核球によるIL−1βの分泌はまた特異的なIL−1βELISAを使用して評価した。IL−1β蛋白質は未刺激巨核球の上清液中に検出された。MSPはIL−1βの分泌をわずかに刺激したが、有意ではなかった。MSPまたはhuHGFがGM−CSFの分泌に及ぼす影響は観察されなかった。
B.巨核球のRNA分析
分離した一次骨髄巨核球から全細胞RNAを抽出した。このRNAをグアニジンイソチオシアネート操作法によって抽出し、続いてCsClクッションを通す超遠心分離を行った。全RNAを次に1.2%ホルムアルデヒドアガロースゲル上を移動させ、無傷のRNAをエチジウムブロミド染色によって可視化させた。RNAの逆転写(RT)を各試料から得た全RNA2μgを使用して実行した。RONプライマーを使用するPCR検定を正方向プライマーと逆方向プライマーとを使用して実行した。
このPCR生成物を2%アガロースゲル(BRL社、ベセスダ、MO)で分析した。増幅されたDNAバンドはUVトランスイルミネーターで目視した。増幅されたDNAはゲルのエチジウムブロミド染色によって期待したサイズで検出できた。PCR対照についての内部反応標準も実行した。これらの標準にはプライマー含有または不含のRNA、RNA不含プライマーおよびアクチンプライマー含有RNAを含めた。プライマーストックの全ておよび全RNA調製物は細胞のDNAによる夾雑を除外するために分析したものである。RNA分析のこの結果は分離された骨髄巨核球がRONに対する特異的なmRNAを発現したことを示す(データは表示せず)。
実施例5:マウス巨核球減少症に及ぼすMSPの効果
マウスの巨核球分化に及ぼすMSPの効果を検査するために、Oonなど、Leukemia・Research、10巻:403〜412頁(1986年)およびSparrowなど、Leukemia・Research、11巻:31〜36頁(1987年)に記載の方法に従って単細胞巨核球の増殖検定を実行した。
骨髄からの単細胞集団は正常C57B1/6マウス(Jackson・Laboratories社から購入)の大腿骨に10%FCS含有DMEMを流すことによって調製した。未成熟巨核球集団をPercoll(Pharmacia社)勾配によって分離した単細胞骨髄細胞の懸濁物から1.07〜1.085g/cm3画分として得た。分画した細胞を105細胞/mLでDMEM−10%FCS中で5日間37℃で湿潤インキュベーター中で10%CO2下に、滴定量のMSP含有調整培地(実施例3のAに記載のとおりに調製)およびIL−6(R・&・D・Systems社、ミネアポリス、MNから購入)の存在下に培養した。
培養物を乾燥し、Williamsなど、Cell・Tissue・Kinetics、15巻:483〜494頁(1982年);Banuなど、Br.J.Haemat.、75巻:313〜318頁(1990年);Oonなど、前出;Sparrowなど、前出、に記載のようにアセチルコリンエステラーゼについて染色した。単細胞のマウス巨核球は画分した骨髄細胞培養物5×104個当りアセチルコリンエステラーゼ陽性細胞の数として記録した。未成熟巨核球の増殖は光学顕微鏡によって検出された単球大型巨核球の数によって定量した。
その結果を表3に示す。この結果は3重の培養を行った実験3回からの平均値±SEMを示す。
マウスの未成熟巨核球集団の培養液にMSPを添加すると検出可能なアセチルコリンエステラーゼ陽性巨核球数の増加を伴う増殖強化の反応を示す。
間接的な免疫複合体欠乏法[Sparrowなど、前出]を使用する中和検定も実施した。IL−6に対する中和モノクローナル抗体はGenetic・Institute、ボストン、MAから入手した。増殖因子(MSPおよびhuHGF)の最適下限濃度および抗体の至適濃度(1:10希釈)を選択して抗体の過剰状態を作成した。種々の増殖因子および抗体を混合して、4℃で2時間インキュベーションした。対照には正常ウサギ血清(Sigma社、セントルイス、MOから購入)を使用した。免疫複合体はProtein・A−Sepharose・CL−4BTM(Pharmacia・LKB社、ピスカタウエー、NJ)を50μL添加して沈降させた。培養物の上清液を集めて前記未成熟マウス巨核球増殖検定における残留巨核球刺激活性について検定した。
中和検定の結果はMSP(ならびにIL−6)に応答する未成熟マウス巨核球の増殖はIL−6に指向するモノクローナル抗体によって中和されることを示した。表3参照。表3はまたIL−6またはMSPに添加した非免疫血清はIL−6またはMSP単独を超える有意な効果を示さないことを示す。完全な理解はなされておらず、いずれの一理論に限定されるものでもないが、この結果は巨核球からのサイトカイン分泌を誘導することまたは補助細胞によるIL−6の誘導によってMSPが巨核球の成熟を制御する機能を果たしているであろうことを示唆している。
配 列 表
(1)一般的情報:
(i)出願人:ジェネンテク・インコーポレイテッド
ニュー・イングランド・ディーコネス・ホスピタル・コーポレイション
(ii)発明の名称:マクロファージ刺激蛋白質を使用する方法およびキット
(iii)配列の数:10
(iv)連絡先:
(A)宛名:ジェネンテク・インコーポレイテッド
(B)通り:ポイント・サン・ブルーノ・ブールバード460番
(C)市:サウス・サン・フランシスコ
(D)州:カリフォルニア
(E)国:アメリカ合衆国
(F)ZIP:94080
(v)コンピューター解読書式:
(A)媒体型:3.5インチ,1.44Mbフロッピーディスク
(B)コンピューター:IBM PC適合
(C)オペレーティング・システム:PC−DOS/MS−DOS
(D)ソフトウエア:Winpatin(ジェネンテク)
(vi)本出願のデータ:
(A)出願番号:
(B)出願日:
(C)分類:
(viii)弁理士/代理人情報:
(A)氏名:マーシャング,ダイアン・エル
(B)登録番号:35,600
(C)参照/整理番号:P0912PCT
(ix)電話連絡先情報:
(A)電話番号:415/225−5416
(B)ファックス番号:415/952−9881
(C)テレックス:910/371−7168
(2)配列番号1の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:2232塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号1:
(2)配列番号2の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:711アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号2:
(2)配列番号3の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:21塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号3:
(2)配列番号4の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:23塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号4:
(2)配列番号5の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:47塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号5:
(2)配列番号6の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:31塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号6:
(2)配列番号7の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:31塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号7:
(2)配列番号8の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:32塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号8:
(2)配列番号9の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:47塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号9:
(2)配列番号10の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:49塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号10:
Claims (12)
- 医薬的に許容される担体中、有効量のマクロファージ刺激プロテインを含む、哺乳類中の血小板の生産を刺激するための医薬組成物。
- 該マクロファージ刺激プロテインがヒトのマクロファージ刺激プロテインである、請求項1に記載の医薬組成物。
- 化学療法剤を投与した後に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
- 化学療法剤を投与する前に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
- 該医薬的に許容される担体が無菌食塩水である、請求項1に記載の医薬組成物。
- 該医薬的に許容される担体中、マクロファージ刺激プロテインの有効量を含む、血小板減少症に羅患していると診断された哺乳類における血小板減少症を処置するための医薬組成物。
- 有効量のマクロファージ刺激プロテインの存在下に巨核芽細胞、プロ巨核球および/または好塩基性巨核球を含むと推測される細胞試料を培養することを含む、試験管内で巨核球の成熟を刺激する方法。
- マクロファージ刺激プロテインの量が10ng/mLから100ng/mLである請求項7に記載の方法。
- 容器、
その容器のラベル、および
その容器内に含まれる組成物
を含む、巨核球の成熟および血小板の生産を刺激するための製品
[ここに、その組成物は巨核球の成熟および血小板の生産を刺激するために有効であり、その容器上ラベルにはその組成物が巨核球の成熟および血小板の生産を刺激するために使用できることが記載され、さらにその組成物中の活性薬剤はマクロファージ刺激プロテインを含む]。 - さらに哺乳類にマクロファージ刺激プロテインを投与するための指示を含む、請求項9に記載の製品。
- さらに試験管内細胞培養においてマクロファージ刺激プロテインを使用するための指示を含む、請求項9に記載の製品。
- 第一の容器、その容器のラベル、およびその容器内に含まれる組成物;
[ここに、その組成物は巨核球の成熟および血小板の生産を刺激するために有効であり、その容器のラベルにはその組成物が巨核球の成熟および血小板の生産を刺激するために使用できることが記載され、さらにその組成物中の活性薬剤はマクロファージ刺激プロテインを含む];および
緩衝液を入れた第二の容器;
を含む、巨核球の成熟および血小板の生産を刺激するための製品。
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