JP3769636B2 - かつら取付方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に脱毛部周辺の自毛を利用してかつらを頭部に被着するためのかつら取付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘアピース等の部分かつらは、頭部に残っている自毛を利用して取り付けることができる。この種のかつらを取り付ける場合、かつらの裏面に固着したクリップ或いはヘアピン等の固定金具を自毛に挟着して、かつらを取付固定する方法がある。或いはまた、かつらの周縁部に対応する部分の自毛を束ね、この自毛束を直接或いは糸や接着剤を介してかつらに編み込んだり、巻き付けたり或いは縫着してかつらを頭部に取り付けるようにする方法が知られている。
【0003】
例えば、特開平2−41404号公報に記載の「かつらの取付部の形成方法およびかつらの固定方法」によれば、少なくとも3本の糸を用いて頭皮の周辺に生え残っている適宜数十本の毛体から成る毛体束を生え際に沿って編み込むことにより、編み込まれた毛体のすべりや緩みがなく抜け出しがない堅牢な構造のかつらの取付部が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のかつら取付法、特に上述の公報記載のものにあっては、毛体束を編み込む際、自毛の生え際に沿ってくくり糸によって連続して編み込む等、かつらを取り付けるために複雑な工程を含み、取付け作業に手間がかからざるを得なかった。また、かつらを頭部にぴったりと装着するには毛体をある程度の張力で引っ張ることになるため、非常な痛みを伴っていた。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑み、作業性、取扱性に優れると共に適正且つ確実にかつらを取り付けることができるかつら取付方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のかつら取付方法は、日着されるべきかつらのかつらベース周縁部に適宜の間隔で開設された孔に、その孔の下側付近の自毛束を挿通させて表側へ引き出す工程と、孔の近傍位置に開設した別の孔に、引き出した自毛束を挿通させ、かつらベースの下側に引き入れる工程と、前記別の孔へ引き入れた自毛束を該別の孔内にて係合手段によって係止する工程と、を備えており、前記係合手段がチューブ材で成り、自毛束をチューブ材に挿通した状態で、チューブ材を前記別の孔に強制嵌着することにより、該別の孔内にて自毛束を係止するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載のかつら取付方法では、前記チューブ材の外形が前記別の孔の口径より大径でなることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、かつらベース周縁部に開設された孔に下側から適当な本数の自毛束を挿通させてかつら表面側へ引き出し、更に引き出した自毛束を近傍の別の孔に挿通させてかつら裏面側へ引き入れ、この別の孔内にて係止するか又はかつらベースの下側で係止することにより、かつらを頭部に装着固定するようにしている。
このようにして簡単な工程により、適正且つ確実にかつらを頭部に取り付けることができる。かつらベース周縁部の孔に自毛束を挿通させて表側へ引き出す場合、その孔の下側付近の自毛束を挿通させるようにし得るため、かつらを頭部に装着した際に自毛にはほぼ毛根から真上に向かう張力が生じることになる。つまり孔に挿通された自毛束に横方向に引っ張る張力が生じ難くすることで、痛みを緩和することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明によるかつら取付方法の好適な実施の形態を説明する。
かつらを頭部に装着固定する場合、脱毛部を覆うように頭部にかつらを載せた後、前額部、サイド部、後頭部の位置を合わせて、かつら装着固定作業を開始する。
この実施形態において図1では、頭部10にかつらを載せた状態を示しているが、説明の便宜上、かつらに取り付けた毛髪は図示を省略してある。脱毛部の周囲には、比較的密に自毛11が生えているものとする。
【0014】
かつらベース1は、柔軟性に富む軟質合成樹脂等により形成した人工皮膚製のもの、或いは細かい網み目を有するネット部材、或いはこれら人工皮膚とネット部材とを組み合わせて成るものであってよい。本実施の態様では、かつらベース1は図示のように、網目の大きいネット部材を用いており、この網目から自毛を引き出してかつらに取り付けている毛髪とブレンドし得るようになっている。
【0015】
かつらベース1の周縁部2は樹脂等により固められており、後述するようにこの周縁部2に適宜の間隔で多数の孔3が形成されている。本例では、孔3はかつらベース1のフロント側(前額部に対応する)を除く、両サイド部及びバック側(後頭部に対応する)の周囲に、例えば2〜3mm間隔で直径約2mm程度の孔3が並んで穿設されている。
【0016】
図2〜図5は、本発明方法の主要工程を示している。
かつらは、上述のように頭部10の脱毛部を覆うように載せられ、かつらベース1の周縁部2は、かつら使用者の頭部10の生え際に沿って配置されるように予め形成されている。
ここで、かつらベース1の周縁部2に開設されている複数の孔3は、図2では円形の孔として形成されているが、必ずしも図示の円形孔に限らず、矩形,菱形など何れの形状のものであってよい。或いは、挿入した自毛束と後述する係合手段との係合を確実にするため、孔3の周囲が適当な高摩擦力を発揮し得るように加工されていればさらに好ましい。例えば、孔の周囲にゴム材を取り付けたり、或いは多数の細かい凹凸を付したり、または孔の形状をひょうたん形に形成してくびれを設けたりすることができる。
【0017】
この孔は、周縁部2がネット部材に樹脂被覆して形成されて成る本例の場合はパンチングで孔開けすることができる。また、周縁部2が人工皮膚製で成る場合は、上記パンチングの他、かつらベース作製時にマスク等により孔3を一体的に形成することができる。
【0018】
ここで、図1のようにしてかつらを頭部に載せて位置合わせを行った後、かつらベース1の周縁部2の例えば孔3aの下側付近の自毛11を、例えば数十本程度を取り出して自毛束11aとし、この自毛束11aを図示のようにかつらベース1の下側から上側へ挿通させて、かつらの表側へ引き出す。
【0019】
次に、図3において、孔3aの近傍位置、例えば隣合う位置に開設された別の孔3bに、自毛束11aを挿通させて、かつらの下側へ引き入れる。この場合、自毛束11aに係合手段としてのチューブ材4を挿着し、自毛束11aの所定位置に保持しておく。
【0020】
チューブ材4は、好適にはゴム材や合成樹脂材などの可撓性材料或いは弾性材料により形成され、自毛束11aを挿通した後、例えば周囲に糸等を巻回して締めつけることで自毛束11aを固定する。場合により、接着剤を用いてチューブ材4を自毛束11aに固定してもよい。チューブ材4の固定位置は、孔3aからの長さが孔3a及び別の孔3b間の間隔程度となるのが好ましい。自毛束11aに固定した後のチューブ材4の太さ(外形)は、孔3bよりも僅かに太めとなるのが好ましい。
【0021】
次に、図4において、チューブ材4が固定された自毛束11aは、孔3bからかつらベース1の下側に引き出される。このとき、チューブ材4を孔3bに強制的に引き込むと、チューブ材4は圧縮して孔3b内で強制的に嵌合する。この状態で、かつらを自毛束11aと係止することができる。
【0022】
上記のようにして係止するようにしてもよいが、図5のように、さらにチューブ材4を上記別の孔3bの下側に強制的に押し出してかつらベース1の下側で係止するようにしてもよい。このようにすることで、チューブ材4は再び膨出して元の形状に復元するから、チューブ材4は孔3bの下側で係止され、その際、かつらベースの下側に引き出された自毛束11aをかつらベース1の下側で係止することができる。
【0023】
チューブ材4は、前述のように孔3bよりも僅かに太めとなっているから、図5のようにかつらベース1の下側に押し出されると、孔3bから容易に抜けることがなく、従ってかつらは頭部の適正部位に確実に取付固定される。
【0024】
なお、かつらベース1の表側から自毛束11aを上記別の孔3bに挿入して下側へ引き出した後で、チューブ材4を自毛束11aに挿着して、かつらベース1下面に当接する位置で該チューブ材4を固定するようにしてもよい。このようにすると、チューブ材4の固定作業が容易に行える。
【0025】
かつらの下側へ引き入れられた自毛束11aの先端側は、他の自毛11と同じほぼ垂直な毛流方向になるので、かつらの下側から露出する自毛束11aは周囲の他の自毛11の毛流方向と整列することになる。
【0026】
このようにして、頭部の全周或いはフロント側(前額部)を除く周囲に、かつらベースに形成した一対の孔3a,3bを介して自毛束11aを断続的に係止するようにしているので、簡単な取付作業で、適正且つ確実にかつらを取り付けることができる。この際、かつらベース1の周縁部2の孔3aに挿通された自毛束11aには、毛根からほぼ真上に向かう張力が生じることになる。つまり孔3aに挿通された自毛束11aに対して、痛み等の原因となる横方向に引っ張る張力がほとんど生じないことになる。したがって自毛束11aに無理な引っ張りがかからないので痛みが生じず、或いは痛みを著しく緩和することができる。
【0027】
なお、上記実施形態において、チューブ材4を用いて自毛束11aをかつらベース1の下側で係止する例を説明したが、チューブ材4の代わりに例えば接着剤を孔3a及び又は孔3bに塗布することにより或いは糸部材を巻回する等により係止するようにしてもよい。また、自毛束11aを挿通させる孔3a及び孔3b間の間隔や、かつらベース1の周縁部2に開設すべき個数等については、必要に応じて適宜設定することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、基本的にはかつらベース周縁部の孔に自毛を挿通させるという簡単な工程により、適正且つ確実にかつらを取り付けることができる。従ってかつら取付作業が容易になり、極めて取扱性に優れている。また、自毛を利用することによるかつらの頭部装着時の痛みもほとんど生じることがなく、安全性及び快適性等を得ることができる等の利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るかつらの被着時の様子を示す斜視図である。
【図2】本発明方法の実施形態における主要工程を示し、自毛束を孔からかつらベース表面側へ引き出した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明方法の実施形態における主要工程を示し、引き出した自毛束にチューブ材を挿着した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明方法の実施形態における主要工程を示し、自毛束を別の孔へ引き入れ、チューブ材を該孔へ強制嵌合した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明方法の実施形態における主要工程を示し、自毛束をかつらベースの下側で係止する状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 かつらベース
2 周縁部
3,3a,3b 孔
4 チューブ材
10 頭部
11 自毛
11a 自毛束
Claims (2)
- かつらを頭部に取り付けるための方法であって、
かつらベース周縁部に適宜の間隔で開設された孔に、その孔の下側付近の自毛束を挿通させて表側へ引き出す工程と、
前記孔の近傍位置に開設された別の孔に前記引き出した自毛束を挿通させ、前記かつらベースの下側に引き入れる工程と、
前記別の孔へ引き入れた前記自毛束を前記別の孔内にて係合手段によって係止する工程と、を備え、
前記係合手段がチューブ材で成り、前記自毛束を該チューブ材に挿通した状態で、該チューブ材を前記別の孔に強制嵌着することにより、該別の孔内にて自毛束を係止するようにしたことを特徴とする、かつら取付方法。 - 前記チューブ材の外形が前記別の孔の口径より大径でなることを特徴とする請求項1に記載のかつら取付方法。
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