JP3769387B2 - 油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ポンプと電動機とシリンダとを一体化させてなる油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6、図7に、従来例の油圧制御装置を示す。
図6に示すように、固定容量形ポンプ1は、両方向の流れを許容するもので、その一方の流体口1aをシリンダ2のボトム側圧力室2aに接続し、かつ、他方の流体口1bをシリンダ2のロッド側圧力室2bに接続している。
上記固定容量形ポンプ1には、その駆動源として電動機Mを連係させている。この電動機Mは、可変速制御タイプで、左右両回転方向に回転可能としたものである。
したがって、電動機Mを回転させると、その回転速度及び回転方向に応じて、固定容量形ポンプ1が駆動する。そして、固定容量形ポンプ1は、シリンダ2のボトム側圧力室2aの作動油を吸入し、その作動油をロッド側圧力室2bに吐出したり、あるいは、シリンダ2のロッド側圧力室2bの作動油を吸入し、その作動油をボトム側圧力室2aに吐出したりする。
【0003】
さらに、上記シリンダ2の両圧力室2a、2bには、切換弁3を接続している。そして、この切換弁3の一方のパイロット室3aに、ボトム側圧力室2aの圧力を導き、かつ、他方のパイロット室3bには、ロッド側圧力室2bの圧力を導いている。
このようにした切換弁3は、中立位置にあるとき、シリンダ2の両室2a、2bを閉じた状態に保っている。そして、一方のパイロット室3aに導かれるボトム側圧力室2aの圧力が高くなると、図面右側の切換位置に切換わって、ロッド側圧力室2bをリザーバタンク4に連通する。逆に、他方のパイロット室3bに導かれるロッド側圧力室2bの圧力が高くなると、図面左側の切換位置に切換わって、ボトム側圧力室2aをリザーバタンク4に連通する。
【0004】
次に、この油圧制御装置の作用を説明する。
いま、電動機Mを回転させて、固定容量形ポンプ1が、シリンダ2のロッド側圧力室2bの作動油を吸入し、その作動油をボトム側圧力室2aに吐出しているとする。したがって、シリンダ2の両圧力室2a、2bの圧力差によって、ピストンロッド5が伸びる方向に移動する。
このとき、シリンダ2のボトム側圧力室2aの圧力が高くなるので、前述したように、切換弁3が図面右側の切換位置に切換わる。そして、切換弁3が図面右側の切換位置に切換わると、シリンダ2のロッド側圧力室2bがリザーバタンク4に連通する。
【0005】
このようにシリンダ2のロッド側圧力室2bをリザーバタンク4に連通すれば、ロッド側圧力室2bの作動油が不足してしまうことがない。
すなわち、ロッド側圧力室2bは、ボトム側圧力室2aに比べて、ピストンロッド5の分だけ容量が小さくなっている。そのため、固定容量形ポンプ1が、ロッド側圧力室2bの作動油を吸入し、その作動油をボトム側圧力室2aに吐出すると、ロッド側圧力室2bの作動油が不足してしまうことになる。
【0006】
そこで、ロッド側圧力室2bをリザーバタンク4に連通することで、上記不足分をリザーバタンク4から補充することができ、作動油が不足するのを防ぐことができる。
なお、電動機Mを逆方向に回転させて、固定容量形ポンプ1が、シリンダ2のボトム側圧力室2aの作動油を吸入し、その作動油をロッド側圧力室2bに吐出するときは、ピストンロッド5が縮む方向に移動する。そして、このときは、切換弁3がボトム側圧力室2aをリザーバタンク4に連通するので、ボトム側圧力室2aの余剰分をリザーバタンク4に逃すことができる。
【0007】
図7には、以上述べた油圧制御装置を具体的に示す。
マニホールド6内には、具体的には図示しないが、その側面からスプールを組み込んで、切換弁3を構成している。そして、この切換弁3を、マニホールド6に設けたリザーバタンク4に接続している。
【0008】
このようにしたマニホールド6には、シリンダ2を設けている。
すなわち、マニホールド6の取付面6a、6bを貫通するようにシリンダチューブ7を取り付ける。そして、このシリンダチューブ7の基端側にクレビス部8を設け、このクレビス部8を介して、図示しない機器に連結させている。
また、シリンダチューブ7にピストンロッド5を組み込んで、シリンダチューブ7内に、ここでは図示しないボトム側圧力室2a及びロッド側圧力室2bを形成している。そして、このピストンロッド5の突出端にもクレビス部9を設け、このクレビス部9を介して、図示しない別の機器に連係させている。
【0009】
さらに、図7(a)に示すように、マニホールド6の図面左側の取付面6aには、電動機Mを設けている。したがって、この電動機Mの軸線は、上記シリンダ2の軸線と平行に位置することになる。
また、マニホールド6の図面右側の取付面6bには、上記電動機Mに対向させるようにして固定容量形ポンプ1を設けている。
【0010】
これら電動機Mと固定容量形ポンプ1とは、マニホールド6を挟んで同軸上に位置することになる。そして、具体的に図示しないが、電動機Mの出力軸を、マニホールド6を貫通させて固定容量形ポンプ1に連係させている。
なお、マニホールド6内には油路を形成して、上記切換弁3、シリンダ2、電動機M、及び固定容量形ポンプ1と相まって、図6に示した回路を構成するようにしている。
このようにした油圧制御装置では、固定容量形ポンプ1と電動機Mとシリンダ2とを一体化させたので、省スペース化を図ることが可能となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような油圧制御装置では、電動機Mが回転してトルクを発生すると、そのトルクとは反対向きの反力が発生する。そして、この反力は、図7(b)に示す矢印のように、電動機Mの出力軸を中心とする回転力として作用する。
ところで、上記従来例では、シリンダ2を、マニホールド6を介して電動機Mと一体化させるとともに、電動機Mと平行に配置している。そのため、上記電動機Mで発生する反力は、シリンダ2をその径方向に振ろうとする力として作用してしまう。
【0012】
特に、電動機Mを左右両回転方向に繰り返し回転させたような場合、その反力は、シリンダ2を径方向に振ろうとする力として、左右に繰り返し作用してしまう。例えば、シリンダストロークをフィードバックするサーボ制御を行なったような場合には、シリンダストロークの位置決めなどで、電動機Mが左右両回転方向に繰り返し回転することが多くなる。
そして、シリンダ2を径方向に振ろうとする力が左右に繰り返し作用すると、シリンダ2やそれに連結する機器が振動したり、騒音が発生したりすることがあった。
この発明の目的は、電動機で発生する反力が、シリンダを径方向に振ろうとする力として作用することのない油圧制御装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ポンプと、ポンプを駆動する電動機と、ポンプに接続するシリンダとを一体化させてなる油圧制御装置を前提とする。
そして、第1の発明は、一対のポンプと、各ポンプを駆動する一対の電動機と、一対のポンプに接続するシリンダとを備え、一対の電動機を同じ向きに配置するとともに、これら一対の電動機を互いに逆方向に回転させるとともに、これら電動機に連係する一対のポンプが相まって、シリンダの同じ圧力室側に作動油を吐出する構成にする一方、各電動機の軸線をシリンダの軸線と平行に配置して、一方の電動機で発生する反力と、他方の電動機で発生する反力とが互いに打ち消しあう構成にした点に特徴を有する。
【0014】
第2の発明は、一対のポンプと、各ポンプを駆動する一対の電動機と、一対のポンプに接続するシリンダとを備え、一対の電動機を反対向きに配置するとともに、これら一対の電動機を同一方向に回転させるとともに、これら電動機に連係する一対のポンプが相まって、シリンダの同じ圧力室側に作動油を吐出する構成にする一方、各電動機の軸線をシリンダの軸線と平行に配置して、一方の電動機で発生する反力と、他方の電動機で発生する反力とが互いに打ち消しあう構成にした点に特徴を有する。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、同一構造を有する一対の電動機によって、同じ容量を有する一対の固定容量形ポンプをそれぞれ駆動させて、シリンダの同じ圧力室側に作動油を吐出する構成にした点に特徴を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1、2に示すこの発明の実施例の油圧制御装置は、一対の電動機M1、M2を設けた点に特徴を有するものである。そして、それ以外の基本的な構成については、上記実施例のものと同じなので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0017】
まず、この発明の実施例の油圧制御装置の回路について説明する。
図1に示すように、シリンダ2には、一対の固定容量形ポンプ11、12を接続している。これら固定容量形ポンプ11、12は、いずれも両方向の流れを許容するもので、互いに同じ容量を有する。
そして、固定容量形ポンプ11の一方の流体口11aをシリンダ2のボトム側圧力室2aに接続し、かつ、他方の流体口11bをシリンダ2のロッド側圧力室2bに接続している。また、それとは逆に、固定容量形ポンプ12の一方の流体口12aをシリンダ2のロッド側圧力室2bに接続し、かつ、他方の流体口12bをシリンダ2のボトム側圧力室2aに接続している。
【0018】
上記固定容量形ポンプ11、12には、その駆動源として電動機M1、M2をそれぞれ連係させている。
これら電動機M1、M2は、同一構造を有するものとし、いずれも可変速制御タイプで、左右両回転方向に回転可能としている。そして、両電動機M1、M2を、互いに逆方向に回転させるよう、すなわち、一方を右回転させれば、他方を左回転させるよう制御している。
例えば、電動機M1を回転させて、固定容量形ポンプ11が、流体口11aからシリンダ2のボトム側圧力室2aの作動油を吸入し、その作動油を、流体口11bからロッド側圧力室2bに吐出したとする。
【0019】
このとき、電動機M2は上記電動機M1と逆方向に回転して、固定容量形ポンプ12が、流体口12bから吸入した作動油を、流体口12aから吐出する。
ただし、前述したように、固定容量形ポンプ12の流体口12a、12bの接続関係を、上記固定容量ポンプ11の接続関係と逆にしているので、結局、この固定容量形ポンプ12は、上記一方の固定容量形ポンプ11と同じく、シリンダ2のボトム側圧力室2aの作動油を吸入し、その作動油をロッド側圧力室2bに吐出することになる。
【0020】
すなわち、これら一対の固定容量形ポンプ11、12が相まって、上記従来例で説明した固定容量形ポンプ1と同じ役割を果たすことになる。したがって、上記従来例と同じシリンダ2を制御するのであれば、各固定容量形ポンプ11、12の容量は、従来例で説明した固定容量形ポンプ1の容量のちょうど半分にしておけばよい。
なお、シリンダ2の両圧力室2a、2bに切換弁3を接続することは、上記従来例で説明したとおりである。
【0021】
図2には、この実施例の油圧制御装置を具体的に示す。
図2(a)に示すように、マニホールド6の図面左側の取付面6aには、一対の電動機M1、M2を隣り合わせて設けている。したがって、これら電動機M1、M2の軸線は、いずれもシリンダ2の軸線と平行に位置することになる。
また、マニホールド6の図面右側の取付面6bには、上記電動機M1、M2に対向させるようにして固定容量形ポンプ11、12を設けている。
電動機M1と固定容量形ポンプ11とは、また、電動機M2と固定容量形ポンプ12とは、マニホールド6を挟んで同軸上に位置することになる。そして、具体的に図示しないが、電動機M1、M2の出力軸を、マニホールド6を貫通させて固定容量形ポンプ11、12にそれぞれ連係させている。
【0022】
このようにした油圧制御装置で、例えば、電動機M1を回転してトルクを発生し、その反力が、図2(b)の矢印r1方向に、電動機M1の出力軸を中心とする回転力として作用したとする。
このとき、電動機M2は上記電動機M1と逆方向に回転するので、その反力が、図2(b)の矢印r2方向に、すなわち、上記矢印r1方向とは逆向きに、電動機M2の出力軸を中心とする回転力として作用する。
【0023】
そして、同一構造を有する電動機M1、M2によって、同じ容量を有する固定容量形ポンプ11、12をシリンダ2に対して駆動させるので、各電動機M1、M2で発生するトルク、言い換えれば、各電動機M1、M2で発生する反力は互いに同じ大きさとなっている。
したがって、電動機M1、M2で発生する反力は、ほぼ完全に互いに打ち消しあうことになる。
そして、反力が互いに打ち消しあえば、シリンダ2をその径方向に振ろうとする力として作用しないので、シリンダ2やそれに連結する機器が振動したり、騒音が発生したりするのを抑えることができる。
【0024】
なお、上記実施例の油圧制御装置では、一対の電動機M1、M2を隣り合わせたが、その位置関係は限定するものではない。
つまり、一対の電動機M1、M2をそれぞれ同じ取付面6aに設け、これら電動機M1、M2を同じ向きに配置するのであれば、例えば、図3に示すように、シリンダ2を挟んで両側に位置させてもかまわない。
このようにした油圧制御装置でも、図3(b)に示すように、電動機M1で発生する反力(矢印r1)と、電動機M2で発生する反力(矢印r2)とは、互いに打ち消しあうことになる。
【0025】
また、一対の電動機M1、M2を同じ向きに配置するのではなく、図4に示すように、電動機M1、M2を異なる取付面6a、6bに設け、一対の電動機M1、M2を反対向きに配置してもかまわない。
ただし、電動機M1、M2を反対向きに配置する場合は、これら電動機M1、M2を互いに逆方向に回転させるのではなく、同一方向、すなわち、一方を右回転させれば、他方も右回転させるよう制御する。したがって、回路で説明すれば、図5に示すように、両固定容量形ポンプ11、12ともに、流体口11a、12aをシリンダ2のボトム側圧力室2aに接続し、かつ、流体口11b、12bをロッド側圧力室2bに接続しておく必要がある。
このようにした油圧制御装置でも、図4(b)に示すように、電動機M1で発生する反力(矢印r1)と、電動機M2で発生する反力(矢印r2)とは、互いに打ち消しあうことになる。
【0026】
要するに、いずれか一方の取付面6aあるいは6b側から見たときに、一対の電動機M1、M2で発生する反力が、互いに逆向きに発生するようにしておけば、その反力が互いに打ち消しあうことになる。
なお、上記第1実施例で述べたように、電動機M1、M2で発生する反力を同じ大きさにすれば、これら反力がほぼ完全に打ち消しあうことになり、望ましい。ただし、互いに打ち消しあう関係にあるのであれば、反力が異なる大きさとなっていても、シリンダ2を径方向に振ろうとする力を軽減することは可能となる。
【0029】
【発明の効果】
第1又は第2の発明によれば、一対の電動機を設けるとともに、これら電動機で発生する反力が互いに打ち消しあうことになる。したがって、反力を軽減することができ、それによってシリンダを径方向に振ろうとする力を小さくして、シリンダやそれに連結する機器が振動したり、騒音が発生したりするのを抑えることができる。
特に、第3の発明によれば、各電動機で発生するトルク、言い換えれば、各電動機で発生する反力は、互いに同じ大きさとなるので、これら反力をほぼ完全に打ち消しあうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例の油圧制御装置を示す回路図である。
【図2】 この発明の実施例の油圧制御装置を示し、(a)が正面図で、(b)が(a)のb方向から見た側面図である。
【図3】 他のタイプの油圧制御装置を示し、(a)が正面図で、(b)が(a)のb方向から見た側面図である。
【図4】 他のタイプの油圧制御装置を示し、(a)が正面図で、(b)が(a)のb方向から見た側面図である。
【図5】 図4の油圧制御装置を示す回路図である。
【図6】 従来例の油圧制御装置を示す回路図である。
【図7】 従来例の油圧制御装置を示し、 ( a ) が正面図で、 ( b ) が ( a ) のb方向から見た側面図である。
Claims (3)
- ポンプと、ポンプを駆動する電動機と、ポンプに接続するシリンダとを一体化させてなる油圧制御装置において、一対のポンプと、各ポンプを駆動する一対の電動機と、一対のポンプに接続するシリンダとを備え、一対の電動機を同じ向きに配置するとともに、これら一対の電動機を互いに逆方向に回転させるとともに、これら電動機に連係する一対のポンプが相まって、シリンダの同じ圧力室側に作動油を吐出する構成にする一方、各電動機の軸線をシリンダの軸線と平行に配置して、一方の電動機で発生する反力と、他方の電動機で発生する反力とが互いに打ち消しあう構成にしたことを特徴とする油圧制御装置。
- ポンプと、ポンプを駆動する電動機と、ポンプに接続するシリンダとを一体化させてなる油圧制御装置において、一対のポンプと、各ポンプを駆動する一対の電動機と、一対のポンプに接続するシリンダとを備え、一対の電動機を反対向きに配置するとともに、これら一対の電動機を同一方向に回転させるとともに、これら電動機に連係する一対のポンプが相まって、シリンダの同じ圧力室側に作動油を吐出する構成にする一方、各電動機の軸線をシリンダの軸線と平行に配置して、一方の電動機で発生する反力と、他方の電動機で発生する反力とが互いに打ち消しあう構成にしたことを特徴とする油圧制御装置。
- 同一構造を有する一対の電動機によって、同じ容量を有する一対の固定容量形ポンプをそれぞれ駆動させて、シリンダの同じ圧力室側に作動油を吐出する構成にしたことを特徴とする請求項1又は2のいずれか一に記載の油圧制御装置。
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