JP3769179B2 - フィン付き熱交換器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調機あるいは冷凍機分野に広く用いられるフィン付き熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フィン付き熱交換器は、図7に示すように、一定間隔で平行に並べられたフィン群1と、このフィン群1に略直角に挿入された伝熱管群2とから構成され、気流3はフィン群1の間を流れ、伝熱管群2の内部を流動する冷媒と熱交換を行なう。そして従来のフィン付き熱交換器は熱交換能力を改善するため、フィン面の表裏両側に複数の切り起こしを設けたものが用いられていた。しかし、その通風抵抗が大きいため、熱交換能力をあまり低下させず、通風抵抗を大幅に低減させて、同一空気動力に対して熱交換能力を向上させた特許第2578970号公報に示されている図8のような、フィン面の片側に複数の切り起こしを設け、その幅を列方向に隣接するフィン基板の幅の略1/3としたフィン付き熱交換器が用いられている。
【0003】
すなわち、図8(a)に示すように、フィン81に一定間隔でバーリングされたフィンカラー82に伝熱管83が挿入されており、矢印B方向に気体が流入する。フィン81は、段方向に隣接する2つの伝熱管82の間のフィン面の片側に切り起こし群を有する。切り起こし84a、84b、84cの列方向の幅Wfは、フィン基板部の幅Wbとの比が略1:3になるよう形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、昨今の省エネルギの要求に対応した更なる能力向上の要求に対し、段数および列数を増やすなど伝熱面積を増加させる工夫が採用されているが収納性・通風抵抗の増加の点からの制約が多い。
【0005】
さらにフィンにおいても切り起こし84a、84b、84cの温度境界層前縁効果を有効活用するために切り起こし幅Wfとフィン基板部幅Wbの比を1:3としているが、一方では図8(b)に示すようにフィン基板部は非常に密接した位置間隔となる。そのため本来切り起こしと同様に温度境界層前縁効果が期待できるフィン基板部は、風上側のフィン基板部の後流の消滅しきらない温度境界層内に埋没され、伝熱にあまり寄与しなくなり能力の効果的な向上はあまりないという課題を有していた。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、切り起こしの形状を改善し、熱交換能力の大幅な向上をはかり、従来よりコンパクトそして低コストなフィン付き熱交換器を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明のフィン付き熱交換器は、一定間隔で平行に並べられるとともに、その間を気体が流動するフィン群と、前記フィン群に所定の段ピッチ・列ピッチで略直角に挿入され、内部を流体が流動する伝熱管群から構成され、段方向に隣接する前記伝熱管の間の前記フィン表面に、前記気体の主流方向に開口する複数の切り起こしを設け、前記複数の切り起こしそれぞれの前記気体の主流方向に対する前縁部または後縁部のいずれか一方を、あるいは前記前縁部および前記後縁部の両方を、凹凸形状となるように形成するとともに、前記複数すべての切り起こしの列方向の幅を、前記伝熱管側の立ち上がり部を他の部分より広くしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の本発明のフィン付き熱交換器は、請求項1記載のフィン付き熱交換器において、前記切り起こしの気体の主流方向に対する前縁部および後縁部に形成する凹凸形状を、前記切り起こしの前記気体の主流方向に略直角方向の中心線に対して略対称形としたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の本発明のフィン付き熱交換器は、請求項1載のフィン付き熱交換器において、前記切り起こしの位置および形状を、前記切り起こしを挟み、段方向に隣接する伝熱管の中心を結ぶ直線に対して略対称形としたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の本発明のフィン付き熱交換器は、請求項1から3のいずれか1項に記載のフィン付き熱交換器において、前記凹凸形状を、ジグザグ形状または略正弦波形状または略矩形波形状としたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の本発明のフィン付き熱交換器は、請求項1から4のいずれか1項に記載のフィン付き熱交換器において、前記切り起こしの列方向の幅と、前記切り起こしの列方向の両側に隣接するフィン基板の列方向の幅との比を略1:3〜略3:1の範囲内としたことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の本発明のフィン付き熱交換器は、請求項1から5のいずれか1項に記載のフィン付き熱交換器において、前記切り起こしの立ち上がり部を伝熱管の接線方向に概略沿う方向に形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の本発明のフィン付き熱交換器は、請求項1から6のいずれか1項に記載のフィン付き熱交換器において、切り起こしの高さをフィンピッチの略1/4〜略3/4としたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態におけるフィン付き熱交換器は、気体の主流方向に開口する複数の切り起こしを設け、前記複数の切り起こしそれぞれの前記気体の主流方向に対する前縁部または後縁部のいずれか一方を、あるいは前記前縁部および前記後縁部の両方を、凹凸形状となるように形成するとともに、前記複数すべての切り起こしの列方向の幅を、伝熱管側の立ち上がり部を他の部分より広くしたことにより、切り起こしの前縁部あるいはこの切り起こしの気体後流直後のフィン基板の前縁部凹凸形状としたこととなり、熱伝達率の高い温度境界層前縁部を長くすることができるので、フィン全体の平均熱伝達率および熱交換能力を大幅に向上させることができる。また、前記複数すべての切り起こしの列方向の幅を、伝熱管側の立ち上がり部を他の部分より広くなるように形成することにより、切り起こしの伝熱管側の立ち上がり部において良好な熱伝導が得られるため切り起こしでの熱交換量が増大し、フィン全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0015】
また前縁部および後縁部が直線状の従来の切り起こしに対して通風抵抗は、切り起こしの列方向の幅の平均値が同一のもの同士での比較において、ほぼ同等である。なお、熱交換能力を同じにしたときには、コンパクト化、低コスト化がはかれる。
【0016】
第2の実施の形態におけるフィン付き熱交換器は、切り起こしの気体主流方向に対する前縁部および後縁部に形成する凹凸形状を、切り起こしの気体主流方向に略直角方向の中心線に対して略対称形とすることにより、切り起こしの加工金型のメンテナンス性を向上させることができる。
【0017】
第3の実施の形態におけるフィン付き熱交換器は、切り起こしの位置および形状を、切り起こしを挟み、段方向に隣接する伝熱管の中心を結ぶ直線に対して略対称形とすることにより、気体主流方向に対する風上、風下の区別なく熱交換器を使用できるので、設計時の自由度が増す。
【0018】
第4の実施の形態におけるフィン付き熱交換器は、切り起こしの気体主流方向に対する前縁部または後縁部のいずれか一方、あるいは前縁部および後縁部の両方に形成する凹凸形状を、ジグザグ形状または略正弦波形状または略矩形波形状とすることにより、比較的容易に切り起こしの加工金型を作成することができ、また切り起こしの加工金型のメンテナンス性を向上させることもできる。
【0019】
第5の実施の形態におけるフィン付き熱交換器は、切り起こしの列方向の幅と、その両側に隣接するフィン基板の列方向の幅との比を略1:3〜略3:1の範囲内とすることにより、切り起こしおよびフィン基板の両者において温度境界層前縁効果が有効活用でき、フィン全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0020】
第6の実施の形態におけるフィン付き熱交換器は、切り起こしの立ち上がり部を伝熱管の接線方向に概略沿う方向に形成することにより、伝熱管の周りに沿って流れる気流が生じ、死水域を減少させることができるので、熱交換能力を向上させることができる。
【0021】
第7の実施の形態におけるフィン付き熱交換器は、切り起こしの高さをフィンピッチの略1/4〜略3/4とすることにより、切り起こしおよびフィン基板の両者において温度境界層前縁効果が有効活用でき、フィン全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細な説明を行う。
【0023】
(実施例1)
図1は、本発明の第一の実施例のフィン付き熱交換器のフィンの平面図である。図2は、図1のA−A線による詳細断面図である。
【0024】
図1において、フィン11に一定間隔でバーリングさせたフィンカラ−12に伝熱管が挿入され、矢印3方向に気流が流入する。段方向に隣接される伝熱管あるいはフィンカラー12の間のフィン表面の片側に複数の切り起こしを風上から順に14a、14b、14cを設ける。切り起こし14aは、段方向に連続した1つのものでもよいが、図1の本実施例では段方向に離れた2つの切り起こし14aで形成されている。2つの切り起こし14aの気流3の主流方向に対する後縁部は凹凸形状となるように形成されている。また、切り起こし14bの気流3の主流方向に対する前縁部および後縁部は凹凸形状となるように、そして切り起こし14bの気流3の主流方向に略直角方向の中心線に対して略対称形に形成されている。また、切り起こし14cは、段方向に連続した1つのものでもよいが、図1の本実施例では段方向に離れた2つの切り起こし14cで形成されている。2つの切り起こし14cの気流3の主流方向に対する前縁部は凹凸形状となるように形成されている。切り起こし14aの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15aと、切り起こし14bの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15bと、切り起こし14cの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15cは、伝熱管あるいはフィンカラー12の接線方向に概略沿う方向に形成され、立ち上がり部15a、15b、15cの列方向の幅は他の部分より広くなっている。切り起こし14a、14b、14cの位置および形状は、切り起こし14a、14b、14cを挟み、段方向に隣接する伝熱管あるいはフィンカラー12の中心を結ぶ直線に対して略対称形になっている。切り起こし14a、14b、14cの列方向の幅WFa、WFb、WFcと、列方向に隣接するフィン基板部16a、16b、16c、16dの幅WBa、WBb、WBc、WBdとの隣り合うもの同士の比はいずれも略1:3〜略3:1の範囲内となっている。切り起こし14a、14b、14cの高さHはフィンピッチPfの略1/4〜略3/4となっている。
【0025】
本発明の第一の実施例である図1のフィン付き熱交換器は、気流3の主流方向に開口する複数の切り起こし14a、14b、14cを設け、切り起こし14aはその気流3の主流方向に対する後縁部を、切り起こし14bはその気流3の主流方向に対する前縁部および前記後縁部の両方を、切り起こし14cはその気流3の主流方向に対する前縁部を凹凸形状となるように形成したので、切り起こし14bと14cの前縁部および、切り起こし14aと14bの気流3後流直後のフィン基板15b、15cの前縁部を凹凸形状としたこととなり、熱伝達率の高い温度境界層前縁部を長くすることができるので、フィン11全体の平均熱伝達率および熱交換能力を大幅に向上させることができる。また前縁部および後縁部が直線状の従来の切り起こしに対して通風抵抗は、切り起こしの列方向の幅の平均値が同一のもの同士での比較において、ほぼ同等となる。なお、熱交換能力を同じにしたときには、コンパクト化、低コスト化がはかれる。
【0026】
また、切り起こし14bの気流3の主流方向に対する前縁部および後縁部に形成する凹凸形状を、切り起こし14bの気流3の主流方向に略直角方向の中心線に対して略対称形としたことにより、切り起こしの加工金型のメンテナンス性を向上させることができる。
【0027】
また、切り起こし14a、14b、14cの位置および形状を、切り起こし14a、14b、14cを挟み、段方向に隣接する伝熱管あるいはフィンカラー12の中心を結ぶ直線に対して略対称形としたことにより、気流3に対する風上、風下の区別なく熱交換器を使用できるので、設計時の自由度が増す。
【0028】
また、切り起こし14a、14b、14cの気流3の主流方向に対する前縁部または後縁部凹凸形状を、直線状のジグザグ形状としたことにより、比較的容易に切り起こし14a、14b、14cの加工金型を作成することができ、また切り起こし14a、14b、14cの加工金型のメンテナンス性を向上させることもできる。
【0029】
また、切り起こし14a、14b、14cの列方向の幅WFa、WFb、WFcと、列方向に隣接するフィン基板部16a、16b、16c、16dの幅WBa、WBb、WBc、WBdとの隣り合うもの同士の比をいずれも略1:3〜略3:1の範囲内としたことにより、切り起こし14a、14b、14cおよびフィン基板部16a、16b、16c、16dの両者において温度境界層前縁効果が有効活用でき、フィン11全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0030】
また、切り起こし14aの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15aと、切り起こし14bの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15bと、切り起こし14cの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15cのそれぞれの列方向の幅を他の部分より広くしたことにより、切り起こし14a、14b、14cの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15a、15b、15cにおいて良好な熱伝導が得られるため切り起こし14a、14b、14cでの熱交換量が増大し、フィン11全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0031】
また、切り起こし14a、14b、14cの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15a、15b、15cを伝熱管あるいはフィンカラー12の接線方向に概略沿う方向に形成したことにより、伝熱管の周りに沿って流れる気流が生じ、死水域を減少させることができるので、熱交換能力を向上させることができる。
【0032】
また、切り起こし14a、14b、14cの高さHをフィンピッチPfの略1/4〜略3/4としたことにより、切り起こし14a、14b、14cとそのフィン基板部16a、16b、16c、16dあるいは隣接するフィン11のフィン基板部16a、16b、16c、16dとの距離は略1/4以下になることはないので、切り起こし14a、14b、14cおよびフィン基板部16a、16b、16c、16dの両者において温度境界層前縁効果が有効活用でき、フィン11全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0033】
(実施例2)
つぎに、本発明の第二の実施例のフィン付き熱交換器を図3を用いて説明する。
【0034】
図3は、本発明の第二の実施例のフィン付き熱交換器のフィンの平面図である。
【0035】
図3において、フィン11に一定間隔でバーリングさせたフィンカラ−12に伝熱管が挿入され、矢印3方向に気流が流入する。段方向に隣接される伝熱管あるいはフィンカラー12の間のフィン表面に切り起こし14aを設ける。切り起こし14aは、段方向に連続した1つのものでもよいが、図3の本実施例では段方向に離れた2つの切り起こし14aで形成されている。2つの切り起こし14aの気流3の主流方向に対する後縁部は凹凸形状となるように形成されている。切り起こし34aの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15aは、伝熱管あるいはフィンカラー12の接線方向に概略沿う方向に形成され、立ち上がり部15aの列方向の幅は他の部分より広くなっている。切り起こし14aの高さHは第一の実施例と同様フィンピッチPfの略1/4〜略3/4となっている。
【0036】
本発明の第二の実施例である図3のフィン付き熱交換器は、気流3の主流方向に開口する切り起こし14aを設け、切り起こし14aはその気流3の主流方向に対する後縁部を凹凸形状となるように形成したので、切り起こし14aの気流3後流直後のフィン基板15bの前縁部を凹凸形状としたこととなり、熱伝達率の高い温度境界層前縁部を長くすることができるので、フィン11全体の平均熱伝達率および熱交換能力を向上させることができる。また前縁部および後縁部が直線状の従来の切り起こしに対して通風抵抗は、切り起こしの列方向の幅の平均値が同一のもの同士での比較において、ほぼ同等となる。なお、熱交換能力を同じにしたときには、コンパクト化、低コスト化がはかれる。
【0037】
また、切り起こし14aの気流3の主流方向に対する前縁部または後縁部凹凸形状を、直線状のジグザグ形状としたことにより、比較的容易に切り起こし14aの加工金型を作成することができ、また切り起こし14a加工金型のメンテナンス性を向上させることもできる。
【0038】
また、切り起こし14aの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15aの列方向の幅を他の部分より広くしたことにより、切り起こし14aの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15aにおいて良好な熱伝導が得られるため切り起こし14aでの熱交換量が増大し、フィン11全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0039】
また、切り起こし14aの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15aを伝熱管あるいはフィンカラー12の接線方向に概略沿う方向に形成したことにより、伝熱管の周りに沿って流れる気流が生じ、死水域を減少させることができるので、熱交換能力を向上させることができる。
【0040】
また、切り起こし14aの高さHをフィンピッチPfの略1/4〜略3/4としたことにより、切り起こし14aとそのフィン基板あるいは隣接するフィン11のフィン基板との距離は略1/4以下になることはないので、切り起こし14aにおいて温度境界層前縁効果が有効活用でき、フィン11全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0041】
(実施例3)
つぎに、本発明の第3の実施例のフィン付き熱交換器を図4を用いて説明する。
【0042】
図4は、本発明の第3の実施例のフィン付き熱交換器のフィンの平面図である。
【0043】
図4において、フィン11に一定間隔でバーリングさせたフィンカラ−12に伝熱管が挿入され、矢印3方向に気流が流入する。段方向に隣接される伝熱管あるいはフィンカラー12の間のフィン表面の片側に切り起こし14bを設ける。切り起こし14bの気流3の主流方向に対する前縁部および後縁部は凹凸形状となるように、そして切り起こし14bの気流3の主流方向に略直角方向の中心線に対して略対称形に形成されている。切り起こし14bの立ち上がり部15bは、伝熱管あるいはフィンカラー12の接線方向に概略沿う方向に形成され、立ち上がり部15bの列方向の幅は他の部分より広くなっている。切り起こし14bの位置および形状は、切り起こし14bを挟み、段方向に隣接する伝熱管あるいはフィンカラー12の中心を結ぶ直線に対して略対称形になっている。切り起こし14a、14b、14cの高さHは第一の実施例と同様フィンピッチPfの略1/4〜略3/4となっている。
【0044】
本発明の第三の実施例である図4のフィン付き熱交換器は、気流3の主流方向に開口する切り起こし14bを設け、切り起こし14bはその気流3の主流方向に対する前縁部および前記後縁部の両方を凹凸形状となるように形成したので、切り起こし14bの前縁部および、切り起こし14bの気流3後流直後のフィン基板15cの前縁部を凹凸形状としたこととなり、熱伝達率の高い温度境界層前縁部を長くすることができるので、フィン11全体の平均熱伝達率および熱交換能力を大幅に向上させることができる。また前縁部および後縁部が直線状の従来の切り起こしに対して通風抵抗は、切り起こしの列方向の幅の平均値が同一のもの同士での比較において、ほぼ同等となる。なお、熱交換能力を同じにしたときには、コンパクト化、低コスト化がはかれる。
【0045】
また、切り起こし14bの気流3の主流方向に対する前縁部および後縁部に形成する凹凸形状を、切り起こし14bの気流3の主流方向に略直角方向の中心線に対して略対称形としたことにより、切り起こしの加工金型のメンテナンス性を向上させることができる。
【0046】
また、切り起こし14bの位置および形状を、切り起こし14bを挟み、段方向に隣接する伝熱管あるいはフィンカラー12の中心を結ぶ直線に対して略対称形としたことにより、気流3に対する風上、風下の区別なく熱交換器を使用できるので、設計時の自由度が増す。
【0047】
また、切り起こし14bの気流3の主流方向に対する前縁部または後縁部凹凸形状を、直線状のジグザグ形状としたことにより、比較的容易に切り起こし14bの加工金型を作成することができ、また切り起こし14bの加工金型のメンテナンス性を向上させることもできる。
【0048】
また、切り起こし14bの立ち上がり部15bの列方向の幅を他の部分より広くしたことにより、切り起こし14bの立ち上がり部15bにおいて良好な熱伝導が得られるため切り起こし14bでの熱交換量が増大し、フィン11全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0049】
また、切り起こし14bの立ち上がり部15bを伝熱管あるいはフィンカラー12の接線方向に概略沿う方向に形成したことにより、伝熱管の周りに沿って流れる気流が生じ、死水域を減少させることができるので、熱交換能力を向上させることができる。
【0050】
また、切り起こし14bの高さHをフィンピッチPfの略1/4〜略3/4としたことにより、切り起こし14bとそのフィン基板あるいは隣接するフィン11のフィン基板との距離は略1/4以下になることはないので、切り起こし14bにおいて温度境界層前縁効果が有効活用でき、フィン11全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0051】
(実施例4)
つぎに、本発明の第四の実施例のフィン付き熱交換器を図5を用いて説明する。
【0052】
図5は、本発明の第四の実施例のフィン付き熱交換器の平面図である。
【0053】
図5において、フィン11に一定間隔でバーリングさせたフィンカラ−12に伝熱管が挿入され、矢印3方向に気流が流入する。段方向に隣接される伝熱管あるいはフィンカラー12の間のフィン表面の片側に切り起こし14cを設ける。切り起こし14cは、段方向に連続した1つのものでもよいが、図5の本実施例では段方向に離れた2つの切り起こし14cで形成されている。2つの切り起こし14cの気流3の主流方向に対する前縁部は凹凸形状となるように形成されている。切り起こし14cの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15cは、伝熱管あるいはフィンカラー12の接線方向に概略沿う方向に形成され、立ち上がり部15cの列方向の幅は他の部分より広くなっている。切り起こし14a、14b、14cの高さHはフィンピッチPfの略1/4〜略3/4となっている。
【0054】
本発明の第四の実施例である図5のフィン付き熱交換器は、気流3の主流方向に開口する切り起こし14cを設け、切り起こし14cはその気流3の主流方向に対する前縁部を凹凸形状となるように形成したので、切り起こし14cの前縁部を凹凸形状としたこととなり、熱伝達率の高い温度境界層前縁部を長くすることができるので、フィン11全体の平均熱伝達率および熱交換能力を大幅に向上させることができる。また前縁部および後縁部が直線状の従来の切り起こしに対して通風抵抗は、切り起こしの列方向の幅の平均値が同一のもの同士での比較において、ほぼ同等となる。なお、熱交換能力を同じにしたときには、コンパクト化、低コスト化がはかれる。
【0055】
また、切り起こし14cの気流3の主流方向に対する前縁部凹凸形状を、直線状のジグザグ形状としたことにより、比較的容易に切り起こし14cの加工金型を作成することができ、また切り起こし14cの加工金型のメンテナンス性を向上させることもできる。
【0056】
また、切り起こし14cの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15cの列方向の幅を他の部分より広くしたことにより、切り起こし14cの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15cにおいて良好な熱伝導が得られるため切り起こし14cでの熱交換量が増大し、フィン11全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0057】
また、切り起こし14cの伝熱管側すなわちフィンカラー12側の立ち上がり部15cを伝熱管あるいはフィンカラー12の接線方向に概略沿う方向に形成したことにより、伝熱管の周りに沿って流れる気流が生じ、死水域を減少させることができるので、熱交換能力を向上させることができる。
【0058】
また、切り起こし14cの高さHをフィンピッチPfの略1/4〜略3/4としたことにより、切り起こし14cとそのフィン基板あるいは隣接するフィン11のフィン基板との距離は略1/4以下になることはないので、切り起こし14cにおいて温度境界層前縁効果が有効活用でき、フィン11全体の平均熱伝達率を向上させ、熱交換能力を向上させることができる。
【0059】
(実施例5)
つぎに、本発明の第五の実施例のフィン付き熱交換器を図6を用いて説明する。
【0060】
図6は、本発明の第五の実施例のフィン付き熱交換器のフィンの平面図である。
【0061】
図6において、切り起こし64a、64b、64cそれぞれの気流3の主流方向に対する前縁部および後縁部が複数のジグザグ形状で形成され、そして切り起こし64a、64b、64cそれぞれの気流3の主流方向に対する前縁部および後縁部に形成するジグザク形状が気流3の主流方向に略直角方向のそれぞれの中心線に対して略対称形に形成されているが、その他の構成は第一の実施例と同様である。
【0062】
本発明の第一の実施例である図1のフィン付き熱交換器は、切り起こし64a、64b、64cそれぞれの気流3の主流方向に対する前縁部および後縁部を複数のジグザグ形状で形成したので、切り起こしおよびフィン基材部の前縁部を複数のジグザグ形状で形成したこととなり、熱伝達率の高い温度境界層前縁部を第一の実施例よりもさらに長くすることができるので、フィン11全体の平均熱伝達率および熱交換能力をさらに大幅に向上させることができる。また前縁部および後縁部が直線状の従来の切り起こしに対して通風抵抗は、切り起こしの列方向の幅の平均値が同一のもの同士での比較において、ほぼ同等となる。なお、熱交換能力を同じにしたときには、大幅なコンパクト化、低コスト化がはかれる。
【0063】
また、切り起こし64a、64b、64cそれぞれの気流3の主流方向に対する前縁部および後縁部に形成するジグザク形状を気流3の主流方向に略直角方向のそれぞれの中心線に対して略対称形にとしたことにより、切り起こしの加工金型のメンテナンス性を向上させることができる。
【0064】
また、その他の構成については第一の実施例と同様なので、第一の実施例と同様の作用により、同様の効果が得られる。
【0065】
なお、切り起こしの前縁部あるいは後縁部の凹凸形状は、第一から第五の実施例のようなジグザグ形状のほか、正弦波形状や矩形波形状にしてもほぼ同様の作用効果が得られるものである。
【0066】
【発明の効果】
本発明のフィン付き熱交換器は、上記実施例から明らかなように、気体の主流方向に開口する複数の切り起こしを設け、前記複数の切り起こしそれぞれの前記気体の主流方向に対する前縁部または後縁部のいずれか一方を、あるいは前記前縁部および前記後縁部の両方を、凹凸形状となるように形成するとともに、前記複数すべての切り起こしの列方向の幅を、伝熱管側の立ち上がり部を他の部分より広くしたことにより、切り起こしの前縁部あるいはこの切り起こしの気体後流直後のフィン基板の前縁部を凹凸形状としたこととなり、熱伝達率の高い温度境界層前縁部を長くすることができるので、フィン全体の平均熱伝達率および熱交換能力を大幅に向上させることができる。また前縁部および後縁部が直線状の従来の切り起こしに対して通風抵抗は、切り起こしの列方向の幅の平均値が同一のもの同士での比較において、ほぼ同等である。なお、熱交換能力を同じにしたときには、コンパクト化、低コスト化がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施例のフィン付き熱交換器のフィンの平面図
【図2】 図1のA−A線による詳細断面図
【図3】 本発明の第二の実施例のフィン付き熱交換器のフィンの平面図
【図4】 本発明の第三の実施例のフィン付き熱交換器のフィンの平面図
【図5】 本発明の第四の実施例のフィン付き熱交換器のフィンの平面図
【図6】 本発明の第五の実施例のフィン付き熱交換器のフィンの平面図
【図7】 一般的なフィン付き熱交換器の斜視図
【図8】 (a)従来のフィン付き熱交換器のフィンの平面図
(b)同図C−D線による詳細断面図
【符号の説明】
11 フィン
12 フィンカラー
14a、14b、14c、64a、64b、64c 切り起こし
15a、15b、15c 切り起こしのフィンカラー側立ち上がり部
16a、16b、16c フィン基板部
3 気流
WFa、WFb、WFc 切り起こしの列方向幅
WBa、WBb、WBc、WBd フィン基板部の列方向幅
H 切り起こしの高さ
Pf フィンピッチ

Claims (7)

  1. 一定間隔で平行に並べられるとともに、その間を気体が流動するフィン群と、前記フィン群に所定の段ピッチ・列ピッチで略直角に挿入され、内部を流体が流動する伝熱管群から構成され、段方向に隣接する前記伝熱管の間の前記フィン表面に、前記気体の主流方向に開口する複数の切り起こしを設け、前記複数の切り起こしそれぞれの前記気体の主流方向に対する前縁部または後縁部のいずれか一方を、あるいは前記前縁部および前記後縁部の両方を、凹凸形状となるように形成するとともに、前記複数すべての切り起こしの列方向の幅を、前記伝熱管側の立ち上がり部を他の部分より広くしたことを特徴とするフィン付き熱交換器。
  2. 前記切り起こしの気体の主流方向に対する前縁部および後縁部に形成する凹凸形状を、前記切り起こしの前記気体の主流方向に略直角方向の中心線に対して略対称形としたことを特徴とする請求項1記載のフィン付き熱交換器。
  3. 前記切り起こしの位置および形状を、前記切り起こしを挟み、段方向に隣接する伝熱管の中心を結ぶ直線に対して略対称形としたことを特徴とする請求項1記載のフィン付き熱交換器。
  4. 前記凹凸形状を、ジグザグ形状または略正弦波形状または略矩形波形状としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフィン付き熱交換器。
  5. 前記切り起こしの列方向の幅と、前記切り起こしの列方向の両側に隣接するフィン基板の列方向の幅との比を略1:3〜略3:1の範囲内としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のフィン付き熱交換器。
  6. 前記切り起こしの立ち上がり部を伝熱管の接線方向に概略沿う方向に形成したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフィン付き熱交換器。
  7. 切り起こしの高さをフィンピッチの略1/4〜略3/4としたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のフィン付き熱交換器。
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