JP3769077B2 - 農業用被覆資材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、野菜や果樹などのベタ掛け、トンネルハウス、農業用ハウス等に覆設する農業用被覆資材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、農作物の付加価値の向上を図るべく、ベタ掛け、トンネルハウス、農業用ハウス等を用いた施設栽培が盛んに行われている。地方によっては、冬から春先の低温期において、前記栽培施設内の雰囲気温度や地温が著しく低下し、殊に雲が発生していない日においては放射冷却現象によって地温の冷却が更に促進され作物に害をもたらすことが多い。その様な背景より、この様な被覆資材の分野にあってもポリ塩化ビニルフィルムや、延伸・スプリットしたポリビニルアルコール系ウェブによる割繊維不織布等、光透過性又は保温に優れたものが数多く開発されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリ塩化ビニルフィルムは、使用していくうちにフィルムに含まれる可塑剤が表面にブリードし、さらには埃が付着するなどの理由で光透過性が低下する為に、日中、作物や地面に対して日光を十分に供給できなくなるという問題があり、一方、ポリビニルアルコール製割繊維不織布は、吸湿性が高いために膨潤し易く、それによって引張強度が低下する他、吸湿・乾燥に応じて膨脹・収縮し寸法安定性に劣るという問題がある。又、保温効果を高めるべく単に保温剤を添加したのでは、延伸加工に伴うボイドの発生によって光透過性が悪くなり、高い保温性と良好な日照の双方が望まれる用途には適さないという問題もあった。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、光透過性と保温性を兼ね備えた農業用被覆資材の提供にあり、更には寸法安定性、作業性、強度の点で優れ、場合によっては通気性にも優れた耐用年数の長い農業用被覆資材の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明による農業用被覆資材は、熱可塑性合成樹脂に、保温剤及び少なくとも一部末端が酸変成されたポリオレフィンを配合したフラットヤーン、又は熱可塑性合成樹脂の延伸テープである芯材の両面に該芯材より融点の低い熱可塑性合成樹脂の外層を被着して成り、芯材と外層の少なくとも一方に、保温剤及び少なくとも一部末端が酸変成されたポリオレフィンを配合した複層フラットヤーンを、縦横の少なくとも一方に配したことを特徴とする農業用被覆資材。縦横に配したフラットヤーンを相互に離隔し通気孔を形成しても良く、表裏の少なくとも一方の面に、光透過性を有する表層膜を形成しても良い。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による農業用被覆資材の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1の(ロ)乃至(ホ)に示す農業用被覆資材は、熱可塑性合成樹脂の延伸テープである芯材1の両面に、該芯材1より融点の低い熱可塑性合成樹脂の外層2を被着して成る複層フラットヤーン3を縦横に配し、複層フラットヤーン3相互の交差部4を融着して成る農業用被覆資材であって、芯材1と外層2の少なくとも一方にハイドロタルサイト類化合物を配合すると共に、少なくとも一部末端が酸変成されたポリオレフィンを適宜配合したものである。尚、前記各図には、各複層フラットヤーンの外層2が、隣接する他の複層フラットヤーン3の外層2と溶融一体化した状態で示してある。
【0007】
芯材1の延伸テープとなる熱可塑性合成樹脂は、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6・6、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等から選択すれば良いが、加工性とコストの面で高密度ポリエチレン、ポリプロピレンが望ましい。
【0008】
高密度ポリエチレンとしては、エチレンの単独重合体、或いは、ポリプロピレンやブテンを例とするα−オレフィンとエチレンとの共重合体、又はそれらの混合物が挙げられ、密度(JIS K7112、以下省略):約0.940〜0.960g/立方センチメートル、融点(DSC法による融解終了温度、以下省略):約130〜140℃、メルトフローレート(JIS K7210、以下省略):0.3〜2.0g/10分間の条件を満たすものを選択する。
【0009】
一方、ポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体、或いは、エチレンを例とするα−オレフィンとプロピレンとのブロック共重合体、又はそれらの混合物が挙げられ、密度:約0.900〜0.908g/立方センチメートル、融点:約155〜170℃、メルトフローレート:0.3〜10.0g/10分間の条件を満たすものを選択する。
【0010】
外層2の素材となる熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、アイオノマー、線状低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、或いは、エチレンやブテンを例とするα−オレフィンとプロピレンとのランダム共重合体等から選択すれば良いが、加工性とコストの面で低密度ポリエチレン、プロピレン・エチレンランダム共重合体が望ましい。
【0011】
低密度ポリエチレンとしては、密度:約0.910〜0.930g/立方センチメートル、融点:約100〜120℃、メルトフローレート:0.3〜10.0g/10分間の条件を満たすものから選択する。一方、プロピレン・エチレンランダム共重合体としては、エチレンを約2.5〜8.0重量パーセント含有するものであって、融点:約130〜150℃、メルトフローレート:0.5〜15.0g/10分間の条件を満すものから選択する。
【0012】
上記芯材1は、複層フラットヤーン3の強度の確保、即ち農業用被覆資材の耐久性を確保する役割を担うものであり、外層2は、被覆資材の基布を呈して縦横に走る複層フラットヤーン3相互の交差部4を融着固定するシーラント材としての役割を担うものである。上記事項は、それぞれの役割に適した条件の一部を示したものであり、各々必要とされる物性を損なわない程度で記述した素材を混合しても差支えない。尚、外層2を構成する熱可塑性合成樹脂の融点は、芯材1を構成するものの融点よりも約10℃以上低いことが望ましいが、必ずしも芯材1の表裏に同じ素材より成る外層2を形成する必要はない。
【0013】
上記複層フラットヤーン3の主材へ混合するハイドロタルサイト類化合物は、農業用被覆資材に適当な保温性を付与するものであり、化1の化学式に相当するものを指す。又、n価のアニオンは、化2に、ハイドロタルサイト類化合物の具体例は、化3に列挙した。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】
上記ハイドロタルサイト類化合物は、前記芯材1及び外層2の主材たる熱可塑性合成樹脂100重量部に対して5〜30重量部を添加すれば良く、その際芯材1への添加は必須であって、外層2へは、全然添加しないでおくか、もしくは芯材1よりも少なめに添加しておく。
【0018】
同様に複層フラットヤーン3の主材へ混合する少なくとも一部末端が酸変成されたポリオレフィン(以下、酸変成POと記す)は、混ざりにくい素材の密着性を高める性質をもって、延伸に伴うハイドロタルサイト類化合物の添加によるボイドの発生を抑制するものである。
【0019】
酸変成POは、末端二重結合を有するそれらポリオレフィンに、不飽和カルボン酸或いはその無水物の少なくとも一方を化学的に付加して合成できるものである。望ましい酸変成POは、軟化点が90〜170℃前後、酸価が5〜80mgKOH/g前後のものであり、望ましい末端二重結合を有するポリオレフィンとしては、1,000炭素当り1〜10の末端二重結合を有し、且つ数平均分子量が800〜20,000の範囲にあるものが挙げられる。末端二重結合が前記下限を下回るものでは所望の酸変成は行えず、上限を上回ると酸変成POの耐熱性が低下するので好ましくない。又、数平均分子量が上記下限を下回るとフラットヤーンの強度が低下し、加工性が悪くなる一方、上限を上回ると十分な酸変成を行うことができなくなる。
【0020】
酸変成に用いるものとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、又は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリルコハク酸、無水ナジック酸等の不飽和カルボン酸無水物の少なくとも一方を0.1〜12重量パーセント程度含有するものが望ましいが、これら直接酸変成された物を未変成物で適宜希釈して用いても良い。
【0021】
ハイドロタルサイト類化合物の添加によって、前記の如く保温性が高まるものの、その配合量の増加に伴ってボイドの発生が顕著となり、光透過性が低下する傾向が出る。しかしながら、酸変成POを添加することによってボイドの発生を抑制できることも記述の通りである。従って、それらの配合量を用途に応じて適宜調節することによって、用途に最適な保温効果と光透過性を農業用被覆資材に付与することができるものである。
【0022】
上記素材を配合した材料は、公知の混練装置を用いて既存の分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、防曇剤、帯電防止剤、抗菌剤等と共に混練して作製しても良いし、高濃度のいわゆるマスターバッチを作製し、それを希釈して使用しても良い。
【0023】
上記素材を用いて複層フラットヤーン3を形成する際は、芯材1用或いは外層2用として、熱可塑性合成樹脂にハイドロタルサイト類化合物や酸変成POを所望量配合した材料を、3層の丸型ダイス又は3層T型ダイスを装着した2台の押出機にてフィルム状に押出し、これを冷却固化してテープ状に裁断し、例えば、熱風循環オーブン、熱ロール、熱板等を用いて引取り方向へ2.5〜8.0倍に延伸し、更に熱風循環式オーブン等を用いて80〜160℃下、3〜15%の弛緩熱処理を施すといった工程を経る。
【0024】
押出時の材料温度は、200〜280℃前後、冷却固化後の肉厚は30〜130μm前後、テープ状の裁断幅は1〜20mm前後であり、これらの工程を経て得られる複層フラットヤーンは、50〜2000デニールであって、糸幅が0.3〜6.0mm、肉厚が15〜80μm、肉厚構成比が外層:芯材:外層=5:90:5〜25:50:25である。尚、外層2の厚みは、芯材1である延伸テープの表裏で異なっていても良く、時には芯材1や外層2を各々複層構造としても良い。
【0025】
又、裁断してフラットヤーンと成る前のフィルムを複層構造とする手段には、予め芯材1となるフィルム及び外層2となるフィルムを形成しドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて複層化する手段や、予め形成した芯材1となるフィルムに外層2を押出ラミネートする手段や、多層共押出法により積層フィルムとして押出し成形する手段などの公知の手段から適宜選択し用いれば良いが、成形の容易さやコスト面並びに、製品の各層間の接着性及び光透過性の点では多層共押出法が優れている。
【0026】
農業用被覆資材の基布は、通常縦横約4〜25本/インチ幅で打ち込み平織や綾織等が施された織布として形成されるが、例えば、前記の如く作製されたフラットヤーン3を縦横に引き揃えて積層して成る不織布や、スプリット加工を施した幅広のウェブを拡幅し積層して成る割繊維不織布として形成しても良い。そして、それらは加熱ロールや熱板等により縦糸と横糸の交差部が接着され、該交差部4が固定される(接着時の温度は、フラットヤーンのデニール、肉厚、外層2として選択した素材の融点、基布の引取り速度等により異なる)。縦糸と横糸は相互に直交しているのが望ましく、それによって該被覆資材の収束性が高まる。尚、基布強度を高める目的で縦横少なくとも一方向に単層のフラットヤーン(素材にハイドロタルサイト類化合物や酸変成POを配合したものでも良い。)や、既述のものと素材が異なるフラットヤーン3を、縦糸と横糸の交差部4の熱融着性や基布と表層膜7との接着性を損ねない範囲で打ち込む場合もある。
【0027】
先に記した範囲の素材を用い、上記手段を経て作製した農業用被覆資材の基布について種々サンプルを採取し、ハイドロタルサイト類化合物と酸変成POの配合状態の相違をパラメータとしてそれらの特性を測定し考察した。以下、サンプルの主な組成及びその光線透過率、保温性、引張強度、引張伸度、引裂強度、目付け重量の測定結果を表1、表2、表3に記す。尚、前記以外の素材との特性の相違を明らかにすべく表2及び表3にはポリビニルアルコール系不織布とポリ塩化ビニルフィルムの測定結果も併記した。
【0028】
尚、各サンプルについては、芯材となる熱可塑性樹脂として、融点が133℃、メルトフローレートが0.6g/10分間に設定された高密度ポリエチレンを選択し、外層となる熱可塑性樹脂として、融点が113℃、メルトフローレートが4.0g/10分間の低密度ポリエチレンを選択し、化4に示すハイドロタルサイト類化合物や酸変成POを熱安定剤や光安定剤と共に適宜混入して芯材1及び外層2の材料とし、それらの材料から、材料温度を約230℃に設定し三層丸型ダイスを用いて行なった押出し工程と、熱板延伸法により約105℃下で引取方向へ6.5倍に延伸する行程と、弛緩率8%での弛緩熱処理を経て、520デニール、糸幅が1.5mm、肉厚が約40μm、肉厚構成比が外層:芯材:外層=15:70:15の複層フラットヤーンを製作しサンプルの原糸とした。又、該三層フラットヤーンの打ち込み本数を縦横8本/インチ幅に設定し、平織とした基布へ約120℃の熱ロールを接触させ縦横に配したフラットヤーンの交差部を熱融着した。
【0029】
【化4】
【0030】
又、光線透過率を得るに当たっては、照度計により無被覆下における太陽光による照度(I0 )と、同時刻に照度計の50cm上方にサンプルを個々に介入した際の太陽光による照度(I1 )を測定し、次式から算出した。
光線透過率(%)=I1 /I0 ×100
光線透過率の経時的変化にあっては、各サンプルを実際にトンネル被覆法にて配設し、所定期間毎に前記方法で測定した。
【0031】
保温性は、各サンプルを用いて間口約1.0m、高さ0.8m、長さ約3mの農業用トンネルを各々設置し、地上15cmの位置にて各農業用トンネル内外の気温を12月から翌年の2月に亘って継続して測定し、各農業用トンネル内部における測定気温の最低値を表示したものである。因みに、その日の外気温度は−1.0℃であった。引張強度、引裂強度及び引張伸度並びに目付け重量(単位面積当たりの重量)は、JIS L−1096によって測定したものであり、基布の縦横各方向の測定値を平均したものである。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
表1は、各サンプルにおけるハイドロタルサイト類化合物と酸変成POの配合状態を示したものである。ここで、外層の欄にa又はbと記してあるサンプルは、芯材のみならず外層へもハイドロタルサイト類化合物及び酸変成POを配合したサンプルであって、酸変成POについてはa、b共に芯材と同じものが配合され、ハイドロタルサイト類化合物については、その配合割合をaでは10重量部、bでは5重量部としたものである。
【0036】
光線透過率の適正値は、農業用被覆資材の用途に応じてことなるので、ここでは専ら光線透過率の衰退について考察した結果、光線透過率の衰退は、芯材1と外層2の少なくとも一方にハイドロタルサイト類化合物を配合したサンプルの方が、ポリビニルアルコール系不織布やポリ塩化ビニルフィルムよりも幾分少ないことを示している。
【0037】
保温性の劣るサンプルの特徴としては、ハイドロタルサイト類化合物の配合量が少ないもの、ハイドロタルサイト類化合物の配合量は十分であるが酸変成POの配合量が少ないものが挙げられる。前記保温性の測定方法に鑑みれば、このデータは、保温性のみを純粋に示すものではなく、日中における該トンネル内部の土壌の受光量も少なからず影響する点で光透過性の要素も含むものと考えることができる。即ち、ハイドロタルサイト類化合物の持つ保温性と、酸変成POの添加により付与されるボイド抑制作用のバランスが良好であって高い光線透過率が付与されたサンプルが該保温性の項目において好ましい結果を挙げているといえる。測定結果からも、ハイドロタルサイト類化合物10〜30重量部、酸変成POを5〜30重量部に設定すると、一般的に冷害の少ない良好なトンネルが設営できると考えられる。又、引張強度、引張伸度及び引裂強度の点では本発明による農業用被覆資材はポリビニルアルコール系不織布やポリ塩化ビニルフィルムと比較して各々良好な値を示している。
【0038】
上記の如く、ハイドロタルサイト類化合物の添加によって、前記の如く保温性が高まるものの、その配合量の増加に伴ってボイドの発生が顕著となり、光透過性が低下する傾向が出る。製造に当たっては、そのことに配慮しつつ、ハイドロタルサイト類化合物と酸変成POの配合割合を、用途に応じて適宜調節しなければならない。尚、ハイドロタルサイト類化合物が添加された熱可塑性合成樹脂は、吸湿(水)しやすい傾向にあり、吸湿した材料を用いることは、押出加工において水分の揮発による発泡現象を引き起こす要因となる。よって、押出加工に際して、乾燥した材料を用いることが、非作為的な発泡を抑え、換言すれば保温剤と酸変成POの配合量を調節することによる光透過性の制御の確実性が高まり、結果として外観的に優れたフラットヤーンが得られることとなる。消極的ではあるが、光透過性を調節する手段としては、物性を損なわない範囲で多層フラットヤーンに淡い着色を施したり、長手方向に連続する微細な筋状の凹凸を設けたり、微細なスプリット加工を施すといった手段も挙げられる。
【0039】
実施の形態としては、上記構成の農業用被覆資材を基布6として、その表裏の少なくとも一方に、光透過性のある表層膜7をラミネート法等によって形成する場合もある。表層膜7用の樹脂組成物としては、基本的に密度:0.910g/立方センチメートル以上0.945g/立方センチメートル以下のポリエチレン系樹脂を用いることもできるが、耐摩耗性を高め、或いは押出加工性を安定させる点で密度:0.934g/立方センチメートル〜0.942g/立方センチメートルのものが望ましい。メルトフローレートは4〜20g/10分間が望ましい。
【0040】
密度:0.930g/立方センチメートルを下回るポリエチレン系樹脂組成物を原料とした表層膜7は、耐摩耗性や滑り性が悪いために、シート表面にキズが入り易く透明性低下の原因となり、巻き上げ・巻き下げ作業時においては、シート表面の滑り性不良に伴う作業性の悪化の原因となる。一方、原料樹脂の密度が0.945g/立方センチメートルを上回ると、押出負荷が大きくなるなど加工性が悪くなったり、シートの腰が強くなり展張作業性が悪くなるなどの問題が生じる。そこで、前記の如く密度の範囲を設定すれば、透明性の持続性と耐摩耗性と作業性を兼ね備えた農業用被覆資材の形成が可能となるものである。尚、表層膜の厚みとしては剛軟性と作業性とのバランスがとれた20〜50μmの範囲が望ましい。
【0041】
上記実施の形態では、複層フラットヤーンにて基布を形成した例を示したが、保温剤及び酸変成POの配合割合はバランスのとれたものであれば、図1(イ)の如く熱可塑性合成樹脂を素材とする単層フラットヤーンを用いて基布を形成しても良く、製造方法の面でも単層のダイスを用いる事以外は前記複層フラットヤーンを用いる場合と大きな違いは無い。又、保温剤の素材にあっても、ハイドロタルサイト類化合物に限定されるものでは無く、他にアルミニウム・リチウム複合水酸化物塩等が挙げられる。
【0042】
又、縦横に配したフラットヤーンを相互に離隔し、通気孔を形成したとしても該フラットヤーンの素材に保温剤を配合することにより、通気性と保温効果の双方を満足させることができる。即ち、前記保温剤を配合した被覆資材は、通気孔を介して空気は出入りするものの、地球放射による電磁波(赤外線領域の波長を有するもの)がハウス外へ放射されるのを防止できるために、地表やそれに接する空気が冷えて凍結するといった最悪の事態は確実に防止することができるというものである。
【0043】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明による農業用被覆資材を使用すれば、優れた光透過性と保温性が長期間に亘って安定し、例えば、軟弱野菜など農作物の好適な栽培が可能となる。しかも、高い強度と耐久性によって耐用年数が長く、寸法安定性が高く軽量であるために展張作業性が極めて良好であるなど高い実用性を奏する。更に、表層膜を形成すれば表面が平滑となって透明性を高めることができる他、耐摩耗性の高い表層膜を形成すれば、所定の光透過性をより長期に亘って安定して保つことができる。又、縦横に配した複層フラットヤーンを相互に離隔し通気孔を形成した農業用被覆資材によれば、作物の栽培に重要な通気性付与、過度の温度上昇及び蒸れの防止効果が加わり、作物の成育状態が高まる一方で病害の発生や害虫の侵入をも防止できる他、軽量化に加えて収束性と作業性の向上にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)本発明による被覆資材の例を示す断面図である。
【図2】の(イ)(ロ)本発明による被覆資材の基布の例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 芯材
2 外層
3 フラットヤーン
4 交差部
5 通気孔
6 基布
7 表層膜
Claims (4)
- 高密度ポリエチレン100重量部に対して、ハイドロタルサイト類化合物10〜30重量部、及び一部末端が酸変成されたポリオレフィン5〜30重量部配合した2.5〜8.0倍に延伸してなるフラットヤーン(8)を、縦横に配したことを特徴とする農業用被覆資材。
- 熱可塑性合成樹脂の延伸テープである芯材(1)の両面に該芯材(1)より融点の低い熱可塑性合成樹脂の外層(2)を被着して成る複層フラットヤーン(3)を縦横に配し、且つ複層フラットヤーン(3)同志の交差部(4)を融着して成る農業用被覆資材において、
複層フラットヤーン(3)が、芯材(1)と外層(2)の少なくとも一方に、高密度ポリエチレン100重量部に対して、ハイドロタルサイト類化合物10〜30重量部、及び一部末端が酸変成されたポリオレフィン5〜30重量部を配合し、2.5〜8.0倍に延伸する工程を経たことを特徴とする農業用被覆資材。 - 縦横に配したフラットヤーン(8,3)を相互に離隔し通気孔(5)を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の農業用被覆資材。
- 請求項1又は2記載の農業用被覆資材より成る基布(6)の少なくとも一方の面に、光透過性を有する表層膜(7)を形成したことを特徴とする農業用被覆資材。
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