JP3768692B2 - 加熱処理装置および加熱処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、LCD基板等の基板のフォトリソグラフィー工程において基板をプリベークまたはポストベーク処理する加熱処理装置および加熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、液晶ディスプレイ(LCD)の製造においては、ガラス製の矩形のLCD基板にフォトレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、回路パターンに対応してレジスト膜を露光し、これを現像処理するという、いわゆるフォトリソグラフィー技術により回路パターンが形成されている。
【0003】
このフォトリソグラフィー工程においては、矩形のLCD基板(以下、基板という)に対して、まず、レジストの定着性を高めるために、アドヒージョン処理が施され、次いでレジスト塗布処理が施される。レジスト塗布処理は、基板を回転させながらその表面中心部にレジスト液が供給され、遠心力によってレジスト液が拡散されることによって基板の表面全体にレジスト膜を塗布する。このレジスト液が塗布された基板は、基板の周縁の余分なレジストが除去されて、プリベーク処理される。
【0004】
次いで、基板は、冷却された後、所定の回路パターンが露光され、必要に応じてポストエクスポージャーベーク処理および冷却処理が施された後、現像処理されて、所定の回路パターンが形成される。その後、ポストベーク処理が施され、冷却されて一連の工程が終了する。
【0005】
このような塗布・現像工程において、プリベーク処理およびポストベーク処理等の加熱処理は、図9に示すように、加熱処理ユニットにおいて、加熱プレート62に設けられた複数のリフトピン64に基板Gを載置した後、これらリフトピン64を降下させ、基板Gが加熱プレート62によって加熱されることにより行われる。近年は、基板へのパーティクル等の悪影響を排除するために、加熱プレート62と基板Gとの直接の接触を避け、加熱プレート62からの輻射熱によって加熱する、いわゆるプロキシミティ方式が多用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9に示すように、加熱プレート62により基板Gがベーク処理される際、ガラス製のLCD基板Gには、その中央部のほうが周縁部よりも温度が高くなり、その結果、基板Gの周縁部に反りが発生する場合がある。この反りは特に上記プロキシミティ方式の場合に著しい。このような反りは、近時の基板の大型化に対応して益々大きくなる傾向にあり、このような反りが現像処理後に、回路パターンの線幅の変動につながるおそれがある。
【0007】
このような反りを防止するため、図9(a)(b)(c)に示すように、リフトピン64により基板Gを載置して降下する際、基板Gを段階的に降下して、基板Gを段階的に加熱プレート62に近づけるようにしている。つまり、基板Gを徐々に加熱して、基板Gの面内温度が均一になるようにすることにより、基板Gの急激な温度変化を避け、反りの発生を極力抑制しようとしている。
【0008】
しかしながら、加熱処理ユニットにおけるベーク処理の処理時間には制約があるため、基板Gを段階的に降下する時間も制限され、その結果、上記のような基板Gの反りを十分に防止することができない。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、基板の加熱処理時、基板の反りを効果的に防止することができる加熱処理装置および加熱処理方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、基板を加熱処理するための加熱処理装置であって、
基板を加熱する加熱プレートと、
前記加熱プレートと基板との間の、基板の中央部に対応する位置に配置され、前記加熱プレートによる加熱時に、前記基板の中央部に密着して、前記加熱プレートからの熱の一部を蓄熱する蓄熱部材と
を具備することを特徴とする加熱処理装置が提供される。
【0011】
本発明の第2の観点によれば、基板を加熱するための加熱処理装置であって、
基板を加熱する加熱プレートと、
前記加熱プレートと基板との間の基板周縁部に対応する部分に予め加熱されて配置され、前記加熱プレートによる加熱前に、基板の周縁部を予備加熱するための予備加熱部材と
を具備することを特徴とする加熱処理装置が提供される。
【0012】
本発明の第3の観点によれば、基板を加熱プレートにより加熱処理するにあたり、蓄熱部材を基板の加熱プレート側の面の中央部に配置して加熱プレートからの熱の一部を蓄熱させることを特徴とする加熱処理方法が提供される。
【0013】
本発明の第4の観点によれば、基板を加熱プレートにより加熱するにあたり、基板の加熱前に、予熱された予備加熱部材を前記加熱プレートと基板との間の基板周縁部に対応する位置に予め配置することを特徴とする加熱処理方法が提供される。
【0014】
本発明の第5の観点によれば、基板を加熱処理するための加熱処理装置であって、
基板を加熱する加熱プレートと、
前記加熱プレートと基板との間の、前記基板の中央部に対応する位置に配置され、前記基板と密着させることにより前記基板の略中央部における熱容量を大きくするための蓄熱部材と、
を具備することを特徴とする加熱処理装置が提供される。
【0015】
本発明の第6の観点によれば、基板を加熱プレートにより加熱処理するための加熱処理方法であって、
所定の蓄熱部材を基板の加熱プレート側の面の中央部に前記基板と密着させることにより前記基板の略中央部における熱容量を大きくして、前記基板の中央部の温度上昇を抑制しつつ前記基板の中央部と周縁部との温度を均一化させることを特徴とする加熱処理方法が提供される。
【0016】
上記第1および第3の観点によれば、蓄熱部材を基板の加熱プレート側の面の中央部に配置し、この蓄熱部材に加熱プレートからの熱を蓄熱させるため、基板の中央部における熱容量が大きくなったのと同じ効果を得ることができ、中央部の温度上昇が抑制されて基板の中央部と周縁部とを均等の温度に加熱することができる。したがって、基板の面内温度の均一化を図ることができ、基板の反りを防止することができる。
【0017】
この場合に、蓄熱部材が、基板加熱時に基板の中央部に密着されることにより、蓄熱部材による熱容量増大効果が大きくなり、温度上昇を一層効果的に抑制することができる。
【0018】
また、基板と蓄熱部材とが同じ材質で形成されていることにより、これらが密着したとしても、剥離帯電しにくくすることができ、静電気の影響を小さくすることができる。
【0019】
この場合に、搬入された基板を昇降して加熱プレートに載置するための複数のリフトピンのうち基板中央部に対応するものの先端部に前記蓄熱部材を配置し、前記蓄熱部材および基板が、互いに密着した状態でリフトピンによって降下するように構成することにより、基板中央部の温度上昇を有効に抑制することができる。
【0020】
さらに、蓄熱部材を加熱プレートの加熱面に埋設させることにより、基板の昇降の度に、蓄熱部材を昇降する必要がなく、基板を蓄熱部材上に載せるだけで基板中央部の温度上昇を有効に抑制することができる。
【0021】
さらにまた、加熱処理は、基板を加熱プレートに直接接触させないで行うことが好ましい。これにより、加熱プレートからの基板の汚染を防止することができる。
【0022】
本発明の第2および第4の観点によれば、基板の加熱前に、予熱された予備加熱部材を前記加熱プレートと基板との間の基板周縁部に対応する位置に予め配置するので、相対的に中央部よりも加熱され難い基板の周縁部を有効に加熱することができ、基板の中央部と周縁部とを均等の温度に加熱することができる。したがって、基板の面内温度の均一化を図ることができ、基板の反りを防止することができる。
【0023】
この場合に、予備加熱部材が、基板加熱時に基板の周縁部に密着されることにより基板周縁部を有効に予備加熱することができる。
【0024】
また、基板と予備加熱部材とが同じ材質で形成されていることにより、これらが密着したとしも、剥離帯電しにくくすることができ、静電気の影響を小さくすることができる。
【0025】
さらに、搬入された基板を昇降して加熱プレートに載置するための複数のリフトピンにより基板が上昇された後、これらリフトピンに載置された基板と共に予備加熱部材が降下されながら、基板の周縁部を予備加熱することにより、基板の面内温度の均一化を図ることができ、基板の反りを防止することができる。
【0026】
さらにまた、この場合にも、加熱処理は基板を加熱プレートに直接接触させないで行うことが好ましい。これにより、加熱プレートからの基板の汚染を防止することができる。
【0027】
上記第5および第6の観点によれば、蓄熱部材を中央部に密着させることによって、実質的に基板の略中央部における熱容量を大きくすることができるために、基板の中央部の温度上昇を抑制しつつ、基板の中央部と周縁部との温度を均一化させることができる。つまり、基板の面内温度の均一化を図ることができ、これによって基板の反りを防止することができる。
【0028】
この場合において、基板と蓄熱部材とが同じ材質で形成されていると、剥離帯電しにく くなる。また加熱処理は、基板および蓄熱部材を加熱プレートに直接接触させないで行うことが好ましく、これにより蓄熱部材の加熱プレートからの直接加熱による温度上昇を抑制することができ、しかも加熱プレートからの基板の汚染も防止される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されるLCD基板の塗布・現像処理システムを示す平面図である。
【0030】
この塗布・現像処理システムは、複数の基板Gを収容するカセットCを載置するカセットステーション1と、基板Gにレジスト塗布および現像を含む一連の処理を施すための複数の処理ユニットを備えた処理部2と、露光装置(図示せず)との間で基板Gの受け渡しを行うためのインターフェース部3とを備えており、処理部2の両端にそれぞれカセットステーション1およびインターフェース部3が配置されている。
【0031】
カセットステーション1は、カセットCと処理部2との間でLCD基板の搬送を行うための搬送機構10を備えている。そして、カセットステーション1においてカセットCの搬入出が行われる。また、搬送部10はカセットの配列方向に沿って設けられた搬送路10a上を移動可能な搬送機構11を備え、この搬送アーム11によりカセットCと処理部2との間で基板Gの搬送が行われる。
【0032】
処理部2は、前段部2aと中段部2bと後段部2cとに分かれており、それぞれ中央に搬送路12、13、14を有し、これら搬送路の両側に各処理ユニットが配設されている。そして、これらの間には中継部15、16が設けられている。
【0033】
前段部2aは、搬送路12に沿って移動可能な主搬送装置17を備えており、搬送路12の一方側には、2つの洗浄ユニット(SCR)21a、21bが配置されており、搬送路12の他方側には紫外線照射・冷却ユニット(UV/COL)25、それぞれ上下2段に積層されてなる加熱処理ユニット(HP)26および冷却ユニット(COL)27が配置されている。
【0034】
また、中段部2bは、搬送路13に沿って移動可能な主搬送装置18を備えており、搬送路13の一方側には、レジスト塗布処理ユニット(CT)22および基板Gの周縁部のレジストを除去するエッジリムーバー(ER)23が一体的に設けられており、搬送路13の他方側には、二段積層されてなる加熱処理ユニット(HP)28、加熱処理ユニットと冷却処理ユニットが上下に積層されてなる加熱処理・冷却ユニット(HP/COL)29、およびアドヒージョン処理ユニットと冷却ユニットとが上下に積層されてなるアドヒージョン処理・冷却ユニット(AD/COL)30が配置されている。
【0035】
さらに、後段部2cは、搬送路14に沿って移動可能な主搬送装置19を備えており、搬送路14の一方側には、3つの現像処理ユニット24a、24b、24cが配置されており、搬送路14の他方側には上下2段に積層されてなる加熱処理ユニット31、および加熱処理ユニットと冷却処理ユニットが上下に積層されてなる2つの加熱処理・冷却ユニット(HP/COL)32、33が配置されている。
【0036】
なお、処理部2は、搬送路を挟んで一方の側に洗浄処理ユニット21a、レジスト処理ユニット22、現像処理ユニット24aのようなスピナー系ユニットのみを配置しており、他方の側に加熱処理ユニットや冷却処理ユニット等の熱系処理ユニットのみを配置する構造となっている。
【0037】
また、中継部15、16のスピナー系ユニット配置側の部分には、薬液供給ユニット34が配置されており、さらに主搬送装置の出し入れが可能なスペース35が設けられている。
【0038】
上記主搬送装置17は、搬送部10の搬送機構11との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、前段部2aの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらには中継部15との間で基板Gの受け渡しを行う機能を有している。また、主搬送装置18は中継部15との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、中段部2bの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらには中継部16との間の基板Gの受け渡しを行う機能を有している。さらに、主搬送装置19は中継部16との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、後段部2cの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらにはインターフェース部3との間の基板Gの受け渡しを行う機能を有している。なお、中継部15、16は冷却プレートとしても機能する。
【0039】
インターフェース部3は、処理部2との間で基板を受け渡しする際に一時的に基板を保持するエクステンション36と、さらにその両側に設けられた、バッファーカセットを配置する2つのバッファーステージ37と、これらと露光装置(図示せず)との間の基板Gの搬入出を行う搬送機構38とを備えている。搬送機構38はエクステンション36およびバッファーステージ37の配列方向に沿って設けられた搬送路38a上を移動可能な搬送アーム39を備え、この搬送アーム39により処理部2と露光装置との間で基板Gの搬送が行われる。
【0040】
このように各処理ユニットを集約して一体化することにより、省スペース化および処理の効率化を図ることができる。
【0041】
このように構成される塗布・現像処理システムにおいては、カセットC内の基板Gが、処理部2に搬送され、処理部2では、まず、前段部2aの紫外線照射・冷却ユニット(UV/COL)25で表面改質・洗浄処理およびその後の冷却された後、洗浄ユニット(SCR)21a,21bでスクラバー洗浄が施され、加熱処理ユニット(HP)26の一つで加熱乾燥された後、冷却ユニット(COL)27の一つで冷却される。
【0042】
その後、基板Gは中段部2bに搬送され、レジストの定着性を高めるために、ユニット30の上段のアドヒージョン処理ユニット(AD)にて疎水化処理(HMDS処理)され、冷却ユニット(COL)で冷却後、レジスト塗布ユニット(CT)22でレジストが塗布され、エッジリムーバー(ER)23で基板Gの周縁の余分なレジストが除去される。その後、基板Gは、中段部2bの中の加熱処理ユニット(HP)の一つでプリベーク処理され、ユニット29または30の下段の冷却ユニット(COL)で冷却される。
【0043】
その後、基板Gは中継部16から主搬送装置19にてインターフェース部3を介して露光装置に搬送されてそこで所定のパターンが露光される。そして、基板Gは再びインターフェース部3を介して搬入され、現像処理ユニット(DEV)24a,24b,24cのいずれかで現像処理され、所定の回路パターンが形成される。現像処理された基板Gは、後段部2cのいずれかの加熱処理ユニット(HP)にてポストベーク処理が施された後、冷却ユニット(COL)にて冷却され、主搬送装置19,18,17および搬送機構11によってカセットステーション1上の所定のカセットに収容される。
【0044】
次に、図2を参照して、加熱処理ユニット(HP)について説明する。図2は、加熱処理ユニット(HP)の概略断面図である。
プレイベーク処理またはポストベーク処理を行うための加熱処理ユニット(HP)は、図2に示すように、昇降自在のカバー41を有し、このカバー41の下側には、基板Gを加熱するための加熱プレート42がその加熱面を水平にして配置されている。この加熱プレート42には、ヒーター(図示せず)が装着されており、所望の温度に設定可能となっている。
【0045】
加熱プレート42には複数の孔が形成されており、これらの孔を通挿して、複数のリフトピン44aおよび44bが昇降自在に設けられている。これらリフトピン44aおよび44bの下部は、支持部材45により、水平方向移動自在に支持されており、この支持部材45は、昇降機構46により昇降されるように構成されている。
【0046】
リフトピン44aはプレート42の外側部分に配置されており、リフトピン44bはプレート42の内側部分に配置されている。そして、リフトピン44aは基板Gを直接支持し、リフトピン44bは後述する蓄熱部材51を介して基板Gを支持するようになっている。
【0047】
加熱処理は、好ましくは図2に示すように、リフトピン44a,44b上に基板Gおよび蓄熱部材51が載置され、加熱プレート42から基板Gおよび蓄熱部材51が離間した状態で行われる。このように、加熱プレート42と基板Gとの直接の接触を避けるいわゆるプロキシミティ方式を採用することにより、加熱プレート42からの輻射熱によって、基板Gが加熱処理され、加熱プレート42からの基板Gの汚染が防止される。
【0048】
次に、図3(a)(b)(c)および図4を参照して、加熱処理ユニット(HP)における加熱処理工程を説明する。図3(a)(b)(c)は、本実施の形態に係る加熱処理ユニットによる加熱処理工程を順次示す斜視図であり、図4は、その断面図である。
【0049】
本実施の形態では、加熱処理ユニット(HP)により基板Gがプリベーク処理またはポストベーク処理等の加熱処理される際には、基板Gの中央部の下側に、ガラス製の蓄熱部材51が設けられ、この蓄熱部材51により、加熱プレート42からの熱が蓄熱される。
【0050】
すなわち、図3(a)に示すように、リフトピン44a,44bを突出させ、中央部側のリフトピン44bの先端に予め蓄熱部材51を載置しておき、基板Gが主搬送装置により加熱処理ユニット(HP)に搬入された際に蓄熱部材51がこの基板Gの中央部の下側に配置されるようにする。
【0051】
次いで、図3(b)に示すように、リフトピン44a上に基板Gを載置し、その際に基板Gと蓄熱部材51とが密着された状態となるようにする。なお、この場合には、図示しない位置合わせ機構により、予めリフトピン44aおよび44bの高さ調整をしておく。
【0052】
次いで、図3(c)に示すように、蓄熱部材51が密着された状態の基板Gが加熱プレート42近傍の加熱処理位置に配置され、加熱処理が行われる。この加熱処理に際しては、蓄熱部材51が基板Gの中央部と加熱プレート42との間に配置されることとなる。
【0053】
この場合に、図3(c)および図4に示す加熱プレート42による基板Gの加熱時には、加熱プレート42からの熱が蓄熱部材51に蓄熱されるから、基板Gの略中央部における熱容量が大きくなったのと同じ効果を得ることができ、結果として基板Gの中央部の温度上昇が抑制され、基板Gの中央部と周縁部とが均等な温度に加熱される。したがって、基板Gの面内温度の均一化を図ることができ、基板Gの反りを有効に防止することができる。
【0054】
また、基板Gおよび蓄熱部材51はいずれもガラス製であり、同じ材質であるから、図4に示すように、蓄熱部材51を基板Gの中央部の下側に密着させた後、これらを分離する際の剥離帯電を効果的に防止することができる。
【0055】
さらに、図5または図6に示すように、プロキシミティ方式において、ガラス製の蓄熱部材51が加熱プレート42の加熱面に載置または埋設されていてもよい。この場合には、基板Gの昇降の度に、蓄熱部材51を昇降する必要がない。また、加熱プレート42にプロキシミティ用の固定ピンを配置し、その上に基板Gを載置して加熱処理を行ってもよい。
【0056】
なお、上述したように基板Gの汚染防止の観点からプロキシミティ方式を採用することが好ましいが、必ずしもプロキシミティ方式を採用しなくてもよい。この場合には、基板Gがプレート42に載置されることとなるが、その際に、図6に示すように、ガラス製の蓄熱部材51が加熱プレート42の加熱面に埋設されていてもよい。この場合にも、基板Gの昇降の度に、蓄熱部材51を昇降する必要がない。
【0057】
次に、図7(a)(b)(c)および図8を参照して、他の実施の形態に係る加熱処理ユニットによる加熱処理工程を説明する。図7(a)(b)(c)は、他の実施の形態に係る加熱処理ユニットによる加熱処理を順次示す斜視図であり、図8はその断面図である。
【0058】
本実施の形態では、ガラス製の予備加熱板52が、基板Gの周縁部の下側に予め加熱されて配置され、加熱プレート42による加熱前に、基板Gの周縁部を予備加熱するようになっている。
【0059】
すなわち、予備加熱板52は、基板Gの搬入前に、図7(a)に示すように、リフトピン44aにより支持されて加熱プレート42の上方に配置され、予め加熱されており、その状態で基板Gが搬入される。図7(b)に示すように、基板Gはリフトピン44b上に載置される。この場合に、基板Gが予備加熱板52に密着するようにリフトピン44aおよび44bの位置関係を調整しておく。このとき、基板Gの周縁部は予備加熱板52により予備的に加熱されることとなる。
【0060】
このように基板Gが予備加熱されている状態でリフトピン44aおよび44bを降下させることにより、図7(c)および図8に示すように、基板Gおよび予備加熱板52が加熱プレート42に近接した位置に配置され、基板Gの加熱処理が実施される。
【0061】
このように、基板Gの加熱前に、基板Gの周縁部が予備加熱部材52によって予備加熱されるため、従来加熱され難い基板Gの周縁部の加熱を促進することができ、基板Gの中央部と周縁部とを均等の温度に加熱することができる。したがって、基板Gの面内温度の均一化を図ることができ、基板の反りを防止することができる。
【0062】
また、この場合にも、基板Gおよび予備加熱板52はいずれもガラス製であり、同じ材質であるから、図8に示すように、予備加熱板52を基板Gの周縁部の下側に密着させた後、これを分離する際の剥離帯電を効果的に防止できる。
【0063】
さらに、この実施形態の場合にも、加熱プレート42にプロキシミティ用の固定ピンを配置し、その上に基板Gを載置して加熱処理を行ってもよい。また、基板Gの汚染防止の観点からプロキシミティ方式を採用することが好ましいが、必ずしもプロキシミティ方式を採用しなくてもよい。
【0064】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。上記実施の形態では、蓄熱部材および予備加熱部材を基板に密着させたが、必ずしも密着させる必要はなく、近接した位置に配置することにより一定の効果を得ることができる。また、蓄熱部材および予備加熱板は、基板と同じ材質である必要はなく、蓄熱部材および予備加熱部材として機能すれば材質は問わない。さらに、上記実施の形態ではLCD基板用の塗布・現像処理システムについて説明したが、LCD基板用の以外の他の被処理基板、例えば半導体ウエハ用の塗布・現像処理システムにも本発明を適用できるし、塗布・現像処理システム以外の加熱処理にも適用することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、蓄熱部材を基板の加熱プレート側の面の中央部に配置し、この蓄熱部材に加熱プレートからの熱を蓄熱させるため、基板の中央部における熱容量が大きくなったのと同じ効果を得ることができ、中央部の温度上昇が抑制されて基板の中央部と周縁部とを均等の温度に加熱することができる。したがって、基板の面内温度の均一化を図ることができ、基板の反りを防止することができる。
【0066】
また、本発明によれば、基板の加熱前に、予熱された予備加熱部材を前記加熱プレートと基板との間の基板周縁部に対応する位置に予め配置するので、相対的に中央部よりも加熱され難い基板の周縁部を有効に加熱することができ、基板の中央部と周縁部とを均等の温度に加熱することができる。したがって、基板の面内温度の均一化を図ることができ、基板の反りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用されるLCD基板の塗布・現像処理システムを示す平面図。
【図2】 加熱処理ユニット(HP)の概略断面図。
【図3】 本発明の一実施形態に係る加熱処理ユニットによる加熱処理工程を順次示す斜視図。
【図4】 本発明の一実施形態に係る加熱処理ユニットによる加熱処理工程を示す断面図。
【図5】 図4に示す加熱処理工程の変形例を示す断面図。
【図6】 図4に示す加熱処理工程の他の変形例を示す断面図。
【図7】 本発明の他の実施形態に係る加熱処理ユニットによる加熱処理工程を順次示す斜視図。
【図8】 本発明の他の実施形態に係る加熱処理ユニットによる加熱処理工程を示す断面図。
【図9】 従来の加熱処理ユニットによる加熱処理工程を順次示す斜視図。
【符号の説明】
HP;加熱処理ユニット
42;加熱プレート
44a,44b;リフトピン
51;蓄熱部材
52;予備加熱板
G;LCD基板
Claims (16)
- 基板を加熱処理するための加熱処理装置であって、
基板を加熱する加熱プレートと、
前記加熱プレートと基板との間の、基板の中央部に対応する位置に配置され、前記加熱プレートによる加熱時に、前記基板の中央部に配置され、前記加熱プレートからの熱の一部を蓄熱する蓄熱部材と
を具備することを特徴とする加熱処理装置。 - 前記蓄熱部材は、基板加熱時に基板の中央部に密着されることを特徴とする請求項1に記載の加熱処理装置。
- 前記基板と前記蓄熱部材とが、同じ材質で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の加熱処理装置。
- 搬入された基板を昇降して前記加熱プレートに載置するための複数のリフトピンをさらに具備し、前記蓄熱部材は、これらリフトピンのうち基板中央部に対応するものの先端部に配置され、前記蓄熱部材および基板が、互いに密着した状態でリフトピンによって降下されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の加熱処理装置。
- 前記蓄熱部材は、前記加熱プレートの加熱面に埋設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
- 基板を加熱するための加熱処理装置であって、
基板を加熱する加熱プレートと、
前記加熱プレートと基板との間の基板周縁部に対応する部分に予め加熱されて配置され、前記加熱プレートによる加熱前に、基板の周縁部を予備加熱するための予備加熱部材と
を具備することを特徴とする加熱処理装置。 - 前記予備加熱部材は、基板加熱時に基板の周縁部に密着されることを特徴とする請求項6に記載の加熱処理装置。
- 前記基板と、前記予備加熱部材とは、同じ材質で形成されていることを特徴とする請求項7に記載の加熱処理装置。
- 搬入された基板を昇降して前記加熱プレートに載置するための複数のリフトピンをさらに具備し、前記予備加熱部材は、前記加熱プレートにより予め加熱されて、これらリフトピンにより上昇された後、これらリフトピンに載置された基板と共に降下されながら、基板の周縁部を予備加熱することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の加熱処理装置。
- 基板を加熱プレートにより加熱処理するにあたり、蓄熱部材を基板の加熱プレート側の面の中央部に配置して加熱プレートからの熱の一部を蓄熱させることを特徴とする加熱処理方法。
- 基板を加熱プレートにより加熱処理するにあたり、基板の加熱前に、予熱された予備加熱部材を前記加熱プレートと基板との間の基板周縁部に対応する位置に予め配置することを特徴とする加熱処理方法。
- 前記加熱処理は、基板を加熱プレートに接触させずに行われることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の加熱処理方法。
- 基板を加熱処理するための加熱処理装置であって、
基板を加熱する加熱プレートと、
前記加熱プレートと基板との間の、前記基板の中央部に対応する位置に配置され、前記基板と密着させることにより前記基板の略中央部における熱容量を大きくするための蓄熱部材と、
を具備することを特徴とする加熱処理装置。 - 前記蓄熱部材は前記加熱プレートによって処理される基板と同じ材質で形成されていることを特徴とする請求項13に記載の加熱処理装置。
- 基板を加熱プレートにより加熱処理するための加熱処理方法であって、
所定の蓄熱部材を基板の加熱プレート側の面の中央部に前記基板と密着させることにより前記基板の略中央部における熱容量を大きくして、前記基板の中央部の温度上昇を抑制しつつ前記基板の中央部と周縁部との温度を均一化させることを特徴とする加熱処理方法。 - 前記基板および前記蓄熱部材は前記加熱プレートから離間した状態で加熱処理されることを特徴とする請求項15に記載の加熱処理方法。
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