JP3767968B2 - プラスチック基材用光硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、PET樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂等のプラスチック基材上に塗布する際の作業性が良好で、かつ硬化性、付着性、耐アルコール性、耐ブロッキング性、及び作業性に優れた、無溶剤型のインクバインダー用に好適な光硬化性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック基材用のインクバインダー用組成物としては、溶剤系高分子樹脂もしくは溶剤系重合体とイソシアナートとの併用による2液反応タイプの熱硬化型のものや、ビニル系オリゴマー、単量体、光重合開始剤などを主成分とする光硬化型のものがある。
しかしながら、このような溶剤系重合体とイソシアナートとの併用系の熱硬化型樹脂組成物は、溶剤揮発工程やイソシアナートの反応工程が必要であり、生産性が低く、イソシアナートの毒性の点からも好ましいものではなく、一方、光硬化型樹脂組成物は、生産性は高いものの、やはり溶剤を含むために材料コストが高く、また硬化塗膜の付着性、外観、耐折り曲げ性等の性能が十分ではないのが現状である。
【0003】
さらに、熱硬化型、光硬化型に拘わらず、溶剤を使用した樹脂組成物は、それ自体が作業環境や地球環境の面からも好ましいものではない。
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、PET樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂等のプラスチック基材上に塗布する際の作業性が良好で、かつ硬化性、付着性、耐アルコール性、耐ブロッキング性に優れた、無溶剤型の光硬化性組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メチルメタクリレート(M1)10〜80重量%、水酸基含有(メタ)アクリレート(M2)1〜30重量%、およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(M3)5〜89重量%を共重合して得られる、重量平均分子量が1,000〜10,000であるアクリル系共重合体(A)(固形分)40〜80重量部と、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有するビニル系光重合性単量体(B)20〜60重量部を含むプラスチック基材用光硬化性組成物を提供することにある。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の光硬化性組成物は、特定のモノマーを溶液重合してなるアクリル系共重合体(A)と、1分子中に少なくとも(メタ)アクリロイル基を1個有するビニル系光重合性単量体(B)を含む無溶剤型の光硬化性組成物であり、以下、これらの各成分について詳細に説明する。
【0006】
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)は、メチルメタクリレート(M1)、水酸基含有(メタ)アクリレート(M2)、およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(M3)を共重合して得られる、重量平均分子量が1,000〜10,000のアクリル系共重合体であり、本発明の光硬化性組成物を低粘度化して無溶剤型の光硬化性組成物とするための必須成分である。
【0007】
このアクリル系共重合体(A)を得るために用いられるメチルメタアクリレート(M1)は、得られる硬化塗膜に優れた耐アルコール性と耐ブロッキング性をバランスよく付与するための成分である。
(M1)成分の使用範囲は、その塗工条件に応じて適宜選択すればよいが、使用量が少ないと硬化塗膜に粘着性がでる傾向にあり、多量に使用すると硬化塗膜が脆くなったり、硬化塗膜のプラスチック基材に対する付着性が低下する傾向にあるため、10〜80重量%の範囲、特に30〜75重量%の範囲が好ましい。
【0008】
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)を得るために用いられる水酸基含有(メタ)アクリレート(M2)は、硬化塗膜のプラスチック基材に対する付着性を付与するための成分である。
【0009】
この(M2)成分の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのεカプロラクトン1モル付加物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのεカプロラクトン1モル付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのεカプロラクトン2モル付加物などが挙げられる。
【0010】
これらの中でも、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートは、得られる硬化塗膜のプラスチック基材に対する付着性と耐ブロッキング性をバランスよく付与できることから特に好ましい。
【0011】
(M2)成分は、各種プラスチック基材に応じた好適な付着度となるよう適量用いればよいが、(M2)成分の使用量が少ないと、得られる硬化塗膜のプラスチック基材への付着性が十分でなく、一方使用量が多すぎると組成物粘度が高くなり、作業性を損なう傾向にあるので、1〜30重量%の範囲、特に10〜20重量%の範囲が好ましい。
【0012】
また、本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)を得るために用いられる、メチルメタアクリレート(M1)及び水酸基含有(メタ)アクリレート(M2)と共重合可能な他のビニル系単量体(M3)は、塗工作業性が良好でプラスチック基材に対する付着性、耐アルコール性、耐ブロッキング性など最適な性能バランスを付与する成分である。
【0013】
この(M3)成分の具体例としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン不飽和ニトリル類;
N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシ置換アミド類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和塩基性単量体、
グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、フマール酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドサクシネート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドヘキサヒドロフタレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルアシッドサクシネート等が挙げられる。
これら(M3)成分は、必要に応じて単独あるいは2種以上を併用して使用することができる。
【0014】
これらのビニル系単量体の中でも、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレートは、硬化塗膜の付着性、耐アルコール性、耐ブロッキング性、作業性等の各種性能のバランスが良好であり特に好ましい。
【0015】
この(M3)成分の使用量は、少ないと得られる硬化塗膜が脆くなり、プラスチック基材に対する付着性を十分に付与できない傾向にあり、一方多いと(M1)成分の減少による耐アルコール性の低下や、(M2)成分の減少による付着性の低下を招く傾向にあるため、5〜89重量%の範囲、特に10〜60重量%の範囲が好ましい。
【0016】
本発明に用いられる(A)成分は、本発明の光硬化性組成物100重量部中、固形分量で40〜80重量部の範囲で用いられ、より好ましくは50〜70重量部の範囲で用いられる。
この(A)成分の量が40重量部より少ない場合には、硬化塗膜のプラスチック基材に対する付着性が著しく低下する傾向にあり、また、80重量部を超える場合には、光硬化性が不十分となり、得られる硬化塗膜の耐アルコール性が不十分となる傾向にある。
【0017】
アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量は、通常1,000〜10,000の範囲、特に好ましくは3,000〜5,000の範囲である。
重量平均分子量が1,000より低い(A)成分を含む組成物では、プラスチック基材に対する付着性が十分でなく、一方、重量平均分子量が10,000より高い(A)成分を含む組成物は、その粘度が著しく上昇する傾向にあり、作業性の点から好ましくない。
【0018】
また、アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(以下、Tgと示す)は特に限定されるものではないが、硬化塗膜同士の貼り付き防止に優れた効果を発揮するのは、耐ブロッキング性が良好なTgが40〜80℃の範囲である。
これは、(A)成分のTgが40℃より低いと得られる硬化塗膜の耐ブロッキング性が不十分であり、また、Tgが80℃より高いと硬化塗膜のプラスチック基材に対する付着性が低下する傾向にある。
【0019】
本発明の(B)成分である1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有するビニル系光重合性単量体は、組成物に優れた硬化性及び作業性を付与し、また得られる硬化塗膜のプラスチック基材への付着性を付与する成分である。
【0020】
この(B)成分の具体例としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリロイル基を1個有するモノマー;
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を2個有するモノマー;そして
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンのテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンのテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート等、(メタ)アクリロイル基を3つ以上有するモノマー等が挙げられる。
【0021】
これらのモノマーは、単独又は2種以上を併用して用いることができる。
このうち、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートが好ましい。
なお、本発明の光硬化性組成物は、(B)成分中に、1分子中に1〜2個の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを80%以上含むことが、プラスチック基材への付着性がより優れ、なおかつ低粘度の組成物が得られるという点で好ましい。
【0022】
本発明に用いられる(B)成分は、本発明の光硬化性組成物100重量部中20〜60重量部の範囲で用いられ、より好ましくは30〜50重量部の範囲で用いられる。
この(B)成分の量が20重量部より少ない場合には、硬化性が不十分となり、また、60重量部を超える場合には、硬化塗膜のプラスチック基材に対する付着性が著しく低下する傾向にある。
【0023】
本発明の光硬化性組成物は、まず、溶液重合法により予めアクリル系共重合体(A)を調製し、その中に含まれる溶媒を減圧下である程度除去した後にビニル系光重合性単量体(B)を加えて、(A)成分中の溶媒をほぼ完全に除去することにより得られる。
(A)成分の溶液重合時に用いる溶媒としては、例えば、イソプロパノール、N−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン等の有機溶剤が挙げられるが、特に重合温度を高く設定でき、溶剤の除去が比較的容易であるトルエン、キシレンが好ましい。
【0024】
なお、本発明の光硬化性組成物は、作業環境や地球環境等の点から、無溶剤型組成物として用いることができるが、用途に応じた最適な粘度にするため、有機溶剤で適宜希釈して使用することは可能である。
この有機溶剤の具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、3−メトキシ−1−プロパノール、ジオキサンなどのエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族類;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。
【0025】
また、本発明の光硬化性組成物には、その性能が低下しない範囲で、使用目的に応じて、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、染料、帯電防止剤、光触媒系化合物等の添加剤を、適宜添加してもよい。
【0026】
本発明の光硬化性組成物は活性エネルギー線により硬化させることができるが、この活性エネルギー線としては、例えば紫外線、電子線、ガンマー線等が挙げられる。
このうち、例えば、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、通常組成物中に光重合開始剤と、光増感剤または光促進剤のいずれか1種以上からなる光触媒系化合物を含有させることが好ましい。
【0027】
この光触媒系化合物としては、公知のものを任意選択して使用することができる。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンジルメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等を挙げることができる。
光増感剤としては、例えば、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
また、光促進剤の具体例としては、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチル安息香酸イソアミル、p−ジメチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル等を挙げることができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。
なお、本実施例中の評価方法は下記の通りである。
【0029】
〈アクリル系共重合体(A)含有溶液の評価方法〉
粘度:25℃で2時間保持後、B型粘度計にて測定した。
重量平均分子量:40℃での粘度を、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(スチレン換算)で測定した。
ガラス転移温度(Tg):真空理工(株)製、熱分析システム(MTS−9000)により測定した。
固形分(%):サンプルをアルミ皿に入れ、105℃で1.5時間保持後の重量を測定し、加熱前の重量に対する加熱後の重量比を%で示した。
【0030】
〈組成物及び硬化塗膜の評価方法〉
付着性:硬化塗膜にセロテープ(ニチバン社製)を貼りつけた後、一気に剥離し、硬化塗膜の付着状態を目視にて判定した。その際、剥離しなかった硬化塗膜には、クロスカットをカッターで入れて、前と同様の方法で硬化塗膜の付着状態を目視にて判定した。
◎:剥離なし
○:クロスカットでやや剥離、ノーカットで剥離なし
△:ノーカットでやや剥離
×:ノーカットで全て剥離
耐アルコール性:50%水性エタノール中に、硬化塗膜を形成した試験片を24時間浸漬後、硬化塗膜の外観を目視にて判定した。
○:変化なし
△:やや曇化
×:白化
耐ブロッキング性:硬化塗膜を形成した面同士を重ね合わせた2枚の試験片に、100g/cm2の荷重をかけ、40℃、85%RHの条件下で24時間保持後、硬化塗膜同士のブロッキングの状態を評価した。
○:ブロッキングなし
△:ややブロッキングあり
×:ブロッキングがあり不良
作業性:光硬化性組成物としてのハンドリング性、塗装のしやすさを評価した。
○:良好
△:やや扱いにくい
×:不良
【0031】
[実施例1]
アクリル系共重合体(A-1)含有溶液の合成:
温度計、滴下ロート、撹拌機、冷却管及び温度制御装置を備えた4つ口フラスコに、トルエン100gを入れて110℃に昇温した後、メチルメタクリレート59g、2−エチルヘキシルメタクリレート36g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5g、アゾビスイソブチロニトリル3g及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)7gからなる混合物を、5時間かけて該フラスコ中に滴下し重合させ、アクリル系共重合体含有溶液(A-1)を得た。この物性値は、表1に示す。
光硬化性組成物の調製:
得られたアクリル系共重合体含有溶液(A-1)(固形分50%)140gから、70%分のトルエン分を除去した後、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート30gを加え、減圧下で残存トルエンを完全に除去した。
この中に、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、日本チバガイギー(株)製)4g、およびレベリング剤(商品名:L−7001、日本ユニカー(株)製))0.2gを加えて光硬化性組成物を調製した。
硬化塗膜の形成:
このようにして得られた光硬化性組成物を、バーコーター(#4)を用いてアクリル板に塗装し、高圧水銀灯を用いた紫外線照射装置(三菱レイヨンエンジニアリング(株)製、UV−2503、80W/cm、1灯;ランプ高20cm、コンベア速度5m/min.)を用いて、照射光量200mJ/cm2で塗膜を硬化させた。
得られた硬化塗膜の評価結果は、表3に示す。
【0032】
[実施例2〜実施例6]
実施例1と同様にしてアクリル共重合体含有溶液(A-2)、(A-3)を合成した。この物性値は表1に示す。
その後、これらを用いて実施例1と同様にして表3に示す組成の光硬化性組成物を調製し、実施例1と同様にして硬化塗膜を形成し、その膜特性の評価結果は表3に示す。
[比較例1〜比較例6]
実施例1と同様にしてアクリル共重合体(A-4)〜(A-7)含有溶液を合成した。この物性値は表2に示す。
次に、先に合成したアクリル共重合体含有溶液(A-1)及びアクリル共重合体含有溶液(A-4)〜(A-7)を用いて表4に示す光硬化性組成物を調製し、実施例1と同様にして硬化塗膜を形成した。得られた硬化塗膜の評価結果は表4に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光硬化性組成物は、低粘度でかつ付着性が良好な(A)成分を必須成分として用いることにより、硬化性が良好で、プラスチック基材に対する付着性、耐アルコール性、耐ブロッキング性、及び作業性に優れた硬化塗膜を形成することができ、また、溶剤の使用を必須としないことから環境面でも優れたものである。
Claims (3)
- メチルメタクリレート(M1)10〜80重量%、水酸基含有(メタ)アクリレート(M2)1〜30重量%、およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(M3)5〜89重量%を共重合して得られる、重量平均分子量が1,000〜10,000であるアクリル系共重合体(A)(固形分)40〜80重量部と、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有するビニル系光重合性単量体(B)20〜60重量部を含む、プラスチック基材用光硬化性組成物。
- アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が、40〜80℃の範囲であることを特徴とする、請求項1記載のプラスチック基材用光硬化性組成物。
- ビニル系光重合性単量体(B)が、1分子中に1〜2個の(メタ)アクリロイル基を有するビニル系光重合性単量体を80重量%以上含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2記載のプラスチック基材用光硬化性組成物。
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