JP3767327B2 - 誘導加熱コイル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却板を積層方向両端外側に備えた誘導加熱コイル、例えば鉄心付平面加熱用誘導加熱コイルに関し、詳しくは、積層される鋼板の適当間隔毎に配設された内部冷却板及び積層方向両端に配設された外部冷却板を有する鉄心と、前記鉄心の周囲に巻回され交番電流が印加される巻線とを備え、前記鉄心には、当該鉄心を構成する前記の鋼板、内部及び外部冷却板の各被加熱物側端面によって構成され、被加熱物に対し平行に相対される対物面が設定された誘導加熱コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の誘導加熱コイルとしては、例えば、特公昭62−29875号公報及び特開平5−299168号公報に記載のものが知られている。
【0003】
先ず、従来例1として、特公昭62−29875号公報に記載された誘導加熱コイルの構成を図6に基づいて説明する。図6は従来例1の誘導加熱コイルの断面図である。
図6において、1は鉄心2を構成するよう積層される鋼板としてのケイ素鋼板である。
3A、3Eは、同じく鉄心2を構成する冷却板としての水冷銅板であって、積層された鋼板1の両端側にあって、両外側から挟んでいる(以下、これらを外部冷却板という)。
又、3B、3C、3Dも、同じく鉄心2を構成する冷却板としての水冷銅板であって、これらは積層された鋼板1の間に適等間隔にて挟まれている(以下、これらを内部冷却板という)。
尚、上記の外部冷却板及び内部冷却板を単に冷却板ともいう。
【0004】
4は絶縁締結ボルトであり、積層された上記鋼板1及び冷却板3A〜3Eを積層方向に締結する。
5は巻線で、上記鋼板1や冷却板3A〜3Eからなる鉄心2の周囲に巻回されており、交番電流が印加される。
以上のように構成された従来例1の誘導加熱コイルは、その鉄心2に、被加熱物6の面(平面)に相対する平行な面即ち対物面が設定されている。この鉄心2の対物面は、鉄心2を構成する積層された多数の鋼板1及び冷却板3A〜3Eの各々の被加熱側端面の集合で構成される面である。
【0005】
次に、図7において、上記の冷却板としての水冷銅板3A〜3Eの構成の一例を説明する。図示の水冷銅板は、口出管8を有する銅管9が所定形状の銅板7の周囲を囲むようにロウ付けされた構成である。尚、次に説明する従来例2の誘導加熱コイルの冷却板としての水冷銅板も同じ構造である。
【0006】
次に、従来例2として、特開平5−299168号公報に記載された誘導加熱コイルを説明する。この誘導加熱コイルは、上記従来例1の誘導加熱コイルを改良したものである。以下、図8を参照しながら説明する。図8は従来例2の誘導加熱コイルの断面図である。
尚、図8において、図中の符号1〜6は上記従来例1(図6、図7)と同様であるからその説明を省略する。
【0007】
上記従来例1とこの従来例2の誘導加熱コイルとの構成の違いは次の通りである。
即ち、従来例1では、鉄心2の対物面が被加熱物6の面と全面的に平行に相対するよう設定されていた。
従って、鉄心2の対物面に垂直な縦断面である図6に示すように、鉄心2を構成する鋼板1や冷却板3A〜3Bの各被加熱側端面が直線的に横並びとなり、被加熱物6の面との間即ち対物距離gが一定となっている。
以下、各鋼板の被加熱側端面を鋼板の端面、各冷却板の被加熱側端面を冷却板の端面ともいう。
【0008】
上記従来例1に対して従来例2では、被加熱物6の端部側に対して相対する位置側の外部冷却板、図8では、図の左側の外部冷却板3Aの端面だけが、鉄心2の本来の対物面の位置よりも、被加熱物6から遠ざかる方向に後退した位置とされている点が異なっている。
従って、鉄心2の対物面に垂直な縦断面である図8に示すように、当該外部冷却板3Aの端面のみが、鉄心2の対物面と被加熱物6の面との間の本来の一定な対物距離gに対して、距離h分だけ大きく離れ、当該外部冷却板3Aの被加熱物6に対する対物間隔が(g+h)となっている。
以下、この従来例2の対物間隔(g+h)の距離h分の差が当該外部冷却板3Aに接する鋼板1との間で垂直方向に生じている点から、この距離hの落差及びその形態を垂直段差という。
【0009】
次に、上記従来例1の動作を説明する。
鉄心2に巻回された巻線5に交番電流を流すと、鉄心2に交番磁束が発生し、この交番磁束が被加熱物6としての被加熱金属体に流入して、被加熱物6を誘導加熱する。
この際、鉄心2は、多数の鋼板1、この例ではケイ素鋼板1が積層されて形成されているため、外部への磁束の漏れが少ない。
又、この鉄心2は、図6乃び図8に示すB方向の磁束や図9に示すA方向の磁束によるヒステリシス損及び渦電流損によって自己発熱する。
【0010】
この鉄心2の自己発熱量が少ない場合には、鉄心2自体を冷却する必要はないが、被加熱物6の発熱密度を上げるためには、鉄心2における磁束密度を高磁束密度(1T(テスラ)〜2T)にする必要があるため、誘導加熱コイルの場合には、当然、鉄心2内での発熱量が大きくなるため、鉄心2自体を冷却しなくてはならない。
このため、図7に示すような冷却板3A〜3Eが積層される多数の鋼板1の間や両端側に配置されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例1の誘導加熱コイル(図6)では、磁束Bにより、被加熱物6の端部側に相対して位置する側の外部冷却板3Aが誘導加熱され易く、多大な熱損失が発生して、当該外部冷却板3Aの銅管9(図7)の寿命が短くなったり、亀裂が生じたりして水漏れが発生するという課題があった。
【0012】
この従来例1の解題を解決するため、上記従来例2の誘導加熱コイル(図8)では、当該外部冷却板3Aを大きく後退させて垂直段差hを設けた改良を加えたところ、更に次のような課題が生じた。
即ち、この垂直段差hが小さいと、従来例1の誘導加熱コイルの場合と同様に、磁束Bにより外部冷却板3Aが誘導加熱されていしまい、その銅管9の寿命が短くなったり、亀裂が生ずる等して、当初の課題を十分に解消することができないのである。
【0013】
他方、この課題を解消すべく、上記の垂直段差hを十分に大きくすると、鉄心2の外部冷却板3Aを越えて、当該外部冷却板3Aに接する内側の、即ち積層方向内側に積層された、当該外部冷却板3A寄りの一定幅内(後述の外部冷却板側積層体部分2A、図1、図2参照)の鋼板1において、各鋼板1の被加熱物側の端部(鋼板の端部)、即ち鉄心端部1A(図8)が誘導加熱されて熱損失が増大する上に、当該外部冷却板3Aが前記鋼板1の端部から大きく離れているため、当該鉄心端部1Aに対する冷却効果が大きく低下して、高温となりやすく、熱疲労と電磁振動とで破断したりする。
又、磁束Bによって、前記外部冷却板3Aに最寄りの、即ち、当該外部冷却板3Aの内側に配設されている内部冷却板3Bまでもが誘導加熱されてしまい、上記従来例1の場合と同様に、内部冷却板3Bの銅管に亀裂が生じて水漏れを起こしてしまう等の課題があった。
本発明は、上記課題を解決し、鉄心の発熱量を抑制し、耐久性に優れた高性能の誘導加熱コイルの提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、積層される鋼板の適当間隔毎に配設された内部冷却板及び積層方向両端に配設された外部冷却板を有する鉄心と、前記鉄心の周囲に巻回され交番電流が印加される巻線とを備え、前記鉄心には、当該鉄心を構成する前記の鋼板、内部及び外部冷却板の各被加熱物側端面によって構成され、被加熱物に対し平行に相対される対物面が設定された誘導加熱コイルにおいて、前記の両外部冷却板の各被加熱物側端面は、前記対物面から後退させた位置とし、被加熱側端面が後退させられた外部冷却板から積層方向の一定幅内に積層された鋼板の対物面側は、積層方向内側から外側に向けて並ぶ各鋼板の被加熱側端面を、対物面から次第に後退させて行き、前記の後退させられた外部冷却板の被加熱物側端面へ連なる傾斜状面とし、前記対物面の傾斜状面側に内部冷却板が配設されていることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、積層される鋼板の適当間隔毎に配設された内部冷却板及び積層方向両端に配設された外部冷却板を有する鉄心と、前記鉄心の周囲に巻回され交番電流が印加される巻線とを備え、前記鉄心には、当該鉄心を構成する前記の鋼板、内部及び外部冷却板の各被加熱物側端面によって構成され、被加熱物に対し平行に相対される対物面が設定された誘導加熱コイルにおいて、前記被加熱物の端部側に位置する外部冷却板の被加熱物側端面は、前記対物面から後退させた位置とすると共に、前記巻線の被加熱側端面は、後退させた位置の前記外部冷却板の被加熱側端面と一致若しくは一致する位置から前進させた位置とし、被加熱側端面が後退させられた外部冷却板から積層方向の一定幅内に積層された鋼板の対物面側は、積層方向内側から外側に向けて並ぶ各鋼板の被加熱側端面を、対物面から次第に後退させて行き、前記の後退させられた外部冷却板の被加熱物側端面へ連なる傾斜状面とし、前記対物面の傾斜状面側に内部冷却板が配設されていることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、積層される鋼板の適当間隔毎に配設された内部冷却板及び積層方向両端に配設された外部冷却板を有する鉄心と、前記鉄心の周囲に巻回され交番電流が印加される巻線とを備え、前記鉄心には、当該鉄心を構成する前記の鋼板、内部及び外部冷却板の各被加熱物側端面によって構成され、被加熱物に対し平行に相対される対物面が設定された誘導加熱コイルにおいて、前記の両外部冷却板の被加熱物側端面は前記対物面から後退させた位置とすると共に、前記巻線の被加熱側端面は、後退させた位置の前記外部冷却板の被加熱側端面と一致若しくは一致する位置から前進させた位置とし、被加熱側端面が後退させられた外部冷却板から積層方向の一定幅内に積層された鋼板の対物面側は、積層方向内側から外側に向けて並ぶ各鋼板の被加熱側端面を、対物面から次第に後退させて行き、前記の後退させられた外部冷却板の被加熱物側端面へ連なる傾斜状面とし、前記対物面の傾斜状面側に内部冷却板が配設されていることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
実施の形態1の誘導加熱コイルは、鉄鋼圧延ラインにおいて、粗圧延機と仕上げ圧延機との間に設置され、連続的に流れてくる被加熱物が圧延されてテーブルローラによって次工程に搬送される間に被加熱物が温度低下するのを補償するために用いられるものであり、次のように構成されている。
【0024】
即ち、積層される鋼板1の適当間隔毎に配設された冷却板としての内部冷却板3B〜3D及び積層方向両端に配設された同じく冷却板としての外部冷却板3A、3Eを有する鉄心2と、この鉄心2の周囲に巻回され交番電流が印加される巻線5とを備え、前記の鉄心2には、当該鉄心2を構成する前記の鋼板1及び冷却板3A〜3Eの各々の被加熱物側端面によって構成され、被加熱物6に対し平行に相対する対物面が設定されている。
【0025】
以下、実施の形態1を図1に基づいて説明する。図1は対物面に垂直な縦断面である。尚、上記従来例1及び従来例2で説明した符号や用語と同一の符号及び用語は同一若しくは実質的に同様であるので、その説明を省略する。
【0026】
図1において、1は鋼板としてのケイ素鋼板、2は鉄心であり、多数の鋼板1や後述する冷却板3A〜3Eが積層されて構成されている。
3A、3Eは外部冷却板としての水冷銅板であり、鉄心2の積層方向の両端外側に配置されている。
又、3B、3C、3Dは内部冷却板としての水冷銅板であり、鉄心2を構成する多数の鋼板1の積層方向の適所適所に介在し、挟まれて配設されている。
4は絶縁締結ボルトであり、積層された多数の鋼板1及び冷却板3A〜3Eを積層方向に締結している。
5は巻線であり、上記の鉄心2即ち、鋼板1及び冷却板3A〜3Eからなる積層体の周囲に巻回されており、交番電流が印加される。
6は被加熱物としての平らな鋼鉄板である。
【0027】
図1において、鉄心2に巻回された巻線5に交番電流を流すと、鉄心2に交番磁束が発生し、この交番磁束が被加熱金属体、即ち上記の被加熱物6に流入して、被加熱物が誘導加熱される。
【0028】
さて、この実施の形態1では、鉄心2の積層方向両端側に配置された外部冷却板としての両水冷銅板3A、3Eの各被加熱物側の端面(外部冷却板の端面)を、鉄心2の対物面よりも間隔h分だけ被加熱物6から遠ざかるように後退させた位置となるよう、即ち、被加熱物6の面との間が間隔g+h(gは鉄心2の対物面と被加熱物6の面との間の間隔)となるように、鉄心2の積層方向両端側に位置する各々の外部冷却板3A、3Eを配設した構成としている。
【0029】
次に、上記のように後退した位置に配設された両外部冷却板3A、3Eの各々に接する鋼板1から、積層方向の内側へ積層されている一定幅内の鋼板2A(以下、外部冷却板側積層体部分ともいう)については、この外部冷却板側積層体部分2Aにおいて、鉄心2の内側の鋼板1から外側の鋼板1に向けて、これら鋼板1の各被加熱側端面(鋼板の端面)が対物面から次第に後退するように配置され、積層方向の中央側に残された鉄心2の本来の対物面から前記の後退した位置に配設された各々の外部冷却板3A、3Eの被加熱物側端面(外部冷却板の端面)へと各々連なる傾斜状面となるように構成されている。
【0030】
ここで、上記の傾斜状面は、各鋼板1の端面や、場合によってはこれらの鋼板1の間に介在された冷水板の端面(非図示)等、多数の端面の集合によって概括的に形成される斜め方向の面、例えば、その断面が直線状、階段状或いは曲線状である面をいい、必ずしもその斜め方向の面は、平滑な面であるに限らず、例えば、各端面は対物面や被加熱物6の面に対して平行であってもよい。
上記のように、この形態1に示す傾斜状面は、両側の外部冷却板3A、3Eの各端面の延在方向から鉄心2の中央側に残された対物面、図上において被加熱物6の面と平行な対物面に接するまでを傾斜領域としている。
【0031】
鉄心2の積層方向両端側の被加熱物側、即ち外部冷却板側積層体部分2Aに設けられた上記傾斜状面は、後退させられた外部冷却板3A、3Eを越えて、その内側の鋼板1や内部冷却板3B、3Dへの、上記の従来技術で説明した磁束Bの流入を有効に阻止できるように形成されている。
従って、上記の一定幅内(の鋼板2A)とは、この磁束Bが流入し易い領域(外部冷却板側積層体部分)をいう。
【0032】
この実施の形態1では、外部冷却板3A、3Bと各々の最寄りの内側に位置する内部冷却板3B、3Dとの間を、磁束Bが流入し易い領域、即ち一定幅内とし、この幅内に積層された外部冷却板側積層体部分2Aを構成する多数の鋼板1を、数枚毎の組みとし、この組みを単位として、例えば3枚組み毎の各鋼板1の端面を一連の面となし、この面の両隣が一方は低く、他方は高い階段状となるように、順次段差をつけて各3枚組み毎の鋼板1を配置していくことで、階段状の傾斜状面を構成している。
【0033】
上記実施の形態1によれば、鉄心2の発熱量を大幅に低減させることができる。その理由は次の通りである。
先ず、上記の従来例1や従来例2において、鉄心2の対物面側の積層方向両端部側に、即ち従来例2でいう鉄心端部1A(図8)における発熱の原因が、外部冷却板の端面とその内側に積層された枚数の鋼板、即ち外部冷却板側積層体部分2Aの各被加熱物側端面との段差量(h)が要因の1つであることが判った。
【0034】
即ち、上記の段差量hを種々変更して、鉄心2に貫通する磁束と上記鉄心端部1A(図8)における発熱量を調べたところ、当該鉄心端部1A(図8)の発熱量は、外部冷却板から突き出している鋼板1の部分の面積の2乗に比例し、その周囲長さの2乗に反比例していることが判ったのである。
つまり、積層方向長さが同じ場合、上記段差量hの2乗に比例するということである。又、鋼板1と鋼板1との段差についても同様の結果が得られた。
【0035】
このような理由から、上記実施の形態1のように構成することによって、鉄心2の発熱量を大幅に抑制することができたのである。
尚、上記実施の形態1では、鉄心2の積層方向両端側において、両外部冷却板3A、3Bを後退させ、且つ、各々に傾斜状面を設けているが、磁束Bの流入が激しい被加熱物6側の端面部側に位置する外部冷却板側だけに、当該外部冷却板を後退させたり、更に上記のような傾斜状面を設けてもよい。
又、磁束Bの流入量如何によっては、傾斜状面を設けず、両外部冷却板3A、3Bを後退させる構成を採用するだけでも、十分に磁束Bの流入を阻止することができる。
【0036】
実施の形態2.
実施の形態2の誘導加熱コイルは、上記実施の形態1の誘導加熱コイルと基本的には略同様のものである。
以下、図2に基づいて説明する。図2は対物面に垂直な縦断面である。尚、上記実施の形態1と同一の符号若しくは用語は同一若しくは実質的には同様な内容であるので、その説明を省略する。
【0037】
図2に示すように、この誘導加熱コイルもまた、積層される鋼板1の適当間隔毎に挟み込まれる内部冷却板3B〜3D及び積層方向両端に配設される外部冷却板3A、3Eを有する鉄心2と、この鉄心2の周囲に巻回され交番電流が印加される巻線5とを備え、前記の鉄心2には、当該鉄心2を構成する前記の鋼板1及び前記の冷却板3A〜3Eの被加熱物側端面によって構成され、被加熱物6に対し平行に対面する対物面が設定されている。これらの構成は、上記実施の形態1と同様である。
【0038】
この実施の形態2では、上記の外部冷却板3A、3Eの被加熱物側端面(外部冷却板3A、3Eの端面)に対して、巻線5を、その巻線5の被加熱側端面(以下、巻線5の端面ともいう)が一致若しくは一致する位置から更に被加熱物6から遠ざかるように後退させた位置に配置した構成としたものである。
以下、図4及び図5に基づいて説明する。図4は、外部冷却板としての水冷銅板3Aの発熱比と、外部冷却板としての水冷銅板3A(の端面)の巻線5の端面からの突き出し量h(mm)との関係を示す図である。
【0039】
図4に示すように、外部冷却板3A、3Eを後退させる程、発熱量比は、減少する。
しかし、外部冷却板3A、3Eに接する鋼板1から鉄心2の内側即ち積層方向に積層された一定幅内の鋼板、即ち外部冷却板側積層体部分2A(図2)の被加熱物側端部(鋼板の端部)側の熱に対する冷却効果及び機械的強度の観点から、上記突き出し量hの最適値を適宜選択しなければならない。この例では、k=0〜−5mmとしている。
【0040】
これは、外部冷却板3A、3Eの発熱の原因において、発熱量が巻線5の端面と外部冷却板3の端面との位置関係にあることが判ったからであり、そこで、例えば、外部冷却板3Aを被加熱物6の方向の種々の位置に動かして、当該外部冷却板3Aの発熱量を調べたところ、外部冷却板3Aの端面の位置を巻線5の端面の位置から被加熱物6に向けて突き出す程、当該外部冷板3Aの発熱量が急激に増加することが判った。以下、この巻線5の端面を巻線端面ともいう。
図4に水冷銅板の発熱量と水冷銅板の巻線端面からの突き出し量kとの関係を測定した結果を示す。
【0041】
図5に示すように、鉄心2の対物面から巻線5の端面までの間を、距離j=10mmにセットし、巻線5の端面からの外部冷却板3Aの端面の突き出し量kを変化させ、外部冷却板3Aの発熱量を測定したところ、図4に示される通り、
k=0mmの時を1.0とした場合、
k=−10mmの時は約0.8倍なのに対して、
k=10mmの時は約1.7倍となり、
巻線5の端面から外部冷却板3Aの端面を被加熱物6の方向、即ち鉄心2の対物面側方向へと突き出す程、外部冷却板3Aの発熱量が急激に増加したのである。
【0042】
従って、上記実施の形態2のように、外部冷却板3A、3Eの端面に対して、巻線5を、その巻線5の端面と一致させるか若しくは一致する位置から更に被加熱物6に近づくように前進させた位置に配置した構成とすることによって、外部冷却板3A、3Eの当該部位における発熱量を大幅に抑制させることができる。
又、上記実施の形態1で説明した各種形態とこの実施の形態2の構成とを組み合わせることによって、更に、全体としての鉄心2及び冷却板の発熱量を抑制することができる。
又、磁束Bの流入量に応じた性能の良い誘導加熱コイルを提供することができる。
【0043】
上記実施の形態1においては、この実施の形態2における上記構成の特徴部分について説明していないが、図1に示すように、上記実施の形態1においても、この実施の形態2の上記特徴部分を備えた構成となっている。
従って、上記実施の形態1においても、この実施の形態2の上記特徴部分の構成を組み合わせることにより、この実施の形態2と同様の作用効果は勿論、相乗効果によって、効果的に鉄心2の発熱量を抑制することができる。
【0044】
実施の形態3.
実施の形態3は、上記実施の形態1や実施の形態2において、被加熱側端面が後退させられた外部冷却板の外部冷却板側積層体部分(2A)における鋼板の積層方向を改良したものである。
即ち、被加熱側端面が後退させられた外部冷却板側の外部冷却板側積層体部分における鋼板を、鉄心を構成する他の鋼板の積層方向及び対物面に対して直交する方向に積層し、更に、こうして積層された外部冷却板側積層体部分の鋼板の対物面側に、各鋼板の被加熱物側端面を、前記の後退させられた外部冷却板側の被加熱物端面に連なるよう傾けた形に形成して傾斜状面を設けた構成としたものである。
【0045】
以下、図3に基づいて説明する。図3は、鉄心2の対物面を被加熱物の下面側に向けた状態を示す斜視図である。
図3において、3A、3Eは後退させられた外部冷却板であり、この外部冷却板3A、3Eに接する鋼板1から内側方向に積層される一定幅内の鋼板1、即ち図1及び図2において示す外部冷却板側積層体部分2Aを構成する鋼板1について、他の鋼板1の積層方向及び鉄心2の対物面に対して直交する方向に積層している。
【0046】
そして、この直交する方向に積層された外部冷却板側積層体部分2Aを構成する各鋼板1の被加熱物側端面は、鉄心2の対物面から、前記の後退された外部冷却板3A、3Eの被加熱物側端面へと連なるよう、鋼板1の幅方向の一方側肩部を削除して被加熱物側端面に傾斜を設け、当該外部冷却板側積層体部分2Aの被加熱物側即ち鉄心2の対物面側の外側端部に傾斜状面を設けている。
【0047】
この実施の形態3の傾斜状面の態様は、上記実施の形態1で説明した傾斜状態と同様に、その断面を階段状や曲線状に形成してもよい。
この場合、この実施の形態3では、傾斜状面を構成する多数の積層された鋼板1の幅方向が、鉄心2を構成する他の鋼板1の積層方向に向けられた構成とされているので、例えば、当該傾斜状面を構成する各鋼板1の幅方向の一方側の角部を適宜、直線状、階段状、或いは湾曲する曲面状等、所望のラインに容易に形成することができる。
そして、こうして形成した同一形状の鋼板1を必要な積層枚数積層するだけで、比較的容易に傾斜状面を設けることができる。
【0048】
又、この実施の形態3の傾斜状面を構成する鋼板1としてケイ素鋼板を用いることにより、当該傾斜状面が構成された外部冷却板側積層体部分2Aにおいて、熱伝導率を5倍程向上させることができる。これは、ケイ素鋼板の熱伝導率が鉛直方向よりも沿面方向の方が5倍程度良い点を利用したからである。
従って、外部冷却板3A、3Bへの熱伝導が著しく高められ、鉄心2の当該部位及びその周辺部位の冷却効果を飛躍的に向上させることができる。
【0049】
上記実施の形態3の傾斜状面は、図3に示す通り、鉄心2の両側の外部冷却板側積層体部分2Aに設けてあるが、被加熱物6の端部側に相対する位置側の外部冷却板3A(図1、図2参照)側のみに外部冷却板側積層体部分2Aに設けてもよい。
又、上記実施の形態1や実施の形態2において、この実施の形態3にしめす構成を組み合わせることにより、この実施の形態3と同様の作用効果は勿論、相乗効果によって、鉄心2全体の発熱量を効果的に抑制することができる。
【0050】
【発明の効果】
請求項1乃至請求項3の発明によれば、何れも、従来に比べて、鉄心の発熱量を低減することができ、耐久性に富み、安定した操業が行える高性能の誘導加熱コイルを提供することができる。また、対物面の傾斜状面側に内部冷却板を配設するようにしたので、鉄心の外部冷却板側積層体部分の発熱を外部冷却板と協働して効率よく抑制することができる。
【0051】
請求項2の発明によれば、被加熱物の端面側に相対する鉄心端部の発熱を効率よく抑制することができる。
【0052】
請求項3の発明によれば、鉄心両側の外部冷却板の耐久性を向上させると共に、外部冷却板側積層体部分への磁束の流入を効率よく阻止することができるので、全体として鉄心の発熱を効率よく抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の誘導加熱コイルの縦断面である。
【図2】 実施の形態2の誘導加熱コイルの縦断面である。
【図3】 実施の形態3の誘導加熱コイルを被加熱物の下面側に向けた状態を示す斜視図である。
【図4】 外部冷却板の発熱比と巻線端面からの突き出し量kとの関係を示す図である。
【図5】 鉄心を構成する鋼板及び外部冷却板の巻線からの突き出し量を示す説明図である。
【図6】 従来例1の誘導加熱コイルの断面図である。
【図7】 水冷銅板の平面図である。
【図8】 従来例2の誘導加熱コイルの断面図である。
【図9】 従来例2の鉄心の堰双方向からみた側面図である。
【符号の説明】
1 ケイ素鋼板(鋼板)、2 鉄心、2A 外部冷却板側積層体部分、3A、3E 外部水冷銅板(外部冷却板)、3B、3C、3D 内部水冷銅板(内部冷却板)、5 巻線、6 被加熱物、
g 対物距離(被加熱物の面と鉄心の対物面との距離)、
h 鉄心の対物面と外部冷却板の端面との距離)、
j 巻線の端面と鉄心の対物面との距離、
k 巻線端の面と外部冷却板の端面との距離。
Claims (3)
- 積層される鋼板の適当間隔毎に配設された内部冷却板及び積層方向両端に配設された外部冷却板を有する鉄心と、前記鉄心の周囲に巻回され交番電流が印加される巻線とを備え、前記鉄心には、当該鉄心を構成する前記の鋼板、内部及び外部冷却板の各被加熱物側端面によって構成され、被加熱物に対し平行に相対される対物面が設定された誘導加熱コイルにおいて、
前記の両外部冷却板の各被加熱物側端面は、前記対物面から後退させた位置とし、
被加熱側端面が後退させられた外部冷却板から積層方向の一定幅内に積層された鋼板の対物面側は、積層方向内側から外側に向けて並ぶ各鋼板の被加熱側端面を、対物面から次第に後退させて行き、前記の後退させられた外部冷却板の被加熱物側端面へ連なる傾斜状面とし、
前記対物面の傾斜状面側に内部冷却板が配設されている
ことを特徴とする誘導加熱コイル。 - 積層される鋼板の適当間隔毎に配設された内部冷却板及び積層方向両端に配設された外部冷却板を有する鉄心と、前記鉄心の周囲に巻回され交番電流が印加される巻線とを備え、前記鉄心には、当該鉄心を構成する前記の鋼板、内部及び外部冷却板の各被加熱物側端面によって構成され、被加熱物に対し平行に相対される対物面が設定された誘導加熱コイルにおいて、
前記被加熱物の端部側に位置する外部冷却板の被加熱物側端面は、前記対物面から後退させた位置とすると共に、
前記巻線の被加熱側端面は、後退させた位置の前記外部冷却板の被加熱側端面と一致若しくは一致する位置から前進させた位置とし、
被加熱側端面が後退させられた外部冷却板から積層方向の一定幅内に積層された鋼板の対物面側は、積層方向内側から外側に向けて並ぶ各鋼板の被加熱側端面を、対物面から次第に後退させて行き、前記の後退させられた外部冷却板の被加熱物側端面へ連なる傾斜状面とし、
前記対物面の傾斜状面側に内部冷却板が配設されている
ことを特徴とする誘導加熱コイル。 - 積層される鋼板の適当間隔毎に配設された内部冷却板及び積層方向両端に配設された外部冷却板を有する鉄心と、前記鉄心の周囲に巻回され交番電流が印加される巻線とを備え、前記鉄心には、当該鉄心を構成する前記の鋼板、内部及び外部冷却板の各被加熱物側端面によって構成され、被加熱物に対し平行に相対される対物面が設定された誘導加熱コイルにおいて、
前記の両外部冷却板の被加熱物側端面は前記対物面から後退させた位置とすると共に、
前記巻線の被加熱側端面は、後退させた位置の前記外部冷却板の被加熱側端面と一致若しくは一致する位置から前進させた位置とし、
被加熱側端面が後退させられた外部冷却板から積層方向の一定幅内に積層された鋼板の対物面側は、積層方向内側から外側に向けて並ぶ各鋼板の被加熱側端面を、対物面から次第に後退させて行き、前記の後退させられた外部冷却板の被加熱物側端面へ連なる傾斜状面とし、
前記対物面の傾斜状面側に内部冷却板が配設されている
ことを特徴とする誘導加熱コイル。
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