JP3766665B2 - ワイパーブレードゴム用ゴム組成物 - Google Patents
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- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
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Description
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、シールゴム部品およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物に関し、さらに詳しくは、特に低温柔軟性に優れたシールゴム部品およびワイパーブレードゴムを提供することができる、高速成形が可能なシールゴム部品およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(以下、EPDMと称する場合がある)は、耐熱老化性、耐候性、耐水性、耐薬品性、低温特性および柔軟性に優れているため、家庭用ジャーのパッキング、ガラスとサッシとの接合部におけるシール材、および自動車用の窓枠のシール材などのシールゴム部品用途に加えて、近年では、液圧ブレーキにおけるブレーキマスターシリンダー用カップ、ブレーキホイルシリンダー用カップ等、自動車の液圧シリンダーシール材として用いられることが知られている。
【0003】
従来より、液圧シリンダー用シール材としては、主としてスチレン・ブタジエンゴムが使用されることが知られている。しかしながら、近年、自動車の高性能化に伴い、エンジンルーム内が高温化、スチレン・ブタジエンゴムでは熱的劣化を生じ、もはや好ましいシール材とは言えなくなっている。そこで、スチレン・ブタジエンゴムに代わって最近ではEPDMが主流となってきた。
【0004】
特開平1−268743号公報に開示されているシールゴム部品用ゴム組成物もその一例であり、この公報には、
(a)エチレン含量が58〜72モル%であり、
(b)最大引張応力(RS[kgf/cm2 ]と破断点伸び(ε[%])との積が1×103 〜20×103であり、
(c)ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]が20〜50であり、
(d)ヨウ素価が5〜35である
エチレン・α- オレフィン・ジエン共重合ゴムのパーオキサイド加硫物によって形成されたシールゴム部品用ゴム組成物が記載されている。
【0005】
しかしながら、この公報で開示されているシールゴム部品は、低温柔軟性が良好ではあるが、まだ満足できるほどの低温柔軟性を有しておらず、まだ改良の余地がある。
【0006】
一方、EPDMは、その優れた耐候性を活かして自動車部品に使用されている。このような自動車部品用途のうち、ワイパーブレードゴムでは、広い温度範囲、特に低温下で良好な柔軟性を示すことが要求される。また、生産性を上げるため、ワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、高速加硫性が要求される。
【0007】
しかしながら、従来のEPDMで第3成分として使用していたエチリデンノルボルネン(以下、ENBと称する場合がある)は、その構造に起因して分子鎖の運動を妨げるので、低温での柔軟性に悪影響を与えるという問題がある。また、低温柔軟性を向上させるためにENB含量を低くすると加硫速度が遅くなり、生産性が低くなるという問題がある。
【0008】
したがって、低温柔軟性に優れたシールゴム部品およびワイパーブレードゴムを高速成形することができるシールゴム部品およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物の出現が従来より望まれている。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、EPDMが本来的に有する優れた耐熱老化性、耐候性等を損なうことなく、低温柔軟性を著しく向上させたシールゴム部品を高速成形することができるシールゴム部品用ゴム組成物を提供することを目的としている。
【0010】
また本発明は、低温柔軟性、ゴム弾性に優れたワイパーブレードゴムを高速成形することができるワイパーブレードゴム用ゴム組成物を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係る第1のシールゴム部品用ゴム組成物は、
エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)を含有してなるゴム組成物であって、
該ランダム共重合体(A)は、
(i)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が58/42〜70/30の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が10〜30の範囲にあり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.2dl/g<[η]<3.0dl/gで表わされる範囲にあり、
(iv)13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(v)13C−NMRスペクトルおよび下記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50であり、
(vi)DSCで求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である
ことを特徴としている。
【0012】
B=POE/(2PE・PO)
上記の式において、PE は、ランダム共重合体ゴム中の7-メチル-1,6-オクタジエン成分に由来するエチレン単位を除いたエチレン成分の含有モル分率であり、
PO は、ランダム共重合体ゴム中のプロピレン成分の含有モル分率であり、
POEは、ランダム共重合体ゴムにおける全ダイアド(dyad)連鎖数に対するプロピレン・エチレン連鎖数の割合である。
【0013】
また、本発明に係る第2のシールゴム部品用ゴム組成物は、
エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)を含有してなるゴム組成物であって、
該ランダム共重合体ゴム(A)が、
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む第IVB族遷移金属化合物(a)および有機アルミニウムオキシ化合物(b)からなる第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させてなり、かつ、
(i)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が58/42〜70/30の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が10〜30の範囲にあり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.2dl/g<[η]<3.0dl/gで表わされる範囲にあり、
(iv)13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(v)13C−NMRスペクトルおよび上記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50であり、
(vi)DSCで求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である
ことを特徴としている。
【0014】
本発明に係る第1のワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、
エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)を含有してなるゴム組成物であって、
該ランダム共重合体(A)は、
(i)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が60/40〜70/30の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が10〜30の範囲にあり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5dl/g<[η]<5.0dl/gで表わされる範囲にあり、
(iv)13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(v)13C−NMRスペクトルおよび上記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50であり、
(vi)DSCで求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である
ことを特徴としている。
【0015】
また、本発明に係る第2のワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、
エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)を含有してなるゴム組成物であって、
該ランダム共重合体ゴム(A)が、
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む第IVB族遷移金属化合物(a)および有機アルミニウムオキシ化合物(b)からなる第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させてなり、かつ、
(i)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が60/40〜70/30の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が10〜30の範囲にあり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5dl/g<[η]<5.0dl/gで表わされる範囲にあり、
(iv)13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(v)13C−NMRスペクトルおよび上記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50であり、
(vi)DSCで求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である
ことを特徴としている。
【0016】
上記のシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物を構成するランダム共重合体(A)の製造に際して用いられる上記第IVB族遷移金属化合物(a)としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム化合物が好ましい。
【0017】
また、上記ランダム共重合体ゴム(A)としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および有機アルミニウム化合物(c)からなる第IVB族遷移金属触媒系触媒を用いて得られるエチレン・プロピレン・7-メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムが特に好ましい。
【0018】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物について具体的に説明する。
【0019】
本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、特定のランダム共重合体ゴム(A)と加硫剤(B)と充填剤(C)とを含有してなる。
【0020】
ランダム共重合体ゴム(A)
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと、プロピレンと、7- メチル-1,6-オクタジエン(以下、MODと称する場合がある)とからなる。
【0021】
上記ランダム共重合体ゴム(A)は、特定の第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、MODとを共重合させてなり、特定の組成および特性を有する。特に、特定のジルコニウム触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、MODとを共重合させてなるランダム共重合体ゴム(A)が好ましい。このランダム共重合体ゴム(A)の製法の詳細は後述する。
【0022】
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、以下のような組成および特性を有する。
【0023】
(i)シールゴム部品用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が58/42〜70/30の範囲にある。エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、機械的強度に優れるとともに、低温柔軟性に優れたシールゴム部品を提供することができるゴム組成物が得られる。
【0024】
また、ワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が60/40〜70/30の範囲にある。エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、低温柔軟性に優れたワイパーブレードゴムを提供することができるとともに、有機過酸化物による架橋効率の優れたゴム組成物が得られる。
【0025】
(ii)シールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、ヨウ素価が10〜30、好ましくは10〜25の範囲にある。ヨウ素価が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、低温柔軟性に優れるとともに、圧縮永久歪および引張伸びの小さいシールゴム部品を提供することができる、加硫速度の速いゴム組成物が得られる。また、ヨウ素価が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、低温柔軟性に優れたワイパーブレードゴムを提供することができる、加硫速度の速いゴム組成物が得られる。
【0026】
ジエン成分がMODであるEPDM(以下、MOD−EPDMと略する場合がある)と、ジエン成分が5-エチリデン-2-ノルボルネン(以下、ENBと略する場合がある)であるEPDM(以下、ENB−EPDMと略する場合がある)とを同じヨウ素価で比較すると、MOD−EPDMの方が、加硫速度が2倍以上速い。
【0027】
なお、バナジウム触媒成分を含有する第VB族遷移金属触媒系触媒を用いて製造されるENB−EPDMは、そのジエン含量を高くしても、ジエン含量が4モル%を超えると、加硫速度の改善効果がなくなる。一方、特定のジルコニウム触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒を用いて製造されるMOD−EPDMは、そのジエン含量が7モル%になるまでジエン含量に比例して加硫速度を速めることができる。
【0028】
また、バナジウム触媒成分を含有する第VB族遷移金属触媒系触媒を用いて製造されるENB−EPDMは、加硫速度を速めるためにそのヨウ素価を増加させると、それに比例して低温柔軟性が悪化する。一方、特定のジルコニウム触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒を用いて製造されるMOD−EPDMは、そのヨウ素価に関係なく優れた低温柔軟性を有する。
【0029】
(iii) シールゴム部品用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.2dl/g<[η]<3.0dl/gで表わされる範囲にある。極限粘度[η]が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、機械的強度、低温柔軟性に優れたシールゴム部品を提供することができる、ロール加工性に優れたゴム組成物が得られる。
【0030】
また、ワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、0.5dl/g<[η]<5.0dl/gで表わされる範囲にある。極限粘度[η]が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、機械的強度、低温柔軟性に優れたワイパーブレードゴムを提供することができるゴム組成物が得られる。
【0031】
(iv)シールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下、好ましくは0.1以下、さらに好ましくは0.05以下である。
【0032】
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)の上記強度比Dは、次のような方法に従った13C−NMRスペクトルの測定結果に基づき算出する。
【0033】
すなわち、上記の13C−NMRは、日本電子(株)製JEOL−GX270NMR測定装置で、ポリマー濃度5重量%のヘキサクロロブタジエン/d6-ベンゼン=2/1体積比の混合溶液を用い、67.8MHz、25℃にてd6-ベンゼン(128ppm)を基準として行なう。
【0034】
NMRスペクトルの解析は、リンデマンアダムスの提案(Analysis Chemistry43, p1245(1971))、J.C.Randall(Review Macromolecular Chemistry Physics,C29, 201(1989))に基本的に従い、帰属した。
【0035】
ここで、上記強度比Dに関し、エチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムについて説明する。
【0036】
この場合、13C−NMRスペクトルおいて、45〜46ppmに現われるピークがTααに、また、32〜33ppmに現われるピークがTαβにそれぞれ帰属し、それぞれのピーク部分の積分値を求め、上記強度比Dを算出する。
【0037】
このようにして求められた強度比Dは、一般に、プロピレンの1,2付加反応に続き、2,1付加反応が起こる割合、またはプロピレンの2,1付加反応に続き、1,2付加反応が起こる割合を示す尺度と考えられている。したがって、この強度比D値が大きいほど、エチレンと共重合しうるモノマーの結合方向が不規則であること示している。逆に、D値が小さいほど、結合方向が規則的であることを示しており、規則性が高い方が分子鎖が集合し易く、強度などの物性が良くなる可能性がある。したがって、本発明では、D値が小さいほど好ましい。
【0038】
特定のジルコニウム等の第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンとプロピレンと7- メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させることにより、上記強度比Dが0.5以下であるエチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムを得ることができる。
【0039】
しかしながら、バナジウム触媒成分を含有する第VB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンとプロピレンと7- メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させても、上記強度比Dが0.5以下であるエチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムを得ることはできない。
【0040】
(v)シールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、13C−NMRスペクトルおよび下記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50、好ましくは1.02〜1.50、さらに好ましくは1.02〜1.45、特に好ましくは1.02〜1.40である。
【0041】
B=POE/(2PE・PO)
上記式において、PE は、ランダム共重合体ゴム中の7-メチル-1,6- オクタジエン成分に由来するエチレン単位を除いたエチレン成分の含有モル分率であり、
PO は、ランダム共重合体ゴム中のプロピレン成分の含有モル分率であり、
POEは、ランダム共重合体ゴムにおける全ダイアド(dyad)連鎖数に対するプロピレン・エチレン連鎖数の割合である。
【0042】
このB値は、共重合体鎖中における各モノマーの分布状態を表わす指標であり、J.C.Randall(Macromolecules, 15, 353(1982))、J.Ray(Macromolecules, 10,773 (1977))らの報告に基づいて、上記のように定義したPE 、PO およびPOEを求めることによって、上記式よりB値が算出される。
【0043】
上記B値が大きいほど、エチレンあるいはプロピレンのブロック的連鎖が短くなり、エチレンおよびプロピレンの分布が一様であり、共重合体の組成分布が狭いことを示している。また、B値が小さくなるほど、共重合体の組成分布が広くなり、このような共重合体を、たとえば加硫して用いようとした場合には、組成分布の狭い共重合体と比べ、強度など充分な物性が発現しないため好ましくない。
【0044】
特定の第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、7- メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させることにより、上記B値が1.00〜1.50であるエチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムを得ることができる。
【0045】
しかしながら、チタン触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンとプロピレンと7- メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させても、上記範囲のB値を有するエチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムを得ることはできない。ただし、この第IVB族遷移金属触媒系触媒には、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む第IVB族遷移金属触媒成分は含まれていないものとする。
【0046】
(vi)シールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、DSC(示差走査熱量計)で求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である。
【0047】
ガラス転移温度Tgが−53℃以下であるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、低温柔軟性に優れたシールゴム部品およびワイパーブレードゴムを提供することができるゴム組成物が得られる。
【0048】
上記のようなランダム共重合体ゴム(A)は、たとえば、上述したように、特定のジルコニウム、チタン等の第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、MODとを共重合させて製造される。
【0049】
上記第IVB族遷移金属触媒系触媒の好ましい例としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム化合物および有機アルミニウムオキシ化合物(b)からなる第IVB族遷移金属触媒系触媒と、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および有機アルミニウム化合物(c)からなる第IVB族遷移金属触媒系触媒とが挙げられる。本発明では、後者の第IVB族遷移金属触媒系触媒が特に好ましく用いられる。
【0050】
本発明で用いられるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む第IVB族遷移金属化合物(a)としては、下記の一般式[I]で表わされる第IVB族遷移金属化合物を例示することができる。
【0051】
MLX ・・・・・・[I]
上記一般式[I]において、Mは第IVB族遷移金属で、好ましくはジルコニウムであり、Lは第IVB族遷移金属に配位する配位子であって、少なくとも1個のLは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLは、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコシキ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基、SO3 R(ただし、Rはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子数1〜8の炭化水素基である。)または水素原子であり、xはジルコニウムの原子価である。
【0052】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、具体的には、
シクロペンタジエニル基;
メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、プロピルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基等のアルキル置換シクロペンタジエニル基;
インデニル基;
4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基;
フルオレニル基などが挙げられる。
【0053】
これらの基はハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。これらのジルコニウムに配位する配位子の中では、アルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。
【0054】
上記一般式[I]で表わされるジルコニウム化合物が、シクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上含む場合、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基は、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基、シリレン基、またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0055】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、上述したように、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコシキ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基、SO3 R(ただし、Rはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子数1〜8の炭化水素基である。)または水素原子などが挙げられ、具体的には、以下のような基または原子が挙げられる。
【0056】
上記の炭素原子数が1〜12の炭化水素基としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;
フェニル基、トリル基等のアリール基;
ベンジル基、ネオフィル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0057】
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
【0058】
上記アリーロキシ基としては、フェノキシ基などが挙げられる。
【0059】
上記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などの原子が挙げられる。
【0060】
上記のSO3 Rで表わされる配位子としては、p-トルエンスルホナト基、メタンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基などが挙げられる。
【0061】
上記一般式[I]で表わされる第IVB族遷移金属化合物は、たとえばジルコニウム化合物でジルコニウムの原子価が4である場合、より具体的には下記の一般式[II]で表わされる。
【0062】
R1 aR2 bR3 cR4 dM ・・・・・・[II]
(式[II]中、Mはジルコニウムであり、
R1 はシクロペンタジエニル骨格を有する基であり、
R2 、R3 およびR4 は、シクロペンタジエニル骨格を有する基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基、SO3Rまたは水素原子であり、
aは1以上の整数であり、a+b+c+d=4である。)
本発明では、上記一般式[II]において、R2 、R3 およびR4 のうち1個がシクロペンタジエニル骨格を有する基であるジルコニウム化合物、たとえば、R1 およびR2 がシクロペンタジエニル骨格を有する基であるジルコニウム化合物が好ましく用いられる。これらのシクロペンタジエニル骨格を有する基は、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基、イソプロピリデン等のアルキリデン基、シリレン基、またはジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。また、R3 およびR4 は、シクロペンタジエニル骨格を有する基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基、SO3 Rまたは水素原子である。
【0063】
以下に、上記一般式[II]で表わされるジルコニウム化合物を具体的に例示する。
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)
ビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル- フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル- メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ジメチルシリレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド。
【0064】
なお、上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は、1,2-および1,3-置換体を含み、三置換体は、1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。またプロピル、ブチルなどのアルキル基は、n-、i-、sec-、tert- などの異性体を含む。
【0065】
本発明では、上記したようなジルコニウム化合物は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0066】
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、従来公知のアルミノオキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0067】
従来公知のアルミノオキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができる。
【0068】
(1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物等の炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を添加して反応させて炭化水素の溶液として回収する方法。
【0069】
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等の媒体中で、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に直接、水や氷や水蒸気を作用させて炭化水素の溶液として回収する方法。
【0070】
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中でトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0071】
なお、このアルミノオキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノオキサン溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解してもよい。
【0072】
アルミノオキサンの製造の際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert- ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジエチルアルミニウムフェノキシド等のジアルキルアルミニウムアリーロキシド等が挙げられる。
【0073】
これらの中では、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが特に好ましい。
【0074】
また、アルミノオキサンの製造の際に用いられる有機アルミニウム化合物として、下記一般式[III]で表わされるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
【0075】
(i-C4H9)x Aly (C5H10)z ・・・・・・[III]
(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)
上記の有機アルミニウム化合物は、単独で、あるいは組み合せて用いられる。
【0076】
上記のようなアルミノオキサンの製造の際に用いられる溶媒としては、
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素、
シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、
ガソリン、灯油、軽油等の石油留分、あるいは
上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物、とりわけ、塩素化物、臭素化物等の炭化水素溶媒が挙げられる。
【0077】
その他、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち、特に芳香族炭化水素が好ましい。
本発明で用いられる有機アルミニウム化合物(c)としては、たとえば下記一般式[IV]で表わされる有機アルミニウム化合物を例示することができる。
【0078】
R5 n AlX3-n ・・・・・・[IV]
(式中、R5 は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。)
上記式[IV]において、R5 は炭素原子数1〜12の炭化水素基、たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリ−ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0079】
このような有機アルミニウム化合物の具体例としては、以下のような化合物が挙げられる。
【0080】
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニム;
イソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド。
【0081】
また、有機アルミニウム化合物(c)として、下記の式[V]で表わされる化合物を用いることもできる。
【0082】
R5 nAlY3-n ・・・・・・[V]
(式中、R5 は上記と同様であり、
Yは−OR6 基、−OSiR7 3 基、−OAlR8 2基、−NR9 2基、−SiR10 3基または−N(R11)AlR12 2 基であり、
nは1〜2であり、
R6 、R7 、R8 およびR12はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等であり、
R9 は水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基等であり、
R10およびR11はメチル基、エチル基等である。)
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
【0083】
(i)R5 nAl(OR6)3-nで表わされる化合物、たとえば
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド等。
【0084】
(ii)R5 nAl(OSiR7 3)3-nで表わされる化合物、たとえば
(C2H5)2Al(OSi(CH3)3)、
(iso-C4H9)2Al(OSi(CH3)3)、
(iso-C4H9)2Al(OSi(C2H5)3 )等。
【0085】
(iii) R5 nAl(OAlR8 2)3-n で表わされる化合物、たとえば
(C2H5)2Al(OAl(C2H5)2)、
(iso-C4H9)2Al(OAl(iso-C4H9)2)等。
【0086】
(iv)R5 nAl(NR9 2)3-n で表わされる化合物、たとえば
(CH3)2Al(N(C2H5)2)、
(C2H5)2Al(NH(CH3))、
(CH3)2Al(NH(C2H5))、
(C2H5)2Al[N(Si(CH3)3)2]、
(iso-C4H9)2Al[N(Si(CH3)3)2 ]等。
【0087】
(v)R5 nAl(SiR10 3)3-n で表わされる化合物、たとえば
(iso-C4H9)2Al(Si(CH3)3)等。
【0088】
【化1】
【0089】
上記一般式[IV]、[V]で表わされる有機アルミニウム化合物の中では、R5 3Al、R5 nAl(OR6)3-n 、R5 nAl(OAlR8 2)3-n で表わされる有機アルミニウム化合物を好適な例として挙げることができ、R5 がイソアルキル基であり、n=2である化合物が特に好ましい。これらの有機アルミニウム化合物は、単独で、または2種以上混合して用いることもできる。
【0090】
本発明で用いられる特定の第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒は、上記のようなシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム等の第IVB族遷移金属化合物(a)、有機アルミニウムオキシ化合物(b)、および必要に応じて有機アルミニウム化合物(c)とから形成される。
【0091】
本発明では、上記第IVB族遷移金属化合物(a)としてのジルコニウム化合物は、重合容積1リットル当り、ジルコニウム原子に換算して、通常、約0.00005〜0.1ミリモル、好ましくは約0.0001〜0.05ミリモルの量で用いられる。
【0092】
また、有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、ジルコニウム原子1モルに対して、有機アルミニウムオキシ化合物(b)中のアルミニウム原子が、通常、約1〜10,000モル、好ましくは10〜5,000モルとなるような量で用いられる。
【0093】
さらに、有機アルミニウム化合物(c)は、有機アルミニウムオキシ化合物(b)中のアルミニウム原子1モルに対して、通常、約0〜200モル、好ましくは約0〜100モルとなるような量で用いられる。
【0094】
本発明では、エチレンと、プロピレンと、7- メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させる際に、上記第IVB族遷移金属触媒系触媒を構成する上記第IVB族遷移金属化合物(a)、有機アルミニウムオキシ化合物(b)、さらには有機アルミニウム化合物(c)をそれぞれ別個に重合反応器に供給してもよいし、また、この共重合反応を行なう前に、予め上記第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒を調製してもよい。
【0095】
図1に、本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)の製造の際に用いられるジルコニウム触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の調製工程を示す。
【0096】
上記ジルコニウム等の第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の調製に用いられる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、
プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;
シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;
エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物等を挙げることができる。
【0097】
上記第IVB族遷移金属化合物(a)、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および有機アルミニウム化合物(c)を混合接触させる際の混合温度は、通常、−100〜200℃、好ましくは−70〜100℃の範囲であることが望ましい。
【0098】
上記共重合は、温度が通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃、特に好ましくは20〜120℃で、圧力が通常、大気圧〜100kg/cm2 、好ましくは大気圧〜50kg/cm2 、特に好ましくは大気圧〜30kg/cm2 の条件下で行なわれる。
【0099】
上記ランダム共重合体ゴムの分子量は、重合温度などの重合条件を変更することにより調節することができ、また、水素(分子量調節剤)の使用量を制御することにより調節することもできる。
【0100】
重合は、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうことができるが、連続式で行なうことが好ましい。さらに、重合を反応条件を変えて2段以上に分けて行なうこともできる。
【0101】
重合直後の生成ポリマーは、従来公知の分離・回収方法により、重合溶液から回収し乾燥して、固体状のランダム共重合体ゴム(A)を得る。
【0102】
加硫剤(B)
本発明で用いられる加硫剤(B)としては、イオウ、イオウ化合物、有機過酸化物が挙げられる。
【0103】
イオウとしては、具体的には、粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどが挙げられる。
【0104】
イオウ化合物としては、具体的には、塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物などが挙げられる。また、加硫温度で活性イオウを放出して加硫するイオウ化合物、たとえばモルフォリンジスルフィド、アルキルフェノ−ルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなども使用することができる。
【0105】
本発明においては、イオウないしイオウ化合物は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部の割合で用いられる。
【0106】
また、加硫剤(B)としてイオウないしイオウ化合物を使用するときは、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤としては、具体的には、
N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾ−ル、2-(2,4- ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾ−ル、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾ−ル、ジベンゾチアジルジスルフィドなどのチアゾ−ル系化合物;
ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレ−トなどのグアニジン化合物;
アセトアルデヒド- アニリン反応物、ブチルアルデヒド- アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミンまたはアルデヒド- アンモニア系化合物;
2- メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物;
チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリアなどのチオユリア系化合物;
テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系化合物;
ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオ酸塩系化合物;
ジブチルキサントゲン酸亜鉛などのザンテ−ト系化合物;
亜鉛華などの化合物を挙げることができる。
【0107】
本発明においては、加硫促進剤は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の割合で用いられる。
【0108】
有機過酸化物としては、通常ゴムの過酸化物加硫に使用される化合物であればよい。たとえば、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルヒドロパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-モノ(t-ブチルパーオキシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。なかでも、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。これらの有機過酸化物は、1種または2種以上組合わせて用いられる。
【0109】
本発明においては、有機過酸化物は、ランダム共重合体ゴム(A)100gに対して、3×10-4〜5×10-2モルの割合で使用されるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0110】
加硫剤(B)として有機過酸化物を使用するときは、加硫助剤を併用することが好ましい。加硫助剤としては、具体的には、イオウ;p-キノンジオキシムなどのキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコ−ルジメタクリレ−トなどのメタクリレ−ト系化合物;ジアリルフタレ−ト、トリアリルシアヌレ−トなどのアリル系化合物;その他マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0111】
本発明では、加硫剤(B)として有機過酸化物を用いるのが好ましい。加硫剤(B)としてイオウないしイオウ化合物を用いるよりも、有機過酸化物を用いた方が、より低温柔軟性に優れたシールゴム部品、ワイパーブレードゴムが得られる。
【0112】
充填剤(C)
本発明で用いられる充填剤(C)には、補強性のある充填剤と補強性のない充填剤とがある。
【0113】
補強性のある充填剤は、加硫ゴムの引張り強さ、引裂き強さ、耐摩耗性などの機械的性質を高める効果がある。このような充填剤としては、具体的には、シランカップリング剤などによる表面処理が施されていてもよいカ−ボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、微粉タルクなどが挙げられる。本発明においては、通常ゴムに使用されるカーボンブラックならば、その種類は問わず、全て用いることができる。
【0114】
また、補強性のない充填剤は、物性にあまり影響を与えることなく、ゴム製品の硬さを高めたり、コストを引き下げることを目的として使用される。このような充填剤としては、具体的には、タルク、クレ−、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0115】
本発明においては、充填剤(C)は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、20〜200重量部、好ましくは50〜150重量部の割合で用いられる。
【0116】
本発明に係るシールゴム部品用またはワイパーブレードゴム用ゴム組成物中に、上記のランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)に加えて、上述したように加硫促進剤、加硫助剤を配合することができるが、そのほかに酸化防止剤、加工助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、可塑剤およびその他のゴム用配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0117】
酸化防止剤としては、具体的には、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、N,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、4,4'-チオ-ビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、2-メルカプトベンゾイミダゾール、ジブチル-ジチオカルバミン酸ニッケルなどが挙げられる。
【0118】
加工助剤としては、通常ゴムに使用される加工助剤が用いられる。加工助剤の例としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、その他上記酸のエステル、高級脂肪酸およびその塩ならびにエステルなどが挙げられる。
【0119】
本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、たとえば次のような方法で調製することができる。
【0120】
すなわち、本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、バンバリ−ミキサ−のようなミキサ−類によりランダム共重合体ゴム(A)、充填剤(C)、可塑剤などの必要な添加剤を、80〜170℃の温度で約3〜10分間混練した後、オ−プンロ−ルのようなロ−ル類を使用して、加硫剤(B)、必要に応じて酸化防止剤、加硫促進剤または加硫助剤を追加混合し、ロ−ル温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして得られるゴム組成物は、リボン状またはシ−ト状のゴム配合物である。
【0121】
また、本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、ランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)、充填剤(C)および上記の添加剤を約80〜100℃に加熱された押出機に直接供給し、滞留時間を約0.5〜5分間とって、造粒し、ペレット状に調製することもできる。
【0122】
【発明の効果】
本発明で用いられるエチレンとプロピレンと7- メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンとプロピレンとのモル比、ヨウ素価、極限粘度[η]、13C−NMRスペクトルにおけるTαβとTααとの強度比D、B値およびガラス転移温度Tgが特定の範囲にあるので、低温柔軟性に優れた加硫ゴムを提供することができ、しかも、加硫速度が速い。
【0123】
また、このランダム共重合体ゴム(A)は、耐候性、耐オゾン性および耐熱老化性等の特性に優れている。
【0124】
本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物は、上記ランダム共重合体ゴム(A)と、加硫剤(B)と、充填剤(C)とを含有してなるので、耐熱老化性、耐候性などに優れるとともに、低温柔軟性に優れたシールゴム部品を高速成形することができる。特に、加硫剤(B)として有機過酸化物を用いたシールゴム部品用ゴム組成物は、EPDMが本来有している耐熱老化性、耐候性、耐水性、耐薬品性等の諸物性および加工性を損なうことなく、低温柔軟性を著しく改善したシールゴム部品を提供することができる。
【0125】
上記のような効果を有する、本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物は、液圧ブレーキにおけるブレーキマスターシリンダー用カップ、ブレーキホイルシリンダー用カップ、ブレーキ液圧制御用シール材およびブレーキ用O- リング、クラッチにおけるクラッチシリンダー用カップなどの用途に広く利用することができる。
【0126】
また、本発明に係るワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、上記ランダム共重合体ゴム(A)と、加硫剤(B)と、充填剤(C)とを含有してなるので、低温柔軟性に優れたワイパーブレードゴムを高速成形することができる。
【0127】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0128】
なお、実施例および比較例におけるエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムおよび加硫ゴムの評価試験方法は、以下のとおりである。
【0129】
[1]未加硫ゴムの物性試験
未加硫ゴムの物性試験は、JIS K 6300に準拠して行ない、未加硫ゴムについて、日本合成ゴム(株)製のキュラストメーター(CURELASTMETER)3型を用いて170℃でトルク変化を測定し、t90[分]を求め加硫速度とした。t90が短時間ほど加硫速度が速いことを示す。
【0130】
[2]Tg
エチレン・α- オレフィン・ジエン共重合体ゴムのTgは、示差走査熱量計(DSC)で測定した。このガラス転移温度は、エチレン・α- オレフィン・ジエン共重合体ゴムの低温柔軟性の指標となる。
【0131】
・DSCによるTgの測定における温度サイクル
試料を常温(25℃)から20℃/minの速度で180℃まで昇温して2分間、180℃に保った後、この試料を−20℃/minの速度で−80℃まで冷却して2分間、−80℃に保ち、その後再びこの試料を20℃/minの速度で昇温して試料のTgを求めた。
【0132】
[3]ロール加工性試験
ロール幅20インチの8インチオープンロールで加硫剤、加硫助剤を追加・混練時にコンパウンドのロールへの巻付き状態を肉眼で観察した。
【0133】
[4]引張り試験
加硫ゴムシートを打抜いてJIS K 6301(1989年)に記載されている3号形ダンベル試験片を作製し、該試験片を用いて同JIS K 6301第3項に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、引張破断点応力TB および引張破断点伸びEB を測定した。
【0134】
[5]硬さ試験
硬さ試験は、JIS K 6301(1989年)に準拠して、スプリング硬さHS(JIS A硬度)を測定した。
【0135】
[6]圧縮永久歪試験
圧縮永久歪試験は、JIS K 6301(1989年)に準拠して行ない、シールゴム部品用ゴム組成物の加硫ゴムについては高温圧縮永久歪(CS)を求め、またワイパーブレードゴム用ゴム組成物の加硫ゴムについては低温圧縮永久歪(CS)を求めた。低温圧縮永久歪が小さいほど低温柔軟性は良好である。
【0136】
シールゴム部品用ゴム組成物の試験条件
加熱温度:150℃
時間:22時間
荷重:10.5kg
ワイパーブレードゴム用ゴム組成物の試験条件
冷却温度:−22℃
時間:22時間
荷重:10.5kg
[7]低温ねじり試験(ゲ−マンねじり試験)
低温ねじり試験は、JIS K 6301に準じて行ない、T2 [℃]、凍結温度[℃]を求めた。これらの温度は、加硫ゴムの低温柔軟性の指標となる。T2が低いほど、低温柔軟性は良好である。
【0137】
(試験条件)
ねじりワイヤ−のねじれ定数:0.5gf・cm/度
浸漬時間:10分
ねじり時間:5秒
【0138】
【参考例1】
攪拌翼を備えた15リットルのステンレス製重合器を用いて、連続的にエチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとの共重合を行なった。
【0139】
すなわち、まず重合器上部から重合器内に、脱水精製したヘキサン、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(濃度0.05ミリモル/リットル)、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度17ミリモル/リットル)、メチルアルモキサンのヘキサンスラリー溶液(アルミニウム原子に換算して3ミリグラム原子/リットル)、7-メチル-1,6-オクタジエンのヘキサン溶液(濃度0.25リットル/リットル)をそれぞれ連続的に供給した。
【0140】
また、重合器上部から重合器内に、エチレン、プロピレンをそれぞれ連続的に供給した。この共重合反応は、50℃で行なった。
【0141】
次いで、重合器下部から抜き出した重合溶液にメタノールを少量添加して、重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて共重合体を溶媒から分離した後、100℃、減圧(100mmHg)の条件下に、24時間乾燥した。
【0142】
以上の操作で、エチレン・プロピレン・7-メチル-1,6-オクタジエン共重合体が得られた。
【0143】
得られた共重合体[以下、MOD−EPDM(1)と称する場合がある]は、ゴムであって、エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が63/37であり、ヨウ素価が20であり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.6dl/gであった。また、13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比Dは、0.01未満であり、B値は1.14であり、ガラス転移温度は−61℃であった。
【0144】
【参考例2〜12】
参考例1と同様の操作を行なって、第1表および第2表に示すエチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴム[以下、MOD−EPDM(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(11)、(12)と称する場合がある]を得た。
[シールゴム部品用ゴム組成物についての実施例および比較例]
【0145】
【実施例1】
参考例1で得られたMOD−EPDM(1)100重量部と、亜鉛華5重量部と、ステアリン酸1重量部と、MAFカーボンブラック[充填剤、東海カーボン(株)製、シースト116]50重量部とを容量1.7リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で6分間混練した。
【0146】
このようにして得られた混練物に、ジクミルパーオキサイド[日本油脂(株)製]3重量部およびイオウ[加硫助剤]0.1重量部を加えてロール幅20インチの8インチロール(前ロールおよび後ロールの温度40℃)で15分間混練した後、シート状に分出して、170℃で10分(圧縮永久歪測定用は170℃で20分)、150kg/cm2 プレス加硫して、厚み2mmの加硫シートを調製した。
【0147】
得られた加硫シートについて上記物性試験等を上記方法に従って行なった。
【0148】
また、上記加硫を行なう前の未加硫ゴム組成物について、上記方法に従って、t90を求めた。
【0149】
結果を第1表に示す。
【0150】
【実施例2,3】
実施例1において、MOD−EPDM(1)の代わりに参考例2、3で得られたMOD−EPDM(2)、MOD−EPDM(3)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0151】
結果を第1表に示す。
【0152】
【比較例1】
実施例1において、MOD−EPDM(1)の代わりに第1表に示したENB−EPDM(1)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0153】
結果を第1表に示す。
【0154】
【比較例2,3】
実施例1において、MOD−EPDM(1)の代わりに参考例4、5で得られたMOD−EPDM(4)、MOD−EPDM(5)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0155】
結果を第1表に示す。
【0156】
【比較例4】
実施例1において、MOD−EPDM(1)の代わりに第1表に示したENB−EPDM(2)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0157】
結果を第1表に示す。
【0158】
【比較例5〜8】
実施例1において、MOD−EPDM(1)の代わりに参考例6、7、8、9で得られたMOD−EPDM(6)、MOD−EPDM(7)、MOD−EPDM(8)、MOD−EPDM(9)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0159】
結果を第1表に示す。
【0160】
【表1】
【0161】
【表2】
【0162】
[ワイパーブレードゴム用ゴム組成物についての実施例および比較例]
【0163】
【実施例4】
参考例10で得られたMOD−EPDM(10)100重量部と、亜鉛華5重量部と、ステアリン酸1重量部と、FEFカーボンブラック70重量部と、セバシン酸ジオクチル[可塑剤]30重量部とを容量4.3リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で5分間混練した。
【0164】
このようにして得られた混練物に、ジクミルパーオキサイド(含量40%)7.0重量部およびトリメチロールプロパントリメタクリレート1.5重量部を加えて8インチミキシングロール(前ロールおよび後ロールの温度50℃)で混練した後、シート状に分出して、170℃で12分プレス加硫して、厚み2mmの加硫シートを調製した。
【0165】
得られた加硫シートについて上記物性試験等を上記方法に従って行なった。
【0166】
また、上記加硫を行なう前の未加硫ゴム組成物について、上記方法に従って、t90を求めた。
【0167】
結果を第2表に示す。
【0168】
【実施例5,6】
実施例4において、MOD−EPDM(10)の代わりにそれぞれ参考例11、12で得られたMOD−EPDM(11)、MOD−EPDM(12)を用いた以外は、実施例4と同様に行なった。
【0169】
結果を第2表に示す。
【0170】
【比較例9〜11】
実施例4において、MOD−EPDM(10)の代わりにそれぞれ第2表に示したENB−EPDM(3)、ENB−EPDM(4)、ENB−EPDM(5)を用いた以外は、実施例4と同様に行なった。
【0171】
結果を第2表に示す。
【0172】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明で用いられるエチレンと、プロピレンと、7- メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)を製造する際に用いられるオレフィン重合用触媒の調製工程の一例を示す説明図である。
【発明の技術分野】
本発明は、シールゴム部品およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物に関し、さらに詳しくは、特に低温柔軟性に優れたシールゴム部品およびワイパーブレードゴムを提供することができる、高速成形が可能なシールゴム部品およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(以下、EPDMと称する場合がある)は、耐熱老化性、耐候性、耐水性、耐薬品性、低温特性および柔軟性に優れているため、家庭用ジャーのパッキング、ガラスとサッシとの接合部におけるシール材、および自動車用の窓枠のシール材などのシールゴム部品用途に加えて、近年では、液圧ブレーキにおけるブレーキマスターシリンダー用カップ、ブレーキホイルシリンダー用カップ等、自動車の液圧シリンダーシール材として用いられることが知られている。
【0003】
従来より、液圧シリンダー用シール材としては、主としてスチレン・ブタジエンゴムが使用されることが知られている。しかしながら、近年、自動車の高性能化に伴い、エンジンルーム内が高温化、スチレン・ブタジエンゴムでは熱的劣化を生じ、もはや好ましいシール材とは言えなくなっている。そこで、スチレン・ブタジエンゴムに代わって最近ではEPDMが主流となってきた。
【0004】
特開平1−268743号公報に開示されているシールゴム部品用ゴム組成物もその一例であり、この公報には、
(a)エチレン含量が58〜72モル%であり、
(b)最大引張応力(RS[kgf/cm2 ]と破断点伸び(ε[%])との積が1×103 〜20×103であり、
(c)ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]が20〜50であり、
(d)ヨウ素価が5〜35である
エチレン・α- オレフィン・ジエン共重合ゴムのパーオキサイド加硫物によって形成されたシールゴム部品用ゴム組成物が記載されている。
【0005】
しかしながら、この公報で開示されているシールゴム部品は、低温柔軟性が良好ではあるが、まだ満足できるほどの低温柔軟性を有しておらず、まだ改良の余地がある。
【0006】
一方、EPDMは、その優れた耐候性を活かして自動車部品に使用されている。このような自動車部品用途のうち、ワイパーブレードゴムでは、広い温度範囲、特に低温下で良好な柔軟性を示すことが要求される。また、生産性を上げるため、ワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、高速加硫性が要求される。
【0007】
しかしながら、従来のEPDMで第3成分として使用していたエチリデンノルボルネン(以下、ENBと称する場合がある)は、その構造に起因して分子鎖の運動を妨げるので、低温での柔軟性に悪影響を与えるという問題がある。また、低温柔軟性を向上させるためにENB含量を低くすると加硫速度が遅くなり、生産性が低くなるという問題がある。
【0008】
したがって、低温柔軟性に優れたシールゴム部品およびワイパーブレードゴムを高速成形することができるシールゴム部品およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物の出現が従来より望まれている。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、EPDMが本来的に有する優れた耐熱老化性、耐候性等を損なうことなく、低温柔軟性を著しく向上させたシールゴム部品を高速成形することができるシールゴム部品用ゴム組成物を提供することを目的としている。
【0010】
また本発明は、低温柔軟性、ゴム弾性に優れたワイパーブレードゴムを高速成形することができるワイパーブレードゴム用ゴム組成物を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係る第1のシールゴム部品用ゴム組成物は、
エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)を含有してなるゴム組成物であって、
該ランダム共重合体(A)は、
(i)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が58/42〜70/30の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が10〜30の範囲にあり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.2dl/g<[η]<3.0dl/gで表わされる範囲にあり、
(iv)13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(v)13C−NMRスペクトルおよび下記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50であり、
(vi)DSCで求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である
ことを特徴としている。
【0012】
B=POE/(2PE・PO)
上記の式において、PE は、ランダム共重合体ゴム中の7-メチル-1,6-オクタジエン成分に由来するエチレン単位を除いたエチレン成分の含有モル分率であり、
PO は、ランダム共重合体ゴム中のプロピレン成分の含有モル分率であり、
POEは、ランダム共重合体ゴムにおける全ダイアド(dyad)連鎖数に対するプロピレン・エチレン連鎖数の割合である。
【0013】
また、本発明に係る第2のシールゴム部品用ゴム組成物は、
エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)を含有してなるゴム組成物であって、
該ランダム共重合体ゴム(A)が、
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む第IVB族遷移金属化合物(a)および有機アルミニウムオキシ化合物(b)からなる第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させてなり、かつ、
(i)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が58/42〜70/30の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が10〜30の範囲にあり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.2dl/g<[η]<3.0dl/gで表わされる範囲にあり、
(iv)13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(v)13C−NMRスペクトルおよび上記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50であり、
(vi)DSCで求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である
ことを特徴としている。
【0014】
本発明に係る第1のワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、
エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)を含有してなるゴム組成物であって、
該ランダム共重合体(A)は、
(i)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が60/40〜70/30の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が10〜30の範囲にあり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5dl/g<[η]<5.0dl/gで表わされる範囲にあり、
(iv)13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(v)13C−NMRスペクトルおよび上記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50であり、
(vi)DSCで求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である
ことを特徴としている。
【0015】
また、本発明に係る第2のワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、
エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)を含有してなるゴム組成物であって、
該ランダム共重合体ゴム(A)が、
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む第IVB族遷移金属化合物(a)および有機アルミニウムオキシ化合物(b)からなる第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させてなり、かつ、
(i)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が60/40〜70/30の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が10〜30の範囲にあり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5dl/g<[η]<5.0dl/gで表わされる範囲にあり、
(iv)13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(v)13C−NMRスペクトルおよび上記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50であり、
(vi)DSCで求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である
ことを特徴としている。
【0016】
上記のシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物を構成するランダム共重合体(A)の製造に際して用いられる上記第IVB族遷移金属化合物(a)としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム化合物が好ましい。
【0017】
また、上記ランダム共重合体ゴム(A)としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および有機アルミニウム化合物(c)からなる第IVB族遷移金属触媒系触媒を用いて得られるエチレン・プロピレン・7-メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムが特に好ましい。
【0018】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物について具体的に説明する。
【0019】
本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、特定のランダム共重合体ゴム(A)と加硫剤(B)と充填剤(C)とを含有してなる。
【0020】
ランダム共重合体ゴム(A)
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと、プロピレンと、7- メチル-1,6-オクタジエン(以下、MODと称する場合がある)とからなる。
【0021】
上記ランダム共重合体ゴム(A)は、特定の第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、MODとを共重合させてなり、特定の組成および特性を有する。特に、特定のジルコニウム触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、MODとを共重合させてなるランダム共重合体ゴム(A)が好ましい。このランダム共重合体ゴム(A)の製法の詳細は後述する。
【0022】
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、以下のような組成および特性を有する。
【0023】
(i)シールゴム部品用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が58/42〜70/30の範囲にある。エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、機械的強度に優れるとともに、低温柔軟性に優れたシールゴム部品を提供することができるゴム組成物が得られる。
【0024】
また、ワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が60/40〜70/30の範囲にある。エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、低温柔軟性に優れたワイパーブレードゴムを提供することができるとともに、有機過酸化物による架橋効率の優れたゴム組成物が得られる。
【0025】
(ii)シールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、ヨウ素価が10〜30、好ましくは10〜25の範囲にある。ヨウ素価が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、低温柔軟性に優れるとともに、圧縮永久歪および引張伸びの小さいシールゴム部品を提供することができる、加硫速度の速いゴム組成物が得られる。また、ヨウ素価が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、低温柔軟性に優れたワイパーブレードゴムを提供することができる、加硫速度の速いゴム組成物が得られる。
【0026】
ジエン成分がMODであるEPDM(以下、MOD−EPDMと略する場合がある)と、ジエン成分が5-エチリデン-2-ノルボルネン(以下、ENBと略する場合がある)であるEPDM(以下、ENB−EPDMと略する場合がある)とを同じヨウ素価で比較すると、MOD−EPDMの方が、加硫速度が2倍以上速い。
【0027】
なお、バナジウム触媒成分を含有する第VB族遷移金属触媒系触媒を用いて製造されるENB−EPDMは、そのジエン含量を高くしても、ジエン含量が4モル%を超えると、加硫速度の改善効果がなくなる。一方、特定のジルコニウム触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒を用いて製造されるMOD−EPDMは、そのジエン含量が7モル%になるまでジエン含量に比例して加硫速度を速めることができる。
【0028】
また、バナジウム触媒成分を含有する第VB族遷移金属触媒系触媒を用いて製造されるENB−EPDMは、加硫速度を速めるためにそのヨウ素価を増加させると、それに比例して低温柔軟性が悪化する。一方、特定のジルコニウム触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒を用いて製造されるMOD−EPDMは、そのヨウ素価に関係なく優れた低温柔軟性を有する。
【0029】
(iii) シールゴム部品用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.2dl/g<[η]<3.0dl/gで表わされる範囲にある。極限粘度[η]が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、機械的強度、低温柔軟性に優れたシールゴム部品を提供することができる、ロール加工性に優れたゴム組成物が得られる。
【0030】
また、ワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、0.5dl/g<[η]<5.0dl/gで表わされる範囲にある。極限粘度[η]が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、機械的強度、低温柔軟性に優れたワイパーブレードゴムを提供することができるゴム組成物が得られる。
【0031】
(iv)シールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下、好ましくは0.1以下、さらに好ましくは0.05以下である。
【0032】
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)の上記強度比Dは、次のような方法に従った13C−NMRスペクトルの測定結果に基づき算出する。
【0033】
すなわち、上記の13C−NMRは、日本電子(株)製JEOL−GX270NMR測定装置で、ポリマー濃度5重量%のヘキサクロロブタジエン/d6-ベンゼン=2/1体積比の混合溶液を用い、67.8MHz、25℃にてd6-ベンゼン(128ppm)を基準として行なう。
【0034】
NMRスペクトルの解析は、リンデマンアダムスの提案(Analysis Chemistry43, p1245(1971))、J.C.Randall(Review Macromolecular Chemistry Physics,C29, 201(1989))に基本的に従い、帰属した。
【0035】
ここで、上記強度比Dに関し、エチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムについて説明する。
【0036】
この場合、13C−NMRスペクトルおいて、45〜46ppmに現われるピークがTααに、また、32〜33ppmに現われるピークがTαβにそれぞれ帰属し、それぞれのピーク部分の積分値を求め、上記強度比Dを算出する。
【0037】
このようにして求められた強度比Dは、一般に、プロピレンの1,2付加反応に続き、2,1付加反応が起こる割合、またはプロピレンの2,1付加反応に続き、1,2付加反応が起こる割合を示す尺度と考えられている。したがって、この強度比D値が大きいほど、エチレンと共重合しうるモノマーの結合方向が不規則であること示している。逆に、D値が小さいほど、結合方向が規則的であることを示しており、規則性が高い方が分子鎖が集合し易く、強度などの物性が良くなる可能性がある。したがって、本発明では、D値が小さいほど好ましい。
【0038】
特定のジルコニウム等の第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンとプロピレンと7- メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させることにより、上記強度比Dが0.5以下であるエチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムを得ることができる。
【0039】
しかしながら、バナジウム触媒成分を含有する第VB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンとプロピレンと7- メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させても、上記強度比Dが0.5以下であるエチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムを得ることはできない。
【0040】
(v)シールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、13C−NMRスペクトルおよび下記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50、好ましくは1.02〜1.50、さらに好ましくは1.02〜1.45、特に好ましくは1.02〜1.40である。
【0041】
B=POE/(2PE・PO)
上記式において、PE は、ランダム共重合体ゴム中の7-メチル-1,6- オクタジエン成分に由来するエチレン単位を除いたエチレン成分の含有モル分率であり、
PO は、ランダム共重合体ゴム中のプロピレン成分の含有モル分率であり、
POEは、ランダム共重合体ゴムにおける全ダイアド(dyad)連鎖数に対するプロピレン・エチレン連鎖数の割合である。
【0042】
このB値は、共重合体鎖中における各モノマーの分布状態を表わす指標であり、J.C.Randall(Macromolecules, 15, 353(1982))、J.Ray(Macromolecules, 10,773 (1977))らの報告に基づいて、上記のように定義したPE 、PO およびPOEを求めることによって、上記式よりB値が算出される。
【0043】
上記B値が大きいほど、エチレンあるいはプロピレンのブロック的連鎖が短くなり、エチレンおよびプロピレンの分布が一様であり、共重合体の組成分布が狭いことを示している。また、B値が小さくなるほど、共重合体の組成分布が広くなり、このような共重合体を、たとえば加硫して用いようとした場合には、組成分布の狭い共重合体と比べ、強度など充分な物性が発現しないため好ましくない。
【0044】
特定の第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、7- メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させることにより、上記B値が1.00〜1.50であるエチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムを得ることができる。
【0045】
しかしながら、チタン触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンとプロピレンと7- メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させても、上記範囲のB値を有するエチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴムを得ることはできない。ただし、この第IVB族遷移金属触媒系触媒には、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む第IVB族遷移金属触媒成分は含まれていないものとする。
【0046】
(vi)シールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、DSC(示差走査熱量計)で求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である。
【0047】
ガラス転移温度Tgが−53℃以下であるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、低温柔軟性に優れたシールゴム部品およびワイパーブレードゴムを提供することができるゴム組成物が得られる。
【0048】
上記のようなランダム共重合体ゴム(A)は、たとえば、上述したように、特定のジルコニウム、チタン等の第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、MODとを共重合させて製造される。
【0049】
上記第IVB族遷移金属触媒系触媒の好ましい例としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム化合物および有機アルミニウムオキシ化合物(b)からなる第IVB族遷移金属触媒系触媒と、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および有機アルミニウム化合物(c)からなる第IVB族遷移金属触媒系触媒とが挙げられる。本発明では、後者の第IVB族遷移金属触媒系触媒が特に好ましく用いられる。
【0050】
本発明で用いられるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む第IVB族遷移金属化合物(a)としては、下記の一般式[I]で表わされる第IVB族遷移金属化合物を例示することができる。
【0051】
MLX ・・・・・・[I]
上記一般式[I]において、Mは第IVB族遷移金属で、好ましくはジルコニウムであり、Lは第IVB族遷移金属に配位する配位子であって、少なくとも1個のLは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLは、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコシキ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基、SO3 R(ただし、Rはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子数1〜8の炭化水素基である。)または水素原子であり、xはジルコニウムの原子価である。
【0052】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、具体的には、
シクロペンタジエニル基;
メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、プロピルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基等のアルキル置換シクロペンタジエニル基;
インデニル基;
4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基;
フルオレニル基などが挙げられる。
【0053】
これらの基はハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。これらのジルコニウムに配位する配位子の中では、アルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。
【0054】
上記一般式[I]で表わされるジルコニウム化合物が、シクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上含む場合、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基は、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基、シリレン基、またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0055】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、上述したように、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコシキ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基、SO3 R(ただし、Rはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子数1〜8の炭化水素基である。)または水素原子などが挙げられ、具体的には、以下のような基または原子が挙げられる。
【0056】
上記の炭素原子数が1〜12の炭化水素基としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;
フェニル基、トリル基等のアリール基;
ベンジル基、ネオフィル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0057】
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
【0058】
上記アリーロキシ基としては、フェノキシ基などが挙げられる。
【0059】
上記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などの原子が挙げられる。
【0060】
上記のSO3 Rで表わされる配位子としては、p-トルエンスルホナト基、メタンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基などが挙げられる。
【0061】
上記一般式[I]で表わされる第IVB族遷移金属化合物は、たとえばジルコニウム化合物でジルコニウムの原子価が4である場合、より具体的には下記の一般式[II]で表わされる。
【0062】
R1 aR2 bR3 cR4 dM ・・・・・・[II]
(式[II]中、Mはジルコニウムであり、
R1 はシクロペンタジエニル骨格を有する基であり、
R2 、R3 およびR4 は、シクロペンタジエニル骨格を有する基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基、SO3Rまたは水素原子であり、
aは1以上の整数であり、a+b+c+d=4である。)
本発明では、上記一般式[II]において、R2 、R3 およびR4 のうち1個がシクロペンタジエニル骨格を有する基であるジルコニウム化合物、たとえば、R1 およびR2 がシクロペンタジエニル骨格を有する基であるジルコニウム化合物が好ましく用いられる。これらのシクロペンタジエニル骨格を有する基は、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基、イソプロピリデン等のアルキリデン基、シリレン基、またはジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。また、R3 およびR4 は、シクロペンタジエニル骨格を有する基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基、SO3 Rまたは水素原子である。
【0063】
以下に、上記一般式[II]で表わされるジルコニウム化合物を具体的に例示する。
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)
ビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル- フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル- メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ジメチルシリレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド。
【0064】
なお、上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は、1,2-および1,3-置換体を含み、三置換体は、1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。またプロピル、ブチルなどのアルキル基は、n-、i-、sec-、tert- などの異性体を含む。
【0065】
本発明では、上記したようなジルコニウム化合物は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0066】
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、従来公知のアルミノオキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0067】
従来公知のアルミノオキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができる。
【0068】
(1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物等の炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を添加して反応させて炭化水素の溶液として回収する方法。
【0069】
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等の媒体中で、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に直接、水や氷や水蒸気を作用させて炭化水素の溶液として回収する方法。
【0070】
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中でトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0071】
なお、このアルミノオキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノオキサン溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解してもよい。
【0072】
アルミノオキサンの製造の際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert- ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジエチルアルミニウムフェノキシド等のジアルキルアルミニウムアリーロキシド等が挙げられる。
【0073】
これらの中では、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが特に好ましい。
【0074】
また、アルミノオキサンの製造の際に用いられる有機アルミニウム化合物として、下記一般式[III]で表わされるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
【0075】
(i-C4H9)x Aly (C5H10)z ・・・・・・[III]
(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)
上記の有機アルミニウム化合物は、単独で、あるいは組み合せて用いられる。
【0076】
上記のようなアルミノオキサンの製造の際に用いられる溶媒としては、
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素、
シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、
ガソリン、灯油、軽油等の石油留分、あるいは
上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物、とりわけ、塩素化物、臭素化物等の炭化水素溶媒が挙げられる。
【0077】
その他、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち、特に芳香族炭化水素が好ましい。
本発明で用いられる有機アルミニウム化合物(c)としては、たとえば下記一般式[IV]で表わされる有機アルミニウム化合物を例示することができる。
【0078】
R5 n AlX3-n ・・・・・・[IV]
(式中、R5 は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。)
上記式[IV]において、R5 は炭素原子数1〜12の炭化水素基、たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリ−ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0079】
このような有機アルミニウム化合物の具体例としては、以下のような化合物が挙げられる。
【0080】
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニム;
イソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド。
【0081】
また、有機アルミニウム化合物(c)として、下記の式[V]で表わされる化合物を用いることもできる。
【0082】
R5 nAlY3-n ・・・・・・[V]
(式中、R5 は上記と同様であり、
Yは−OR6 基、−OSiR7 3 基、−OAlR8 2基、−NR9 2基、−SiR10 3基または−N(R11)AlR12 2 基であり、
nは1〜2であり、
R6 、R7 、R8 およびR12はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等であり、
R9 は水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基等であり、
R10およびR11はメチル基、エチル基等である。)
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
【0083】
(i)R5 nAl(OR6)3-nで表わされる化合物、たとえば
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド等。
【0084】
(ii)R5 nAl(OSiR7 3)3-nで表わされる化合物、たとえば
(C2H5)2Al(OSi(CH3)3)、
(iso-C4H9)2Al(OSi(CH3)3)、
(iso-C4H9)2Al(OSi(C2H5)3 )等。
【0085】
(iii) R5 nAl(OAlR8 2)3-n で表わされる化合物、たとえば
(C2H5)2Al(OAl(C2H5)2)、
(iso-C4H9)2Al(OAl(iso-C4H9)2)等。
【0086】
(iv)R5 nAl(NR9 2)3-n で表わされる化合物、たとえば
(CH3)2Al(N(C2H5)2)、
(C2H5)2Al(NH(CH3))、
(CH3)2Al(NH(C2H5))、
(C2H5)2Al[N(Si(CH3)3)2]、
(iso-C4H9)2Al[N(Si(CH3)3)2 ]等。
【0087】
(v)R5 nAl(SiR10 3)3-n で表わされる化合物、たとえば
(iso-C4H9)2Al(Si(CH3)3)等。
【0088】
【化1】
【0089】
上記一般式[IV]、[V]で表わされる有機アルミニウム化合物の中では、R5 3Al、R5 nAl(OR6)3-n 、R5 nAl(OAlR8 2)3-n で表わされる有機アルミニウム化合物を好適な例として挙げることができ、R5 がイソアルキル基であり、n=2である化合物が特に好ましい。これらの有機アルミニウム化合物は、単独で、または2種以上混合して用いることもできる。
【0090】
本発明で用いられる特定の第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒は、上記のようなシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム等の第IVB族遷移金属化合物(a)、有機アルミニウムオキシ化合物(b)、および必要に応じて有機アルミニウム化合物(c)とから形成される。
【0091】
本発明では、上記第IVB族遷移金属化合物(a)としてのジルコニウム化合物は、重合容積1リットル当り、ジルコニウム原子に換算して、通常、約0.00005〜0.1ミリモル、好ましくは約0.0001〜0.05ミリモルの量で用いられる。
【0092】
また、有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、ジルコニウム原子1モルに対して、有機アルミニウムオキシ化合物(b)中のアルミニウム原子が、通常、約1〜10,000モル、好ましくは10〜5,000モルとなるような量で用いられる。
【0093】
さらに、有機アルミニウム化合物(c)は、有機アルミニウムオキシ化合物(b)中のアルミニウム原子1モルに対して、通常、約0〜200モル、好ましくは約0〜100モルとなるような量で用いられる。
【0094】
本発明では、エチレンと、プロピレンと、7- メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させる際に、上記第IVB族遷移金属触媒系触媒を構成する上記第IVB族遷移金属化合物(a)、有機アルミニウムオキシ化合物(b)、さらには有機アルミニウム化合物(c)をそれぞれ別個に重合反応器に供給してもよいし、また、この共重合反応を行なう前に、予め上記第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒を調製してもよい。
【0095】
図1に、本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)の製造の際に用いられるジルコニウム触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の調製工程を示す。
【0096】
上記ジルコニウム等の第IVB族遷移金属触媒成分を含有する第IVB族遷移金属触媒系触媒の調製に用いられる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、
プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;
シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;
エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物等を挙げることができる。
【0097】
上記第IVB族遷移金属化合物(a)、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および有機アルミニウム化合物(c)を混合接触させる際の混合温度は、通常、−100〜200℃、好ましくは−70〜100℃の範囲であることが望ましい。
【0098】
上記共重合は、温度が通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃、特に好ましくは20〜120℃で、圧力が通常、大気圧〜100kg/cm2 、好ましくは大気圧〜50kg/cm2 、特に好ましくは大気圧〜30kg/cm2 の条件下で行なわれる。
【0099】
上記ランダム共重合体ゴムの分子量は、重合温度などの重合条件を変更することにより調節することができ、また、水素(分子量調節剤)の使用量を制御することにより調節することもできる。
【0100】
重合は、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうことができるが、連続式で行なうことが好ましい。さらに、重合を反応条件を変えて2段以上に分けて行なうこともできる。
【0101】
重合直後の生成ポリマーは、従来公知の分離・回収方法により、重合溶液から回収し乾燥して、固体状のランダム共重合体ゴム(A)を得る。
【0102】
加硫剤(B)
本発明で用いられる加硫剤(B)としては、イオウ、イオウ化合物、有機過酸化物が挙げられる。
【0103】
イオウとしては、具体的には、粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどが挙げられる。
【0104】
イオウ化合物としては、具体的には、塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物などが挙げられる。また、加硫温度で活性イオウを放出して加硫するイオウ化合物、たとえばモルフォリンジスルフィド、アルキルフェノ−ルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなども使用することができる。
【0105】
本発明においては、イオウないしイオウ化合物は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部の割合で用いられる。
【0106】
また、加硫剤(B)としてイオウないしイオウ化合物を使用するときは、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤としては、具体的には、
N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾ−ル、2-(2,4- ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾ−ル、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾ−ル、ジベンゾチアジルジスルフィドなどのチアゾ−ル系化合物;
ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレ−トなどのグアニジン化合物;
アセトアルデヒド- アニリン反応物、ブチルアルデヒド- アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミンまたはアルデヒド- アンモニア系化合物;
2- メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物;
チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリアなどのチオユリア系化合物;
テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系化合物;
ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオ酸塩系化合物;
ジブチルキサントゲン酸亜鉛などのザンテ−ト系化合物;
亜鉛華などの化合物を挙げることができる。
【0107】
本発明においては、加硫促進剤は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の割合で用いられる。
【0108】
有機過酸化物としては、通常ゴムの過酸化物加硫に使用される化合物であればよい。たとえば、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルヒドロパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-モノ(t-ブチルパーオキシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。なかでも、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。これらの有機過酸化物は、1種または2種以上組合わせて用いられる。
【0109】
本発明においては、有機過酸化物は、ランダム共重合体ゴム(A)100gに対して、3×10-4〜5×10-2モルの割合で使用されるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0110】
加硫剤(B)として有機過酸化物を使用するときは、加硫助剤を併用することが好ましい。加硫助剤としては、具体的には、イオウ;p-キノンジオキシムなどのキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコ−ルジメタクリレ−トなどのメタクリレ−ト系化合物;ジアリルフタレ−ト、トリアリルシアヌレ−トなどのアリル系化合物;その他マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0111】
本発明では、加硫剤(B)として有機過酸化物を用いるのが好ましい。加硫剤(B)としてイオウないしイオウ化合物を用いるよりも、有機過酸化物を用いた方が、より低温柔軟性に優れたシールゴム部品、ワイパーブレードゴムが得られる。
【0112】
充填剤(C)
本発明で用いられる充填剤(C)には、補強性のある充填剤と補強性のない充填剤とがある。
【0113】
補強性のある充填剤は、加硫ゴムの引張り強さ、引裂き強さ、耐摩耗性などの機械的性質を高める効果がある。このような充填剤としては、具体的には、シランカップリング剤などによる表面処理が施されていてもよいカ−ボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、微粉タルクなどが挙げられる。本発明においては、通常ゴムに使用されるカーボンブラックならば、その種類は問わず、全て用いることができる。
【0114】
また、補強性のない充填剤は、物性にあまり影響を与えることなく、ゴム製品の硬さを高めたり、コストを引き下げることを目的として使用される。このような充填剤としては、具体的には、タルク、クレ−、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0115】
本発明においては、充填剤(C)は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、20〜200重量部、好ましくは50〜150重量部の割合で用いられる。
【0116】
本発明に係るシールゴム部品用またはワイパーブレードゴム用ゴム組成物中に、上記のランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)に加えて、上述したように加硫促進剤、加硫助剤を配合することができるが、そのほかに酸化防止剤、加工助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、可塑剤およびその他のゴム用配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0117】
酸化防止剤としては、具体的には、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、N,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、4,4'-チオ-ビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、2-メルカプトベンゾイミダゾール、ジブチル-ジチオカルバミン酸ニッケルなどが挙げられる。
【0118】
加工助剤としては、通常ゴムに使用される加工助剤が用いられる。加工助剤の例としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、その他上記酸のエステル、高級脂肪酸およびその塩ならびにエステルなどが挙げられる。
【0119】
本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、たとえば次のような方法で調製することができる。
【0120】
すなわち、本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、バンバリ−ミキサ−のようなミキサ−類によりランダム共重合体ゴム(A)、充填剤(C)、可塑剤などの必要な添加剤を、80〜170℃の温度で約3〜10分間混練した後、オ−プンロ−ルのようなロ−ル類を使用して、加硫剤(B)、必要に応じて酸化防止剤、加硫促進剤または加硫助剤を追加混合し、ロ−ル温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして得られるゴム組成物は、リボン状またはシ−ト状のゴム配合物である。
【0121】
また、本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物およびワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、ランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)、充填剤(C)および上記の添加剤を約80〜100℃に加熱された押出機に直接供給し、滞留時間を約0.5〜5分間とって、造粒し、ペレット状に調製することもできる。
【0122】
【発明の効果】
本発明で用いられるエチレンとプロピレンと7- メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンとプロピレンとのモル比、ヨウ素価、極限粘度[η]、13C−NMRスペクトルにおけるTαβとTααとの強度比D、B値およびガラス転移温度Tgが特定の範囲にあるので、低温柔軟性に優れた加硫ゴムを提供することができ、しかも、加硫速度が速い。
【0123】
また、このランダム共重合体ゴム(A)は、耐候性、耐オゾン性および耐熱老化性等の特性に優れている。
【0124】
本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物は、上記ランダム共重合体ゴム(A)と、加硫剤(B)と、充填剤(C)とを含有してなるので、耐熱老化性、耐候性などに優れるとともに、低温柔軟性に優れたシールゴム部品を高速成形することができる。特に、加硫剤(B)として有機過酸化物を用いたシールゴム部品用ゴム組成物は、EPDMが本来有している耐熱老化性、耐候性、耐水性、耐薬品性等の諸物性および加工性を損なうことなく、低温柔軟性を著しく改善したシールゴム部品を提供することができる。
【0125】
上記のような効果を有する、本発明に係るシールゴム部品用ゴム組成物は、液圧ブレーキにおけるブレーキマスターシリンダー用カップ、ブレーキホイルシリンダー用カップ、ブレーキ液圧制御用シール材およびブレーキ用O- リング、クラッチにおけるクラッチシリンダー用カップなどの用途に広く利用することができる。
【0126】
また、本発明に係るワイパーブレードゴム用ゴム組成物は、上記ランダム共重合体ゴム(A)と、加硫剤(B)と、充填剤(C)とを含有してなるので、低温柔軟性に優れたワイパーブレードゴムを高速成形することができる。
【0127】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0128】
なお、実施例および比較例におけるエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムおよび加硫ゴムの評価試験方法は、以下のとおりである。
【0129】
[1]未加硫ゴムの物性試験
未加硫ゴムの物性試験は、JIS K 6300に準拠して行ない、未加硫ゴムについて、日本合成ゴム(株)製のキュラストメーター(CURELASTMETER)3型を用いて170℃でトルク変化を測定し、t90[分]を求め加硫速度とした。t90が短時間ほど加硫速度が速いことを示す。
【0130】
[2]Tg
エチレン・α- オレフィン・ジエン共重合体ゴムのTgは、示差走査熱量計(DSC)で測定した。このガラス転移温度は、エチレン・α- オレフィン・ジエン共重合体ゴムの低温柔軟性の指標となる。
【0131】
・DSCによるTgの測定における温度サイクル
試料を常温(25℃)から20℃/minの速度で180℃まで昇温して2分間、180℃に保った後、この試料を−20℃/minの速度で−80℃まで冷却して2分間、−80℃に保ち、その後再びこの試料を20℃/minの速度で昇温して試料のTgを求めた。
【0132】
[3]ロール加工性試験
ロール幅20インチの8インチオープンロールで加硫剤、加硫助剤を追加・混練時にコンパウンドのロールへの巻付き状態を肉眼で観察した。
【0133】
[4]引張り試験
加硫ゴムシートを打抜いてJIS K 6301(1989年)に記載されている3号形ダンベル試験片を作製し、該試験片を用いて同JIS K 6301第3項に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、引張破断点応力TB および引張破断点伸びEB を測定した。
【0134】
[5]硬さ試験
硬さ試験は、JIS K 6301(1989年)に準拠して、スプリング硬さHS(JIS A硬度)を測定した。
【0135】
[6]圧縮永久歪試験
圧縮永久歪試験は、JIS K 6301(1989年)に準拠して行ない、シールゴム部品用ゴム組成物の加硫ゴムについては高温圧縮永久歪(CS)を求め、またワイパーブレードゴム用ゴム組成物の加硫ゴムについては低温圧縮永久歪(CS)を求めた。低温圧縮永久歪が小さいほど低温柔軟性は良好である。
【0136】
シールゴム部品用ゴム組成物の試験条件
加熱温度:150℃
時間:22時間
荷重:10.5kg
ワイパーブレードゴム用ゴム組成物の試験条件
冷却温度:−22℃
時間:22時間
荷重:10.5kg
[7]低温ねじり試験(ゲ−マンねじり試験)
低温ねじり試験は、JIS K 6301に準じて行ない、T2 [℃]、凍結温度[℃]を求めた。これらの温度は、加硫ゴムの低温柔軟性の指標となる。T2が低いほど、低温柔軟性は良好である。
【0137】
(試験条件)
ねじりワイヤ−のねじれ定数:0.5gf・cm/度
浸漬時間:10分
ねじり時間:5秒
【0138】
【参考例1】
攪拌翼を備えた15リットルのステンレス製重合器を用いて、連続的にエチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとの共重合を行なった。
【0139】
すなわち、まず重合器上部から重合器内に、脱水精製したヘキサン、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(濃度0.05ミリモル/リットル)、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度17ミリモル/リットル)、メチルアルモキサンのヘキサンスラリー溶液(アルミニウム原子に換算して3ミリグラム原子/リットル)、7-メチル-1,6-オクタジエンのヘキサン溶液(濃度0.25リットル/リットル)をそれぞれ連続的に供給した。
【0140】
また、重合器上部から重合器内に、エチレン、プロピレンをそれぞれ連続的に供給した。この共重合反応は、50℃で行なった。
【0141】
次いで、重合器下部から抜き出した重合溶液にメタノールを少量添加して、重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて共重合体を溶媒から分離した後、100℃、減圧(100mmHg)の条件下に、24時間乾燥した。
【0142】
以上の操作で、エチレン・プロピレン・7-メチル-1,6-オクタジエン共重合体が得られた。
【0143】
得られた共重合体[以下、MOD−EPDM(1)と称する場合がある]は、ゴムであって、エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が63/37であり、ヨウ素価が20であり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.6dl/gであった。また、13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比Dは、0.01未満であり、B値は1.14であり、ガラス転移温度は−61℃であった。
【0144】
【参考例2〜12】
参考例1と同様の操作を行なって、第1表および第2表に示すエチレン・プロピレン・7- メチル-1,6-オクタジエン共重合体ゴム[以下、MOD−EPDM(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(11)、(12)と称する場合がある]を得た。
[シールゴム部品用ゴム組成物についての実施例および比較例]
【0145】
【実施例1】
参考例1で得られたMOD−EPDM(1)100重量部と、亜鉛華5重量部と、ステアリン酸1重量部と、MAFカーボンブラック[充填剤、東海カーボン(株)製、シースト116]50重量部とを容量1.7リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で6分間混練した。
【0146】
このようにして得られた混練物に、ジクミルパーオキサイド[日本油脂(株)製]3重量部およびイオウ[加硫助剤]0.1重量部を加えてロール幅20インチの8インチロール(前ロールおよび後ロールの温度40℃)で15分間混練した後、シート状に分出して、170℃で10分(圧縮永久歪測定用は170℃で20分)、150kg/cm2 プレス加硫して、厚み2mmの加硫シートを調製した。
【0147】
得られた加硫シートについて上記物性試験等を上記方法に従って行なった。
【0148】
また、上記加硫を行なう前の未加硫ゴム組成物について、上記方法に従って、t90を求めた。
【0149】
結果を第1表に示す。
【0150】
【実施例2,3】
実施例1において、MOD−EPDM(1)の代わりに参考例2、3で得られたMOD−EPDM(2)、MOD−EPDM(3)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0151】
結果を第1表に示す。
【0152】
【比較例1】
実施例1において、MOD−EPDM(1)の代わりに第1表に示したENB−EPDM(1)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0153】
結果を第1表に示す。
【0154】
【比較例2,3】
実施例1において、MOD−EPDM(1)の代わりに参考例4、5で得られたMOD−EPDM(4)、MOD−EPDM(5)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0155】
結果を第1表に示す。
【0156】
【比較例4】
実施例1において、MOD−EPDM(1)の代わりに第1表に示したENB−EPDM(2)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0157】
結果を第1表に示す。
【0158】
【比較例5〜8】
実施例1において、MOD−EPDM(1)の代わりに参考例6、7、8、9で得られたMOD−EPDM(6)、MOD−EPDM(7)、MOD−EPDM(8)、MOD−EPDM(9)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0159】
結果を第1表に示す。
【0160】
【表1】
【0161】
【表2】
【0162】
[ワイパーブレードゴム用ゴム組成物についての実施例および比較例]
【0163】
【実施例4】
参考例10で得られたMOD−EPDM(10)100重量部と、亜鉛華5重量部と、ステアリン酸1重量部と、FEFカーボンブラック70重量部と、セバシン酸ジオクチル[可塑剤]30重量部とを容量4.3リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で5分間混練した。
【0164】
このようにして得られた混練物に、ジクミルパーオキサイド(含量40%)7.0重量部およびトリメチロールプロパントリメタクリレート1.5重量部を加えて8インチミキシングロール(前ロールおよび後ロールの温度50℃)で混練した後、シート状に分出して、170℃で12分プレス加硫して、厚み2mmの加硫シートを調製した。
【0165】
得られた加硫シートについて上記物性試験等を上記方法に従って行なった。
【0166】
また、上記加硫を行なう前の未加硫ゴム組成物について、上記方法に従って、t90を求めた。
【0167】
結果を第2表に示す。
【0168】
【実施例5,6】
実施例4において、MOD−EPDM(10)の代わりにそれぞれ参考例11、12で得られたMOD−EPDM(11)、MOD−EPDM(12)を用いた以外は、実施例4と同様に行なった。
【0169】
結果を第2表に示す。
【0170】
【比較例9〜11】
実施例4において、MOD−EPDM(10)の代わりにそれぞれ第2表に示したENB−EPDM(3)、ENB−EPDM(4)、ENB−EPDM(5)を用いた以外は、実施例4と同様に行なった。
【0171】
結果を第2表に示す。
【0172】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明で用いられるエチレンと、プロピレンと、7- メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)を製造する際に用いられるオレフィン重合用触媒の調製工程の一例を示す説明図である。
Claims (4)
- エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)を含有してなるゴム組成物であって、
該ランダム共重合体(A)は、
(i)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が60/40〜70/30の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が10〜30の範囲にあり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5dl/g<[η]<5.0dl/gで表わされる範囲にあり、
(iv)13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(v)13C−NMRスペクトルおよび下記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50であり、
(vi)DSCで求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である
ことを特徴とするワイパーブレードゴム用ゴム組成物;
B=POE/(2PE・PO)
[式中、PE は、ランダム共重合体ゴム中の7-メチル-1,6-オクタジエン成分に由来するエチレン単位を除いたエチレン成分の含有モル分率であり、
PO は、ランダム共重合体ゴム中のプロピレン成分の含有モル分率であり、
POEは、ランダム共重合体ゴムにおける全ダイアド(dyad)連鎖数に対するプロピレン・エチレン連鎖数の割合である]。 - エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとからなるランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)を含有してなるゴム組成物であって、
該ランダム共重合体ゴム(A)が、
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む第IVB族遷移金属化合物(a)および有機アルミニウムオキシ化合物(b)からなる第IVB族遷移金属触媒系触媒の存在下に、エチレンと、プロピレンと、7-メチル-1,6-オクタジエンとを共重合させてなり、かつ、
(i)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が60/40〜70/30の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が10〜30の範囲にあり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5dl/g<[η]<5.0dl/gで表わされる範囲にあり、
(iv)13C−NMRスペクトルにおけるTαβのTααに対する強度比D(=Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(v)13C−NMRスペクトルおよび下記の式から算出して求めたB値が1.00〜1.50であり、
(vi)DSCで求めたガラス転移温度Tgが−53℃以下である
ことを特徴とするワイパーブレードゴム用ゴム組成物;
B=POE/(2PE・PO)
[式中、PE は、ランダム共重合体ゴム中の7-メチル-1,6-オクタジエン成分に由来するエチレン単位を除いたエチレン成分の含有モル分率であり、
PO は、ランダム共重合体ゴム中のプロピレン成分の含有モル分率であり、
POEは、ランダム共重合体ゴムにおける全ダイアド(dyad)連鎖数に対するプロピレン・エチレン連鎖数の割合である]。 - 前記第IVB族遷移金属化合物(a)が、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム化合物であることを特徴とする請求項2に記載のワイパーブレードゴム用ゴム組成物。
- 前記第IVB族遷移金属触媒系触媒が、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および有機アルミニウム化合物(c)からなることを特徴とする請求項2に記載のワイパーブレードゴム用ゴム組成物。
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