JP3766610B2 - トラクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、いわゆるTLB(トラクタ・フロントローダ・バックホー)において、車体後部に装着されるバックホーの装着位置は、オペレータの居住空間確保のため、後輪タイヤ、フェンダなどから後方に少し離れた位置にレイアウトされていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のTLBでは、居住空間確保のためバックホーが後方に離れて位置することから、TLBの全長が長くなっていた。このため、TLBは、機動性に欠ける、前後バランスが悪い、オーバーハングが大きいため車体のフレームに大きな力がかかる、などの問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、その課題は、トラクタの全長をできるだけ小さくすることにある。
また、本発明の他の課題は、バックホーなどの作業機のトラクタへの取付を容易化することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、次の技術的手段を採用した。
すなわち、本発明では、前後に車輪を有する車体後部に着脱自在に作業機が装着されるトラクタにおいて、
前記車体後部には、前記作業機を取り付けるための左右一対の取付部が設けられ、該左右一対の取付部は、車体の下方側に位置していて作業機の下係合部に回動自在に係合する上方開放状の円弧状凹部によって構成された下連結部と、当該下連結部の上方に位置していて作業機の開閉自在なマウントホルダからなる上係合部に係脱自在に係合する上連結部とをそれぞれ備え、
各取付部は、車体後輪の車軸位置と車体後輪の後端位置の間であって、前記車軸位置より前記後端位置に近い位置に配置されており、前記上連結部は、後輪の外周部より外上方に位置していることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、バックホーなどの作業機を取り付けるための取付部が後輪の車軸位置と後輪後端の間にあるため、作業機がトラクタ後方にオーバーハングする量を小さくすることができる。このため、トラクタ全長が短くなる。
また、取付部が後輪車軸位置より後輪後端位置側に近い位置となるように比較的後方寄りに配置されているので、作業機を装着する際にトラクタの後ろから見て近い位置に取付部が位置することになり、作業機の取付作業が容易である。
【0007】
さらに、本発明において、前記上連結部は、後輪の外周部より外上方に位置している。上連結部を後輪外周部より外上方に位置させることで、トラクタ後方からみて上連結部が奥まったところに位置しないので、作業機の装着作業が容易である。
また、車体は後輪フェンダーを備え、各取付部は、後輪フェンダーの後端近傍に設けられているものが好ましい。
【0008】
上記構成によれば、バックホーなどの作業機を取り付けるための取付部が後輪フェンダーの後端近傍に設けられているので、作業機がトラクタ後方にオーバーハングする量を小さくすることができる。このため、トラクタ全長が短くなる。なお、取付部は後輪フェンダー後端より前方側に位置させるのが好ましい。
また、本発明では、前記下連結部は、前記上連結部より後方に位置しているのが好ましい。一般的な作業機の取付手順としては、先に下連結部でトラクタと作業機とを結合するため、下連結部を後方寄りにすることでトラクタ後方からみて手前側に下連結部が位置することになり、作業機の装着作業が容易となる。
【0009】
また、上連結部は、後輪の外周部と後輪の上方に設けられた後輪フェンダーの間に位置しているのが好ましい。
また、前記左右の取付部は、それらの下部が連結部材によって連結されており、当該連結部材にヒッチが設けられているのが好ましい。左右の取付部下部を連結部材によって連結することで、強度を向上させることができる。また、連結部材にヒッチを設けることで構成を簡素化することができる。
【0010】
さらに、前記左右の取付部は、それらの上部も連結部材によって連結されており、下部の連結部材とともに方形枠体を構成しているのが好ましい。この場合、より一層強度を向上させることができる。
また、前記車体後部にはロプスが配備され、前記連結部材の左右両端にロプスの左右支柱部の下端が取り付けられていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、2において、1はトラクタ・フロントローダ・バックホー(TLB)であり、トラクタ車体Tの中途部から前方へフロントローダFが着脱自在に装着され、トラクタ車体Tの後部に後連結フレーム2を介して後作業機の1例としてのバックホーBが着脱自在に装着され、トラクタ車体Tの中途部下部にミッドマウントモアーMを装着可能になっている。
【0012】
前記トラクタ車体Tは、前後方向に長い車体フレームT1に、エンジンT2とミッションケースT3とを前後に離間して取り付けて車体本体T4を構成し、車体フレームT1の前部に前輪T5を縣架する前車軸ケースT6を支持し、ミッションケースT3から左右側方へ後輪T7を縣架する後車軸ケースT8を突出している。
【0013】
前記ミッションケースT3の上部に作業機昇降用油圧装置T10が取り付けられ、この油圧装置T10の上方には、運転席3を前後反転自在にした運転席装置4が搭載され、運転席3の下方から操縦部T14にかけて車体本体T4の上方を覆うようにフロアシートT11が設けられ、このフロアシートT11の左右側部には前記後輪T7用のフェンダT12が取り付けられている。
【0014】
T13はエンジンT2を覆うボンネットで、その後部には前記操縦部T14が設けられている。また、車体フレームT1の前端には、ボンネットT13を保護するためのプロテクタT15が設けられている。
前記車体フレームT1は、大別して、メインフレームT17と左右のマスト支持フレームT18と左右の補強フレームT19とを有している。
【0015】
前記メインフレームT17は、エンジンT2及びミッションケースT3を直接的に挟んで取り付けられる左右一対の長尺板材T17aと、この左右長尺板材T17aを互いに連結する複数の横部材T17bとで形成されている。
左右各マスト支持フレームT18は、前記メインフレームT17の前後方向中途部の左右外面に外方突出状に固定された横張り部材T18aと、この横張り部材T18aの外端上面に立設されたマスト支持部材T18bとを有している。
【0016】
左右各補強フレームT19は、2枚の帯板T19a、T19bを前後に一部オーバラップ状態に重合し、前帯板T19aの前端を前記横張り部材T18aに固着のブラケットT19cと連結し、後帯板T19bの後部をメインフレームT17の長尺板材T17aにボルト等の連結具を介して連結しており、この後帯板T19bの後部と長尺板材T17aとは間隙を有して対面している。
【0017】
前記補強フレームT19はメインフレームT17に対して側面視において重合配置されている。
6、7は前記横部材T17bと同様に、左右長尺板材T17aを間隔調整自在に互いに連結する前後装着具であり、メインフレームT17に対してミッションケースT3を装着する役目もしている。
【0018】
前装着具6は左右一対の正面視L字状の装着体6L、6Rを有し、左右各装着体6L、6Rの縦部分は、長尺板材T17aの内面にボルト固定されると共に、ミッションケースT3をボルト装着しており、左右各装着体6L、6Rの水平部分は互いに連結されていて、左右長尺板材T17a間隔に適合するように、連結長さが微調整できるようになっている。
【0019】
後装着具7は前装着具6と同様な構成であり、左右各装着体7L、7Rの縦部分を長尺板材T17a及びミッションケースT3に連結し、水平部分を互いに連結して左右長尺板材T17a間隔に適合するようになっている。
フロントローダFは、左右マストF1の上部にブームF2の基部を上下揺動自在に枢支し、ブームF2の先端にバケットF3を掬い・ダンプ自在に枢支し、ブームF2をブームシリンダF4で、バケットF3をバケットシリンダF5でそれぞれ油圧駆動可能にしている。
【0020】
前記マストF1は、マスト支持フレームT18のマスト支持部材T18bに上側から嵌入し、ロックピンF6でロックするように構成されている。
ミッドマウントモアーMは、吊り持ち手段M1を介して車体本体T4の腹下部に昇降自在に装着されており、ミッションケースT3から動力が伝達されて、ブレードを回転するように構成されている。
【0021】
バックホーBは、基台フレームB1の前側に左右一対の取り付け体B2を固着し、基台フレームB1の後部に揺動ブラケットB3、ブームB6、アームB8、バケットB10などからなる作業機本体を装着している。また、
縦軸回り揺動可能に揺動ブラケットB3を枢支し、基台フレームB1の上部に操縦部B4を搭載し、基台フレームB1の左右に油圧駆動のアウトリガーを装備している。また、操縦部B4の下部には作業者が脚を置いたり、乗降に利用されるステップB4aが設けられている。
【0022】
前記揺動ブラケットB3は、縦軸回り揺動可能に基台フレームB1に枢支されている。この揺動ブラケットB3は1本のスイングシリンダB5によって左右スイング動作自在であり、この揺動ブラケットB3にブームB6の基部を枢支して、ブームシリンダB7で上下揺動自在にし、ブームB6の先端にアームB8を枢支してアームシリンダB9で上下揺動自在にし、アームB8の先端にバケットB10を枢支して、バケットシリンダB11で掬い・ダンプ動作自在にしている。
【0023】
前記バックホーBの左右取り付け体B2には、上下に係合部B14、B15を備えており、上下係合部B14、B15は後連結フレーム2の上下連結部11、12に着脱自在に連結され、トラクタ車体Tに対してバックホーBを着脱できるようになっている。
図3及び図4に示すように、後連結フレーム2は、左右に並設された一対の取付部15,15を備え、左右の取付部15,15の下端は第1連結部材16によって互いに連結され、さらに左右の取付部15,15の上端は第2連結部材17によって互いに連結され全体として方形枠体を構成して強度が確保されている。なお、取付部15,15はメインフレームT17と連結されている。
【0024】
前記上下の連結部11,12は、上下方向に延びる左右の取付部15,15の上下にそれぞれ設けられており、上連結部11は、左右方向の軸心を有するマウントバーによって構成されている。上連結部11の略鉛直下方向には下連結部12が設けられており、上方開放状の円弧状凹部によって構成されている。
上下の連結部11,12は、いずれも、後輪T7及び後輪フェンダT12の近傍に設けられている。つまり、上下の連結部11,12は、後輪T7の車軸T7aより後方側であって、後輪T7の後端T7b乃至フェンダ後端T12aより前方に位置している。より具体的には、上下の連結部11,12は、後輪車軸T7a位置より後輪後端T7bに近い位置に設けられている。
【0025】
上下の連結部11,12は、略鉛直方向の同一直線上にあるが、下連結部12の方が上連結部11より後方寄りに配置されており、後方からみて手前となる配置とされている。
また、側面視において下連結部12は後輪T7の外周部より内側、つまり内径側に位置しているが、上連結部11は後輪T7の外周部より外側、つまり外径側に位置している。換言すると、上連結部11は、後輪T7の外周部と後輪フェンダT12の間に位置しており、バックホーBの連結が容易となっている。
【0026】
バックホーBの左右取り付け体B2に設けられた上下の係合部B14,15のうち、上
係合部B14は、上下に対向配置されて対向方向に開閉自在な一対のマウントホルダによって構成されている。マウントホルダB14は、上連結部11であるマウントバー11に嵌合する円弧状凹部B14aが形成されている。
【0027】
上下の係合部B14,15のうち、下係合部B15は左右方向の軸心を有する連結バーによって構成されており、この連結バーB15は下連結部11である円弧状凹部に回動自在に嵌め込まれる。
後連結フレーム2を構成する下連結部材16は、ヒッチ連結体であり、この下連結部材16にヒッチとなるヒッチボール16aが設けられている。このヒッチボール16aは、下連結部材16から上方突出状に形成され、下部が絞られた球体である。
【0028】
後連結フレーム2を構成する上連結部材17は、車体後部に立設されるロプスの取付部材でもあり、上連結部材17の左右両端に2柱式ロプス13の左右支柱部の下端が取り付けられる。
なお、後連結フレーム2を構成する取付部15,15には、それぞれ油圧装置T10へ延びる補強部材19,19が設けられており、取付部15,15と油圧装置T10とが補強部材19,19によって連結されて補強されている。
【0029】
バックホーBをトラクタ車体Tに連結するには、まず、下係合部B15である連結バーを下連結部12である凹部に上方から嵌合させる。そうすると、連結バーB15が凹部12に左右方向の軸心廻りに回動自在に連結される。このとき、上連結部11であるマウントバーは上係合部B14であるマウントホルダの前方に位置している。次にバックホーBの基台フレームB1及び取り付け体B2等を連結バーB15廻りに回動させ、マウントホルダB14をトラクタ車体T側に近接させ、マウントホルダB14によってマウントバー11を挟み込む。以上の手順で図1のようにバックホーBがトラクタ車体Tに連結される。なお、バックホーBを取り外すには、上記と逆の手順による。
【0030】
バックホーBをトラクタ車体Tに装着したとき、バックホーBの基台フレームB1の上方に位置する操縦部B4は、基台フレームB1の前後方向略中央位置に設けられており、ロプス13に対して後方に離れた場所に位置する。したがって、運転席装置4の運転席3を後ろ向きにしてバックホーB作業をする際、運転席3とステップB4aとの間が広くなるため居住空間が大きく、作業者の脚をゆったりとおくことができ、また乗降も容易である。
【0031】
上記実施形態のようにバックホーBの装着位置を設定することで、バックホーBが後方にオーバーハングする量を非常に小さくすることができた。その結果、TLB1全長が短く、コンパクトにまとまり機動性が向上した。
また、約300kgのバックホーBのオーバーハングが小さいため、車体フレーム1にかかる力(モーメント)を小さくすることができ、結果的に車体の補強が少なくて済み、軽量化が図れた。
【0032】
さらに、バックホーの後方へのオーバーハングが小さいため、前後輪の荷重バランスが向上し、結果的にフロントウェイトが不要となった。
さらにまた、TLB1がコンパクトになったことから、運転席3を後方に大きく移動させる必要がなくなったため、運転席の構造を簡素化できた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、トラクタ全長を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 TLBの側面図である。
【図2】 TLBの車体フレームの平面図である。
【図3】 後連結フレームとロプスの背面図である。
【図4】 後連結フレームの拡大側面図である。
【図5】 ミッション背面図である。
【符号の説明】
1 TLB
2 後連結フレーム
11 上連結部
12 下連結部
15 取付部
16 第1連結部材
16a ヒッチ
17 第2連結部材
T トラクタ車体
T5 前輪
T7 後輪
T12 フェンダ
B バックホー(作業機)
B1 基台フレーム
B2 取り付け体
B4 操縦部
Claims (7)
- 前後に車輪(T5,T7)を有する車体(T)後部に着脱自在に作業機(B)が装着されるトラクタにおいて、
前記車体(T)後部には、前記作業機(B)を取り付けるための左右一対の取付部(15,15)が設けられ、該左右一対の取付部(15,15)は、車体(T)の下方側に位置していて作業機(B)の下係合部(B15)に回動自在に係合する上方開放状の円弧状凹部によって構成された下連結部(12)と、当該下連結部(12)の上方に位置していて作業機(B)の開閉自在なマウントホルダからなる上係合部(B14)に係脱自在に係合する上連結部(11)とをそれぞれ備え、
各取付部(15)は、車体後輪(T7)の車軸(T7a)位置と車体後輪(T7)の後端(T7b)位置の間であって、前記車軸(T7a)位置より前記後端(T7b)位置に近い位置に配置されており、前記上連結部(11)は、後輪(T7)の外周部より外上方に位置していることを特徴とするトラクタ。 - 前記車体(T)は後輪フェンダー(T12)を備え、各取付部(15)は、後輪フェンダー(T12)の後端近傍に設けられていることを特徴とする請求項1記載のトラクタ。
- 前記下連結部(12)は、前記上連結部(11)より後方に位置していることを特徴とする請求項1又は2記載のトラクタ。
- 前記後輪(T7)の上方に後輪フェンダー(T12)が設けられ、各取付部(15)の上連結部(11)は、後輪(T7)の外周部と後輪フェンダー(T12)との間に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトラクタ。
- 前記左右一対の取付部(15,15)は、それらの下部が連結部材(16)によって連結されており、当該連結部材(16)にヒッチ(16a)が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトラクタ。
- 前記左右一対の取付部(15,15)は、それらの上部が連結部材(17)によって連結されており、前記下部の連結部材(16)とともに方形枠体を構成していることを特徴とする請求項5記載のトラクタ。
- 前記車体(T)後部にはロプス(13)が配備され、前記連結部材(17)の左右両端にロプス(13)の左右支柱部の下端が取り付けられていることを特徴とする請求項6記載のトラクタ。
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