JP3765790B2 - ポリクロロプレン系ゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリクロロプレン系ゴムとシリカの複合材料に関するものである。詳細には、本発明は、金属アルコキシドのゾルゲル反応を応用してシリカ粒子を微細に分散させたシリカ含有ポリクロロプレン系ゴム組成物及びその成形物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリカはカーボンブラックに次ぐ補強性を有することから、ゴムの補強剤として非常に有効である。従来、ポリクロロプレン系ゴム(CR)にシリカを配合する方法としては、混練法が用いられてきた。混練法とは、ハロゲン化珪素化合物や有機珪素化合物の熱分解、珪砂の加熱気化及び空気酸化などの製法で製造された乾式法シリカや、珪酸塩の熱分解または酸分解などの製法で製造された湿式法シリカといった市販シリカ粉末を、ロールやバンバリーミキサーを用いて、ゴムに配合する方法である。この方法では、ゴム組成物中に分散するシリカの凝集粒子径を出来るだけ小さくすることによって機械的特性が向上するが、現実にはゴム組成物中での最大凝集粒子径を50μm以下にすることは困難であり、従って、機械的強度の改善にも限界があった。
【0003】
一方、近年では、アルコキシシラン類化合物のゾルゲル反応を利用して、ポリマー中にシリカ微粒子が均一分散された複合材料を製造する技術の研究が盛んに行われている。ゴム材料においてもこの分野の研究が進んでおり、例えば、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)のラテックスにテトラエトキシシランを混合して、ラテックス中でゾルゲル反応を進行させ、シリカ複合化SBRが得られることがわかっている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、上記のSBRに関する研究の場合、ラテックスにアルコキシシラン類化合物を添加して撹拌した段階では、反応液は均一に乳化しているものの、ゾルゲル反応の進行途中で反応系が凝固(ゲル化)している。そのため、凝固(ゲル化)したものを切り刻んで取り出してから乾燥させている。このようなプロセスでは、大規模な生産は不可能である。
【0004】
【非特許文献1】
吉海和正、大崎徹郎、末吉梓:日本ゴム協会誌、2000年、第73巻、第3号、p.144〜151
【0005】
また、加硫SBRの使用限界温度はおよそ110℃であり、これ以上の高温に曝される用途には殆ど使用出来ない。このような用途では、クロロプレン系重合体のような耐熱性に優れるゴムを使用する必要がある。
【0006】
ポリクロロプレン系ゴムにおいて、ゾルゲル法の応用を試みた発明及び研究は皆無であり、新たな開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シリカ粒子が微細に分散されている結果、機械的強度が優れる、新規なシリカ含有ポリクロロプレン系ゴム組成物及びその成形物を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、シリカと加硫剤とを含有するポリクロロプレン系ゴム組成物において、シリカを従来達成できなかった最大凝集粒子径50μm以下又は最大一次粒子径0.2μm以下で微細に分散させることによって、機械的強度が優れるゴム組成物が得られることを見出して、本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、シリカとクロロプレン系重合体と加硫剤とを含み、クロロプレン系重合体100質量部に対して、シリカが2質量部以上100質量部以下の量で存在し、加硫剤が0.05質量部以上20質量部以下の量で存在し、該シリカが最大凝集粒子径0.005μm以上50μm以下の凝集粒子としてゴム組成物中に分散されていることを特徴とするポリクロロプレン系ゴム組成物である。
【0010】
また、本発明は、シリカとクロロプレン系重合体と加硫剤とを含み、クロロプレン系重合体100質量部に対して、シリカが2質量部以上100質量部以下の量で存在し、加硫剤が0.05質量部以上20質量部以下の量で存在し、該シリカの最大一次粒子径が0.005μm以上0.2μm以下であることを特徴とするポリクロロプレン系ゴム組成物である。
【0011】
更に、本発明は、上記のポリクロロプレン系ゴム組成物を架橋成形してなる成形物である。
【0012】
【発明の実施の形態】
発明の具体的な説明
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
本発明のゴム組成物の原料となるクロロプレン系重合体とは、2−クロロ−1,3−ブタジエン(以下クロロプレンと称す)の単独重合体またはクロロプレンと共重合可能な単量体の一種類以上とを共重合して得られる共重合体である。また、本発明におけるポリクロロプレン系ラテックスとは、クロロプレン系重合体を水中に乳化分散させた乳化液のことである。
【0013】
クロロプレンと共重合可能な単量体とは、クロロプレンと有意に共重合する単量体であればいずれでもよい。その一例を挙げれば、共役ジエン単量体としては、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、2−フロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロム−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエンなどがあり、ビニル単量体としては、アクリロニトリル、スチレン及びスチレン誘導体、アクリル酸又はそのエステル類、メタクリル酸又はそのエステル類などがある。更に、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、硫黄などがある。これらの単量体は、必要に応じて二種類以上併用してよい。クロロプレン以外の単量体の仕込量は特に限定されないが、単量体の合計100質量部の内、クロロプレン以外の単量体が0.01質量部以上10質量部以下であるのが好ましい。クロロプレン以外の単量体を0.01質量部以上共重合させることで、反応性の官能基を導入したり、重合体の結晶化速度を低くさせたりことができる。しかし、クロロプレンの重合速度は、他の単量体の重合速度に比べて著しく速いので、クロロプレン以外の単量体を10質量部よりも多く共重合させるのは難しい場合が多い。なお、本発明の(共)重合体は、0.1質量%テトラヒドロフラン溶液をGPC測定(スチレン換算)することによって得られる数平均分子量が、10万以上100万以下であるのが好ましい。
【0014】
クロロプレン系重合体は、上記した単量体を水中で乳化剤及び/または分散剤の存在において乳化(共)重合させることによって得る。乳化(共)重合させる方法は、従来の公知の方法を採用してよい。乳化(共)重合に使用する乳化剤及び/または分散剤は、特に限定するものではなく、各種アニオン型、ノニオン型、カチオン型が使用できる。アニオン型ラテックスに用いる乳化剤としては、カルボン酸型、硫酸エステル型などがあり、例えば、ロジン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、炭素数が8〜20個のアルキルスルホネート、アルキルアリールサルフェート、ナフタリンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物などが挙げられる。ノニオン型の具体例としては、水溶性高分子、エーテル型、エステル型、ソルビタンエステル型、ソルビタンエステルエーテル型、アルキルフェノール型などがあり、例えば、ポリビニルアルコール及びその共重合体、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ソルビタンモノオレート等を挙げることができる。カチオン型の具体的としては、脂肪族アミン塩、脂肪族四級アミン塩、芳香族四級アンモニウム塩等があり、例えば、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0015】
後述するが、本発明ではアルコキシシラン類化合物のゾルゲル反応によってシリカを充填させるのが好ましい。この反応に用いるポリクロロプレン系ラテックスはアルカリ性であるのが好ましいため、アルカリ性においても乳化安定性が優れる乳化剤として、ロジン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩を使用するのが好ましい。ロジン酸のアルカリ金属塩の例としては、ロジン酸ナトリウム、ロジン酸カリウム等を挙げることができる。
【0016】
乳化重合に使用される乳化剤及び分散剤の添加量は、初期仕込み単量体の合計100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下が好適である。分散剤の添加量は、0.5質量部よりも少ないと、アルコキシシラン類化合物を十分乳化することが困難であり、20質量部よりも多いと、撹拌時の発泡が問題となったり、最終的なゴム製品の物性に悪影響を与える可能性が考えられる。
【0017】
乳化重合の条件は、特に限定されるものではなく、重合温度、開始剤、連鎖移動剤、重合停止剤、最終重合率、脱モノマー、濃縮条件などを適切に選定、制御することで、固形分濃度、分子量、溶剤不溶分(ゲル含有量)などを調整することが可能である。
【0018】
乳化重合時の重合温度は特に限定されるものではないが重合反応を円滑に行うために、重合温度を10〜50℃とすることが好ましい。
【0019】
重合開始剤は、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、第3−ブチルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物などであり、特に限定されるものではない。
【0020】
連鎖移動剤の種類は特に限定されるものではなく、通常クロロプレンの乳化重合に使用されるものが使用できる。
例えばn−ドデシルメルカプタンやtert−ドデシルメルカプタン等の長鎖アルキルメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドやジエチルキサントゲンジスルフィドなどのジアルキルキサントゲンジスルフィド類、ヨードホルム等の公知の連鎖移動剤を使用することができる。
【0021】
クロロプレンの乳化重合における重合停止剤(重合禁止剤)としては、2,6−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、ヒドロキシアミンなどが公知であり、任意の重合率に達した時点でこれらを使用すれば良い。
【0022】
重合終了後、減圧加熱するなどの公知の方法を用いて、未反応の単量体を除去することによって、クロロプレン系重合体ラテックスが得られる。クロロプレン系重合体ラテックスは、濃縮又は水等の添加により希釈することで、固形分濃度を自由に制御することができる。濃縮の方法としては、減圧濃縮などがあるが、特に限定するものではない。アルコキシシラン類化合物の乳化安定性を考慮すると、ポリクロロプレン系ラテックスの固形分濃度は、10質量%以上50質量%以下が好ましい。更に、本発明において用いるポリクロロプレン系ラテックスは、B型粘度計(30rpm)を用いて測定した25℃における粘度が5mPa・s以上1000mPa・s以下であり、25℃における比重が1.0以上1.5未満であるのが好ましい。粘度及び比重が、これらの範囲であれば、系を凝固させずに安定な乳化状態のままゾルゲル反応を進行させることが出来る。
【0023】
本発明のゴム組成物中におけるシリカの含有量は、クロロプレン系重合体100質量部に対して、2質量部以上100質量部以下である。シリカの含有量が、2質量部よりも少ないと補強効果が得られにくく、一方100質量部よりも多いいと加工性が低下する。シリカの含有量は、クロロプレン系重合体100質量部に対して、3質量部以上60質量部以下であるのが好ましい。
【0024】
本発明のシリカは、最大凝集粒子径が0.005μm以上50μm以下の凝集粒子としてゴム組成物中に分散しており、0.005μm以上5μm以下の凝集粒子としてゴム組成物中に分散しているのが好ましい。この範囲であれば、高い補強性を発現させることができる。
なお、シリカの最大凝集粒子径とは、本発明のゴム組成物中に分散しているシリカの凝集粒子の最大径のことであり、本発明のゴム組成物の破断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)または原子間力顕微鏡(AFM)によって観察して測定する。
【0025】
また、本発明のシリカは、最大一次粒子径が0.005μm以上0.2μm以下であるのが好ましい。この範囲であれば、機械的強度を著しく向上させることができる。本発明のシリカは、最大一次粒子径が0.01μm以上0.1μm以下であるのが一層好ましい。
なお、シリカの最大一次粒子径とは、上記凝集粒子を構成する粒子で、分子間の結合を切断することなく存在する最小単位の粒子の最大サイズのことである。ゴム組成物中では、一次粒子の凝集体(凝集粒子)として分散しており、破断面の観察から最大一次粒子径を判定することは困難である。そこで、本発明では、ゴム組成物を酸素または空気雰囲気中で700℃以上で完全に燃焼させ、燃焼残分(灰分)に含まれているシリカを、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)または原子間力顕微鏡(AFM)によって観察して、最大一次粒子径を測定する。
【0026】
本発明のシリカは、クロロプレン系重合体の存在下、アルコキシシラン類化合物の加水分解及び縮合反応、いわゆるゾルゲル反応を進行させることによって生成させることが好ましい。好適な具体例としては、クロロプレン系重合体ラテックスにアルコキシシラン類化合物を混合する工程と、該ラテックス中でアルコキシシラン類化合物をシリカに転化させる工程と、該ラテックスを乾燥させる工程を備えた製造方法によって、シリカを配合する方法が挙げられる。
【0027】
クロロプレン系重合体ラテックスにアルコキシシラン類化合物を混合する工程では、ラテックスの固形分濃度を、10質量%以上50質量%以下としておくことが好ましい。この固形分濃度範囲であれば、アルコキシシラン類化合物のゾルゲル反応時に系の凝固が起こりにくい。
【0028】
また、クロロプレン系重合体ラテックスのpHを酸性またはアルカリ性にした後、アルコキシシラン類化合物を混合することが好ましい。酸性またはアルカリ性にすることで効率的にアルコキシシラン類化合物のゾルゲル反応を進行させることができる。酸性ではアルコキシラン類化合物が線状の重合体(ポリシロキサン)となり易いのに対して、アルカリ性ではアルコキシシラン類化合物が網目状に重縮合したゲル体となり易いことから、特にアルカリ性に調節することがより好ましい。
酸性にするためには、塩酸、硫酸などを、アルカリ性にするためには、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを添加することによって任意のpHに調節することができる。
【0029】
アルコキシシラン類化合物とは、同一分子内に1つ以上のケイ素原子と2つ以上のアルコキシ基を有する化合物である。
四官能性アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン(TPOS)等が挙げられる。
三官能性アルコキシシランとしては、フェニルトリエトキシシラン(PTEOS)、オクタデシルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
二官能性アルコキシシランとしては、ジエトキシジメチルシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
本発明では、二種類以上のアルコキシシラン類化合物を混合して用いてもよい。上記の化合物うち、安価であり、大気中で容易に取り扱うことができることから、テトラエトキシシラン(TEOS)が最も好ましい。
【0030】
クロロプレン系重合体ラテックスに対するアルコキシシラン類化合物の混合方法は、特に限定されない。ラテックスに直接添加・乳化させる方法の他、上記のアルコキシシラン類化合物をある程度予め重縮合させて低分子量のポリシロキサンとした後、ラテックスに添加する方法でもよい。
【0031】
アルコキシシラン類化合物の添加量は、乾燥ゴムに対するシリカ含有率を考慮して決定すればよい。
【0032】
アルコキシシラン化合物をシリカに転化させる工程では、クロロプレン系重合体ラテックスとアルコキシシラン類の混合液を任意の温度及び時間で放置する。反応時間は、反応液の固形分濃度を測定したり、比重を測定することによって、ゾルゲル反応の反応率を確認しながら決定すればよい。反応温度は特に限定しないが、10℃以上50℃以下が好ましい。10℃よりも低いと、反応液が凍結したりゾルゲル反応速度が遅くなったりする可能性が考えられ、50℃よりも高いと、ポリマーの劣化やゲル化が起こる可能性が考えられる。
【0033】
系は、密閉系である必要はなく、開放系であっても構わない。ゾルゲル反応中は、反応液を撹拌または振盪することによって、より微細なシリカ粒子を形成することが出来る。
【0034】
反応液を乾燥させる工程では、通常のラテックスからのポリクロロプレン系ゴムの仕上げ方法を適用して、乾燥させればよい。ポリクロロプレン系ゴムの仕上げ方法としては、ラテックスをそのまま蒸発乾燥させる方法や、ラテックスを一旦凍結させた後に水洗・乾燥させる方法などが公知である。ゾルゲル反応中に反応系が凝固した場合には、凝固物をそのまま乾燥すればよい。
【0035】
このような方法によってシリカ充填されたCRは、従来の混練法でシリカ充填したCRに比べて、引張応力、引裂強さに優れており、通常のポリクロロプレン系ゴムの用途のみならず、高い引張応力、引裂強さを必要とする種々のゴム用途に好適である。
【0036】
本発明に用いる加硫剤としては、酸化亜鉛または酸化マグネシウムが好ましいが、それ以外に有機過酸化物、トリアジン化合物、ビスマレイミド化合物、酸化鉛、三酸化鉄、酸化チタン、酸化カルシウム、ハイドロタルサイト類などの、ゴム加工分野で広く知られた架橋剤が用いられる。
【0037】
有機過酸化物の一例を挙げれば、イソブチリルパーオキサイド、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、サクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキサイド)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどがある。
【0038】
トリアジン化合物の具体例としては、1,3,5−トリメルカプトトリアジン、1−ヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジエチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−シクロヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジブチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジメチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−アニリノ−3,5−ジメルカプトトリアジンなどがある。
【0039】
以上に示してきた加硫剤の添加量は、クロロプレン系ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上20質量部以下、好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。この範囲であれば、安定かつ効率的に加硫することが可能である。
【0040】
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを配合することによって、より補強性を高めることが出来る。この場合のカーボンブラックは、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックのいずれでもよい。また、本発明において使用するカーボンブラックは、比重、平均粒子径、粒子形状、比表面積などの性状についても制限はない。
【0041】
カーボンブラックの添加量は、クロロプレン系重合体100質量部に対して、5質量部以上70質量部以下が好ましく、10質量部以上50質量部以下が更に好ましい。70質量部を超えると加工性が低下する可能性があり、スコーチを起こしやすくなる。5質量部よりも少ないと添加効果が得られにくい。
【0042】
上記加硫剤及びカーボンブラックの他、一般的に用いられる加硫促進剤を適宜選定し、使用できる。加硫促進剤としては、チオウレア化合物、グアニジン化合物、チアゾール化合物、チウラム化合物などを適宜選択できる。なかでもCRを効率よく加硫することができるチオウレア化合物が好ましい。
【0043】
チオウレア化合物の具体例としては、N,N’−ジフェニルチオウレア、トリメチルチオウレア、N,N’−ジエチルチオウレアなどがある。
グアニジン化合物の具体例としては、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニドジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩などがある。
チアゾール化合物の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどがある。
チウラム化合物の具体例としては、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどがある。
【0044】
加硫促進剤を配合する場合、その添加量は、クロロプレン系ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上20質量部以下、好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。この範囲であれば、ゴムを安定に加硫することが可能である。
【0045】
本発明のゴム組成物には、必要に応じて、補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤などを配合することができる。
軟化剤としては、潤滑油、プロセスオイル、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルトなどの石油系軟化剤、菜種油、亜麻仁油、ヒマシ油、椰子油などの脂肪油系軟化剤があり、可塑剤としては、フタル酸誘導体であるジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレートなど、ジイソフタル酸誘導体であるジイソオクチルイソフタレートなど、アジピン酸誘導体であるジ−n−ブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ(n−オクチル)アジペートなど、アゼライン酸誘導体であるジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレートなど、ゼバシン酸誘導体であるジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケートなど、この他、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、リン酸誘導体、グリセリン誘導体などがあり、クロロプレン系重合体100質量部に対して最大40質量部程度まで添加することが可能である。
【0046】
加工助剤としては、ステアリン酸などの脂肪酸、ステアロアミドの脂肪酸アミド、ブチルステアレートなどの脂肪酸エステルなどが用いられ、クロロプレン系重合体100質量部に対して、0.1〜5質量部程度まで添加することができる。
【0047】
老化防止剤としては、アミン系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩、フェノール系、ワックスなどが使用でき、クロロプレン系重合体100質量部に対して、0.1〜10質量部程度添加することができる。
【0048】
本発明のポリクロロプレン系ゴム組成物に、その特性を損なわない範囲で、他種ゴムをブレンドすることも可能である。ブレンド可能なゴムの一例としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、塩素化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンなどが挙げられる。
【0049】
本発明のポリクロロプレン系ゴム組成物は、通常のポリクロロプレンゴムと同様に、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーなどの密閉混合機などを用いて各種配合剤を混練添加することによって得られる。本発明においては、こうして得られるポリクロロプレン系ゴム組成物を、該組成物に含まれる加硫剤の加硫開始温度以上に加熱することにより架橋成形物とすることができる。加硫時の温度や加硫時間は適宜設定することができ、例えば、加硫温度は、130〜220℃の範囲である。
【0050】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0051】
実験例1
内容積10リットルの反応器に、窒素雰囲気中で、水100質量部、ロジン酸のナトリウム塩5質量部、水酸化ナトリウム0.3質量部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物のナトリウム塩0.3質量部、亜硫酸ナトリウム0.3質量部を仕込み、これらを溶解させた後に、クロロプレン単量体100質量部、n−ドデシルメルカプタン0.03質量部を撹拌しながら加えた。過硫酸カリウム0.1質量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下35℃で重合し、最終重合率が65%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去し、ポリクロロプレン系ラテックスを得た。得られたラテックスの固形分濃度を下記の方法で測定し、固形分濃度が25質量%になるように純水で希釈した。
【0052】
[固形分濃度]
アルミ皿だけを秤量してAとした。ラテックス試料を2mlいれたアルミ皿を秤量しBとした。ラテックス試料を入れたアルミ皿を110℃雰囲気下で2時間乾燥させた後、秤量しCとした。固形分濃度(質量%)は下式により求めた。
固形分濃度={(C−A)/(B−A)}×100
【0053】
下記の方法で数平均分子量を測定したところ、15.0万であった。
[数平均分子量測定]
ラテックス試料をテフロン製のシャーレに入れ、−30℃の冷凍庫内で24時間凍結した後、23℃で24時間真空乾燥させ、厚さ1mmの乾燥シートを得た。この乾燥シートを鋏で刻み、0.1質量%となるように、テトラヒドロフランに溶解させ、下記の条件で数平均分子量を測定した。
カラム:PLゲル 10μmGUARD+
PLゲル 10μmGUARD+
カラムサイズ: 7.5mmφ×50mm(GUARD)、7.5mmφ×300mm(Mixed−B)
カラム温度:35℃、溶媒:THF、流出速度:1ml/min
検出器:SHIMAZU RID−6A
【0054】
実験例2
内容積10リットルの反応器に、窒素雰囲気中で、水100質量部、ラウリル硫酸ナトリウム塩1質量部、水酸化カリウム2.0質量部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物のナトリウム塩1質量部を仕込み、溶解させた後に、撹拌しながらクロロプレン単量体95質量部、アクリル酸ブチル単量体5質量部、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド0.6質量部を加えた。過硫酸ナトリウム0.2質量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下30℃で重合し、最終重合率が70%に達したところでジエチルヒドロキシルアミンを100ppm加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去し、ポリクロロプレン系ラテックスを得た。実験例1と同様の方法で固形分濃度を測定し、固形分濃度が25質量%になるように純水で希釈した。実験例1と同様の方法で数平均分子量を測定した結果、20.5万であった。
【0055】
実験例3
内容積10リットルの反応器に、窒素雰囲気中で、水100質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩1.2質量部、水酸化ナトリウム1.2質量部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物のナトリウム塩1質量部を仕込み、溶解させた後に、撹拌しながらクロロプレン単量体96質量部、メタクリル酸ブチル単量体2質量部、1−クロロ−1,3−ブタジエン単量体2質量部、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド0.5質量部を加えた。過硫酸カリウム0.1質量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下35℃で重合し、最終重合率が70%に達したところでジエチルヒドロキシルアミンを100ppm加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去し、ポリクロロプレン系ラテックスを得た。実験例1と同様の方法で固形分濃度を測定し、固形分濃度が25質量%になるように純水で希釈した。実験例1と同様の方法で数平均分子量を測定した結果、22.1万であった。
【0056】
参考例1
実験例1で得られた固形分濃度25質量%のラテックス3600g(見掛け質量(ウエット質量、すなわち水を含む質量))に対して、テトラエトキシシランを346.8g添加した。ホモジナイザーで1000rpmにおいて30分間撹拌した後に、29質量%のアンモニア水溶液を30.5g添加し、30℃で24時間撹拌した。24時間後に、反応乳化液を−60℃で1日間凍結させ、真空乾燥させて生成物を得た。
得られた生成物のシリカ含有率を以下の方法で測定したところ、10質量%であった。
【0057】
[シリカ含有率]
TG/DTA20(セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いて、空気雰囲気における150℃残分率と800℃残分率とを測定し、下式によりシリカ含有率を算出した。試料量は約15mg、昇温速度は20℃/min、空気流量は500ml/min、到達温度は805℃であった。
シリカ含有率=(800℃残分率/150℃残分率)×100
【0058】
表1に示す成分を表1に示す量で、8インチロールを用いて配合し、ポリクロロプレン系ゴム組成物を得た。この組成物を油圧プレスを用いて170℃で30分間加硫し、加硫シートを得た。この加硫物の最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性を測定し、得られた結果を表2に示す。
加硫物の最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性の測定方法は、以下のとおりである。
【0059】
[最大凝集粒子径]
加硫物の一部を液体窒素中で破断した時の破断面を、走査型電子顕微鏡で観察し、ポリクロロプレン系ゴム組成物中におけるシリカの凝集粒子の最大径を測定した。シリカ粒子であることは、エネルギー分散型X線スペクトロメーター(EDS)によって確認した。
【0060】
[最大一次粒子径]
加硫物約15mgを、TG/DTA20(セイコーインスツルメンツ株式会社製)にセットして、空気雰囲気で燃焼させた。昇温速度は20℃/min、空気流量は500ml/min、到達温度は900℃であった。
燃焼残分(灰分)を走査型電子顕微鏡で観察し、最大一次粒子径を判定した。シリカ粒子であることは、エネルギー分散型X線スペクトロメーター(EDS)によって確認した。
【0061】
[機械的特性]
200%伸長時の引張応力(M200)及び400%伸長時の引張応力(M400)及び引張強さ(TB)はJIS K6251に、引裂強さ(TR)はJIS K6252(切り込み無しアングル形)に、低伸長応力(M25)と静的剪断弾性率(GS)とはJIS K6254に、硬さ(タイプA)はJIS K6253にそれぞれ準拠して、測定した。
【0062】
実施例1
実験例1で得られた固形分濃度25質量%のラテックス3200g(見掛け質量)に対して、テトラエトキシシランを693.5g添加した以外は、参考例1と同じ手順をたどって生成物を得た。
得られた生成物のシリカ含有率を測定したところ、シリカ含有率は20質量%であった。
さらに表1に示す成分を表1に示す量で、8インチロールを用いて配合し、ポリクロロプレン系ゴム組成物を得た。油圧プレスを用いて170℃で30分間加硫し、加硫シートを得た。この加硫物の最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性の測定結果を表2に示す。最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性の測定方法は、参考例1と同じである。
【0063】
参考例2
実験例2で得られた固形分濃度25質量%のラテックス3200g(見掛け質量)に対して、テトラエトキシシランを693.5g添加した以外は、参考例1と同じ手順をたどって生成物を得た。
得られた生成物のシリカ含有率を測定したところ、シリカ含有率は30質量%であった。
さらに表1に示す成分を表1に示す量で、8インチロールを用いて配合し、ポリクロロプレン系ゴム組成物を得た。油圧プレスを用いて170℃で30分間加硫し、加硫シートを得た。この加硫物の最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性の測定結果を表2に示す。最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性の測定方法は、参考例1と同じである。
【0064】
参考例3
実験例3で得られた固形分濃度25質量%のラテックス3200g(見掛け質量)に対して、テトラエトキシシランを693.5g添加した以外は、参考例1と同じ手順をたどって生成物を得た。
さらに表1に示す成分を表1に示す量で、8インチロールを用いて配合し、ポリクロロプレン系ゴム組成物を得た。油圧プレスを用いて170℃で30分間加硫し、加硫シートを得た。この加硫物の最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性の測定結果を表2に示す。最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性の測定方法は、参考例1と同じである。
【0065】
比較例1及び2
表1に示す成分を表1に示す量で、8インチロールを用いて配合し、ポリクロロプレン系ゴム組成物を得た。クロロプレン系重合体として、デンカクロロプレンM−40(電気化学工業株式会社製)を使用し、市販シリカとして、ニプシルVN−3(日本シリカ工業株式会社製)を配合した。比較例1は参考例1とシリカ含有率が一致しており、比較例2は実施例1、参考例1〜2とシリカ含有率が一致している。油圧プレスを用いて170℃で30分間加硫し、加硫シートを得た。この加硫物の最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性の測定結果を表2に示す。最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性の測定方法は、参考例1と同じである。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
参考例4
参考例1と同じ処方で得たシリカ含有率10質量%のクロロプレン重合体を用い、表3に示す成分を表3に示す量で、8インチロールを用いて配合し、ポリクロロプレン系ゴム組成物を得た。
【0069】
油圧プレスを用いて170℃で30分間加硫し、加硫シートを得た。この加硫物の最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性を測定し、その結果を表4に示す。最大凝集粒子径、最大一次粒子径の測定方法は、参考例1と同じである。機械的特性の測定方法は、以下のとおりである。
【0070】
[機械的特性]
100%伸長時の引張応力(M100)をJIS K6251に準拠した以外は、先に記載した測定方法に従って測定した。
【0071】
実施例2
実験例1で得られた固形分濃度25質量%のラテックス3200g(見掛け質量)に対して、テトラエトキシシランを693.5g添加した。ホモジナイザーで1000rpmにおいて30分間撹拌した後に、29質量%のアンモニア水溶液を30.9g添加し、25℃で24時間撹拌した。24時間後に、反応乳化液を−60℃で1日間凍結させ、真空乾燥させて生成物を得た。
参考例1と同様の方法によってシリカ含有率を測定したところ、シリカ含有率は20質量%であった。
表3に示す成分を表3に示す量で、8インチロールを用いて配合し、ポリクロロプレン系ゴム組成物を得た。油圧プレスを用いて170℃で30分間加硫し、加硫シートを得た。この加硫物の最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性の測定結果を表4に示す。最大凝集粒子径、最大一次粒子径の測定方法は参考例1と同じであり、機械的特性の測定方法は参考例2と同じである。
【0072】
参考例5
参考例2と同じ処方で得たシリカ含有率20質量%のクロロプレン重合体を用い、表3に示す成分を表3に示す量で、8インチロールを用いて配合し、ポリクロロプレン系ゴム組成物を得た。さらに油圧プレスを用いて170℃で30分間加硫し、加硫シートを得た。この加硫物の最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性を測定し、その結果を表4に示す。最大凝集粒子径、最大一次粒子径の測定方法は参考例1と同じである。機械的特性の測定方法は参考例4と同じである。
【0073】
参考例6
参考例3と同じ処方で得たシリカ含有率20質量%のクロロプレン重合体を用い、表3に示す成分を表3に示す量で、8インチロールを用いて配合し、ポリクロロプレン系ゴム組成物を得た。さらに油圧プレスを用いて170℃で30分間加硫し、加硫シートを得た。この加硫物の最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性を測定し、その結果を表4に示す。最大凝集粒子径、最大一次粒子径の測定方法は参考例1と同じであり、また機械的特性の測定方法は参考例4と同じである。
【0074】
比較例3及び4
表3に示す成分を表3に示す量で、8インチロールを用いて配合し、ポリクロロプレン系ゴム組成物を得た。クロロプレン系重合体として、デンカクロロプレンM−40(電気化学工業株式会社製)を使用し、市販シリカとして、ニプシルVN−3(日本シリカ工業株式会社製)を配合した。比較例3は参考例4とシリカ含有率が一致しており、比較例4は実施例2、参考例5〜6とシリカ含有率が一致している。油圧プレスを用いて170℃で30分間加硫し、加硫シートを得た。この加硫物の最大凝集粒子径、最大一次粒子径、機械的特性の測定結果を表4に示した。最大凝集粒子径、最大一次粒子径の測定方法は参考例1と同じであり、また機械的特性の測定方法は参考例4と同じである。
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【発明の効果】
表2と表4とより明らかな如く、本発明のシリカ含有ポリクロロプレン系ゴム組成物(実施例1〜2、参考例4〜6)は、従来の混練法で製造したシリカ含有ポリクロロプレン系ゴム組成物(比較例1〜4)に比べてシリカ粒子が微細に分散している。これより、本発明のシリカ含有ポリクロロプレン系ゴム組成物は、従来のシリカ含有ポリクロロプレン系ゴム組成物に比べて優れた機械的物性を示し、シリカの補強効果が高くなっている。
Claims (5)
- ロジン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の存在下で乳化重合させて得られる固形分濃度10〜50質量%のクロロプレン系重合体ラテックスとアルコキシシラン類化合物を配合した反応液を、10〜50℃の反応温度で攪拌または振盪させながらゾルゲル反応させて、クロロプレン系重合体100質量部に対して、25〜100質量部のシリカを生成させ、得られた組成物を乾燥させた後に、組成物中のクロロプレン系重合体100質量部に対して加硫剤を0.05〜20質量部配合させてなる、該シリカが最大凝集粒子径0.005〜50μmの凝集粒子としてゴム組成物中に分散されていることを特徴とするポリクロロプレン系ゴム組成物の製造方法。
- クロロプレン系重合体ラテックスをアルカリ性に調整させた後にアルコキシシラン類化合物を混合させることを特徴とする請求項1記載のポリクロロプレン系ゴム組成物の製造方法。
- ロジン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の存在下で乳化重合させて得られる固形分濃度10〜50質量%のクロロプレン系重合体ラテックスとアルコキシシラン類化合物を配合した反応液を、10〜50℃の反応温度で攪拌または振盪させながらゾルゲル反応させて、クロロプレン系重合体100質量部に対して、25〜100質量部のシリカを生成させ、得られた組成物を乾燥させた後に、組成物中のクロロプレン系重合体100質量部に対して加硫剤を0.05〜20質量部配合させてなる、該シリカの最大一次粒子径が0.005〜0.2μmであることを特徴とするポリクロロプレン系ゴム組成物の製造方法。
- 更にカーボンブラックを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載のポリクロロプレン系ゴム組成物の製造方法。
- 更に加硫促進剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載のポリクロロプレン系ゴム組成物の製造方法。
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