JP3765089B2 - 液体封入式マウント - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、パワーシャベルなどの建設機械のキャブを車体上に保持する防振用の液体封入式マウントに関し、特に、大増幅時でも減衰性を保持することができる液体封入式マウントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、建設機械のキャブは、快適な居住性と操作性、更に、人に優しく柔らかな丸みのあるデザインまでも要求されている。また、建設機械の走行速度のスピードアップにより、キャブの振動を改善するため、ゴムマウントに換わり、より高性能なキャブマウントが必要になっている。
【0003】
図3は、従来の液体封入式マウントを示す断面図であり、図4は、図3の平面図である。図において、1は、ケースであり、このケース1は、図5に示すように、カップ部1Aと、取付け穴1Bおよび固定用爪1Cを持った取付け板1Dとから構成される。2は、スタッドであり、このスタッド2は、その詳細な断面図および平面図を図6(A)、図6(B)に示すように、軸方向には粘性液3を注入するための貫通穴2Aおよびネジ穴2Bが設けられている。
【0004】
4は、減衰板であり、この減衰板4は、図3および図6に示すように、中心部に透穴4Aが設けられ、断面の形状が矩形の円盤である。そして、この減衰板4の透穴4Aに、上記スタッド2の一端が挿入され、かしめなどの手段により一体に固定する。5は、筒状ケースであり、この筒状ケース5は、その詳細な斜視図を図7に示すように、円筒部5Aと、取付け穴5Bを持った取付け板5Cとから構成される。
【0005】
6は、ゴムなどの弾性体であり、この弾性体6は、図3および図8に示すように、上記筒状ケース5を包み込んで形成される。この弾性体6の下面には、凹み6Aが形成され、粘性液3の流れを複雑にする。7は、植込みボルトであり、この植込みボルト7の一端には、ねじ7Aが切られており、このねじ7Aを用いて図示せぬキャブが固定される。また、この植込みボルト7の他端には、ねじ7Bが切られており、このねじ7Bは、スタッド2のねじ穴2Bにネジ止めされる。
【0006】
8は、回り止めピンであり、この回り止めピン8は、上記スタッド2の上側に取り付けられている。
なお、上記弾性体6の上面周縁部は、キャブのストッパとして作用し、下面周縁部が減衰板4のストッパとして作用する。
【0007】
次に、上記構成の液体封入式マウントの組み立て動作について説明する。まず、スタッド2と筒状ケース5を包み込んで弾性体6を形成すると共に、焼付接着などの手段により固定する。そして、このスタッド2の他端に減衰板4をかしめなどの手段により固定し、図8に示すように一体化する。このように一体化したスタッド2、減衰板4、筒状ケース5、および弾性体6を、ケース1のカップ部1Aに挿入し、弾性体6のテーパー状の外側側面がカップ部1Aの内側側面に密着する。
【0008】
そして、ケース1の固定用爪1Cを、筒状ケース5の取付け板5Cの側面を包み込むようにして折り曲げて、かしめることにより、ケース1と筒状ケース5とを一体に固定することができる。このとき、弾性体6のテーパー状の外周部6Bの上端6B1(共に、図8を参照)は、筒状ケース5の曲面状の折り曲げ部とケース1のカップ部1Aの曲面状の折り曲げ部との間に挟まれて圧縮されて、密着する。さらに、この弾性体6のテーパー状の外周部6Bの上端6B1(共に、図8を参照)部に、例えば、2個のシール用リップを形成することにより、この密着性を上げ、液漏れを完全に防止することができる。
【0009】
そして、スタッド2の中心に設けられた透穴2Aから粘性液3を注入する。そして、スタッド2のネジ穴2Bに植込みボルト7をネジ止めして、粘性液3を封入することができる。そして、この植込みボルト7の他端に、図示せぬキャブを取り付ける。
【0010】
なお、ケース1の取付け板1Dの取付け穴1Bと筒状ケース5の取付け板5Cの取付け穴5Bとが一致するため、図示せぬボルトとナットによって、図示せぬ車体に共締めにより、取り付けることができる。このため、ケース1と筒状ケース5とは、固定用爪1Cを含めて、強固に結合することができる。しかも、ケース1の取付け板1Dと筒状ケース5の取付け板5Cとが一体になるため、強度を向上することができる。
【0011】
次に、上記構成の液体封入式マウントの緩衝動作について説明する。まず、図示せぬ建設機械の運転により、図示せぬ車体に振動が加わると、この振動は、ケース1に伝わる。このため、このケース1が振動により動くため、粘性液3がかきまわされる。このとき、粘性液3の粘性抵抗と減衰板4により、緩衝作用が働き、振動が減衰し、キャブに伝わる振動を少なくすることができる。なお、キャブの荷重は、弾性体6で受けることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の液体封入式マウントは、大振幅時において、減衰板が上下方向に大きく振動する。このため、減衰板の上面側は、空気と粘性液とが混じり合った状態で接していると共に、ゴムの弾性体があり液圧を吸収することができる一方、減衰板の下面側は、粘性液の中である。このため、大振幅連続加振時は、減衰板の上面側の圧力に比べて、減衰板の下面側の圧力が高くなり、減衰板が圧力の低い方へ移動し、粘性体に十分にひたされず、減衰機能が低下するなどの問題点があった。
【0013】
本発明の目的は、大振幅連続加振時でも減衰性を保持することができる液体封入式マウントを提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液体封入式マウントは、粘性体を収納し、外部からの振動を受けるケースと、一端に振動保護部を固定し、他端に減衰板を固定したスタッドと、中心部にこのスタッドを固定し、周辺部が上記ケースに固定した弾性体とを備え、上記減衰板を粘性体中に設けた液体封入式マウントにおいて、上記弾性体の下面周縁部が上記減衰板のストッパとして作用し、上記減衰板は、上記弾性体より硬い部材により形成され、その上面側の表面積を下面側の表面積より大きく構成し、減衰板が下方へ移動するときに、粘性体の上方側への移動を容易にしたものである。
【0015】
【実施例】
図1は本発明に係る液体封入式マウントの一実施例を示す断面図である。図において、10は、減衰板であり、この減衰板10は、スタッド2の下方端にかしめなどの手段によって固定される。そして、この減衰板10は、その上面側の表面積を下面側の表面積より大きく構成するものであり、この実施例では、その側面にテーパーを形成して、実現するものである。
なお、12は、ワン型プラグであり、このワン型プラグ12は、スタッド2の貫通穴2A内に取り付けて、シール性を高めることができる。
【0016】
次に、上記構成の液体封入式マウントの緩衝動作については、図3で説明したように動作することはもちろんであるが、大振幅連続加振時においてもその減衰性を有効に保持することができる。このことについて、更に説明すると、減衰板10が上方から下方への移動時には、減衰板10の側面に形成したテーパーにより、粘性体3は、スムーズに上面側に移行するが、減衰板10が下方から上方への移動時には、粘性体3を一緒に捕らえて上昇するために、上下液室の圧力が均一となり、減衰板10は、常に粘性体3中にあり、その減衰性を有効に保持することができる。
【0017】
図2は本発明に係る液体封入式マウントの他の実施例を示す断面図である。図において、11は、減衰板であり、この減衰板11は、その上面側の表面積を下面側の表面積より大きく構成するものであり、この実施例では、その側面に段差を設けて実現したものである。
【0018】
なお、上記構成の液体封入式マウントの緩衝動作については、図3で説明したように動作することはもちろんであり、しかも、大振幅連続加振時の減衰性については、図1と同様に動作することはもちろんである。
なお、この段差付き減衰板11は、径の異なるものを張り合わせて構成してもよいことは、もちろんである。
【0019】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明に係る液体封入式マウントによれば、減衰板の側面の形状を変更するのみで、大振幅時の減衰性を有効に保持することができるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体封入式マウントの一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る液体封入式マウントの他の実施例を示す断面図である。
【図3】従来の液体封入式マウントを示す断面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】図3のケースを示す斜視図である。
【図6】図3のスタッドと減衰板を示す斜視図である。
【図7】図3の筒状ケースを示す斜視図である。
【図8】図3の減衰板を取り付けたスタッドと筒状ケースとを一体にした弾性体の断面図である。
【符号の説明】
10,11 減衰板
12 ワン型プラグ
Claims (1)
- 粘性体を収納し、外部からの振動を受けるケースと、一端に振動保護部を固定し、他端に減衰板を固定したスタッドと、中心部にこのスタッドを固定し、周辺部が上記ケースに固定したゴムの弾性体とを備え、上記減衰板を粘性体中に設けた液体封入式マウントにおいて、
上記ゴムの弾性体の下面周縁部が上記減衰板のストッパとして作用し、上記減衰板は、上記ゴムの弾性体より硬い部材により形成され、その上面側の表面積を下面側の表面積より大きく構成し、減衰板が下方へ移動するときに、粘性体の上方側への移動を容易にしたことを特徴とする液体封入式マウント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23201094A JP3765089B2 (ja) | 1994-09-01 | 1994-09-01 | 液体封入式マウント |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23201094A JP3765089B2 (ja) | 1994-09-01 | 1994-09-01 | 液体封入式マウント |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0874921A JPH0874921A (ja) | 1996-03-19 |
JP3765089B2 true JP3765089B2 (ja) | 2006-04-12 |
Family
ID=16932541
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23201094A Expired - Lifetime JP3765089B2 (ja) | 1994-09-01 | 1994-09-01 | 液体封入式マウント |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3765089B2 (ja) |
-
1994
- 1994-09-01 JP JP23201094A patent/JP3765089B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0874921A (ja) | 1996-03-19 |
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