JPS5830108Y2 - 振動絶縁オイルパン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関のオイルパンに関し、特にシリンダブ
ロックからの振動を防振ゴムによって絶縁した振動絶縁
オイルパンの耐久性改善に関する。

自動車騒音対策として機関各部の振動を絶縁して外部へ
の放射音を低減することが一般化しているが、特にシリ
ンダブロックに共振するオイルパンの振動騒音は、オイ
ルパンが車体下方に突出しているため車外に発散され易
いこともあってその振動絶縁対策による騒音抑止効果が
著しい。

そこで、従来より第１図に示すようにオイルパンを本体
である油溜部材と、直接シリンダブロックに締結される
取付用のフランジ部材とに別体成形し、これらを防振ゴ
ムを介して振動絶縁状態に連結し一体としたものがある
。

ところで、自動車走行時には機関各部はｌ０Ｃ（Ｇ：重
力加速度）以上の振動加速度を生じる。

オイルパンもその例外ではなく、特に下向きの振動に対
してはオイルパン自重は小さくとも内部に貯溜する潤滑
油重量を加えたものに振動加速度が作用するから、相当
大きな力を生じる。

これに対し上向きに生じる力はオイルパンの慣性力のみ
であるから比較的小さくて済む。

かかるオイルパンに生じる力は第１図においてそのまま
防振ゴムに加えられるため該防振ゴムはそれだけの耐久
性を要求される。

しかるに第１図の防振ゴム取付構造では防振ゴムに対し
て下向きの大きな引張力が加えられるため防振ゴム自体
の耐久強度性に劣るのみならず、該引張力が防振ゴムと
７ランノ部材及び油溜部材との接着面にも作用するから
、接着強度が不足し潤滑油漏れシール機能の信頼性にも
劣るものであった。

このため第２図のように油溜部材の周縁部を７ランノ部
材の周縁部より上側にしてこれら周縁部の間に防振ゴム
を接着介装し、油溜部材に加わる下向きの大きな力を防
振ゴムの圧縮力で受け、上向きの比較的小さな力を引張
力で受けるようにしたものがある。

しかしながらこのような取付構造としても防振ゴムに加
わる横方向荷重成分及び上方向荷重成分が全て狭小な接
着面に作用するため、一般の接着剤を使用した接着方法
では充分な接着強度を得られず、又接着強度に優れた加
硫接着方法を採用する場合には大きな加硫型を必要とす
るので加工費が高くつき実用化を難しくしていた。

又、接着剤が接着面からはみ出し易い構造であり、面倒
な後処理を要していた。

本考案はかかる従来の欠点に鑑みなされたもので別体成
形された油溜部材及び７ランノ部材を通常の接着剤を用
いて防振ゴムに接着して一体化するだけで、充分な耐久
性を有しかつ組立作業性に優れた防振ゴム取付構造を有
したオイルパンを提供するものである。

以下に本考案を図面に示す実施例に基づき詳細に説明す
る。

即ち、第３図において、上端周縁部をシリンダブロック
１にボルト締めされた７ランノ部材２は、下端周縁部２
ａを樋状に形成され、オイルパン本体である油溜部材３
は、上端周縁部３ａをフランジ部材２の下端周縁部２ａ
に対して点対称補形状に形成しである。

そして、油溜部材３の上端周縁部３ａを７ランノ部材２
の下端周縁部２ａの上方に位置させて、これら周縁部２
ａ。

３ａを防振ゴム４の対応する嵌合溝４ａ ｐ ４ｂに嵌
合接着し一体とする。

これら２つの周縁部２ａ、３ａと防振ゴム４との接着は
次のように行なわれる。

まず周縁部２ａｔ３８の補形状断面の凹面に接着剤を塗
布した後、これらを防振ゴム４の対応する嵌合溝４ａ
、４ｂに嵌合して接着固定する。

この場合周縁部２ａ。３ａの先端を折曲された補形状に
規制されて嵌合中に接着剤が嵌合溝４ａｔ４ｂに接触し
て擦られることがなく、周縁部２ａ、３ａが先端奥深く
まで嵌合溝４ａｔ４ｂに完全に嵌合した時始めて接着剤
が防振ゴム４に接触して接着する。

従って接着面の接着剤塗布密度が全面に亘って均一に保
たれ確実な接着力が得られる。

次いで周縁部２ａ、３ａの凸面及び嵌合溝４ａｔ４ｂの
対応する接触面とを接着する。

これは防振ゴム４を嵌合溝４ ａ 、４ ｂを拡げるよ
うに持ち上げて前記２つの接触面のいずれか又は両面に
接着剤を塗布した後接着することにより容易に行なえる
。

尚、フランジ部材２及び油溜部材３のいずれか一方を先
に接着させた後、他方を接着するようにしてもよい。

こうして一体に組立てられたオイルパンにおいては、シ
リンダブロック１と一体に生じるフランジ部材２の機関
振動の油溜部材３への伝達を防振ゴム４によって良好に
絶縁できるのは従来同様であり、かつ下記のように耐久
性において一段と優れた構造となる。

即ち、防振ゴム４が周縁部２ａ、３ａの折曲された２部
分で支持されるため、走行時の振動により油溜部材を介
して防振ゴム４に加えられる上下方向荷重は勿論のこと
横方向荷重に対しても充分な耐久強度が得られる。

又、防振ゴム４が周縁部２ａ、３ａの表裏両面に亘って
接着されているため接着強度従って該接着面の耐久強度
も増大し、かつ、これに伴なって潤滑油漏れシール機能
も極めて優れたものとなる。

このため前記した高価な加硫接着方法を必要とせず、通
常の接着剤を用いた安価な接着方法で足り、防振ゴム材
料も安価な押出成型ゴムを使用すれば充分である。

本考案は以上説明したように、防振ゴムを介しての機関
振動の絶縁による振動騒音抑止効果は勿論のこと、走行
振動によって油溜方体から防振ゴムに加えられる荷重、
特に防振ゴムの引張荷重となる上方向及び横方向の荷重
に対する耐久強度が一段と向上し、接着力も強化される
ため、潤滑油漏れシール機能を含めたオイルパン全体の
耐久性が著しく向上する。

又、防振ゴムとフランジ部材及び油溜部材との接着も簡
単かつ確実に行なえ組立作業性にも優れだも゛の；であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、従来のオイルパン構造を示す縦断
面図、第３図は本考案の実施例を示すオイルパンの縦断
面図である。 １・・・シリンダブロック、２・・・フランジ部材、２
ａ・・・下端周縁部、３・・・油溜部材、３ａ・・・上
端周縁部、４・・・防振ゴム。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）シリンダブロックに取り付けた７ランノ部材と、
   油溜部材とを有し、これらを防振ゴムを介して一体に連
   結してなるオイルパンにおいて、フランジ部材のシリン
   ダブロックに接合しない側の下端周縁部を樋形状に形成
   すると共に、油溜部材の上端周縁部を７ランノ部材の下
   端周縁部とは点対称な樋形状に形成し、油溜部材の上端
   周縁部をフランジ部材の下端周縁部の上方に位置させて
   これら周縁部を防振ゴムに嵌合接着し、かつ、該防振ゴ
   ムの内外周側面と油溜部材の外側面及びフランジ部材の
   内側面との間に空隙を設けて一体に連結したことを特徴
   とする振動絶縁オイルパン。
2. （２）防振ゴムは７ランノ部材の下端周縁部及び油溜部
   材の上端周縁部の嵌合溝を形成され、接着剤を塗布され
   た２つの周縁部を嵌合して接着してなる実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の振動絶縁オイルパン。