JP3764672B2 - 作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業部の駆動源となるエンジン及び走行部の駆動源となる電動モータを備えた作業機、いわゆるハイブリッド型作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エネルギー効率を高めるために、エンジン並びに電動モータの両方を駆動源とする、ハイブリッド型作業機やハイブリッド型車両の開発が進められている。ハイブリッド型作業機には、エンジンで作業部並びに発電機を駆動し、この発電機でバッテリを充電し、これらの発電機並びにバッテリを電動モータの電源とするものがある。ハイブリッド型車両には、エンジンで発電機を駆動し、この発電機でバッテリを充電し、これらの発電機並びにバッテリを電動モータの電源とするものがある。ハイブリッド型車両としては、例えば特開昭53−116619号公報「荷重の運転方法及び該方法の為のモータユニット」(以下、「従来の技術」と言う)が知られている。
【0003】
上記従来の技術は、同公報の図面によれば、燃焼機関1(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)で発電機3を駆動し、この発電機3で蓄電池7を充電し、これらの発電機3並びに蓄電池7を第1電動機19や第2電動機22の電源とし、これら第1・第2電動機19,22で車輪20,23を駆動するというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の技術において、発電機3で発生した電圧波形は一般に波形であるが、これを蓄電池7で吸収することで、平滑な波形となる。この結果、電圧が安定した電力を各種電気部品に供給することができる。
しかし、振動等によって蓄電池7の端子3a,3bから導線(ハーネス)が外れると、電圧波形は波形のままになる。ハイブリッド型作業機においても同様である。電圧波形が波形のままであることは、第1・第2電動機19,22等の各種電気部品の作動特性や耐久性を確保する上で好ましくない。ハイブリッド型車両やハイブリッド型作業機をより安定した作動状態に維持するためにも改良の余地がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、エンジンで作業部並びに発電機を駆動し、この発電機でバッテリを充電し、これらの発電機並びにバッテリを電動モータの電源とする作業機において、バッテリからハーネスが外れたことを速やかに検出できる技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、エンジンにより駆動する除雪用オーガ等の作業部と、エンジンにより駆動する発電機と、この発電機により充電するバッテリと、これら発電機並びにバッテリを電源とする電動モータと、この電動モータにより駆動する走行輪等の走行部と、電源の電圧が通常電圧に一定の値を加えた上限しきい値を越えたとの電圧異常高信号及び通常電圧から一定の値を減じた下限しきい値を下回ったとの電圧異常低信号を検出したときに、電動モータへの給電を停止させる制御部を備える作業機であって、制御部が、バッテリの電圧波形を監視するものであり、この電圧波形が上限しきい値を超えた後に下限しきい値を下回る回数をカウントし、このカウントした回数が規定回数を超えたか否かを判断し、カウントした回数が規定回数を超えたときにターミナル外れと判定するものであることを特徴とする。
【0007】
バッテリからハーネスが外れたときには、電源の電圧波形は発電機で発生した波形のままになるので、この波形を制御部で速やかに検出するようにした。詳しくは、制御部は、電圧波形が上限しきい値を越えるとともに下限しきい値を下回ったことを検出したときに、この電圧波形が発電機で発生した波形のまま、すなわち、電源の電圧が異常になったと判定して、電動モータを停止させるようにした。
さらに、制御部は、バッテリの電圧波形を監視するものであり、この電圧波形が上限しきい値を超えた後に下限しきい値を下回る回数をカウントし、このカウントした回数が規定回数を超えたか否かを判断し、カウントした回数が規定回数を超えたときにターミナル外れと判定するものとした。このようにすることで、電動モータを含む各種電気部品の作動特性や耐久性を確保することができる。従って、作業機をより安定した作動状態に維持することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は作業者から見た方向に従い、Lは左側、Rは右側を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0009】
図1は本発明に係る除雪機の平面図であり、電動車両としての除雪機10は、機体11にエンジン12を搭載し、機体11の前部に作業部としてのオーガ13及びブロア14を装備し、機体11の左右にクローラ15L,15Rを配置し、機体11の後部に操作盤16を配置した車両であり、作業者が操作盤16の後から連れ歩く歩行型作業機である。以下、要部を詳細に説明する。なお、操作盤16は図2で詳しく説明する。
【0010】
エンジン12の出力の一部で、発電機17を回し、得た電力を操作盤16の下方に配置したバッテリ(図4の符号43参照)に供給すると共に、後述する左右の走行モータに供給する。
エンジン12の出力の残部は、電磁クラッチ18及びベルト19を介して作業部としてのブロア14及びオーガ13の回転に充てる。オーガ13は地面に積もった雪を中央に集める作用をなし、この雪を受け取ったブロア14はシュータ21を介して雪を機体11の周囲の所望の位置へ投射する。22はオーガハウジングであり、オーガ13を囲うカバー部材である。
【0011】
左のクローラ15Lは、駆動輪23Lと遊動輪24Lとに巻き掛けたものであり、本発明では駆動輪23Lは左の走行モータ25Lで正逆転させる。右のクローラ15Rも、駆動輪23Rと遊動輪24Rとに巻き掛けたものであり、本発明では駆動輪23Rは右の走行モータ25Rで正逆転させる。
【0012】
従来の除雪機では1個のエンジン(ガソリンエンジン又はジーゼルエンジン)で作業部系(オーガ回転系)と走行系(クローラ駆動系)とを賄っていたが、本発明ではエンジン12で作業部系(オーガ回転系)を駆動し、電動モータ(走行モータ25L,25R)で走行系(クローラ駆動系)を駆動するようにしたことを特徴とする。
細かな走行速度の制御、旋回制御及び前後進切替制御は電動モータが適当であり、一方、急激な負荷変動を受ける作業部系はパワーのある内燃機関が適当であるとの考えに基づいて、そのようにした。
【0013】
図2は図1の2矢視図であり、操作盤16には、操作箱27の手前の側面にメインスイッチ28、エンジンチョーク29、クラッチ操作ボタン31などを備え、操作箱27の上面に、投雪方向調節レバー32、オーガハウジング姿勢調節レバー33、走行系に係る方向速度レバー34、作業部系に係るエンジンスロットルレバー35を備え、操作箱27の右にグリップ36R及び右旋回操作レバー37Rを備え、操作箱27の左にグリップ36L、左旋回操作レバー37L及び走行準備レバー38を備える。
【0014】
左右旋回操作レバー37L,37Rはブレーキレバーに近似するが、後述するとおりに完全な制動効果は得られない。操作することで走行モータ25L,25Rの回転を落として機体をターンさせることに使用するため、ブレーキレバーと言わずに旋回操作レバーと呼ぶことにした。
【0015】
メインスイッチ28はメインキーを差込み、回すことでエンジンを始動することのできる周知のスイッチである。エンジンチョーク29は引くことで混合気の濃度を高めることができる。投雪方向調節レバー32は、シュータ(図1の符号21)方向を変更するときに操作するレバーであり、オーガハウジング姿勢調節レバー33はオーガハウジング(図1の符号22)の姿勢を変更するときに操作するレバーである。
その他の部材の作用は、図4で説明する。
【0016】
図3は図2の3矢視図であり、左旋回操作レバー37Lを握ることにより、ポテンショメータ39Lのアーム39aの角度を想像線の位置まで回転することができる。ポテンショメータ39Lはアーム39aの回転位置に応じた電気情報を発する機器である。
【0017】
また、走行準備レバー38はスイッチ手段42に作用する部材であり、スプリング41の引き作用により、図の状態(フリー状態)になればスイッチ手段42はオンになる。作業者の左手で走行準備レバー38を図時計回りに下げれば、スイッチ手段42はオフとなる。このように、走行準備レバー38が握られているか否かはスイッチ手段42で検出することができる。
【0018】
図4は本発明に係る除雪機の制御系統図であり、操作盤に内蔵若しくは付設した制御部44内の機器及び情報伝達経路を示すが、概ね四角は機器、丸はドライバーを示す。そして、想像線枠で囲ったエンジン12、電磁クラッチ18、ブロア14及びオーガ13が作業部系45であり、その他は走行系となる。43はバッテリである。
なお、制御部44内に破線で指令の流れを便宜上示したが、これはあくまでも参考的記載に過ぎない。
【0019】
先ず、作業部系の作動を説明する。
メインスイッチ28にキーを差込み、回してスタートポジションにすることにより、図示せぬセルモータの回転によりエンジン12を始動させる。
エンジンスロットルレバー35は図示せぬスロットルワイヤでスロットルバルブ48に繋がっているので、エンジンスロットルレバー35を操作することでスロットルバルブ48の開度を制御することができる。これにより、エンジン12の回転数を制御することができる。
【0020】
走行準備レバー38を握ると共に、クラッチ操作ボタン31を操作することにより、作業者の意志で電磁クラッチ18を接続し、ブロア14及びオーガ13を回すことができる。
なお、走行準備レバー38をフリーにするかクラッチ操作ボタン31を操作するかの何れかにより、電磁クラッチ18を断状態にすることができる。
【0021】
次に走行系の作動を説明をする。本発明の除雪機は、普通車両のパーキングブレーキに相当するブレーキとして、左右の電磁ブレーキ51L,51Rを備えており、これらの電磁ブレーキ51L,51Rは、駐車中は制御部44の制御により、ブレーキ状態にある。そこで、次の手順で電磁ブレーキ51L,51Rを開放する。
【0022】
メインスイッチ28がスタートポジションにあること及び走行準備レバー38が握られていることの2つの条件が満たされ、方向速度レバー34を前進又は後進(図5で説明する。)に切換えると、電磁ブレーキ51L,51Rは開放(非ブレーキ)状態になる。
【0023】
図5は本発明で採用した方向速度レバーの作用説明図であり、方向速度レバー34は、作業者の手で、矢印▲1▼,▲2▼の如く往復させることができ、「中立範囲」より「前進」側へ倒せば車両を前進させることができ、且つ「前進」領域においては、Lfが低速前進、Hfが高速前進となるように、速度制御も行える。同様に、「中立範囲」より「後進」側へ倒せば車両を後進させることができ、且つ「後進」領域においては、Lrが低速後進、Hrが高速後進となるように、速度制御も行える。この例では、図の左端に付記した通りに、後進の最高速が0V(ボルト)、前進の最高速が5V、中立範囲が2.3V〜2.7Vになるようにポテンショメータでポジションに応じた電圧を発生させる。
1つのレバーで前後の方向と高低速の速度制御とを設定できるので、方向速度レバー34と名付けた。
【0024】
図4に戻って、方向速度レバー34の位置情報をポテンショメータ49から得た制御部44は、左右のモータドライバー52L,52Rを介して左右の走行モータ25L,25Rを回し、走行モータ25L,25Rの回転速度を回転センサ53L,53Rで検出して、その信号に基づいて回転速度を所定値になるようにフィードバック制御を実行する。この結果、左右の駆動輪23L,23Rが所望の方向に、所定の速度で回り、走行状態となる。
【0025】
走行中の制動は次の手順で行う。本発明ではモータドライバー52L,52Rに回生ブレーキ回路54L,54Rを含む。
【0026】
一般論としてバッテリから電動モータへ電気エネルギーを供給することで、電動モータは回転する。一方、発電機は回転を電気エネルギーに変換する手段である。そこで、本発明では電気的切換えにより、走行モータ25L,25Rを発電機に変え、発電させるようにした。発電電圧がバッテリ電圧より高ければ、電気エネルギーはバッテリ43へ蓄えることができる。これが回生ブレーキの作動原理である。
【0027】
左旋回操作レバー37Lの握りの程度をポテンショメータ39Lで検出し、この検出信号に応じて制御部44は左の回生ブレーキ回路54Lを作動させて、左の走行モータ25Lの速度を下げる。
右旋回操作レバー37Rの握りの程度をポテンショメータ39Rで検出し、この検出信号に応じて制御部44は右の回生ブレーキ回路54Rを作動させて、右の走行モータ25Rの速度を下げる。
すなわち、左旋回操作レバー37Lを握ることで左旋回させることができ、右旋回操作レバー37Rを握ることで右旋回させることができる。
【0028】
そして、次の何れかにより走行を停止することができる。
方向速度レバー34を中立位置に戻す。
走行準備レバー38を離す。
メインスイッチ28をオフ位置に戻す。
【0029】
停止後にメインスイッチ28をオフ位置に戻せば、電磁ブレーキ51L,51Rがブレーキ状態となり、パーキングブレーキを掛けたことと同じになる。
【0030】
図6は本発明に係る除雪機の回路図であり、特に発電機17、メインスイッチ28、バッテリ43及び制御部44の関係について示したものである。
発電機17は、エンジン12で回転駆動するロータ17aと、ロータ17aを磁化するロータコイル(フィールドコイル)17bと、ロータコイル17bに励磁電流を流す際の電圧を調整する電圧調整器17cと、を備える交流発電機である。電圧調整器17cの有無は任意である。
【0031】
メインスイッチ28は、差込んだキーを回すことで可動接点28aを「オフ位置OFF」、「オン位置ON」、「スタート位置ST」に切換え操作するイグニッションスイッチである。このメインスイッチ28は、可動接点28aがオン位置ONで接触するオン用固定接点28bと、可動接点28aがスタート位置STで接触するスタート用固定接点28cとを備える。
【0032】
メインスイッチ28をスタート位置STに切換えたとき、制御部44はスタート用固定接点28cを介してスタート信号を受け、スタート用リレー61をオン(コイル61aを励磁させることで可動接点61bをオン)にして、セルモータ62を回転せるとともに点火プラグ63を点火させ、エンジン12を始動させる。
さらに制御部44は、作業用リレー64をオン(コイル64aを励磁させることで可動接点64bをオン)にして、オーガを含む各種の作業負荷65を作動させる。
【0033】
本発明は、メインスイッチ28の操作に基づいて始動させるエンジン12と、エンジン12により駆動する除雪用オーガ等の作業部と、エンジン12により駆動する発電機17と、発電機17により充電するバッテリ43と、発電機17並びにバッテリ43を電源とする走行モータとしての電動モータ25L,25Rと、電動モータ25L,25Rにより駆動する駆動輪等の走行部と、を備えた作業機において、メインスイッチ28にてエンジン12を始動してからエンジン12が始動完了するまでの始動所要時間が経過するまで、発電機17のロータコイル17bへの通電を実施せぬ非通電制御をする制御部44を備えたことを特徴とする。
詳しくは、メインスイッチ28のオン用固定接点28bからロータコイル17bまでの回路中に、発電機用リレー66の常開接点66bを介在させ、発電機用リレー66を制御部44で制御するようにした。
【0034】
メインスイッチ28をオン位置ONに切換え、制御部44にて発電機用リレー66をオン(コイル66aを励磁させることで常開接点66bをオン)にしたときだけ、バッテリ43→可動接点28a→オン用固定接点28b→電圧調整器17cの経路でロータコイル17bに励磁電流を流すことができる。この結果、ロータコイル17bは励磁してロータ17aを磁化する。その後に、エンジン12がロータ17aを回転駆動することで、発電機17は発電を開始する。
【0035】
ところで、バッテリ43は正極端子43a並びに負極端子43bにハーネス(導線)68,69を接続し、これらのハーネス68,69によって発電機17、メインスイッチ28、電動モータ25L,25R、制御部44、各種の作業負荷65等の電気部品に接続したものである。
【0036】
本発明の制御部44は、電源の電圧が通常電圧に一定の値を加えた上限しきい値を越えたとの電圧異常高信号と、通常電圧から一定の値を減じた下限しきい値を下回ったとの電圧異常低信号と、を検出したときに、(1)電動モータへ25L,25Rや作業負荷65への給電を停止させ、(2)発電機17のロータコイル17bへの通電を停止させ、(3)警報ランプ88を点灯させる構成であることを特徴とする。
【0037】
具体的には、発電機17で発生した電圧波形は一般に波形であるが、これをバッテリ43で吸収することで、平滑な波形となる。この結果、電源の電圧が安定した電力を各種電気部品に供給することができる。
しかし、振動等によってバッテリ43の正極端子43aや負極端子43bからハーネス68,69が外れると、電圧波形は波形のままになる。この波形の電圧波形を制御部44で速やかに検出するようにした。
【0038】
詳しくは、制御部44は、電源(発電機17並びにバッテリ43)の電圧24ボルトを制御部44で使用する5ボルトに低減させる電圧調整器71と、電源の電圧を検出する電源電圧検出回路72と、電源電圧検出回路72の検出信号をA/D変換回路73にてアナログ信号からデジタル信号に変換した後に取入れる中央処理装置(マイクロコンピュータ、「central processing unit」、略称「CPU」とも言う。)74と、中央処理装置74の制御信号を各負荷に対応する制御信号に変換する出力回路75〜79とを備える。この中央演算処理装置74は、上述したような制御部44の制御を実行するものである。
【0039】
電源電圧検出回路72は、メインスイッチ28のオン用固定接点28bに接続して電源の電圧を分圧する分圧抵抗81,82と、何等かの原因によって発生するノイズを吸収する充・放電回路(充電抵抗83、コンデンサ84、ダイオード85の組合せからなり充電並びに放電する回路。)とからなる。
なお、電圧調整器71の二次側にA/D変換回路73の入力側を接続することにより、電源電圧検出回路72の検出信号を0〜5ボルトに変換して、A/D変換回路73に入れることができる。
【0040】
中央処理装置74によれば、電源電圧検出回路72から受けた検出信号を「上限しきい値」並びに「下限しきい値」と比較することで、(1)電源の電圧が通常電圧に一定の値を加えた上限しきい値を越えたことを検出したときに電圧異常高信号を検出し、(2)通常電圧から一定の値を減じた下限しきい値を下回ったことを検出したときに電圧異常低信号を検出することができる。
【0041】
図7は本発明に係る制御部による電圧異常検出の概念を説明する説明図であり、横軸を時間(ミリ秒)とし縦軸を電源の電圧Vc(ボルト)として表す。
ここで、電源の電圧Vcのうち、通常電圧をV0とし、通常電圧V0に一定の値を加えた上限しきい値をV1とし、通常電圧V0から一定の値を減じた下限しきい値をV2とする。なお、上限しきい値V1及び下限しきい値V2については、バッテリの端子からハーネスが外れたことを判断可能な値であればよい。
【0042】
発電機にバッテリがハーネスで接続されているときには、発電機で発生した電圧波形をバッテリで吸収するので、電圧波形は通常電圧V0を基準とする平滑な波形である。
その後、時間Toにおいてバッテリの端子からハーネスが外れると、電圧波形は、上限しきい値V1を越えたり下限しきい値V2を下回わるという、比較的変動が大きい波形のままになる。この電圧波形は発電機のロータの回転数に応じて反復する。
【0043】
ここで、電圧波形が上限しきい値V1を越えた後に下限しきい値V2を下回る毎の回数、すなわち1周期毎の回数を「実エラー回数Er」と言う。図7においては、時間Toを経過してから、電圧波形が上限しきい値V1を越えた後に下限しきい値V2を下回ったときの実エラー回数Erは1回であり(Er=1)、それよりも前は0回である(Er=0)。
【0044】
次に、上記図6に示す制御部44をマイクロコンピュータとした場合に、電源の電圧が異常であると判定するときの制御フローについて、図8に基づき説明する。図中、ST××はステップ番号を示す。特に説明がないステップ番号については、番号順に進行する。
【0045】
図8は本発明に係る制御部の制御フローチャートである。なお、この制御はメインスイッチ28(図6参照)をオン位置ONに切換えたという条件下で実行する。
ST01;初期設定をする。例えば実エラー回数Erをリセットする(Er=0)。
ST02;電源の電圧Vcを読み込む。
ST03;電源の電圧Vcが通常電圧に一定の値を加えた上限しきい値V1を越えたか否かを調べ、YESであれば電圧異常高信号を検出したとしてST04に進み、NOであればST09に進む。
【0046】
ST04;制御部に内蔵したタイマをリセット(Tc=0)してスタートさせる。
ST05;タイマをスタートしてからのカウント時間(経過時間)Tcが所定の基準時間Tsに達したか否かを調べ、YESであれば電圧異常低信号を検出するタイミングに達したとしてST06に進み、NOであればST05を繰り返す。なお、このST05は、ノイズを誤って検知してしまうことを防止するためのステップである。
【0047】
ST06;電源の電圧Vcを読み込む。
ST07;電源の電圧Vcが通常電圧から一定の値を減じた下限しきい値V2を下回ったか否かを調べ、YESであれば電圧異常低信号を検出したとしてST08に進み、NOであればST09に進む。
【0048】
ST08;電圧異常高信号及び電圧異常低信号を検出したとして、実エラー回数Erを1回加算する。
ST09;実エラー回数Erをリセットした(Er=0)後に、ST02に戻る。
ST10;実エラー回数Erが予め設定された基準エラー回数Esを越えたか否かを調べ、YESであれば電源の電圧Vcが異常になったと判定して、ST11に進み、NOであればST02に戻る。
【0049】
ST11;電圧Vcが異常、すなわちバッテリからハーネスが外れたとして、除雪用オーガ等の作業部への給電を停止させることで作業部を停止させる。
ST12;電圧Vcが異常であるとして、電動モータへの給電を停止させることで電動モータを停止させる
ST13;電圧Vcが異常であるとして、発電機のロータコイルbへの通電を停止させる。
ST14;電圧Vcが異常であるとして、警報ランプを点灯させて、スタートへリターンさせる。
【0050】
以上の説明から明らかなように、ST02〜ST03は電圧異常高検出手段の役割を果たす。ST04〜ST05は検出タイミング手段の役割を果たす。ST06〜ST07は電圧異常低検出手段の役割を果たす。ST08〜ST10は電圧異常、すなわちハーネス外れ判定手段の役割を果たす。ST11〜ST14は作業機停止手段の役割を果たす。
【0051】
このように制御部は、電圧波形が発電機で発生した波形のまま、すなわち、電源の電圧が異常になったことを速やかに検出し、このときにはバッテリからハーネスが外れたと判定することができる。
【0052】
なお、本発明を適用する作業機は除雪機10に限るものではなく、芝刈機など種類は任意である。芝刈機とした場合の作業部は、エンジンにより駆動する芝刈用カッタである。
【0053】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、電源の電圧が通常電圧に一定の値を加えた上限しきい値を越えたとの電圧異常高信号と、通常電圧から一定の値を減じた下限しきい値を下回ったとの電圧異常低信号と、を検出したときに、電動モータへの給電を停止させる制御部を備えているので、バッテリからハーネスが外れたときに、電源の電圧波形が発電機で発生した波形のままであることを、制御部で速やかに検出することができる。
詳しくは、制御部は、電圧波形が上限しきい値を越えるとともに下限しきい値を下回ったことを検出したときに、この電圧波形が発電機で発生した波形のまま、すなわち、電源の電圧が異常になったと判定して、電動モータを停止させるようにした。
さらに、制御部は、バッテリの電圧波形を監視するものであり、この電圧波形が上限しきい値を超えた後に下限しきい値を下回る回数をカウントし、このカウントした回数が規定回数を超えたか否かを判断し、カウントした回数が規定回数を超えたときにターミナル外れと判定するものとした。このようにすることで、電動モータをを含む各種電気部品の作動特性や耐久性を確保することができる。従って、作業機をより安定した作動状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る除雪機の平面図
【図2】図1の2矢視図
【図3】図2の3矢視図
【図4】本発明に係る除雪機の制御系統図
【図5】本発明で採用した方向速度レバーの作用説明図
【図6】本発明に係る除雪機の回路図
【図7】本発明に係る制御部による電圧異常検出の概念を説明する説明図
【図8】本発明に係る制御部の制御フローチャート
【符号の説明】
10…作業機(除雪機)、11…機体、12…エンジン、13,14…作業部(除雪用オーガ並びにブロア)、17…発電機(電源)、23L,23R…走行部(走行輪)、25L,25R…電動モータ(走行モータ)、43…バッテリ(電源)、44…制御部、Vc…電源の電圧、V1…通常電圧に一定の値を加えた上限しきい値、V2…通常電圧から一定の値を減じた下限しきい値。
Claims (1)
- エンジンにより駆動する除雪用オーガ等の作業部と、前記エンジンにより駆動する発電機と、この発電機により充電するバッテリと、これら発電機並びにバッテリを電源とする電動モータと、この電動モータにより駆動する走行輪等の走行部と、前記電源の電圧が通常電圧に一定の値を加えた上限しきい値を越えたとの電圧異常高信号及び通常電圧から一定の値を減じた下限しきい値を下回ったとの電圧異常低信号を検出したときに、前記電動モータへの給電を停止させる制御部を備える作業機であって、
前記制御部は、前記バッテリの電圧波形を監視するものであり、この電圧波形が前記上限しきい値を超えた後に前記下限しきい値を下回る回数をカウントし、このカウントした回数が規定回数を超えたか否かを判断し、前記カウントした回数が規定回数を超えたときにターミナル外れと判定するものであることを特徴とする作業機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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