JP3672522B2 - 作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業部の駆動源となるエンジン及び走行部の駆動源となる電動モータを備えた作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、作業機としては、作業部の駆動源と走行部の駆動源とを分離した機種が開発されてきている。例えば作業部をエンジンで駆動し、走行部を電動モータで駆動する。電動モータの回転を制御する方式であるから、比較的小回りの利く作業機にすることができる。このような作業機としては、例えば特開平3−43013号公報「自力走行芝刈機」(以下、「従来の技術」と言う)が知られている。
【0003】
この従来の技術は、同公報の第1図によれば、エンジン2(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)にて芝刈り用カッタ3を駆動し、バッテリ49を電源とする走行用駆動モータ20にて前輪10を駆動し、コントローラ53にて走行用駆動モータ20を回転制御するというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術は、走行用駆動モータ20の消費電力をバッテリ49の電力だけでまかなうものであり、長時間にわたって作業をするには限界がある。しかも大容量のバッテリ49を備える必要がある。大容量のバッテリ49は大型で大重量であり、小型の作業機に搭載することは得策ではない。
【0005】
そこで、エンジン2にて芝刈り用カッタ3の他に発電機をも駆動し、この発電機にてバッテリ49を充電し、これら発電機並びにバッテリ49を走行用駆動モータ20の電源とすることが考えられる。発電機にて発生させた電力だけで走行用駆動モータ20の消費電力をまかなうとともに、余った電力をバッテリ49に充電することができる。このようにすれば、バッテリ49の小型化を図ることができるので、作業機への搭載スペースの削減を図るとともに作業機を軽量にするには有利である。しかも、長時間にわたって作業をすることができる。
【0006】
しかし、発電量の大きい発電機を準備することになる。大型発電機を駆動するには、その分だけエンジン2の負担が増す。大型エンジンであれば、大型発電機を駆動してもエンジン性能を十分に維持することができる。ところが、一般に小さい負荷の作業部を駆動する場合の動力源としては、小型エンジンを搭載することが多い。小型エンジンで大型発電機を駆動する場合には、作業部を駆動するための負担に比べて発電のための負担の割合が大きい。特に、低温時におけるエンジンの始動性能を十分に確保するには、改良の余地がある。このことについて、次の図11にて説明する。
【0007】
図11は一般的な作業機の作用説明図である。この一般的な作業機の操作手順は次の通りである。
先ず、メインスイッチ(イグニッションスイッチ)をオフ位置OFFからオン位置ONに切換えることで、発電機のロータコイルに通電して励磁電流を流す。この結果、発電機は発電可能な状態になる。
次に、メインスイッチをオン位置ONから始動位置STに切換えることで、エンジンを始動する。この結果、エンジンで発電機を駆動して発電を開始する。
【0008】
ところが、エンジンを始動させた初期状態においては、エンジンの回転がまだ安定しておらず、低速回転中である。このような初期状態において、発電機を駆動して発電を開始するのでは、エンジンの負担が大きい。従って、エンジンの始動性能を十分に発揮することができない。
【0009】
そこで本発明の目的は、エンジンで作業部並びに発電機を駆動し、この発電機でバッテリを充電し、これらの発電機並びにバッテリを電動モータの電源とする作業機において、エンジンの始動性能をより十分に高めることができる技術を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、メインスイッチの操作に基づいて始動させるエンジンと、このエンジンにより駆動する除雪用オーガ等の作業部と、エンジンにより駆動する発電機と、この発電機により充電するバッテリと、これら発電機並びにバッテリを電源とする電動モータと、この電動モータにより駆動する走行輪等の走行部と、を備える作業機において、この作業機は、メインスイッチにてエンジンを始動してからエンジンが始動完了するまでの始動所要時間が経過するまで、発電機のロータコイルへの通電を実施せぬ非通電制御をする制御部を備えるとともに、作業者が握ることで作業部並びに走行部を作動可能にする走行準備レバーを備え、制御部は、走行準備レバーが握られたときには、始動所要時間が経過する前であってもロータコイルへの通電を実施する、通電制御をするように構成したことを特徴とする。
【0011】
エンジンの始動時に、電動モータの電力源となる大容量発電機を作動させないので、エンジン並びにエンジン始動装置にかかる負担を軽減することができる。この結果、エンジンの始動性能をより十分に高めることができるとともに、エンジン並びにエンジン始動装置の耐久性をより高めることができる。
さらには、走行準備レバーが握られたときには、始動所要時間が経過する前であってもロータコイルへの通電を実施する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は作業者から見た方向に従い、Lは左側、Rは右側を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0013】
図1は本発明に係る除雪機の平面図であり、電動車両としての除雪機10は、機体11にエンジン12を搭載し、機体11の前部に作業部としてのオーガ13及びブロア14を装備し、機体11の左右にクローラ15L,15Rを配置し、機体11の後部に操作盤16を配置した車両であり、作業者が操作盤16の後から連れ歩く歩行型作業機である。以下、要部を詳細に説明する。なお、操作盤16は図2で詳しく説明する。
【0014】
エンジン12の出力の一部で、発電機17を回し、得た電力を操作盤16の下方に配置したバッテリ(図4の符号43参照)に供給すると共に、後述する左右の走行モータに供給する。
エンジン12の出力の残部は、電磁クラッチ18及びベルト19を介して作業部としてのブロア14及びオーガ13の回転に充てる。オーガ13は地面に積もった雪を中央に集める作用をなし、この雪を受け取ったブロア14はシュータ21を介して雪を機体11の周囲の所望の位置へ投射する。22はオーガハウジングであり、オーガ13を囲うカバー部材である。
【0015】
左のクローラ15Lは、駆動輪23Lと遊動輪24Lとに巻き掛けたものであり、本発明では駆動輪23Lは左の走行モータ25Lで正逆転させる。右のクローラ15Rも、駆動輪23Rと遊動輪24Rとに巻き掛けたものであり、本発明では駆動輪23Rは右の走行モータ25Rで正逆転させる。
【0016】
従来の除雪機では1個のエンジン(ガソリンエンジン又はジーゼルエンジン)で作業部系(オーガ回転系)と走行系(クローラ駆動系)とを賄っていたが、本発明ではエンジン12で作業部系(オーガ回転系)を駆動し、電動モータ(走行モータ25L,25R)で走行系(クローラ駆動系)を駆動するようにしたことを特徴とする。
細かな走行速度の制御、旋回制御及び前後進切替制御は電動モータが適当であり、一方、急激な負荷変動を受ける作業部系はパワーのある内燃機関が適当であるとの考えに基づいて、そのようにした。
【0017】
図2は図1の2矢視図であり、操作盤16には、操作箱27の手前の側面にメインスイッチ28、エンジンチョーク29、クラッチ操作ボタン31などを備え、操作箱27の上面に、投雪方向調節レバー32、オーガハウジング姿勢調節レバー33、走行系に係る方向速度レバー34、作業部系に係るエンジンスロットルレバー35を備え、操作箱27の右にグリップ36R及び右旋回操作レバー37Rを備え、操作箱27の左にグリップ36L、左旋回操作レバー37L及び走行準備レバー38を備える。
【0018】
左右旋回操作レバー37L,37Rはブレーキレバーに近似するが、後述するとおりに完全な制動効果は得られない。操作することで走行モータ25L,25Rの回転を落として機体をターンさせることに使用するため、ブレーキレバーと言わずに旋回操作レバーと呼ぶことにした。
【0019】
メインスイッチ28はメインキーを差込み、回すことでエンジンを始動することのできる周知のスイッチである。エンジンチョーク29は引くことで混合気の濃度を高めることができる。投雪方向調節レバー32は、シュータ(図1の符号21)方向を変更するときに操作するレバーであり、オーガハウジング姿勢調節レバー33はオーガハウジング(図1の符号22)の姿勢を変更するときに操作するレバーである。
その他の部材の作用は、図4で説明する。
【0020】
図3は図2の3矢視図であり、左旋回操作レバー37Lを握ることにより、ポテンショメータ39Lのアーム39aの角度を想像線の位置まで回転することができる。ポテンショメータ39Lはアーム39aの回転位置に応じた電気情報を発する機器である。
【0021】
また、走行準備レバー38はスイッチ手段42に作用する部材であり、スプリング41の引き作用により、図の状態(フリー状態)になればスイッチ手段42はオンになる。作業者の左手で走行準備レバー38を図時計回りに下げれば、スイッチ手段42はオフとなる。このように、走行準備レバー38が握られているか否かはスイッチ手段42で検出することができる。
【0022】
図4は本発明に係る除雪機の制御系統図であり、操作盤に内蔵若しくは付設した制御部44内の機器及び情報伝達経路を示すが、概ね四角は機器、丸はドライバーを示す。そして、想像線枠で囲ったエンジン12、電磁クラッチ18、ブロア14及びオーガ13が作業部系45であり、その他は走行系となる。43はバッテリである。
なお、制御部44内に破線で指令の流れを便宜上示したが、これはあくまでも参考的記載に過ぎない。
【0023】
先ず、作業部系の作動を説明する。
メインスイッチ28にキーを差込み、回してスタートポジションにすることにより、図示せぬセルモータの回転によりエンジン12を始動させる。
エンジンスロットルレバー35は図示せぬスロットルワイヤでスロットルバルブ48に繋がっているので、エンジンスロットルレバー35を操作することでスロットルバルブ48の開度を制御することができる。これにより、エンジン12の回転数を制御することができる。
【0024】
走行準備レバー38を握ると共に、クラッチ操作ボタン31を操作することにより、作業者の意志で電磁クラッチ18を接続し、ブロア14及びオーガ13を回すことができる。
なお、走行準備レバー38をフリーにするかクラッチ操作ボタン31を操作するかの何れかにより、電磁クラッチ18を断状態にすることができる。
【0025】
次に走行系の作動を説明をする。本発明の除雪機は、普通車両のパーキングブレーキに相当するブレーキとして、左右の電磁ブレーキ51L,51Rを備えており、これらの電磁ブレーキ51L,51Rは、駐車中は制御部44の制御により、ブレーキ状態にある。そこで、次の手順で電磁ブレーキ51L,51Rを開放する。
【0026】
メインスイッチ28がスタートポジションにあること及び走行準備レバー38が握られていることの2つの条件が満たされ、方向速度レバー34を前進又は後進(図5で説明する。)に切換えると、電磁ブレーキ51L,51Rは開放(非ブレーキ)状態になる。
【0027】
図5は本発明で採用した方向速度レバーの作用説明図であり、方向速度レバー34は、作業者の手で、矢印▲1▼,▲2▼の如く往復させることができ、「中立範囲」より「前進」側へ倒せば車両を前進させることができ、且つ「前進」領域においては、Lfが低速前進、Hfが高速前進となるように、速度制御も行える。同様に、「中立範囲」より「後進」側へ倒せば車両を後進させることができ、且つ「後進」領域においては、Lrが低速後進、Hrが高速後進となるように、速度制御も行える。この例では、図の左端に付記した通りに、後進の最高速が0V(ボルト)、前進の最高速が5V、中立範囲が2.3V〜2.7Vになるようにポテンショメータでポジションに応じた電圧を発生させる。
1つのレバーで前後の方向と高低速の速度制御とを設定できるので、方向速度レバー34と名付けた。
【0028】
図4に戻って、方向速度レバー34の位置情報をポテンショメータ49から得た制御部44は、左右のモータドライバー52L,52Rを介して左右の走行モータ25L,25Rを回し、走行モータ25L,25Rの回転速度を回転センサ53L,53Rで検出して、その信号に基づいて回転速度を所定値になるようにフィードバック制御を実行する。この結果、左右の駆動輪23L,23Rが所望の方向に、所定の速度で回り、走行状態となる。
【0029】
走行中の制動は次の手順で行う。本発明ではモータドライバー52L,52Rに回生ブレーキ回路54L,54Rを含む。
【0030】
一般論としてバッテリから電動モータへ電気エネルギーを供給することで、電動モータは回転する。一方、発電機は回転を電気エネルギーに変換する手段である。そこで、本発明では電気的切換えにより、走行モータ25L,25Rを発電機に変え、発電させるようにした。発電電圧がバッテリ電圧より高ければ、電気エネルギーはバッテリ43へ蓄えることができる。これが回生ブレーキの作動原理である。
【0031】
左旋回操作レバー37Lの握りの程度をポテンショメータ39Lで検出し、この検出信号に応じて制御部44は左の回生ブレーキ回路54Lを作動させて、左の走行モータ25Lの速度を下げる。
右旋回操作レバー37Rの握りの程度をポテンショメータ39Rで検出し、この検出信号に応じて制御部44は右の回生ブレーキ回路54Rを作動させて、右の走行モータ25Rの速度を下げる。
すなわち、左旋回操作レバー37Lを握ることで左旋回させることができ、右旋回操作レバー37Rを握ることで右旋回させることができる。
【0032】
そして、次の何れかにより走行を停止することができる。
方向速度レバー34を中立位置に戻す。
走行準備レバー38を離す。
メインスイッチ28をオフ位置に戻す。
【0033】
停止後にメインスイッチ28をオフ位置に戻せば、電磁ブレーキ51L,51Rがブレーキ状態となり、パーキングブレーキを掛けたことと同じになる。
【0034】
図6は本発明に係る除雪機の回路図であり、特に発電機17、メインスイッチ28及び制御部44の関係について示したものである。
発電機17は、エンジン12で回転駆動するロータ17aと、ロータ17aを磁化するロータコイル(フィールドコイル)17bと、ロータコイル17bに励磁電流を流す際の電圧を調整する電圧調整器17cと、を備える交流発電機である。電圧調整器17cの有無は任意である。
【0035】
メインスイッチ28は、差込んだキーを回すことで可動接点28aを「オフ位置OFF」、「オン位置ON」、「スタート位置ST」に切換え操作するイグニッションスイッチである。このメインスイッチ28は、可動接点28aがオン位置ONで接触するオン用固定接点28bと、可動接点28aがスタート位置STで接触するスタート用固定接点28cとを備える。
【0036】
メインスイッチ28をスタート位置STに切換えたとき、制御部44はスタート用固定接点28cを介してスタート信号を受け、スタート用リレー61をオン(コイル61aを励磁させることで可動接点61bをオン)にして、セルモータ62を回転せるとともに点火プラグ63を点火させ、エンジン12を始動させる。
さらに制御部44は、作業用リレー64をオン(コイル64aを励磁させることで可動接点64bをオン)にして、オーガを含む各種の作業負荷65を作動させる。
【0037】
本発明は、メインスイッチ28の操作に基づいて始動させるエンジン12と、エンジン12により駆動する除雪用オーガ等の作業部と、エンジン12により駆動する発電機17と、発電機17により充電するバッテリ43と、発電機17並びにバッテリ43を電源とする走行モータとしての電動モータ25L,25Rと、電動モータ25L,25Rにより駆動する駆動輪等の走行部と、を備えた作業機において、メインスイッチ28にてエンジン12を始動してからエンジン12が始動完了するまでの始動所要時間が経過するまで、発電機17のロータコイル17bへの通電を実施せぬ非通電制御をする制御部44を備えたことを特徴とする。
詳しくは、メインスイッチ28のオン用固定接点28bからロータコイル17bまでの回路中に、発電機用リレー66の常開接点66bを介在させ、発電機用リレー66を制御部44で制御するようにした。
【0038】
メインスイッチ28をオン位置ONに切換え、制御部44にて発電機用リレー66をオン(コイル66aを励磁させることで常開接点66bをオン)にしたときだけ、バッテリ43→可動接点28a→オン用固定接点28b→電圧調整器17cの経路でロータコイル17bに励磁電流を流すことができる。この結果、ロータコイル17bは励磁してロータ17aを磁化する。その後に、エンジン12がロータ17aを回転駆動することで、発電機17は発電を開始する。
【0039】
さらに制御部44は、メインスイッチ28をオン位置ONに切換えるとともに、走行準備レバー38(図3参照)を握ることでスイッチ手段42のスイッチ信号を受けたときには、エンジンの始動状態にかかわらず、発電機17のロータコイル17bへの通電を実施するように構成したことを特徴とする。具体的には、発電機用リレー66をオン(コイル66aを励磁させることで常開接点66bをオン)にする。
【0040】
次に、上記図6に示す制御部44をマイクロコンピュータとした場合に、発電機17を作動させるときの制御フローについて、図7及び図8に基づき説明する。図中、ST××はステップ番号を示す。特に説明がないステップ番号については、番号順に進行する。
【0041】
図7は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その1)である。
ST01;メインスイッチの切換え信号を読み込む。メインスイッチの切換え信号は「オフ位置OFF」、「オン位置ON」、「スタート位置ST」の3つである(図6参照)。
ST02;メインスイッチの切換え信号が「オン位置ON」であるか否かを調べ、YESでST03に進み、NOでST01に戻る。
ST03;メインスイッチの切換え信号が「オン位置ON」になったときに、発電機用リレーをオンにする。
【0042】
ST04;メインスイッチの切換え信号を読み込む。
ST05;メインスイッチの切換え信号が「スタート位置ST」であるか否かを調べ、YESでST06に進み、NOでST04に戻る。
ST06;メインスイッチの切換え信号が「スタート位置ST」になったときに、発電機用リレーをオフにする。
【0043】
ST07;メインスイッチの切換え信号を読み込む。
ST08;メインスイッチの切換え信号が「オン位置ON」であるか否かを調べ、YESでST09に進み、NOでST07に戻る。
ST09;発電機の始動タイミングを設定する。
ST10;始動タイミングになったときに発電機用リレーをオンにして、スタートへリターンさせる。
【0044】
ST01〜ST03は、発電機用リレーを作動させる第1段階である。ST04〜ST06は、発電機用リレーを作動させる第2段階である。ST07〜ST10は、発電機用リレーを作動させる第3段階である。
【0045】
図8は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その2)であり、上記図7のステップST09に示す発電機始動タイミング設定を具体的に実行するためのサブルーチンを示す。
【0046】
ST21;走行準備レバーの操作信号を読み込む。走行準備レバーの操作信号は、上記図3に示す走行準備レバー38で操作するスイッチ手段42のスイッチ信号である。
ST22;走行準備レバーがフリー状態であるか否かを調べ、YESであれば走行準備レバーを放した状態であるとしてST23に進み、NOであれば走行準備レバーを握った状態であるとして上記図7のST09にリターンさせる。
【0047】
ST23;制御部に内蔵したタイマが作動中であるか否かを調べ、YESであればST25に進み、NOであればST24に進む。
ST24;タイマをリセットしてスタートさせる。
ST25;タイマをスタートしてからのカウント時間(経過時間)Tcが所定の基準時間Tsに達したか否かを調べ、YESであれば発電機始動タイミングに達したとして上記図7のST09にリターンさせ、NOであればST21に戻る。
【0048】
次に、上記図7及び図8に示す制御部の制御フローの作用を説明する。
図9は本発明に係る制御部の作用図(その1)である。以下、図6を参照しつつ説明する。なお、横軸を時間(ミリ秒)とする。
【0049】
先ず、メインスイッチをオフ位置OFFからオン位置ONに切換える。この結果、発電機用リレーがオンになるので、発電機のロータコイルに励磁電流が流れる。
次に、メインスイッチをオン位置ONからスタート位置STに切換える。この結果、エンジンは始動する。同時に発電機用リレーはオフになり、発電機のロータコイルへの通電を停止する。
その後、メインスイッチをスタート位置STからオン位置ONに切換える。この結果、制御部に内蔵したタイマがスタートする(オンになる)。
【0050】
タイマは、予め設定された一定の基準時間Tsが経過したときにストップする(オフになる)。基準時間Tsは、メインスイッチをスタート位置STからオン位置ONへ切換えてから(即ち、メインスイッチにてエンジンを始動してから)エンジンが始動完了するまでの始動所要時間であり、例えば5secである。
タイマがオフになった時点で、発電機用リレーがオンになるので、発電機のロータコイルに励磁電流が流れる。この結果、発電機は発電可能な状態になる。このときには、エンジンが安定した作動をしているので、エンジンで発電機を駆動して安定した発電を開始する。
【0051】
以上の説明を整理して説明する。エンジンを始動させた初期状態においては、エンジンの回転がまだ安定しておらず、低速回転中である。このような初期状態においては、発電機用リレーをオフにすることで発電機の発電作用を停止しているので、エンジンの負担は軽い。従って、エンジンの始動性能を十分に発揮することができる。
【0052】
図10は本発明に係る制御部の作用図(その2)であり、上記図9に示す作用において、タイマ作動中に走行準備レバーを操作した場合を示す。なお、横軸を時間(ミリ秒)とする。
【0053】
タイマがオン作動中に走行準備レバーを握った場合には、その時点で発電機用リレーがオンになるので、発電機のロータコイルに励磁電流が流れる。この結果、発電機は発電可能な状態になる。このときには、エンジンの始動状態にかかわらず、エンジンで発電機を駆動して発電を開始する。
【0054】
なお、本発明を適用する作業機は除雪機10に限るものではなく、芝刈機など種類は任意である。芝刈機とした場合の作業部は、エンジンにより駆動する芝刈用カッタである。
【0055】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、メインスイッチにてエンジンを始動してからエンジンが始動完了するまでの始動所要時間が経過するまで、発電機のロータコイルへの通電を実施せぬ非通電制御をする制御部を備えたので、エンジンの始動時に、電動モータの電力源となる大容量発電機を作動させることがない。従って、エンジン並びにエンジン始動装置にかかる負担を軽減することができる。この結果、エンジンの始動性能をより十分に高めることができるとともに、エンジン並びにエンジン始動装置の耐久性をより高めることができる。
さらには、走行準備レバーが握られたときには、始動所要時間が経過する前であってもロータコイルへの通電を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る除雪機の平面図
【図2】図1の2矢視図
【図3】図2の3矢視図
【図4】本発明に係る除雪機の制御系統図
【図5】本発明で採用した方向速度レバーの作用説明図
【図6】本発明に係る除雪機の回路図
【図7】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その1)
【図8】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その2)
【図9】本発明に係る制御部の作用図(その1)
【図10】本発明に係る制御部の作用図(その2)
【図11】一般的な作業機の作用説明図
【符号の説明】
10…作業機(除雪機)、11…機体、12…エンジン、13,14…作業部(除雪用オーガ並びにブロア)、17…発電機、17b…発電機のロータコイル、23L,23R…走行部(走行輪)、25L,25R…電動モータ(走行モータ)、28…メインスイッチ、43…バッテリ、44…制御部、Ts…メインスイッチにてエンジンを始動してからエンジンが始動完了するまでの始動所要時間(基準時間)。
Claims (1)
- メインスイッチの操作に基づいて始動させるエンジンと、このエンジンにより駆動する除雪用オーガ等の作業部と、前記エンジンにより駆動する発電機と、この発電機により充電するバッテリと、これら発電機並びにバッテリを電源とする電動モータと、この電動モータにより駆動する走行輪等の走行部と、を備える作業機において、
この作業機は、前記メインスイッチにて前記エンジンを始動してからエンジンが始動完了するまでの始動所要時間が経過するまで、前記発電機のロータコイルへの通電を実施せぬ非通電制御をする制御部を備えるとともに、作業者が握ることで前記作業部並びに前記走行部を作動可能にする走行準備レバーを備え、
前記制御部は、前記走行準備レバーが握られたときには、前記始動所要時間が経過する前であっても前記ロータコイルへの通電を実施する、通電制御をするように構成したことを特徴とする作業機。
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