JP3764248B2 - ガス検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属酸化物半導体からなるガスセンサを用いて雰囲気の汚染、特に喫煙による炭酸ガスの発生を検出するものとして、特開平6ー66750号公報に記載されたものが知られている。この従来例は、ガスセンサの周囲温度、経時変化等によるドリフトを補正するため、ガスセンサ信号の包絡線を求めて該包絡線を基準値とし、ガスセンサ信号のレベルが基準値よりもガス濃度が高い側にある場合、つまり汚染側にある場合には基準値をガスセンサ信号のレベルに速やかに追随させ、逆にガスセンサ信号が基準値よりもガス濃度が低い側にある場合には、基準値をガスセンサ信号のレベルに向けて緩慢に追随させ、ガスセンサ信号のレベルと現在の基準値のレベルとの比較により、両者の差が許容値以上となった場合にガス発生と判定するようになっている。図8はこの従来例のガスセンサ信号のレベル(イ)と、基準値(ロ)の推移を示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来例では、図8(a),(b)に示すように基準値よりもガスセンサ信号のレベルが基準値を越えると、一定時間毎に基準値をガスセンサ信号レベルに近づけるようになっているため、ガス濃度が高く、ガス発生と判定されるべき筈の状態にかかわらず、基準値とガスセンサ信号のレベルとの差が大きくならず、汚染度出力は正確な検出ができないという問題があった。
【0004】
また、広範囲なガスセンサ信号を検出対象とするのが難しいものとして、限られた範囲を対象としていた。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、温度や湿度変化によるノイズ、ガスセンサ信号のドリフトによる誤検出を防ぐとともに、ガスセンサ信号の立ち上がりを速やかに検知することができ、また、ガス検知後の基準値の計算による誤差を低減することができ、また、広範囲なガスセンサ信号を計算精度を落とす事なく処理できるガス検出装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のガス検出装置は、金属酸化物半導体ガスセンサの出力信号の基準となる基準値を出力信号に近づくように更新する基準値更新手段において、基準値更新による誤差を小さくするように、更新条件の更新量または更新周期を汚染度に応じて変化させる更新条件決定手段を備えたものである。
【0007】
本発明によれば、基準値更新による誤差を小さくするように、汚染度に応じて基準値が適切に更新されるため、センサ信号のドリフトを補正しつつ、検知誤差の少ないガス検出装置が得られる。
【0008】
また、他の手段は、更新条件決定手段において、基準値更新による誤差を小さくするように基準値を出力信号に近づける量を変化させることによって更新条件を決定するものである。
【0009】
本発明によれば、基準値更新による誤差を小さくするように基準値の更新量を汚染度に応じて変化させるため、基準値更新による誤差を低減できる効果のあるガス検出装置が得られる。
【0010】
また、他の手段は、更新条件決定手段において、基準値更新による誤差を小さくするように、基準値を出力信号に近づける周期を変化させることによって更新条件を決定するものである。
【0011】
本発明によれば、基準値更新による誤差を小さくするように、基準値更新の機会を汚染度に応じて決定するため、正確な基準値を得ることができるガス検出装置が得られる。
【0012】
また、他の手段は、更新条件決定手段において、基準値更新による誤差を小さくするように基準値を出力信号に近づける周期と量を変化させることによって更新条件を決定するものである。
【0013】
本発明によれば、より基準値更新による誤差が小さく、正確に基準値を得ることができるガス検出装置が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
ガスセンサの出力信号と、この出力信号の基準となる基準値と、この基準値と前記出力信号とを比較して雰囲気の汚染度を出力する出力手段と、前記基準値を前記出力信号に近づくように更新する基準値更新手段と、基準値更新による誤差を小さくするように、この基準値更新手段の更新条件の更新量または更新周期を前記汚染度に応じて変化させる更新条件決定手段を備えたものである。
【0017】
また、更新条件決定手段において、基準値更新による誤差を小さくするように基準値を出力信号に近づける量を変化させることによって更新条件を決定するものである。
【0018】
また、更新条件決定手段において、基準値更新による誤差を小さくするように基準値を出力信号に近づける周期を変化させることによって更新条件を決定するものである。
【0019】
また、更新条件決定手段において、基準値更新による誤差を小さくするように基準値を出力信号に近づける周期と量を変化させることによって更新条件を決定するものである。
【0021】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0022】
【実施例】
(実施例1)
図1に示すように、金属酸化物半導体ガスセンサ(以下ガスセンサと省略する)1は負荷抵抗回路を介してバッテリーなどの直流電源3に接続してある。4はガスセンサ1に設けられたヒータであり、このヒータ4も直流電源3に接続してある。負荷抵抗回路は、抵抗2から構成される。
【0023】
5は本実施例における信号処理を行うための1チップの例えば4ビットマイクロコンピュータからなる信号処理部であって、図においてはその機能をブロック化して示しており、負荷抵抗回路の両端電圧VRLをA/Dコンバータ6を介して取り込み、電圧VRLからガスセンサ1のセンサ抵抗値Rsを計算するセンサ抵抗計算部7をA/Dコンバータ6を介して取り込み、センサ抵抗値Rsと比較する基準値Rsmを発生させる基準値発生部8と、基準値Rsmとセンサ抵抗値Rsとの比較により汚染度を計算する汚染度計算部9と、この汚染度計算部9で計算された汚染度をアナログ値に変換するD/Aコンバータ10と、汚染度から基準値Rsmの更新量X及び更新周期Zを計算する計算部11等から構成される。
【0024】
次に図1の回路を図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、装置をスタートさせると、信号処理部5では、負荷抵抗値RL、基準値発生部8の基準値Rsmを初期設定する。
【0025】
さて初期値設定後、現在の負荷抵抗値RLによる電圧VRLを取り込み、センサ抵抗計算部7がセンサ抵抗値Rsを電圧VRLより計算する。この計算は例えばRs=((256−VRL)×64)/VRLの式にて行う。
【0026】
このようにセンサ抵抗値Rsは基準値発生部8で発生している現在の基準値Rsmとコンパレータ12,13で比較し、センサ抵抗値Rsが基準値Rsm以上で無ければ、汚染方向基準値更新部8bにより基準値Rsmを更新し、逆にセンサ抵抗値Rsが基準値Rsm0以上であれば、清浄方向基準値更新部8aにより基準値Rsmを更新する。これらの更新量、更新周期は計算部11により計算され、夫々の更新部8a,8bに与えられる。
【0027】
この場合清浄方向であれば、サンプリング毎に例えばRsm=Rsm0+(Rs−Rsm0)/3で更新される。尚Rsm0が現在の基準値を示す。
【0028】
また汚染方向であれば、基準値更新周期毎(例えば、前回の更新タイミングからのサンプリング回数が所定値Z以上になった場合)に、Rsm=Rsm0−(Rsm0−Rs)/Xで更新する。ここでXは基準値更新量を示し、X=C1=(Rsm−Rs)×Vspan×8/Rsmより求める。尚C1はガスセンサ1の計算出力を示す。またVspanは定数であり、Xは10<X<100の範囲とし、その初期値を10とする。
【0029】
さて、上記のように基準値更新が為されながら、汚染度計算部9はセンサ抵抗値Rsとの差により汚染度を求めて、その汚染度をD/Aコンバータ10を介して外部に出力する。
【0030】
この汚染度出力により例えば空気清浄器や換気扇の場合であればファンの運転を汚染度に応じて運転制御する等行うことになる。
【0031】
以上のように、基準値更新の更新量を出力に応じて変化させることにより、汚染方向の高濃度では更新量を少なく、清浄方向の低濃度では更新量を多くすることが可能となり、基準値とすべき低濃度時は積極的に基準値を更新し、基準値をとるべきでない高濃度時は更新を小さくするため、基準値更新による誤差の少ない検知が可能となる。
【0032】
なお、センサ抵抗値Rsの計算において、本実施例では電圧VRLより直接計算したが、サーミスタ等の温度センサ、湿度センサなどによる温度補正や湿度補正などの補正を加えてもよい。
【0033】
(実施例2)
図3を参照しながら説明する。なお、本発明の実施例1と同一の部分は説明を省略する。
【0034】
センサ抵抗値Rsが基準値Rsm0以下の汚染方向であれば、基準値更新周期Z毎に、Rsm=Rsm0−(Rsm0−Rs)/X1で更新する。ここでX1は基準値更新量を示し、10<X1<1000の範囲の定数とする。
【0035】
更新周期Zは、Z=C1×Vk5により求める。
尚Vk5は更新周期係数であり、Zは20<Z<1000の範囲とし、その初期値を20とする。
【0036】
以上のように、基準値更新周期を出力に応じて変化させることにより、基準値をとるべき低濃度時に更新のタイミングが多くなり、確実に基準値をとることが可能となり、正確な検知を行うことができる。
【0037】
(実施例3)
図4を参照しながら説明する。なお、本発明の実施例1,2と同一の部分は説明を省略する。
【0038】
センサ抵抗値Rsが基準値Rsm0以下の汚染方向であれば、基準値更新周期毎(前回の更新タイミングからのサンプリング回数が所定値Z以上になった場合)に、Rsm=Rsm0−(Rsm0−Rs)/Xで更新する。ここでXは基準値更新量を示し、X=C1=(Rsm−Rs)×Vspan×8/Rsmより求める。尚C1はガスセンサ1の計算出力を示す。またVspanは定数であり、Xは10<X<500の範囲とし、その初期値を10とする。
【0039】
更新周期Zは、Z=C1×Vk5により求める。
尚Vk5は更新周期係数であり、Zは20<Z<1000の範囲とし、その初期値を20とする。
【0040】
図5に、基準値更新時の説明の参考図を示す。図5(a)は本発明による基準値更新の状態を、センサ抵抗値Rsを電圧VRLに換算し、また基準値Rsmを電圧レベル(イ)、(ロ)に換算して示しており、センサ抵抗値Rsが基準値Rsmより下降している汚染方向時、つまりガスセンサ信号レベルである電圧VRLが基準値レベルを大きく越える汚染方向の場合、すなわち、高濃度時には、ガスセンサ信号レベルに対して基準値レベルを緩やかに近づけるようにその速度をガスセンサ信号レベルに反比例させて更新している。逆にセンサ抵抗値Rsが基準値Rsmより上昇している清浄方向時、つまり電圧VRLが基準値レベルを下回っている場合には早く基準値レベルを電圧VRLに近づくように更新している。図5(b)は、その時の汚染度出力を示している。図に示すように汚染度の変化を正確に検知することが可能となる。
【0041】
以上のように、基準値更新の更新量と更新周期を出力に応じて変化させることにより、更新誤差が少なく、かつ確実に基準値をとることが可能となる。
【0042】
(参考例1)
図6,7を参照しながら説明する。なお、本発明の実施例1,2,3と同一の部分は説明を省略する。
【0043】
図6は本発明の参考例1の全体構成を示しており、図6において金属酸化物半導体ガスセンサ(以下ガスセンサと省略する)1は負荷抵抗回路を介してバッテリーなどの直流電源3に接続してある。4はガスセンサ1に設けられたヒータであり、このヒータ4も直流電源3に接続してある。負荷抵抗回路は、抵抗2、抵抗15,16を後述する条件で並列接続してその合成抵抗から構成される。5は本実施例における信号処理を行うための1チップの例えば4ビットマイクロコンピュータからなる信号処理部であって、図においてはその機能をブロック化して示しており、負荷抵抗回路の両端電圧VRLをA/Dコンバータ6を介して取り込み、電圧VRLからガスセンサ1のセンサ抵抗値Rsを計算するセンサ抵抗計算部7をA/Dコンバータ6を介して取り込み、電圧VRLから負荷抵抗値RLを切り替える負荷抵抗切り替え部14と、センサ抵抗値Rsと比較する基準値Rsmを発生させる基準値発生部8と、基準値Rsmとセンサ抵抗値Rsとの比較により汚染度を計算する汚染度計算部9と、この汚染度計算部9で計算された汚染度をアナログ値に変換するD/Aコンバータ10と、汚染度から基準値Rsmの更新量X及び更新周期Zを計算する計算部11等から構成される。
【0044】
抵抗15,16は負荷抵抗切り替え部14のスイッチ素子17,18を介して抵抗2に並列接続され、抵抗2のみの時が負荷抵抗回路の両端電圧VRLが最大値となり、抵抗15を抵抗2に並列に接続した状態で電圧VRLが中間値に、両抵抗15,16を共に抵抗2に並列接続した状態で電圧VRLが最小値となるように設定される。
【0045】
次に図6の回路を図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、装置をスタートさせると、信号処理部5では、負荷抵抗値RL、基準値発生部8の基準値Rsmを初期設定する。ここで初期の負荷抵抗回路の抵抗値RLは抵抗2と抵抗15の並列回路の合成値となるように負荷抵抗切り替え部14の制御部19はスイッチ素子17をオンする。
【0046】
さて初期値設定後、現在の負荷抵抗値RLによる電圧VRLを取り込み、負荷抵抗切り替え部14に設けてあるコンパレータ20,21で下限値VRLmin,上限値VRLmaxと比較して、下限値VRLminと上限値VRLmaxの間に入っているか、否かを判定し、否であれば、下限値VRLminを下回っている場合には、負荷抵抗値RLを最も高くなるように、逆に上限値VRLmaxを上回った場合には負荷抵抗値RLを最も低くなるように、負荷抵抗切り替え部14の制御部19はスイッチ素子17,18を制御する。そして負荷抵抗値RLを切り替えた後、電圧VRLを測定し、この測定値と切り替え前の測定値とに基づいて基準値発生部8の基準値補正部8cが負荷抵抗値RLの切り替え後の基準値補正量を決定して現在発生している基準値Rsmを負荷抵抗値RLに合わせて補正する。
【0047】
一方上記の電圧VRLが、下限値VRLmin乃至上限値VRLmaxの範囲にある場合には、センサ抵抗計算部7がセンサ抵抗値Rsを電圧VRLより計算する。
【0048】
負荷抵抗切り替えタイミングでは切り替え前に基準値更新計算を行い切り替えから例えば5秒後に下記の計算を行う。
【0049】
Rs1≧Rsの場合(尚Rs1は切り替え直後の値を示す)
【0050】
以上のように、負荷抵抗を切り替えることにより、ガスセンサ1の抵抗値が製造のバラツキや使用中に大きく変化した場合においても、常に精度の高い検知が可能となり、負荷抵抗切り替え後に基準値の補正を行うことにより、負荷抵抗切り替えによる誤差を防止できる。
【0051】
【発明の効果】
本発明により、ガスセンサのガスセンサ信号のレベルと基準値とを比較して雰囲気の清浄、汚染を検出するガス検出装置において、前記ガスセンサ信号のレベルが清浄方向に推移している場合に前記基準値を早くガスセンサ信号のレベルに近づくように更新し、前記ガスセンサ信号のレベルが汚染方向に推移している場合に前記基準値を前記ガスセンサ信号のレベルに反比例する速度で前記ガスセンサ信号のレベルに近づくように更新する基準値更新手段を備えたので、温度や湿度変化によるノイズ、ガスセンサ信号のドリフトによる誤検出を防ぐとともに、ガスセンサ信号の立ち上がりを速やかに検知でき、空気の汚染状態を正確に検出することが可能となるという効果がある。
【0052】
さらに、基準値更新による誤差を小さくするように基準値の更新量を出力に応じて変化させることにより、出力が小さい時、すなわち清浄方向の低濃度時に更新量を大きくし、出力が大きいとき、すなわちガスが汚染方向の高濃度時には更新量が小さくなるため、基準値更新による誤差を小さくすることができ、精度の高い検知が可能となる。
【0053】
また、基準値更新による誤差を小さくするように基準値更新の周期を出力に応じて変化させることにより、清浄方向の低濃度時に更新タイミングを多くすることが可能となり、清浄時の出力を基準値とすることが可能となり、正確な検知ができる。
【0054】
また、基準値更新による誤差を小さくするように基準値更新の周期と量を出力に応じて変化させることにより、より基準値更新による誤差が少なく、基準値を正確に取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の全体構成図
【図2】 同動作説明用フローチャート
【図3】 同実施例2の動作説明用フローチャート
【図4】 同実施例3の動作説明用フローチャート
【図5】 同基準値更新時の説明の参考図
【図6】 同参考例1の全体構成図
【図7】 同動作説明用フローチャート
【図8】 従来の基準値更新の説明図
【符号の説明】
1 ガスセンサ
2,15,16 抵抗
7 センサ抵抗計算部
8 基準値発生部
9 汚染度計算部
10 D/Aコンバータ
11 計算部
12,13 コンパレータ
14 負荷抵抗切り替え部
17,18 スイッチ素子
20,21 コンパレータ
Claims (4)
- 金属酸化物半導体ガスセンサの出力信号と、この出力信号の基準となる基準値と、この基準値と前記出力信号とを比較して雰囲気の汚染度を出力する出力手段と、前記基準値を前記出力信号に近づくように更新する基準値更新手段と、基準値更新による誤差を小さくするように、この基準値更新手段の更新条件の更新量または更新周期を前記汚染度に応じて変化させる更新条件決定手段を備えたことを特徴とするガス検出装置。
- 更新条件決定手段において、基準値更新による誤差を小さくするように基準値を出力信号に近づける量を変化させることによって更新条件を決定することを特徴とする請求項1記載のガス検出装置。
- 更新条件決定手段において、基準値更新による誤差を小さくするように基準値を出力信号に近づける周期を変化させることによって更新条件を決定することを特徴とする請求項1記載のガス検出装置。
- 更新条件決定手段において、基準値更新による誤差を小さくするように基準値を出力信号に近づける周期と量を変化させることによって更新条件を決定することを特徴とする請求項1記載のガス検出装置。
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