JP3763479B2 - 生物学的に活性なTGF−β1およびTGF−β2ペプチド - Google Patents
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Description
本発明は、トランスフォーミング増殖因子β1あるいはトランスフォーミング増殖因子β2のアミノ酸配列の領域に対応する生物学的に活性なペプチドに関し、これらは、それぞれの全長TGF-βの活性を擬製することができる。
発明の背景
1983年9月23日に提出されたPCT第WO 84/001106号には、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)、およびその細胞増殖ならびに組織の修復の促進、創傷治癒、および外傷の治療への使用が記載されている。
米国特許第4,843,063号には、哺乳動物の骨に見出された2種類の軟骨誘導因子、CIF-AおよびCIF-Bの記載があり、これらの因子は、(1)インビボにおいて軟骨の形成を誘導する補助因子であり;(2)いかなる添加された活性化剤または補助因子も存在しない場合に、インビボにおける結合組織の沈着を促進し;そして(3)TGF-βを特徴づけるために用いられる足場非依存性の細胞増殖アッセイにおいて活性である。このアッセイは、本明細書中ではTGF-βアッセイとして示され、そしてMethods for Preparation of Media, Supplements, and Substrate for Serum-free Animal Cell Culture(1984)pp.181-194、Alan R.Liss,Inc.に記載されている。
1986年3月6日に提出された米国特許第4,806,523号は、CIF-AおよびCIF-Bの両方ともが抗炎症活性を有しており、そしてT細胞の増殖およびB細胞の活性化を刺激する分裂促進因子のインヒビターであることを開示している。この米国特許はまた、CIFが造血およびリンパ球産生の中心に位置し、従ってCIFが造血あるいはリンパ球産生の機能不全または機能障害に関連する適応症の治療に対して有用であり得ることを報告している。CIF-Aは後になってTGF-β1と同一であることが示された。CIF-Bは後になって新しい型のβ型トランスフォーミング増殖因子として確認され、そして現在はTGF-β2と呼ばれている。
1986年4月7日に提出された米国特許第4,822,606号は、免疫抑制あるいは免疫調節活性を有する新規ペプチドを記載している。これらのペプチドは、免疫抑制に関連するレトロウイルスの間で高度に保存されている26個のアミノ酸配列に基づくものである。
1988年8月4日に提出された欧州特許出願第0 353 772 A2号は、TGF-β1、TGF-β2、あるいはそれらのフラグメントによって上皮細胞の増殖を阻害する方法および組成物を開示している。
1989年5月25日に提出された米国特許第5,061,786号は、TGF-β1の16〜31残基に対応し、必要に応じてアミノ末端の伸長を有する生物学的に活性なペプチドを開示している。
発明の開示
本発明は、TGF-β1あるいはTGF-β2のアミノ酸配列の領域に対応する生物学的に活性なペプチドに関する。これらのペプチドは、成熟した活性なTGF-βの生物活性を保持し、それ故それらの活性を擬製する。これらのペプチドはこのように、TGF-βが示すいずれの適用に使用するにも適している。これらのペプチドは、モノマーあるいはポリマーのいずれかの型で、それぞれの全長TGF-βの少なくともある程度の生物学的活性を保持する。TGF-β1由来のモノマー型のペプチドは、次のアミノ酸配列を含有する:
CVRQLYIDFRKDLGWKWIHEPKGYHANFCLGP。TGF-β2由来のモノマー型のペプチドは、次のアミノ酸配列を含有する:
CLRPLYIDFKRDLGWKWIHEPKGYNANFCAGA。ダイマーは、モノマーサブユニットのアミノ末端、カルボキシ末端、あるいはアミノ末端およびカルボキシ末端のシステイン残基間のジスルフィド結合を介して形成され得る。
本発明はさらに、本発明のペプチドおよびそれらの薬学的に受容可能なキャリアを含有する組成物、およびこのような組成物の有効量を患者に投与することを包含するTGF-βの効果を擬製する方法を提供する。
本発明のこれらおよび他の実施態様は、本明細書中の開示を考慮すると当業者に容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例2に記載されたミンクの肺細胞増殖アッセイの結果を表す線グラフの寄せ集めである。
詳細な説明
技術用語および科学用語は、本明細書中に定義され、そしてこの開示および添付の請求の範囲は、それらの定義を考慮して解釈されるべきである。本明細書中に特に定義されない限り、あらゆる他の技術用語および科学用語は、本発明に関係のある当業者によって通常に理解されると同じ意味を有する。記述された方法および材料と同様あるいは同等の他の方法および材料が、本発明の実施あるいは試験に使用され得るが、好ましい方法および材料は本明細書中に記述される。
本明細書および添付の請求の範囲において用いられるように、文脈が他のことを明らかに指示しない限り、単数形「a」、「an」、および「the」が複数の指示内容を含むことに注意せねばならない。それ故、例えば「a peptide(1つのペプチド)」あるいは「an active peptide(1つの活性ペプチド)」に対する指示内容は、本明細書中に記載された一般的なタイプのペプチドの混合物を含み、そして「the method of administration(投与方法)」に対する指示内容は、本明細書中に記載された一般的なタイプ、および/または当業者に容易に理解されるタイプの1つまたはそれ以上の投与方法を含む。
ペプチドを作成する方法は、別に指示されない限り、合成有機化学、タンパク質化学、分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術の通常の技術を用い、これらの技術は当該分野の技術の範囲内である。このような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Scopes、Protein Purification Principles and Practices、第2版、(Springer-Verlag、1987)、Methods in Enzymology(ColowickおよびKaplan編、Academic Press, Inc.);Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY、1989、Handbook of Experimental Immunology、I-IV巻、(WeirおよびBlackwell編)(Blackwell Scientific Publications、1986);House、Modern Synthetic Reactions、第2版、Benjamin/Cummings、Menlo Park、Cal.、1972;AthertonおよびSheppard、Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach(Oxford University Press、1989);StewardおよびYoung、Solid Phase Peptide Synthesis、第2版(Pierce Chemical Co.、1984)を参照せよ。
本明細書中に記載のすべての特許、特許出願、および出版物は、上記あるいは下記のいずれにせよ、その全体が本明細書に参考として援用される。
A.定義
本発明を定義するにおいて、次の用語が用いられ、そして以下のように定義されることを意図する。
本明細書中で用いられる場合、TGF-β1のアミノ酸配列は、Derynckら、Nucl. Acids Res.、15:3188-3189(1987)に記載された配列である。TGF-β2のアミノ酸配列は、Madisenら、DNA、7:1-8(1988)に記載された配列である。
本明細書中で用いられる場合、用語「フィブリノーゲン性の」は、種々のタイプの外傷、炎症、および免疫反応により加えられた傷害に起因する、損傷を受けた結合組織の治癒を促進する因子をいう。これらの因子には、線維芽細胞の化学走化性、コラーゲン、ヒアルロン酸、および組織メタロプロテイナーゼインヒビター(TIMP)の合成に影響を与える因子が包含されるが、それらに限定されない。
本明細書中で用いられる場合、語句「生物学的に活性」は、生物学的機能を伝達する能力を指していう。
本明細書中で用いられる場合、用語「ペプチド」は、少なくとも2個の隣接するアミノ酸残基のオリゴマーを指していう。さらに本明細書中で用いられる場合、語句「それらのペプチド」は、別に指示されない限り、本明細書中で記載のペプチドを指していう。
本明細書中で用いられる場合、用語「治療」は、現在の状態の予妨あるいは減弱を意味することを意図する。従って、炎症の場合においては、発明の方法は炎症を予妨するか、もしくは現在の炎症を軽減するのに使用され得る。
本明細書中で用いられる場合、用語「炎症」は、急性の応答(すなわち、炎症過程が活性な応答)および慢性の応答(すなわち、緩慢な進行および新しい結合組織の形成により特徴づけられる応答)の両者を包含することを意味する。慢性ならびに急性の炎症は、関与する細胞のタイプにより区別され得る。急性の炎症は、しばしば多形核好中球に影響を与えるのに対して、慢性の炎症は、通常、リンパ組織球および/または肉芽腫性の応答によって特徴づけられる。特定のタイプの炎症の例は、びまん性炎症、病巣性炎症、クループ性炎症、間質性炎症、閉塞性炎症、反応性炎症、特異的炎症、毒性炎症、および外傷性炎症である。
本明細書中で用いられる場合、TGF-β1あるいはTGF-β2に「実質的に対応する」アミノ酸配列は、TGF-β1あるいはTGF-β2のアミノ酸配列とそれぞれ少なくとも70%の配列の相同性を有し、そして機能的な活性を保持する。さらに、「実質的に対応する」配列を有するペプチドあるいはタンパク質が有する配列の相同性におけるいずれの差異も、そのペプチドあるいはタンパク質の所望の性質に不都合な影響を与えない差異であることが好ましい。
本明細書中で用いられる場合、用語「敗血症性ショック」は、菌血症により誘発される事象の続発を指し、その間に細胞壁物質(グラム陰性菌中のエンドトキシンおよびグラム陽性菌中のペプチドグリカン/テイコ酸複合体)が、補体、キニン、およびACTH/エンドルフィン系を活性化する。この一連の代謝事象は、最後にショックの状態に進行する。
本明細書中で用いられる場合、用語「患者」は、TGF-βにより治療または改善され得る状態に罹患しているヒトを包含する動物を指していう。
B.一般的方法
TGF-βは、Methods for Preparation of Media, Supplements, and Substrate for Serum-free Animal Cell Culture(1984)pp.181-194、Alan R.Liss,Inc.に記載されているTGF-βアッセイにおいて活性を示す。このアッセイは、軟寒天内の細胞コロニーの形成を測定することにより非新生物性の正常ラット腎臓線維芽細胞における足場非依存性増殖を誘導する能力を測定する。
これまでに単離されたTGF-βは、TGF-β活性に関して非種特異的である。他の種由来のTGF-βは、このように、アミノ酸残基の配列および活性が似ているという点で高い「相同性」がある。これらのポリペプチドは、動物種間で高度に保存されており(すなわち、その中では異なる哺乳類の種に由来する所定のポリペプチドが、アミノ酸残基の欠失、付加、または置換に関して、種の間で、もしあったとしてもごくわずかの変化しかないアミノ酸配列を有し、そしてその変化が分子の非種特異的な活性に悪影響を及ぼさないものである)、そして種にまたがる機能性を有していると考えられている。従って、このペプチドは種々の動物起源の細胞あるいは組織に由来し得、もしくは組換えDNA技術を用いて得られる。このように、このペプチドは相同なTGF-βのアミノ酸残基配列を含有している。関連していえば、1つの脊椎動物種由来のペプチドは、別の脊椎動物種の治療に用いることができる。このペプチドの最も普通の治療用途は、ヒトなどの患者、ウシ、ヒツジ、およびブタなどの家畜、およびイヌ、ネコ、ウマなどの競技用または愛玩用動物の治療である。
このペプチドは、TGF-βが必要ないかなる適用にも有用である。このペプチドは、軟骨/骨の形成の誘導、およびヒトを含む動物での軟骨/骨組織の修復、取り替え、あるいは増強が包含されるTGF-β活性を擬製するが、それらに限定されない。このペプチドの有効量は、通常薬学的に受容可能な液剤または固体のキャリア用いて処方される。このペプチドの有効量は、患者が罹患している状態を改善するのに必要な生物学的応答を引き起こすに十分な量である。
このペプチドはまた、他のTGF-βと同じように非種特異的な細胞増殖を促進する(惹起し維持する)のに用いられ得る。これらの組成物の細胞増殖活性の臨床応用には、例えば火傷もしくは創傷の治癒または組織修復のための局所投与が挙げられる。このような使用では、このペプチドの有効量が、薬学的に受容可能なキャリアとともに処方される。このペプチドの有効量は、軟組織細胞増殖を誘発するに十分な量である。
このペプチドの局所投与剤形は、例えばスプレー、ゲル、軟膏(ointment)、または軟膏(salve)である。適切な投与剤形とは、薬学的に受容可能であり、そしてこのペプチドの有効量が治療部位に拡散するように、このペプチドのある量を分散させ得るような剤形である。このペプチドは、単独または組み合わせで、ポリマー物質中に拡散または取り込ませ得、そして移植片上にコーティングされ得る。このような移植片は、コラーゲン性の軟組織および硬組織の移植片、プロテーゼ(人工器官)、スポンジ、創傷包帯、および縫合糸を含むが、それらに限定されない。このペプチドは、これらの異物に対する局所炎症応答を調節し、移植片、特にプロテーゼの付着を促進する。このような移植片は、しばしば透過性の材料で作られているので、移植片に取り込まれたペプチドは、移植片から拡散し、その特性を発揮することができる。
このペプチドはまた、例えば骨粗鬆症および骨化石症のような骨の欠乏症の治療にも全身的に有用であり得る。このような治療には、このペプチドを注射用キャリアを用いて治療有効量を処方し、患者に非経口的に投与する。用量は代表的には、約0.001μg/kgから10g/kgの範囲であり、約100μg/kgから1g/kgが好適な範囲である。
全身用投与剤形は、胃腸管内投与用に処方され得る(すなわち、液剤、丸剤、錠剤、または坐剤)か、あるいは非経口的注射用に処方され得る。このような適用に用いる投与剤形の決定は、当業者の技術の範囲内であり、そして治療される状態の性質、患者の体型、および投与したペプチドに対する感受性のような要因に依存し、そしてそれ故、治療担当者により決められる。
このペプチドは、制癌剤として、癌種、骨髄腫、黒色腫、およびリンパ腫を包含するいずれのタイプの細胞新生物の治療にも使用し得るが、それらに限定されない。特に好ましい標的は、乳房、肺、結腸、および卵巣の癌腫である。このペプチドは、治療する新生物の性質や程度に応じて局所あるいは全身に投与され得る。局所投与には、制癌に有効な量のペプチドあるいはそれを処方した混合物が薬学的に受容可能なキャリアと組み合わされ、そして持続型または徐放型にしてもしなくてもよいが、固体または半固体の移植片として投与される。このペプチドはまた、非経口投与用に注射剤として処方され得る。
あるいは、このペプチドを、腫瘍への動脈供給路を経由する局所送達するための最新のカテーテル技術を用いて、特に手術不可能な腫瘍を含む固形腫瘍へ送達することもできる。この用法では、このペプチドは、注射用コラーゲンのような血管閉塞剤と混合され、そしてこの血管閉塞剤は、腫瘍での潅流を減らす手段を提供し、そして同時にこのペプチドの局所送達を提供する。静脈の排液を塞ぐのにクリップが用いられ得、そしてそれによりこのペプチドを腫瘍塊内で高濃度に維持できる。
全身投与には、制癌に有効な量のペプチドが、循環器への注入用の生理食塩液、糖の溶液などを含むがそれらに限定されない、水溶性タンパク質に用いられる薬学的に受容可能なキャリアとともに処方される。あるいは、このペプチドは、長期間にわたって循環器中にペプチドを放出するように、持続放出性処方物として処方され得る。
全身投与における腫瘍細胞へのその因子の特異的ターゲティングは、例えばペプチドを腫瘍特異的な細胞表面抗原に対する抗体に結合させることにより達成され得る。フィブリノーゲン性のペプチドを細胞毒である131Iを共有結合させて放射標識することにより、高められた腫瘍細胞に対する細胞毒性が達成され得る。このペプチドは、容易にヨウ素化され、そしてすべての生物学的活性を保持する。乳房および卵巣の腫瘍のような特定の腫瘍タイプに対して特異性を有するモノクローナル抗体の調製は、当該技術分野では周知である。他の制癌剤あるいは化学療法剤は、所望に応じて処方の中に包含され得る。
「制癌に有効」という用語は、腫瘍細胞増殖の有意な(>50%)阻害をもたらす用量を指すことを意図する。インビトロアッセイにおいて、50%の阻害は、TGF-βの濃度が0.2ng/mlのオーダーにあるとき一般に認められ、そして10ng/mlで飽和に達する。阻害は、インビボでは患者の腫瘍負荷の追跡によってモニターされ得る。所定の治療での制癌に有効なペプチドの用量は、患者、治療する癌のタイプと程度、および投与の態様に依存する。一般に成人の投与量は、約0.001μg/kgから10g/kgの範囲である。対応する全身投与では、そのポリペプチドのクリアランスあるいは他のインサイチュの不活性化により、より高い範囲の区分(100μg/kgから1g/kg)を含む。
このペプチドは、局所および全身の両方の炎症の治療に有用である。局所の抗炎症剤として用いるときは、このペプチドは通常、有効量を薬学的に受容可能なキャリアとともに、このキャリアに対して1:1,000から1:20,000の範囲の重量比で処方される。
体内部位での炎症を局所治療するのに用いる場合は、このペプチドを単独または組み合せで、特定の処方および炎症の抑制が所望される部位に応じて、注射、吸入、外科的処置、あるいは他の局所投与を行うことができる。
全身投与には、このペプチドは、循環器中に注射するための水溶性タンパク質と共に用いられる通常のキャリアを用いて処方され得る。あるいは、このペプチドは治療される適応症で必要に応じて、持続放出性のインプラント(移植片)製剤として処方され得る。
全身、局所、または非経口投与のための処方の例が、Remington's Pharmaceutical Science、Gernnaro編、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1985に見出され得、本明細書中にその全体が参考として援用され得る。
炎症を治療するためのこのペプチドの投与量は、患者、治療する炎症の状態、および投与の態様に依存する。一般に、成人の投与量は、約1mgから10gの範囲である。このペプチドを局所投与する場合は、範囲の低い側の量が通常用いられ、代表的には、1μgから100mgである。これに対応して、全身投与は代表的には、100μg/kgから1g/kgの範囲の量を含む。
このペプチドは呼吸器系に関連する炎症の治療に特に有効であり得る。この適用では、このペプチドは適当なエアゾルを用いる吸入により投与され得る。この形態では、ペプチドは、石綿沈着症、珪肺症、あるいは炭鉱夫塵肺を包含するがそれらに限定されない肺のびまん性の間質疾患の治療;慢性関節リウマチ、紅斑性狼瘡、あるいはグッドパスチャー症候群を包含するがそれらに限定されない気道に関する免疫疾患の治療;および肉芽腫症および好酸性肉芽腫症の治療に有用である。
このペプチドは、軟膏(salve)、軟膏(ointment)、または他の局所用処方の形態でキャリアと組み合わされ得、そしてそのために局所適用による皮膚の炎症の抑制に有用であり得る。このような処方は、尋常性乾癬、接触性皮膚炎、皮膚潰瘍、および急性または慢性の湿疹性皮膚炎を包含するがそれらに限定されない皮膚状態の局所治療に特に有用である。
このペプチドは、単独でまたは徐放性キャリアと組み合わせて使用され、そして創傷の治癒または種々の疾患に関連する炎症の抑制のために、関節、骨、または筋肉の中あるいは周囲に注射され得る。そのような疾患には下記のものが挙げらるが、それらに限定されない。すなわち、筋炎(ウイルス、細菌、寄生虫、真菌、または自己免疫過程によるもの);重症筋無力症;骨髄炎;変形性関節症およびリウマチ様関節炎が包含される。
TGF-β分子は低いpHで安定であり、そして酵素消化に抵抗性があることが分っているので、これらの因子を胃腸管経由で送達し得る。このペプチドは、このように胃および十二指腸潰瘍、肉芽腫性胃炎、食道炎、腸炎、および大腸炎を包含するがそれらに限定されない胃腸疾患の治療に特に有用である。
TGF-βはまた、敗血症性ショックの治療にも有効であることも分っている。1989年7月21日に提出された国際公開番号第WO 90/000903号。このペプチドは、予防的にも治療的にも投与され得る。すなわち、感染が始まる前、始まると同時、あるいは始まった後でも投与される。このペプチドは、細菌感染の危険がある患者、または敗血症に罹患している患者の治療に使用され得る。危険のある患者とは下記のような者であるが、それらに限定されない。すなわち、免疫抑制剤の治療を受けている者、および重篤な熱傷または他の重い傷害、嚢胞性線維症、腎不全、あるいは癌に罹患している者、もしくは長期の外科処置または臓器移植を受けている者が包含される。
このペプチドは、さらに、造血またはリンパ球産生の機能障害あるいは機能不全に関連する適応症に対して患者の治療に使用され得る。このペプチドはこれらの患者に対して、上記のように、そして個々の患者の要求、投与方法、ならびに従事医師に公知の他の要因を考慮して、全身または局所を含む適切な技術により投与され得る。用量は、代表的には、約100μg/kgから1g/kgの範囲である。
このペプチドはまた、シクロホスファミドおよびメファランのような化学療法剤、または放射線治療の骨髄毒性から造血幹細胞を防御するにも使用され得る。このような適用においては、通常、治療有効量のペプチドを化学療法剤の投与または放射線治療の3〜72時間前に投与する。投与の態様は、好ましくは股間の動脈内、腹腔内、または皮下投与であり、そして好ましくは注射により投与される。組成物および用量は、上記の適用について論じたように、個々の患者の要求、用いた薬物または放射線治療の性質、組成物の投与方法、および従事医師に公知の他の要因を考慮しながら、処方され得る。用量は、代表的には、約100μg/kgから1g/kgの範囲である。
TGF-βはまた、虚血性心筋層の再灌流に起因する重篤な心臓障害の予防にも使用され得る。Leferら、Science、249:61(1990)。このようにこのペプチドは、虚血の開始前または開始後に、好ましくは静脈内あるいは心臓内に投与され得る。ペプチドの組成物および用量は、上記の適用について論じたように、個々の患者の要求および従事医師に公知の他の要因を考慮しながら処方され得る。用量は、代表的には、約100μg/kgから1g/kgの範囲である。
以下の実施例は、当業者に、どのようにこのペプチドを製造し、組成物を処方し、そして本発明に関連して使用するかの完全な開示および説明を提供するために記載されたものであり、本発明の範囲の限定を意図するものではない。
実施例1-ペプチド合成
以下のペプチドを合成した:
TGF-β116-31は、TGF-β1の残基16から31に対応し、そしてアミノ酸配列CVRQLYIDFRKDLGWKを有する。
TGF-β216-31は、TGF-β2の残基16から31に対応し、そしてアミノ酸配列CLRPLYIDFKRDLGWKを有する。
TGF-β116-47は、TGF-β1の残基16から47に対応し、そしてアミノ酸配列CVRQLYIDFRKDLGWKWIHEPKGYHANFCLGPを有する。
TGF-β216-47は、TGF-β2の残基16から47に対応し、そしてアミノ酸配列CLRPLYIDFKRDLGWKWIHEPKGYNANFCAGAを有する。
ペプチドを、Fmocアミノ酸(Applied Biosystems)を用いてApplied Biosystems 431A型ペプチド合成機で合成した。Fmocアミノ酸を、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)中のN,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)あるいは[2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート](HBTU)で仲介される反応によりカップリングした。ペプチド合成のプロトコルを改変して、ある残基を2重にカップリングし、そしてジケトピペラジン形成によるペプチド合成の時期尚早の終結を最小にするために、ある残基のカップリング時間を短縮した。ペプチドを、4-ヒドロキシメチルフェノキシメチルコポリスチレン−1%ジビニルベンゼン樹脂(HMP-樹脂)上で合成した。HMP-樹脂上の反応部位を、最初のアミノ酸残基を加えた後に無水酢酸で覆った。
粗ペプチド(約250μmol)を、0.75gの結晶フェノール、0.25mlのエチレンジオール、0.5mlのチオアニソール、および水を含む11.25mlの89%TFA中で、室温にて1.5時間以上で樹脂から開裂した。この樹脂を、ガラスフリット化ディスクを通す濾過により除去し、そして濾液を、30℃でロータリーエバポレーターを用いて2mlまで濃縮した。粗ペプチドを、50mlの氷冷ジエチルエーテルを加えて沈澱し、そして濾過により集めた。粗ペプチドを、0.1%TFA、30%アセトニトリルに溶解し、凍結乾燥した。この乾燥ペプチドを、-20℃で貯蔵した。
乾燥粗ペプチドを、0.1%TFA、18%アセトニトリルに溶解し、そしてC18-逆相HPLCカラム(1×25cm、Vydac、C18TP510)によるクロマトグラフィーを行った。ペプチドを、0.1%TFA中のアセトニトリルの直線濃度勾配により溶出した。所望のペプチドを含有するピークを、N-末端配列決定法により同定し、そしてアミノ酸分析により確認した。タンパク質濃度を、BCAアッセイ(Pierce、Rockford、IL)を用いて測定した。システイン残基の還元型を、5,5'-ジチオ-ビス-(2-ニトロ安息香酸)を用いてアッセイした。Ellman、Arch. Biochem. Biophys.、74:443(1958)。
ペプチドをダイマー化するために、ジスルフィド結合を以下のようにして形成した。精製したペプチドを、20%アセトニトリル/80%希水酸化アンモニウム(pHは3%水酸化アンモニウムで8.5から9.5に調整)中に、5mg/mlの濃度で溶解した。1時間から16時間攪拌した後、形成した沈澱物を、10%TFAを用いてpHを約2に下げて溶解した。反応混合物を、C18-逆相HPLCカラム(1×25cm、Vydac、C18TP510)上に載せ、そして0.1%TFA中のアセトニトリルの直線濃度勾配により溶出した。ペプチドのダイマー型を、モノマー型ペプチドに対するピークの溶出位置の移動により同定した。モノマー型およびダイマー型を、ジスルフィド結合していないシステイン残基の分析ならびに質量分析を用いて確認した。
実施例2-細胞増殖阻害アッセイ
TGF-βがミンク肺上皮細胞の増殖を阻害することは、公知である。それ故、ミンク肺上皮細胞アッセイを、TGF-βの生物学的活性を擬製するペプチドの能力を試験するのに用いた。
ミンク肺上皮細胞(ATCC、Rockvill、MD、MvlLu CCL64)を、100mmの培養プレートに0.5〜1.0×106細胞/プレートで播き、そして50ユニット/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、非必須アミノ酸、L-グルタミン、および10%のウシ胎児血清(FBS)を補充したEagleの最少必須培地(MEM)中で増殖した。細胞密度がサブコンフルエントである間、細胞を継代した。細胞をトリプシンで取り外し、800×gで2分間の遠心分離により集め、そして培養培地中に、20,000細胞/mlを再懸濁した。この細胞を、96ウエルマイクロタイタープレートに、1000細胞(50μl)/ウエルで播いた。
モノマー型およびダイマー型のペプチドTGF-β116-31、TGF-β116-47、TGF-β216-31、およびTGF-β216-47を、滅菌ウシ血清アルブミン(BSA)キャリア存在下で凍結乾燥した。ペプチドの試料(50μl)を、細胞培養液に溶解し、3つ組でウエルに加えた。組換えヒトTGF-β2を標準として用いた。プレートを、5%CO2/95%(V/V)空気雰囲気下で37℃にて4日間インキュベートした。
このアッセイにおけるウエル当りの細胞数は、構成的発現酵素である酸性ホスファターゼの活性に比例する。酸性ホスファターゼ活性を測定するために、ウエルをリン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄し、0.1M酢酸ナトリウム(pH5.5)/0.1%トリトンX-100/100mMのパラニトロフェニルホスフェートで満たし、そしてプレートを37℃、2時間インキュベートとした。10μlの1.0N水酸化ナトリウムを各ウエルに加え、そして室温で20分後に、405nmでの吸光度を測定した。
いくつかの合成ペプチドおよびTGF−β2は、吸光度の値の減少により示されるように、ミンク肺上皮細胞の増殖を用量依存的な様式で阻害した(図1)。TGF−β2についての阻害曲線が、比較のために各図の中に含まれている。所定のペプチドおよびTGF−β2が、細胞増殖を最大限の半分だけ阻害する時の近似的な濃度(ED50)を表1に要約する。
TGF-β116-31ダイマーは、ミンク肺上皮細胞の増殖を、このペプチドについて既に報告されている生物学的比活性のレベルに匹敵する1〜3μMのED50で阻害した。Chenら、J.Bone Min.Res.、5:要約26;および第WO 90/14359号。TGF-β116-31ペプチドに相同なペプチドであるTGF-β216-31は、このアッセイにおいてモノマー型またはダイマー型のいずれも活性がなかった。TGF-β1の合成ペプチドの活性は、カルボキシ末端に16アミノ酸残基を付加してTGF-β116-47を形成すると、著しく増加した。TGF-β116-47のダイマーは、約150nMのED50を示した。TGF-β116-47ペプチドのモノマーは、いくらかの活性を示した。TGF-β216-47ペプチドのダイマーは、記述したすべてのペプチドと対照的に、約4〜14nMのED50を示した。対照的に、ウシ骨TGF-β2は、細胞増殖を0.4〜1pMのED50で阻害した。このアッセイでは、BSA単独では活性がなかった。それ故、ダイマー化TGF-β216-47は、ダイマー化TGF-β116-47よりも約11〜38倍高い活性を有する。モノマーのペプチドはいずれも、1μM以下の活性であった。
これらのペプチドの活性が、予め凍結乾燥せずにこの細胞培養アッセイでアッセイした時、アッセイ前にBSAキャリアと共凍結乾燥したペプチドに匹敵したことに、注目すべきである。
実施例3-ネズミ胸腺細胞増殖の阻害
ミンク肺上皮細胞以外の細胞タイプの増殖に対する、これらのペプチドの効果を測定するために、ネズミ胸腺細胞をペプチドに曝した。細胞増殖を、ペプチドに応じて胸腺細胞DNAに取り込まれる3H-チミジンの量を測定することにより測定した。細胞培養アッセイを、Ellingsworthら、Cell. Immunol.、114:41-54(1988)に記載されている通りに行った。胸腺細胞の単細胞懸濁液を、4週齢から8週齢のC3H/HeJマウスから調製し、そして細胞を、6.66×106細胞/mlについて5%ウシ胎児血清(FCS)、100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2mMのL-グルタミン、および50μMのβ-メルカプトエタノールを補充したEagleのMEMに懸濁した。胸腺細胞を96ウエルマイクロタイタープレートに、106細胞/ウエル(150μl)で播いた。この細胞を、1.0μg/mlのフィトヘマグルチニンおよび8ユニット/mlのインターロイキン-1(IL-1)(Boehringer Mannheim、Indianapolis、IN)により活性化した。0.02pmolから200pmolのペプチドあるいは0.02fmolから50fmolのTGF-β2を加え、全容量を培養培地で250μlに調整した。この細胞を、5%CO2/95%空気雰囲気中の加湿インキュベーターで37℃、72時間インキュベートした。細胞採取する24時間前に、0.5μCi/ウエルの3H-チミジンで、細胞をパルスした。胸腺細胞を、ガラス繊維フィルター上に採取し、そして乾燥した。3H-チミジンの取り込み量を、液体シンチレーションカウント法を用いて測定した。
得られた結果は、TGF-β2がネズミの胸腺細胞のDNAへの3H-チミジンの取り込みを約4pMのED50で阻害することを示した。TGF-β216-47ダイマーもまた、このアッセイにおいて57nMのED50を有する胸腺細胞増殖のインヒビターとして活性であった。しかし、TGF-β116-31ダイマーおよびTGF-β216-31ダイマーの両方は、0.8μMまでの濃度では3H-チミジンの取り込みの効果を示さなかった。
実施例4-TGF-βレセプター結合アッセイ
ラット筋肉の筋芽細胞(L6、アメリカンタイプカルチャーコレクション)を、6ウエルの培養プレート中に播き、そして100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2mMのL-グルタミン、10%のFBSを補充したDMEM中で、細胞が70〜90%コンフルエントになるまで培養した。培地を、ウエルから吸引し;そして1mlの氷冷20mMグリシン、135mMNaCl、pH3.0を各ウエルに添加して、2分間置いた。この緩衝液を吸引し、そして各ウエルを、1mlのDMEM、25mM Hepes、pH7.4、0.1%BSAで2回洗浄した。それぞれ25pMの125I-TGF-β1あるいは125I-TGF-β2を含む、TGF-β1およびTGF-β2(3pMから1600pMまで)、ならびにペプチド(0.1μMから30μMまで)の試料を、DMEM、25mM Hepes、pH7.4、0.1%BSA中で調製し、そしてウエルに500μl分量で添加した。放射標識したTGF-β試料(500μl)を、非標識TGF-βがないか、または過剰の非標識TGF-β(20〜25nM)とともに調製し、そして他のウエルに添加した。室温で1時間インキュベーションした後、各ウエルを、1mlのHankの平衡食塩溶液、0.1%BSAで2回洗浄した。各ウエルについて、500μlの1%トリトンX-100、10%グリセロール、20mM Hepes、pH7.4、0.01%BSAを加え、そして37℃にて30分間回転させながらインキュベートして、細胞を溶解した。試料を、γ線計測用バイアルに移し、そして1分間カウントした。この結果を表2に示す。
得られた結果は、Segariniら、J.Biol.Chem.,262:14655-14662(1987)に既に報告されているように、L6ラット筋肉筋芽細胞について、TGF-β1が125I-TGF-β1の結合に対して競合し、そしてTGF-β2が125I-TGF-β2の結合に対して競合したことを示す。競合結合のデータから見かけの解離定数を、TGF-β1について10〜30pM、およびTGF-β2について100〜130pMであると推定した。TGF-β116-31およびTGF-β216-47のペプチドモノマー、ならびにTGF-β116-47およびTGF-β216-31のペプチドモノマーおよびダイマーは、125I-TGF-β1あるいは125I-TGF-β2の結合に対する競合において、30μMまでの濃度では活性がないか、もしくは弱い活性しかないことが見出された。しかし、TGF-β216-47ダイマーは、125I-TGF-β2の結合に対して約3μMの見かけの解離定数で競合した。TGF-β116-31のペプチドダイマーは、125I-TGF-β1の結合に対して10〜15μMの見かけの解離定数で競合した。
実施例5-TGF-β2 16-47 のペプチド活性およびジスルフィド結合の位置測定
TGF-β216-47ペプチドの生物学的活性を担っている領域の位置を突き止めるために、TGF-β232-47を合成し、そしてTGF-β216-31と比較した。TGF-β216-31ペプチドは、TGF-β216-47ペプチドのN-末端側の半分であり、上記のように行われたミンク肺上皮細胞および胸腺細胞の増殖アッセイ、ならびにレセプター結合アッセイにおいて活性がないことが見出された。TGF-β32-47ペプチドのダイマー型を、この2つのペプチドモノマー間にCys44でジスルフィド結合を形成することにより調製した。
表3に示すように、モノマーとしておよびダイマーとしてのTGF-β232-47ペプチドは、30μMまでの濃度で、L6ラット筋肉筋芽細胞への125I-TGF-β2の結合に対して競合しなかった。さらに、表4に示すように、モノマーおよびダイマーとしてのこのペプチドは、10μMまでの濃度でミンク肺上皮細胞の増殖を阻害しなかった。TGF-β216-31およびTGF-β232-47のペプチドは、これらのアッセイにおいて活性がなかったので、TGF-β216-47ペプチドの活性は、この全長のペプチドにある。
TGF-β216-47ペプチドは、2つのシステイン残基、Cys16およびCys44を含有する。システインの還元型をアッセイすることにより、Cys16およびCys44の両方を含む2つのジスルフィド結合よりはむしろ、1つのジスルフィド結合により2つのモノマーが連結されていることが証明されている。二量体化はこのように、Cys16-Cys16、Cys44-Cys44、またはCys16-Cys44の間のジスルフィド結合により生じ得た。2つのペプチド、TGF-β216-47Ser16ならびにTGF-β216-47Ser44を、Cys16あるいはCys44のいずれかがそれぞれセリンで置換されて、実施例1に記載された通りに合成した。これらの各ペプチドを、Cys16-Cys16あるいはCys44-Cys44のジスルフィド結合を形成することによるだけで、ペプチドと同様に二量体化し得た。結果を表4に示す。
表4に得られた結果は、TGF-β216-47Ser16ペプチドのモノマーおよびダイマーが、ミンク肺上皮細胞の増殖をそれぞれ1.3μM、および380nMのED50で阻害したことを示す。TGF-β216-47Ser44ペプチドのダイマーは、450nMのED50で細胞増殖を阻害したが、このペプチドのモノマーは、10μMまでの濃度では活性はなかった。
このように、これらSer置換ペプチドは、TGF-β216-47ペプチドダイマーよりも、ミンク肺上皮細胞の増殖阻害において著しく活性が低い。これらの結果は、1つのペプチドのCys16と別のペプチドのCys44との間にジスルフィド結合を有するペプチドダイマーが、4〜14nMの範囲のED50でミンク肺上皮細胞の増殖阻害において最も活性な形態であることを示唆する。
このように、TGF-βの生物学的特性を有するペプチドが開示されている。本発明の好適な実施例をかなり詳細に記述したが、添付の請求の範囲により定義される発明の趣旨および範囲から外れなければ、明らかな改変が成され得ることが理解される。
Claims (5)
- アミノ酸配列 CVRQLYIDFRKDLGWKWIHEPKGYHANFCLGPからなるペプチド。
- 請求項1に記載のペプチドおよびその薬学的に受容可能なキャリアを含む、炎症の治療、軟骨又は骨形成の誘導、細胞新生物の治療、固形腫瘍の治療、造血又はリンパ球産生の機能障害又は機能不全に関連する適応症の治療、又は、化学療法剤の骨髄毒性からの造血幹細胞の保護、のための組成物。
- モノマーのアミノ酸配列 CVRQLYIDFRKDLGWKWIHEPKGYHANFCLGPからなるホモダイマーペプチドであって、該モノマーが、少なくとも1組のシステイン残基間に少なくとも1つのペプチド間のジスルフィド結合を介して連結されている、ペプチド。
- 請求項3に記載のペプチドおよびその薬学的に受容可能なキャリアを含む、炎症の治療、軟骨又は骨形成の誘導、細胞新生物の治療、固形腫瘍の治療、造血又はリンパ球産生の機能障害又は機能不全に関連する適応症の治療、又は、化学療法剤の骨髄毒性からの造血幹細胞の保護、のための組成物。
- TGF−βの効果を擬製する請求項4に記載の組成物。
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