JP3763266B2 - 帯域割当方法および帯域割当装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のコネクション間での出力方路の帯域を公平に共用する技術に関し、特に、ATM−PON(Asynchronous Transfer Mode‐Passive Optical Network)において、複数のATC/QoS(ATM Traffic Capability/Quality of Service)を有するシステム内で、効率的に帯域割当を行う帯域割当装置および帯域割当方法に適する。
【0002】
【従来の技術】
帯域を実際に割当ててセル情報を送出する帯域割当装置(A)は、そのバッファ内に残留するセル数(キュー長)の情報を割当帯域決定装置(B)に申告し、この申告に基づいて決定された割当帯域をデータ送信に用いている。この際、帯域割当装置(A)が複数の品質クラス毎に、伝送路から受信したセル情報をバッファに収容する場合において、その品質クラス別に設けられた各クラスバッファ毎に受信したセル情報のトラヒックを申告、あるいは、帯域を動的に割当てる品質クラスに対応するクラスバッファのうちの一部のクラスバッファのセル情報のトラヒックのみの申告、などが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような帯域割当を行うことで以下に挙げるような問題が生ずる。
上述の各クラスバッファ毎の申告を上記割当帯域決定装置(B)に行った場合、割当帯域決定装置(B)は、各クラスバッファ毎に帯域の割当単位である伝送路を複数に分割して、その個々の分割された帯域を基に帯域割当を行う。こうすると、申告に用いる帯域が増大するに伴い、割当帯域が増大する可能性がある。
また、上述の一部の品質クラスに対応して設けられたクラスバッファのみに対する申告が上記割当帯域決定装置(B)に行われた場合は、次に挙げるような2点の問題が生ずることが考えられる。
【0004】
第1に、伝送路の各コネクション毎の優先度順に割当帯域を設定する場合、帯域割当において割当対象となる品質クラスを指定できない。このため、割当帯域決定装置(B)で想定する割当対象の品質クラスと、帯域割当装置(A)で帯域を使用する品質クラスとが一致しない可能性がある。
また、実際の運用において、各品質クラス間で帯域割当ての際の優先度を設けて、余剰帯域を、順次、高優先度順に割当てることが行われる。このとき、低優先品質クラスのコネクションのトラヒックを、高優先品質クラスのコネクションのトラヒックとして申告すると、品質クラス別サービスの相違がなくなり、各品質クラス間で不公平感が生じる。また、このような品質サービス申告をしても、割当帯域決定装置(B)において、それが識別され生かされないようでは望ましくない。
また、ATMの/QoSに加えて、さらにIP(Internet Protocol)のCoS(Class of Service)に基づくサービスを収容する場合、異なる品質クラス別の申告が必要となるが、この対応は煩雑であり、かつ異なる品質クラス間での公平性の実現が困難である。
【0005】
これは、次のようなことに起因する。例えば、ATMのQoSの場合、帯域の割当遅延や遅延変動に関する規定がなされている。また、CoSの一つであるDiffServの場合、優先度が規定されているのみで、割当遅延の絶対値および変動量に関する規定はなされていない。このため、ATMのQoSと、CoSとを同じに扱うことができず、品質クラス別に処理することで、それぞれのQoS体系に応じた処理が別途必要になるためである。
【0006】
第2に、帯域を固定割当するクラスバッファの観測値を申告せずに、その他の固定割当されないクラスバッファの観測値のみを考慮して帯域割当を行う場合において、固定割当されるクラスバッファでの未使用帯域が、他の動的に割当てられるクラスバッファに収容されるトラヒックによって使用される帯域を識別できないために、無効な割当帯域が発生する。
【0007】
この無効な帯域割当がなされる例を図5を用いて説明する。
図5は、CBR(Constant Bit Rate)とUBR(Unspecified Bit Rate)との二種類の品質クラスのサービスを提供するATMにおいて、UBRサービスに対応するクラスバッファのみを上記割当帯域決定装置(B)に申告し、動的にその帯域を割当てた場合の、帯域割当て状況を単純モデル化した例を示している。図5の横軸Xは、帯域割当装置(A)において、CBRサービスに対応するキュー長がない場合の、UBRサービスのキュー長に応じた帯域を示している。図5の縦軸Yは、割当帯域決定装置(B)が帯域割当装置(A)に割当てた帯域を示している。固定帯域割当を示す点線D1は、CBRサービスで割当てられた固定帯域を示している。また、線D2は、実際必要とされる、キュー長に応じた帯域に比例して、割当帯域決定装置(B)が割当帯域を増加することを示している。この線D2が必要分だけの帯域を割当てる理想状態を示している。線D3は、従来の帯域割当を行った場合に、実際に割当てられる帯域を示している。
この場合、理想状態における点線D2に対して、実際は線D3ほどに帯域が割当てられ、結局、その差が無効帯域として生じてしまうこととなる。
【0008】
この問題は、特に、複数のCBR回線が同時に帯域を利用する確率が低いことを前提として、CBR回線の帯域の総和が固定帯域を超過するように収容するオーバーサブスクリプションの場合に顕著に表れる。これは、オーバーサブスクリプションでは、帯域を固定割当てするはずの回線を収容するクラスバッファのキュー長がゼロを超過する値になることが多いためである。
【0009】
また、帯域割当は、帯域割当を要求する帯域割当装置(A)の各クラスバッファ別に個々にキュー長のセル数を申告しているため、例えば、2000年電子情報通信学会総合大会予稿集第2分冊、第288頁、B−8−2「ATM−PONダイナミック帯域割当方式の評価」、嶌田長生他著、の記載にあるように、入力帯域に対して割当帯域が少ない場合に、キュー長の変動が発生し、その変動に伴い割当帯域が振動し、セルの転送効率が低下する問題があった。
【0010】
またさらに、申告する値には、帯域割当装置(A)のバッファ長の違いや、帯域割当装置(A)毎のバッファ長の違いや、帯域割当装置(A)において発生するバッファ落ちに対する対処が反映されていなかった。このため、実際にはより多くの割当帯域が必要であるにもかかわらず、割当帯域がバッファ長によって制限される問題があった。このバッファ長によって割当帯域が制限される例を図6を用いて説明する。
図6では、単一のUBRのトラヒックを収容する場合の帯域割当例であり、バッファ長が短く、キュー長が頭打ちする例を、例えば線D4で示している。頭打ちする帯域は、例えば、申告する周期毎のバッファ長、即ち、下式で示す帯域で示される。
頭打ちする帯域=バッファ長/申告周期
このように、バッファ長が有限であるために、十分な帯域が割当てられないといった割当不足の問題があった。また、この問題は帯域割当装置(A)毎にバッファ長が異なる場合、帯域割当装置(A)毎に要求する帯域の頭打ちの値が異なることになり、帯域割当装置(A)間の不公平性を増加させる問題にもつながる。
【0011】
本発明の目的は、上述のような課題を解消し、全てのクラスバッファの観測値の合計値に基づいて動的に帯域割当を行い、同一の出力方路に接続された複数の帯域割当装置間での帯域を、品質クラス体系によらず公平に割当てることができるような帯域割当装置および帯域割当方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明に係る帯域割当方法では、通信網を構成する伝送路から品質クラスの各々で受信した各セル情報を、品質クラス別の各々に対応して設けられ、かつ同一の出力伝送路を共用するクラスバッファに記憶し、このクラスバッファの各々に記憶されたセル情報のキュー長を観測し、観測して得られるキュー長の各々の値の合計値を算出し、算出して得られる合計値の申告に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、セル情報を出力伝送路に送出することを特徴とする。
【0013】
(2)また、本発明に係る帯域割当方法では、通信網を構成する伝送路から品質クラスの各々で受信した各セル情報を、この品質クラス別の各々に対応して設けられ、かつ同一の出力伝送路を共用するクラスバッファに記憶し、このクラスバッファの各々における、所定の単位時間当たりに入力されたセル情報のバイト数またはセル数を観測し、観測して得られる観測値の各々の合計値を算出し、算出して得られる合計値の申告に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、セル情報を出力伝送路に送出することを特徴とする。
【0014】
(3)また、本発明に係る帯域割当方法では、通信網を構成する伝送路から品質クラスの各々で受信した各セル情報を、品質クラス別の各々に対応して設けられ、かつ同一の出力伝送路を共用するクラスバッファに記憶し、このクラスバッファの各々に記憶されたセル情報のキュー長、およびクラスバッファに入力されずに所定の単位時間当たりに廃棄されたセル情報のバイト数またはセル数を同時に観測し、観測して得られる観測値の各々の合計値を算出し、算出して得られる合計値の申告に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、セル情報を出力伝送路に送出することを特徴とする。
【0015】
(4)また、本発明に係る帯域割当方法では、通信網を構成する伝送路から品質クラスの各々で受信した各セル情報を、品質クラス別の各々に対応して設けられ、かつ同一の出力伝送路を共用するクラスバッファに記憶し、このクラスバッファの各々において、所定の単位時間当たりに入力されたセル情報のバイト数またはセル数と、入力されずに所定の単位時間当たりに廃棄されたセル情報のバイト数またはセル数とを同時に観測し、観測して得られる観測値の各々の合計値を算出し、算出して得られる合計値の申告に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、セル情報を出力伝送路に送出することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、図1〜4を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る帯域割当装置の構成を説明するためのブロック図である。図2は、本発明に係る帯域割当装置の動作を説明するためのフローチャートである。図3は、本発明に係る帯域割当装置の効果を説明するための図である。図4は、本発明に係る帯域割当装置の構成を説明するための別のブロック図である。
【0017】
(第1の実施形態)
図1には、本発明に係る帯域割当装置10−1〜10―3と、割当帯域を決定する割当帯域決定装置14とが、伝送路(トランスミッション)L1〜L3により接続されているシステム構成図を示している。
ここでは、そのうちの帯域割当装置10−1を取り上げ、その構成と動作を以下に詳細に説明する。
【0018】
帯域割当装置10−1は、受信部20、クラスバッファ30、観測部40、算出部50、申告部60、および送出部70を有して構成されている。
【0019】
受信部20は、伝送路から送られて来たセルを受信し、クラスバッファ30にそのセルを入力する。また受信部20は、これと同時にクラスバッファのキュー長を観測し、各クラスバッファのキュー長が所定のキュー長を超過すると、当該クラスバッファに入力するトラヒックを廃棄する機能を有する。
クラスバッファ30は、セルを一時記憶する。なお、ここでは利用される品質クラスを2種類としており、それに対応してクラスバッファ30−1,30−2を有している。
観測部40は、クラスバッファ30−1,30−2各々に記憶されたセル情報のキュー長を観測する機能を有する。また観測部40は、セルの廃棄があったときには、その情報を受信部20から取得する。
算出部50は、上記観測して得られた各クラスバッファ30−1,30−2のキュー長の値を合計した合計値を算出する機能を有する。
申告部60は、上記合計値を、上記合計値をライン100および伝送路L1を介して、割当帯域決定装置14に送信する機能を有する。
送出部70は、割当帯域決定装置14からの割当帯域を用いて、クラスバッファ30内に記憶された各セルを、伝送路L1を介して、割当帯域決定装置12に送信する。
【0020】
なお、伝送路L1内には、ライン100,102,104が点線で示してあるが、これは便宜的に機能的に記載したものであり、実際には、単線の伝送路L1により各情報の送受信が行われている。伝送路L2,L3も伝送路L1と同様な機能を有しており、また、伝送路L1,L2,L3の各々は、互いに接続されている。
また、割当帯域決定装置14は、固定的に割当てられる帯域に相当するクラスバッファのキュー長と共に申告された申告値から、その固定的な割当帯域を除いた値に応じて割当帯域を決定する機能を有している。
【0021】
次に、図2のフローチャートを用いて、本発明に係る帯域割当装置10−1の動作について説明する。
【0022】
受信部20で受信した各セルは、各品質クラスに対応して設けられているクラスバッファ30に記憶される。
この記憶したセル情報の送出に伴って、本発明に係る帯域割当装置10−1で、帯域を割当てる。観測部40は、各クラスバッファ30−1,30−2各々に記憶されたセル情報のキュー長を観測する(ステップS101)。
算出部50は、各キュー長の値を合計する(ステップS102)。
申告部60は、合計した合計値を受取り、この合計値を、ライン100および伝送路L1を介して、割当帯域決定装置14に送信する(ステップS103)。
割当帯域決定装置14は、クラスバッファ30の記憶された全てのセルの情報である上記合計値に基づいて、割当帯域を決定し、この割当帯域情報を、伝送路L1およびライン102を介して、送出部70に送信する(ステップS104)。
送出部70は、クラスバッファ30に記憶されている各セル情報を読出した後に、この割当てられた帯域を用いて、読出された各セル情報を、ライン104および伝送路L1を介して、割当帯域決定装置14に送出する(ステップS105)。
以上の動作を行うことによって、図3に示すように有効帯域のみを割当て利用することができ、前述した図5における無効帯域を削減することができる。
この無効割当の問題が解決される例を図3に示す。
図3では、ATMのCBRとUBRの2つのトラヒックをそれぞれ収容するクラスバッファのうち、UBRのクラスバッファのみ申告する場合の帯域割当例を示している。前述の図5の場合のUBRに対応する割当帯域を示す線D3と比べて、図3のUBRに対応する割当帯域を示す線D3は、無効帯域を削減するように示されている。このように、本実施形態では、従来の無効帯域をなくすことができるようになる。
【0023】
このように、装置内の各クラスバッファの観測値の合計値に基づいて、動的に帯域割当を行うことで、各クラスバッファ別での帯域の割当設定に比して、より帯域を有効に利用するような割当を効率的に行うことができるようになると共に、同一の出力方路に接続された複数の帯域割当装置間での帯域を、品質クラス体系によらず公平に割当てることができるようになる。
【0024】
なお、申告部60の申告値としては、1セル情報単位での申告値が望ましい。他に、数セル情報単位での申告も考えられるが、この場合、申告値に含まれるキュー長の上限値と下限値との幅で誤差があり、帯域保証のためには、保証帯域の設定値を制限するか、誤差分を上乗せした帯域で収容設計を行うことが必要となるため、収容効率が低下すると考えられる。
また、伝送する情報として、TCP/IPによるデータトラヒックを考慮すると、申告部60による申告頻度は、数ms程度に一度が想定され、UNIがSTM−1である場合の対応を考慮し、また、11ビット以上となり、バイト単位での処理の容易さを考慮すると、2バイト長が望ましい。
さらに、ITU−T勧告G.983.1の規定上、伝送品質劣化は10−5まで考える必要があるので、申告値は10秒に1回程度誤り得る。誤り検出を行わない場合、申告値が小さくなる方向に誤ったときに、割当帯域決定装置14において、帯域要求がないと誤認して、保証すべき帯域を割当てない可能性が生じる。したがって、申告値に対する誤り検出を設けることが望ましい。バイト単位での処理の容易さと、ATMセルヘッダで用いられており実装が容易であることを考慮して、CRC−8を誤り検出機能として設けたほうがより望ましい。
【0025】
(第2の実施形態)
本実施形態において、第1の実施形態と異なるのは、図1の帯域割当装置10−1内の観測部40は、キュー長ではなく、所定の単位時間当たりのクラスバッファ30に入力される総セル数、またはその総バイト数を観測する機能を有する点である。
【0026】
算出部50は、この観測値の合計値を算出し、申告部60は、この合計値を割当帯域決定装置14に申告する。
割当帯域決定装置14は、クラスバッファ30の記憶された全てのセルのバイト数またはセル数の情報である上記合計値に基づいて、割当帯域を決定し、この割当帯域情報を、伝送路L1およびライン102を介して、送出部70に送信する。
送出部70は、クラスバッファ30に記憶されている各セル情報を読出した後に、この割当てられた帯域を用いて、読出された各セル情報を、ライン104および伝送路L1を介して、割当帯域決定装置14に送出する。
【0027】
このようにすることで、上述の第1の実施形態と同様の効果を奏することができると共に、各クラスバッファ30への入力帯域が、割当帯域決定装置14による割当帯域よりも大きい場合に発生する、帯域割当に起因するキュー長の振動による割当帯域の振動の影響を受けることなく、入力帯域に応じ帯域割当を実現することができる。
【0028】
(第3の実施形態)
本実施形態における帯域割当装置を用いた、システム構成図を図4に示す。
本実施形態において、第1の実施形態と特に異なるのは、図1の観測部40の機能を変えた観測部42を有する点にある。図4の帯域割当装置12−1内の観測部42は、キュー長と共に、受信部20からクラスバッファ30に入力されずに、所定の単位時間当たりに廃棄されたセルの、総セル数またはその総バイト数を、ライン200を介して観測する機能を有する。
帯域割当装置12−2,12−3は、帯域割当装置12−1と同様の構成を有する装置である。
【0029】
算出部50は、この観測値の合計値を算出し、申告部60は、この合計値を割当帯域決定装置14に申告する。
割当帯域決定装置14は、クラスバッファ30の記憶された全てのセルのバイト数またはセル数の情報である上記合計値に基づいて、割当帯域を決定し、この割当帯域情報を、伝送路L1およびライン102を介して、送出部70に送信する。
送出部70は、クラスバッファ30に記憶されている各セル情報を読出した後に、この割当てられた帯域を用いて、読出された各セル情報を、ライン104および伝送路L1を介して、割当帯域決定装置14に送出する。
【0030】
なお、この廃棄セルを観測値に反映することで以下のような有利な効果が期待できる。
図4において、例えば、帯域割当装置12−1、および帯域割当装置12−2の2つの装置が、帯域割当を行いセルを送出する場合を想定する。各装置の観測対象となるクラスバッファの最大容量値が、共に10セルであると仮定する。ある時点において、帯域割当装置12−1のクラスバッファには受信部から10セル入力があり、帯域割当装置12−2のクラスバッファには受信部から90セルの入力があったとする。また、割当帯域決定装置14の割当可能な帯域が、申告される周期当たりに100セルであるとする。
このようなケースの場合、帯域割当装置12−1、および帯域割当装置12−2のクラスバッファには、共に10セルが記憶され、観測部がクラスバッファに記憶されたこの10セルの情報のみを基に、割当帯域決定装置14に、帯域割当の申告を行うこととなる。このため、割当帯域決定装置14は、この申告を基に各装置に10セルに応じた帯域しか割当てない。
そこで廃棄セル情報を合計値として加算することで、上述の例の場合、帯域割当装置12−1の10セル、および帯域割当装置12−2の90セルが、申告値として反映され、割当帯域決定装置14が実際のトラヒックに合った十分な帯域割当を行えるように制御することができるようになる。
【0031】
このように、廃棄されたセル情報も加味して、入力帯域に応じた帯域割当を実現することで、上述の第1,2の実施形態と同様の効果を奏すると共に、前述の図6に示したような有限バッファ長に起因する割当帯域不足を解消することができ、特に、各クラスバッファの容量が小さい場合に帯域割当を効率的に行うことができるようになる。
【0032】
(第4の実施形態)
本実施形態における帯域割当装置を用いた、システム構成図を第3の実施形態で用いた図4を用いて説明する。
本実施形態において、第3の実施形態と特に異なるのは、図4の観測部42の機能を変えた点にある。本実施形態での帯域割当装置12−1の観測部42は、クラスバッファ30に記憶されたセル情報として所定の単位時間当たりのクラスバッファ30に入力される総セル数、またはその総バイト数を観測し、かつ受信部20からクラスバッファ30に入力されずに、所定の単位時間当たりに廃棄されたセルの、総セル数またはその総バイト数を観測する機能を有する。
帯域割当装置12−2,12−3は、上記帯域割当装置12−1と同様の構成を有する装置である。
【0033】
算出部50は、この観測値の合計値を算出し、申告部60は、この合計値を割当帯域決定装置14に申告する。
割当帯域決定装置14は、クラスバッファ30の記憶された全てのセルのバイト数またはセル数の情報である上記合計値に基づいて、割当帯域を決定し、この割当帯域情報を、伝送路L1およびライン102を介して、送出部70に送信する。
送出部70は、クラスバッファ30に記憶されている各セル情報を読出した後に、この割当てられた帯域を用いて、読出された各セル情報を、ライン104および伝送路L1を介して、割当帯域決定装置14に送出する。
【0034】
このように、廃棄されたセル情報も加味して、入力帯域に応じた帯域割当を実現することでも、上述の第3の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0035】
なお、本発明は、上述の第1〜4の実施形態と、それに対応する図1〜図4を用いて説明した例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0036】
上述の各実施形態では装置内にクラスバッファ30−1,30−2と2つ用いているが、これに限ることはなく、いくつ設けられていてもよい。例えば、Diffservの8クラスを収容する場合、8個のクラスバッファが設けられることとなる。
【0037】
また、上述第2〜4の実施形態において、クラスバッファ30−1,30−2は共に単独のクラスバッファとして設けられていてもよい。
【0038】
また、上述の第3,4の実施形態において、例えば、8つの品質クラスを有する場合、8つの品質クラス別に対応する各クラスバッファの申告値に、各クラスバッファに対応する廃棄セル数を考慮して申告値として申告してもよい。また、全体のクラスバッファの合計値ではなく、そのうちのいくつかのクラスバッファの組み合わせを考慮して、帯域割当を申告してもよい。例えば、8つの品質クラスを有する場合、8つの品質クラスを3つの組に分類し、それぞれの組の申告値に、各組からの廃棄セル数を考慮して申告値として申告してもよい。
【0039】
また、上述第3,4の実施形態においては、受信部は、クラスバッファのキュー長を観測してセル廃棄を決定するとしたが、他の形態として、キュー長の観測による廃棄セルに加えて、UPC(User Policy Control)、NPC(Network Policy Control)、シェーパ等の入力トラヒック特性を観測して廃棄する機能を有していてもよい。
【0040】
また、上述第3,4の実施形態における他の形態として、合計した申告値に加えて、特定のクラスバッファに分類されるトラヒックの合計値を申告する場合、その合計値に、当該クラスバッファに分類されるトラヒックの廃棄セル数を加えて申告してもよい。
【0041】
また、上述第3,4の実施形態において、セルはクラスバッファへの入力時点で廃棄すると想定したが、例えば、各クラスバッファ入力後にRED(Random early Discard)等の廃棄機能を有していてもよい。この場合、セルが廃棄される際に、受信部はクラスバッファに入力後の廃棄セル数をカウントする機能を有することとなる。
【0042】
【発明の効果】
このように、装置内の各クラスバッファの観測値の合計値に基づいて、動的に帯域割当を行うことで、各クラスバッファ別での帯域の割当設定に比して、より帯域を有効に利用するような割当を効率的に行うことができるようになると共に、同一の出力方路に接続された複数の帯域割当装置間での帯域を、品質クラス体系によらず公平に割当てることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1,2の実施形態における、帯域割当装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の帯域割当装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明に係る帯域割当装置による割当帯域を説明するための図である。
【図4】第3,4の実施形態における、帯域割当装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】従来の帯域割当装置による割当帯域を説明するための図である。
【図6】従来の帯域割当装置による割当帯域を説明するための他の図である。
【符号の説明】
10−1,10−2,10−3,12−1,12−2,12−3:帯域割当装置
14:割当帯域決定装置
20:受信部
30:クラスバッファ
40,42:観測部
50:算出部
60:申告部
70:送出部
100,102,104,200:ライン
L1,L2,L3:伝送路
Claims (8)
- 通信網を構成する伝送路から品質クラスの各々で受信した各セル情報を、前記品質クラス別の各々に対応して設けられ、かつ同一の出力伝送路を共用するクラスバッファに記憶し、
前記クラスバッファの各々に記憶された該セル情報のキュー長を観測し、
前記観測して得られる該キュー長の各々の値の合計値を算出し、
前記算出して得られる該合計値の申告に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、該セル情報を前記出力伝送路に送出することを特徴とする帯域割当方法。 - 通信網を構成する伝送路から品質クラスの各々で受信した各セル情報を、前記品質クラス別の各々に対応して設けられ、かつ同一の出力伝送路を共用するクラスバッファに記憶し、
前記クラスバッファの各々における、所定の単位時間当たりに入力されたセル情報のバイト数またはセル数を観測し、
前記観測して得られる観測値の各々の合計値を算出し、
前記算出して得られる該合計値の申告に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、該セル情報を前記出力伝送路に送出することを特徴とする帯域割当方法。 - 通信網を構成する伝送路から品質クラスの各々で受信した各セル情報を、前記品質クラス別の各々に対応して設けられ、かつ同一の出力伝送路を共用するクラスバッファに記憶し、
前記クラスバッファの各々に記憶された該セル情報のキュー長、および前記クラスバッファに入力されずに所定の単位時間当たりに廃棄されたセル情報のバイト数またはセル数を同時に観測し、
前記観測して得られる観測値の各々の合計値を算出し、
前記算出して得られる該合計値の申告に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、該セル情報を前記出力伝送路に送出することを特徴とする帯域割当方法。 - 通信網を構成する伝送路から品質クラスの各々で受信した各セル情報を、前記品質クラス別の各々に対応して設けられ、かつ同一の出力伝送路を共用するクラスバッファに記憶し、
前記クラスバッファの各々において、所定の単位時間当たりに入力されたセル情報のバイト数またはセル数と、入力されずに所定の単位時間当たりに廃棄されたセル情報のバイト数またはセル数とを同時に観測し、
前記観測して得られる観測値の各々の合計値を算出し、
前記算出して得られる該合計値の申告に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、該セル情報を前記出力伝送路に送出することを特徴とする帯域割当方法。 - 品質クラス別の各々に対応して設けられかつ同一の出力伝送路を共用し、通信網を構成する伝送路から該品質クラスの各々で受信した各セル情報を記憶するクラスバッファと、
前記クラスバッファの各々に記憶された該セル情報のキュー長を観測する観測手段と、
前記観測手段から得られる該キュー長の各々の値の合計値を算出する算出手段と、
前記算出手段から得られる該合計値を申告する申告手段と、
前記申告手段からの該申告された値に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、該セル情報を前記出力伝送路に送出する送出手段とを有することを特徴とする帯域割当装置。 - 品質クラス別の各々に対応して設けられかつ同一の出力伝送路を共用し、通信網を構成する伝送路から該品質クラスの各々で受信した各セル情報を記憶するクラスバッファと、
前記クラスバッファの各々における、所定の単位時間当たりに入力されたセル情報のバイト数またはセル数を観測する観測手段と、
前記観測手段から得られる観測値の各々の合計値を算出する算出手段と、
前記算出手段から得られる該合計値を申告する申告手段と、
前記申告手段からの該申告された値に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、該セル情報を前記出力伝送路に送出する送出手段とを有することを特徴とする帯域割当装置。 - 品質クラス別の各々に対応して設けられかつ同一の出力伝送路を共用し、通信網を構成する伝送路から該品質クラスの各々で受信した各セル情報を記憶するクラスバッファと、
前記クラスバッファの各々に記憶された該セル情報のキュー長、および前記クラスバッファに入力されずに所定の単位時間当たりに廃棄されたセル情報のバイト数またはセル数を同時に観測する観測手段と、
前記観測手段から得られる観測値の各々の合計値を算出する算出手段と、
前記算出手段から得られる該合計値を申告する申告手段と、
前記申告手段からの該申告された値に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、該セル情報を前記出力伝送路に送出する送出手段とを有することを特徴とする帯域割当装置。 - 品質クラス別の各々に対応して設けられかつ同一の出力伝送路を共用し、通信網を構成する伝送路から該品質クラスの各々で受信した各セル情報を記憶するクラスバッファと、
前記クラスバッファの各々において、所定の単位時間当たりに入力されたセル情報のバイト数またはセル数と、入力されずに所定の単位時間当たりに廃棄されたセル情報のバイト数またはセル数とを同時に観測する観測手段と、
前記観測手段から得られる観測値の各々の合計値を算出する算出手段と、
前記算出手段から得られる該合計値を申告する申告手段と、
前記申告手段からの該申告された値に基づいて帯域割当を行う割当帯域決定手段により決定された割当帯域別に、該セル情報を前記出力伝送路に送出する送出手段とを有することを特徴とする帯域割当装置。
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