JP3763112B2 - 冷凍パン生地の解凍方法および解凍装置 - Google Patents

冷凍パン生地の解凍方法および解凍装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は冷凍パン生地の解凍技術に関し、さらに詳しくは冷凍パン生地を解凍させる際の温度制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、店舗等において焼き立てのパンを効率よく提供できるようにするために用いられるベーカリー機器として、いわゆるドゥコンディショナーがある。ドゥコンディショナーでは、希望する時間に焼成を行うことができるように、冷凍パン生地を一定時間かけて解凍させ、その後に例えば発酵状態を良くするための熟成工程(予熱工程)やホイロ工程(発酵工程)に移る。その際、解凍によってパン生地の品質を損なうことなく良好な状態で熟成工程あるいはホイロ工程に移行できるように、従来は、冷蔵温度帯(0〜5℃)において長時間(6〜8時間)かけて緩慢にパン生地を解凍させることを行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような機器を使用して冷凍パン生地を解凍させる場合、短時間で急速に解凍が行えれば、全体として作業時間の短縮化が図れて好ましい。短時間で解凍させるには、ヒータ等により庫内を加熱して庫内の温度、つまり冷凍パン生地の周辺空気温度を高くしてやればよい。
【0004】
しかし、冷凍パン生地を急速に解凍しようとして庫内の温度を高めに設定すると、例えば、庫内あるいは庫外で冷凍パン生地の表面に水分が付着ないし着霜した状態のまま解凍が開始されるために、急速に上昇した庫内温度の下で、冷凍パン生地の表面に結露が生じ、その結果、この結露による余分な水分の影響によって焼成後の仕上がりが非常に悪くなるという問題が生じる。このような問題は、庫内温度を当初は低く保ち、その後緩慢に上昇させながら冷凍パン生地を解凍させることで防止できるが、その場合、それだけ解凍時間が長くかかることになる。
【0005】
本発明の目的は、冷凍パン生地を急速に解凍してもパン生地の水分が適切な量に保たれるようにして、焼成後に良好な仕上がり状態が得られるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、冷却手段および加熱手段を備えた庫内で冷凍パン生地を解凍させる方法において、次のように構成したことを特徴とする。
【0007】
すなわち、まず、あらかじめ設定した解凍温度付近まで冷凍パン生地の周辺空気温度を速やかに変化させる。次いで、所定のタイミングで冷却手段および加熱手段を交互にON・OFFすることにより、比較的短い時間間隔で冷凍パン生地の周辺空気温度を解凍温度を挟んで且つ所定の温度ディファレンシャルで上下に交互に強制的に変動させながら冷凍パン生地を解凍させる。
【0008】
また、本発明に係る冷凍パン生地の解凍装置は、上記方法の実施に用いるものとして、冷凍パン生地を収容する庫体と、冷凍サイクルにより庫内を冷却する冷凍機と、庫内に設けられた加熱ヒータとを有し、冷凍機および加熱ヒータにより庫内の温度を調節して冷凍パン生地を解凍させる解凍装置において、次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
すなわち、図1に示すように、冷凍パン生地の解凍温度を設定する解凍温度設定手段Aと、解凍時における冷凍パン生地の周辺空気の温度ディファレンシャルを設定する温度ディファレンシャル設定手段Bと、庫内におけるパン生地の周辺空気温度を検出する温度センサCと、この温度センサCの出力に基づいて上記冷凍機Dおよび加熱ヒータEの各ON・OFFを制御する制御手段Fとを備える。そして、この制御手段Fが、解凍開始後パン生地の周辺空気温度が上記解凍温度付近に達するまでは冷凍機Dまたは加熱ヒータEのいずれか一方をOFF、他方をONにさせ、その後は、冷凍パン生地の解凍が終わるまで、比較的短い時間間隔でパン生地の周辺空気温度があらかじめ設定された温度ディファレンシャルで解凍温度を挟んで上下に変動するように、所定のタイミングで冷凍機Dおよび加熱ヒータEを交互にON・OFFさせる構成とする。
【0010】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
(解凍温度と温度ディファレンシャル)
通常、冷凍パン生地は解凍が開始されるまでは−20℃前後で冷凍保管される。また、パン生地に含まれているイースト酵母は28℃前後で最も発酵しやすいといわれている。そこで、イースト酵母に悪影響を及ぼすことなく十分な解凍を行うために、解凍温度は10〜20℃、具体的には例えば15℃前後に設定する。また、冷凍パン生地の周辺空気温度を変動させる際の温度幅を示す温度ディファレンシャルは±5〜10deg、好ましくは±6〜8deg、より好ましくは±7degに設定する。
【0011】
解凍温度等を上記のように設定すると、解凍時におけるパン生地の表面の余分な水分の除去と、約28℃前後で最も発酵しやすいといわれているイースト酵母の発酵防止とを図りつつ、パン生地自体の温度を比較的速い速度で上昇させることができる。実際、本発明をドゥコンディショナーに適用し、これを用いてサンプルとしての冷凍パン生地を解凍させた実験結果によれば、解凍温度を15℃前後、温度ディファレンシャルを±7℃に設定した場合に比較的好ましい結果が得られた。その際、通常のドゥコンディショナーにおける場合のように温度ディファレンシャルが±2degである場合についもテストしてみたが、良い結果は得られなかった。これらのことから、上述したように比較的大きな温度ディファレンシャルとしたときに良い結果が得られることが確認できた。
【0012】
解凍温度を挟んで上下に冷凍パン生地の周辺空気温度を比較的短い時間間隔で強制的に変動させ、その際の変動幅を温度ディファレンシャルとしてあらかじめ設定するが、この条件を満たしていれば、冷凍パン生地の周辺空気温度を変動させる際の上限温度および下限温度は一定である必要はない。むしろ、解凍が進んでパン生地自体の温度と周辺空気温度との差が小さくなれば、それだけ冷凍パン生地の解凍速度が遅くなるので、周辺空気の上限温度および下限温度は解凍が進むにつれて高温側にシフトさせる方が好ましいと言えるかもしれない。解凍の進行に伴ってパン生地の周辺空気温度を高温側にシフトさせても、パン生地自体の温度が高くなるにつれて結露が発生しにくくなるので問題は生じない。
【0013】
なお、解凍温度を高く設定しすぎたり温度ディファレンシャルを大きく設定しすぎたりした場合には、急速に解凍できるかもしれないが、その場合にはパン生地に結露が発生したりイースト菌に悪影響を及ぼすおそれが生じ、逆に解凍温度を低く設定しすぎた場合には解凍に時間がかかるだけでなく解凍が不充分なものとなることは前述した通りである。また、加熱ヒータと冷凍機を同時にONし除湿しながら解凍温度を維持しようとすると、本発明のようにいずれか一方のみをONする場合に比べてエネルギー消費量が増えるために省エネに反し、さらに設備の電源容量も大きくする必要が生じ不経済である。さらに、温度ディファレンシャルを小さく設定しすぎると、冷却効果によるパン生地表面の余分な水分の除去が促進されない。
【0014】
(冷却手段および加熱手段のON・OFF制御)
本発明においては、解凍開始後にまず加熱手段(加熱ヒータ)または冷却手段により冷凍パン生地の周辺空気温度を解凍温度付近まで速やか変化させ、その後は、冷却手段(冷凍機)および加熱手段を所定のタイミングで交互にON・OFF(一方がONのときは他方がOFF)することにより、パン生地の周辺空気温度を解凍温度付近で比較的短い時間間隔で、かつ、比較的大きいディファレンシャルで強制的に上下させるようにした点が重要である。冷凍パン生地の周辺空気温度が高くなってその表面に結露が生じやすくなったときに、冷却手段により周辺空気温度を強制的に冷却することで周辺空気を除湿して結露の発生を未然に防止し、さらにパン生地の周辺空気温度が温度ディファレンシャル分だけ低下したときに加熱手段により周辺空気温度を再び上昇させることで、冷凍パン生地を急速に解凍させながら、同時にその周辺空気の湿度を適切な範囲に保ってパン生地への結露を防止することが可能となるからである。加えて、加熱手段または冷却手段のON・OFFによるパン生地の周辺空気の温度変化に伴って周辺空気の相対湿度が大きく変動し、その低湿度のときに冷凍パン生地の表面の余分な水分を除去できるからである。
【0015】
(その他)
本発明は、通常、解凍工程からホイロ工程まで行えるように構成されたドゥコンディショナーに適用される。その場合、冷却手段としては例えば圧縮式冷凍機、加熱手段としては例えば霜取り用の加熱ヒータ、温度センサとしては例えばサーミスタ、制御手段としては例えばマイクロコンピュータを用いることができる。これらはいずれも従来のドゥコンディショナーに一般に備えられているものである。したがって、このうちのマイクロコンピュータに記憶させるプログラムを一部変更して、上述の温度制御を行うように設定すればよい。つまり、温度制御に関する設定を変えるだけで、従来のドゥコンディショナー等をそのまま使用することができる。なお、庫内に熱交換器を2つ備え、そのうちの一方で冷媒を蒸発させ他方で凝縮させることにより、除湿しながら解凍温度を維持させる方法も考えられるが、冷凍サイクルが複雑になりコスト高となってしまう。
【0016】
【作用】
本発明装置を用いて本発明の解凍方法を実施する場合には、まず当該装置に備えられた解凍温度設定手段Aおよび温度ディファレンシャル設定手段Bにより解凍温度および温度ディファレンシャルをそれぞれ所定の値に設定する。
【0017】
次に、この状態で解凍を開始するのであるが、その場合、本発明装置に備えられた制御手段Fは、冷凍機Dおよび加熱ヒータEに各制御信号を出力して、このうちの例えば冷凍機DをOFF、加熱ヒータEをONにさせる。これにより庫内が加熱され、冷凍パン生地の周辺空気温度が解凍温度付近(例えば解凍温度よりも数度高い温度)まで速やかに上昇し、これに伴って冷凍パン生地自体の温度も比較的急速に、つまり従来の緩慢解凍の場合に比べて急速に上昇する。ところが、このように冷凍パン生地自体の温度がまだ低温のときに周辺空気温度が急速に上昇すると、パン生地の表面に結露が発生しやすくなる。
【0018】
この結露によるパン生地の表面の余分な水分と、解凍開始前にパン生地の表面に着霜している余分な水分とを除去するため、本発明では、上述のようにしてパン生地の周辺空気温度が解凍温度付近まで達した後、所定のタイミングで制御手段Fが冷凍機Dおよび加熱ヒータEのON・OFFを交互に同時に切り換える。このようにすると、庫内に対する冷却と加熱とが比較的短い時間間隔で交互に繰り返され、これに伴ってパン生地の周辺空気温度が解凍温度を挟んで所定の温度ディファレンシャルで上下に強制的に変動する。これにより、冷凍パン生地は、その周辺空気温度が低下している間、つまり加熱ヒータEがOFFで冷凍機DがONとなっている間だけ冷却されるから、この冷却効果によって生地表面の余分な水分の除去が効果的に促進されることとなる。しかも、冷凍パン生地は、これよりも高温の領域で変動する周辺空気により加熱されて、これに伴う温度上昇により速やかに解凍される。こうして冷凍パン生地は、その表面における余分な水分が除去されながら、急速に解凍されることとなる。
【0019】
以上では、解凍開始直後に庫内を加熱してパン生地の周辺空気温度を解凍温度付近まで上昇させる場合について説明したが、解凍後に連続してホイロ運転を行い、その後さらに別の冷凍パン生地を続けて解凍させる場合もある。その場合には、直前のホイロ運転により庫内温度が解凍時の庫内温度に比べて高くなっているため、解凍開始直後にまず冷凍機Dにより庫内を冷却して解凍温度付近まで冷凍パン生地の周辺空気温度を速やかに変化させ、その後に上述した加熱ヒータEおよび冷凍機Dの交互ON・OFF運転を行う。
【0020】
なお、解凍温度や温度ディファレンシャルさらには解凍時間等については、例えば菓子パン用、フランスパン用等というように複数のパターンをあらかじめ用意して、これらをマイクロコンピュータに登録しておいてもよい。このようにすれば、使用者は煩わしい設定をその都度する必要がなくなり、登録されたパターンのいずれかを選択ないし設定するだけで簡単に解凍を開始できることとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
図2および図3に、本発明の実施に使用したドゥコンディショナーを示す。このドゥコンディショナー1は、冷凍パン生地を収容するボックスタイプの庫体2を有する。庫体2の前面側にはパン生地の出し入れに使用する出入口3が形成されており、この出入口3には、これを開閉する把手付きの扉4が備えられている。また、庫体2の前面には、解凍温度や温度ディファレンシャル等を設定する設定部と、設定された値や庫内温度等を表示する表示部とを備えた操作パネル部5が設けられている。庫内2の左右両壁面には、冷凍パン生地を載せたトレーをそれぞれ挿入セットできるように、前後方向に延びるレール6が上下に複数段(図例では6段)設けられている。
【0022】
庫体2内(つまり庫内)の天井側には、冷凍サイクルにより庫内を冷却する冷凍機(図例では蒸発器)7と、本発明における加熱手段を構成する霜取り用の加熱ヒータ8と、冷凍機7の下面側を覆うドレンパン9とが設けられている。また、庫体2の所定位置(例えば、操作パネルの近傍)には、上記冷凍機7および加熱ヒータ8のON・OFFを制御する図1の制御手段Fとして、図示しないマイクロコンピュータ等からなる制御部が配置されている。
【0023】
庫内の下部側には、冷凍パン生地の周辺空気温度を検出する検出するサーミスタからなる温度センサ10が設けられている。この温度センサ10は、図示例では、最下段のレール6にセットされるトレー(図示せず)の中央部近傍に位置するように配置されている。この種の温度センサは、庫内の位置によってパン生地の周辺空気温度に僅かなバラツキが生じうることを考慮して、位置の異なる複数箇所(例えば、庫内の各溝にトレーをセットした状態で、その上段、中段および下段の各トレー位置近傍)にそれぞれ設けてもよいし、図示例のように、基準となる特定部位に1個だけ設けてもよい。ただし、庫内に収容されたパン生地のなるべく近傍に配置して、その周辺空気温度の検出を正確に行えるようするのが好ましい。
【0024】
以上に加えて、この実施例のドゥコンディショナー1は、解凍後に続けてホイロ運転を行えるようになっており、ホイロ時に庫内の空気を加湿してパン生地周辺の湿度を適切な範囲に保つ手段としての超音波加湿器と、解凍後自動的にホイロ運転に移ることを可能とするタイマー機能とを有する。また、図示しないが、庫内空気を循環させる送風機や、その回転を制御する送風機回転制御部もそれぞれ備えられている。
【0025】
なお、冷凍サイクル運転を行う冷凍機(ここでは圧縮式冷凍機)は、一般に、冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮機を駆動するモータ、冷媒液体が蒸発する際に外部から熱を吸収することにより冷凍効果を発揮する蒸発器、冷媒ガスを冷却して液化させる凝縮器、およびこれらを繋ぐ配管等から構成される。図1では、説明を簡明化するために、このうちの蒸発器のみを冷凍機7として示したが、冷凍サイクルを構成するのに必要な蒸発器以外の他の要素を有していることは言うまでもない。
【0026】
次に、このドゥコンディショナー1を用いて冷凍パン生地を解凍させる場合について説明する。図4は、室温が約28℃の部屋に置かれたドゥコンディショナーにより、あんぱん(85g)14個とクリームパン(80g)22個の冷凍パン生地を解凍させた場合の温度変化を示すグラフである。ここでは、解凍温度を15℃、温度ディファレンシャルを±7℃にそれぞれ設定した。
【0027】
同グラフにおいて、実線(イ)はトレーに置かれた状態で庫内の中央部にセットされたパン生地の周辺空気温度を示し、点線(ロ)はそのパン生地の中心温度を示す。なお、図示したグラフでは、解凍開始時の冷凍パン生地の中心温度(以下、単にパン生地の温度という)が約−13℃となっているが、これは、約−20°で冷凍保管されていたパン生地をドゥコンディショナー1の庫内に入れて解凍をスタートさせるまでに多少の時間を要し、その間にパン生地の温度が上昇してしまったことによる。−20℃から解凍をスタートした場合には、図示の各温度曲線の左端を−20℃付近までそれぞれ延長させたようなグラフとなる。
【0028】
上記ドゥコンディショナー1において解凍を行う場合、まず上述した制御部が図3における冷凍機7および加熱ヒータ8に各制御信号を出力し、前者の冷凍機7をOFF、後者の加熱ヒータ8をONにする。これにより庫内が加熱されて、図4のグラフに示すように、冷凍パン生地の周辺空気温度が当初の−13℃付近から速やかに上昇し、所定時間経過後(図例では約30分後)には解凍温度(15℃)よりも5〜6度高い温度(この場合は20℃付近)に達する。また、この庫内温度の上昇に伴って冷凍パン生地の温度も上昇するが、その上昇速度は、熱容量の違いからその周辺空気温度の上昇速度よりも緩やかである。しかし、上記加熱ヒータ8の加熱により冷凍パン生地の周辺空気温度が解凍開始時の−13℃付近から20℃付近まで急速に上昇する結果、従来の緩慢解凍の場合に比べるとパン生地自体の温度も速やかに上昇し、そのためにパン生地の表面に結露が発生しやすくなる。
【0029】
そこで、本発明では、上述のようにしてパン生地の周辺空気温度が解凍温度よりも数度高い所定の温度に達した後は、比較的短い時間間隔(図例では数分)で図3の冷凍機7および加熱ヒータ8のON・OFFを交互に切り換えて、庫内空気に対する冷却と加熱とを交互に繰り返すことにより、解凍温度を基準にして上記温度ディファレンシャル(±7deg)分だけパン生地の周辺空気温度を上下に強制的に変動させる。このようにすると、冷凍パン生地は、その周辺空気の温度が低下している間、つまり加熱ヒータ8がOFFで冷凍機7がONとなっている間だけ冷却され、この冷却効果によりパン生地表面の余分な水分の除去が効果的に促進されることとなる。しかも、冷凍パン生地は、これよりも高温の領域で変動する周辺空気により加熱されて、これに伴う温度上昇により速やかに解凍される。このようにして冷凍パン生地は、結露を生じることなく急速に解凍されることとなる。
【0030】
なお、以上のようにして冷凍パン生地を急速に解凍させる場合には、加熱ヒータ8により加熱された空気あるいは冷凍機7により冷却された空気がパン生地周辺ひいては庫内全体に満遍なく速やかに行きわたるように、送風機をフルに回転させる。ただし、冷凍パン生地を緩慢に解凍させる必要がある場合には、送風機を緩やかに回転させる。つまり、翌朝のパンの焼き上げに備えて解凍を行うような場合には、作業者のいない夜中から早朝にかけて冷凍パン生地を緩慢に解凍させる必要があるが、そのような場合には、送風機を緩やかに回転させる。このようにすると、パン生地の周辺空気の温度が緩やかに変化するため、先に述べたような急速解凍時における問題を生じることなく冷凍パン生地を緩慢に解凍させることができる。
【0031】
図4のグラフでは、パン生地の温度が解凍温度15℃に達することにより解凍工程が終了すると、引き続いて自動的にホイロ工程に移行する例を示した。その場合、冷凍機7をOFF、加熱ヒータ8をONにして庫内を加熱することにより、パン生地の周辺空気温度を35〜36℃付近まで上昇させ、以後はその温度付近に保ってパン生地を所定の状態に発酵させるようにした。このホイロ時に上述した超音波加湿器で加湿することにより、庫内をパン生地の発酵に都合の良い湿度に保つことができる。上記実施例のように解凍後自動的にホイロ工程に移る場合は、ホイロ開始時間や終了時間等をタイマーであらかじめ設定しておけばよい。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、庫内で冷凍パン生地を急速に解凍させる場合において、あらかじめ設定した解凍温度付近で冷凍パン生地の周辺空気温度を比較的短いタイミングで所定の温度ディファレンシャル分だけ上下に強制的に変動させるようにしたので、冷凍パン生地の周辺空気の温度降下時における冷凍効果によってパン生地表面の余分な水分の除去を促進することができる。これにより、冷凍パン生地を急速に解凍させてもパン生地の水分が適切な量に保たれることとなり、焼成後に良好な仕上がり状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る解凍装置のシステム構成を説明するために使用した説明図である。
【図2】本発明方法の実施に使用したドゥコンディショナーを示す正面図である。
【図3】図2のIII − III線で切断したドゥコンディショナーの縦断側面図である。
【図4】図2および図3のドゥコンディショナーで冷凍パン生地を解凍させた場合のパン生地自体の温度とパン生地の周辺空気温度との変化をそれぞれ示すグラフである。
【符号の説明】
1 ドゥコンディショナー(解凍装置)
2 庫体
7・D 冷凍機(冷凍手段)
8・E 加熱ヒータ(加熱手段)
10・C 温度センサ
A 解凍温度設定手段
B 温度ディファレンシャル設定手段
F 制御手段

Claims (2)

  1. 冷凍サイクルにより庫内を冷却する冷凍機と、庫内に設けられた加熱ヒータとを備えた庫内で冷凍パン生地を解凍させる方法であって、
    まず、あらかじめ約10〜20℃の範囲内で設定した解凍温度付近まで冷凍パン生地の周辺空気温度を速やかに変化させた後、
    冷凍機および加熱ヒータを交互にON・OFFすることにより、冷凍パン生地の周辺空気温度を上記解凍温度を挟んで、且つ±5〜10degの範囲内で設定した温度ディファレンシャルで上下に交互に強制的に変動させながら冷凍パン生地を解凍させることを特徴とする冷凍パン生地の解凍方法。
  2. 冷凍パン生地を収容する庫体と、冷凍サイクルにより庫内を冷却する冷凍機と、庫内に設けられた加熱ヒータとを有し、冷凍機および加熱ヒータにより庫内の温度を調節して冷凍パン生地を解凍させる解凍装置であって、
    冷凍パン生地の解凍温度を約10〜20℃の範囲内で設定する解凍温度設定手段と、
    解凍時における冷凍パン生地の周辺空気の温度ディファレンシャルを±5〜10degの範囲内で設定する温度ディファレンシャル設定手段と、
    庫内におけるパン生地の周辺空気温度を検出する温度センサと、
    この温度センサの出力に基づいて上記冷凍機および加熱ヒータの各ON・OFFを制御する制御手段とを有し、
    この制御手段は、解凍開始後にパン生地の周辺空気温度が上記解凍温度付近に達するまでは冷凍機または加熱ヒータのいずれか一方をOFF、他方をONにさせ、その後は、冷凍パン生地の解凍が終わるまで、冷凍パン生地の周辺空気温度が上記設定された温度ディファレンシャルで上記設定された解凍温度を挟んで上下に変動するように、冷凍機および加熱ヒータを強制的に交互にON・OFFさせることを特徴とする冷凍パン生地の解凍装置。
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