JP3762769B2 - 可搬型ガス検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は可搬型ガス検知装置に関し、詳しくは、被検ガスを装置内に導入するためのガス吸引手段を備えてなり、複数種類のガス成分を検知することができる可搬型ガス検知装置に関する。
一般に、例えば地下の工事現場や坑道、その他の人が立ち入る場所や作業領域などにおいて、その環境の空気中に一酸化炭素ガスや硫化水素ガスなどの危険性ガスが含有されるおそれがある場合や、空気中の酸素ガス濃度が低下しているおそれがある場合など、環境雰囲気の空気が危険な状態となっている可能性あるいは危険な状態となる可能性がある場合が少なくない。
そして、環境雰囲気の空気において、含有される危険性ガスの濃度が高いことにより、または酸素ガス濃度が低いことにより、人に対して危険な状態となったときには、そのことを直ちに知ることが必要である。
このような要請から、現在までに種々のタイプの可搬型ガス検知装置が提案されており、これらの可搬型ガス検知装置のある種のものは、互いに異なる種類のガス成分を検知する複数のガスセンサーが設けられており、複数のガス成分を同時に検知することができるよう構成されている(例えば特許文献1参照。)。
特開2002−116169号公報
そして、上記のような複数のガス成分を検知可能なガス検知装置において、例えば一酸化炭素ガスを検知する場合には、通常、定電位電解式ガスセンサー素子よりなるガスセンサーが用いられており、例えば硫化水素ガス等の干渉ガスによる影響を受けることなしに目的とするガス検知を行うため、当該ガスセンサーについての干渉ガス成分を除去する機能を有する干渉ガス除去フィルターをガスセンサーのガス取り入れ口に設けることが行われている。
而して、このような可搬型ガス検知装置においては、例えば、ガス検知が行われるべき対象空間の空気(被検ガス)を自然拡散によりガスセンサーに導入する方法が利用されているが、例えばポンプなどのガス吸引手段により被検ガスを強制的に吸引してガスセンサーに導入することが必要とされる場合がある。
しかしながら、複数のガスセンサーが内蔵された可搬型のガス検知装置において、ガス吸引手段をガス検知装置本体内に設ける場合には、概して大型でしかも重量が重いものとなってしまい、携帯そのものが相当に不便であり、また目的とする作業などを実行する上で大きな障害となる、という問題がある。
また、干渉ガス除去フィルターを交換するに際しては、例えばガス検知装置を分解することが必要であるなど、煩雑な作業を求められる場合も少なくない。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、携帯に便利な小型のものとして構成することが容易であり、使用上の利便性が高い新規な構成の可搬型ガス検知装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、ガスセンサーについての干渉ガス除去用のフィルターを備えた可搬型ガス検知装置において、フィルターの交換を容易に行うことができ、しかもフィルターの交換時期を容易に確認することができる可搬型ガス検知装置を提供することにある。
本発明の可搬型ガス検知装置は、手で握って保持することができる細長い扁平な箱状のハウジングを備えてなり、このハウジングの内部は、前半部がガス検知動作に係る機能部材が配置される機能部領域とされていると共に、後半部が機能部材を駆動させる駆動用電源が配置される電池部領域とされており、
機能部領域においては、複数のガスセンサーが、当該ガスセンサーを面方向に並んだ状態で保持するセンサー保持部が形成されたセンサーホルダーと、内部に各々のセンサー保持部に順次に通じるガス流路が形成されたセンサーキャップとによって固定された状態で、保持されており、
ハウジングの背面に露出されるセンサーキャップには、少なくとも一つのガスセンサーに対応する位置に、当該ガスセンサーに係る干渉ガス成分を除去するフィルター組立体が着脱自在に設けられており、
フィルター組立体は、フィルター積層体と、このフィルター積層体を保持するフィルターホルダーと、このフィルターホルダーが着脱自在に装着される、透明性を有するフィルターキャップとにより構成されており、
フィルター積層体は、少なくとも、ガスセンサーについての検知対象ガス以外の干渉ガス成分を吸着する機能を有する機能膜が2枚の外皮膜の間に介在されるよう積重されて構成されてなり、外皮膜は、その一部に当該外皮膜をその厚み方向に貫通する視認用孔が形成されてなるものであることを特徴とする。
また、本発明の可搬型ガス検知装置においては、フィルター組立体が装着されるガスセンサーが、一酸化炭素ガス検出用のものであり、
フィルター積層体は、機能膜の、被検ガスの導入方向に対して下流側の面に活性炭層が積重されてなるものであることが好ましい。
さらに、本発明の可搬型ガス検知装置においては、複数のガスセンサーのうちの少なくとも一つが、接触燃焼式のガスセンサー素子よりなり、駆動用電源から4.5Vの電圧が供給される構成とすることができる。
また、本発明の可搬型ガス検知装置においては、ハウジングの内部における電池部領域には、ハウジングの背面に開口するよう電池室が形成されており、この電池室に、3本の棒状の乾電池、並びに当該乾電池と同一の外形を有する可充電型電池3本が平行に並んだ状態で保持枠部材により保持されてなる可充電型電池パックのいずれか一方が他方と交換可能に装着される構成とされていることが好ましい。
本発明の可搬型ガス検知装置によれば、基本的には、ハウジングが手に持って保持することができる形態を有するものであり、必要とされる構成部材のすべてが、ケーシング内のデッドスペースが可及的に小さくなる状態で合理的に配置されているので、必要な機能を確保しながら、当該ガス検知装置それ自体を小型のものとすることができ、従って、優れた携帯性および高い利便性が得られる。
しかも、フィルター組立体がセンサーキャップに着脱自在に装着されているので、フィルター組立体の全体をセンサーキャップから外すことにより、フィルターの交換を容易に行うことができる。
フィルター組立体を構成するフィルターキャップが透明性を有するものであり、フィルター積層体を構成する外皮膜の一部に視認用孔が形成されていることにより、フィルター組立体それ自体を取り外さなくても、外皮膜の視認用孔を介して外部から機能膜を目視することにより、フィルター積層体の汚れの程度を確認することができるので、フィルター積層体の交換時期の確認を容易に行うことができる。
また、駆動用電源として比較的大きな電力が確保されるので、ガスセンサーのうちの少なくとも一つを接触燃焼式のものとすることができ、検知可能なガス成分の選択の自由度が高くなり、高い利便性が得られる。
さらに、乾電池および可充電型電池パックのいずれか一方を他方と交換可能に装着可能に形成されたいわば共通の電池室を有することにより、アダプター等の付属品を使用することなしに、乾電池(一次電池)および可充電型電池(二次電池)の両方を使用することができる。
以下、図面を参照して本発明について説明する。
図1は、本発明の可搬型ガス検知装置の一構成例における外観を示す説明図であり、(a)前面図、(b)正面図、(c)側面図、(d)背面図、(e)後面図を示し、図2は、図1(d)におけるA−A断面の断面図、図3は、図1(d)におけるB−B断面の断面図、図4は、図1(c)におけるC−C断面の断面図である。
この可搬型ガス検知装置(以下、単に「ガス検知装置」という。)は、手で握って保持することができる、細長く扁平な箱状のハウジング10を備えており、ハウジング10の内部における正面側には、ガスセンサーからの信号を処理するガス検知信号処理用回路を含む制御用回路基板11、並びに、給電用回路および充電用回路を含む回路基板12が、互いに平行に、ハウジング10の扁平な平面に沿って延びるよう配置されており、ハウジング10内の前半部がガス検知動作に係る機能部材が配置される機能部領域とされていると共に後半部が電池部領域とされている。図1乃至図4において、16は、対象空間の空気を塵埃が除去された状態で導入するためのフィルターユニット、18は、背面に開口するガス排出口17を備えたガス排出部である。
機能部領域における制御用回路基板11の正面側には、検出されたガスの種類とその濃度が表示される例えば液晶表示パネルからなるパネル状表示機構13Aが配置されて、ハウジング10の正面に表示部13が形成されていると共に、警報用発光部14がハウジング10の前端面およびこれに続く正面領域および両側面領域のそれぞれに形成されている。警報用発光部14は、発光ダイオード(図示せず)よりなる光源と、これを被うようハウジング10に保持された窓板14Aとにより構成されている。警報用発光部14がハウジング10の前端面およびこれに続く正面領域並びに両側面領域のそれぞれに設けられていることにより、実際上、ガス検知装置の姿勢に関わらず、警報用発光部14の発光による警報動作を速やかに確認することができるので、適正な措置を直ちに講ずることができ、高い安全性が得られる。
また、ハウジング10の正面における後半部分には、操作用ボタン15が設けられている。
また、機能部領域における制御用回路基板11の背面側には、複数のガスセンサーと、外部より被検ガスを吸引して各々のガスセンサーに順次に供給するガス吸引手段であるポンプユニットとが配置されている。
具体的に説明すると、図5にも示されているように、5つのボタン型ガスセンサーSA〜SEが、全体がL字型のガスセンサー配置領域を有するセンサーホルダー20に受容された状態において、背面側から装着されたセンサーキャップ30により固定されて保持されていると共に、ポンプユニット40が、ガスセンサー配置領域によって2方を区画された領域における当該ガスセンサー配置領域に近接する一隅に形成されたポンプユニット装着部21に装着されて配置されている。なお、図5は、便宜上、センサーキャップ30を省略した状態で示してある。
センサーホルダー20は、全体が略L字型の板状のものであって、その屈曲部20Aに一つのガスセンサー収容凹部22Cが形成されていると共に、このガスセンサー収容凹部22Cの横方向および縦方向のそれぞれに2つのガスセンサー収容凹部22A、22Bおよび22D、22Eが並んで形成されており、これにより、L字型のガスセンサー配置領域が形成されてなるものであり、制御用回路基板11に固定されて配置される。
ポンプユニット装着部21はガス流路形成部材として機能し、ガス吸引ポンプ41から吐出される被検ガスがポンプユニット装着部21内に形成されたガス流路を介して、上方に突出して伸びるよう設けられたガス吐出管21Aより吐出される。ここに、ガス吐出管21Aは、例えばその開口径の大きさがガス流路の内径より小さい状態のものが用いられており、被検ガスが昇圧された状態で吐出される。
ガスセンサーとしては、検知対象ガスの種類に応じたガスセンサー素子を用いることができるが、上記のガス検知装置においては、5つのガスセンサーのうちの少なくとも一つに接触燃焼式ガスセンサー素子が用いられている。
ガスセンサーの組み合わせの一例を挙げると、例えば、被検ガスの流過方向に対して上流側から順に、例えばガルバニ型ガスセンサー素子よりなる酸素ガス検知用のガスセンサーSA、例えば定電位電解式ガスセンサー素子よりなる硫化水素ガス検知用のガスセンサーSB、例えば定電位電解式ガスセンサー素子よりなる一酸化炭素ガス検知用のガスセンサーSC、例えば接触燃焼式ガスセンサー素子よりなる炭化水素ガスを%LEL(爆発下限界濃度)の測定レンジで検知するガスセンサーSD、および例えば熱伝導式ガスセンサー素子よりなる炭化水素ガスを体積%の測定レンジで検知するガスセンサーSEが用いられる。
ポンプユニット40は、例えばダイヤフラム方式のガス吸引ポンプ41と、このガス吸引ポンプ41と一体に設けられたポンプ駆動用モータ42とにより構成されており、ガス吸引ポンプ41がセンサーホルダー20におけるポンプユニット装着部21の前端に装着されると共にポンプ駆動用モータ42がその駆動軸が前後方向に延びるようポンプユニット装着部21の側面に沿って配置されて、これにより、実際上、制御用回路基板11の周縁(前縁および側縁)より突出しない状態とされている。ここに、ガス吸引ポンプ41は、例えば0.2〜0.5リットル/minの流量の被検ガスを供給することができる性能を有するものが用いられている。
このガス検知装置においては、圧力センサー43がセンサーホルダー20におけるポンプユニット装着部21によって保持された状態で設けられており(図4および図5参照)、例えば水を吸引するなどして導入されるガス流量が低下し、被検ガスの、ガス吸引ポンプ41による排気圧が低下したことが圧力センサー43によって検知されると、ガス吸引ポンプ41の作動が強制的に停止される。
センサーキャップ30は、図6に示されているように、内面側キャップ部材31と外面側キャップ部材32とが積重されて一体に構成されている。
内面側キャップ部材31には、その厚み方向に貫通するガス導入路33が各々のガスセンサーSA〜SEに対応する位置に形成されており、内面側キャップ部材31および外面側キャップ部材32の一部(内面側キャップ部材31および外面側キャップ部材32の対接面の一部)がガスセンサー配置領域に沿って除去され、これにより、ガス流路35が形成されている。図6における37は、センサーホルダー20におけるガス吐出管21Aの接続部である。
センサーキャップ30には、ガスセンサーについての特定のガス成分(目的とする検知対象ガス成分)以外の干渉ガス成分を吸着する機能を有するフィルター組立体50が装着されるフィルター装着部36が形成されている。
この実施例においては、ガスセンサー配置領域の屈曲部に配置される一酸化炭素ガス検知用のガスセンサーSCおよびこのガスセンサーSCに隣接する被検ガスの流過方向に対して下流側に配置される炭化水素ガス(%LEL測定レンジ)検知用のガスセンサーSDの各々に対応する位置に、センサーキャップ30の厚み方向に貫通する貫通孔36Aが形成されると共に、この貫通孔36Aの内周面に螺旋溝36Bが形成されて、これにより、フィルター装着部36が形成されている。
フィルター組立体50は、図7に示されているように、ガスセンサーに係る干渉ガス成分を吸着して除去するフィルター積層体60と、このフィルター積層体60を保持するフィルターホルダー51と、例えば透明な樹脂よりなり、フィルター装着部36の螺旋溝36Bに適合する凸部52が周壁に形成された略有底筒状のフィルターキャップ53とにより構成されており、フィルターキャップ53の開口縁に外方に突出して延びるよう形成された係合用爪部52Aが、フィルターホルダー51の周壁における一端側部分に形成された環状溝51Aに係合されることにより、フィルターホルダー51がフィルターキャップ53に着脱自在に装着されている。
そして、フィルターホルダー51がフィルターキャップ53に装着された状態において、フィルター組立体50全体が、フィルター積層体60が内面側キャップ部材31のガス導入路33内に位置される状態で、フィルターキャップ53の凸部52がセンサーキャップ30におけるフィルター装着部36の螺旋溝に螺合され、これにより、センサーキャップ30に着脱自在に装着されている。55は、ガス導入用開口であり、各々、互いに周方向に離間した状態で複数個所に形成されている。
フィルター積層体60は、例えば、少なくともガスセンサーについての干渉ガス成分を吸着する機能を有する機能膜が2枚の外皮膜の間に介在された状態で積重されてなるものにより構成されている。
例えば、炭化水素ガス検知用(%LEL測定レンジ)のガスセンサーSDに係るフィルター積層体60Aは、図8(a)に示されているように、干渉ガス吸着用の機能膜61Aが、各々、例えばテフロン(登録商標)よりなる2枚の外皮膜62、62の間に介在された状態で積重されて構成されてなるものが用いられる。
また、一酸化炭素ガス検知用のガスセンサーSCに係るフィルター積層体60Bは、図8(b)に示されているように、干渉ガス成分である例えば硫化水素ガス吸着用の機能膜61Bとこの機能膜61Bの被検ガスの流過方向における下面側に位置される活性炭層63とが、2枚の外皮膜62、62の間に介在された状態で積重されてなるものにより構成されている。この例においては、機能膜61Bおよび活性炭層63がそれぞれ2層ずつ積層されたものとされているが、積層数は特に制限されるものではない。
フィルター積層体60Aにかかる機能膜61Aは、例えばセルロース紙に過塩素酸銀を含浸させたものにより構成されている。
この例においては、機能膜61Aが2層構造のものとされているが、ガスセンサーに対して十分な量の被検ガスを導入することができ、しかも干渉ガス成分の十分な除去効果が得られるよう構成されていれば、厚み、積層数およびその他の構成は特に制限されるものではない。
また、フィルター積層体60Bにかかる機能膜61Bは、例えばセルロース紙に過塩素酸銀を含浸させたものにより構成されている。
機能膜61Bについても、ガスセンサーに対して十分な量の被検ガスを導入することができ、しかも干渉ガス成分の十分な除去効果が得られるよう構成されていれば、厚み、積層数およびその他の構成は特に制限されるものではない。
フィルター積層体60A、60Bを構成する外皮膜62、62の各々には、その一部、例えば中央部に、機能膜61A、61Bの汚れの程度を視認するための視認用孔65が形成されている。これにより、フィルターキャップ53が透明性を有するものであるから、フィルター組立体50をセンサーキャップ30に装着したままの状態であっても、機能膜61A、61Bの汚れの程度を外部から視認することができ、フィルター積層体60の交換時期を容易に把握することができる。
上述したように、ハウジング10の内部における後半部は電池部領域とされている。
この電池部領域においては、3本の単3形乾電池74、74、74並びに後述する可充電型電池パック90のいずれか一方が他方と交換可能に装着される、ハウジング10の背面に開口する電池室70が形成されている。
そして、ハウジング10の背面には、電池室70の開口部に電池室カバー蓋80がハウジング10の後端に設けられた蓋ロック部材81により開閉自在に設けられている。
電池室70には、図9および図10示されているように、各々の乾電池74、74、74をその周面の一部に接してこれを支持する受容支持部71が形成されており、前端面に各々の乾電池74、74、74に対応する3つの負極側端子接片72、72、72が配置されていると共に、後端面に負極側端子接片72、72、72に対向して3つの正極側端子接片75、75、75が配置されている。各々の乾電池74、74、74は、互いに正極および負極が同方向を向いた状態で受容支持部71に装着されて、乾電池74の長手方向に沿って延びるよう配設された接続用接片73、73により直列に接続される。このような構成とされていることにより、乾電池74の向きを誤った状態で装着することが確実に防止される。
正極側端子接片75は、図11に示されているように、1本の弾性を有する金属線材が変形加工されて形成されており、乾電池74または可充電型電池パック90との接点を形成する逆U字状の中央接触アーム部分76と、この中央接触アーム部分76の両端のそれぞれに連続する2つのコイル部分77、77とを有する。
各々のコイル部分77、77は、乾電池74の長手方向に直交する方向に延びる同一の中心軸を有する。
中央接触アーム部分76は、2本の平行部分76A、76Aと、この平行部分76A、76Aの各先端を互いに連結する連結弧状部76Bとよりなる逆U字状であり、2本の平行部分76A、76Aは、2つのコイル部分77、77の半径方向外方に大きく突出し、かつ、2つのコイル部分77、77の中心軸と直角な平面内において弧状に湾曲、例えば、コイル部分77、77の中心軸と平行に伸びる軸を中心とし、当該コイル部分77、77より大きな半径を有する円柱の周面に沿って湾曲している。
負極側端子接片72は、特に制限されるものではなく、例えば、従来より用いられている渦巻き型のスプリング接片により構成されている。
正極側端子接片75による、乾電池74の長手方向に対する変位量は、渦巻き型のスプリング接片に比して端子接片それ自体の大きさが大幅に増大することなく、可充電型電池パック90の、乾電池74に対する過剰寸法分の大きさを変位により吸収することができるよう設定されており、正極側端子接片75および負極側端子接片72による変位量の大きさの総和が例えば5mm以上であれば、可充電型電池パック90を十分な電気的接続が達成された状態で確実に装着することができる。
可充電型電池パック90は、図12に示されているように、各々、単3形の乾電池と同一の外形を有する3本の棒状の可充電型電池(蓄電池)91、91、91が、隣接するもの同士が互いに正極および負極が逆さにされて接続用接片92により直列に接続された状態で、保持枠部材95によって保持されて一体に構成されている。
保持枠部材95は、電池室70の長手方向に直交する断面における空間部の形状に適合する断面形状を有するものとされており、後端面(図12(b)における下端面)に正極端子96が形成されていると共に、前端面(図12(b)における上端面)に負極端子97が形成されている。
以上のガス検知装置においては、例えばハウジング10の後端面に可充電型電池パック用の充電用端子85が露出して形成されており、これにより、可充電型電池パック90が電池室70に装着されたままの状態で充電動作を行うことができ、例えば、ガス検知装置に装着されている可充電型電池パック90を一旦取り出して適宜の充電装置を用いて充電動作を行った後、これを電池室70に再装着するなどの煩雑な操作を行う必要がなく、従って、高い利便性を有するものとなる。
また、制御用回路基板11は、電気的接続が達成されている端子数を検出することにより、乾電池74および可充電型電池パック90のいずれが電池室70に装着されているか判別する機能を有するものであることが好ましい。
具体的には、乾電池74が電池室70に装着されている場合には、すべて(6つ)の端子接片において電気的接続が達成された状態とされるが、可充電型電池パック90が電池室70に装着されている場合には、2つの端子接片が電気的接続が達成された状態とされ、この状態を検知することにより、乾電池74および可充電型電池パック90のいずれが電池室70に装着されているかを判別することができる。これにより、乾電池74が電池室70に装着されている場合には、ガス検知装置が乾電池74が装着されたままの状態で誤って適宜の充電装置に装着された場合であっても、乾電池74に対して充電が行われることがなく、従って、ガス検知装置を高い安全性を有するものとして構成することができる。
上記のガス検知装置においては、ガス吸引ポンプ41から吐出される被検ガスがセンサーキャップ30の内部に形成されたガス流路35を流過して順次にガスセンサーSA〜SEの各々に供給されて検知対象ガスの検知が行われ、表示部13において検知されたガスの種類と濃度が表示されると共に、いずれかの検知対象ガスの濃度が基準値を越えたことが検出されたときに、警報用発光部14の発光により警報が発せられる。ここに、一酸化炭素ガス検知用のガスセンサーSCおよび炭化水素ガス検知用(%LEL測定レンジ)のガスセンサーSDについては、干渉ガスがフィルター積層体に吸着されて除去された状態において被検ガスがガスセンサーに供給される。
例えば、検知対象ガスが酸素ガス(O2 ガス)の場合には、基準値は例えば18.0体積%(vol%)とされ、それ以下となったときに警報動作信号が発せられる。また、基準値は、検知対象ガスが炭化水素ガス(HCガス)の場合には例えば10%LEL(爆発下限界濃度に対するガス濃度)とされ、一酸化炭素ガス(COガス)の場合には例えば25ppmとされ、硫化水素ガス(H2 Sガス)の場合には例えば10ppmとされ、当該基準値を超えたときに警報動作信号が発せられる。
また、警報報知機構として、警報用ブザー、警報用振動発生器(数十ヘルツ程度の低周波を発する)が設けられた構成とすることができ、この場合には、警報用ブザーによるブザー音、警報用発光素子による発光、および警報用振動発生器による振動により警報が発せられる。
複数の種類の警報報知機構が設けられている場合に、それらの全部が一斉に駆動されることは必要ではなく、各警報報知機構が順次に所定時間だけ駆動されるサイクル的警報動作が行われることが好ましく、そのような駆動制御によれば、一斉に駆動される場合に比して、電池の消耗を抑制することができる。
而して、上記のガス検知装置によれば、基本的には、ハウジング10が手に持って保持することができる形態を有するものであり、必要とされる構成部材のすべてが、ハウジング10内のデッドスペースが可及的に小さくなる状態で合理的に配置されているので、必要な機能を確保しながら、当該ガス検知装置それ自体を小型のものとすることができ、従って、優れた携帯性および高い利便性が得られる。
しかも、フィルター組立体50がセンサーキャップ30に着脱自在に装着されているので、フィルター組立体50の全体をセンサーキャップ30から外すことにより、フィルター積層体60の交換を容易に行うことができる。
フィルター組立体50を構成するフィルターキャップ53が透明性を有するものであり、フィルター積層体60を構成する外皮膜62の一部に視認用孔65が形成されていることにより、フィルター組立体50それ自体を取り外さなくても、外皮膜62の視認用孔65を介して外部から機能膜を目視することにより、フィルター積層体60の汚れの程度を確認することができるので、フィルター積層体60の交換時期の確認を容易に行うことができる。
また、駆動用電源として比較的大きな電力が確保されるので、ガスセンサーのうちの少なくとも一つを接触燃焼式のものとすることができ、検知可能なガス成分の選択の自由度が高くなり、高い利便性が得られる。
さらに、乾電池74および可充電型電池パック90のいずれか一方を他方と交換可能に装着可能に形成されたいわば共通の電池室70を有することにより、アダプター等の付属品を使用することなしに、乾電池(一次電池)および可充電型電池(二次電池)の両方を使用することができる。
以上、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、ガス検知装置のハウジング内においては、前半部に機能部領域が形成され、後半部に電池部領域が形成されればよく、他の部材の配置については自由である。また、駆動用電源として用いられる乾電池は単3形のものに制限されない。
また、ガス検知装置は手に持った状態で使用しても、適宜の装着用部材を用いて人の身体に直接的に装着してあるいは人の着衣に装着して使用してもよく、装着用部材としては、例えばクリップ、ピンなどを挙げることができる。装着用部材は、その形態によっては、ケーシングと一体に形成することができる場合がある。また、装着用部材は、簡単に交換可能な構成とすることができる。
さらに、フィルター組立体を、その機能、すなわち除去可能な干渉ガス成分の種類に応じて色分けしておくことにより、ガスセンサーに対応した適正なフィルター組立体を確実に装着することができ、信頼性の高いガス検知を行うことができる。
また、ガスセンサーにより検知されたガス濃度データを読み出すための通信端子が設けられた構成とすることができる(図1(c)において、赤外線通信用の窓板を符号19で示す)。このような構成によれば、例えばガス検知装置の充電動作を行いながら、ガス濃度データの読み出しを行うことができる。
本発明の可搬型ガス検知装置の一構成例における外観を示す説明図であり、(a)前面図、(b)正面図、(c)側面図、(d)背面図、(e)後面図を示す。 図1(d)におけるA−A断面の断面図である。 図1(d)におけるB−B断面の断面図である。 図1(c)におけるC−C断面の断面図である。 センサーホルダーの構成をガスセンサーおよびポンプユニットが当該センサーホルダーに装着された状態において示す斜視図である。 センサーキャップの構成を示す分解斜視図である。 フィルター組立体の構成を示す斜視図である。 (a)%LEL測定レンジの炭化水素ガス検知用ガスセンサーに係るフィルター積層体の一構成例を示す断面図、(b)一酸化炭素ガス検知用ガスセンサーに係るフィルター積層体の一構成例を示す断面図である。 電池室の構成を示す平面図である。 (a)図9におけるD−D断面の断面図、(b)図9におけるE−E断面の断面図である。 正極側端子接片の構成を示す、(a)上面図、(b)正面図、(c)側面図である。 可充電型電池パックの一構成例を示す、(a)前面図、(b)上面図、(c)後面図、(d)(b)におけるF−F断面の断面図である。
符号の説明
10 ハウジング
11 制御用回路基板
12 回路基板
13 表示部
13A パネル状表示機構
14 警報用発光部
14A 窓板
15 操作用ボタン
16 フィルターユニット
17 ガス排出口
18 ガス排出部
SA 酸素ガス検知用のガスセンサー
SB 硫化水素ガス検知用のガスセンサー
SC 一酸化炭素ガス検知用のガスセンサー
SD %LEL測定レンジでの炭化水素ガス検知用のガスセンサー
SE 体積%測定レンジでの炭化水素ガス検知用のガスセンサー
19 赤外線通信用の窓板
20 センサーホルダー
20A 屈曲部
21 ポンプユニット装着部
21A ガス吐出管
22A〜22E ガスセンサー収容凹部
30 センサーキャップ
31 内面側キャップ部材
32 外面側キャップ部材
33 ガス導入路
35 ガス流路
36 フィルター装着部
36A 貫通孔
36B 螺旋溝
37 接続部
40 ポンプユニット
41 ガス吸引ポンプ
42 ポンプ駆動用モータ
43 圧力センサー
50 フィルター組立体
51 フィルターホルダー
51A 環状溝
52 凸部
52A 係合用爪部分
53 フィルターキャップ
55 ガス導入用開口
60 フィルター積層体
60A 炭化水素ガス検知用(%LEL測定レンジ)のガスセンサーに係るフィルター積層体
60B 一酸化炭素ガス検知用のガスセンサーに係るフィルター積層体
61A、61B 機能膜
62 外皮膜
63 活性炭層
65 視認用孔
70 電池室
71 受容支持部
72 負極側端子接片
73 接続用接片
74 乾電池
75 正極側端子接片
76 中央接触アーム部分
77 コイル部分
76A 平行部分
76B 連結弧状部
80 電池室カバー蓋
81 蓋ロック部材
85 充電用端子
90 可充電型電池パック
91 可充電型電池
92 接続用接片
95 保持枠部材
96 正極端子
97 負極端子

Claims (4)

  1. 手で握って保持することができる細長い扁平な箱状のハウジングを備えてなり、このハウジングの内部は、前半部がガス検知動作に係る機能部材が配置される機能部領域とされていると共に、後半部が機能部材を駆動させる駆動用電源が配置される電池部領域とされており、
    機能部領域においては、複数のガスセンサーが、当該ガスセンサーを面方向に並んだ状態で保持するセンサー保持部が形成されたセンサーホルダーと、内部に各々のセンサー保持部に順次に通じるガス流路が形成されたセンサーキャップとによって固定された状態で、保持されており、
    ハウジングの背面に露出されるセンサーキャップには、少なくとも一つのガスセンサーに対応する位置に、当該ガスセンサーに係る干渉ガス成分を除去するフィルター組立体が着脱自在に設けられており、
    フィルター組立体は、フィルター積層体と、このフィルター積層体を保持するフィルターホルダーと、このフィルターホルダーが着脱自在に装着される、透明性を有するフィルターキャップとにより構成されており、
    フィルター積層体は、少なくとも、ガスセンサーについての検知対象ガス以外の干渉ガス成分を吸着する機能を有する機能膜が2枚の外皮膜の間に介在されるよう積重されて構成されてなり、外皮膜は、その一部に当該外皮膜をその厚み方向に貫通する視認用孔が形成されてなるものであることを特徴とする可搬型ガス検知装置。
  2. フィルター組立体が装着されるガスセンサーが、一酸化炭素ガス検出用のものであり、 フィルター積層体は、機能膜の、被検ガスの導入方向に対して下流側の面に活性炭層が積重されてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の可搬型ガス検知装置。
  3. 複数のガスセンサーのうちの少なくとも一つが、接触燃焼式のガスセンサー素子よりなり、駆動用電源から4.5Vの電圧が供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可搬型ガス検知装置。
  4. ハウジングの内部における電池部領域には、ハウジングの背面に開口するよう電池室が形成されており、この電池室に、3本の棒状の乾電池、並びに当該乾電池と同一の外形を有する可充電型電池3本が平行に並んだ状態で保持枠部材により保持されてなる可充電型電池パックのいずれか一方が他方と交換可能に装着されることを特徴とする請求項3に記載の可搬型ガス検知装置。
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