JP3762746B2 - 共焦点顕微鏡及びこれを用いた高さ測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、共焦点ディスクを用いてセクショニング像を得る共焦点顕微鏡及びこれを用いた高さ測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、LSIの高集積化にともないLSIチップの電極数が増大し、また、実装密度も高くなっており、このような背景から、LSIチップの電極としてバンプ電極が採用されるようになっている。
【0003】
そして、このようなバンプが形成されたLSIチップは、基板上に逆さまにして接触させるとともに、基板上の電極にバンプを接続する、所謂、フリップチップ接続が行われる。
【0004】
この場合、当然のことながら基板上の電極とバンプの間は、正確に接続されることが重要であり、このためバンプについて形状および高さが正確に形成されていることが必要になる。
【0005】
そこで、バンプを測定対象物として、その高さ測定を光学的に行う光学式高さ測定装置が考えられている(特開平9−113253号公報、特開平9−126739号公報参照)。この光学式高さ測定装置の共焦点光学系として、レーザ走査式やディスク方式(Nipkowディスク)が知られているが、いずれも高さ方向(光軸方向、すなわち、Z軸方向)の分布を検出光量に変換する機能を有する。
【0006】
このような共焦点光学系により、サンプルのZ軸方向の移動位置ごとの複数のスライス画像を取得し、これらスライス画像の各画素の最大輝度からIZピーク位置を推定し、サンプルの高さ情報を得るようにしている。
【0007】
ところで、複数のスライス画像を得るためにサンプルのZ軸方向の焦点位置を移動させるには、サンプルを載置したサンプルステージまたは対物レンズをZ軸方向に移動させるのが一般的である。
【0008】
ところが、サンプルステージをZ軸方向に移動させるサンプルステージ移動方式によると、例えばサンプルとして、大型の8インチウェハ上に形成されたLSIチップのバンプ高さを測定するような場合には、8インチウェハを高精度に上下動させるサンプルステージが必要で、非常に大掛かりな機構になる。そのため、従来の装置は、非常に高価になる。加えて、従来の装置は、質量も大きくなるため、高速での上下動制御が難しく、焦点の移動精度が劣化すると同時に、移動に時間もかかる。また、対物レンズをZ軸方向に移動させる対物レンズ移動方式では、LSIチップのバンプ高さを測定するような場合において、高速検査を実現するために、光学系総合倍率が例えば1倍程度の広視野光学系を得るのに対物レンズとして低倍率のものが用いられる。このような低倍率の対物レンズは、大型で質量も大きいため、高速での上下動制御が難しくなり、この場合も焦点の移動精度が劣化するばかりか、移動に時間がかかる。
【0009】
また、検査の高速化を実現するには、一度に広い面積を観察できる低倍率の対物レンズを使用し二次元方向の走査速度を上げることが有効である。一般的に、セクショニング効果は、対物レンズのNAが大きいほど有効であるが、通常NAの大きな対物レンズは、高倍率で視野が狭い。つまり、検査の高速化と光軸方向のセクショニング効果とは相反する。このため、一般には、低倍率の対物レンズにより高速な検査を行い、その後、一部の不良部分などを拡大して観察したい場合は、対物レンズを高倍率のものに変更して対応させている。この変更にともない対物レンズの倍率に相当する径のピンホールを形成した回転ディスクに交換する必要がある。
【0010】
ところが、倍率を変更するために対物レンズや回転ディスクを交換させる機構は、かなり大掛かりで、構成が大型で複雑となる。また、対物レンズや回転ディスクの交換は、機構の大きさから速度を上げられず、切換え時間がかかるという問題があった。
【0011】
一方、検査の高速化を目指した場合に、ある程度低倍率で広い視野を確保し、かつセクショニング効果による高コントラストを実現し得る、高NA低倍率という特殊な対物レンズを使用することが考えられる。しかし、このような対物レンズは、高速の高さ測定には有効であるが、光軸と直交する平面方向の画素分解能が高くない。従って、不良部の拡大検査を行うには、やはり対物レンズを高倍率に変える必要がある。このため、倍率の異なる特殊で高価な対物レンズが複数必要となり、さらに経済的に不利になってしまう。
【0012】
また、回転ディスクの前後に変倍光学系を配置し、対物レンズの交換と同時に変倍を行うことにより、回転ディスクの交換が不要で、かつセクショニング効果を劣化させないようにできる方法も考えられている(特開平9−230245号公報参照)。しかし、この方法は、通常の対物レンズを使用して様々な倍率で観察を行う用途には非常に有効であるが、観察したいものによって倍率に応じた対物レンズの交換が必要になる。従って、対物レンズの交換機構が大型で、交換に時間がかかり、価格的にも高価になってしまう。
【0013】
また、共焦点光学系のI−Z特性(サンプルが焦点位置にある場合に最も光量Iが大きく、焦点位置から離れるにしたがい光量Iが減少する特性)を利用して、対物レンズの後方に複数の平行平面ガラス板を搭載した回転板を配置し、この回転板を高速で回転させることにより焦点位置とサンプルの相対位置をZ方向に高速で移動させる技術が開示されている(特開平9−126739号公報参照)。この技術では、平行平面ガラス板の厚みに対応して離散的に焦点位置を移動させることでスライス画像を得るようにしている。この場合、スライス画像の枚数は、平行平面板の数と同じで、また、Z測定範囲は、最も厚い平行平面板と最も薄い平行平面板の厚さにより決まり、平行平面板の枚数が多いほど、Z方向のサンプリング間隔を細かくできる。このようにして、複数の離散的なスライス画像と、共焦点光学系の対物レンズのNAにより決まるI−Z特性から、Z方向に内挿処理を行い、各画素の焦点位置を推定し、サンプルの高さ測定の高速化を実現している。
【0014】
ところが、このような共焦点光学系を利用したものは、バンプがある程度大きい場合には、有効であるが、バンプが小さくなってきた場合には、測定時間が長くかかってしまうという問題が生じる。つまり、バンプの微少化が進んでくると、光検出器として用いられるCCDは、必然的に撮像する画素分解能を小さくすることが必要になる。従って、サンプルからCCDまでの総合倍率が同じであれば、画素サイズのさらに小さなCCDを使用する必要がある。この場合には、大画素数の高価なCCDカメラなどを使用することになり、また、画素数が増大した画像になるので、データ処理に時間がかかる。また、同じ画素サイズのCCDを使用するのであれば、実視野(CCDで撮像できる範囲)を小さくするように総合倍率を上げる必要がある。この場合には、実視野が小さくなることから、当然のことながら走査時間が増大する。
【0015】
一方、1枚の板に規則的に並んだピンホール列を有する2次元配列型の素子を使用した場合には、バンプが微少化すると、2次元配列のピンホールパターンに高密度化(ピンホール間のピッチが小さくなる)が要求される。更に、2次元配列型の素子とCCDカメラとが光学的に共役位置に配置されることからCCDカメラの各画素と2次元配列型の素子の位置合わせ調整が難しくなる。加えて、ピンホール間のピッチが小さくなると、隣接するピンホールからの焦点位置から外れた光(ピンボケの光)が入り込むため、セクショニング効果が低下する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、焦点移動を高精度・高速で行うことができ、また、低倍のセクショニング像を容易に変倍できる共焦点顕微鏡を提供することを目的とする。また、短時間に精度の高い高さ測定を行うことができる共焦点顕微鏡を用いた高さ測定方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る共焦点顕微鏡は、共焦点ディスクを用いた共焦点顕微鏡において、光源と、前記光源からの光を照射して得た前記共焦点ディスクの像を試料に結像させる高NA低倍率対物レンズと、前記共焦点ディスクと前記対物レンズとの間に配置された結像レンズとを有する第1の結像光学系と、前記結像レンズを光軸方向に移動させ前記対物レンズの前記試料に対する焦点位置を調整する結像レンズ駆動手段と、前記共焦点ディスク上に結像されたセクショニング像を光電変換手段に結像させる第2の結像光学系とを具備したことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る共焦点顕微鏡によれば、結像レンズの移動により、焦点の移動精度を飛躍的に高めることができる。
【0019】
また、結像レンズは、小型で質量も軽いものにできるので、高速での移動制御が可能で、焦点移動のための時間を大幅に短縮することができる。
【0020】
また、変倍光学系を高速検査では低倍率に、不良部分の拡大検査などでは高倍率に設定することで、高速の広域検査と欠陥部の拡大検査を容易に行うことができる。
【0021】
本発明に係る高さ測定方法は、共焦点ディスクを用いた共焦点顕微鏡において、光源と、前記光源からの照射光を前記共焦点ディスクを通して試料に結像させる高NA低倍率対物レンズと、前記共焦点ディスクと前記高NA低倍率対物レンズとの間に配置された結像レンズとを有する第1の結像光学系と、前記結像レンズを光軸方向に移動させ前記対物レンズの前記試料に対する焦点位置を調整する結像レンズ駆動手段と、前記共焦点ディスク上に結像されたセクショニング像をCCDカメラに結像させる第2の結像光学系と、を備え、前記結像レンズ駆動手段により前記結像レンズを光軸方向に移動させ、前記CCDカメラに結像された複数位置におけるセクショニング像の画素の輝度情報よりIZピーク位置を求め、前記試料の高さ情報を得ることを特徴とする。本発明に係る高さ測定方法によれば、一度に広い範囲の高さを測定し、かつ、焦点移動の高速化が可能となり、高さ測定の精度及び測定範囲を高めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る共焦点顕微鏡の概略構成を示している。
【0023】
図1において、ハロゲン光源又は水銀光源等の光源1から出射される光の光路上に、光源1とともに照明光学系を形成するレンズ2と、PBS(偏光ビームスプリッタ)3とが配置されている。また、PBS3の反射光路上には、セクショニング効果を持つ第1の結像光学系を構成する例えばNipkowディスク等の共焦点ディスク4と、結像レンズ6と、1/4波長板7と、絞り13と、対物レンズ8を介して観察対象のサンプル9とが配置されている。この場合、対物レンズ8は、検査の高速化を実現するため、5倍以下(1倍以下も含む)の高NA低倍率で広い視野を確保できるものが用いられている。また、共焦点ディスク4と対物レンズ8と結像レンズ6は、ほぼテレセントリック配置になっている。また、サンプル9からの反射光のPBS3の透過光路上には、第1の結像光学系と直列に第2の結像光学系を構成するレンズ10と、絞り18と、レンズ11を介してCCDカメラ12とが配置されている。
【0024】
共焦点ディスク4として使用されたNipkowディスクは、円板状であり、モータ5の軸に連結されて、このモータ5により一定の回転速度で回転される。なお、この共焦点ディスク4は、セクショニング効果を発生するものであれば、どのようなものであっても良く、公知のディスク等が使用可能である。特願2000−060578号)した直線状に形成された透過パターンと遮光パターンを交互に形成したものも使用可能である。また、共焦点ディスク4は、円板状に限らず液晶シャッタのようなものでもよい。また、サンプル9は、LSIチップ上に形成された半球状のバンプを備え、サンプルステージ16上に載置されている。
【0025】
また、第2の結像光学系は、第1の結像光学系(共焦点光学系)により共焦点ディスク4上に結像されたセクショニング効果が施されたサンプル像(セクショニング像)をCCDカメラ12に結像する。
【0026】
CCDカメラ12にはコンピュータ14が接続され、コンピュータ14からの指示により撮像の開始、終了、撮像画像の転送などが制御される。コンピュータ14は、CCDカメラ12で撮像された画像データを取込み演算処理して図示しないモニタに表示させるとともに、焦点移動装置15に駆動指令を与える。
【0027】
焦点移動装置15は、コンピュータ14の駆動指令により、結像レンズ6を光軸方向に移動させる。結像レンズ6が光軸方向に移動することで、共焦点ディスク4の像をサンプル9上の任意の高さ位置に結像させる。ここで、LSIチップのバンプ高さ測定するような場合には、高速検査を実現するために、また、広視野光学系を得るのに低倍率の光学系が用いられている。例えば、対物レンズ8を含む第1の結像光学系の横倍率が3倍とすると、縦倍率(=横倍率の2乗)は32=9倍となる。従って、結像レンズ6を9μm移動させると、共焦点ディスク4の像がサンプル9面で1μm移動し、その結果、焦点面が光軸方向に1μm移動することになる。
【0028】
ちなみに、一般的な共焦点光学系では、高倍率で使用されることが多い。このため、例えば第1の結像光学系を100倍程度の横倍率の場合には、縦倍率は1002=10000倍となる。このような高倍率光学系において上述した結像レンズ移動方式を採用すると、結像レンズを10000μmすなわち10mm移動させても焦点面の移動は、僅か1μm程度であり、実用的でなくなる。従って、第1の結像光学系の横倍率は5倍以下が好ましく、10倍程度まで実用化可能と考えられる。
【0029】
上記のような構成において、光源1から出射された光は、レンズ2を通って平行光となり、PBS3で反射され、一定の速度で回転する共焦点ディスク4に入射する。共焦点ディスク4のピンホールを通過した像は、結像レンズ6を通り、1/4波長板7で円偏光になって、絞り13を通り対物レンズ8によってサンプル9に投影される。サンプル9から反射された光は、対物レンズ8、絞り13を介し、再度、1/4波長板7で入射時とは直交する偏光方向になり、結像レンズ6により共焦点ディスク4上に投影される。そして、共焦点ディスク4上に投影されたサンプル像のうち焦点の合っている部分はピンホールを通過し、さらにPBS3を透過してレンズ10、絞り18、レンズ11を介してCCDカメラ12で撮像される。CCDカメラ12で撮像された共焦点画像は、コンピュータ14に取り込まれる。
【0030】
ここで、図1では、簡単のため共焦点ディスク4上の複数のピンホールのうち、2個のピンホールを通過した光に着目して図示している。共焦点ディスク4と対物レンズ8と結像レンズ6は、ほぼテレセントリック配置になっているので、第1の結像光学系では、サンプル9の光軸方向の高さ分布を光強度情報に変換することができる。
【0031】
一方、共焦点ディスク4とCCDカメラ12は、レンズ10、11により共役関係にあり、また、レンズ10、11、CCDカメラ12からなる第2の結像光学系もレンズ10、11は、絞り18の存在により両側テレセントリック系の配置になっている。この第2の結像光学系は、テレセントリックでなくともよいが、第2の結像光学系の長さが問題にならなければ、周辺光量の低下がおきにくいテレセントリック系が望ましい。
【0032】
このような第1の結像光学系と第2の結像光学系を通してCCDカメラ12により、対物レンズ8の焦点面付近だけのスライス画像が撮像される。このセクショニング像は、モニタ上に表示すると、焦点面だけが明るく見え、焦点面から光軸方向にずれた部分は暗く見える。
【0033】
この状態で、焦点移動装置15により結像レンズ6を光軸方向に移動させると、共焦点ディスク4の像がサンプル9内で移動し、焦点面が所定距離だけ移動する。従って、焦点移動を行いながらそれぞれのサンプル9上の焦点面でのセクショニング像を取得すれば、サンプル9の3次元情報を得られる。これと同時に複数のセクショニング像の各画素の最大輝度からIZピーク位置を推定して、サンプル9の高さ情報を得ることができる。なお、このときのXYの測定範囲は、CCDカメラ12での撮像視野である。また、Zの測定範囲は、結像レンズ6の光軸方向の移動により焦点移動させてセクショニング像を撮像した範囲である。
【0034】
本発明の第1の実施形態によれば、第1の結像光学系の結像レンズ6を光軸方向に移動させることで、サンプル9上の焦点位置を移動させている。従って、上述したように、例えば、第1の結像光学系の横倍率を3倍とすると、結像レンズ6を9μm移動させた場合には、共焦点ディスク4の像がサンプル9面で1μm移動することにより、焦点面を1μm移動させることができる。従来のサンプルテーブルや対物レンズを移動させる方法では、これらの移動量が焦点面の移動量になるが、本発明に係る結像レンズ6を移動させる方法では、移動精度を9倍にもできる。従って、焦点の移動精度を飛躍的に高めることができる。ちなみに、サンプル9面で、例えば焦点面を100μm移動させたい場合、結像レンズ6の移動量は900μmであり、移動レンジとして非常に現実的な値を得ることができる。
【0035】
さらに、結像レンズ6の移動は、従来のサンプルテーブルや対物レンズなど大型で重量のあるものを移動させるのと比べて、小型で質量も軽いものにできるので、高速での上下動制御が可能であり、焦点移動のための時間を大幅に短縮することもできる。
【0036】
上記のように本発明の第1の実施形態によれば、焦点移動を高精度に、しかも高速で行うことができる。
【0037】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る共焦点顕微鏡の概略構成を示す図である。図2において、図1と同じ部分には、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。第2の実施形態においても、第1の結像光学系と第2の結像光学系を備えている。
【0038】
本第2の実施形態においては、第2の結像光学系が変倍光学系17備えている点が第1の実施形態と異なる。
【0039】
対物レンズ8は、広視野のセクショニング像を得るため、5倍以下(0.5倍、0.7倍等の1倍以下も含む)の高NA低倍率のものが用いられている。変倍光学系17は、CCDカメラ12への結像倍率を変更できるようになっていて、例えば、ズーム光学系や倍率の異なる複数のレンズ系を交換可能なターレット変倍系により構成される。本構成において、広視野による高速検査(二次元方向への高速走査)時には、変倍光学系17は低倍率に設定される。一方、不良部分などの狭視野による高倍の拡大検査では、第1の結像光学系により共焦点ディスク4上に結像されたセクショニング像を拡大観察するために変倍光学系17は高倍率に設定される。
【0040】
サンプル9の高速検査は次のように行われる。まず、第2の結像光学系の変倍光学系17を総合倍率が5倍から0.5倍になる低倍率に設定する。
【0041】
この状態において、第1の実施形態と同様に、光源1から出射された光が、コリメートレンズ2、PBS3、共焦点ディスク4、結像レンズ6、1/4波長板7、及び対物レンズ8を介してサンプル9に入射する。また、サンプル9から反射された光は、対物レンズ8、1/4波長板7、結像レンズ6、共焦点ディスク4、PBS3、レンズ10、低倍率の変倍光学系17、及びレンズ11を介してCCDカメラ12で撮像される。
【0042】
そして、第1の実施形態と同様に、セクショニング像が得られる。
【0043】
一方、このような高速検査の後、一部の不良部分の拡大検査が必要な場合は、変倍光学系17を高倍率に設定する。
【0044】
この状態で、上記と同様にしてサンプル9から反射された光は、低倍率の対物レンズ8を介して結像レンズ6により共焦点ディスク4上にサンプル像として投影され、共焦点ディスク4上に投影されたサンプル像のうち焦点の合っている部分はピンホールを通過し、この共焦点ディスク4上に結像された広視野(低倍)のセクショニング像は、レンズ10、高倍率の変倍光学系17、レンズ11を介してCCDカメラ12で撮像される。
【0045】
この場合、変倍光学系17は、高倍率に設定しているので、共焦点ディスク4上のセクショニング像が変倍光学系17により拡大されてCCDカメラ12で撮像される。従って、高倍率で狭い視野のセクショニング像が得られるので、不良部分を高倍に拡大して高精度に検査を行うことができる。
【0046】
なお、この状態でのセクショニング効果の影響は、共焦点ディスク4上のサンプル像に対して既に及んでいるので、変倍光学系17が、共焦点ディスク4からCCDカメラ12に至る光路中に配置されていても、効果を劣化させることにはならない。
【0047】
従って、第2の結像光学系中に、CCDカメラ12への結像倍率を変更可能にした変倍光学系17を配置したので、セクショニング効果を保持したままで、第1の結像光学系により得られた広視野(低倍)のサンプル像を任意の倍率に変倍することができる。また、変倍光学系17は、従来の対物レンズや回転ディスクの交換を必要とするものと比べて、構成が簡単で価格的にも安価にできる。さらに、変倍光学系17を高速検査時には低倍率に、不良部分の拡大検査などでは高倍率に設定することにより、高速の広域検査と欠陥部の拡大検査を容易に行うことができる。
【0048】
上記のように本発明の第2の実施形態によれば、セクショニング効果を保持したまま変倍も可能であり、構成が簡単で価格的にも安価になる。
【0049】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る共焦点顕微鏡の概略構成を示す図である。図3において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。本第3の実施形態では、第2の結像光学系に、詳細は後述するボカシ光学系20を備えたことを特徴とする。
【0050】
サンプル9のLSIチップ上に形成されたバンプをCCDカメラ12により撮像して得られた画像について、図4乃至図6を参照して考察する。
【0051】
図4は、図3のサンプル9から絞り13までの図を拡大して示す図である。図4において簡単のため、対物レンズ8の下方のサンプル9には、LSIチップ9a上にバンプ9bが1個のみ形成されている状態を示している。また、絞り13を通過する光束は、共焦点ディスク4の1個のピンホールを通過した光束を示している。
【0052】
なお、実際には、複数のピンホールからの複数の光束が絞り13を通過することになる。
【0053】
このような構成において、絞り13を通過した光束は、対物レンズ8を通り、バンプ9bの頂点付近のP点に集光される。この場合、バンプ9bは、半球状をなし、周囲は球面であるため、点Pで反射した反射光の一部は、対物レンズ8の外部にケラレて再入射できない。なお、P点が頂点から離れていくほど、対物レンズ8に再入射できる反射光の割合は減少していく。
【0054】
絞り13の中心を通る主光線がバンプ9bの点Pで反射し、かつ点Pで反射した主光線が対物レンズ8に再入射するための条件を求める。この場合、対物レンズ8の開口数(NA)は、図4におけるθからNA=sinθであり、また、バンプ9bは、完全な球面であると仮定し、点Pにおけるバンプ9bの接線をB1−B2、P点における接線B1−B2との垂線をC1−C2とする。
【0055】
図4から明らかなように、主光線がP点で反射して対物レンズ8に再入射するためには、対物レンズ8から入射する主光線とC1−C2のなす角度がθ/2以下である必要がある。したがって、主光線とC1−C2のなす角度がθ/2になる場合、点Pのバンプ9b中心からのX方向(図示横方向)の位置は、バンプ9bの半径をRとすると、R・sin(θ/2)となる。このことから、主光線が対物レンズ8に再入射できる点Pの全幅領域は、2R・sin(θ/2)となり、点Pがバンプ9bの中心から離れると、対物レンズ8に再入射できる反射光は急激に減少する。
【0056】
次に、LSIチップ上に多数形成されたバンプを観察した場合の様子を説明する。図5Aは、LSIチップ9a上のバンプ9bの頂点付近に合焦した場合の共焦点画像である。図5A中のバンプ9bの中心に示した白抜きの明るく見える領域をφとすると、φ=2R・sin(θ/2)となり、実際に2R・sin(θ/2)から離れると急激に暗く見えるようになる。例えば、対物レンズ8の開口数NA=0.3、バンプ9bの半径R=20μmとすると、φ=6μmとなり、バンプ9bのピッチを50μmとすれば、明るく見える領域φ=6μmがピッチ50μmで並んで見えることになる。また、上述した共焦点光学系のセクショニング効果によりバンプ9bの頂点からZ方向には数μm程度のセクショニング像しか観察できないので、バンプ9bの頂点から数10μm下側にあるLSIチップ9a面からの反射光は検出せず、バンプ9bの頂点付近だけ明るい画像が観察できる。なお、図5Aでは、LSIチップ9a面とバンプ9bの黒塗り部分の濃度が異なるように表わされているが、これは説明上のものであって、実際には、明るく見えるのはバンプ9bの頂上付近だけであり、それ以外は、ほとんど真っ暗である。
【0057】
この状態から、図4において、合焦位置をLSIチップ9a面に近づけて行くと、共焦点光学系のセクショニング効果によりバンプ9bの頂上付近は徐々に暗くなる。合焦位置をLSIチップ9a面に更に近づけて行くとバンプ9bは、真っ暗になる。そして、さらに合焦位置をLSIチップ9a面に近づけていくと、徐々にLSIチップ9a面が明るく見えてくる。LSIチップ9a面に合焦した状態になると、図5Bに示すようにバンプ9bは、ほとんど真っ暗な状態になり、LSIチップ9a面が最も明るく見えるようになる。
【0058】
実際には、図5A及び図5Bに示す画像は、CCDカメラ12により撮像するので、この撮像の場合を考える。CCDカメラ12に用いられるCCDの画素寸法は、通常、数μm〜10μm程度であるが、簡単なため10μmの正方画素とする。最近、入手が容易になった1000×1000(100万画素)では、CCDサイズが10×10mmとなる。このサイズのCCDに図5Aの画像を光学系の倍率が1倍で結像した場合(実視野10×10mmの広視野)において、CCDと図5Aの画像の関係を図6Aに示す。ここで、光学系倍率を1倍で考える理由は、広視野光学系を実現して高速検査を実現するためであり、実用化においては、総合倍率が5〜2倍に設定される場合や0.5倍、0.7倍等の縮小系に設定される場合もある。
【0059】
ところで、一部の特殊なCCDカメラを除いて、通常入手可能なCCDカメラは、インターライン型と呼ばれ、図6Aに示すように受光部12aと信号転送部12bから構成されている。この場合、10μm正方画素といってもピッチが10μmであり、受光部12aが10μm正方であるわけでなく、信号転送部12bでは、光は検出できない。このようなCCDにバンプ9bの頂点の明るく見える領域φ=6μmが光点aとして1倍で結像すると、図6Aの領域Aに示すように光点aが受光部12aに入射する場合と、領域Bに示すように受光部12aより外れる場合が生じる。このうち、領域Bに示すように光点aが受光部12aから外れると、CCDカメラ12として何も検出できない。
【0060】
このようなことを無くすには、光点aが受光部12aに入射するような1画素程度の大きさが必要となる。また、バンプ9bのピッチがCCD画素のピッチに対して正確に整数倍でないと光点aを検出できないし、モアレ画像も発生してしまう。従って、このようなインターライン型のCCDカメラ12で光点aを検出するには、受光部12aに対して光点aの大きさを拡大させればよい。しかし、単純に光点を拡大させると、実視野が狭くなって走査時間が増大し、高速検査の要求に反することになる。
【0061】
ところで、バンプ9bは、最小ピッチが既知であり、ある程度規則的に配列されている。また、図6Aからも明らかなように、バンプ9bの頂点付近に合焦した場合の共焦点画像をCCDカメラ12で撮像した場合、バンプ9bの頂点の像は離散的であるので、CCD画素の大部分は、光を受光していない部分である。したがって、図6Aにおいて、隣接する光点a同士の間隔は変えずに、光点aだけを大きくできれば、光学系の総合倍率を上げることなく、即ち、実視野を狭くすることなく、光点aをもれなく検出できることになる。この状態を示したのが、図6Bである。このように、いわゆる光学倍率を上げることなく光点aだけを大きくしたボカシ像a’を発生させる光点ボカシ手段を、ここではボカシ光学系と呼ぶことにする。なお、図6Bでは、面内の2次元方向に光点aを拡大しているが、光点aを検出できればよいのであって、光点aの拡大方向は、任意の1次元方向であってもよい。
【0062】
ボカシ光学系は、さまざまなものが考えられる。ここでのボカシ光学系20としては、レンズ11の後側焦点位置の絞り18に近接させて、弱い拡散板や回折格子が配置されていることが好ましい。図7Aは、ボカシ光学系20、レンズ11およびCCDカメラ12に対する光線だけを抽出し、ボカシ光学系20で光が拡散または回折する様子を示している。このようなボカシ光学系20による光点aの広がり量を試算するため、いま、図3において結像レンズ6とレンズ10は同じ焦点距離のレンズとし、サンプル9からCCDカメラ12までの総合倍率が1倍で結像しているものと仮定する。対物レンズ8とレンズ11も同じ焦点距離であり、例えば対物レンズ8、レンズ11の焦点距離を20mmと仮定し、ここでは、弱い拡散板の場合で、その拡散角度全幅を0.1度とする。弱い拡散板は、レンズ11の後側焦点位置にあるので、CCDカメラ12上では、2・sin(0.05゜)・20mm=35μmとなる。これは、図6Bに示したバンプ頂点のボカシ像とほぼ同じ大きさに光点aが拡大された状態である。一方、回折格子を用いた場合において、光の波長λを0.55μm、回折格子のピッチPを3mm、透過スリット幅を0.4mmとすると、図7Bに示すように、回折角αとして横軸にsinα、縦軸に各次数の回折光強度の関係が計算により得られる。図7Bでは、片側だけの回折角を示している。図7Bにおいて、0次光の回折光強度を1とすると、6次光の回折光強度は、sinα=0.0011程度で、0.1以下となる。従って、実質的に、±6次までの回折光を考えればよく、±6次元のCCDカメラ12上での間隔は、上述の弱い拡散板の場合と同じように、2・0.0011・20mm=44μmとなり、−6次光〜+6次光までの13点の光点が44μmの幅に発生することになる。
【0063】
なお、図7Bに示す回折強度は、Max&Born光学の原理より計算したものであり、次式で計算される。
ただし、k=2×π/λ、s:スリット、d:格子ピッチ、N:光束内の格子本数である。
【0064】
この結果、回折格子の場合は、拡散板と異なり、図7Bから明らかなように不連続に光点が発生することになる。
【0065】
また、これら拡散板や回折格子などのボカシ光学系20は、第2の結像光学系から着脱可能とすることで、光点aを拡大したい場合や光点aを拡大したくない場合に対応できる。従って、例えば、装置を調整する場合などは、ボカシ光学系20を外すことで調整作業を容易にできる。また、拡散板や回折格子を交換可能にしておけば、光点拡大の程度を必要に応じて変えることができる。これは、サンプル9としてのバンプ9bのピッチに応じて必要とされる光点aのボカシ程度を選択できるという効果がある。
【0066】
そして、このようなボカシ光学系20を用いることにより得られる図6Bに示すバンプ9bの頂点付近のボカシ像の光量を積分すると、このときの光量は、I−Z特性に基づいて変化するので、図3の焦点移動装置15によりサンプルステージ16を駆動して焦点を移動させながら焦点移動量と光点aの積分光量の関係から、積分光量の最大値に対応する焦点位置を求めることで、バンプ9bの高さを精度よく測定できる。この方式では、光点aが拡大するため、光点aのエネルギー密度は低下してしまうが、その分明るい光源を使用すればよく、むしろ、複数画素の積分光量で1つの光点aの光量変化を検出することから、明るい光源を用いることで、S/Nの良好な信号を得ることができる。
【0067】
また、このような方法で求められるバンプ9bの高さは、バンプ頂点の高さというより、図5Aにおいて明るく見える領域の平均的な高さと考えるほうが正確であるが、実質的には、バンプ頂点の高さを測定していると考えて差し支えない。その理由は、次のとおりである。図5Aで明るく見える領域の直径φは、バンプ半径R=20μm、対物レンズNA(sinθ)=0.3の場合、φ=6μmである。この明るく見える領域の中心は、図4における点Qであり、この点Qの高さとφ6μm両端の高さの差ΔZbは、ΔZb=(1−cos(θ/2))×R=0.23μmより、たかだか0.23μmである。従って、数μmの精度でバンプ高さを測定する場合、点QからPの間の平均的なバンプ高さを求めているといっても、実質的には、バンプ頂点の高さを測定していると考えて差し支えない。
【0068】
このように、ボカシ光学系20を有する第2の結像光学系と第1の結像光学系の構成する共焦点光学系が直列に配置され、第2の結像光学系のボカシ光学系20により1つの光点aがCCDカメラ12上の複数画素にまたがるように広げられた状態で、共焦点光学系のセクショニング効果によりサンプル9の高さ情報を光強度情報として取り込むようにしたので、通常の画素数のCCDカメラ12を用いても実視野を狭めることなく、一度に広い範囲のサンプル高さ測定を行うことができ、これにより高速による高さ測定を実現できる。
【0069】
また、第2の結像光学系のボカシ光学系20により、1つの光点aがCCDカメラ12上の複数画素にまたがるように広げられることで、バンプのピッチとCCD画素ピッチによるモアレが発生しないようになり、また、これら複数の画素に平均的に光量が分配されるようになる。従って、CCDカメラ12での撮像の際に各画素が飽和しない程度まで光源を明るくすれば、これら複数画素の積分光量を大きくできることから、S/N上非常に有利にでき、微小化されたバンプについても精度の高い高さ測定を行うことができる。
【0070】
一方、CCDには、開口率(1画素に対する受光部割合)が100%というような特殊なCCD(フレームトランスファー型)があり、このようなCCDでは、どんなに小さな光点でも必ず検出することが可能である。上述したボカシ光学系を適用して複数画素の積分光量を検出するようにすれば、さらにS/Nを改善することができる。
【0071】
ボカシ光学系としては、例えば、平行平面板ガラスを用いることもできる。図8では、レンズ11とCCDカメラ12との間にボカシ光学系として平行平面板ガラス30が挿脱可能に配置されている。
【0072】
この場合、レンズ11からCCDカメラ12までの間は収束光となっているので、平行平面板ガラス30により光が屈折し、その近軸結像位置がDだけずれるので、CCDカメラ12の撮像面もDだけずれて置かれている。ところが、収束光の途中に平行平面板ガラス30があると収差が発生し、CCDカメラ12上での光点aは大きくなる。この場合、平行平面板ガラス30が厚いほど、またレンズ11からの射出NAが大きいほど大きくなり球面収差が発生していると解釈できる。このように平行平面板ガラス30によって光点aだけを拡大することが可能であり、例えば、レンズ11の射出開口数を0.3とすると、図6Bに示す状態まで光点を拡大させるには、ガラス厚さが10mm前後が最適であることが光線追跡シミュレーションからも明らかである。図9は、平行平面板ガラス20の厚さt=0mm(ガラスなし)、5mm、10mm、15mmの4種類の場合で、収束したスポットが最も小さくなる位置でのスポットダイアグラムを示しており、板厚が大きくなるほど1点に収束しなくなることが分かる。
【0073】
なお、収差を発生させて光点を拡大するには、第2の結像光学系自体に収差を持たせるようにしてもよいが、平行平面板ガラス30の場合は、第2の結像光学系から挿脱可能なので、収差を発生させたい場合、発生させたくない場合のどちらにも対応できる。また、平行平面板ガラス30は、第2の結像光学系中の収束光となっている光路中であればどこでもよく、例えばPBS3とレンズ10との間に挿脱可能に設けることも可能である。
【0074】
ボカシ光学系として、図10に示すようにCCDカメラ12の直前に拡散板や回折格子のボカシ光学素子31を挿脱可能に配置することもできる。この場合、ボカシ光学素子31である拡散板や回折格子は、わずかにレンズ11の結像位置からずらした位置に配置することにより、光点が完全に収束しない状態でこれらボカシ光学素子31に入射し、ここで、入射光が拡散または回折されてCCDカメラ12に拡大されて入射される。これにより、図6Aの状態の画像を図6Bの状態に光点aを拡大することができる。なお、拡散板や回折格子のボカシ光学素子31は、レンズ11の結像位置に配置し、そこから僅かにずらした位置にCCDカメラ12を配置してもよい。
【0075】
上述では、CCDカメラ12の前面にボカシ光学系を配置し、ボカシを発生させる方法を述べたが、第2の結像光学系とCCDカメラ12の光軸方向の相対的な位置関係を変えることでもボカシを発生させることができる。この場合、第2の結像光学系の結像位置にCCDカメラ12を配置した場合は、ボカシ量はゼロであり、結像位置からずらすことでボカシ量を任意に変えることができる。この方法によれば、ボカシを発生させるボカシ光学系を用いることなく、CCDカメラ12を光軸方向に移動させる移動機構を用いることで、ボカシ量を連続的に可変することができる。
【0076】
本発明の第3の実施形態によれば、光点ボカシ手段により1つの光点が撮像手段の複数受光部にまたがるように広げられた状態で、共焦点光学系のセクショニング効果により測定対象物の高さ情報が光強度情報として取り込まれるので、撮像手段として、通常の画素数のCCDカメラを用いても実視野を狭めることなく、一度に広い範囲のサンプル高さ測定を行うことができ、高速による高さ測定を実現できる。
【0077】
また、撮像手段での受光部が飽和しない程度まで光源を明るくすれば、これら複数受光部での積分光量を大きくできることから、S/N上有利にできる。
【0078】
更に、検査の目的に応じて検査精度と検査時間の優先度を変えることができ、1台の装置でさまざまな検査目的に対応できる。
【0079】
ところで、上記の各共焦点光学系では、CCDカメラ12によりZ方向に離散的なスライス画像を複数枚取得するようにしている。この場合、スライス画像は、Z方向の間隔が細かいほど精度のよい高さ測定を行うことができることは言うまでもないが、スライス画像のZ方向の間隔が粗いほうが高速検査を実現するのに有利である。このように高さ検査精度と検査時間は、トレードオフの関係にあるのはやむを得ないが検査の目的に応じて検査精度と検査時間の優先度を変えることができれば、1台の装置でさまざまな検査目的に対応できる。つまり、上記の各実施態様で述べた装置は、焦点移動装置15によりサンプル9上での合焦位置を移動させるようにしているので、検査精度優先モードの場合は、スライス画像のZ方向のサンプリング間隔を細かくし、検査時間優先モードの場合は、Z方向のサンプリングを粗くすればよい。また、検査時間優先モードで、さらに高速化したい場合は、Z方向サンプリング間隔をさらに粗くして、取得するスライス画像を減らし、得られたスライス画像上の拡大された光点の積分光量とZの関係(I−Z特性)から、内挿処理を行い高速検査するようにもできる。さらに高速化した場合には、サンプル9の種類毎に設定された高さ良否判定の基準となるZ方向の許容範囲の前後からZ方向のサンプリングを開始することも可能である。
【0080】
本発明の第3の実施形態によれば、微小化されたサンプルに対しても短時間に精度の高い高さ測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る共焦点顕微鏡の概略構成を示す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る共焦点顕微鏡の概略構成を示す図。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る共焦点顕微鏡の概略構成を示す図。
【図4】第3の実施の形態のバンプ頂点付近での反射光の状態を説明する図。
【図5A】第3の実施の形態を説明する共焦点画像を示す図。
【図5B】第3の実施の形態を説明する共焦点画像を示す図。
【図6A】第3の実施の形態のCCDに投影されたバンプ頂点像を説明する図。
【図6B】第3の実施の形態のCCDに投影されたバンプ頂点像を説明する図。
【図7A】第3の実施の形態に用いられるボカシ光学系を説明する図。
【図7B】第3の実施の形態に用いられるボカシ光学系を説明する図。
【図8】第3の実施の形態に用いられるボカシ光学系の第1の変形例を説明する図。
【図9】第3の実施の形態に用いられるボカシ光学系の第1の変形例の状態を説明する図。
【図10】第3の実施の形態に用いられるボカシ光学系の第2の変形例を説明する図。
Claims (14)
- 共焦点ディスクを用いた共焦点顕微鏡において、
光源と、
前記光源からの光を照射して得た前記共焦点ディスクの像を試料に結像させる高NA低倍率対物レンズと、前記共焦点ディスクと前記対物レンズとの間に配置された結像レンズとを有する第1の結像光学系と、
前記結像レンズを光軸方向に移動させ前記対物レンズの前記試料に対する焦点位置を調整する結像レンズ駆動手段と、
前記共焦点ディスク上に結像されたセクショニング像を光電変換手段に結像させる第2の結像光学系と、
を具備したことを特徴とする共焦点顕微鏡。 - 前記対物レンズは、倍率が10倍程度までの低倍率であることを特徴とする請求項1記載の共焦点顕微鏡。
- 前記対物レンズは、倍率が0.5倍から5倍以下の低倍率であることを特徴とする請求項1記載の共焦点顕微鏡。
- 前記第2の結像光学系は、前記共焦点ディスク上のセクショニング像を前記光電変換手段に対して結像倍率を変倍して結像させる変倍光学系を有することを特徴とする請求項1記載の共焦点顕微鏡。
- 前記変倍光学系は、低倍率から高倍率に変倍可能なズームレンズであることを特徴とする請求項4記載の共焦点顕微鏡。
- 前記変倍光学系は、倍率の異なる複数のレンズを交換可能なターレットに構成したことを特徴とする請求項4記載の共焦点顕微鏡。
- 前記結像レンズと前記対物レンズは、テレセントリック配置になっていることを特徴とする請求項1記載の共焦点顕微鏡。
- 前記第2の結像光学系は、前記共焦点ディスクと前記光電変換手段の両側に対してテレセントリック配置になっていることを特徴とする請求項1記載の共焦点顕微鏡。
- 前記結像レンズ駆動手段は、コンピュータからの駆動指令により前記結像レンズを光軸方向に焦点移動させ、このコンピュータは、各移動の位置における前記共焦点ディスク上のセクショニング像を前記光電変換手段により取り込み3次元情報を取得することを特徴とする請求項1記載の共焦点顕微鏡。
- 前記第2の結像光学系は、更に前記光電変換手段に結像される光点をこの光電変換手段の複数の受光部にまたがる大きさに拡大する光点ぼかし手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の共焦点顕微鏡。
- 前記光点ぼかし手段は、光学系倍率を変えずに光点の大きさを変える拡散板又は回折格子からなることを特徴とする請求項10記載の共焦点顕微鏡。
- 共焦点ディスクを用いた共焦点顕微鏡において、
光源と、前記光源からの照射光を前記共焦点ディスクを通して試料に結像させる高NA低倍率対物レンズと、前記共焦点ディスクと前記高NA低倍率対物レンズとの間に配置された結像レンズとを有する第1の結像光学系と、前記結像レンズを光軸方向に移動させ前記対物レンズの前記試料に対する焦点位置を調整する結像レンズ駆動手段と、前記共焦点ディスク上に結像されたセクショニング像をCCDカメラに結像させる第2の結像光学系と、を備え、
前記結像レンズ駆動手段により前記結像レンズを光軸方向に移動させ、前記CCDカメラに結像された複数位置におけるセクショニング像の画素の輝度情報よりIZピーク位置を求め、前記試料の高さ情報を得ることを特徴とする高さ測定方法。 - 前記第2の結像光学系は、更に前記CCDカメラに結像される光点をこのCCDカメラの隣接する複数画素にまたがる大きさに拡大する光点ボカシ手段を備え、このぼかし手段により拡大された光点を受光する複数画素で受光した光量の積分輝度値情報よりIZピーク位置を求めることを特徴とする請求項12記載の高さ測定方法。
- 前記ぼかし手段は、光学倍率を変えずに光点の大きさを変える拡散板又は回折格子からなり、前記第2の結像光学系に対して着脱可能に設けることを特徴とする請求項12記載の高さ測定方法。
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