JP3762199B2 - 車両用フード装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の前部のエンジンルームを開閉するために設けたフード装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用フード装置には、走行中の車両が障害物に衝突したときに、フードを所定量持上げるとともに、その持上げた位置で保持させるものがある。フードを持上げると、下方への変形可能量が増大し、変形による衝突エネルギーの吸収量を大いに増加させることができる。この種の車両用フード装置としては、例えば、特開平9−315266号公報「車両用フード装置」が知られている。
【0003】
上記公報の図1及び図4によれば、障害物に車両が衝突したことを衝突検出センサ15(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)で検出し、この検出信号に基づいて、制御装置17でフード持ち上げ保持機構16を作動させ、このフード持ち上げ保持機構16にてリンク23,25を起立させることで、フード13の後部を所定量持上げるとともに、その持上げた位置で保持させるというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の車両用フード装置は、フード13を持上げた位置で保持し続けるものである。しかし、車両が障害物に衝突した後に、この障害物がフード13に衝突するとは限らない。一方、持上がったフード13は運転者の運転視界を遮る。このように運転視界を遮った状態は、速やかに解除されることが好ましい。何等かの要因でフード13が持上がったときにも同様である。
【0005】
そこで本発明の目的は、車両が障害物に衝突したときに、持上がったフードによって運転者の運転視界を遮った状態を、速やかに解除することができる技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、車両が障害物に衝突したときに、車両前部のフードを所定量持上げるとともに、その持上げた位置をフード保持機構で昇降可能に保持するようにした車両用フード装置であって、
フード保持機構を、フードの上下移動に対応させるために伸屈させることのできる、くの字リンクとし、このくの字リンクを構成する下部・上部リンクのうち、下部リンクを車体フレーム側のブラケットにスイング可能に取付け、上部リンクをフードにスイング可能に取付け、下部リンクに上部リンクを繋ぐヒンジ部を車両前方へオフセットさせ、下部・上部リンクが伸張した後に、下部リンクが車両後方へ倒れることを防止するストッパを下部リンクとブラケットとの間に設けるとともに、下部・上部リンクが屈曲状態から伸張状態に移行することは許容するが逆は阻止するラチェット機構を下部リンクとブラケットとの間に設けた構成とし、
このようなフード保持機構に、ラチェット機構のラチェット爪を解除方向に引張る引張りアクチュエータを備えたことを特徴とする。
【0007】
車両が障害物に衝突した後に、障害物がフードに衝突したときには、持上がったフードを大いに変形させることで、十分に衝撃力を吸収させることができる。車両が障害物に衝突し、フードを持上げてから所定時間を経過したときには、障害物がフードに衝突することがないものと見做し、引張りアクチュエータでラチェット機構を解除することにより、フードを持上げる前の位置に戻すことができる。又は、車両が障害物に衝突してフードを持上げた後に、任意に引張りアクチュエータでラチェット機構を解除することにより、フードを持上げる前の位置に戻すことができる。このようにして、持上がったフードによって運転者の運転視界を遮った状態を、速やかに解除することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0009】
図1は本発明に係る車両用フード装置の斜視図である。
車両用フード装置10は、車両11の前部にエンジンルーム12を設け、エンジンルーム12の上部開口を前開き形式のフード13で塞ぎ、フード13の後端部を車体フレーム14に左右のフード保持機構20,20で開閉可能に取付けたものである。フード13は前部をフードロック15にて車体フレーム14にロック可能である。図中、16はフロントガラスである。
【0010】
図2は本発明に係る車両用フード装置のシステム図であり、車両11の前半部を左側から見たものである。
フード装置10は、車両11が前方の障害物Shに衝突したときに検出信号を発するバンパセンサ17と、左右のフード保持機構20,20(この図では左右のうち左のみ示す。以下同じ。)と、閉じたフード13の後部を持上げるときに使用する左右の持上げアクチュエータ40と、持上がっているフード13を元の位置に戻すときに使用する左右の引張りアクチュエータ50と、バンパセンサ17の信号に基づいて、持上げアクチュエータ40や引張りアクチュエータ50を制御する制御部60とからなる。
バンパセンサ17は車両11のフロントバンパ18に取付けた加速度センサである。制御部60は、例えばマイクロコンピュータである。
【0011】
図3は本発明に係る車両用フード装置の左側面図であり、フード13の後部を持上げた状態を示す。
フード保持機構20は、フード13の後部を昇降可能に保持するヒンジ機構である。詳しくは、フード保持機構20は、車体フレーム14にボルト止めしたブラケット21と、ブラケット21に第1ピン22にて前後スイング可能に取付けた下部リンク23と、フード13の後端部に第2ピン24にて前後スイング可能に取付けた上部リンク25と、下部リンク23に上部リンク25を前後スイング可能に繋ぐヒンジ部26と、からなるリンク機構である。
【0012】
フード13は、具体的には後部から後方へアーム19を延ばし、このアーム19に上部リンク25を前後スイング可能に取付けたものである。アーム19は、後部上部にフード開度規制ストッパ19aを一体に形成したものである。
ヒンジ部26は、下部・上部リンク23,25間を第3ピン27にて連結したものである。
【0013】
このようなフード保持機構20は、フード13の後部を持上げた状態で、ヒンジ部26を車両前方(この図の左側)へ距離L1だけオフセットさせたことを特徴とする。具体的には、第1ピン22の中心と第2ピン24の中心とを通る直線A1に対して、第3ピン27の中心A2を車両前方へ距離L1だけオフセットさせた。このようにヒンジ部26をオフセットさせたフード保持機構20は、フード13の上下移動に対応させるために伸屈させることのできる、「く」の字リンク(横向きのVの字状リンク)である。
【0014】
さらには、くの字リンクであるフード保持機構20は、下部・上部リンク23,25が伸張した後に、下部リンク23が車両後方へ倒れることを防止するストッパ(下部ストッパ)23aを、下部リンク23とブラケット21との間に設けるとともに、下部・上部リンク23,25が屈曲状態から伸張状態に移行することは許容するが逆は阻止するラチェット機構30を、下部リンク23とブラケット21との間に設けたことを特徴とする。
【0015】
下部ストッパ23aは下部リンク23の下部後端に形成したものであり、ブラケット21の後上端部21aに当ることで、下部リンク23がこれ以上車両後方へ倒れることを阻止することができる。
上部リンク25は、下部前端に上部ストッパ25aを形成したものである。上部ストッパ25aは、下部リンク23の上部前端23bに当ることで、上部リンク25がこれ以上前方へ倒れることを阻止することができる。
【0016】
ラチェット機構30は、下部リンク23の前下部に形成したラチェット凹部31と、ブラケット21にラチェットピン32にて前後スイング可能に取付けたラチェット爪33と、ラチェット爪33の爪部33aをラチェット凹部31側に弾発するスプリング34とからなる。スプリング34は、ブラケット21とラチェット爪33との間に介在させた引張りばねである。さらに下部リンク23は、前部に爪収納凹部35を形成したものである。
【0017】
持上げアクチュエータ40及び引張りアクチュエータ50は、1個のハウジング41に収納し、車体フレーム14に取付けたものである。
持上げアクチュエータ40は、ハウジング41に上方を開放して形成したシリンダ42と、シリンダ42に往復運動可能に挿入したピストン43と、持上げ用インフレータ44と、ストッパ45とからなる。
【0018】
引張りアクチュエータ50は、ラチェット機構30のラチェット爪33を解除方向に引張るものであり、ハウジング41に上方を開放して形成したシリンダ51と、シリンダ51の上端を密閉するシール部52と、シリンダ51に往復運動可能に挿入したピストン53と、シリンダ51のシール部52の孔54を通って外方へ延びた引張りワイヤ(引張り部材)55と、引張り用インフレータ56とからなる。シール部52から外方へ延びた引張りワイヤ55の端は、ラチェット爪33に繋いだものである。このようにして、フード保持機構20に持上げアクチュエータ40並びに引張りアクチュエータ50を備えた。
【0019】
持上げ用インフレータ44並びに引張り用インフレータ56は、制御部60から電気的な制御信号を受けたときに、図示せぬ点火装置にてガス発生剤に点火して多量のガスを発生させ、このガスをシリンダ42,51内に送り込むものである。送り込まれたガスによってシリンダ42,51は一時的に昇圧する。この結果、持上げ用のピストン43は上昇し、引張り用のピストン53は下降する。シリンダ42,51には小径のオリフィス(図示せず)を設けてあるので、若干の時間が経過した後に内圧は低下する。
【0020】
持上げアクチュエータ40は、持上げ用インフレータ44に制御信号(持上げ信号ON)を受けると、シリンダ42が一時的に昇圧するので、ピストン43が所定ストロークだけ上昇する。その後、シリンダ42の圧力低下に応じて、元の位置まで下降する。
【0021】
引張りアクチュエータ50は、引張り用インフレータ56に制御信号(引張り信号ON)を受けると、シリンダ51が一時的に昇圧するので、ピストン53が所定ストロークだけ下降する。ピストン53に引張られた引張りワイヤ55は、ラチェット爪33を前方へ引き寄せることで、スイングさせる。
【0022】
図4は本発明に係るフード保持機構の斜視図(その1)であり、左のフード保持機構20を左前上方から見たものである。
ブラケット21は、下部リンク23を取付ける縦壁21bに、略コ字状の断面部(以下「略コ字断面部21c」と言う。)を含むことで、大きな下向き荷重が作用したときに座屈し易い構造にしたことを特徴とする。具体的には、ブラケット21は、起立した縦壁21bと、縦壁21bの下端に折曲げ形成した略コ字断面部21cと、略コ字断面部21cから水平に延びたベース21dとからなる板材の一体成形品である。
【0023】
図5は本発明に係るフード保持機構の斜視図(その2)であり、左のフード保持機構20を車幅中央側の前上方から見たものである。
フード開度規制ストッパ19aは、アーム19から折り曲げ形成した凸部である。下部ストッパ23aは、下部リンク23から折り曲げ形成した凸部である。上部ストッパ25aは、上部リンク25から折り曲げ形成した凸部である。ラチェットピン32はボルト・ナットからなる。
【0024】
図6は本発明に係る制御部の制御フローチャートであり、制御部60(図2参照)をマイクロコンピュータとした場合の制御フローを表したものである。図中、ST××はステップ番号を示す。以下、図2を参照しつつ説明する。
ST01;バンパセンサ17がONであるか、すなわち、バンパセンサ17からの検出信号が有ったか否かを判定し、YESであれば「ST02」に進み、NOであれば「ST01」に戻る。「ST01」でYESと判定したときに、車両11が障害物Shに衝突したと判定する。
ST02;持上げ信号をONとし、持上げアクチュエータ40を作動させる。
ST03;タイマ機能をスタートさせる。
ST04;タイマ機能のカウント時間Tcが基準時間To以上(例えば、0.1〜0.5sec)であるかを判定し、YESであれば「ST05」に進み、NOであれば「ST04」を繰り返す。
ST05;引張り信号をONにし、引張りアクチュエータ50を作動させて制御を終了する。
【0025】
「ST03」及び「ST04」は、フード13を持上げてからの所定時間を計るタイマの役割を果たす。従って、制御部60はタイマを内蔵していることになる。
【0026】
次に、上記構成のフード保持機構20の作用を、図7〜図13に基づき説明する。
図7は本発明に係るフード保持機構の作用図(その1)であり、フード13の後端部を下げてエンジンルームを閉じた通常の状態を示す。このときのフード保持機構20は、ヒンジ部26を車両前方へ大きくオフセットして折畳んだ状態にあり、左側面から見たときに鋭角の「く」の字を呈する。また、ラチェット爪33の爪部33aは、下部リンク23の爪収納凹部35に収納された状態にある。
【0027】
図8は本発明に係るフード保持機構の作用図(その2)であり、フード13を全開した状態を示す。
フード保持機構20は折畳んだ状態にあり、第2ピン24を支点としてフード13を開閉可能である。フード13を全開にしたとき、フード開度規制ストッパ19aは下部リンク23の下部ストッパ23aに当る。この結果、フード13の全開開度を制限することができる。
【0028】
ここで一旦図7に戻って説明を続ける。
フード13の前部を車体フレームにロックした状態で、フード13の後端部を持上げると(矢印▲1▼)、上部リンク25が第3ピン27を支点にスイングを開始するとともに、下部リンク23が第1ピン22を支点にスイングを開始する(矢印▲2▼)。
【0029】
図9は本発明に係るフード保持機構の作用図(その3)であり、フード13の後端部を上記図7から更に持上げた状態を示す。
フード13の持上げ量に応じて、下部・上部リンク23,25が更にスイングするので、くの字リンクの開度が増す。また、ラチェット爪33の爪部33aは、下部リンク23の爪収納凹部35から外れる。
【0030】
図10(a),(b)は本発明に係るフード保持機構の作用図(その4)である。
(a)に示すように、フード13の後端部が更に勢いよく持上がることで、その慣性により、第3ピン27は第1ピン22の中心と第2ピン24の中心とを通る直線A1までスイングする(矢印▲3▼)。この結果、第1〜第3ピン22,24,27は直線A1上に並ぶ。
このときに、ラチェット凹部31にラチェット爪33の爪部33aが噛み合う。しかし、(b)に示すようにラチェット凹部31と爪部33aとの間には若干の隙間S1がある。
ところで、フード13の後端部が更に勢いよく持上がることで、下部リンク23の下部ストッパ23aはブラケット21の後上端部21aに勢いよく当る(矢印▲4▼)。その反動で、下部リンク23は前方へ反転する(矢印▲5▼)。
【0031】
図11は本発明に係るフード保持機構の作用図(その5)である。
下部リンク23が前方へ反転した結果、ラチェット凹部31と爪部33aとの間の隙間S1(図10参照)が無くなる。このようにして、フード保持機構20は、ヒンジ部26が直線A1から車両前方(この図の左側)へ距離L1だけオフセットすることで、左側面から見たときに鈍角の「く」の字を呈した状態でスイングを停止する。フード13の自重が第2ピン24に作用しているので、フード保持機構20はこの鈍角の「く」の字状態を維持する。
【0032】
ここで、フード13の後端部を所定量持上げた位置で保持させることができる理由を、以下に説明する。
下部リンク23は、車両後方へ倒れることを下部ストッパ23aと後上端部21aとで阻止されるとともに、車両前方へ倒れることをラチェット機構30で阻止されることで、前後へ倒れることはない。
【0033】
フード13の前端を上記図1に示すフードロック15に掛けてあるので、フード13はフードロック15の位置をスイング中心としてスイング可能である。フード13と共にスイングするアーム19の後端部のスイング軌跡Lofに対して、第3ピン27を中心としてスイングする上部リンク25の先端部のスイング軌跡Louの方向は、不一致である。この結果、上部リンク25はスイング不能である。下部・上部リンク23,25が屈曲不能であるから、フード13の後端部が持上げた位置から下がることはない。
【0034】
このように、下部・上部リンク23,25を伸張してフード13を所定量持上げた状態においては、下部リンク23が車両後方へ倒れることを下部ストッパ23aで阻止するとともに、下部・上部リンク23,25が伸張状態から屈曲状態へ移行することをラチェット機構30で阻止することができる。この結果、フード13の後端部を所定量持上げた位置で、保持させることができる。
【0035】
以上の説明から明らかなように、フード13の後部を所定量持上げたとき、その持上げた位置を、簡単な構成のくの字リンクからなるフード保持機構20にて確実に保持することができる。このため、持上げたフード13を保持するための機構を、持上げアクチュエータ40(図3参照)に設ける必要はない。従って、フードを持上げる手段である、持上げアクチュエータ40を簡単な構成にすることができる。
さらには、フード13やフード保持機構20に、持上げアクチュエータ40を連結する必要はない。従って、持上げアクチュエータ40を一層簡単な構成にすることができる。
【0036】
図12(a),(b)は本発明に係るフード保持機構の作用図(その6)である。
(a)に示すように、引張りワイヤ55を車両前方へ勢いよく引くと(矢印▲6▼)、(b)に示すようにラチェット爪33は図反時計回りにスイングする(矢印▲7▼)。このとき、爪部33aはラチェット凹部31を上方へ蹴り上げることで、ラチェット凹部31から外れる。従って、下部リンク23が図時計回りにスイングすることで(矢印▲8▼)、下部リンク23の下部ストッパ23aがブラケット21の後上端部21aに勢いよく当り、その反動で下部リンク23は前方へ勢いよく反転する(矢印▲9▼)。この結果、フード保持機構20は次の図13に示す鈍角の「く」の字状態に変化する。
【0037】
図13は本発明に係るフード保持機構の作用図(その7)であり、ラチェット凹部31から爪部33aが外れた状態を示す。
第2ピン24が第1ピン22よりも若干前にあるので、第1ピン22と第2ピン24とを通る直線A1は、若干前方へ傾いている。下部リンク23が勢いよく前方へ倒れること、及び、フード13の自重が第2ピン24に作用していることから、下部リンク23は第1ピン22を支点に前方へスイングし上部リンク25は第3ピン27を支点として後方へスイングする。この結果、フード保持機構20は元の折畳まれた状態に戻る。従って、フード13は下降して元の位置に戻る。
【0038】
次に、上記構成のフード装置10の作用を、図14〜図18に基づき説明する。
図14は本発明に係る車両用フード装置の作用図(その1)であり、フード13を下げてエンジンルーム12を閉じた通常の状態を示す。このとき、フード保持機構20は折畳んだ状態にある。
フード13は、第2ピン24を支点として上下スイング可能である。フード13を想像線で示すように開けることで、エンジンルーム12に収納された機器70の保守・点検作業をすることができる。
【0039】
図15は本発明に係る車両用フード装置の作用図(その2)であり、フード13を下げてエンジンルーム12を閉じた通常の状態を示す。
車両11が障害物Shに衝突すると、制御部60は持上げアクチュエータ40に「持上げ信号ON」を発する。このため、持上げアクチュエータ40は持上げ作動を開始し、ピストン43を高速で突出すことにより、フード13の後部裏面13aを突き上げる。
【0040】
図16は本発明に係る車両用フード装置の作用図(その3)であり、ピストン43を所定の最大高さだけ高速で突出すことにより、フード13を想像線で示す元の高さから実線で示す高さまで、突き上げたことを示す。フード13は慣性により、更に持上がる。フード13の上昇に伴って、フード保持機構20も伸張する。
【0041】
図17は本発明に係る車両用フード装置の作用図(その4)である。
フード保持機構20が伸張して停止することにより、フード13の後端部の持上がり作動も停止する。フード13の後端部は、想像線で示す元の位置から実線で示す位置へ、所定量(100〜200mm)だけ持上がった状態になる。フード保持機構20は、フード13を持上がった位置で保持させる。
【0042】
所定量だけ持上がったフード13から、エンジンルーム12に収納されたエンジン等の機器70までの、距離は大きい。この結果、フード13の下方への変形可能量は増大する。このため、障害物Shがフード13に衝突したときに、持上がったフード13を想像線にて示すように大いに変形させることで、衝撃力を十分に吸収させることができる。従って、機器70を障害物Shから保護することができるとともに、障害物Shへの衝撃も十分に緩和することができる。
【0043】
ところで、持上がった状態のフード13に障害物Shが衝突したときに、フード13が変形することで、第2ピン24には前方へ引く力が作用する。この引く力によって、上部リンク25が第3ピン27を支点として前方へ倒れることが有り得る。このような場合であっても、上部ストッパ25aが下部リンク23の上部前端23bに当ることで、上部リンク25がそれ以上前方へ倒れることを防止することができる。従って、持上がったフード13からエンジンルーム12内の機器70までの距離を十分に確保することができる。
【0044】
図18は本発明に係る車両用フード装置の作用図(その5)である。
一方、車両11が障害物Shに衝突し、フード13を持上げてから所定時間を経過したときには、制御部60は障害物Shがフード13に衝突することがないものと見做し、引張りアクチュエータ50に「引張り信号ON」を発する。このため、引張りアクチュエータ50は引張り作動を開始し、引張りワイヤ55を高速で引く。この結果、フード保持機構20が折畳まれるので、フード13は下降して、持上げる前の元の位置に戻る。従って、持上がったフード13によって運転者の運転視界を遮った状態を、速やかに解除することができる。
【0045】
図19(a),(b)は本発明に係るフード保持機構の作用図(その8)である。
障害物Shは、フード13のあらゆる位置に衝突し得る。例えば、(a)に示すように、フード保持機構20の近傍でフード13の上に障害物Shが衝突することもある。この場合には、フード保持機構20に大きな下向きの力F1が作用する。
すなわち、上方からフード13へ衝撃力F1が作用した場合に、この衝撃力F1が大きな下向きの力として、フード13→アーム19→第2ピン24→上部リンク25→第3ピン27→下部リンク23→第1ピン22→ブラケット21の縦壁21b、の経路でブラケット21の略コ字断面部21cに作用する。
【0046】
所定以上の大きな下向きの力F1を受けた略コ字断面部21cは、(b)のように大きく座屈変形することによって、力F1を十分に吸収することができる。この結果、障害物Shへの衝撃を十分に緩和することができる。しかも、縦壁21bに略コ字断面部21cを含むだけの簡単な構成である。
さらには、略コ字断面部21cを座屈変形させる構成にしたので、略コ字断面部21cが所定の力で適切に座屈変形するように設定することにより、ブラケット21の変形特性を自由に且つ容易に設定することができる。
【0047】
次に、壁等の障害物Shに車両11が衝突したときの、フード装置10の作用を図20及び図21に基づき説明する。
図20は本発明に係る車両の作用図であり、壁等の比較的頑丈な障害物Shに車両11が衝突したことを示す。この場合には、車両11はエンジンルーム12やフード13が変形することにより、衝突による衝撃力を吸収する。フード13は、例えば図に示すように側面視山形に変形する。
同時に、フード装置10は上記図17に示すように、バンパセンサ17の検出信号に基づいて、持上げアクチュエータ40でフード13の後端部を持上げ、その持上げた位置をフード保持機構20で保持する。
【0048】
図21は本発明に係るフード保持機構の作用図(その9)であり、フード保持機構20が伸張した直後にフード13が変形したことを示す。
ブラケット21の後上端部21aに下部ストッパ23aが当っているので、下部リンク23は車両後方へ倒れない。
フード13が側面視山形に変形した場合には、フード13からの衝撃力F2がアーム19を介して第2ピン24に後向きの力として作用する。この後向きの力によって、上部リンク25は第3ピン27を中心に図時計回りにスイングする。このように、上部リンク25だけがスイングするので、フード13の後端並びにアーム19の後方移動を制限することができる。従って、フード13やアーム19が、フロントガラス16へ必要以上に接近することはない。
【0049】
なお、上記本発明の実施の形態において、(1)図3に示すアーム19の有無は任意であり、フード13の後端部をフード保持機構20に直接取付けてもよい。
(2)図3に示すブラケット21に下部ストッパ23aを設け、この下部ストッパ23aを下部リンク23に当てるようにしてもよい。また、下部リンク23に上部ストッパ25aを設け、この上部ストッパ25aに上部リンク25を当てるようにしてもよい。
【0050】
(3)ラチェット機構30は、ブラケット21と下部リンク23との間に設けたものであればよい。例えば、ブラケット21にラチェット凹部31を設けるとともに、下部リンク23にラチェット爪33を取付けてもよい。
(4)持上げ・引張りアクチュエータ40,50の数量は任意である。また、持上げ・引張りアクチュエータ40,50を1個のハウジング41に収納せずに、分離してもよい。さらには、持上げ・引張りアクチュエータ40,50は、ガス発生圧でピストンを移動させる構成に限定されるものではなく、例えばモータであってもよい。
(5)フード13を持上げてからの所定時間を計るタイマは、制御部60に内蔵する他に、制御部60から独立させたものであってもよい。
(6)上記図6に示す「ST04」の基準時間To、すなわち、フード13を持上げてからの所定時間は、任意である。
【0051】
(7)車両用フード装置10は、車両11が障害物Shに衝突してフード13を持上げた後に、引張りアクチュエータ50でフード13を持上げる前の位置に適宜戻すものであればよい。例えば、車室内に手動スイッチを備え、運転者がスイッチ操作をしたときのスイッチ信号が有った場合に、引張りアクチュエータ50を作動させるようにしてもよい。この構成にするには、図6に示すステップST03〜ST04を、スイッチ信号の有無を判断するステップに置換すればよい。
(8)引張りアクチュエータ50でラチェット爪33を引くための引張り部材は、引張りワイヤ55に限定されるものではなく、例えば、ロッドであってもよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、下部・上部リンクが伸張した後に伸張状態から屈曲状態へ移行することを阻止するラチェット機構を、下部リンクとブラケットとの間に設け、ラチェット機構のラチェット爪を解除方向に適宜引張る引張りアクチュエータを備えたので、車両が障害物に衝突し、フードを持上げてから所定時間を経過したときには、障害物がフードに衝突することがないものと見做し、引張りアクチュエータにて、フードを持上げる前の位置に戻すことができる。又は、車両が障害物に衝突してフードを持上げた後に任意に、引張りアクチュエータにて、フードを持上げる前の位置に戻すことができる。このようにして、持上がったフードによって運転者の運転視界を遮った状態を、速やかに解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る車両用フード装置の斜視図
【図2】本発明に係る車両用フード装置のシステム図
【図3】本発明に係る車両用フード装置の左側面図
【図4】本発明に係るフード保持機構の斜視図(その1)
【図5】本発明に係るフード保持機構の斜視図(その2)
【図6】本発明に係る制御部の制御フローチャート
【図7】本発明に係るフード保持機構の作用図(その1)
【図8】本発明に係るフード保持機構の作用図(その2)
【図9】本発明に係るフード保持機構の作用図(その3)
【図10】本発明に係るフード保持機構の作用図(その4)
【図11】本発明に係るフード保持機構の作用図(その5)
【図12】本発明に係るフード保持機構の作用図(その6)
【図13】本発明に係るフード保持機構の作用図(その7)
【図14】本発明に係る車両用フード装置の作用図(その1)
【図15】本発明に係る車両用フード装置の作用図(その2)
【図16】本発明に係る車両用フード装置の作用図(その3)
【図17】本発明に係る車両用フード装置の作用図(その4)
【図18】本発明に係る車両用フード装置の作用図(その5)
【図19】本発明に係るフード保持機構の作用図(その8)
【図20】本発明に係る車両の作用図
【図21】本発明に係るフード保持機構の作用図(その9)
【符号の説明】
10…車両用フード装置、11…車両、13…フード、14…車体フレーム、17…バンパセンサ、20…フード保持機構、21…ブラケット、21a…後部上端、21b…縦壁、21c…略コ字断面部、23…下部リンク、23a…ストッパ(下部ストッパ)、25…上部リンク、30…ラチェット機構、40…持上げアクチュエータ、50…引張りアクチュエータ、55…戻しワイヤ、60…制御部、70…機器、Sh…障害物。

Claims (1)

  1. 車両が障害物に衝突したときに、車両前部のフードを所定量持上げるとともに、その持上げた位置をフード保持機構で昇降可能に保持するようにした車両用フード装置であって、
    前記フード保持機構は、前記フードの上下移動に対応させるために伸屈させることのできる、くの字リンクであり、このくの字リンクを構成する下部・上部リンクのうち、下部リンクを車体フレーム側のブラケットにスイング可能に取付け、上部リンクをフードにスイング可能に取付け、下部リンクに上部リンクを繋ぐヒンジ部を車両前方へオフセットさせ、下部・上部リンクが伸張した後に、下部リンクが車両後方へ倒れることを防止するストッパを下部リンクとブラケットとの間に設けるとともに、下部・上部リンクが屈曲状態から伸張状態に移行することは許容するが逆は阻止するラチェット機構を下部リンクとブラケットとの間に設けた構成とし、
    このようなフード保持機構に、前記ラチェット機構のラチェット爪を解除方向に引張る引張りアクチュエータを備えたことを特徴とする車両用フード装置。
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