JP3762082B2 - ガスセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定ガス中の特定ガス成分を検出するためのガスセンサ、特に内燃機関の排気ガス中の窒素酸化物濃度を測定するのに適したガスセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気エミッションを低減する技術として、従来より、三元触媒を用いた排ガス浄化システムが知られ、空燃比を理論空燃比近傍にフィードバック制御しながら、排気系に設置した三元触媒により排気エミッション成分(NOx、HC、CO)を除去している。また、これら有害成分の排出に関し、米国において、システムの故障を運転者に知らせることを義務付ける自己診断規制が導入され、これに伴い、三元触媒等の劣化を速やかに検知する必要が生じている。
【0003】
三元触媒の劣化を検知する方法としては、いわゆる2O2 センサシステムが知られている。これは、三元触媒の上流および下流に配置した2つの酸素センサを用いるもので、その出力信号を比較することにより劣化を間接的に検知することができる。しかしながら、近年、有害成分の排出規制がさらに強化される傾向にあり、その場合、検出を間接的に行う2O2 センサシステムでは、検出精度が不十分となるおそれがある。このため、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)等、排気エミッション成分を直接検出可能なガスセンサの開発が必要となっている。
【0004】
排気ガス中の窒素酸化物(NOx)等を直接検出するガスセンサとしては、固体電解質の酸素イオン導電性を利用した固体電解質式のガスセンサがあり、例えば、特開平8−271476号公報に開示されている。その構成を図6に示すと、ガスセンサ9は、固体電解質91と固体電解質92の間に配したスペーサ内に、第一の内部空所93と第二の内部空所94が形成してあり、第一の内部空所93には第一の拡散律速通路95を通じて被測定ガスが導入されるようになしてある。第一の内部空所94は第二の拡散律速通路96を通じて第二の内部空所94と連通している。
【0005】
第一の内部空所93内の酸素濃度は、酸素センサセル9Aにより検出される。酸素センサセル9Aは、固体電解質92の表面に設けた電極92a、92bを大気通路97および第一の内部空所93にそれぞれ露出してなり、これにより検出される酸素濃度が所定値となるように、第一のポンプセル9Bの駆動電圧がフィードバック制御される。第一の酸素ポンプセル9Bは、固体電解質91とその両面の電極91a、91bよりなり、電極91aは被測定ガスに、電極91bは第一の内部空所93に露出している。また、固体電解質92と電極92a、92cとで第二の酸素ポンプセル9Cが構成され、第二の内部空所94に露出する電極92cは、NOxに対して還元活性を有している。
【0006】
第二の内部空所94では、被測定ガス中のNOxが還元分解して新たな酸素が生成し、第二の酸素ポンプセル9Cを流れるポンプ電流が増減する。第一の内部空所93より第二の内部空所94に拡散する被測定ガス中の酸素濃度は一定であるから、このポンプ電流の増減はNOxの還元に基づくものであり、これを測定することでNOx濃度を検出することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記構成のガスセンサでは、酸素センサセル9Aと第一のポンプセル9Bを用いて第一の内部空所93内の酸素濃度を制御し、第二の内部空所94に拡散する被測定ガス中の酸素濃度を一定にすることで、被測定ガス中の酸素濃度の影響を排除している。しかしながら、この構成では、酸素センサセル9Aにより第一の内部空所93内の酸素濃度を測定するために、基準酸素濃度ガスとしての大気が必要である。このため、大気を導入するための大気通路97が必要で、素子構造が複雑になる、また、このガスセンサを収容する検出装置本体部にも、大気導入路を設ける必要があるといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明では、ガス検出精度に優れ、しかも構造の簡単なガスセンサを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1のガスセンサは、被測定ガス中の特定成分を還元分解し、その際に発生する酸素量から特定ガス成分濃度を検出するもので、
被測定ガスが第一の拡散抵抗手段を介して導入される第一の中空部と、
第一の酸素イオン導電性の固体電解質の相対向する表面に一対の電極を設けて、その一方が上記第一の中空部に、他方が外部の被測定ガス存在空間に露出するように配し、この一対の電極に所定の電圧を印加したときに両電極間を流れる電流により被測定ガス中の酸素濃度を測定する第一の酸素ポンプ部と、
被測定ガスが第二の拡散抵抗手段を介して導入される第二の中空部と、
第二の酸素イオン導電性の固体電解質の相対向する表面に一対の電極を設けて、その一方が上記第二の中空部に、他方が外部の被測定ガス存在空間に露出するように配し、この一対の電極間に、上記第一の酸素ポンプ部に流れる電流値から求められる所定の電流を流して、上記第二の中空内部の酸素濃度を所定値に制御する第二の酸素ポンプ部と
第三の酸素イオン導電性の固体電解質の相対向する表面に一対の電極を設けて、その一方が上記第二の中空部に、他方が外部の被測定ガス存在空間に露出するように配するとともに、上記第二の中空部に露出する上記一方の電極を特定ガス成分に対して還元活性な電極で構成し、上記一対の電極間に所定の電荷を印加したときに、特定ガスの成分の還元により生成する酸素に基づいて両電極間を流れる電流値から被測定ガス中の特定ガス成分濃度を測定するガス検知部とを備え、上記ガス検知部は、上記第一の酸素ポンプ部と上記第二の酸素ポンプ部との間に、絶縁部材ないし空間部を介して、狭持されている。
【0010】
上記構成において、上記第一の酸素ポンプ部の一対の電極間に所定の電圧を加えると、被測定ガス中の酸素濃度に応じた電流が流れる。そこで、この電流値から被測定ガス中の酸素濃度を測定し、さらに、この電流値に基づいた所定の電流を、上記第二の酸素ポンプ部の一対の電極間に流すことで、上記第二の中空部の酸素濃度を一定に保持することができる。また、上記第二の中空部では、これに面する上記ガス検知部の一方の電極を、検出しようとする特定ガス成分、例えばNOxに対して還元活性な電極で構成したので、上記第二の中空部内のNOxは電極反応により分解し、酸素が生成する。この時、生成する酸素によって上記一対の電極間を酸素イオン電流が流れ、その電流値からNOx濃度を測定することができる。
【0011】
上記構成によれば、上記第二の中空部内の酸素濃度を制御するために、基準酸素濃度ガスとしての大気を導入する必要がない。よって、大気通路を形成する必要がないので、素子構造が簡単にできる。また、検出装置本体部に大気導入路を設ける必要もない。しかも、被測定ガス中の酸素濃度によらず、正確な検出が行えるので、検出精度にも優れている。
【0012】
請求項2の構成では、上記第一の酸素ポンプ部の一対の電極に、上記第一の中空部から酸素を排出するように所定の電圧を印加し、この時に流れる電流と同じか所定の値だけ小さい電流を、上記第二の中空部から酸素を排出するように上記第二の酸素ポンプ部の一対の電極に流す。これにより、上記第一の酸素ポンプ部には酸素濃度に比例した限界電流が流れ、これに対応した電流を第二の酸素ポンプ部に流すことで、上記第二の中空部の酸素濃度を0またはごく低濃度とし、特定ガス成分の還元により生成する酸素を、精度よく検出できる。
【0013】
請求項3の構成では、上記第一の酸素ポンプ部の上記一方の電極、および上記第二の酸素ポンプ部の上記一方の電極を、上記特性ガス成分に対して不活性な電極で構成する。この時、上記第一の中空部、上記第二の中空部に露出するこれら電極上で、特定成分が還元、分解することを防止できるので、上記ガス検知部における特性ガス成分の検出精度を高めることができる。
【0014】
請求項4の構成では、上記特定ガス成分を窒素酸化物とする。そして、上記ガス検知部の上記第二の中空部に露出する上記一方の電極を、窒素酸化物に対して還元活性な電極で構成し、窒素酸化物の還元によって生成する酸素に基づいて上記一対の電極間を流れる酸素イオン電流から窒素酸化物濃度を検出することができる。
【0015】
請求項5の構成では、上記第一の中空部の第一の拡散抵抗手段における拡散抵抗の大きさを、上記第二の中空部の第二の拡散抵抗手段における拡散抵抗の大きさと、同等とする。この時、上記第一、第二の中空部への被測定ガスが同等の速度で拡散するので、第二の酸素ポンプ部による酸素濃度の制御性が向上し、検出精度が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図5により説明する。図3は窒素酸化物(NOx)検出装置の全体断面図であり、筒状ハウジングH内に絶縁材に外周を保持せしめて本発明のガスセンサ1が収納されている。該ガスセンサ1は細長い平板状で、その先端部(図の下端部)は、上記ハウジングHより突出して図の下方に延び、ハウジングHの下端に固定される容器状の排気カバーH1内に位置している。上記排気カバーH1は、ステンレス製の内部カバーH11と外部カバーH12の二重構造となっており、これらカバーH11、H12の側壁および底壁には、被測定ガスである排気ガスを排気カバーH1内に取り込むための排気口H13、H14がそれぞれ形成してある。
【0017】
上記ハウジングHの上端には、筒状の大気カバーH2が固定されており、ハウジングHより突出する上記ガスセンサ1の後端部(図の上端部)、および該後端部に接続されるリード線H3を保護している。このリード線H3の他端は、上記大気カバーH2の上端開口より外部に延びている。
【0018】
図1、2は本発明のガスセンサ1の先端部の模式的な断面図および展開図である。上記ガスセンサ1は、図の下端側に、第一の固体電解質2(以下、固体電解質2と略称する)と一対の電極21、22からなる第一の酸素ポンプ部たる第一の酸素ポンプセルAを有し、その上方に、第一の中空部31を形成するスペーサ3、各セルを過熱するためのヒータ8、空間41を形成するスペーサ4、第三の固体電解質5(以下、固体電解質5と略称する)と一対の電極51、52からなるガス検知部としてのNOx検知セルC、第二の中空部61を形成するスペーサ6、第二の固体電解質7(以下、固体電解質7と略称する)と一対の電極71、72からなる第二の酸素ポンプ部たる第二の酸素ポンプセルB、を順に積層して構成される。
【0019】
上記第一の酸素ポンプセルAは、排気ガス中の酸素濃度を測定するためのもので、シート状に成形した酸素イオン導電性の固体電解質2と、その上下面の対向位置に、スクリーン印刷等により形成した一対の電極21、22からなる。酸素イオン導電性の固体電解質2としては、例えばイットリア添加ジルコニア等が用いられる。上記一対の電極21、22のうち、下方の電極21は、被測定ガス存在空間、すなわち図3における排気カバーH1内空間に露出している。この電極21としては、例えば多孔質Pt電極が用いられる。
【0020】
上記一対の電極21、22のうち、上方の電極22は、その上方のアルミナ等よりなるスペーサ3に設けた抜き穴3a(図2)にて形成される、第一の中空部31(図1)に露出するように形成してある。この電極22は、NOxの還元・分解に対しては不活性であるが、O2 の還元・分解に対しては活性であるように、電極活性を調整する。これにより、NOx濃度の影響を受けることなく、排気ガス中の酸素濃度を測定することができる。また、電極22は、排気ガス中の未燃分、例えばH2 等とNOxの反応による検出精度の低下を防止するために、これらガスの酸化に対して活性であることが望ましい。このような電極には、PtにAuを1〜5重量%程度添加した多孔質電極が好適に用いられ、Pt粉末とAu粉末を混合する、あるいはPtとAuを合金化する等の方法により調製することができる。
【0021】
上記固定電解質2、上記一対の電極21、22を貫通して、所定の大きさの第一の拡散抵抗手段たる第一のピンホール23(以下、ピンホール23と略称する)が形成されている。このピンホール23の大きさは、これを通過して上記第一の中空部31に導入される排気ガスの拡散速度が所定の速度となるように、適宜設定される。また、排気ガス側の上記電極21およびピンホール23を被覆して、多孔質アルミナ等よりなる多孔質保護層24が形成してあり、電極21の被毒やピンホール23が排気ガスに含まれるスス等で目詰まりするのを防止している。
【0022】
上記固体電解質2の上下表面には、図2のように、上記一対の電極21、22から電気信号を取り出すためのリード21a、22aが形成されている。なお、上記固体電解質2の電極形成部以外、特にリード形成部においては、固体電解質2とリード21a、22aの間にアルミナ等の絶縁層を介在させるのがよい。
【0023】
上記第二の酸素ポンプセルBは、第二の中空部61(図1)内の酸素濃度を所定濃度に保つためのもので、ジルコニア等よりなるシート状の固体電解質7と、その上下面の対向位置にスクリーン印刷等により形成した一対の電極71、72からなる。第二の中空部61は、アルミナ等のスペーサ6に設けた抜き穴6a(図2)にて形成され、上記第一の中空部31とは独立した空間となっている。上記一対の電極71、72のうち、上方の電極71は、例えば、多孔質Pt電極よりなり、排気ガスが存在する排気カバーH1内空間(図3)に露出している。
【0024】
上記一対の電極71、72のうち、下方の電極72は、上記第二の中空部61に露出するように形成される。上記電極72としては、上記第一の酸素ポンプセルAの電極22と同様の電極活性を有するものを用いることが望ましい。具体的には、NOxの還元に対して不活性であり、O2 の還元に対しては活性であるような電極、例えばPtにAuを1〜5重量%程度添加した多孔質電極が好適に用いられる。
【0025】
上記固体電解質7、上記一対の電極71、72を貫通して、所定の大きさの第二の拡散抵抗手段たる第二のピンホール73(以下、ピンホール73と略称する)が形成してある。このピンホ−ルの大きさは、通常、上記第一の酸素ポンプセルAのピンホール23と同じ大きさに形成され、上記第二の中空部61に、上記第一の中空部31と同じ拡散抵抗で排気ガスが導入されるようにすることが望ましい。また、排気ガス側の上記電極71およびピンホール73を被覆して、同様に、多孔質アルミナ等よりなる多孔質保護層74が形成してある。
【0026】
上記固体電解質7の上下表面には、一対の電極71、72間に所定の電流を流すためのリード71a、72aが形成されている。この場合も、上記固体電解質7の電極形成部以外、特にリード形成部において、固体電解質7とリード71a、72aの間にアルミナ等の絶縁層を介在させるのがよい。
【0027】
NOx検知セルCは、NOxの還元分解により生じる酸素量からNOx濃度を検出するもので、ジルコニア等よりなるシート状の固体電解質5と、その上下面の対向位置にスクリーン印刷等により形成した一対の電極51、52からなる。この一対の電極51、52のうち、上方の電極51は、NOxに対し還元活性を有する電極、例えば、多孔質Pt電極で構成され、上記第二の中空部61に露出するように形成される。しかして、上記第二の中空部61内のNOxは、上記電極51上で還元分解し、酸素と窒素を生成する。
【0028】
上記一対の電極51、52のうち、下方の電極52は、例えば、多孔質Pt電極等よりなり、その下方の空間41(図1)に露出するように形成される。該空間41は、アルミナ等よりなるスペーサ4に設けた切欠き4a(図2)にて形成され、左端開口部より排気カバーH1内空間(図3)に通じている。排気ガス側の上記電極52の表面は、多孔質アルミナ等よりなる多孔質保護層53で被覆され、電極の被毒を防止している。
【0029】
上記固体電解質5の上下表面には、一対の電極51、52から電気信号を取り出すためのリード51a、52aが形成されている。この場合も、上記固体電解質5の電極形成部以外、特にリード形成部において、固体電解質5とリード51a、52aの間にアルミナ等の絶縁層を介在させるのがよい。
【0030】
上記ヒータ8は、アルミナ等からなるヒータシート82の上面にヒータ電極81を形成してなる。ヒータ電極81としては、通常、Pt電極が用いられ、その上面にはアルミナ等からなる絶縁層83が形成される。上記ヒータ電極81にはリード81aが接続され、該リード81aはヒータシート82、スペーサ3、固体電解質2に設けたスルーホールを通じて、センサ基部の端子まで接続される。上記各電極のリード部も同様にしてセンサ基部の端子に接続される。
【0031】
上記構成のガスセンサSのガス検出原理を図4、5を用いて説明する。ここでは、被測定ガスである排気ガスはリーン状態のみを想定している。上記第一の酸素ポンプセルAは、排気ガスに含まれる酸素濃度を測定するための限界電流式の酸素濃度センサとして作動する。排気ガスは、ピンホール23を通り第一の中空部31に導入される。ここで、上記一対の電極21、22に、排気ガス側の上記電極21が+極となるようにして所定の電圧を加えると、上記第一の中空部31側の上記電極22上で酸素が還元されて酸素イオンとなり、ポンピング作用により上記電極21側に排出される。
【0032】
この時、第一の酸素ポンプセルAに加える電圧と流れる電流の関係を図4に示す。第一の酸素ポンプセルAに加える電圧は、一対の電極21、22間を流れる電流がピンホール23で酸素の拡散が律速となるような値、すなわち限界電流となるように設定する。これを図4にVl で示す。この電圧は一定でもよいが、広い酸素濃度領域で作動させる場合には、酸素濃度に応じて電圧を変化させることも可能である。ここで、上記第一の中空部31側の上記電極22は、NOxに対して不活性としてあるので、上記第一の中空部31内でNOxの還元による酸素は生成しない。従って、第一の酸素ポンプセルAには、NOx濃度によらない、被測定ガス中の酸素濃度に比例した電流Il が流れる。なお、正確には、電流Il は、上記電極22上でH2 等の未燃ガスと酸素が反応した後に残る酸素濃度に応じたものとなる。
【0033】
次に、上記第二の酸素ポンプセルBに、上記第一の酸素ポンプセルAに流れる酸素電流Il と同じか所定の値だけ小さい電流を流す。上記ピンホール23とピンホール73は、同一の拡散抵抗に設定してあるので、上記第二の酸素ポンプセルBに流す電流を電流Il と同じにすれば、上記第二の中空部61内の酸素濃度は実質的に0となる。あるいは電流Il より所定の値だけ小さく設定すれば、上記第二の中空部61内に一定量の酸素を残すことができる。いずれの場合も第二の中空部61内の酸素量は、外部の排気ガス中の酸素濃度とは無関係に一定となる。
【0034】
上記NOx検知セルCでは、上記第二の中空部61に面した電極51がNOxに対して還元活性であるので、排気ガス側の電極52が+極となるようにして、一対の電極51、52間の電圧を所定値に制御する。すると、上記電極51上でNOxが分解し、NOx分子内の酸素原子による酸素イオン電流が一対の電極51、52間を流れる。上記第二の酸素ポンプセルBにより、第二の中空部61内の酸素濃度は一定の低濃度に制御されているので、上記NOx検知セルCを流れる酸素イオン電流値を測定することにより、排気ガス中に含まれるNOxの濃度を検出することができる。
【0035】
ここで、ピンホール23とピンホール73の拡散抵抗の大きさに差があると、第一の酸素ポンプセルAと第二の酸素ポンプセルBとで酸素の限界電流の値に差が生じ、第二の中空部61内の酸素量を所定の値に制御することができず誤差要因となる。この場合には、ピンホール23とピンホール73の拡散抵抗の大きさの差を予め求めておき、第二の酸素ポンプセルBに流す電流を補正することで、より精度が向上する。
【0036】
以上のように、本発明によれば、排気ガス中の酸素濃度変化等の影響をうけることなく、NOx濃度を精度よく測定することができる。本発明のガスセンサによるNOxの感度は図5に示すようになり、NOx濃度に比例したセンサ出力が得られる。また、本発明のガスセンサは、測定に際し、基準酸素濃度ガスとしての大気を導入する必要がないので、センサ内に大気を導入するための通路を設ける必要がなく、構造を簡単にすることができる。
【0037】
上記実施の形態では、本発明をNOx濃度を測定するガスセンサに適用した例について説明したが、本発明の用途は必ずしもこれに限るものではなく、還元分解して酸素を放出するガスであれば、いずれにも適用することができ、同様の効果が得られる。
【0038】
上記実施の形態において、第一の中空部31および第二の中空部61へ被測定ガスを導入するための手段は、拡散性(酸素濃度差に速度が依存)であればよく、ピンホール23、73に代えて多孔質層を用いてもよい。また、各電極の形成方法としては、スクリーン印刷以外にも、メッキ、蒸着等の通常の薄膜形成技術を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態を示すガスセンサの要部断面図である。
【図2】図2は第1の実施の形態のガスセンサの展開図である。
【図3】図3は第1の実施の形態のガスセンサを含むガス検出装置の全体断面図である。
【図4】図4は本発明の作動原理を説明するためのV−I特性図である。
【図5】図5は第1の実施の形態のガスセンサの出力特性図である。
【図6】図6は従来のガスセンサの要部断面図である。
【符号の説明】
A 第一の酸素ポンプセル(第一の酸素ポンプ部)
B 第二の酸素ポンプセル(第二の酸素ポンプ部)
C NOx検知セル(ガス検知部)
1 ガスセンサ
2 固体電解質
21、22 一対の電極
23 ピンホール(拡散抵抗手段)
24 多孔質保護層
3 スペーサ
31 第一の中空部
4 スペーサ
41 空間
5 固体電解質
51、52 一対の電極
53 多孔質保護層
6 スペーサ
61 第二の中空部
7 固体電解質
71、72 一対の電極
73 ピンホール(拡散抵抗手段)
74 多孔質保護層
8 ヒータ
Claims (5)
- 被測定ガス中の特定ガス成分を還元分解し、その際に発生する酸素量から特定ガス成分濃度を検出するガスセンサであって、
被測定ガスが第一の拡散抵抗手段を介して導入される第一の中空部と、
第一の酸素イオン導電性の固体電解質の相対向する表面に一対の電極を設けて、その一方の電極が上記第一の中空部に、他方の電極が外部の被測定ガス存在空間に露出するように配し、この一対の電極に所定の電圧を印加したときに両電極間を流れる被測定ガス中の酸素濃度を測定する第一の酸素ポンプ部と、
被測定ガスが第二の拡散抵抗手段を介して導入される第二の中空部と、
第二の酸素イオン導電性の固体電解質の相対向する表面に一対の電極を設けて、その一方の電極が上記第二の中空部に、他方の電極が外部の被測定ガス存在空間に露出するように配し、この一対の電極間に、上記第一の酸素ポンプ部に流れる電流値から求められる所定の電流を流して、上記第二の中空内部の酸素濃度を所定値に制御する第二の酸素ポンプ部と、
第三の酸素イオン導電性の固体電解質の相対向する表面に一対の電極を設けて、その一方の電極が上記第二の中空部に、他方の電極が外部の被測定ガス存在空間に露出するように配するとともに、上記第二の中空部に露出する上記一方の電極を上記特定ガス成分に対して還元活性な電極で構成し、上記一対の電極間に所定の電圧を印加したときに、上記特定ガスの成分の還元により生成する酸素に基づいて両電極間を流れる電流値から被測定ガス中の特定ガス成分濃度を測定するガス検知部とを備え、
上記ガス検知部は、上記第一の酸素ポンプ部と上記第二の酸素ポンプ部との間に、絶縁部材ないし空間部を介して、狭持されることを特徴とするガスセンサ。 - 上記第一の酸素ポンプ部の一対の電極に、上記第一の中空部から酸素を排出するように所定の電圧を印加し、この時に流れる電流と同じか所定の値だけ小さい電流を、上記第二の中空部から酸素を排出するように上記第二の酸素ポンプ部の一対の電極に流して、上記第二の中空部の酸素濃度を所定の濃度に制御する請求項1記載のガスセンサ。
- 上記第一の中空部に露出する上記第一の酸素ポンプ部の一方の電極、および上記第二の中空部に露出する上記第二の酸素ポンプ部の一方の電極を、上記特定ガス成分に対して不活性な電極で構成した請求項2記載のガスセンサ。
- 上記特定ガス成分が窒素酸化物であり、上記第二の中空部に露出する上記ガス検知部の一方の電極を、窒素酸化物に対して還元活性な電極で構成して、窒素酸化物の還元によって生成する酸素に基づいて上記一対の電極間を流れる酸素イオン電流から窒素酸化物濃度を検出する請求項3記載のガスセンサ。
- 上記第一の中空部の上記第一の拡散抵抗手段と、上記第二の中空部の上記第二の拡散抵抗手段とで、拡散抵抗の大きさが同等となるようにした請求項1ないし4のいずれか記載のガスセンサ。
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