JP3836227B2 - ガス検出方法およびガス検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は被測定ガス中の特定の成分ガスを検出するガス検出方法およびガス検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両等の内燃機関では、排気エミッションを改善するため、例えば混合気の空気燃料比が理論空気燃料比になるように燃料の噴射量等をフィードバック制御した後、内燃機関から排出される排気ガス中の排気エミッションを三元触媒コンバータにより除去するようにした排気エミッション制御技術が採用されている。近年、排気エミッションの規制が強化され、米国では既に自己診断規制(略称OBD−II)が開始し、三元触媒コンバータ等の排気エミッション抑制関連部品の故障を検知してドライバーに認識させることが義務付けられ、ドライバーも故障した排気エミッション抑制関連部品の修理が義務付けられるようになった。
【0003】
三元触媒コンバータの劣化診断技術としては、排気管の三元触媒コンバータの上流および下流にそれぞれ酸素濃度センサを設けたいわゆる2O2 センサシステムが知られている。しかしながら排気ガス規制の強化が上記OBD−IIのLEV(Low Emission Vehcle )からULEV(Ultra Low Emission Vehcle )へと進むと、2つの酸素濃度センサの信号差から間接的に浄化率を検知する2O2 センサシステムでは検出精度が不十分である。そこで窒素酸化物(NOx )等の排気エミッションを直接検出するガス検出技術の必要性が高まっている。
【0004】
上記排気エミッション等、検出対象である成分ガスを直接検出するガス検出技術としては、特表平7−501145号公報に記載のガス混合物中の少量のNOx を測定する方法がある。この方法では、被測定ガスがNOx を含む場合と含まない場合とで電気抵抗が異なる半導体センサを使用し電気抵抗の差に基づいてNOx の濃度を測定するようにしている。しかし十分検出感度の高い半導体センサを調製するのは容易ではなく実用的ではない。
【0005】
実用的なガス検出技術としては、酸素イオン導電性の固体電解質材の両面に被測定ガスに曝露する電極と基準の酸素濃度の基準ガスに曝露する電極とよりなる一対の電極を形成し電極間に発生する起電力等の変化を利用する固体電解質式ガス検出技術が種々、提案され、広く実用化されている。特開平8−271476号公報には、図17に示すNOx 検出原理が開示されている。NOx センサSは、被測定ガスが第1拡散律速通路S1を通り第1内部空所S2に導入される。第1内部空所S2を、被測定ガスのNOx 濃度に影響を与えず、かつNOx 濃度が変化しない酸素濃度に第1ポンプセルS3で調整する。さらに調整された第1内部空所S2内の雰囲気を第2拡散律速通路S4を通して第2内部空所S5に導き、第2ポンプセルS6でNOx を分解し、第2ポンプセルS6の電流値からNOx 濃度を得ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記特開平8−271476号公報記載の技術は、第1拡散律速通路S1から導入された被測定ガスはその流通が制限される第2拡散律速通路S4を通って第1内部空所S2から第2内部空所S5へと流入しなければならないから、検出感度が小さく、検出応答性も十分ではない。単純に第2律速通路S4を取り除けば、酸素を排出する2つのポンプセルS3とS6とが干渉し、検出誤差が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、高い検出感度と、高い応答性とが得られる実用的なガス検出方法およびガス検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、特定ガスとしてのNO x と反応する一定量の可燃性ガスが存在する室に、未知量のNO x が含まれる被測定ガスを所定の拡散抵抗の下に導入し、室内から酸素を汲みだす。室において上記可燃性ガスを、NO x と反応せしめるとともに、供給した酸素により燃焼せしめる。酸素の消費量に基づいて燃焼した可燃性ガスの量が知られる。上記一定量から燃焼した可燃性ガスの量を減じNO x の成分量を求める。
【0009】
かかる方法によれば室において一方では酸素が汲みだされ、他方では酸素が供給され、供給された酸素は可燃性ガスにより消費されるので、単一の室であっても両作用が干渉し合うことが防止される。しかして高い検出感度や検出応答性が得られる。
【0010】
請求項2記載の発明では、上記被測定ガス中の水を電気分解して可燃性ガスである水素を発生せしめるとともにその発生量を制御して可燃性ガスの量を一定量に保つ。
【0011】
かかる方法によれば被測定ガス中の可燃性ガスの量が大きく変動しても室内の可燃性ガスの量は一定量に保たれ、高い検出精度を得ることができる。
【0012】
請求項3記載の発明では、水を含む被測定ガスが拡散抵抗を有する被測定ガス導入路を介して導入される室と、基準の酸素濃度の基準ガスが導入されるダクトと、室内の可燃性ガスの量を調整する水素発生部と、室内に面した電極表面をいわゆるストイキ状態に維持するNO x 検知セルとを備えている。水素発生部は、室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に一対の電極を形成した電気化学セルでなり、電極間に電源から所定の電圧を印加して室内の酸素を室外へ移動せしめる分解セルを有する。分解セルの室内に面した電極は、測定しようとするNO x に対して不活性に調製する。分解セルの印加電圧を、室内に面した電極の表面において被測定ガス中の水を電気分解して水素を発生可能な電圧に設定し、発生する水素により室内の可燃性ガスの量を調整する。NO x 検知セルは、室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に、一対の電極を一方の電極が室内に面し他方の電極が上記ダクト内に面して形成した電気化学セルでなり、電極間に通電して室外から室内へ可燃性ガス量に応じた酸素を供給し室内に面した電極表面をいわゆるストイキ状態に維持し、電極間に供給酸素量に応じた電流を流す。NO x 検知セルの室内に面した電極は、NO x および可燃性ガスに対して活性に調製し、上記電極表面において上記水素を含む可燃性ガスを、NO x と反応せしめNO x の量だけ可燃性ガスの量を減らし、残りの可燃性ガスを上記供給された酸素と燃焼せしめる。酸素の供給量に応じて流れるNO x 検知セルの電流を電流検出手段が検出する。
【0013】
上記構成において、NO x 検知セルは室内へストイキすなわち理論空気燃料比となる酸素を供給するから、酸素の供給量は、可燃性ガスを減らすNO x の量に応じて変化する。酸素の供給量は電流検出手段により検出される電流から求められ、NO x の量が検出できる。
【0014】
かかる構成では水素発生部の分解セルが室内の酸素を汲みだす一方、NO x 検知セルが、室内に存在する可燃性ガスの量だけ酸素を室内に供給する。供給された酸素は可燃性ガスにより過不足なく消費される。しかして水素発生部の酸素汲みだし作用と、NO x 検知セルの酸素供給作用が干渉しない。室は一つであるから良好な検出感度や検出応答性が得られる。
【0015】
請求項4記載の発明では、上記水素発生部は、上記室とは別に設けられ、被測定ガスが拡散抵抗を有する被測定ガス導入路を介して導入される副室と、酸素を室内から室外へ移動せしめる酸素ポンプセルとを具備する構成とする。酸素ポンプセルは、副室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に一対の電極を形成し、電極間に所定の電圧を印加して酸素を室内から室外へ移動せしめる電気化学セルでなり、印加電圧を、電極間に上記被測定ガス導入路の拡散抵抗で律速される限界電流が流れる電圧に設定する。上記分解セルの印加電圧は、分解セルの電極間に酸素ポンプセルの電極間を流れる限界電流に対応した分解セルの限界電流よりも予め設定した所定値大きい電流が流れるように調整可能とする。
【0016】
分解セルは、水の電気分解が生じている状態では室側の被測定ガス導入路より流入する酸素と等量の酸素と電気分解により生じた酸素とを室外へ汲みだしている。被測定ガス導入路より流入する酸素と等量の酸素は酸素ポンプセルの限界電流より知られる。しかして被測定ガスの酸素濃度が変動し被測定ガス導入路より流入する酸素の量が変化しても水の電気分解により発生する水素の量が影響を受けない。
【0017】
請求項5記載の発明では、上記水素発生部は、上記室と上記被測定ガス導入路間に形成され、これらと連通する前室と、前室内から室外へ移動せしめる酸素ポンプセルとを具備する構成とする。酸素ポンプセルは、前室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に一対の電極を形成し、電極間に電圧を印加して酸素を前室内から室外へ移動せしめる電気化学セルでなり、印加電圧を、電極間に上記被測定ガス導入路の拡散抵抗で律速される限界電流が流れる電圧に設定する。上記酸素ポンプセルの印加電圧は、分解セルの電極間に流れる電流が一定となるように調整可能とする。
【0018】
かかる構成では被測定ガス導入路から流入する酸素と等量の酸素は酸素ポンプセルにより汲みだされている。したがって分解セルの電極間に流れる電流を一定にすることで、被測定ガスの酸素濃度が変動しても水の電気分解により発生する水素の量が影響を受けない。
【0019】
請求項6記載の発明では、上記水素発生部は、上記室とは別に設けられ被測定ガスが拡散抵抗を有する被測定ガス導入路を介して導入される副室と、副室の酸素濃度を検知する酸素検知セルと、副室の外と内とで酸素を移動せしめる酸素ポンプセルとを有する構成とする。酸素検知セルは、副室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に、一対の電極を一方の電極が室内に面し他方の電極が上記ダクト内に面して形成した電気化学セルでなり、副室の酸素濃度を電極間に発生する起電力から検出する。酸素ポンプセルは、副室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に一対の電極を形成し、電極間に電圧を印加して副室の外と内とで酸素を移動せしめる電気化学セルでなり、印加電圧は、酸素検知セルにより検出される起電力が一定となるように調整可能とする。上記分解セルの印加電圧は、酸素ポンプセルの電極間を流れる限界電流に対応した分解セルの限界電流よりも予め設定した所定値大きい電流が流れるように調整可能とする。
【0020】
酸素検知セルの検出信号により酸素ポンプセルの印加電圧が調整され、副室内の酸素濃度を一定に保つから、被測定ガスがリッチ状態でも酸素ポンプセルの限界電流が知られる。しかして請求項4記載の発明のごとく被測定ガスの空気燃料比によらず被測定ガスの酸素濃度が変動しても水の電気分解により発生する水素の量が影響を受けない。
【0021】
請求項7記載の発明では、上記酸素ポンプセルの室内に面した電極を被測定ガスに含まれる可燃性ガスに対して活性に調製することで、被測定ガスに含まれる可燃性ガスの量に応じて限界電流が小さくなるから、被測定ガスに元々含まれていた可燃性ガスと水の電気分解により発生した可燃性ガス(水素)との総量が、被測定ガスに含まれる可燃性ガスの量が変動しても一定量となり、NO x の検出精度が向上する。
【0022】
請求項8記載の発明では、上記水素発生部は室内の可燃性ガスの量を検出する可燃性ガス検知セルを有する構成とする。可燃性ガス検知セルは、上記室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に、一対の電極を一方の電極が室内に面し他方の電極が上記ダクト内に面して形成した電気化学セルでなり上記室に面した電極を可燃性ガスに活性な電極で構成する。上記分解セルの印加電圧は、可燃性ガス検知セルにより検出された起電力が予め設定した所定値となるように調整可能とする。
【0023】
上記室に面した可燃性ガスに活性な電極では可燃性ガスが酸素を消費して室内の可燃性ガスの量に応じて酸素濃度が減少し、可燃性ガス検知セルの電極間に発生する起電力が低下する。しかして可燃性ガス検知セルの起電力を一定に保つように分解セルの印加電圧を調整し水素の発生量を制御することで、室内の可燃性ガスの量が一定量に保たれる。
【0024】
請求項9記載の発明では、上記水素発生部は、分解セルの分極を検出する分極検出セルを有する構成とする。分極検出セルは、上記分解セルを構成する固体電解質材シートの一面に形成され基準酸素濃度の基準ガスが曝露する基準の電極と上記室内に面した電極と上記分解セルの固体電解質材シートとで構成し、基準電極と分解セルの室内に面した電極間の電圧から上記電極の分極を検出する構成とする。上記分解セルの印加電圧は、分極検出セルにより検出された上記電圧が予め設定した所定値となるように調整可能とする。
【0025】
上記分解セルの電極にはオーム損による電圧降下が生じる。このため室内の酸素が汲みだされた後も、水の電気分解の量に応じた電流増加で分極検出セルにより検出される電圧が増加し、これより水素の発生量を制御することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に本発明のガス検出装置を示す。ガスセンサ1は筒状ハウジングH内に絶縁材に外周を保持せしめて収容されている。ガスセンサ1は細長い平板状で、その先端部(図の下端部)は、ハウジングHより突出して図の下方に延び、ハウジングHの下端に固定される容器状の排気カバーH1内に収容されている。排気カバーH1は、ステンレススティール製の内部カバーH11と外部カバーH12の二重構造となっており、これらカバーH11,H12の側壁には、被測定ガスである排気ガスを排気カバーH1内に取り込むための排気口H13,H14がそれぞれ形成してある。
【0027】
ハウジングHの上端には、筒状のメインカバーH21とその後端部を被うサブカバーH22とからなる大気カバーH2が固定されている。これらメインカバーH21およびサブカバーH22は、その側壁の対向位置の大気口H23,H24をそれぞれ有して、これら大気口H23,H24より基準ガスである大気を大気カバーH2内に取り込むようになしてある。また、メインカバーH21とサブカバーH22の間には、大気口H23,H24の形成位置に防水のために撥水性のフィルタH25が設置してある。
【0028】
大気カバーH2は上端が開口しており、ガスセンサ1の後端部に接続するリード線H3がこの上端開口より外部に延びている。
【0029】
図2にガスセンサ1の断面を示し、図3にガスセンサ1を分解したものを示す。
【0030】
ガスセンサ1は、排気カバーH1(図1)内に流入した排気ガスが導入される室102、副室104、大気口H23,H24から取り入れられた大気が流入するダクト105、分解セルたるH2 O分解セル2、NOx 検知セル3、酸素ポンプセル4、これらを加熱するヒータ5を有し、これらの構成要素が積層構造を有している。この積層構造は、部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シート(以下、固体電解質材と略称する)11,13,18、アルミナ等製のスペーサ12,14,17、ヒータ絶縁シート15、ヒータシート16等のシート状の部材からなる。
【0031】
固体電解質材11と固体電解質材13とではさまれたスペーサ12には長方形の抜き穴121が形成してあり、室102がスペーサ12、固体電解質材11,13を室壁として形成される。固体電解質材11および後述する電極21,22には、これらを貫通して室のほぼ中央位置に所定の径の被測定ガス導入路たるピンホール101が形成してあり、排気ガスが室102に導入されるようになっている。ピンホール101におけるガスの流通はその拡散抵抗により制限される。
【0032】
固体電解質材13とヒータ絶縁シート15を隔てるスペーサ14には抜き穴141が形成してある。抜き穴141は、四角形の抜き穴141aとこれよりセンサ1長手方向に基端まで延びるスリット状の抜き穴141bとからなる。抜き穴141aはスペーサ12の抜き穴121と同じ形状で、かつ同位置に形成される。ダクト105が抜き穴141により固体電解質材13、ヒータ絶縁シート15等をダクト壁として形成され、ダクト105は、これに大気口H23,H24(図1)より取り入れられた大気が流入することにより常時、基準酸素濃度の雰囲気となっている。
【0033】
またこれらシート部材の、ヒータ5の下部に設けられるスペーサ17、固体電解質材18は、上記スペーサ12、固体電解質材11と同じもので、固体電解質材18とヒータシート16を隔てるスペーサ17には、スペーサ12の抜き穴121と同じ形状で、かつ同位置に抜き穴171が形成してある。抜き穴171により副室104がスペーサ17、固体電解質材18、ヒータシート16を室壁として形成される。固体電解質材18および後述する電極41,42には、これらを貫通して室104のほぼ中央位置に所定の径の被測定ガス導入路たる第2のピンホール103が形成してあり、排気ガスが室104に導入されるようになっている。第2のピンホール103は径が第1のピンホール101と同じもので、拡散抵抗が第1のピンホール101と同じである。
【0034】
固体電解質材11の両面には室102位置に一対の上記電極21,22が形成してある。H2 O分解セル2は固体電解質材11と、電極21,22とで、ガスセンサ1外部と室102内間で酸素を移動せしめる電気化学セルを構成する。電極21,22はスペーサ12の抜き穴121のほぼ同じ大きさの平板である。室102内に面した電極22は、白金(Pt )に金(Au )を1〜5%添加した多孔質電極が好適に用いられ、NOx に対しては不活性で、O2 には活性としてある。添加の方法としては、Pt 粉とAu 粉とを混合したり、Pt とAu とを合金化するといった手法が用いられ得る。またPt の粒径を大きくして表面積を下げた電極を用いることもできる。室102外に面した電極21は通常のPt 多孔質電極が用いられる。
【0035】
2 O分解セル2の電極21,22には電源91が接続され、電極21,22間に、外部側の電極21が正となるように電圧が印加されるようになっている。電源91は電圧可変で、印加電圧はH2 O分解セル2とともに水素発生部1aを構成する、後述する酸素ポンプセル4の電流を検出する電流センサ95からの電流信号に基づいて調整される。
【0036】
固体電解質材13の両面には室102位置に一対の電極31,32が形成してある。NOx 検知セル3は固体電解質材13と、電極31,32とで基準酸素濃度ガス雰囲気となっているダクト105と室102間で酸素を移動せしめる電気化学セルを構成する。電極31,32はスペーサ12,14の抜き穴121,141とほぼ同じ大きさの平板である。室102内に面した電極31には通常のPt 多孔質電極が用いられ、NOx に対して活性としてある。ダクト105に面した電極32は例えば電極31と同じPt 多孔質電極が用いられる。
【0037】
NOx 検知セル3の電極31,32には電源92が接続され、電極31,32間に、ダクト105側の電極32が正となるように一定の電圧が印加されるようになっている。またNOx 検知セル3と電源92間の通電線の途中には電流センサ93が設けられて電極31,32間に流れる電流を検出するようになっている。
【0038】
固体電解質材18の両面には第2の室104位置に一対の電極41,42が形成してあり、H2 O分解セル2と実質的に同じ構成の電気化学セルである酸素ポンプセル4が構成される。室104内に面した電極42は、H2 O分解セル2の電極22と同じもので、NOx に対しては不活性で、O2 、可燃性ガス(H2 、HC、CO等)には活性としてある。
【0039】
酸素ポンプセル4の電極41,42には電源94が接続され、電極41,42間に、外部側の電極41が正となるように一定の電圧が印加されるようになっており、いわゆる限界電流式の酸素濃度センサとして働く。また酸素ポンプセル4と電源94間を結ぶ通電線の途中には電流センサ95が設けてあり、電極41,42間を流れる電流を検出するようになっている。
【0040】
ヒータ5は、ヒータシート16の上面にヒータ線51が形成されたものである。ヒータ線51には通常のPt ヒータ線が用いられる。
【0041】
電極21,22,31,32よりリード21a,22a,31a,32aがガスセンサ1基部に向けて延び、ガスセンサ1の上面すなわち固体電解質材11の上面に形成した端子部1Aの各端子と直接またはスルーホール112,122,132を介して接続されている。電極41,42、ヒータ線51よりリード41a,42a,51aがガスセンサ1基部に向けて延び、ガスセンサ1の下面すなわち固体電解質材18の下面に形成した端子部1Bの各端子と直接またはスルーホール162,172,182を介して接続されている。上記リード21a,22a等には、これらと固体電解質材11等とで形成される寄生セルが形成されないように固体電解質材11等と上記リード21a,22a等の間にアルミナ等の絶縁層を形成しておくのがよい。
【0042】
またH2 O分解セル2、酸素ポンプセル4の外部側の電極21,41を被覆するアルミナ等からなる多孔質保護層191,192が形成してあり、電極21,41の被毒やピンホール101,103が排気ガスに含まれるスス等で目詰まりすることを防止している。
【0043】
なおアルミナ製のスペーサ12,14,17、ヒータ絶縁シート15、ヒータシート16は、固体電解質材シートとともにドクターブレード法等で作られる。勿論製法はこれに限定されるものではなく押し出し成型法、射出成型法等が用いられ得る。またスペーサ12,14,17、ヒータ絶縁シート15はスクリーン印刷で形成してもよい。固体電解質材11,13,18の厚さは、50〜300μmの範囲とするのがよい。ただし電気抵抗とシート強度との兼ね合いを考慮すると、100〜300μm の範囲とするのが望ましい。固体電解質材11,13,18には、固体電解質材式のガスセンサにおいて広く用いられるY23 −Zr O2 系の部分安定化ジルコニアが好適であるまた電極21,22等、ヒータ線51はスクリーン印刷により形成される。
【0044】
なお排気ガスを両室102,104へピンホール101,103により導入するのではなく、多孔質体により導入してもよい。あるいはスペーサ12,17に、室102、室104を形成する抜き穴121,171から先端にかけてスリット状の細い切り欠き部を形成しこれにより導入してもよい。
【0045】
上記ガス検出装置の作動を説明する。排気ガスが排気カバーH1内に流入しガスセンサ1のピンホール101,103を通って両室102,104に導入される。
【0046】
2 O分解セル2および酸素ポンプセル4には各電源91,94から外部側の電極21,41を正として電圧が印加され、電極21,22および41,42間に酸素イオンをキャリアとする電流が流れ、室102、室104内の酸素が汲みだされる。図4はH2 O分解セル2および酸素ポンプセル4における、印加電圧と電流の特性を示している。両セル2,4は、ピンホール101,103の拡散抵抗が同じである等、同一の構成を有するので実質的に同一の特性を示す。
【0047】
図4において、印加電圧がある程度上昇すると室102、室104内への酸素の流入がピンホール101,103の拡散抵抗で律速され、電流値が電圧値に殆ど依存せず平坦になる限界電流となる(酸素限界電流域)。
【0048】
酸素ポンプセル4の電源94は印加電圧が酸素限界電流域となるように設定し、酸素ポンプセル4をいわゆる限界電流式の酸素センサとして作動せしめる。しかして酸素ポンプセル4の電流I1 は排気ガス中の酸素濃度に依存した値となるが、室104内に面した電極42表面において、排気ガスに含まれる可燃性ガス(H2 、HC、CO等)が燃焼することで酸素が消費され、電流I1 は、室104内に導入される排気ガスに含まれる可燃性ガスが燃焼した後に残った酸素量に応じた値となる。
【0049】
なお酸素ポンプセル4の印加電圧は排気ガスの最大酸素濃度において限界電流が観察し得る電圧に設定するが、排気ガスの酸素濃度の変動幅が大きいときには、電源94は、排気ガスの酸素濃度に応じて、すなわち電流センサ95の検出電流に応じて印加電圧が可変な構成とすることもできる。
【0050】
図4において、さらに印加電圧を上げると排気ガス中の水(H2 O)が電極上で電気分解して可燃性ガスである水素(H2 )と、酸素(O2 )とを発生する。この電気分解に係るO2 は固体電解質材11を通って室102外へ汲みだされ、印加電圧に応じて電流が増加する(水分解域)。
【0051】
2 O分解セル2の電源91の印加電圧V2 はH2 O分解セル2を水分解域で作動せしめる電圧で、H2 O分解セル2の電極21,22間に酸素ポンプセル4の電流I1 よりも所定電流I2 大きい電流(I1 +I2 )が流れるように調整する。すなわちピンホール101から導入される排気ガスの酸素濃度や可燃性ガス濃度が大きく変動しても、H2 O分解セル2には常に酸素ポンプセル4よりも所定電流I2 大きい電流が流れる。
【0052】
さてH2 O分解セル2は、電気分解に係るO2 の他に、ピンホール103から室104に流入するO2 と等量のO2 を汲みだしている。一方、酸素ポンプセル4の電流I1 は、上記のごとく室104内に導入される酸素から排気ガスに含まれる可燃性ガスの燃焼に供された酸素量を減じた値をとるから、結局、室102内に発生または残存する可燃性ガスの量は、H2 O分解セル2と酸素ポンプセル4の電流差であるI2 に比例し、ピンホール101から導入される排気ガスに含まれる可燃性ガスの量に依存せず一定量となる。
【0053】
なお所定電流I2 は測定しようとするNOX 測定範囲にもよるが、NOX 測定範囲を大きくとるには固体電解質材11を還元しない範囲で大きな値に設定するのが望ましい。
【0054】
一方、NOX 検知セル3の室102内側の電極31表面では、これがNOX に対して活性に調製してあるから、室102内に流入する排気ガスに含まれるNOX が電気分解により発生したH2 と次式(1)のように反応し安定な窒素(N2 )とH2 Oになる。
2xH2 +2NOx →N2 +2xH2 O……(1)
【0055】
この結果、電極31表面においてH2 はNOx 成分量に応じた分、減少する。NOx と反応しなかった残りのH2 は、電流センサ93により検出されるNOx 検知セル3の電流から求める。以下にこのNOx 検知セル3の作動について説明する。
【0056】
電源92からは、NOx 検知セル3の電極31,32間にダクト105に面した電極32側が正となるように電圧を印加する。図5はNOx 検知セル3の印加電圧と電極31,32間に流れる電流の特性を示すもので、実線が排気ガスがNOx を含まない場合で、破線が排気ガスがNOx を含む場合である。
【0057】
NOx 検知セル3の電極31,32間には、室102内とダクト105間の酸度濃度差により、ダクト105に面した電極32側が正となるように500〜950mVの起電力が発生する。電源92の印加電圧と酸度濃度差による起電力とが釣り合うところでは電流値は0であり、この近傍の電圧値では電極31表面は酸素が少なくリッチ状態である。酸素がダクト105側より室102内へ汲み入れられて電流は印加電圧に対して逆方向に流れる負の電流となる。印加電圧がさらに低く例えば400〜500mVになると負の電流が増大し、電極31表面はストイキ状態となり、電流は印加電圧に対して平坦になる(水素限界電流域)。さらに低い印加電圧では、ダクト105側より室102内へと移動する酸素の量がさらに増加し電極31表面がリーン状態になって再び負の電流値が増大する。
【0058】
電源92の印加電圧は、水素限界電流域となる電圧V3 とする。しかしてNOx がない場合には、室102内に満たされる可燃性ガスとダクト105側より室102へと移動する酸素の量とが釣り合い、可燃性ガスと酸素とが電極31表面において過不足なく反応し、このときの電流I3 は、室102内に存在する一定量の可燃性ガスに比例したものとなる。そして排気ガスがNOx を含み可燃性ガスがNOx との上記反応により減少すると、減少したH2 の量だけNOx 検知セル3においてダクト105側から室102内へ汲み入れられる酸素の量が減少し電流はI3 +IN となる(破線)。このIN がNOx 成分量の検出出力となる。
【0059】
このように本発明のガス検出装置では排気ガス中のNOx 成分量を検出することができる。しかも室102内はH2 O分解セル2によりO2 が汲みだされ、室102内にNOx 検知セル3により供給されるO2 は、室102内に存在する可燃性ガスの量に相当する量だけであり、可燃性ガスと過不足なく反応して消失するから、室102内をH2 O分解セル2側とNOx 検知セル3側とに分離しなくともH2 O分解セル2の作動とNOx 検知セル3の作動とが干渉しない。しかして精度よく排気ガス中のNOx の成分量を検出することができ、しかも室102内を分離しないから検出感度や検出応答性が高いものとなる。
【0060】
図6にガス検出装置の検出出力の一例を示す。実線が本発明のもので、破線が図17のタイプの従来のガス検出装置のものである(従来例)。本発明では室内をH2 O分解セル側とNOx 検知セル側とに分離する必要がないので、従来例に比して10倍近い検出感度が得られた。
【0061】
なおNOx 検知セル3に流れる電流の大きさの最大は|I3 |であるから、NOx 検知セル3の、ダクト105の拡散抵抗で律速される限界電流が|I3 |以上となるようにダクト105は、拡散抵抗を十分大きなものとするのが望ましい。
【0062】
またピンホール101,103の径等を同じにすることで、H2 O分解セル2と酸素ポンプセル4とは電圧−電流特性を同じにしているが、両セル2,4を異なる特性にした場合には電流センサ95による検出電流を換算して電流I1 を得る必要がある
【0063】
(第2実施形態)
図7、図8に第2の実施形態を示す。水素発生部1aを図2、図3のものに代えて別の構成としたものである。図中、図2、図3と同一番号を付したものは実質的に同じ作動をするので第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0064】
本実施形態の構成はシート状部材が、第1実施形態の、ヒータシート16より下側部分のない積層数の少ない構成である。
【0065】
第1のスペーサ12には、2つの同一形状の四角形の抜き穴123,124が形成してあり、抜き穴123,124を隔てる肉部には、両抜き穴123,124をつなぐ切り欠き125が形成されている。抜き穴123,124によりスペーサ12、固体電解質材11、13を室壁として、2つの互いに連通する前室106、室107が形成される。酸素ポンプセル4は電極42が前室106に面して形成され、H2 O分解セル2は電極22が室107に面して形成してある。
【0066】
ピンホール101から導入された排気ガスは前室106を通って室107に流入するようになっている。
【0067】
第2のスペーサ14の四角形の抜き穴141aはH2 O分解セル2の室107位置に形成され、NOx 検知セル3の電極31,32が固体電解質材13の両面に形成される。
【0068】
2 O分解セル2の電源91Aは、電極21,22間に、外部側の電極21が正となるように予め設定した一定の電圧が印加されるようになっている。印加電圧はH2 O分解セル2を水分解域で作動せしめる電圧で500〜950mVが望ましい。H2 O分解セル2と電源91Aとを接続する通電線の途中には電流センサ96が設けてあり、H2 O分解セル2の電流を検出するようになっている。
【0069】
酸素ポンプセル4の電源94Aは、電極41,42間に、外部側の電極41が正となるように電圧が印加されるようになっている。電源94Aは電圧可変で、印加電圧はH2 O分解セル2の電流を検出する電流センサ96からフィードバックされる電流信号に基づいて調整され、H2 O分解セル2に予め設定した所定の電流が流れるようになっている。ここで所定電流は酸素ポンプセル4の電極41,42間に流れる電流がピンホール101で拡散律速された限界電流となるように設定する。
【0070】
しかしてH2 O分解セル2が、水分解域において電流が一定に制御されているから、室107に第1実施形態のごとく一定量の可燃性ガスを発生または残存せしめることができ、NOx 検知セル3は第1実施形態と同様の作動をし、NOx 成分量を測定することができる。またシート部材の積層数を減らすことで製造工程を簡略化できる。
【0071】
(第3実施形態)
図9、図10に第3の実施形態を示す。第1、第2実施形態は排気ガスがリーン側での使用を前提としたものであるが、本実施形態は、図2、図3の第1実施形態の構成をベースにリッチ側での使用も可能な構成としたもので、水素発生部1aは、H2 O分解セル2、酸素ポンプセル4、酸素検知セル6を備えている。図中、図2、図3と同一番号を付したものは実質的に同じ作動をするので第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0072】
本実施形態の構成では、スペーサ12には、室102を形成するための抜き穴121に加えてこれに並んで別の抜き穴126が形成してあり、抜き穴126によりスペーサ12、固体電解質材11,13を室壁として副室104が形成され、固体電解質材11の両面には室104位置に酸素ポンプセル4の電極41,42が形成される。このように酸素ポンプセル4をH2 O分解セル2と同じ固体電解質材11により構成することで、シート部材の積層数を減らすことができる。
【0073】
またダクト105を形成する第2のスペーサ14の抜き穴141は、四角形部分141aが第1のスペーサ12の2つの抜き穴121,126を連結したのと略同じ形状で、同位置に形成してあり、NOx 検知セル3の電極32がダクト105に面して形成される。
【0074】
固体電解質材13の両面には、室104位置にNOx 検知セル3の電極31,32に加えて電極61,62が形成してあり、酸素検知セル6が形成される。電極61,62は、酸素ポンプセル4の電極41,42とほぼ同じ大きさの平板で、室104に面した電極61は、NOx に対しては不活性で、O2 には活性としてある。またダクト105に面した電極62は、通常のPt 電極が用いられる。
【0075】
酸素検知セル6は室104側とダクト105側の酸素濃度差に応じて起電力を発生する酸素濃淡電池を構成し、起電力を電圧センサ97が検出するようになっている。一方、酸素ポンプセル4の電源94Bは、印加電圧が酸素検知セル6の起電力出力に応じて調整され、起電力出力が所定の設定値(例えばストイキ状態を示す450mV)となるように、すなわち室104内の酸素濃度が所定値となるように酸素ポンプセル4の印加電圧がフィードバック制御される。
【0076】
酸素検知セル6と酸素ポンプセル4とは、いわゆる2セルA/Fセンサを構成し、排気ガスがリッチ状態でも酸素ポンプセル4に、ピンホール103に律速された限界電流I1 が流れるようになっている。
【0077】
しかして排気ガスがリッチ状態であってもH2 O分解セル2のH2 発生量が調整され室102内に一定量の可燃性ガスを発生または残存せしめることができる。
【0078】
(第4実施形態)
排気ガス中の酸素濃度の変動が小さい場合には、第1実施形態の図2、図3の構成において、ヒータシートよりも下側の部分を省略し水素発生部1aを酸素ポンプセル4のない構成とすることができ、これを図11、図12に示す。H2 O分解セル2の電源91Bは、印加電圧を一定としてH2 O分解セル2を水分解域で作動せしめ、一定量の可燃性ガスを室102内に発生または残存せしめることができる。
【0079】
なおH2 O分解セル2の電流を検出する電流センサを設け、電源91Bが上記電流センサからフィードバックされる電流信号に基づいて印加電圧を調整する構成でもよい。例えばH2 O分解セル2の電流に応じて電圧が直線的に単調変化するように制御することで、排気ガス中の酸素濃度の変動による測定誤差を良好に解消することができる。
【0080】
(第5実施形態)
図13、図14に第5の実施形態を示す。水素発生部1aを別の構成としたもので、水素発生部1aは、H2 O分解セル2、H2 検知セル7を備えている。図中、上記各図と同じ番号を付した部分は実質的に同じ作動をするので第1〜第4実施形態との相違点を中心に説明する。
【0081】
本実施形態は、第4実施形態の図11、図12に示した構成をベースにしたもので、固体電解質材13の両面には、室102位置にNOx 検知セル3の電極31,32とは別の電極71,72が形成してある。電極71,72は、室102に面した電極71がH2 O分解セル2の室102に面した電極41と同じくNOx に対しては不活性で、O2 には活性としてある。またダクト105側の電極72には、通常のPt 電極が用いられる。固体電解質材13と両電極71,72とでH2 検知セル7が構成される。
【0082】
2 検知セル7の電極71,72には電圧センサ98が設けてあり、電極71,72間に発生する起電力を検出するようになっている。
【0083】
2 O分解セル2の電源91Cは、電圧センサ98により検出されるH2 検知セル7の起電力に応じて印加電圧を調整する。すなわちH2 検知セル7の電極71,72間に発生する起電力が予め設定した所定値になるようにH2 O分解セルの印加電圧をフィードバック制御する。
【0084】
室102内の可燃性ガスが多いとH2 検知セル7の室102に面した電極71表面にてO2 を消費し、酸素濃度が低下する。この結果、H2 検知セル7の起電力が増加し、室102内の可燃性ガスとO2 の比に応じて500〜950mVを出力する。しかして起電力から室内の可燃性ガスの量が知られる。
【0085】
そして印加電圧のフィードバック制御によりH2 O分解セル2の、H2 発生量が調整され、室102内の可燃性ガスの量を一定にすることができる。
【0086】
(第6実施形態)
図15、図16に第6の実施形態を示す。第5実施形態のH2 検知セル7に代えて、別の手段で室102内の可燃性ガス量を検出する構成としたものである。図中、上記各図と同じ番号を付した部分については実質的に同じ作動をするので上記各実施形態との相違点を中心に説明する。
【0087】
スペーサ12には、室102を形成する抜き穴121とは別にこれに並んでもう1つの抜き穴127が形成してある。抜き穴127によりスペーサ12、固体電解質材11,13を壁として中空部108が形成してある。また固体電解質材13には、スペーサ12の抜き穴127形成位置に円形の抜き穴133が形成してあり、中空部108とダクト105とを連通しダクト105から大気が導入されるようになっている。固体電解質材11には中空部108位置にこれと略同じ大きさの基準電極81が形成してあり、基準酸素濃度の大気が曝露するようになっている。基準電極81には通常のPt 電極が用いられる。固体電解質材11と、電極22,81とで分極検出セル8が構成され、電圧センサ99が電極22,81間の電圧から基準電極81を基準電位として電極22の分極を検出するようになっている。
【0088】
分極は室102内の酸素濃度が減少するに応じて大きくなる。室102内のO2 が汲みだされた後、水分解域においては、電極22を流れる電流のオーム損によりさらに大きな分極が生じる。この分極の変化に基づいて室102内の可燃性ガスの量を検出することができる。
【0089】
2 O分解セル2の電源91DはH2 O分解セル2を水分解域で作動せしめる。電源91Dは電圧可変で、分極検出セル8により検出される分極が予め設定した所定値となるように印加電圧をフィードバック制御し、一定量のH2 を発生せしめる。
【0090】
分極を検出することで、H2 の発生量が直接に知られるので排気ガスがリッチ状態でも使用でき、広い空燃比での測定が可能となる。
【0091】
なお上記各実施形態では、内燃機関から排出される排気ガスの測定に適用した例を示したが、排気ガスについてだけではなく他のガスについても適用可能である。また上記各実施形態は、NOx を測定する構成としているが、SOx 等の測定にも適用できる。
【0092】
また酸素導電性の固体電解質材を用いた電気化学セルを用いているが、他の実施態様も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス検出方法を実施する本発明の第1のガス検出装置の全体縦断面図である。
【図2】本発明の第1のガス検出装置の要部であるガスセンサの全体縦断面図である。
【図3】本発明の第1のガス検出装置の要部であるガスセンサの分解図である。
【図4】上記ガスセンサの作動を説明する第1のグラフである。
【図5】上記ガスセンサの作動を説明する第2のグラフである。
【図6】上記ガスセンサの作動を説明する第3のグラフである。
【図7】本発明の第2のガス検出装置の要部であるガスセンサの全体縦断面図である。
【図8】本発明の第2のガス検出装置の要部であるガスセンサの分解図である。
【図9】本発明の第3のガス検出装置の要部であるガスセンサの全体縦断面図である。
【図10】本発明の第3のガス検出装置の要部であるガスセンサの分解図である。
【図11】本発明の第4のガス検出装置の要部であるガスセンサの全体縦断面図である。
【図12】本発明の第4のガス検出装置の要部であるガスセンサの分解図である。
【図13】本発明の第5のガス検出装置の要部であるガスセンサの全体縦断面図である。
【図14】本発明の第5のガス検出装置の要部であるガスセンサの分解図である。
【図15】本発明の第6のガス検出装置の要部であるガスセンサの全体縦断面図である。
【図16】本発明の第6のガス検出装置の要部であるガスセンサの分解図である。
【図17】従来の一のガス検出技術の検出原理を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 ガスセンサ
1a 水素発生部
11,13,18 固体電解質材
101,103 ピンホール(被測定ガス導入路)
102,107 室
104 室
105 ダクト
106 前室
2 H2 O分解セル(分解セル)
21,22 電極
3 NOx 検知セル(特定ガス検知セル)
31,32 電極
4 酸素ポンプセル
41,42 電極
6 酸素検知セル
61,62 電極
7 H2 検知セル(水素検知セル)
71,72 電極
8 分極検出セル
81 基準電極
91,91A,91B,91C,91D,92,94,94A,94B 電源
93 電流センサ(電流検出手段)

Claims (9)

  1. 被測定ガスに含まれるNO x の成分量を検出するガス検出方法であって、上記NO x と反応する一定量の可燃性ガスが存在する室に、被測定ガスを所定の拡散抵抗の下に導入し、導入量に応じて被測定ガス中の酸素を室外へ汲みだし、室において上記可燃性ガスを上記NO x と反応せしめるとともに、酸素を供給して燃焼せしめ、酸素の供給量に基づいてNO x の成分量を検出することを特徴とするガス検出方法。
  2. 請求項1記載のガス検出方法において、上記被測定ガス中の水を電気分解して可燃性ガスである水素を発生せしめるとともにその発生量を制御して可燃性ガスの量を一定量に保つガス検出方法。
  3. 水を含む被測定ガスが拡散抵抗を有する被測定ガス導入路を介して導入される室と、基準の酸素濃度の基準ガスが導入されるダクトと、室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に一対の電極を形成し、電極間に所定の電圧を印加して室内の酸素を室外へ移動せしめる電気化学セルであって、印加電圧を、室内に面した電極の表面において被測定ガス中の水を電気分解して水素を発生可能な電圧に設定した分解セルを有し、発生する水素により室内の可燃性ガスの量を調整する水素発生部と、室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に、一対の電極を一方の電極が室内に面し他方の電極が上記ダクト内に面して形成した電気化学セルであって、電極間に通電して室外から室内へ可燃性ガス量に応じた酸素を供給し室内に面した電極表面をいわゆるストイキ状態に維持するNO x 検知セルとを備え、分解セルの室内に面した電極を測定しようとするNO x に対して不活性に調製し、NO x 検知セルの室内に面した電極をNO x および可燃性ガスに対して活性に調製し、上記電極表面において上記水素を含む可燃性ガスを、NO x と反応せしめるとともに上記供給された酸素と燃焼せしめ、かつNO x 検知セルの電極間に流れる電流を検出する電流検出手段を具備し、電流検出手段により検出された電流に基づいてNO x の成分量を検出するガス検出装置。
  4. 請求項3記載のガス検出装置において、上記水素発生部は、上記室とは別に設けられ、被測定ガスが拡散抵抗を有する被測定ガス導入路を介して導入される副室と、副室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に一対の電極を形成し、電極間に所定の電圧を印加して酸素を室内から室外へ移動せしめる電気化学セルであって、印加電圧を、電極間に上記被測定ガス導入路の拡散抵抗で律速される限界電流が流れる電圧に設定した酸素ポンプセルとを有し、上記分解セルの印加電圧は、分解セルの電極間に、酸素ポンプセルの電極間を流れる限界電流に対応した分解セルの限界電流よりも予め設定した所定値大きい電流が流れるように調整可能としたガス検出装置。
  5. 請求項3記載のガス検出装置において、上記水素発生部は、上記室と上記被測定ガス導入路間に形成され、これらと連通する前室と、前室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に一対の電極を形成し、電極間に電圧を印加して酸素を室内から室外へ移動せしめる電気化学セルであって、印加電圧を、電極間に上記被測定ガス導入路の拡散抵抗で律速される限界電流が流れる電圧に設定した酸素ポンプセルとを有し、上記分解セルの印加電圧は、分解セルの電極間に流れる電流が一定となるように調整可能としたガス検出装置。
  6. 請求項3記載のガス検出装置において、上記水素発生部は、上記室とは別に設けられ被測定ガスが拡散抵抗を有する被測定ガス導入路を介して導入される副室と、副室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に一対の電極を一方の電極が室内に面し他方の電極が上記ダクト内に面して形成した電気化学セルであって、電極間に発生する起電力を検出する酸素検知セルと、副室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に一対の電極を形成し、電極間に電圧を印加して副室の外と内とで酸素を移動せしめる電気化学セルであって、印加電圧を、酸素検知セルにより検出される起電力が一定となるように調整可能とした酸素ポンプセルとを有し、上記分解セルの印加電圧は、分解セルの電極間に、酸素ポンプセルの電極間を流れる限界電流に対応した分解セルの限界電流よりも予め設定した所定値大きい電流が流れるように調整可能としたガス検出装置。
  7. 請求項4ないし6いずれか記載のガス検出装置において、上記酸素ポンプセルの室内に面した電極を被測定ガスに含まれる可燃性ガスに対して活性で、かつNO x に対して不活性に調製したガス検出装置。
  8. 請求項3記載のガス検出装置において、上記水素発生部は、上記室壁の一部を構成する部分安定化ジルコニアを基材とする固体電解質材シートの両面に一対の電極を一方の電極が室内に面し他方の電極が上記ダクト内に面して形成した電気化学セルであって、上記室に面した電極を可燃性ガスに活性な電極で構成した可燃性ガス検知セルを有し、上記分解セルの印加電圧は、可燃性ガス検知セルにより検出された起電力が予め設定した所定値となるように調整可能としたガス検出装置。
  9. 請求項3記載のガス検出装置において、上記水素発生部は、上記分解セルを構成する固体電解質材シートの一面に形成され基準酸素濃度の基準ガスが曝露する基準の電極と上記室内に面した電極と上記分解セルの固体電解質材シートとで構成した分極検出セルを有し、上記分解セルの印加電圧は、分極検出セルにより検出された起電力が予め設定した所定値となるように調整可能としたガス検出装置。
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