JP3762034B2 - コーナードレインの固定装置における抜き型体保持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーナードレインのドレイン本体をコンクリートの打設前にコンクリート型枠に固定するための固定装置にあって、前記ドレイン本体の受皿部の周囲に所定形状の排水溝を形成するための抜き型体を保持する抜き型体保持装置を備えたコーナードレインの固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
床面と壁面とが交叉する建物のコーナーに設置されるコーナードレインの施工時にあって、コンクリート型枠に固定したドレイン本体の受皿部上に抜き型体を配設し、ドレイン本体の周囲にコンクリートを打設することにより、前記受皿部の周囲に抜き型体に一致した所定形状の排水溝を形成することができる。このような、抜き型体を用いた排水溝の成形方法にあっては、前記コンクリートの打ち込み圧によって抜き型体が移動しないように、該抜き型体をドレイン本体の受皿部に保持する必要がある。
【0003】
かかる抜き型体の従来の保持手段は、図6に示すように、コーナードレインのドレイン本体aを、固定装置bによってコンクリート型枠cに固定した状態において、前記ドレイン本体aの受皿部dに形成した螺子孔eに螺子杆fを螺合して立設し、該螺子杆fを前記受皿部dに乗載した抜き型体gの挿通孔hに挿通させ、該抜き型体gから上方に突出する螺子杆fの突出部に、抜き型体gの上面に当接する押え板iを遊嵌するとともに、その上部からナットjを螺合することにより、その緊締作用によって、抜き型体gを受皿部dに圧接して保持するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来構成にあっては、ドレイン本体aの受皿部dに、螺子杆fを螺合するための螺子孔eの形成加工を行う必要があり、施工後に螺子杆fを除去すると、該螺子孔eが丸見えとなって美観が悪く、また、ドレイン本体aが鋳鉄製の場合には、耐腐食コーティングを施した後で、前記螺子孔eの形成加工が行われるため、該螺子孔eが無コーティングとなり、施工後に該螺子孔eから錆が発生して腐食が広がるという問題があり、さらに、抜き型体gを用いないで施工する場合には螺子孔eのないドレイン本体aが使用されるため、螺子孔e付及び螺子孔eなしの2種類のドレイン本体aを製造しなければならないという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる従来構成の問題を解消し得る抜き型体保持装置の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、縦方向に配設されたコンクリート型枠に固定される位置決め板と、後縁に垂直縁部が連成された受皿部と前記垂直縁部から後方に突成された排水管部とを備えたドレイン本体の、その排水管部に一端が外嵌され、他端が前記位置決め板に嵌合されて、ドレイン本体を前記コンクリート型枠に所要間隔で保持する筒状スペーサと、前記ドレイン本体の垂直縁部前面で排水管部の開口部を跨いで差し渡される挟圧板をコンクリート型枠側に圧接して、前記筒状スペーサとで垂直縁部及び排水管部を挟持する挟持手段とを備えたコーナードレインの固定装置において、前記挟圧板に、前記受皿部上面に延出する支持縁を設け、該支持縁に支持杆を立設するとともに、該支持杆を前記受皿部に乗載された抜き型体に挿通させ、該抜き型体から上方に突出する支持杆の突出部に、抜き型体の上面に当接する押え板を固定手段を介して着脱可能に固定することにより、前記抜き型体を保持するようにしたことを特徴とするコーナードレインの固定装置における抜き型体保持装置である。
【0007】
かかる構成にあって、抜き型体を保持するための支持杆を、挟圧板に設けられた支持縁に立設するようにしたことにより、従来のようにドレイン本体の受皿部に支持杆の下端部を螺着するための螺子孔を形成する必要がなく、施工後に挟圧板を除去すると支持縁に立設した支持杆も同時に除去することができ、また、従来の螺子孔に起因する種々の問題も生じない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施例を、図1〜図3について説明する。
【0009】
1は、床面と壁面とが交叉する建物のコーナーに設置されるコーナードレインであって、該コーナードレイン1のドレイン本体2は、後縁に垂直縁部3が連成された受皿部4と、前記垂直縁部3から後方に突成された排水管部5とを備えてなる。該コーナードレイン1は、コンクリートpの打設前に固定装置6によってコンクリート型枠7の所定位置に固定される。
【0010】
8は、前記固定装置6を構成する円形の位置決め板であって、該位置決め板8は、縦方向に配設されたコンクリート型枠7の所定位置に釘9等によって固定される。該位置決め板8には筒状スペーサ10の一端が嵌合され、該筒状スペーサ10の他端は前記ドレイン本体2の排水管部5の端部に外嵌される。そしてこの筒状スペーサ10により、ドレイン本体2は前記コンクリート型枠7に所要間隔で保持される。
【0011】
前記位置決め板8の中央部にはナットを埋設してなる雌螺子部11が設けられ、該雌螺子部7に基端を螺合することにより螺子杆12が水平に植設されている。また、前記ドレイン本体2の垂直縁部3の前面には、排水管部5の開口部5’を跨いで挟圧板13が差し渡されており、該挟圧板13の中央に形成した透孔14に前記螺子杆12を挿通させ、その突出端に蝶ナット15を螺着して緊締することにより、挟圧板13をコンクリート型枠7側に圧接させて、該挟圧板13と前記筒状スペーサ3とで垂直縁部3及び排水管部5を挟持することにより、ドレイン本体2を固定するようにしている。そして、この螺子杆12及び蝶ナット15を、挟圧板13をコンクリート型枠7側に圧接して、筒状スペーサ10とで垂直縁部3及び排水管部5を挟持する挟持手段としている。
【0012】
また、ドレイン本体2の垂直縁部3の周囲には、前記コンクリート型枠7と対をなすコンクリート型枠7’が配設されるとともに、ドレイン本体2の受皿部4の下方にもコンクリート型枠(図示省略)が水平状に配設され、該コンクリート型枠の上部、及び前記両コンクリート型枠7,7’間をコンクリートpの充填空隙としている。
【0013】
次に、本発明の要部である抜き型体保持装置について説明する。前記挟圧板13には、抜き型体保持装置を構成する支持縁16がドレイン本体2の受皿部4の上面に延出するように設けられている。該支持縁16は、挟圧板13から下方に延出する垂直片部16aと、該垂直片部16aの下端から前方に屈曲してドレイン本体2の受皿部4上面に沿って延出する水平片部16bとによりL形に形成されており、垂直片部16aの上端は挟圧板13の裏面に溶接によって固着されている。ここで、該支持縁16は、このように別体形成したものを挟圧板13に溶接して固着する構成に代えて、支持縁16と挟圧板13とを一体形成するようにしてもよい。尚、上記のように支持縁16を別体形成すると、既存の挟圧板13を使用し得る利点がある。
【0014】
前記支持縁16の水平片部16bの先端部は、受皿部4の略中央に位置しており、該水平片部16bの先端部上面に、ナット17が溶接によって固着され、そのナット孔を上下方向に延在する雌螺子孔27としている。ここで、該雌螺子孔27は、水平片部16bの先端部を上方に筒状に膨出させ、その膨出部上面にバーリング加工を施して雌螺子孔を形成することによって構成するようにしてもよい。そして該雌螺子孔27に、支持杆18の下端部に形成した雄螺子部19aを上方から螺着することにより、該支持杆18を支持縁16の水平片部16bに立設するようにしている。また、該支持杆18には、下端部の雄螺子部19aに連続する雄螺子部19bが全長に亘って形成されている。
【0015】
また、支持縁16には、水平片部16bの基部近傍の下面に、ドレイン本体2の排水管部5の内周面に周設された凹溝20に嵌入する突起部21が形成されている。
【0016】
前記支持杆18は、ドレイン本体2の受皿部4に乗載された抜き型体22の挿通孔23に挿通され、該抜き型体22から上方に突出する支持杆18の突出部に、抜き型体22の上面に当接する円形の押え板24が固定手段を介して着脱可能に固定される。押え板24は、その中央に雌螺子孔25が形成され、さらに該雌螺子孔25を中心として180°異なる位置に一対の操作突片26,26が上向きに突成されている。そして、雌螺子孔25を支持杆18の雄螺子部19bに上方から螺合させ、操作突片26,26に指をかけて押え板24を回転させることにより、該押え板24がその螺進作用を介して下降して抜き型体22の上面に圧接し、該抜き型体22を保持し得るようになっている。そして、前記支持杆18の雄螺子部19bと、該雄螺子部19bに螺合される押え板24の雌螺子孔25とを、押え板24の固定手段としている。
【0017】
また、前記抜き型体22は、図3に示すように、施工形成する排水溝の形状に一致した周縁形状に形成されている。この抜き型体22は、易破砕性材料からなり、特に発泡スチロールの一体成形品が好適なものとして適用される。この発泡スチロールの一体成形品を用いると、表面が滑らかであるため、打設したコンクリートpが外周面に固結し難く、また、抜き型体22の一部にバール等の工具で穴をあけ、該穴に手を掛けて抜き型体22を引き上げることができるため、コンクリートの硬化後の型抜き作業が容易となる利点がある。
【0018】
かかる構成にあって、上記のようにドレイン本体2を固定装置6によってコンクリート型枠7の所定位置に固定すると、挟圧板13に設けられた支持縁16の先端部が受皿部4上面の略中央に延出された状態となる。そして、この支持縁16の先端部の雌螺子孔27に、下端部の雄螺子部19aを螺合して支持杆18を立設させた後、抜き型体22を上方から受皿部4に乗載して、該抜き型体22の挿通孔23に前記支持杆18を挿通させる。次いで、該抜き型体22から上方に突出する支持杆18の雄螺子部19bに、押え板24の雌螺子孔25を螺合し、その螺進作用を介して押え板24を下降させることにより、該押え板24が抜き型体22の上面に圧接され、該抜き型体22が保持される。そして、この状態において、ドレイン本体2及び抜き型体22の周囲の充填空隙にコンクリートpが打設される。
【0019】
ここで、コンクリートpの打設時にその流圧によって、抜き型体22に下方向からの押し上げ力が作用し、該抜き型体22を保持している支持杆18の支持縁16に、挟圧板13を支点とする回転モーメント(図1において左回りの回転モーメント)が生じることとなるのであるが、該支持縁16の水平片部16bの下面に、ドレイン本体2の凹溝20に嵌入する突起部21が形成されていることにより、該突起部21が、凹溝20の溝壁に当接して支持杆18の回転移動が阻止され、かかるコンクリートpの流圧による抜き型体22の浮上を防止することができる。尚、支持縁16に前記回転モーメント力に耐え得る強度があれば、前記突起部21は必ずしも必要なものではない。
【0020】
そして、打設したコンクリートpが硬化したら、押え板24を前記と逆の操作で支持杆18から取り外し、抜き型体22を上方に引き抜いて除去した後、固定装置6の蝶ナット15を螺子杆12から外して挟圧板13を取り外すことにより、支持縁16と支持杆18も同時に除去される。また、位置決め板8及び螺子杆12はコンクリート型枠7を取り外すと同時に除去される。
【0021】
かかる施工後には、前記抜き型体22により受皿部4の周囲に、抜き型体22の周縁形状に合致した排水溝が形成される。
【0022】
図4は、押え板24の他の固定手段を示すものであって、押え板24の中央に支持杆18を遊嵌する挿通孔27を形成し、該押え板24の上部で支持杆18の雄螺子部19bに螺合される蝶ナット28と、支持杆18の雄螺子部19bとによって押え板24の固定手段を構成したものである。
【0023】
また、その他の固定手段としては、本願出願人が実開平5-81448 号で提案した図5イ,ロに示すような構成のもの等を適用することができる。これらは、支持杆18の上部をロッド状の被摺動部19cとし、該被摺動部19cに上方から摺動自在に嵌合される固定具29を押え板24の上部位置で固定可能に設けたものであって、このような固定手段を用いると、支持杆18の上端から固定位置までのねじ込みによる螺進操作が不要であるため、押え板24の着脱を迅速に行い得る利点がある。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、上述のように、ドレイン本体2の固定装置6を構成する挟圧板13に、ドレイン本体2の受皿部4上面に延出する支持縁16を設け、該支持縁16に抜き型体22を保持するための支持杆18を立設するようにしたから、従来のようにドレイン本体2の受皿部4に支持杆18の下端部を螺着するための螺子孔を形成する必要がない。これにより、施工後に支持杆18を除去すると受皿部4に螺子孔がないため美観がよく、従来のように該螺子孔から錆が発生して腐食が広がることもなく、さらに、1種類のドレイン本体で、抜き型体22を用いる施工態様と抜き型体22を用いない施工態様に夫々対応し得る等の優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の施工状態を示す縦断側面図である。
【図2】本発明の実施例の縦断正面図である。
【図3】同上の平面図である。
【図4】押え板24の固定手段の他の構成を示す縦断面図である。
【図5】押え板24の固定手段の他の構成を示す縦断面図である。
【図6】従来構成を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1 コーナードレイン
2 ドレイン本体
3 垂直縁部
4 受皿部
5 排水管部
5’開口部
6 固定装置
7 コンクリート型枠
8 位置決め板
10 筒状スペーサ
12 螺子杆(挟持手段)
13 挟圧板
15 蝶ナット(挟持手段)
16 支持縁
18 支持杆
19b 雄螺子部(固定手段)
22 抜き型体
24 押え板
25 雌螺子孔(固定手段)
Claims (1)
- 縦方向に配設されたコンクリート型枠に固定される位置決め板と、
後縁に垂直縁部が連成された受皿部と前記垂直縁部から後方に突成された排水管部とを備えたドレイン本体の、その排水管部に一端が外嵌され、他端が前記位置決め板に嵌合されて、ドレイン本体を前記コンクリート型枠に所要間隔で保持する筒状スペーサと、
前記ドレイン本体の垂直縁部前面で排水管部の開口部を跨いで差し渡される挟圧板をコンクリート型枠側に圧接して、前記筒状スペーサとで垂直縁部及び排水管部を挟持する挟持手段と
を備えたコーナードレインの固定装置において、
前記挟圧板に、前記受皿部上面に延出する支持縁を設け、該支持縁に支持杆を立設するとともに、該支持杆を前記受皿部に乗載された抜き型体に挿通させ、該抜き型体から上方に突出する支持杆の突出部に、抜き型体の上面に当接する押え板を固定手段を介して着脱可能に固定することにより、前記抜き型体を保持するようにしたことを特徴とするコーナードレインの固定装置における抜き型体保持装置。
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---|---|---|---|
JP09474997A JP3762034B2 (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | コーナードレインの固定装置における抜き型体保持装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP09474997A JP3762034B2 (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | コーナードレインの固定装置における抜き型体保持装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10266559A JPH10266559A (ja) | 1998-10-06 |
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